わりかしエッチなウサギさん 作:新梁(十八禁)
ちなみに、今回のテーマはまじでグダグダな順序も何もない初心者丸出しセックスなので、あんましエロさには期待しないでね。
追記:今後絶対出てこないので、作中のヴィラングループについてあとがきに記します。
庄田家長男、庄田反撃には幼馴染が一人居る。
「反撃ィ」
「おん?」
「……ちゅー」
「はいはい……っん」
「ん……、ふ……へへっ」
「お前本当にチュー好きなぁ」
その名は兎山ルミ。
褐色の肌とピンと天に向かっておっ立つ二本の兎耳が特徴的な強気の美人さんである。
反撃は小学生の頃なんやかんやあってこのルミと男女の幼馴染にしては見ての通りあまりにも距離が近過ぎるような関係となってしまい、外ヅラは何でもないように見せて内心割と途方に暮れていた。
そんな反撃であるがまだ残暑厳しい今日、更なる試練に見舞われていた。
携帯のメッセージで話がある、と何故か反撃自身の部屋に呼び出された(ルミは庄田家顔パスである)反撃は、ドアを開けたタイミングで顔に向かって投げつけられた物を反射的に掴み、ビシッと固まった。
「…………えー、ルミさん? これは……」
「…………」
自分でも何をしているかは分かっているらしく、顔が茹だるように赤いルミは兎耳をビンっ! と強張らせながら反撃から顔を背ける。
反撃に投げ渡された物……それは避妊具の入った箱(百五十枚入り)であった。
「…………ルミさん? ……こんな物を、一体どこで……?」
「…………母さんに貰った」
「ホゥアッ!?」
衝撃のカミングアウトをかましつつ、ルミは腰掛けていたベッドの上に大の字で身を投げだし、ギュッと両手を固く握りしめて赤い顔でそっぽを向いてしまった。
「…………あの……」
「……反撃に……それ渡しゃ……後は全部やってくれるっ、て…………」
「…………実の娘を何唆してんだあの人は……!」
頭を抱える反撃をチラ、と見てルミが両手を差し伸べる。
「……反撃……早く……」
「…………おぉう」
何だ、一体何が起こっている。まるで理解が追いついていない反撃。
ルミがなぜこんな事になってしまっているのか。その理由は本日昼時まで遡る。
本日午前。中学校。
兎山ルミという少女はそのあっさりサッパリした性格と幼いながら整ったかんばせにより男女問わず、男子は距離が近く美人ながらも話しやすい異性として、女子は男子に対し引かない身体能力と頼りがいのある憧れの同性として、確かな人望を集めていた。
スポーツは万能で勉強は得意ではないが苦手と言う程でもなく。そんな彼女は現在、昼食の弁当を食べながら友人の女子と恋愛談義に話を咲かせていた。
まあ基本的には何組の誰々がカッコいいだの誰々は誰々と付き合ってるだのといった話題であったが、やがて女子の一人が話に参加せず黙って箸を動かしていたルミに話題を向けた。
「ルミは庄田君と付き合ってるもんねぇ。彼氏持ちはこんな話キョーミ無いか」
「は? 別に付き合ってねーけど」
「え?」
「いや、だから付き合ってねえって」
何でもないように述べられたその言葉にザワリと教室がにわかに沸き立つ。
ちなみに反撃は別のクラスである。
「え……っとぉ……ルミは……庄田君の事、好き……なんだよね?」
「……ん、まあ……」
どうやら自身の気持ちを明言するのは恥ずかしいようで、目元を少し赤く染めてパタパタと耳を動かしながらわざとらしく大きな弁当箱に集中するルミに教室内の複数人が軽く心臓を撃ち抜かれながらも、最後まで聞かねば死ねんとばかりに鬼気迫る表情の友人が「告白はァ!?」と迫る。
「…………してねー」
「何でッ!!」
「だって……」
「だってじゃないッ!!」
「……ハズいし……それに……そういうのって男からするモンじゃねえの……?」
普段からはあり得ないヘタレ具合を示している力無い耳を見て、友人は「うーん」と首を傾げた。
耳への視線を感じ、ルミは赤らんだ顔のまま箸を持った手で両耳を押さえた。
「確かにそういう気持ちも分かるけどォ……でもまー、あんまうかうかしてない方が良いと思うけど?」
「何でだよ」
「何でって……庄田君、偶に女子に呼び出されて告白されてるよ?」
「は?」
量の多い弁当をルミの口に運ぶ役割を終えて箸箱に仕舞われようとしていた小学校から使い続けていたピンク色のプラ箸が、ルミの手の中でベキリと音を立ててプラ箸としてはそこそこ長い生涯を終えた。
友人はその姿を見て慌てたように手を振る。
「いいやいや待って! 全部断ってるらしいから! 大丈夫だって! けどまーほら! ワタシ的には!? ワタシ的にはちょおぉぉ────っとだけ! 急いだ方が良いんじゃない!? っていうね!? ハナシなわけで!」
「…………告白……」
「あれっこれ聞こえてない感じかな!? そんなにショックだったの!?」
「……何で反撃がそんな告白されんだよ」
「な、何でと来ましたかこのお姫様は……」
焦った表情から一転、『無知っ子? 今どきリアルで無知っ子ですか?』と呆れた顔を隠さない友人に軽く手を振ってルミは「違う」と言う。
「反撃がモテるってのはまあ分からんでもねえよ。身長高くて運動できて勉強もそこそこはできるからだろ?」
「お、おう……まあ後普通にカッコいいし、優しいし? ってかそれ堂々と言うか……なんか腹立つ……」
「けどそんなのアタシだって同じだろ。反撃よか頭悪いけどそこそこは勉強できるし、体育の成績の方は反撃より上だし身長だって女子じゃあ高いぞ。けどアタシは何回かしか告白された事ねえ」
「ん、んー? た、確かに……てかルミあんまり告白されないんだ……意外……」
それは男らしい男性と男らしい女性ではウケる層が違うという事だろう。
男性は自分よりもスペックの高い女性を恋人とするのに抵抗感を覚える者が多いという事もある(ルミが告白してきた男子をことごとくほぼノータイムで切り捨てきた事実も影響している)。
だが幼い頃より幼馴染に深い愛情を向けられてきたお陰で自身が男に好かれるタイプではない、いわゆる『女ウケ』する人間である事をルミは理解できずに首を傾げた。
「兎に角! ルミはどうか知らないけど庄田君はモテるの! ボーッとしてると誰かに取られちゃうよ!」
「んー……反撃がなぁ……」
「こんちゃー……ルミ居る?」
話が一段落した所でまさかの本人登場。
ルミの会話に耳をすましていたクラスの連中がざわめき、ルミと会話していた友人は「ヒョエッ」と肩を弾ませた。
「おー、なんか用か?」
「ああ、悪いけど今日ちょっと用事できたから先帰っといてくれ」
あんまりにもタイムリーなその発言に、友人の喉が再びヒュッ、と鳴る。
ルミは反撃の顔を睨みつけながら、「何でだよ」と凄む。
反撃は普段ならば「おー、分かった」と言われる場面のため、何故そんなに睨まれなければならないのかイマイチ理解できずに首を傾げるが、普通に「いや、ちょい放課後呼び出されてな」とこの場において色んな意味で最悪の台詞を言い放った。
「……女か」
「え、ああうん」
「告白か……!」
「それは知らんけども」
「告白だろ!」
「…………多分、そう……かなぁ?」
首を傾げてそう言う反撃の顔面にルミの箸箱が直撃した。
「おぁ痛えっ!? 何すんだ!」
「るせえ馬鹿! アホ! お前なんか知るか! どっか行け!」
「はいぃ!? ちょ、あ、お前がどっか行くのな!?」
机の上に弁当を置いたまま脱兎の如く何処かに走り去っていったルミをポカンと見て、先程までルミと話していた女子をチラリと見て、反撃は「……俺何かした?」と間抜け面のまま尋ねた。
尋ねられた女子は自分がルミの不安を煽りまくったのをひた隠し、「さぁ? そーなんじゃん?」と周囲の白い目を完全無視してしらばっくれていた。女は誰もが女優である。
「……ルミ探してくるわ」
「早くした方が良いと思うよー」
昼休み終了間際。体育倉庫裏。
「うわ反撃」
「なんちゅう所にいんだお前……滅茶苦茶探したぞ……」
校庭の隅にひっそりと建設された小さな体育倉庫の裏側、倉庫の壁と学校の敷地を区切るフェンスの隙間という学校の端の端のそのまた端くらいの所に身を潜めていたルミの前に立ち、ぜーぜーと息を荒げながらそう言う反撃。
最初はすぐに見つかるだろうと思っていたがまるで見つからず、昼休みの間ほぼずっと走り回っていたのだ。
膝に手を当てて息を整えながら、反撃は時間が惜しいとルミに頭を下げる。
「……悪い、俺が何かしたんだよな? 考えてたんだけどまるで分からん。俺は何したんだ? 教えてくれ」
「……別に。なんもねーよ……」
「……告白の事か?」
「…………」
倉庫の壁とフェンスに挟まったままブスッと膨れ面を見せるルミ。反撃はその頭をグリグリと撫で回し、ルミは膨れたままされっぱなしになっていた。
「ちゃんと断るよ。今までもそうしてきた。知ってるだろ?」
「知らなかった」
「え、マジで……?」
「…………だって反撃、用事があるってしか言ってなかった……」
「…………あー……」
それかぁ、と反撃はこの騒動の原因を知る。
つまり今までルミは自分の言葉をすっかり信用して、自分の用事の内容を探る事をしないでくれていたのだ。
反撃は申し訳無さと愛おしさを両手にたっぷり込め、ルミの頭をがっしがっしと撫でくりまわす。
ルミは相変わらずぶすくれた表情で無抵抗のままに髪をかき混ぜられたり頬を揉まれたりしていた。
「だいじょうぶだって。俺はルミが好きだよ。だからちゃんと断ってくるから」
「……じゃあ今日から恋人な」
「こっ、っ、おう。そうだな……」
反撃が瞬間的にギクリと身を固めるも、戸惑いながら首を縦に振った。
そうして頷いた時に授業開始五分前のチャイムが鳴り、ルミと反撃は慌てて立ち上がって教室に走った。真面目なのだ。何だかんだで。
「おかえりルミー。どーだった? 遅かったけど」
「……べっつに」
「エッチした?」
「してねーよ!」
「えー、つまんないなァ……じゃ、アレだ。ファーストキスだ!」
「あぁ? ンなもんとっくの昔だっての」
「え?」
「あ?」
その日の放課後、これまでずっと「付き合ってはいないけど放っておけない奴が居るから」と告白を断ってきた反撃は初めて「恋人が居るから」と言って告白を断った。
そしてそれは反撃やルミを狙っていた人間の間に瞬く間に広まっていったのだった。
とまあ
放課後。兎山家。
「ルミ、反撃君と何かあったでしょ」
「ん゛っふ」
家に帰ってきて手を洗ったルミは冷蔵庫からおやつの人参を取り出し、シンクで洗っている時に母親からそう尋ねられ割と激しくむせた。
「……何でンな事分かんだよ。何もねーよ」
「もしかして告白された? そう。あのルミがねぇ……もう十三だもんね」
「何もねーって言ってんだろうるせーな!」
割かし反抗期気味なルミの対応に余裕の態度な母は「チョット待っててねー」と言って夫婦の寝室に入り、一分程で戻ってきた。
「はいルミ! プレゼント!」
渡されたのはルミも一応知識で知ってはいる避妊具の入った箱(百五十枚入り)であった。
いきなり親から避妊具を手渡される精神的なショックは察して余りある。
現にルミは「んぎゃわっ」と汚い声を上げてその箱を放り投げていた。
「あっおまっばっ、むす娘に何渡してんだ!」
「えー? でもそれ子供の小遣いから考えるとかなり高いわよー? 良いから貰っときなさい」
「そういう意味じゃねえから!」
ルミが放り投げて地面に転がった避妊具の箱をヒョイと持ち上げ、母は「良い?」と幼い子供に言い聞かせるように呟く。
「ルミ、あなたの個性は兎ね……私と同じ」
「……オウ」
ルミの個性は母親譲りであった。母親はルミの緊張を解きほぐすかのようにルミの頭を撫で、耳の付け根を揉みながら言葉を続ける。
「あなたの個性の元になってる兎はね……とにかく性欲が凄いのよ」
「は?」
「従って母さんの家系も代々に渡って性欲過多で……」
「ヤメロォ!」
ルミは頭に乗せられていた母の手を振り払った。
しかし母は自身にも経験があるのか、落ち着いた顔で逃げるルミを追い詰める。
まだ幼いところの多いルミにとってこの状況は最早トラウマ必至である。かわいそ。
「ルミ、聞きなさい」
「嫌だ! そんな家系の闇の話聞きたくねえ!」
「ルミ」
普段より少しキツい口調に、逃げようとしていたルミの脚が止まる。
「その内に嫌でも分かるようになるから言っておくわ……私達にはね、エッチ無しで居られる『限界』があるの」
「…………エッチ……したくてたまらなくなるって事か?」
「そういう面もあるけど、そういう影響は少ないわね」
「なんだよ……」
安堵しているルミは気付かないが、母の言う影響は少ないというのは発情期であろうが無かろうが年がら年中色狂いであるという意味だ。
「けどねルミ……ずっとエッチしないと、恐ろしい事になるのよ」
「……恐ろしい……」
「そう……物凄く……」
「物凄く……?」
「……体調が悪くなるの」
「……………………は?」
呆気に取られたルミは間抜け面を晒すが、母は気にせずに言葉を続ける。
「私達はね、エッチと体調が物凄く密接に関係してるの。長い間ずっとエッチしてないと…………もう恐ろしいのよ。まず頭痛が毎日ガンガン頭を揺らすようになるわ。それからお腹が四六時中ギリギリ痛むようになって吐き気で眠れないようになるわ。目眩が不規則に襲ってきてまともな生活も送れないし、血流が悪くなって脚が破裂しそうなくらいパンパンになるし……」
「…………おぉう……」
「それを抑える為にお医者さんに行って生物個性系のホルモン調整剤を貰うんだけど、毎食後四粒も五粒も錠剤を飲んで、副作用で眠れなくなるし、肌は荒れるしお腹は下すし……それでも完全には抑えられないし、保険が利いても毎日何十粒って量の薬飲むとお金もどんどん溶けていくし、毎日イライラするし……」
「………………おぉぉう……」
思ったのとは全然違った。けど思ってたよりも本気でキツそうであった。
ルミは完全に副作用にいわゆる十八禁的なのを想像していた為に意地を張って「そんくらい耐えたらぁ!」と言うつもりであったが母親のガチな雰囲気に口を閉じてしまう。
母は愚痴っぽくなった空気を仕切り直すように何度か咳払いをし、「兎に角!」とルミに避妊具の箱を渡した。
「今日やれなんて言わないわ。別にいつでも良い。あなた達のペースで進みなさい……けど、今言った事は覚えておいて……ごめんね、こんな事言って」
「……うん」
「あ、やる時は絶対にソレ付ける事。私達ってどうも個性柄か知らないけど一回中に出されるとそれが癖になっちゃう事があるから」
「聞きたくねえそんな話!」
「かく言う母さんも十五歳の時にお父さんに中に」
「わあああ! 反撃んチ行ってくるから!」
「帰ってこれない時は連絡してねー」
「うるせえ! 誰がするかバーカ!」
「あ、やり方なんだけど反撃君にそれ渡せば多分全部してくれるわ!」
「バァーカ! 大嫌い!」
「アハハハハ」
逃げるように反撃の家を飛び出したルミは、そのまま隣の家の玄関のインターホンに指を当てた所で家から出てきた反撃の母と対面した。
「ルミちゃん」
「おばちゃん! 買い物?」
「ん、晩ごはん買いにね〜……で? もしかして今日ウチで食べたいの?」
「え」
「何かあったんでしょ? ルミちゃんの事なんて生まれたときから知ってるんだから、顔見れば分か…………」
柔らかくルミを見つめる反撃母の視線が、ルミの胸の下辺りに集中した。
疑問に思ったルミが下を見ると、当たり前であるが先程母に渡された百五十枚入りの避妊具がその手に握られていた。
「…………あ……」
「……んん……」
「や、ま……ちが、おばちゃ……」
「……ちょっと遠くのスーパー行ってくるわァ〜!」
「うわああああ!! 待って、待っておばちゃん!!!」
「あ、これ鍵ね」
「あ、ども」
「行ってきまーす! あ、二連撃は連れてくから気にしないでいいわよォ」
「わあああ!!」
反撃母に誤解された(一概に誤解とは言えない)事で消沈したルミはいつもの習慣で庄田家二階にある反撃の部屋に入り、ポス、とベッドに倒れ込んだ。
恐らく外に出たりした後そのまま寝転んだりしているのだろう。反撃の匂いと制汗剤の匂いがルミの身体を包み、ルミは薄いタオルケットを引き寄せて身体に巻きつけた。
「…………もう……いいや」
今日一日で反撃と幼馴染から恋人になり、母に家系の闇を聞かされたついでに反撃母に比べ自分の母が若い理由を強制的に知らされ、そして反撃母に避妊具を抱えてヤル気満々(誤解)な所を見られた。
いい加減そろそろやけっぱちになってきたルミは携帯のメッセージアプリを起動し、告白の返事をしているのであろう反撃に『話がある』『お前の部屋に居る』『はよこい』とメッセージを打ち込み、ついでに腹いせのようにスタンプをアホほど連打した。
「…………反撃……」
ルミは反撃の匂いに包まれながら、何やかんやでずっと握りしめていてぬるくなったニンジンをボリ、と噛んだ。
手持ち無沙汰なルミは避妊具の箱を開けてギッチリ詰まったその中身を取り出して眺めたり反撃の枕に顔を突っ込んで匂いを嗅いだりしていたが、携帯がブィィと震えた事で飛び跳ねるようにそれに飛びついた。
「反ッ」
情報サイトの宣伝メッセージだった。
「…………フンッ」
荒い鼻息を吹いて携帯を放り出すルミ。
しかしその携帯がもう一度震え、ルミは今度はそっと画面を確認する。
今度は反撃からのメッセージで、『断った』『走って帰る』と打たれていた。
ルミはそれに適当なスタンプを返し、ポシュ厶と再びベッドに寝転び、携帯をいじる。
「エッチ 初めて」とか「エッチ 毛」とか「コンドーム 使い方」とか、他人に見られたら五回は死ねそうな検索履歴を量産しながらルミは一夜漬けならぬ十分漬けを敢行する。
個人的に定期テスト勉強期間は遊び回って本番直前の休み時間に十分漬けに全てを賭ける学生は常にクラスに四分の一は存在していたが、あれは正直賭けるには分が悪すぎる気がするし今はそんな話をしている訳では無いので早々に反撃到着である。
「ルミー?」
「フォワッ」
正確性に著しく欠けるネット知識の詰め込みに夢中になっていたルミは扉の開く音と反撃の声に反射的に近くにあった避妊具の箱を投げる。
「おおっ!?」と声を上げる反撃を見ずにルミは素晴らしい速度で携帯のブラウザで開いていたタブを全消去し、履歴まで消した上に携帯の電源まで落とした。
その携帯をベッドと壁の隙間に突っ込んで、何でもないかのようにベッドに座り直した。
「…………えー、ルミさん? これは……」
「…………」
戸惑うようにそう聞いてくる反撃。
声音からしてその箱の中身が何なのかは知っているのだろう。
何で知ってんだよという気持ちとそれを投げ渡したのが自分であるという気持ちが複雑に、そりゃもう複雑に絡み合ってルミは反撃の顔を見ることができなかった。
「…………ルミさん? ……こんな物を、一体どこで……?」
「…………母さんに貰った」
「ホゥアッ!?」
まあそういう反応になるわな、とどこまでも冷静な思考をするルミは脳内の一割にも満たず、残りの九割は大体部屋に入ってきた反撃とこれから行われるであろう行為に対しパニックを起こしていた。
だがそこで、ルミの母の金言がふと脳裏をよぎる。
反撃に任せれば全部ちゃんとやってくれる、と。
元より物心ついた時から反撃にベッタリで、反撃という人間に全幅の信頼を置いているルミにとっては反撃に全てを任せるというのはほぼほぼ事故の無い安牌であるというのと同義であった。
故にルミは、ベッドにゴロンと転がって脱力し、反撃に全てを委ねた。
「……反撃……早く……」
「……お、おぉう……」
だがしかし目の前の男は動かない。
反撃は慎重、ないし臆病な男である事はよく知っていたルミはベッドからガバリと起き上がって反撃の腕を掴み、勢いよく反撃をベットの上に引き込む。
「おわっ、る、ルミ」
「反撃」
「はい」
「早く……」
「……はい。スミマセン」
グッ、と覚悟を決めた反撃はルミのスカートのホックを外し、チャックを下ろして脱がせる。
それを適当に畳んで床に置き、今度は襟にかけているワンタッチ式のリボンを外した。
羞恥に頬を赤く染めたルミはかなり興奮しているようでフッ、フスッ、フゥッ、と荒い息を吐いている。
反撃はルミのシャツのボタンを一つ一つフツリ、フツリ、と外しながら力が入って固くなっているルミの耳をクシュクシュとほぐした。
「ルミ、緊張しすぎ」
「フッ、フッ……ハッ…………キンチョ、してねえし」
「…………んー」
始めるまではとことん臆病なくせに始まったらもう止まらない反撃は、「ルミぃぃ〜っ」と甘えるような声で囁きながら、ルミの身体を抱え込むようにギュウッと抱き締めた。
緊張と共に軽く恐怖を感じていたルミはしばらく固まっていたが、反撃がルミの手を自分の背中に誘導したことで反撃をギュウギュウと力強く抱き締めた。
「……んんぅ、反撃……」
「ん?」
反撃を抱き、反撃に包まれて先程よりかはリラックスした表情のルミ。
そのルミはリラックスしているからこそ気がついた事を反撃に尋ねる。
「…………なんか慣れてね?」
「気のせいだろ。むしろどのへんが?」
ルミはベシッと反撃の腕を叩く。その腕はシャツのボタンが外れてできた隙間に手を入れ、ルミの背中に回ってブラのホックを外していた。
「このへんだよ」
「…………いや、生まれてこの方女性経験なんて一切無いよ?」
「今の間は」
「…………いやマジで」
「オイ」
「本当だって! 信じてくれよ!」
「胸揉みながら言ってんじゃねえ!」
ポヨポヨと掌でルミのまだささやかな膨らみを弾ませながらタワケタ事を抜かす反撃。
そんな反撃の態度に牙を剥くルミの背中を、反撃は宥めるように撫ですさる。ついでに残ったシャツのボタンも外していく。
やがて、ルミが何かを言う前に反撃の手によってルミは上半身を裸にされてしまった。
「んあ、反撃……!」
「はいはい、ルミ、落ち着いて……」
反撃は再び緊張してカチカチになってしまったルミの滑らかな肩に手を置き、ちゅ、くちゅ、と微かな水音を立てながら何度となく首筋にキスを降り注がせる。
「んっ……はん、げき、ンンッ……はんげき……」
「ルミ」
「反撃……もっと」
「はいはい……下、触るからな」
「ん……」
シャツに包まれていた滑らかな肌を撫でながら、反撃はルミのショーツの上から性器を上から下に、撫でるように幾度と無く指を往復させる。
まるでマッサージのように、少し力を入れて撫でられる度にルミは「ん、んふぅッ」と鼻息を荒くした。
「……っふ、ぅ……反撃……お前……っ、やっぱ慣れてんなァッ!? ッフ、ンぁぁっ!」
「初めてだって。今までずっと一緒に居たろ?」
「っそりゃ、そうッ……だけどっ! っふッ……クぅんっ!」
ズリッ、ズリッ、と湿ったショーツ越しに性器を撫でられる度にルミの肩から背中にかけてがビクンと跳ね上がる。
ルミの前髪の生え際に珠のような汗がプツプツと浮かんでいるのを見つけた反撃は、ルミの背中に回していた腕をベッドサイドにあるエアコンのコントローラーに伸ばし、温度を数度下げる。
それと同時に性器を虐めていた手で彼女の白い前髪を掻き上げ、その汗を吸い取るように額に口付けた。
汗の塩味とルミの甘ったるい体臭、そして制汗剤の苦味が反撃の口腔を満たす。
「っふ、んふぅっ……は?」
「うん、しょっぱい」
「……ッオォワッ!?」
声を出さないようにと必死に口を閉じて反撃の愛撫に耐えていたルミが、その変態じみた行為に泡を食って反撃を突き飛ばす。
「おわっ!? 何すんだよ」
「何、なにじゃねぇだろが! 今おまっ、汗舐めたのか!? あ、あ頭おかしいんじゃねえの!?」
自分の身体の匂いをシュンシュンと鼻を鳴らして嗅ぎながら、ベッドの下に落ちていた制服のシャツで必死に身体中の汗を拭うルミ。
その白く長い耳は身体の緊張を表すようにピンと立ち、ベッドの端まで突き飛ばされた反撃にすら見える程に力んでブルブルと震えていた。
「……ああ、そっか。制服って事はそういう事か」
反撃はルミの態度を察する。今の季節はまだ秋とは言えないような残暑厳しい季節である。
そんな中、クーラーもあまり効かないような学校で一日過ごしたのだから相応に汗はかいているだろう。
そして制服という事は勿論シャワー等も浴びていない。ルミは反撃の汗舐めによってそれを思い出したという訳だ。
「……ちょ、ちょい待ち、タンマ!タンマ……シャワー、一回浴びてくる……から」
そう言ってイソイソと汗を拭ったシャツを股に当て、ブラを胸に当てるだけ当てた状態でベッドから離れようとするルミに反撃が一応の説得を試みる。
「おーいルミ、俺は気にしない……」
「お前が気にするかとか知るか! ワタシが嫌なんだよ!」
説得はあえなく失敗に終わり、後には興奮した自分の性欲を持て余す反撃だけが居た。
「…………汗かいてんのは俺もなんだけど……」
一緒に入りたいが、あの精神状態では行ったら蹴り殺されるだろうな、と反撃は一人察し、ベッドに座り直す。
この状況でも膨らんだままの学生ズボンが、少しだけ情けなかった。
そして十数分後。
「…………オウ、出たぞ」
反撃はルミが帰ってきたら、入れ替わりで自分がシャワーを浴びるつもりだった。
が、その思いは部屋に入ってきたルミを見て霧散する。
「……着るもん、無かったっけか」
「……横がアタシん家だし、泊まる必要ねえもん」
ルミは、その褐色のスラリとした健康的な肢体をバスタオル一枚で包んだだけの姿で反撃の部屋に戻ってきたのだ。
成長期真っ盛りで少々筋張っており、女らしい柔らかさという物には多少欠けているルミの脚は、普段の堂々たる居住まいが嘘のようにキュッと内股気味に閉じられ、手はバスタオルを抑えるために片方が胸元、片方が股近くで布地を引っ張っている。
普段から使っているために随分と色褪せている青色のバスタオルに包まれたルミの身体は色々と我慢していた反撃には扇情的過ぎた。少なくともシャワーを浴びる気が失せる程度には。
「ルミ、コッチに」
「あ、ん、おう……」
濡れて少し面積が小さくなったような兎耳を毛並みに沿って揉むように撫でながら、反撃はルミをベッドに座らせ、そのままの勢いでベッドに柔らかく押し倒す。
「ぁ、はんげ……ン、んっ」
シャワーの熱と羞恥心で目元を赤らめながら反撃の名を呼ぼうとしたルミは、その口を反撃に塞がれて観念するように目を閉じる。
反撃は首元に回されたルミの腕を軽く撫でつつ、胸の前にあったタオルの端を引いてその身体を露出させた。
完全に裸になったからか、それともズレるタオルがくすぐったかったか、ルミがゴソリと身じろぎしたが反撃により強く唇を抑えられ、そちらに意識を集中する。
「ん……んッ、んプッ……ふぅん……!」
モソモソと腰をくねらせながら何度も顔の角度を変え、より深く繋がろうとするルミ。
そんなルミの口内に反撃がヌルリと舌を差し入れ、その感触にルミの肩が大きく跳ねる。
「んんッ!? ッん、ふ……ッ、プぁ……はぁ、反撃?」
小学校の頃からこれまでずっと行ってきた口を合わせるだけのキスではない、もっと深いキスにルミは戸惑いの声を上げる。
彼女も中学生だ。一応情報としてそういうキスがあるのは知っていたが、実際に反撃の舌の感触を味わって戸惑ったのだ。
「大丈夫……もう一回やるぞ」
「ウン……んあ、ん……」
外弁慶とでも言おうか、普段はどこまでも怖いもの知らずな癖してベッドの上では意外に臆病な兎をあやすように撫でながら、反撃はルミと舌を絡め、彼女の歯茎を撫でるように舐め回し、上顎を舌先でチロチロと擽った。
その度にルミはビク、ビクン、と腰を震わせ、か細い啼声を反撃の口の中に零している。
「ん……っふ……ぅンッ!?」
突如、ルミの背骨に快楽の電流が迸り、腰が大きく跳ね上がる。
が、反撃がその図体で押し込めるように体重をかけてくるので彼女は逃れることもできず、目尻から一粒、二粒と涙を流しながら反撃の首に回した腕に力を込め、恋人との口交にのめり込んだ。
ルミに走った快楽の正体は、ルミの性器に手を伸ばした反撃によるものだった。
シャワー前で既に相当興奮が高まっていた所にこれまでとは違う、肌を擦り粘膜を嬲る直接的な刺激が齎されたルミの秘所はその潤いを増し、ルミは一つ、また一つとポロポロ快楽の涙を流しながらグイグイと噛み付くように反撃の唇を食んだ。
性器の入り口に指を少し入れ、クリュクリュと優しく、絵の具を混ぜるようなソフトタッチで粘膜を擦ってやると、ルミは「ンッフゥウ……!」と鼻声を出しながら腰をビクビク震わせる。
「んっ、ふぅんっ、ンぁッ! はん、ハンゲキッ!」
唇を離した瞬間に大きく息を荒げながら、涙の溜まった瞳に恐れを乗せ、許しを請うように反撃の名を呼ぶ。
「よしよし、大丈夫だぞ、上手く気持ちよくなれてるな。偉い偉い」
「ふぅう……ク……ぅン!」
未知の感覚にいつになく気弱になっているルミの頭を撫でさすり、もう片方の手で膣道にある輪状の筋肉の筋をコリッ、コリュッといじると、その度にルミの身体が大きく震える。
「ァうっん、ハッ……アッ! ハンゲキ……」
「気持ち良いか?」
「ンっ、わかんねっ、わかん……ックあんッ!?」
トロンと力が抜けた、勝ち気な吊り目からポロポロと涙を零して喘ぎ続けるルミの白髪を漉くように頭を撫で、クッ、と頭を寄せて耳元で呟く。
「ゾワゾワする?」
「んッ……っふ……!」
「ルミ、腰ゾワゾワするか?」
「する……ッ、ゾワゾワ……してるッ! ッふぅっ……!」
膣道を責める手はそのままに、ヘタリと力の抜けた兎耳の付け根をもう片方の手でコリコリとマッサージしてやり、反対側の耳に口をつけ、歯は立てずに唇だけでハムハムと甘噛する。
「んぁ、ンンッ!」
「大丈夫か? あんまり中を擦らないようにしてるけど、痛くないか?」
「聞ッ……く、なァ……馬鹿ぁ……!」
パルパルパル、と動こうとする兎耳を唇だけで抑え込み、フワフワした内耳の毛によだれを垂らし、ジュッ、と音を立てて吸い込むとルミは先程まで声を抑えつけていたのが嘘のように、「んやぁっ!?」と大きな声を上げ、ヒクヒクと全身を震わせた。
「ルミ」
「あ、あっ、や……そりぇ、ヤぁ……!」
か細い、明朗快活な普段からは考えられない程に細い声で虚空に喘ぎ声を漏らすルミの、ジュクジュクに湿らせた側と反対側の耳毛をふやふやと弄り回すと、そのクシュクシュという音に驚いたルミの感情が、反撃の腰に沿わされたふとももがビクビク震える事で伝わってくる。
「んんッ」
「ルミ、気持ち良いか?」
「わ……っ、かんなァ……ッ!」
「どんな感じ?」
ビクッ、ビクンッ、と震えるルミの胸から腰を体重で押さえつけ、左耳を咥えてヂュッ、ヂュっと水音を響かせ、右耳の耳毛をフワフワと擦り、耳穴のふちを柔らかくなぞるように指を動かし、グシャグシャの洪水状態になっている性器を下手に摩擦しないように、圧迫を中心にして弄り回す。
「やぁ……あっ、あ!」
勿論、そのような三点攻めを行われたルミは、まるでバネ仕掛けのように腰を跳ねさせるが、反撃の大柄な四肢に押さえつけられ、思うように衝動を発散できず涙を零した。
「ルミ、どう?」
「やッ……だぁ!」
「どんな感じ?」
「やぁ……!」
「嫌なの?」
「んッ、ンッフッ! あぁ、やぁぁ……」
腰をビクビクと痙攣させて涎を零しながら涙を流す。そんなルミを見て、手と唇を耳から離し、性器を圧迫する指を止めて涙の溢れた筋をチュッ、チュ、と唇で拭い取った。
「はぁ、はぁァ……ハンゲキ……」
「ん」
「ん、ンッ……チュ、ふぅっ、ん……ハンゲキぃ」
こちらを向いて口を小さく開いて可愛らしい舌を覗かせ、名を呼んでキスをせがむルミに反撃は望むものを与える。
ひとしきり舌を絡ませて唾液を交換した後、感触を忘れないように、と性器に入れた指をやわやわ動かしつつ、反撃は再びルミの頬に唇を落とした。
「どんな感じだった?」
「あ、ア、ンッ……腰の、奥がぁ……ゾゾッてなって、なんか……」
「なんか?」
「……その、ゾゾッて感じのやつが、外にウワーッてなって溢れる、感じ……」
「そっか……気持ちよかった?」
「……わかんね」
真っ赤に染めた顔をプイと背けたルミの顎を軽くつまみ、唇を重ね合わせる。
何度か舌を絡ませあい、最後にチュッ、チュ、と触れるだけのキスを繰り返してから汗に濡れ、乱れた前髪を梳く。
「……ルミ、そろそろ……いいか?」
「……んん」
キュッと軽く握り拳を作り、顔を反らして言葉少なに催促をするルミの頭を撫で、耳を弄り、胸の先をクリクリといじめながら、片方の手でサッとゴムを着用する。
「ゆっくりいくか?」
「痛えんだよな? ……一気に、やってくれ……」
「分かった……もしも、あまりにも痛すぎたら蹴り飛ばしていいからな」
「……しねえよ」
クチュ、とゼリーで濡れたコンドームの表面をルミの性器にあてがい、何度かトチュ、ツチュ、と亀頭の中ほどまでを抜き差しし、それからルミの腰のくびれを掴む。
「いくぞ」
「おう」
「力抜いて」
「抜いてる」
「緊張してる?」
「してねえ」
「耳がビビってるけど」
「ビビってねぇ! さっきからしつけえぞ!」
「ハイ挿入っ」
「オ゛ッ!?」
会話によって気を紛らわせたその瞬間にルミの処女を奪い去る。
グシャグシャに濡れそぼった膣道を男性器が通り、彼女の処女膜を軽く千切る。
ブチブチッという、コンドームが破れたのに似たような感触が男性器に伝わり、入ったよ、と反撃がルミに言おうとした瞬間……その脇腹にルミの膝が直撃した。
「ゴボッォォア!!?」
「痛ッッッてェェェ!!!! アッ……がッ、痛ッてえ! アッッ……ッだァァァ……!! ガァっ、マジで……痛え……! うわ、血だ! 血が出た! うぉ、うおぁ!?」
唐突に真横から刺激が来たことによりベッドから突き落とされ、床に頭をぶち当てた反撃と、予想を遥かに超える痛みと出血量にどうしても動揺を隠せないルミ。
ワタワタと机の上のティッシュを取ろうとするが、身体を動かして他人のベッドにこれ以上血を流すのも憚られてまごまごしているルミを床に横たわりながら見ていた反撃は、自分の男性器がシナシナと力を失っていくのを感じて嘆息し、コンドームをペッと外した。
「……ルミ、とりあえずバスタオル使ってくれ」
「反撃! テメェもうちょい入れるときなんかあんだろーが! あんな不意打ちじゃなくてよ!」
「……そだな、今痛感してるよ……イテテテ」
少し瞳を潤ませて「う〜……」と小さく唸りながらバスタオルを股間に押し当てるルミを立たせ、内に染みる前にベッドのシーツを剥ぎ取る。
「ルミ」
「……アんだよ」
初体験が完全に失敗に終わり、キュッと不機嫌そうに口を固く引き結んでいる彼女の肩を軽く抱き寄せる。
「一緒に風呂、入ろう」
「……ん」
若干むくれながらも素直に頷くルミの腰を抱き、ヨタつきながら歩く彼女を支える。
「痛いか?」
「さっきほどじゃねえけど」
「無理はすんなよ」
「……気にしすぎだっつの、ばーか」
狭い家である。モタモタ歩きつつもすぐに辿り着いた風呂場で、ルミの性器の少し上……ヘソのちょっと下辺りにシャワーを浴びせ、流れる水で血を洗う。
まだ怪我をしたばかりの性器に直接水を当てるのはやめた方が良いだろうという反撃の判断である。
「……」
しばらくの間は今日一日の残念っぷりに不満げにむくれているルミであったが、反撃がそれをあやすように胸の下から性器の……淫核の上辺りまでの腹を揉み込むようにマッサージし始めると、その顔もじんわりと変わり始める。
何せ、気持ちよかった。
反撃の、ルミのそれより二周りは大きい掌は、拡げた親指から小指まででルミの腹の三分の二を包む。
そんな大きく、そして暖かい掌でシャワーの水流に沿うように、愛情を感じる柔らかい手付きで撫で擦ってくるのだ。
ハッキリ言って、溜まったものではなかった。
「や、ん、やっ、ぁ……」
「
「……んっ、んっぅ、はっ……あ!」
「
「んっ、んっン、ふんぅっ!?」
臍の下辺りから膀胱辺りを伸す様にグッ、グイッ、と押される度、ルミの肩から尾骨にかけてがビクッ、ビクンッ! と痙攣する。
感じやすいな……等と呟きつつも手を止めない反撃は、もう片方の手で脇腹の肋骨のラインを撫でたり、彼女の顎をキュッと持ち上げて唇を奪ったりと、性感と興奮度を下げないように勤しんでいた。
「んっんっ、ンッ……アんッ! ハンゲキ、おなかッ、おなか、やめっ……ろぉ……!」
「気持ちいい?」
「あッ、ンッ……ゾワゾワ、ザワザワっ、するから……!」
乏しい……というか十三歳相応の性知識しか持っていない彼女は今自分が
「……ルミ」
「あっあっ……ンッ、は、ハンゲキ……?」
「ルミの顔見てると、スゲー虐めたくなるんだよな」
「へっ……!? わ、待っ、待あっアッんやぁっ!? んぶっ!」
上から抑え込むように唇を奪った反撃は、片手で腹の上からクンッと親指で子宮を押し、もう片方の手で血の流れきった膣道に指を入れ、入り口のプツプツとした突起がある部分をグリッと腹側に膣を押し込む。
「んっ!? ンック……んゥ〜〜〜〜!!」
反撃に与えられた快楽に一切耐えられず、腰をガクガクと傍目から見て普通に分かるぐらいに震わせて絶頂したルミ。
「ンッ……ンふ……っぷぁ」
体力を使い果たしたか、グテ……と全身の力を抜いて反撃に預けるルミ。
「気持ちよかったか?」
「………………」
そう聞かれた彼女は、水に濡れてものすごく細くなった兎耳をフワリと軽く揺らし、呆けた顔でカクリと頷いた。
「ハンゲキ……?」
「ん、どうした」
「……もっかい、やって……今の、ギューってやつ」
そう言いながら、力の抜けた腕を彼の首に回して引き寄せようとする彼女に抗わず、再び深い口付けを始める。
「んっ、ぷぁ……」
「……なぁ、ルミ? 俺も気持ちよくなりたい」
「ん? ……ヤダ。あれイテーもん」
「……ッスか」
「あんなん、好き好んでやる奴の気がしれねーよ」
フンスと鼻息を荒げながら両手を広げ、当然の如く奉仕を要求する彼女に呆れた笑みを見せつつも再び唇を重ね合わせる。
「……けど、いつかはやろうな」
「……えぇー、ヤだ。もう二度とやんねー!」
「ええ!?」
九年後。反撃、ルミ、二十二歳。
とある街中。昼時。
「失礼、たった今現着したのですが、状況を教えて頂いても」
「うん? ……ああ、そうか。ご苦労さん」
とても微妙な顔で歓迎された事に首を傾げつつ、反撃とルミの二人はそこそこ高いビルに登って何やら大声で喚いている男を確認する。
「オラァ! 誰でもいいから掛かってこいやオラァ! 俺はどんな奴の挑戦でも受けるぞコラァ! できれば女お願いしますオラァ!」
「何あいつ、もうぶっ飛ばしていいか?」
「いえ、それが厄介な個性持ちでして……」
既に現着していたヒーローは参ったと言いたげにヴィラングループの立て籠もっているビルを物陰から眺めている。
そんなヒーローの煮えきらない態度に首を傾げる反撃は、その心を問う。
「と、言いますと?」
「アイツらは三人組みたいでな……一人が『空気障壁』の個性、もう一人が『ぬめる』個性で、最後の一人が相手を分析する個性で……」
「大した事ねえな! 全部蹴り飛ばしゃ関係ねえ!」
「ちょ、ヤメっ!!!」
情報提供をしてくれていたヒーローの言うことを最後まで聞かずに飛び出していくルミ。
若者らしいと言えばらしい、その無謀な行動は、自身の実力とパートナーへの信頼故であるが……それは間違いなく周囲を心配させるような危なっかしいもの。
「オラ! 大人しくお縄につけっての!」
そして、そのツケを払う時間はその後直ぐに訪れる。
「お! 女だ! ヨシ! しかも新進気鋭のラビットヒーローミルコ!」
「あ? アタシだったらどーしたよ?」
ヴィラン三人組の一人……銀縁メガネをかけたハゲが、眼鏡と頭部をキランと煌めかせて、叫んだ。
「ミルコの初体験は! 十三歳ッ!!!!」
「十三歳ッ!?」
「ヒョー! 流石ウサギだな!!」
「…………は?」
唐突に発せられた言葉と、それに盛り上がる三人組に一瞬ポカンとするルミだが、その言葉の意味を察し……ボッ!! と途端に赤面した。
……そして、飛び出したミルコの後を追う反撃と元居たヒーローが、ヒソヒソと語る。
「相手の分析をするヴィランだが……その……内容が」
「ソッチ系ってワケすか……」
まさかまさかの個性に、ガックリと反撃が肩を落としている間にも
「経験人数は一人ッ!!!」
「オイオイオイオイ!! あの見た目で純愛かぁ!?」
「いやまだレイプ経験の可能性があるぜ!!」
「オイコラ止めろテメーらぶち殺すぞ!!!」
怒り狂ったルミは凄まじい勢いで特攻するが、怒りに飲まれた彼女は簡単に敵のヌメるトラップに引っ掛かり、三人組が居るビルから滑落する。
「人生通算セックス回数
「じゅ、純愛ですかぁぁぁ〜〜〜っ!?」
「オイオイ!! これ男の方が一日四回以上ヤッてる計算になんぞ!? 絶倫野郎じゃねえか!! しかもなんつーテクニシャンだっ!!!」
「殺す! ぜってえ殺すっ!!!」
隣りにいたヒーローから物凄く……物凄く生暖かい視線を感じながら、落ちてくるルミの足を掌で受け止め、衝撃を蓄積する。
反撃の個性は衝撃の吸収、そして好きなタイミングでの開放。
……つまり、ビルの上から落ちてきたルミの落下分の衝撃を、トランポリンのようにそのまま彼女に返せるという事である。
「中出し回数ゼロ! 妊娠回数ゼロ! オナニー回数二十三回……二十三回!? 少なッ!! 最後にセックスしたのは二時間前!! オナニー回数こんだけってことはマジであの回数イカされたのかっ!? すげー!!!」
「マジでセックスしかしてねーんじゃねえか!! すげーな!!」
「いやぁマジかよ大当たり……あ、やべ」
ビルの上で女の情報を元に盛り上がっていた三人の変態は、ドンッ!! という重い音に顔を向ける。
……そこには、反撃の能力による大跳躍でヌメっているビル壁に一切触れることなく屋上に辿り着き、上に張られていた障壁を一蹴りで砕いたルミであった。
「……アタシは言ったよなぁ?」
『……な、何をでしょうか……』
ドスの利いたルミの声に、思わず返答がハモる三人。
その三人に、人を食い殺すような笑みを浮かべたルミは、片脚の踵をガヅッ!! と床に叩きつけた。
「……絶対、殺す……ってなァッ!!」
『……お、お助けェェェ!!!』
断末魔の叫びが響き渡るオフィス街にて、ビルの扉がヌメって開けられない事を確認した反撃は隣のヒーローに「どうします?」と尋ねる。
「……いや、どーしようも……あ、隣のビル伝いに行くかな……しかし、若いねぇ、二人共……」
「……ハハ……」
反撃は乾いた笑いを漏らすに留めた。
……尚、この一部始終はヴィラングループが生配信しており、ルミは次年度の非公式ランキング『エロいヒーローランキング』にて堂々一位を獲ってしまう……が、この動画のお陰でルミのこの三人組に対する過剰暴力に対し情状酌量が為され、彼女は暫くの間苛立っていた。
「だぁークソが! 反撃!」
「ほいよ」
「ン! ヤんぞ!」
ストレスの分セックスの回数も増えた。
兎山ルミ
今回の話により原作の時期(二十七歳)だと『推定セックス回数一万六千回オーバーの方』とか『十万回イッた兎』とか『雑魚マン』とかネットで散々言われるようになってる。
絶頂回数には前戯によるものも含まれているので決して雑魚マンではない。違うったら違う。
ちなみに、そういう評価については最初は気にしてたが最近はもうどうでも良くなっている。最近の悩みは女性ヒーロー同士の会話とかになると大体夜の性活を吐かされる事。
ヴィラングループ三人組(四人)
オナニー回数や妊娠回数に性感帯、果ては性犯罪を行った回数なんかまで好きに閲覧できる『エロステータス』の激ヤバ個性を持つ男を中心とした四人組のグループ。
エロステータスの個性を使えば色んな女性や男性の弱みを握って好き勝手に出来るだろうに、『他人の性事情をお天道様の下で好き勝手暴露したい』という救えなさ過ぎる性癖を持ってしまった為に結果的に被害が少ないというガチの変態達。他の三人は同好の士。
作中には出ていないが空を飛べる男が好き勝手やった後の回収係と録音録画を担っている。この男だけは捕まえられていないが、この男単体ではもはや脅威には成りえないだろう。全員童貞。