私の半分は今どこで何をしているのか。生まれたてのひよこみたいなRO635をおいて散歩にでた。たまには一人で歩きたいもん。
「さむーい。すみれ。どこにいるの?寂しいよ」
寒さに震えながら、あてもなく歩く。街から市街地へ、申し訳程度の防護壁の門をくぐって荒地にあるスラムへ。さらにその先の森林地帯にたどりついて足を止める。
「あ!人が通った跡がある。雪はまだとけてないし、足跡も固まってない。うーん?あ、これM4とM16の靴跡だ!特注品の靴だからすぐわかるよ!」
胸を張る。でも、となりに誰もいないのが寂しくてしゅんとなる。いつもならみんながそばにいてくれるのに。寂しいとつぶやいて古いポラロイドカメラのシャッターを切る。これをくれた優しい人は私達を生かすために囮になってにげて、そして川から落ちて……それで死んだことになった。
「私達の指揮官ってみんな優しいから、私達のために犠牲になった」
私の半分のすみれもいつかそうなるのかもしれない。あの子ならきっと、なんのためらいもなくそうするだろう。その嫌な予測に怖さが私の頭を埋め尽くした。
「いや。私達は生き残ってあの子を守るの。犠牲になった私達の指揮官3人分の命の上に立ってるってことを忘れないために」
ぐっと手を堅く握りしめて空を見上げる。雲がほとんどない朝の空がまぶしい。この辺りまでくると暖かいから雪はすぐ溶けちゃう。その前に写真を撮っておいて良かった。
「ペルシカさんとヘリアンさんに聞かなきゃ。あと、カメラのフィルムも買わないと」
何を言わなきゃいけないのか、何をしなきゃいけないのか。やっと決められたよ。いつか耳にした指揮官の言葉がよみがえる。
『人形だって自由であるべきだ。自分の目で見て、耳で聞いて、そして自分の頭で考えなさい。人間って本当はとても不自由な存在なんだよって』
朝日に手を伸ばす。今はまだ掴めなくても、いつか掴んで見せる。よし、ヘリアンさんに通信いれようっと。
「もしもしヘリアンさんあのね。聞きたいことがあるの。私達のいままでの指揮官のみんなは本当に死んだの?」
「それは、わからないんだ。何が正確に起こったのかすらもわからない。私と敵対する派閥の揉み消しの痕跡や政治的な思惑、あいまいな状況証拠だけが残っている」
本当に死んだかわからない。その言葉を聞いた途端、目の前が真っ暗になった。どうして。
「何もわからないの?じゃあ、指揮官達が生きていた意味は?くやしくて、悲しいよ」
その言葉になんで返せばいいのかもわからなかった。