※この作品はR-18です。

ゴーストフロントライン   作:蓮見民江

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2063年 2月8日 9:45 UMP45

甚だ不本意ではあるが、人の話を聞かない筆頭人形M4 SOPMOD2から事情聴取をする。ヘリアントスから事前にもらった情報、私がグリフィン上層部限定データベースからこっそりと探った情報。それだけでは足りない雑多なものまでを知るために歩く。偶然見つけた、代替品もない特別製のAR小隊を預かるための契約書の内容。あれがどうもひっかかる。契約時点で指揮官の存在と情報を秘匿し、死亡と判断されたら即座に情報を抹消。それがどうも頭から離れない。諸々の疑問を消化したくて、会議終了後彼女らにあてがわれた宿舎まで向かった。

 

「色々聞きたいの。いいかしら」

 

私が渋々声をかけるとSOPMOD2は道中拾ったガラクタを並べるのをやめて笑った。

 

「いいよー。UMP45だっけ?しばらくよろしくねー!あ、そこの椅子に座ってよ。ぜーったい長くなるでしょ」

 

SOPMOD2が壁に立てかけてある錆びついたパイプ椅子を指差す。戦闘以外の疲れることはしたくないし、ここは素直に座らせてもらう。

 

「でしょうね。じゃあ、今の指揮官のことから」

 

どっかりとパイプ椅子に座ると、錆びた椅子が嫌な音をたてた。その音に気にしないSOPMOD2は楽しそうにガラクタをまた並べてこっちに笑いかける。無邪気なその笑顔のまま、何から話すべきか聞いてきた。

 

「何から?」

「性格とか、行動パターン。あと、最後に接触したときの表情や言葉。伝言とか残していないか」

「うん。おとなしいというか、初対面の人間や人形には怖がり。慣れたら割り切ったドライな性格がでてくる。基本的に人間を信じてないから、近づかない。私達が過保護なのかも。まだまだ子供だから、教育も私達がしてたし」

 

ガチャガチャと鉄血の残骸をこねくり回している。何をしているのか、それがどうして楽しいのか私には理解に苦しむ。そんなのどうでもいいから早く話せと促すとSOPMOD2は少しむくれた。子供心はよくわからない。わかりたくもない。

 

「あの子はまだ8歳なのに妙に達観してて頭がいいから、何するか読めない。最後の接触はだいたい三ヶ月前。M4とAR-15が姿を消した直後。あの後にヘリアンさんが言う、「おかしな派閥」ってのに誘拐されてそれっきり。伝言?あったよ。おかしなのが。聞く?」

「ええ。SOPMOD2?急に私をみつめてどうしたのよ」

 

夕焼けよりも赤い瞳がじっとこちらを見つめる。ふいに表情が抜け落ちた白い顔にぎょっとして後ずさる。その私の反応が気に入ったみたいで満面の笑みを浮かべる。本当にSOPMOD2がわからない。

 

「ふふふ」

「あとで聞くから、データちょうだい。どうせ、改竄か合成されてないか調べろって言いたいんでしょ」

「おおあたりー!お礼にこれあげる。十日前に拾った通信機。記録がぜーんぶ暗号化されてるおもしろいやつ」

「何それ」

 

SOPMOD2がゴソゴソとガラクタの山から何かを探してたをじっとみていた。そうしたら、ぽいっと無造作に黒い何かが投げられる。受け取ったそれはSOPMOD2の言葉通り重たい通信機。手の上で転がしてまじまじと観察してみる。型番とかの記録が削られているし、たしかにログは暗号化されている。どうしてだろうか、見覚えがある。これを、私はどこかでずっとみていたような気がする。

 

「どうしたの」

「なんでもない。これについて個人的に調べたくなっただけ」

「そっか。それだけだよー。何かあったら、また聞きにきてねー。話すたびに通信機みたいなのあげるから」

「え?ああ、うん……うん?」

 

しゃべるだけしゃべったら、寒い廊下につまみ出された。これだからお子様は。あのお子様ARの方が筋力あるのが腹が立つ。細くて白い自分の腕に視線が向いた。あの腕とは違うがりがりの腕がここにある。

 

「もっと強く、ならないと。そうじゃなきゃ、私は」

 

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