ギャグと思って読んでください。
「そういえば家に帰りたいと言ったことないですよね」
夕食を済ませた後のことだ、四人で食後のデザート、シャーベット、アイスを食べて居たときのことだ、メイの発言は爆弾投下と言ってもよかった。
「ああ、家、元の世界に、でも帰っても死んでるのよ、あたし」
「えっ」マルコとスカー。
「そうなんですか」メイとシャオメイ。
「電車の事故でバラバラになったのよ、即死、まあ、聞いたときは驚いたけど」
「聞いたって、誰にだ」
エンヴィーよと、女が言った瞬間、スカーは眉間に皺が深く刻まれた。
「どうしたんです」
メイの言葉に首を振った男だが、その顔は明らかに、むっとした怒りの表情を漂わせていた。
彼女自身、帰りたいとは思っていない、戻ったところで自分が死体になっているなら無理ないかもしれない、少しばかり肩の荷が下りたというより、ほっとしている自分にマルコは罪悪感を感じた。
それから数日が過ぎた。
「デート、だと」
聞き間違いかと思ったが、目の前の医者は少し気まずそうな顔をしている、そして同じ言葉を繰り返した、自分は生まれた家には帰れないという女の話を聞いてから三日が過ぎた。
「俺が、デート、無理だろう」
怒っている、嗚呼、やはり断るだろうと思っていただけにマルコは内心、がっくりとした。
数日前のことだ。
「何か欲しいものはあるかね」
マルコにしてみれば気を紛らわせる為に何かしてやりたいという、そんな気持ちだった。
女が今まで何か欲しい、してほしいという願望や我が儘というものを、あまり言ったことがないせいかもしれない。
だが、突然、言われてもと女は困惑した表情を浮かべた。
「服や化粧品、アクセサリー、何でも構わんよ」
単純だが、女性が欲しいものといえば、そういったものが一般的ではと思い尋ねた。
女はまずいと思った、自分が死んでいるなんて言わなければ良かったと思ったが後の祭りだ、笑い話とまではいかないが、少し冗談めかして話したつもりだった。
それが、まさか、こんなことを言われるとは思わなかった、逆効果だ。
「もしかして気を遣ってくれてるんですか、嬉しいです、でも」
凄く高い物をねだったら、どうする気ですかと言われてマルコは言葉に詰まった、高価と言われても男の自分が女物の相場など詳しく分かる訳がない。
「気持ちだけ受け取っておきたいところですけど、でも、折角ですから」
「それでデートがしたいと言われたのか」
スカーは何故、断らなかったんだと言いたいのをぐっと堪えた、多分、自分から言い出した手前、なかったことにできなかったのだろう、弱気な性格はこういうとき損だ、しかし、だからといって何故、相手役を引き受けなければならないんだ、自分が相手をすればいいのではと返すと年寄りとデートなんて楽しくないだろうと言われて言葉に詰まった。
「先に言っておく、ドクター、今でこそ一般人と変わらんが、俺は僧侶だったんだ、今まで女とまともに付き合ってきたことなど」
声が段々と小さくなってくる、これはまずい選択だったかとマルコは思ったが、身近な近くにいて頼める人間などいないのだ、ここは無理にでも彼に頼むしかないと思っていた。
一応、候補というか、考えたのだ。
ハボックは却下だ、キンブリーは後で何か取引を持ちかけてきそうだ。
アームストロング家のアレックス、悪いとは思わないが、正直、頼みにくい。
ロイ・マスタングは一応知り合いだが、軍内で部下の女が彼に惚れ、その為に男達から恨みを買っているのは有名だ、あと、女癖も悪いらしい。
正直、この人物なら頼めるという相手がいないのだ。
自分も協力するからというマルコの頼みをスカーは強く突っぱねる事はできなかった。
一応というか、マルコ名義の家に住んでいる、いわば家主である彼の頼みを無碍に断る事はできなかったのだ。
女は内心、うきうきとしていた、デートなのだ、相手がスカート聞いたときは驚いたが、そこは何も考えずスルーすることにした。
自分としては先生と一緒にと思っていた、スカー相手よりは会話も弾む、気心も多少なりともわかっている、だが、遠慮されて断られるような気がするというか、目に見えている。
だから、そこは仕方ないと思うことにした。
しかし、デートなんて久しぶりだ、過去を思い出すとあまりいい思い出がない。
今まで付き合ってきた男は片手未満だが、正直、いい思い出がない。
遅刻するならいい方で寸前で用ができたとドタキャンされたこともあった、仕事がいきなり入ったとか言い出し、そんな事が二度、三度と続くと正直、面倒になり自分から別れを切り出したこともあった。
物わかりのいい、わかった、気にしてないから、そんな言葉を何度、繰り返しただろう。
まあ、若かったから色々あっても無理ないと、今だから思えるのだ。
「あら、以外と化粧映えするのね」
ラストの言葉に鏡を覗き込むと普段の自分とは、まるで別人のような女が映っていた。
普段から、すっぴんで髪も、ただブラシで梳くだけ、手入れもしていない為、仕方ないと思って化粧だけは協力を頼んだのだ。
髪もアップにしてまとめて、服は薄い黄色のスーツ、若いギャルというよりは会社のお局様みたいな感じだ。
(某ガンダムの悪女、オバサマキャラ、シー○っぽいのを想像してください、作者)
自分はピチピチの若いギャルじゃないし、スカーさんも青年とはいいがたい。
「はい、仕上げ」
シュッとコロン、香水を吹き付けられて準備万端だと思いつつ、部屋を出た。
「お待たせ、さあ、出かけましょうか」
声をかけると皆が一斉に自分を見た、だが、三人とも誰も何も言わない。
この沈黙は何を意味するのか、失敗したと女は思った。
若いギャルよりは大人っぽい感じにして欲しいといったが、化粧が濃いババアになってしまったか。
「い、いいんじゃないか」
「そうですよ、素敵です」
マルコとメイの言葉に、そうかなあと思った女はスカーを見たが、無言だ、しかもサングラスをかけているので、いつも以上にヤクザっぽく見える。
「さあ、出かけておいで」
マルコの言葉に背中を押され、二人は外に出た。