命の恩人のエルフのお姫様がクソ野郎に✖️✖️される話【胸糞注意】 作:黒糖バス
アリシアという名の、そのエルフが他の者達より優れていた点は実はそれ程ない。
エルフの中でも高い魔力を持っていたが、賢者と呼ばれる者達と比べると微々たるものであったし、身体能力の高さもエルフの中ではトップクラスであったが、獣人には僅かに及ばない程度だった。
──それでも凄まじい才能である事には変わりない。
獣人並の身体能力を持ち、エルフの魔力量を誇るなど、まるで龍人である。十分強者足り得るだろう。
だが、探せばそれなりにいる程度の強さでしかなかった。
──しかし、彼女は最終的に《世界最強》と呼ばれるまでに成長する。
魔法と剣術。どちらの才能も「上の下」止まりの彼女が、唯一絶対的に他者より優れていた部分。それは"鋭敏過ぎる感覚"だった。
自分の動きを完璧に把握する事の出来る彼女は、身体を思い通りに動かすことも可能で、瞬く間に剣術を極めていった。
魔力の流れを深く感じることも出来た為、魔法のコントロール技術に関して、あの魔法使いでさえ認める程だった。
実際の戦闘では敵の動きを正確に察知し、常に優位に立った。
気が付けばアリシアは最高クラスの戦闘技術を身に付け、《最強のエルフ》とそう呼ばれる存在になっていた。
全て、高い感度のお陰である。
だが、しかし。
敏感な感覚は、時に痛みを、時に音を、時に匂いを常人の数倍の感度でアリシア自身に伝える。
それが、彼女──《魔王殺しの勇者》アリシアの唯一にして最大の弱点だった。
☆
エルフの姫と魔法使いの2人と共に、辺境で過ごしていたアリシアは、ある日人間の兵士による襲撃を受け、捕らえられる事になった。
彼女はその圧倒的な戦闘力で何百という兵達を倒したが、人間の持つ《魔法銃》なる兵器によって遠距離から攻撃を受け、意識を飛ばしてしまった。
次に目を覚ました時、アリシアは薄暗い牢屋の中にいた。その場所には、彼女の他にも多くの種族が囚われており、悲鳴や泣き声がこだましていた。
「勇者様……ご無事でしょうか」
同じ牢屋の中にいた若いエルフが声を掛けてくる。その側には10歳程の幼い少女もいて、心配そうにアリシアを見つめていた。
2人はアリシアの事を知っている様子で、彼女に対する敬意の様なものが見て取れた。
「…ん。問題ない。…ここは何処?」
「人間の城の地下らしいです。毎日食事を届けに来る兵士の人が話していました」
「…そう。貴女達はいつからここにいる?」
「……私とこの子は国が滅ぼされてからしばらく離宮と呼ばれる場所にいました。ここに入れられたのは1週間前からです」
「…そう」
無表情ながら、悲しむ様に一瞬だけ目を伏せたアリシアは、ジーッと姉妹と思しきエルフ達の姿を観察する。
国が滅んでから1年近く経つ。それからずっと囚われの身だったにしては、彼女達の身体は健康的に見えた。無慈悲に他種族を虐殺した人間共に、捕虜に配慮する優しさがあるとは思えない。きっと、彼女達を健康で清潔に保つ事で、所有している人間の益になるのだろうとアリシアは結論付ける。
「あ、あの!」
思考に耽っていると幼い方のエルフが姉の背後から顔を出し、アリシアに声を掛けてきた。緊張した様子の少女に、アリシアは努めて優しい声を意識して聞き返す。
「…ん。何?」
「て、手に傷が出来てます。痛くないですか…?」
「…ホントだ。気付かなかった」
少女に言われて自分の手に視線を向けると、確かに目立つ裂傷がある事に気付く。きっと兵士達と戦った時に負ったのだろう。既に出血は止まっており、痛みもなかった。
アリシアは修得している《治癒》の魔法を唱えようとする。
「…?…魔法が使えない」
しかし、その魔法が発動する事はなかった。不思議そうに首を傾げ、手をグーパーと開閉するアリシア。その様子を見ていた姉エルフが「ここでは魔法は使えませんよ」と声を掛ける。
「この城の中では魔法の発動は妨害されるのです──それに、私達や勇者様が着けている首輪。それは装着者に色々と制限を掛ける効果があるそうで、魔法の使用や脱走、人間への攻撃などが禁じられています」
「むぅ…。残念。悪趣味な魔法具だね」
「あの!私薬持ってるんですっ。ちょっと手を出して下さい」
妹エルフが懐から薬を取り出してアリシアに近寄る。言われるままに傷のある方の手を差し出すと、彼女はそこに薬を塗りつけた。
「ッ──」
傷口を触れられた事と、薬による沁みる様な感覚にアリシアはほんの僅かだが眉をひそめた。こんな時に高すぎる感度の弊害が出てしまう。幸い、少女はアリシアのそんな様子には気付く事はなく、薬の塗布を終えた。
「離宮から持って来てたの、残ってて良かったです」
「ありがと。助かったよ」
ホッとした様子で一息吐く少女。アリシアは彼女の頭を優しく撫でながらお礼を言った。
「私はアリシア。勇者って呼ばれるの、あまり好きじゃない」
「あ、私はメルです!お姉ちゃんはユリア。えっと、ではアリシアお姉さんと呼んでもいいですか?」
「ん。構わない。改めてありがと、メル」
「え、えへへっ」
少女──メルは満面の笑みを浮かべてアリシアの手を受け入れる。その様子を姉エルフ──ユリアは優しい表情で見つめていた。
☆
アリシアが牢屋で生活を始めて10日が経っていた。脱出して姫様を助け出そうにも首輪の効果をどうにかしなければ話にならず、彼女は仕方なく情報収集に努めていた。
その間に分かったことがいくつかある。先ず、アリシアがこの地下牢にいる理由だ。一緒に捕まった姫様や魔法使いと違い、彼女がこの場所に入れられているのは彼女が勇者だからであるらしい。
人間の国のルールはよく分からないが、どうやらアリシアの身柄を巡って人間の皇帝と闘技場のオーナーが争っているそうだ。美しい彼女を性奴隷として手中に収めたい皇帝と、勇者というネームバリューで闘技場を盛り上げたいオーナー。二人の権力者が日々話し合いを繰り広げているのだとか。
この牢獄は売りに出される予定の者達を取引完了まで隔離する事を目的として使われているらしい。その為、絶対に逃げられない様に厳重な警備が為されつつも、キチンとした食事や清潔な衣服を与えられ、病気にならない様に配慮されていた。
同じ牢屋にいるエルフの姉妹も、貴族相手に売られる予定だそうだ。ちなみにこれらの情報は全て、見回りの兵士が漏らしているのを、アリシアの鋭い聴覚が盗み聞いたことである。
主人が決まるまでの身である為、特にしなければならない事も存在せず、アリシアは仲良くなったメルと日々話をして過ごしていた。
「──それで弟子は私より強くなった」
「へぇ〜。弟子って《人間将軍》様でしょ?凄いなぁ」
「ん。弟子は凄い。悔しいけど誇らしいよ」
「ううん。お弟子さんも凄いけど、その弟子を鍛えたアリシアお姉さんもスッゴイよ!」
「…そ。ありがと。でも、やっぱり弟子が1番凄い」
「あははっ。お姉さんは《人間将軍》様が大好きなんだね〜」
ベッドに腰掛けてまるで姉妹の様に仲睦まじく会話をする2人。いつの間にかメルの言葉から敬語が取れ、最初の時の緊張した姿が嘘の様に打ち解けていた。その様子を
他の牢屋からは悲しみの声が聞こえる中、そこだけは場違いにも穏やかな空気に包まれていた。
いずれは離れ離れになり、そして辛い日々が待ち受けている事など三人とも理解している。それでも今この時だけはそんな現実を忘れてもいいのではないか、とアリシアは内心で考えていた。
だが、しかし。
そんな穏やかなひと時も突然聞こえて来た男の叫び声で終わりを迎える。
「嫌だァァァァァア!!!!!人間の貴族なんかに飼われたくねぇぇよ!!!!」
「うるさいな。
「────〜〜〜ッッ!!!」
どうやら正面の牢獄に入れられていたエルフの男性の引き取り先が決まったらしい。美しい容姿の男だが、亜人差別の激しいこの国の貴族が相手では、碌な生活が待っていないだろう。
彼は泣いて牢屋から出るのを拒否したが、貴族らしき人間の男が命令すると、強制的に口を閉じられ、連れて行かれてしまった。
「…………」
先程まで笑顔を浮かべていたメルの顔から表情が消えている。
「ねぇ…アリシアお姉さん」
「…何?」
「私ももうすぐ何処かの人間に買われて酷い目に合うのかなぁ。──離宮で見てたから知ってるんだ。人間が私達をどう扱うのか。きっと私もお姉ちゃんもすぐに死んじゃうんだ…」
「メル…」
「怖い…怖いよ…」と震えて涙を流す幼いエルフの姿に、
メルが…エルフ達が一体何をしたというのだろうか。たった1年前まで平穏に暮らしていた彼女達は、なぜ今こんな苦しみの中にいなければならないのか。
アリシアは悔しさに唇を強く噛んだ。
この一年、彼女をずっと苦しめているある疑問があった。
『自分が魔王を倒したりしなければ、エルフ達は今も平和に暮らせていたのではないか』
というものである。
確かに魔王は人々の脅威であったし、放置すればいずれは多くの人が死ぬ可能性があった。それは間違いない。だが、その被害はきっと人間による大虐殺程ではなかった筈だ。
で、あるならば。
エルフの国が滅び、今メル達が泣いている間接的な原因は
「────ッ」
だからこそ、目の前で泣いている少女をどうにかしてあげたいとアリシアは思った。自分が何とかしてその悲しみを和らげなければいけない、と。
口から出て来たのは何の根拠もない励ましの言葉だった。
「…メル。大丈夫だよ」
「っ……、アリシアお姉ちゃん…?」
「メルもユリアも皆。私が助けるから」
「でもっ…」
「私は勇者だから。────だから安心して。ね?」
その声はアリシアらしくなく震えていた。当然だ。彼女は自分が言った言葉を自分で信じていないのだから。高々数百人の人間に敗北した自分が、その万倍もいる人間相手に何が出来るというのか。
だが。
「うんっ、ありがとう。お姉ちゃん」
ただその場しのぎの言葉に、幼いエルフは希望を持った────持ってしまった。
幼い頃から勇者アリシアの偉業を聞かされていたから。魔法具に付いての知識がなかったから。そして、優しい嘘に縋り付きたくなるほど彼女が追い込まれていたから。
様々な要因が重なって少女の希望となってしまったアリシアは、この事を後悔する事になる。
☆
皇帝を名乗る男がアリシアの前に姿を現したのはその翌日だった。
「君の飼い主が俺に決まったよ。ただ、しばらくはコロシアムに貸し出さなきゃいけなくなったけどね」
「…そう」
「早速だけど今日の試合に出て欲しいんだってさ。準備してくれるかい?」
「…ん」
弟子と同じくらいに見える皇帝が、アリシアの主人になった様だ。どうやら闘技場のオーナーというものはそれなりの発言力があるらしい。国のトップである筈の皇帝が折れる形で、いくつかの条件を飲んだという。
その一つがアリシアの闘技場への参加らしい。その間、やはり逃亡防止の為にアリシアは今いる牢屋で過ごす事となった。
皇帝が来てからずっと部屋の隅で震えている姉妹のエルフに「行ってくる」と声を掛け、アリシアは久しぶりに牢屋から出された。
そのまま、あれよあれよと言う間に彼女は騎士風の服に着替えさせられ、勇者らしい格好になった。短めのスカートが気になったが、観客を喜ばせる必要があるとかで拒否権はなかった。
「勇者のパンチラとか絶対に盛り上がるだろうね」
そう話す皇帝は、アリシアの露出した太ももや存在を主張する胸へと熱い視線を向けている。準備が整った彼女は、皇帝に連れられて城のすぐ側にある巨大な闘技場へと案内された。
「もしも試合に負けたら罰ゲームがあるから、くれぐれも全力でやってくれよ」
「ん。初めからそのつもり」
「そうかい?なら良いんだ。頑張ってね」
最後に皇帝から応援の言葉を送られ、微妙な気持ちになりながら、アリシアは闘技場へと続く通路を歩いて行った。
☆
「「「「わぁあああああああああ!!!!!」」」」
「────ッ」
闘技場の中に足を踏み入れたアリシアを待ち受けていたのは、何千という人々の視線と、そして彼らの発する大歓声だった。
勇者の戦闘が見られるとあって場内はいつも以上の熱気に包まれている。その感じたことの無い大音量にアリシアはクラクラする様な感覚に陥った。まるで音の暴力である。耳の奥がキーンと鳴り始め、途轍もないストレスを齎らす。
「どうした勇者さんよ。体調でも悪いのか?城の中で散々貴族共に突かれたんだろ?」
「…違う。キミは?」
「俺は今日のアンタの対戦相手さ。《豪腕のガルボ》って呼ばれてる、この闘技場最強の男さ。へへっ、アンタをボコボコにしてくれって指示されてるんでね。遠慮なくやらせてもらうぜ」
「…そう。理解した」
闘技場の中心でアリシアと向かい合う大男──ガルボはニヤニヤとイヤラシイ視線をアリシアに向ける。発達した腕の筋肉は、確かに豪腕と呼ばれるだけはあるだろう。勇者であるアリシアを前に、彼は微塵も自分の勝利を疑っていない様に見えた。
『皆様お待たせしましたァァァァァア!!!!これより、本日最注目の試合を行います!!!』
実況の男の声が音声拡大の魔法具によって場内に響き渡る。
『当闘技場の絶対王者!!その丸太の様に太い腕から繰り出される一撃は何十人という闘技者達を肉塊へと変えてきましたぁぁ!!!!かの《裏切りの大将軍》に最も近い男!!!《豪腕》ガルボ・ナフスキー!!!!!!』
実況の紹介に合わせて、目の前の男が高く拳を突き上げる。その瞬間、大きな歓声が各所であがった。
『対するは、闘技場初参戦!!!しかしながら誰もが知っている有名人でもあります!!!!単身魔王に挑み、それを討ち取った《生ける伝説》!!!!最高の英雄にして世界最強の戦士!!!!その名もぉおおお!!!!《勇者》アリシアァァァァァア!!!!!!』
再び起こる大歓声。
それをあらかじめ耳を塞いでやり過ごしたアリシアは、冷めた様子で観客達を眺めていた。
「英雄だと思うなら、なんでこんな仕打ちをするのかな…」
はぁ、とひとつため息を吐く。その間にも実況の男は場内を盛り上げている。そして観客のボルテージが最高潮に達した時、彼はアリシアとガルボに対して構える様に指示を出した。
言われるままに、アリシアは貸し出された細剣を、ガルボは大剣を構える。
そして。
カ────ン!!
ゴングが鳴らされ試合が開始した。
その瞬間、巨体に見合わないスピードでアリシアに飛びかかったガルボは、勢いそのままに大剣を振るった。
「っ……!」
それを躱すと、直ぐに二度目三度目の攻撃が繰り出される。子供の身の丈程もある大剣を、持て余す事なく連続して振るうその筋力は下手をすれば獣人をも凌ぐかも知れない。
「オラオラオラオラァァア!!逃げてばかりか、エルフの勇者ぁぁ!!魔王なんて雑魚を倒していい気になってたらしいが、ここにはエルフなんかより強い奴らがウヨウヨいるんだよ!!!」
「────ッ」
「国を滅ぼされて、最後はただの兵士にすら負けて捕まったんだってなァ?!!そんな負け犬が勇者を名乗れるのか?エエッ!?テメェを倒して俺が勇者を名乗ってもいいかもなぁ!!!」
だがしかし──。
「黙れ」
その程度で勝てる程、勇者は甘くはない。
「ガッ──⁉︎」
アリシアが放ったのはただの拳だ。上下左右に振るわれるガルボの剣を容易くかいくぐり、がら空きの顎へと打ち込まれた彼女の一撃は、彼の脳へと衝撃を伝え、一瞬にして戦闘不能にしてしまう。
帝都に5つしかない闘技場。その内の一つで頂点に立っていた男が、華奢なエルフの素手での一撃で沈む。その信じ難い光景に場内にいる数千の人間達が目を見開き、そして次の瞬間────今日一番の大歓声が響き渡った。
「っ……グッ……、…クソ…が」
「…私が負け犬なんて事、言われなくても分かってる」
アリシアは地面に倒れ伏しているガルボを見下ろすと、それだけ告げて闘技場を後にした。
その姿に、観客達は興奮冷めやらぬ様子で歓声を浴びせ、そして称賛の言葉を口にする。
闘技場のニューヒロインの登場は、あっという間に帝都中で話題になった。
☆
それから毎日のようにアリシアは試合に参加させられ、名のある強者達と死闘を演じた。そして、その全てに勝利した彼女は瞬く間に闘技場の人気闘技物へとなっていった。
闘技場において強さこそが正義だ。
例えエルフであっても観客達は強い闘技者を歓迎する。それが美しい女性であるなら尚更である。
──しかし、全ての人間がそうであるとは限らなかった。
帝都には人間が他種族に負ける事を受け入れられない者達が存在した。
──人神教の信徒達である。
国教にまでなっていた人神教は、現在、権力者達にすら強い影響力を持ち始めている。故に新興宗教だと侮れば破滅するのは自分達であると、貴族達は理解していた。
そしてそれは皇帝でさえ例外ではない。
「──と、まあ、色々あってさ。勇者さんには制限をつけさせて貰う事になったんだ」
「制限?」
「そうだよ。具体的に言うと身体能力を低下させる魔法具を装着して試合に出て貰う」
牢獄を訪れた皇帝は先程決まったと言う話の内容をアリシアに伝えていた。
彼は腕輪の形をした魔法具をアリシアに見せながら不満げな表情を隠そうともしない。どうやら彼にとっても不本意な決定みたいだ。
「わかった。つけて貰って構わないよ」
腕輪を確認したアリシアは、どうせ自分に拒否権はないのだからと自身の手を差し出す。カチャッという音を響かせて、無骨な腕輪が嵌められた。
その瞬間、彼女は自分の身体が一気に重くなる感覚を覚えた。
「力が入れにくいね」
「オスの獣人の身体能力を人間の子供くらいまで低下させる魔法具だからね。今の勇者さんはそこらの子供と同程度の筋力しか持っていないのさ」
「成る程。これは大変…かも」
その場で軽く身体を動かし、調子を確認した彼女は、やや表情を暗くする。首輪を通した命令によって魔法の使用が禁じられている中、更に武器を取り上げられる形になったのである。身体に染み付いた技術などはそのままであるとは言え、これは中々に厳しい制約であった。
「アリシアお姉さん……頑張ってね?」
「ん。そう簡単に負けてはあげない」
側で話を聞いていたメルが心配そうに声を掛けてくる。アリシアはそんな彼女を安心させようと、口元を僅かに緩めて微笑みを浮かべた。
助けると誓った少女の前で弱気な発言をする事をアリシアは良しとしなかった。
☆
闘技場の中心でアリシアは対戦相手の男と向かい合っていた。巨大な大剣を片手で担ぐ大男。アリシアのデビュー戦となる試合で彼女と闘い、一撃で沈められた元最強の闘技者だ。
『前回味わった屈辱は、この男に更なる飛躍をもたらした!!!そして今日!彼は遂にリベンジの機会を与えられたぁぁ!!!!新旧最強の闘技者が再び合間見えます!!!《豪腕》ガルボvs《勇者》アリシア!!!!!間も無く試合開始です!!!!』
相変わらずのハイテンションで実況の男が場内を盛り上げていく。しかし、それとは対照的に二人の闘技者は静かに視線を交わしていた。
「……相変わらず無表情で気持ちの悪い女だな。──まあ、いい。前回は随分と舐めた真似してくれたじゃねぇか。お前が俺を素手で倒してくれやがったせいで俺の積み上げてきた実績がパーだ。雑魚どもにさえ「女に一撃で伸された男」なんて呼ばれて舐められる様になった。全部テメぇのせいだぜ」
「そう。でもそれは貴方が弱かっただけ。私を恨むのは筋違い」
「ヘッ、お前みたいな女をぐちゃぐちゃに犯してやったらさぞ気持ちいいんだろうな!!つぅか、えらく自信満々じゃねぇか?その腕輪について説明されてねぇ訳じゃないだろ?八百長クセェのは確かだが、今日は俺が勝つのが確定事項なんだぜ?」
「なんで貴方が知ってるの?」
「そりゃ、俺のスポンサーが人神教のお偉いさんだからだわな。テメェら亜人共は人間様に無様にやられてりゃよかったのさ」
「そう。恥知らずだね」
呆れた様に吐き捨てる。闘技者としての誇りなんてないのだろう。どんな手を使おうが勝てば良いと、ガルボの表情は語っていた。
彼は既に勝った気でいるらしい。魔法と肉体能力を制限しているのだ。当然か。だが、アリシアにも負けるつもりは毛頭なかった。
彼女はこれまでの試合で一度も使わなかった剣を構える。筋力が低下している以上、殴って無傷で終わらせる事は難しい。だから、彼女はガルボを斬る事を決断した。
アリシアに釣られてガルボも大剣を構える。
そして、少しの後──
カ──ン!!!
試合開始のゴングが鳴り響いた。
☆
『勇者アリシア!!防戦一方だぁあああ!!!』
試合は一方的にガルボが攻め立てる展開が続いた。途切れる事なく繰り出される剣撃を、アリシアは必死に躱そうとする。しかし、足の筋力も低下している為、前回の様に余裕で回避する事は叶わない。地面を転がり、剣で受け止め、薄皮を切られながら逃れ続ける。
「ハハハハハッッ!!!!無様だな勇者さんよぉ!!!」
「────ッ!」
ガルボが上段から剣を振り下ろす。それを一歩横に避ける事で躱したアリシアは、お返しにと剣を一閃した。しかし、スピードを伴わないその攻撃は、ガルボに容易く回避されてしまう。
先程からこの繰り返しだ。紙一重で逃れ続けるアリシアと、余裕で回避するガルボ。その差は確定的であり、徐々にアリシアの体力と精神力を消耗させていく。
「しぶといじゃねぇか。一撃喰らわせて終わらせるつもりだったんだがな。だが、お前も勝ち目がない事は理解してるだろ?さっさと諦めな」
「断る。負ける気はないよ」
「そうかよぉお!!!」
ガルボによる、一瞬で接近してからの横薙ぎの一撃。全く油断していなかったアリシアだが、攻撃を認識した時には回避は不可能だった。
咄嗟に身体の前に剣を置き、守りの体制を取った彼女は、強い衝撃の後、剣もろとも弾き飛ばされてしまった。
エロい描写を教えて欲しいです
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主人公視点で映像を見る
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ヒロイン視点で犯される
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皇帝が語る