山の管理小屋か、猟師小屋を勝手に入って薪ストーブに火をつける。暖かくてほっとする。時間も時間だし、何かつまみながら話でもしたい。幼い子に長時間の空腹は良くない。生憎とレーションしか持ち合わせていないが、食べさせたい。
「よくみつけたな、こんなの」
「獣道をたどっていると、偶然みつけました。鍵の管理が杜撰で助かりましたよ。入り口横の植木鉢の下にそのまま置いてありました」
AR-15に抱えられているすみれが、とにかく無事で良かった。椅子や、適当な箱をだしてきて座る。全員座ったことを確認して、うなずく。
「すみれ」
「はい。お父さん」
AR-15からすみれを受け取る。私の腕の中に、愛おしくてまだ小さなぬくもりが帰ってきた。M4達の表情も緩んでいる。私達が在るべき所へ帰ってきたみたいだ。
「一人にして、すまない」
いつだって飄々としていられるはずだったのに、声が震えてしまう。これじゃ、冷静に話せない。次の言葉をどう言うべきかとためっていたらM4に抱きしめられた。ちょうどすみれを真ん中にして向き合うように抱き合うことになる。
「お父さんなりの理由があるのは、分かっています。いいんですよ」
「すみれ」
「M16姉さん。話してください。私も許しますから」
二人には私を許さないで欲しかった。M4にはいつまでも姉と慕ってほしかったし、私のようにあえて不幸を選んではいけない。
「M4、すみれ。私は、私は……」
私を父と慕うこの子には、子供らしくわがままを言って欲しかった。事情を話して独房に入るなりすれば、なんてもう都合の良い夢でしかない。今を足掻いて、未来を掴まなくては。そのために話しあおうか。
「私を許してはいけないんだよ」
壊れないようにと、そっと撫でた頭髪が痛んでいる。毎日私達がつややかで長い黒髪になるように整えていたのに、こんなになるまで誰もそばにいなかったのか。それをM4とAR-15に伝えるとさらに二人の表情が険しくなった。
「私はお父さんを許しますよ。M4お姉ちゃんも、15お姉ちゃんも」
すみれが優しい子に育ってうれしいけど、その言葉は私の罪深さが浮き彫りになる。守らなければいけない者を放り出した私の罪が、重い。すみれとM4の柔らかな頬にキスをして希う。放浪生活をしたであろう荒れた肌に胸が痛い。
「どうか、許さないでほしい。すみれ、教えてほしい。私もすべて話すから。M4も、そこのUMP40も」
私は声の震えと涙を隠して笑えただろうか。