「全部教えてくれてありがとうございます。今できることを考えましょう」
涙でうるんだ目を拭う。唇をきゅっとひき結んで笑顔をつくる。みんな不安そうに私を覗き込んで心配してくれた。
「なんでもないよ」
「怖いなら、怖いって言うんだよ」
お父さんに撫でられた。久しぶりで嬉しい。何も持たない私はね、お父さんやお姉ちゃんに心配かけられないから。微かに残る父との思い出をM16A1さんに求めたから、この人は父になってくれた。私に世話を焼いて、愛してくれる。それだけで幸せ。勉強を教えてくれたし、犯罪組織の誘拐や恐ろしい派閥から物理的に守ってくれた。任務から帰ってすぐに抱きしめてくれたのも彼女。
「お父さん。私ね、何がなんでも生き残るよ。そのためには何でもやる。M4お姉ちゃん。どこで強化したの?」
何をやる気かとM4お姉ちゃんに聞かれる。そんなのやること一つに決まってる。
「有り金はたいてこの人を修理に出しで強化します。これから、一蓮托生ですよ。おかあさん」
「あ、うん。よろしく」
腹を括った私の表情にUMP40おかあさんがおずおずと握手を求めてくる。きゅっと握手して笑顔をまた作った。
「メンテナンスしてないでしょう?」
「うん。あちこちガタがきてる」
やっぱり。ついでにメモリー強化とかいろいろしてしまおう。私が使う日用品や旅に使う物も買いたい。長い旅になりそうだから、護身用に何かも欲しい。そのためには金がいる。
「ついでに強化もしましょう。すぐそこにグリフィンが放棄した基地があります。まだ通信設備と電気系統は生きているのでハッキングして、情報を引っこ抜きましょう。それくらいできますよね?」
伊達に指揮官やってない。取捨選択だけはうまくなった私をなめてもらっては困る。
「できらあ!電子戦特化型をなめてもらっちゃ困る。相手が軍用モデルじゃない限り、電子戦じゃ負けない自信がある」
胸を張って答えたおかあさんが頼もしい。
「ついでに私の口座からお金おろして、おかあさんの修理費と投資にあてます。それと、いくらか現金化しましょう。換金できる物を買って、道中で売れば良い」
「うーん。子供の思考じゃない」
「グリフィンの中じゃ、子供でいられなかったんですよ。後ろ盾がないから、戦場に放り込まれて撮影とお父さん達を指揮してましたし。まだ、お父さん達が物理的に守ってくれるだけマシでした」
「ああ、うん。これからはあたいも守るから」
優しい手が私の頭を撫でる。みんな優しいし、私を愛してくれる。まだ私はおかあさんやお父さん達に何も返せていない。くれた愛を返すために私は何だってやる。私は生きるためにひどいことに手を出した。
「おかあさん。よろしくお願いします」
「よろしくすみれ。たった一人のかわいい子」
また一人、家族が増えた。