「先生」
メイの声に目の前の皿を見て、マルコはしまったという顔になった、肉料理にかける筈のソースは皿の上で、たっぷりどころではない。
三人と一匹の視線が目の前の皿に集中している、夕食の席で自分は上の空だった、らしい。
友人の協力もあって集めた資料に目を通していたが見つからない、最後には一体、自分が何を探しているのか、キメラ、ホムンルクス、紛失したと思われる研究資料は本当にあったのか。
あのとき、ロイ・マスタングはタッカーを捕まえようとはしなかった、それはは自分の仕事ではないからなのか、他に何か理由があるのかもしれない。
正直、考えても答えが出ない。
「先生、散歩に行きませんか、夜風に当たって気分をすっきりさせて」
女に言われてマルコは自分が周りに心配をかけているのだと改めて気づいた。
確かに机にかじりついて資料を見ているだけでは答えなど出ない気がする。
だから、皆で夜の街に出かけることにしたのだ。
「お待たせしました、スペシャル・サンダー・ストロング・ビッグパフェ、ベリーミックスとバナナのトッピングです」
若い店員がテーブルの真ん中に置いたのはガラスのバケツに盛られた山盛り、てんこ盛りのパフェだ、果物、アイスクリーム、スポンジケーキが、これでもかというくらい盛られている。
リンとシャオメイ、女はうっとりした目で見つめている。
だが、男二人は自分たちも、これを食べるのかと後悔した。
途中で見つけたオープンカフェで、最初にメイが立ち止まったのだ、食べている人たちを羨ましそうに見るのでマルコは食べるかいと声をかけたのだ。
そして席に着いたのはいいが、どうせなら皆で食べようと女が言い出し、巨大パフェを皆で食べようという事になったのだ。
「ねえっ、見て、あれ、子猫かな」
「えっ、猫、女の子も三つ編みが、かわいい」
メイとシャオメイがパフェを食べる姿を見た周りの客たちは、ちらちらと見ながらもひそひそと会話を交わしている。
だが、自分たちはこっそり話しているつもりでも、周りには、はっきりと聞こえているのだ。
「お母さんと一緒みたい、でも、あの二人って」
マルコとスカーの耳にも、はっきりと聞こえている、自分たちの事らしい。
おっさんとオヤジが巨大パフェを食べている図というのは正直、周りから見ても可愛いとはいえないらしい。
「あっ、クリームがついてますよ、帰ったら洗濯しますね」
マルコは自分の胸元を見た、クリームだけでない、ジャムもついている、女が手を伸ばして拭いてくれるのだが。
「ねえっ、あの人、ご主人、彼女、年好みなんだ」
「じゃ、もう一人は」
「凄い怖い目で見てる、もしかして三角、こじれてトリプルってやつ」」
「えーっ、何それ、モテモテ、いいなあ、羨ましい」
周りからの視線を感じる、しかも、変な目で見られているとはっきりわかる、マルコはスカーを見た、サングラスをかけているので表情は分からないが羨ましいと思った。
時間がかかったが、やっとの思いで完食して四人は宿へと帰ることになった、ところが。
「ドクター・マルコ、先生ではありませんか」
宿へ帰る途中、名前を呼ばれて振り返り、驚いた。
「覚えておられるでしょうか、オリヴィエ・ミラ・アームストロングです」
軍服に身を包んだ金髪の女性、だが一人ではない、隣にはスカーと同じくらいの大柄な男が立っている。
「ここでお会いできるととは思いませんでした」
女は握手を求めてくる、こんな時間に軍服で街を歩いているとは偶然かとマルコは驚いた。
今から軍の施設に行くという話を聞いて、こんな時間にと思ったのかもしれない、三人は顔を見合わせた。
「遅くなるかもしれないから、先に休んでいなさい」
マルコが女に声をかけると、オリヴィエは大男に彼らを宿まで送るようにと言葉をかけた。
「先生、すみません」
車に乗り込み、走り出すとオリヴィエがマルコに声をかけた。
「偶然ではありません、ご友人から連絡を頂きました」
マルコは、ほっとした、自分の性格を熟知している友人からの手助けに、ありがたいと思ったのだ、これで少しは進むことができるかもしれないと。
「感謝するのはこちらだ、正直、困っていたところだ、だが、いいのかな」
「マスタング大佐が関わる事はありません」
はっきりとした口調だ、彼女個人の意見なのか、それとも別のところからなのか、聞いてみたいと思ったが、マルコは口を閉じた、もしかして診療所で起きたことを彼女は知らないのだろうか、もしそうなら何も言わない方が、ホムンクルスの事に関してもだ。
マルコは迷った。。
「それにしても、先生、ご結婚されているとは存じませんでした、それも奥方とご一緒とは知らず悪い事をしました」
オリヴィエの言葉にマルコは?という顔になった。
結婚、奥方、何を言っているのかと不思議層に彼女を見たが、あっと小さな声を漏らし慌てて違うと首を振った。
誤字、脱字、内容、少し変えています。
先生とアマアマが書きたかったけど、まあ、あまり急いで進めてもねと。
次回はスカーをもう少し書きたい。