色々と細かい部分の設定を変えたいと思い、今まで書きためた分はブログで公開することにしました、試行錯誤中です。
第二部は恋愛情事(エロ有り)など色々と考えています。
多分、こういうところに隠しているんだと思うけどと思いながら、エンヴィーは物音を立てないように棚に並んだ本を物色していた。
時刻は真夜中を過ぎてしばらくたっている、ちなみに部屋の主である女はベッドでグーグーと眠っている、起きる気配はないが、いつ目を詰まさないとも限らない。
数日前、渡した書類を女は処分したと思っていた、だが、あのときの男の言葉が気になった。
正直、自分の判断だけでは不安になり、ラストに相談すると、万が一と言うことがあるから確認した方がいいと言われたのだ。
「文字が読めたとして、価値を知らずに持っている可能性もあるわ」
「それ、どういうことだよ」
「研究書類とは関係ない内容だとしたら、どうかしら」
「書類は大昔のものだぜ、例えば手紙にしたって、相手はいないだろ」
そうねとラストは頷いた、でも、ホムンクルスならと仮定の言葉を呟いた。
数日前のラストとの会話を思い出し、エンヴィーは軽く頭を振った、合成獣の研究者、ショウ・タッカーの事が頭をよぎったが、その事をラストに話すと放っておきなさいと一言だ。
「この間、ラースに会ったのよ、百年ぶり、いえ、それ以上かしら、膿を出すとかいってたけど、何かするつもりじゃないかしら」
「ラース、あんまり首を突っ込んで欲しくないなあ」
いかん、はやく、見つけて、ここからトンズラしないと、そう思ったとき、シーツがずり落ちる音がした。
振り返ると女がゆっくりと起き上がる音と気配がした。
「誰か、いる」
まずいと思いエンヴィーは姿を変えた。
「私だよ、本を借りようとね」
マルコに姿を変えたエンヴィーの声に女はそうですかと再び、シーツをかぶり眠りについた。
驚いた、寝ぼけてたのか助かったと思いながら、ふと一冊の本を手に取った。
中を開くと手書きの文字だが、何故か読めない、この国の文字じゃないなと思いながらページをめくっていくうちに手が止まった、字が変化していくのだ、そして最後のページを捲ろうとしたとき一枚の紙を見つけた。
よし、帰ろうと思ったとき、気配を感じて振り返った。
折角の休みだ、もう少しゆっくりと寝てもいいが、朝食の支度をしようかとマルコは思い、体を起こした。
そのとき、大きな音がした、何かが落ちたのか、倒れたような音だ、台所からだ。
泥棒かと思ったが、セキュリティは万全だ、確かめようと慌てて部屋を出る。
マルコは驚いた、台所の床で二人の男女が取っ組み合いをしていたからだ。
「何をしているんだね、スカー、君は」
「俺なら、ここにいる」
へっ、マルコは驚いて隣を見た、スカーが憮然とした表情で立っている、するとあれは、エンヴィーか。
「二人とも、やめなさい」
えっ、マルコの声に振り返った瞬間、女の手から奪い返そうとした偽スカーの手が見事に決まった、女の顔面に。
「こういうのってさ、自業自得っていうんだろ」
女は俯いたままだ、顔を上げようとしないのは鼻にティッシュを詰めた間抜けな姿を誰にも見られたくなかったからだ。
元の姿に戻ったエンヴィーは言葉をかけた。
「書類は全部捨てろって、面倒な事になったら大変だって、ラストも言ってたんだ」
だったら言ってくれたらと女は俯いたまま、小声で呟いた。
「まあ、タイミングも悪かったよな、声をかけた」
自分のせいだけじゃないと言いたげなエンヴィーの言葉に、自分も悪いのかとマルコは向け難しい顔になった。
空気が重い、めんどくせえなとエンヴィーは立ち上がった。
「十日前、今日は朝から雨が降っている」
いきなり何を言い出すのかとマルコとスカー、起き出してきたメイがエンヴィーを見た。
「天気予報は一日雨らしいけと」
「と、ちょっと」
鼻に詰めたティッシュなど気にせず女はエンヴィーに詰め寄った。
「ま、まさか、読んだの、エンヴィー、あんた」
「読めちゃったんだなー、しかもご丁寧に」
「ま、待って、これ、捨てる、燃やすから」
そうそうと頷くエンヴィーの前で女はコンロを、そして紙に火をつけた、瞬間、ぼおおーっと、それは尋常でない炎の塊になった。
「何やってんだ、馬鹿野郎」
スカーは燃える紙を手に取ると、そのまま流しの水桶に突っ込んだ。
ごめんなさいと女は何度も頭を下げた、床に跪いて三つ指をつかないだけましだが、土下座も同然の平謝りの態度にスカーの方が困惑した。
「たいしたことない、こんなのは」
スカーの言葉に鼻水を、ずずっと啜る音が大きく響く。
「ところで、読んだって、何のことです」
メイの言葉にエンヴィーが、にやりと笑った。
「ああ、あれはね」
女はやめてぇぇっと叫んだ、あれは日記だ。
今日は雨が降っていて洗濯も外出もできない、でも、休みということでイチゴのタルトを焼いてくれると言ってくれた、楽しみだ。
イチゴのタルトには意味がある。
(誰かに甘えたい)