オリジナル要素も入れているし。
最後に出てきたホムンクルスはスロウスです。
声がいいのよね。
知り合いに会ってくるといって出てきたのだ、だが、そこで錬金術師が関わっているかもしれないという話を聞いて軍の資料室へ行くことにしたのは偶然だった。
アームストロングの名前と許可証を出せば咎められる事もない。
昔の話だと友人は言った、どれくらいだと百年はと言われてマルコは笑いを返した、友人、お得意のジョークだ。
「詳しい事が分からない、関わっていたというのも仮定の話だ、だから試験に合格した人間ではないかもしれんぞ、マルコ先生」
その言い方だと調べるのは難しいということか、自分が無言になった事に友人は他にも気になることがあると言葉を続けた。
キメラの研究者は錬金術に比べて少ないのか、自分の身内、家族を実験に使うというのは非合法だし、露見すればただではすまない、だが、ショウ・タッカーは生きていた。
軍が彼を生かしていたのなら上層部が関わっているのだろうか、キンブリーなら詳しい事を知っているかもしれないが、聞いたところで素直に答える事はないだろうと思えた。
ふと時計を見ると真夜中を過ぎている、どうせなら、このまま朝まで過ごすかと思いながらマルコは部屋を出た、宿に電話をするためだ。
軍の建物の前に立った女は周りを見た、日は完全に暮れている。
緊張するのも無理はない、元々探しものは得意ではない、しかも一人で動かなければいけないのだ、頼ろうとしてもラスト、グラトニーはそばにいない、だから、今夜は目星をつけるために来たのだ、無理はしないこと、ラストからも言われている。
手の中の小さな石を握りしめて女は建物に向かって走り出した。
建物の各所の壁石を埋め込む、一日、十日、時間はかかるが、今の自分たちにできるのはこれくらいだと思ったときだ、気配を感じて振り返り驚いた。
犬がいたのだ、こんな時間に建物の中を見回りの為の軍用犬だろうか。
だが、吠えることはない、犬は自分をじっと見ている、その目を見ているうち気づいた、生気が感じられない、まるで、鏡を、いや、映像を見ているような気分だ、突然、頭の中二何かが飛び込んできた。
犬は地下へと歩いて行くが足音はない、最初は迷っていた、だが資料、キメラ、断片的な単語が自分の頭の中に流れ込んでくる、時折、犬は立ち止まり振り返る、それは自分をというより、周りを気にしているような動きだ。
「物置きかしら、ここ」
犬はドアの前に立ち、床を前足で叩くような仕草をした、そして今度は来た道を戻り始めた。
犬に話しかけようとして、答えが返ってこないことに今更のように気づく、万が一の為にと石を壁に埋め込んだ。
来た道を戻っていくのだが、犬の姿が少しずつ薄くなっていくことに気づいた。
まずい、このままだと、もしかしたら手がかりが見つかるかもしれないというのに、それに二度目はないかもしれない、いや、その可能性はないとはいえない、だとしたら構っていられない。
「走れ、見つかっても構わない」
自分の声で呼びかけた瞬間、わずかに首を傾けた犬は走り出した、廊下を、階段を、凄いスピードで。
「よろしいでしようか」
ノックと同時に部屋に入ってきたのはオリヴィエだ。
いつもの、はっきりとした口調ではない彼女の様子にマルコが不思議に思ったのは無理もない、だが、話を聞いているうちに何故、どうしてという顔になった。
案内された部屋に入ると、そこにはアレックス、オリヴィエの弟がいた、だが、もう一人、女の姿を見てマルコは驚いた、どうしてここにいるんだ、いや、どうやって入ってきたのだろう、関係者でもない一般人がと思ったのは無理もない。
自分を見て女は驚いた顔になったが、それは一瞬だ、先生と呼びながら近づいてくる。
マルコは女をじっと見た、女は近づいてくる、だが、その顔、マルコは違和感を覚えた。
「誰だ、おまえさん」
姿だけでなく性別も自由に帰られるホムンクルスを思い出す。
あと一歩というところで女は立ち止まった。
「ああ、ばれちゃったか、うまく化けたつもりなんだけどなあ、ここは騙されてくれないと、お約束ってやつだよ、先生」
先生と甘えるような声、だが、それは少年の声だ。
そのときドアが勢いよく開いた、入ってきたのはロイ・マスタングだ。
「怪しい奴がいると聞いたら、おまえか、エンヴィー」
どうして、ホムンクルスがここにいる、いや、何故、姿を変えて何をしていたのか。
宿に戻るとマルコは部屋から出た、後からオリヴィエが追いかけてくる、だが、続いて大男もだ。
「ご一緒させてください、先生」
「姉上っ」
「車の用意をしろ、アレックス、貴様も来い、緊急事態だ」
ただ事ではいない、言われなくてもついて行くと男は行動を開始した。
「どうする、あれは」
エンヴィーはと言いかけたマルコにオリヴィアは構いませんと、大佐がなんとかしますとすませた。
「それより先生、何故、奴は、あの女性の姿で」
マルコは返事ができない、ただ、足が、体が、せかされるように動くだけだ。
「先生、どうしたんです」
帰ってきたマルコの顔を見てメイは驚いた、しかも一人ではない軍服の人間、二人、女性と男性も一緒なのだ、マルコが尋ねると自分の部屋ですとメイは答えた。
「少し前に帰ってきたばかりなんです、疲れたからってベッドに」
「部屋にいるんだな」
なら安心、いや、何故、そう思う、不安が大きくなった。
マルコはドアをノックした、起きているなら入ってもいいかと声をかけるが返事はない、ドアノブを回すと鍵がかかっている。
先生とアレックスが声をかけ、ノブに手をかけた、握る手に力を込めて回そうとした、ところがドアはびくとしない、ねじ切ればいいと思って力を込めるが、それで駄目だ。
「構わん、蹴破ってくれ」
マルコの言葉に拳を握りしめ、殴りつけるように打ち込んだアレックスだ、しかし、それでも扉は、びくともしない、そのとき、どけろとスカーの声がした。
部屋に入ったスカーはベッドの上の黒い塊を見た、不思議に思ったのは、それが何なのかすぐにはわからなかったからだ。
動いている肉の塊、人間ではない、いや、ホムンクルスだ、何をしていると思ったとき、それはこちらに顔を向け、自分を見た、怠惰な声で来るなと自分に向け、再びベッドとの中に顔を埋めた。
同時に聞こえてきたのは声、女の声だ。