そして否応なしに戦いに巻き込まれた尊とレイナーレは……!
僕は突然、体の機能が全て停止したような感覚を覚えた。そしてその後しばらく意識を失ったらしい。
気がついた時、僕は隣にいるレイナーレが静止した状態でピクリとも動かないのに驚愕する。
「レイナーレっ!! レイナーレっ!! どうしたのっ!!」
僕は必死で彼女の名を呼び、その体をゆするも、彼女は全く微動だにしない!
「そ、そんなっ……!! どうしちゃったのっ!!? レイナーレっ!!」
僕は愕然とし思わず泣きそうになる。その時、ディヴェリクスの声が響く。
「焦るんじゃねえ! お前とレイナーレはいわば一心同体の関係だ。お前の神器は彼女への想いをエネルギーに発動し、彼女はお前に乳首を攻められる事で強力なエネルギーをその乳首から発する。なら、どうすれば良いか考えてみな!」
そうか! 僕とレイナーレは一心同体で僕と彼女は支え合う存在……! それなら……!
何をすべきか悟った僕は、目の前に張っているレイナーレの張り詰めた大きな乳房に食い込んでいる黒の胸当てに指をかけて、それをビリイッ! と引き剥がす。
静止したままのレイナーレの大きな乳房がぶるるんっ! と弾むように大きく揺れて、彼女の常に僕を魅了してやまない、カチカチに硬く勃起して、ビン!と突き出している卑猥極まる大きな乳首が丸出しとなる。
「えっ!!」
「まあっ!!」
「いや……これは……」
周囲から驚きの声が上がるが、僕にそれを気にしている余裕などない。僕は丸出しにしたレイナーレの大きな乳首を指で激しくひねり回しながら、愛しい彼女に呼びかける。
「レイナーレっ!! お願いっ!! 目をっ!! 目を覚ましてっ!! 僕のレイナーレっ!!」
僕は思わず泣きながら彼女の乳首を無我夢中で激しくひねり回す。すると……
「うっ……ううんっ……えっ!! ちょ、ちょっとミコトっ!! はひいいいいっ!!!ど、どうしちゃったのっ!!? ふひいいいいいいっ!!! ああああああああーーーーーーーっ!!!」
レイナーレは絶叫と共に目を覚ました。
そして……
「まあ、レイナーレさんと尊くんには驚かされましたが……」
「ああ……普段ならこれで思い切り盛り上がりてえ所だが、さすがに今はそういう訳にはいかねえな……」
ミカエル様とアザゼル様がそう真剣な表情で語り合っている。そう、僕たちはあの時には無我夢中で他の事は目に入っていなかったのだが、事態は大変な状況を迎えていたのだ。
「さっき、気がついた時にはすごく驚いたけれど……今のこの状態を見ればあなたがどんなにショックだったかは分かるわ……私だってあなたがこんな状態になったら気が気じゃないもの。恥ずかしい事は恥ずかしいけれど、ありがとう……私を起こしてくれて」
「うん……」
周囲を見回しつつ語るレイナーレと僕。そう、今、僕たちの周囲は動いている者と停まっている者に分かれている。動いているのは僕と、僕が恥を忘れて目覚めさせる事が出来たレイナーレに、アザゼル様にミカエル様、そしてサーゼクス様にセラフォルー様、グレイフィア様、グレモリー先輩、さらにゼノヴィアさんと兵藤と木場と鬼崎だ。
一方、停まっているのはカラワーナさんとミッテルトちゃん、そしてアーシアさんと姫島先輩、搭城、さらには支取会長までも停止状態になっていた。
三勢力の長の方々は全員動けている。じゃあ、それ以外で動けている者と停まっている者がいるのは一体……!?
そこでディヴェリクスの声が響く。
「お前とあの赤龍帝と白龍皇は、どれもドラゴンを宿す者、あの金髪の小僧は禁手(バランス・ブレイカー)、つまり神器の能力を最高度に高めた状態に至って、イレギュラーな聖魔剣を持っていたからだろう。あの青髪の娘は聖剣デュランダルを直前に発動したから、あの赤毛娘は……おそらく【滅びの力】ゆえだろうな。あの鬼崎って魔人の小僧は……分からねえな……」
【滅びの力】……ドーナシークさんを消滅させて、僕の愛しいレイナーレを消し去ろうとしたあの憎い忌まわしき力か! そして鬼崎……アザゼル様も仰っているようにやはり彼はただ者ではない!
とにかく、早く状況を把握して、カラワーナさんやミッテルトちゃんを助けないと!
そうなのだ。まだ何が起こっているのかは分からないが、とにかく大変な事態が起こっているのは間違いない。
「総督閣下! 一体何が起こっているのでございますか!?」
「おい! 一体何なんだよ!?」
レイナーレと兵藤が同時に問いを発する。アザゼル様は一言で答える。
「テロだ」
「テロ……」
「おい、何を言ってるんだよ? 俺には何だかさっぱり分からないぜ」
レイナーレが驚きで目を見開き、兵藤は苛立った様子を見せる。するとアザゼル様が窓の外を指さす。
「見てみな」
窓に近付く僕とレイナーレ、兵藤。するとカッ! と突然閃光が眼前で広がった。驚く僕たち。さらに近付いて窓の外を見ると、校庭から空中に至るまで人影らしきものが見える。それは大勢の黒いローブを着た魔術師のような姿の者たちで、こちらに魔力の玉のようなものを放っている。
アザゼル様が僕とレイナーレ、そして兵藤の間に立って説明される。
「いわゆる魔法使いって連中だな。悪魔の魔力体系を伝説の魔術師【マーリン・アンブロジウス】が独自に解釈し、再構築したのが魔術、魔法の類だ。放たれている魔術の威力から察するに一人一人が中級悪魔クラスの力を持ってやがりそうだな」
【マーリン・アンブロジウス】……中世イギリスの伝説の魔術師……
外の光景とアザゼル様のお話から、とにかくこの集団が強大な力を持った者たちの集団であり、しかもそれがもの凄い数であるという事が分かり、僕は思わず冷や汗を流す。兵藤もさすがに驚いた表情を浮かべている。
「要するに人間が悪魔みたいな力を振るえるって事だ。もちろん、悪魔にもできない事も可能らしいがな。神器所有者が魔術を覚えたりしてるととても厄介だぜ。ま、奴らの攻撃はこの校舎には被害を出せねえさ。俺とサーゼクスとミカエルで強力無比な防壁結界を展開してるからな。おかげでここから出られねえが……」
アザゼル様の説明で大体の現在の状況は理解出来た。そこで僕は何を置いても聞きたかった事を尋ねる。
「それで総督閣下、先ほど突然時間が停止したような状態になったのは一体?」
そう、カラワーナさんやミッテルトちゃんたちはいまだにピクリとも動かない状態が続いているのだ。アザゼル様のお話では命や健康に別状はなく、いずれ元に戻るとの事だが、敵の大軍が攻め寄せている状況で僕もレイナーレも気が気ではない!
「そうだ! これは一体どういう事なんだ!?」
兵藤も僕の後にすぐに続いて聞いた。彼としても仲間たちが動かなくなってしまい、この状況は気が気ではないのだろう。
「おそらく、力を譲渡できる神器か魔術でハーフヴァンパイアの小僧の神器を強制的に禁手状態にしたんだろうな。一時的な禁手状態だろうが、それでも視界に写したものの内部にいる者にまで効果を及ぼすとはな……あのハーフヴァンパイアの潜在能力が高いって事か。ま、俺たちトップ陣を停めるにしては出力不足だったようだがよ」
【ハーフヴァンパイアの小僧】……?
僕とレイナーレにはもちろん誰の事やら分からないが、兵藤はそれにすぐ反応する。
「マジかよ! じゃあ、旧校舎の部室に置いてきたギャスパーが敵に拉致されて利用されたってのか!?」
そう兵藤は叫んだ。彼の言葉を聞いて僕は思い出す。
そういえばさっき、アーシアさんが【ギャスパーくん】とその名を挙げていた。つまり彼は兵藤たちと同じオカルト研究部の生徒で、ヴァンパイアと人間のハーフで、時間停止の力を持つ神器の持ち主だという事か……凄いスペックの持ち主……!
「ギャスパー……ハーフヴァンパイアの子ですって? ミコト、あなた、その子の事を知っているの?」
レイナーレが尋ねてくるが、僕は全くそれに該当するような人物を知らない。
「ううん……僕は初めて聞く名だね。まあ、もちろん素性は一般には隠していると思うし、学年が違えば知らなくても不思議はないと思うけれど……」
レイナーレは首をかしげる。
「そうなの? でも、ハーフヴァンパイアなら結構、普通の人間とは違った雰囲気を持っていると思うし、ミコト、あなたは結構、勘が良いから会っていれば気付きそうなものだけれど……もしかしたら、何か事情があるのかもしれないわね」
その時、僕たちの傍にグレモリー先輩がやって来て叫んだ。
「ギャスパーは旧校舎でテロリストの武器にされている……! どこで私の下僕の情報を得たのかしら……? しかも、大事な会談を付け狙う戦力にされるなんてっ! これほど侮辱された行為もないわっ!」
全身から怒りの紅いオーラをほとぼしらせているグレモリー先輩。僕はそんな彼女を見つめつつ思う。
グレモリーの一族は特別に眷属への情愛が強い。それはグレモリー先輩、今のあなたの姿を見ていても感じます。ですから、お願いです! 先ほどお伝えしたように理解してください! あなたたちがこれまで憎んでいた堕天使だって悪魔や人間と同じく感情や感覚があって、愛する者がいて、それを失えばどれほど悲しいのかという事を……!
しばらくしてアザゼル様がグレモリー先輩のもとへと近づきつつ言った。
「ちなみに、この校舎を外で囲んでいた堕天使、天使、悪魔の軍勢も全部停止させられているようだぜ。全く、リアス・グレモリーの眷属は末恐ろしい限りだ」
アザゼル様はグレモリー先輩の肩に手をポンと置くが、彼女はその手を凄い勢いで払いのけた。
「!!!」
僕も、そしてレイナーレも目を見張る。グレモリー先輩からすれば気が立っているところに茶化されたように感じた、という事なのかと思うが、ちょっと無礼が過ぎるのではと思う。さっきのミカエル様への態度といい、彼女たちグレモリー眷属の面々は異種族に対する態度を改めるべきだと改めて感じる。
しかしアザゼル様はそんな彼女の態度に怒る事はなく、嘆息しながら払いのけられた手を窓の外に向ける。すると、外の空に無数の光槍が現れ、アザゼル様が手を下げると同時に光槍が雨のようにそこにいる魔術師たちに降り注いだ!
魔術師たちは慌てて防御障壁を展開するが、アザゼル様の光槍はそれをなんなく貫く。
「ぐえっ!!!」
「ぎゃあああっ!!!」
魔術師たちは一瞬のうちに一掃され、校庭に彼らの死体が無数に散らばる。そしてその様子を唖然として見つめる僕とレイナーレ、そして兵藤……
「さ、さすがアザゼル様……!! なんてお強いの……!!」
レイナーレが思わず驚きと感嘆の混じった声を上げ、兵藤も目を見張っている。だが僕は一瞬のうちに魔術師たちを殺戮したアザゼル様が全く平然とした様子でおられるのに恐怖を覚える。
アザゼル様はグレモリー眷属たちとは違って異種族に対する偏見はなく、グレモリー眷属に追われた僕たちを温かく迎え入れてくださった情の深い方。しかし、向かって来る敵にはこのようにためらうことなく平然と殺戮できるのだ。
これが……これが戦争というもの……!
僕は隣でアザゼル様の強さに感嘆しているレイナーレを見つつ、愛しい彼女をこのような目に遭わせたくない! 和平が結ばれてこの世界が平和になって欲しいと願い、同時に彼女を何としても守るという決意を新たにする。そして僕は彼女の肩を強く抱く。
「あっ……ミコト……、……」
レイナーレは少し驚いた風であったが、彼女は黙って僕に身を寄せる。おそらくこの場面でいきなり自分の肩を抱いた僕の気持ちを察してくれたのだろう。
一方、アザゼル様は現在の状況について僕たちに説明する。
「この学園は結界で覆われている。それにも関わらず、こいつらは結界内に出現してきた。この敷地内に外の転移用魔方陣とゲートを繋げている奴がいるって事だ。どちらにしても【停止世界の邪眼(フォービトウン・バロール・ビュー)】の効果をこれ以上高められると、俺たちも誰か一人くらい停止させられる恐れがある。この猛攻撃でここに俺たちを留まらせて、時間を停めた瞬間に校舎ごと屠るつもりだろう。あちらは相当な兵力を割いてきているようだぜ……」
【停止世界の邪眼】……! それがその捕らわれたハーフヴァンパイアの持つ神器の名か! それにしても……!
窓の外を見ると、校庭の各所で魔方陣が出現し、それが怪しく輝き始める。そこから次々と、先ほどアザゼル様によって屠られた魔術師の集団と同じ姿の者たちが現れる。まさに【人海戦術】!
和平に反対し、この世界を破壊と混沌に陥れる。それを目的とする彼らテロ組織にとって、この和平会談の襲撃はその目的を達成する絶好のチャンスに違いない。ここで三勢力のトップが皆、倒れるとなれば間違いなく世界は大混乱に陥るから。
だが、強大な力を持つ三勢力のトップをまとめて打ち破るというのはとてつもなく至難の業だ。だから、一切、仲間の損害を考慮する事なく人海戦術に打って出ているのだ。目的のためには平気で仲間をいくらでも犠牲にする。そんなテロ組織に僕は心からの恐怖を覚える。
「さっきからこれの繰り返しだぜ……俺たちが倒しても倒しても現れやがる。しかし、タイミングといい、テロの方法といい、こちらの内情に詳しい奴がいるのかもしれないぜ。案外、ここに裏切り者がいるのか?」
アザゼル様の言葉に、僕はこの場にいる【彼】に思わず目をやる。その【彼】は全く平然とした様子だ。だが、【彼】がその【裏切り者】だとすれば、普段の言動からも、そして先ほどの【彼】の言葉からしても至極つじつまが合うのだ。もちろん、何の証拠もないし、ここで口に出すなどできないが……
「ミコト……? どうしたの?」
レイナーレが僕の様子がおかしいと感じたらしくそう尋ねた。僕はいざという時の為に、彼女だけにはそれを伝えておいた方が良いと思った。
「レイナーレ、これは絶対に誰にも言わないで」
僕は彼女に小声でささやき、顔を寄せてそっと耳打ちする。
「えっ……!? 分かったわ。私も注意するわ」
レイナーレの顔に驚きが広がるが、すぐに彼女はそううなずいた。
「ここから逃げられないのかよ!」
「逃げねえさ。学園全体を囲う結界を解かねえと俺たちは外には出られねえ。だが、結界を解いたら人間界に被害を出すかもしれねえだろ? 俺は敵の親玉が出てくるのを待ってんだよ。しばらくここで籠城してりゃ痺れを切らして顔出すかもな。早く黒幕を知りてえもんだ。それに下手をして外に出て大暴れすりゃ、敵の思う壺かもしれねえって訳だ」
苛立って叫ぶ兵藤に対してアザゼル様は少しも動ずる事なく悠然と構えている。流石だ!
「アザゼルが言うように、我々首脳陣は今、相手の下調べ中で動けない。だが、まずはテロリストの活動拠点となっている旧校舎からギャスパーくんを奪い返すのが最初に果たすべき目的となるね」
サーゼクス様の言葉。確かに先ほどアザゼル様も仰っていた通り、もしその時間停止の能力で、トップの方々が停止状態にされてしまったら一大事だ!
「お兄様、私が行きますわ。ギャスパーは私の下僕です。私が責任を持って奪い返してきます」
グレモリー先輩! やはり自分の眷属に対する思いは強い!
「言うと思っていたよ。妹の性格ぐらい把握している。しかし、旧校舎までどうやって行く?この新校舎の外は敵の魔術師だらけだ。通常の転移も魔法で阻まれる」
「旧校舎……私たちの根城の部室に未使用の残りの駒である【戦車(ルーク)】を保管していますわ」
「なるほど、【キャスリング】か。普通に奪い返しに行くのは敵も予測しているだろうけど、これなら相手の虚を突ける! 何手か先んじ得るね」
サーゼクス様は感心した様子で妹を見つめた。
「総督閣下、キャスリングとは?」
僕の質問にアザゼル様は即答される。
「【悪魔の駒】の【王(キング)】と【戦車(ルーク)】の位置を瞬間的に入れ替えるという技だ。すなわちこの場合、リアスの駒は【王】、そして目的地には【戦車】がある。リアスは【戦車】と自分を入れ替える事で瞬時に目的地に移動できるという訳だ」
「なるほど……」
すなわち、グレモリー先輩は外に出て行く手を阻もうとする魔術師たちと遭遇するのを避けて、瞬時に敵の中央部に移動できるという事か! これをされたらさしもの敵たちも驚くだろう。アザゼル様の言われる【黒幕】も驚いて出てくるかもしれない。
「よし! だが、一人で行くのは無謀だな。グレイフィア、【キャスリング】を私の魔力方式で複数人転移可能にできるかな?」
「そうですね。ここでは簡易術式でしか展開できそうもありませんが、お嬢様ともう一方なら転移可能かと……」
【お嬢様】? 義妹に対して?
サーゼクス様とグレイフィア様のやり取りを聞いて僕は奇妙に感じたが、まあ他人の事だし、そんな事はどうでもいい。
「リアスと誰かか……」
サーゼクス様は妹と共に誰を行かせるべきかを考える風を見せるが、そこで兵藤が名乗りを上げる。
「サーゼクス様! 俺も行きます!」
するとサーゼクス様はアザゼル様に近付いて何か相談を始める。僕とレイナーレはお二人に気を遣う形でそこから少し離れる。
しばらくしてアザゼル様は兵藤に何かを渡して彼に説明する。一方、グレモリー先輩はグレイフィア様から額に何かを受けている。おそらく転移のための準備なのだろう。
「ヴァーリ」
「なんだ、アザゼル」
兵藤への説明を終えたアザゼル様は今度はヴァーリさんに声をかけ、いつもの調子でヴァーリさんが応じ、アザゼル様は彼にすべき事を伝える。
「お前は外で敵の目を引け。白龍皇が前に出てくれば、敵の野郎どもの作戦も多少は乱せるだろうぜ。それに何かが動くかもしれねえ」
「俺がここにいる事はあっちも承知なんじゃないかな?」
「だとしても、【キャスリング】で赤龍帝が中央に転移してくるとまでは予想してないだろうぜ。注意を引き付けるには多少なりとも効果はあると思うぜ」
「旧校舎のテロリストごと、問題となっているハーフヴァンパイアを吹き飛ばした方が早いんじゃないかな?」
ヴァーリさんは平然と過激な発言をし、それに兵藤が目を剥いて振り向く。
「和平を結ぼうって時にそれはやめろ。最悪の場合はそうするが、魔王の身内を助けられるなら、助けてやった方がこれからの為になるからな」
アザゼル様はそう彼を諭す。
「了解……」
ヴァーリさんはつまらなそうに嘆息しつつ同意する。その瞬間、彼の背中に光の翼が輝く。
「バランス・ブレイク! バニシング・ドラゴン・バランス・ブレーカー!!!!!」
音声が流れ、ヴァーリさんの体を真っ白なオーラが覆い、その光が消えた時、彼の全身は白い輝きを放つ鎧に包まれていた。最後に彼の顔を白いマスクが覆い、彼はあのコカビエルを圧倒して倒した時の姿となった。
これが彼の【禁手化(バランス・ブレイク)】……神器の力を最高度に高めた姿……! 僕も今後、堕天使になれたなら、これを出来るようになるのだろうか? そうしたら僕は、今よりもっとレイナーレを守れる力を得られるのだろうか?
僕はヴァーリさんの姿を見てそんな事を思う。そしてヴァーリさんは兵藤を、そして僕を一瞥した後、会議室の窓を開いて、外に飛び出して行った。そして間もなく……
ドドドドドドドドンッ!!
外で爆風が巻き起こる。外を見るとヴァーリさんが大質量の波動弾を放って魔術師たちをまるで虫を殺すみたいに、容赦なく消滅させていく。
本当にヴァーリさん、彼の考えている事は良く分からない。
彼はグレモリー眷属から僕たちを庇ってくれたし、コカビエルに重傷を負わされたイリナさんも助けた。その一方でさっきはあんな事を言ったり、それにおそらく彼は……
僕は再び外を見る。ヴァーリさんの強さは圧倒的だが、魔術師たちは殺られても殺られても、すぐに新たな魔方陣が展開して新手が現れてくる。本当にキリがない! 一体、この連中はどうしてここまで命を軽く扱えるのか? まさに狂気の沙汰だ! 僕と一緒に外を見つめているレイナーレの顔も青ざめている。
「アザゼル、神器を集めて何をしようとしていたんだ? 【神滅具】の所有者も何名か集めたそうだな? 神もいないのに神殺しでもするつもりだったのかな?」
サーゼクス様の問いにアザゼル様は首を振る。
「備えていたんだ」
今度はミカエル様が突っ込む。
「備えていた? 自分で戦争を否定したばかりなのに不安を煽る物言いですね」
先ほどの会談の時もそうだったが、ミカエル様もサーゼクス様も盛んにアザゼル様の言葉を疑ったり、勘ぐったりする。確かにアザゼル様は一見、軽い感じの物言いをされるが、お仕えしている僕やレイナーレから見れば、アザゼル様が本心から戦争を嫌って、和平を望まれているのはよく分かるのに。ミカエル様が仰っていたように、三人の間に過去によほどの事があったという事なのだろう……
アザゼル様もまたかという表情を見せつつも言った。
「言ったろ? お前らと戦争はしねえ。こちらからも戦争は仕掛けねえと。ただ、自衛の手段は必要だ。っても、お前らの攻撃に備えてるわけじゃねえぞ」
「では? 一体何に対して?」
その問いにアザゼル様が出した答えは……
「【禍の団(カオス・ブリゲード)】だ」
「カオス・ブリゲード……?」
レイナーレが首をかしげ、ミカエル様もサーゼクス様も、そしてセラフォルー様も同様の様子を見せている。僕はもちろんの事、アザゼル様以外のここにいる皆が全く知らなかった組織のようだ。
「実はシェムハザが不審な行為をする集団の存在を感じて調べてくれてたんだが……三大勢力の不満分子を集めた組織だって事だ。さらに神器持ちの人間も加わっている。【神滅具】持ちも数人確認してるぜ」
アザゼル様の説明にサーゼクス様も驚きを隠せない。
「三大勢力全ての不満分子に加えて、さらに【神滅具】持ちの者までか……」
「では、彼らの目的は……?」
「破壊と混乱だ。コカビエルと同様、この世界の平和が気にいらねえのさ。それで再び戦争を起こそうと画策している。要はテロリストだって事だ」
ミカエル様の問いにアザゼル様が答えた。
そうか……! 先日もアザゼル様は【長く続いた戦争を背景に三大勢力の中には戦いの中でしか生き甲斐を見つけられずに、再び戦争が起こる事を望んでいる者が大勢いる】と仰っていた。それらの者たちを集めた組織が【禍の団】という事か。
僕の中で今回の事件の背景についての理解が進む。
「そしてその【禍の団】の頭が【無限の龍神(ウラボロス・ドラゴン)】の【オーフィス】だ」
アザゼル様が上げた、その【オーフィス】という名を聞いた途端、僕を除くそこにいる全員が絶句し、顔を曇らせる。
「【オーフィス】!!? あの伝説の強大なドラゴンがその組織の首領だっていうの!?」
レイナーレが驚愕の表情を浮かべる。
その彼女の様子を見て僕はディヴェリクスに尋ねる。
「ねえ、そのオーフィスって、そんなに凄いドラゴンなの?」
「凄えもなにも……神も恐れた、この世界が出来上がった時から最強の座に君臨し続けてる奴だ……」
ディヴェリクスは驚きの混じった真剣な口調で答えてくれた。
そうか……その【禍の団】というのはコカビエルの一味などとは比較にならない大規模で強大な組織だという事か!
僕がそう思ったその時……!
「そう、オーフィスが【禍の団】のトップです」
ここにいる誰とも違う女性の声が響き、それと同時にこの部屋の床に魔方陣が浮かび上がる!
「そうか! そう来るわけか! 今回の黒幕は……」
サーゼクス様が舌打ちしつつ言う。どうやらサーゼクス様はこの声の女性が誰かをご存じのようだ。
「グレイフィア、リアスとイッセーくんを早く飛ばせ!」
「はっ!」
サーゼクス様の命令にグレイフィア様はうなずくと、兵藤とグレモリー先輩を部屋の隅に行かせて、そこで魔方を展開させる。
二人はこの場の事が気になっているようで、グレモリー先輩は何か叫んでいたが、グレイフィアさんは構わず二人を転送し、二人は光に包まれてこの場から姿を消した。
「あの二人、大丈夫かしら……?」
レイナーレが不安そうに二人が消えた場所を見つめる。先ほど一応和解したとはいえ、僕たちにとっていわば【因縁の相手】である二人だが、今度ばかりは僕もレイナーレも、二人がその捕らわれているハーフヴァンパイア……ギャスパーくんの救出に成功する事を心から願った。
何しろ、カラワーナさんとミッテルトちゃんが停止状態にされてしまっていて、僕たちとしてはあの二人に大切な彼女たちの命運を託すしかないのだ。
「大丈夫だよ。あの二人も大切な仲間を助け出さなくてはならないんだから、頑張ってやるに違いないから……!」
「ええ、そうね! グレモリー眷属は自分の身内には情が深いと聞くから……」
そして、僕とレイナーレは突然現れた魔方陣の方を改めて見つめる。
その魔方陣を見て、サーゼクス様は苦虫を噛み潰したような表情をして、セラフォルー様は驚愕している。一方、アザゼル様はなぜか笑われている。
「レヴィアタンの魔方陣……」
サーゼクス様がつぶやく。
えっ!? だってセラフォルー・レヴィアタン様はここに……?
僕は一瞬疑問に思うが、そこでゼノヴィアさんが魔方陣を指さしながら言った。
「ヴァチカンの書物で見た事があるぞ。あれは、旧魔王レヴィアタンの魔方陣だ」
「レイナーレ、【旧魔王】って?」
「かつての大戦の時、天界との戦いで倒れた四人の大魔王がいたの。その時、悪魔たちは新たにまた四人の魔王を立てた。四人の新魔王は自らの種族を維持するために戦争を終わらせようとしたの。でも、死んだ四大魔王たちの血を引く者たちはあくまで戦争を続ける事を望んで、新しい魔王たちと争いとなった。結局、何よりも種の存続を望んだ悪魔たちの支持によって新魔王たちが勝って、旧魔王の一族を追放したの。その勝った新魔王たちが今の魔王たち……私はそのように聞いているわ」
そして魔方陣から、先程の声の主である女性が現れる。褐色の肌に青い目に灰色の髪……胸元が大きく開いていて、深いスリットも入ったドレスに身を包んでいる。露出度の高い服装であるが、僕のレイナーレのボンデージ姿の魅力には遠く及ばない!
「カテレアちゃん……」
セラフォルー様が愕然とした表情で言った。どうやら彼女と旧知の関係らしい。
【カテレア】と呼ばれた彼女は、胸が大きくてスタイルも良く美人だとは思うが、長い髪を頭の上でまとめ、眼鏡をかけた姿が何というか……子供の頃に見た『アルプスの少女ハイジ』のロッテンマイヤーさんを思わせるような感じで老けた感じにさせてしまっている。まあ、僕が口出しする事ではないが……
「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」
彼女は不敵な表情を浮かべつつ、サーゼクス様に挨拶をする。
「先代レヴィアタンの血を引く者、【カテレア・レヴィアタン】……これはどういう事だ?」
サーゼクス様は厳しい表情で彼女に聞く。
すると彼女……旧魔王の血を引くというカテレア・レヴィアタンは挑戦的な笑みを浮かべて言う。
「【旧魔王派】の者たちは、私を含めほとんどが【禍の団】に協力する事に決めました」
「新旧魔王サイドの確執が本格的になった訳だ……悪魔も大変だな」
アザゼル様が皮肉な笑いを浮かべる。
「カテレア、それは言葉通りと受け取って良いのだな?」
「サーゼクス、その通りです。今回のこの攻撃も我々が受け持っております」
「クーデターか……」
カテレアの返答を聞いたサーゼクス様はそうつぶやく。そうか。これは権力の座を追われた旧魔王派の、現在の悪魔界のトップを占めている新魔王派に対する反乱……クーデターという訳か。
「カテレア、なぜだ? なぜこんな事をする?」
「サーゼクス、私たちは今日、この会談のまさに逆の考えに至ったのです。神と先代魔王がいないのならば、この世界を変革すべきだと、私たちはそう結論づけました」
「オーフィスの野郎はそこまで未来を見てるってのか? そうとは思えねんだがな……」
アザゼル様の言葉に、カテレアはフッと嘲るように嘆息をもらす。
「彼女は力の象徴としての、力が集結するための役を担うだけです。彼女の力を借り、一度世界を滅ぼし、もう一度構築します。そしてその新世界を私たちが取り仕切るのです」
何だって!!?
僕は驚愕する。つまり、その【オーフィス】は彼女たち【旧魔王派】のいわば【錦の御旗】であり、彼女……つまり【オーフィス】は女性という事か……を担ぐ事によって、現在の体制に不満を持つ者たちを結集して、この世界を滅ぼす。つまり現在の各勢力の指導者たちとそれを支持する人々を殺戮して、多くの者たちを平気で犠牲にして、文字通り屍の上に自分たちが権力を握る新しい世界を築こうというのだ!!
僕は外に無数に転がっている彼女たちの配下である魔術師たちの死体を見る。そんな狂気じみた考えが出来るからこそ、仲間の命すら平気で使い捨てに出来るのだろう。
そんな事……!! そんな事絶対に許せるものか……!!
僕の心に怒りが沸き立つ。
カテレアの言葉にサーゼクス様は皮肉げに笑う。
「天使・堕天使・悪魔の反逆者が集まって、自分たちだけの世界……自分たちが支配する新しい地球を欲した訳か。そしてそのまとめ役が【無限の龍神】オーフィス!」
「カテレアちゃん! どうしてこんな!」
悲痛な声を上げるセラフォルー様をカテレアは憎々しげに睨む。
「セラフォルー、私から【レヴィアタン】の座を奪っておいて、よくもぬけぬけと! 私は正統なるレヴィアタンの血を引いていたのです! 私こそが魔王にふさわしかった!」
要するに【レヴィアタン】というのは女性の魔王の称号という事か。【ルシファー】が男性の魔王の称号なのに対して……でも……
先ほど、カテレアの【この世界を滅ぼす】発言を聞いて激しい怒りを覚えた僕。でも、今、セラフォルー様に魔王の座を奪われた事への恨みを叫ぶ彼女に、僕は彼女を憎みきれない思いを抱いた。
それはそのカテレアの姿に、僕の愛しい彼女の……レイナーレの以前の姿を見た思いがしたから……僕はまだその詳しい事情を知らないが、彼女がアーシアさんの神器を奪った時に叫んだという
【これで私を馬鹿にした者たちを見返す事が出来るわ!】
という言葉に重なるものを感じたから……
僕は隣にいるレイナーレを見る。すると彼女も複雑な、そして悲しげな表情を浮かべている。きっと彼女も、カテレアのセラフォルー様に対する言葉にかつての自分を重ね合わせているのだろう。
「カテレアちゃん……わ、私は……」
「セラフォルー、安心なさい。今日、この場であなたを殺して、私が魔王レヴィアタンを名乗ります。そしてオーフィスには新しい世界の【神】となってもらいます。彼女は象徴であればいいだけ。後の【システム】と法、理念は私たちが構築する。ミカエル、アザゼル、そしてルシファー……サーゼクス、あなたたちの時代は終えてもらいます」
カテレアがそう言い放った、その瞬間。
「そんな事をして何になるんですかっ!!」
僕は思わず叫んでいた。その僕にその場の皆の視線が集中する。
「ミコト……!?」
レイナーレが驚いた表情で僕を見つめる。
一方、カテレアは僕を訝しげな表情で見つめる。
「何……? この子?」
「ここにいる方々を殺してそれに取って代わって、大勢の人々を殺して、その上に自分たちの権力……新しい世界を打ち立てる。そんな事をして何になるんですかっ!! そんな事は次々と悲惨な争いとそれによる多くの人々の悲しみ・憎しみを新たに生み出すだけじゃないですかっ!!」
その僕の叫びにカテレアは嘲りの笑みを浮かべる。
「それこそが私たちの望むところよ。力ある至高の存在に対して刃向かう愚か者ども……そういう連中を容赦なく叩き潰して、下々の者どもの畏怖の上に君臨する。これほど素晴らしい事はないわ」
その彼女になおも僕は叫ぶ。
「そんな考えはむなしいだけ……そしてやがて自分を破滅へと導くだけですっ!! カテレアさんっ!! あなただって好きな人、大切な人がいるのではないのですかっ!! 大切な人と仲睦まじく支え合って生きていく……それこそが人にとっての最高の幸福なんですっ!!」
「ミコト……!!」
僕の言葉にレイナーレが目を見張って僕を見つめている。
「アハハハハッ! この坊やったら何て甘ちゃんなのかしら! 見たところ、下賤で愚かな人間のようだけれど、そんなちっぽけな人間らしい考えね。ええ、私にも恋人はいるけれど……彼はこんな甘ったれた臆病者ではないわ。実力ある者がその力を発揮してそれにふさわしい地位につき、それにふさわしい威厳を持って世界を治めていく……そんな理想の世界を目指している力強い男よ! あなたのような軟弱な弱虫とは比べものにならないわ!」
カテレアが僕を嘲笑する。すると……
「私のミコトを侮辱しないでっ!!」
レイナーレが叫ぶ。
するとカテレアはやはり蔑みの目で彼女を見つめる。
「今度は露出狂の下級堕天使の女?」
「ミコトは軟弱な弱虫なんかじゃないわ! 彼は、私が彼を殺そうという目的で近づいたという事実を知っても、命を賭けて私を愛し、求めてくれたわ! 私が自分の愚かしい野望のために悪魔たちに憎まれて追い詰められた時、彼は体を張って私を守ってくれて、その後も常に私を守り続けてくれている、優しくて勇気のある素敵な子よ! だから私は悟ったの! 彼と共に生きることこそが私の最高の幸せ! そんな私のミコトを侮辱しないでっ!」
カテレアはフッと冷笑を浮かべる。
「そういえば……アザゼルに取り入って出世しようと、教会から追放された【聖女】と呼ばれた娘から神器を奪って殺し、それでグレモリー眷属たちの怒りを買って【赤龍帝】に無様に打ち負かされて命からがら逃げ出した、みじめな堕天使の女がいたと聞いたわね。確か、名前は【レイナーレ】だった……そう、あなただったのね」
「そして今はアザゼルのもとに逃げ込んで匿ってもらい、この軟弱な人間の子をその恥知らずないやらしい姿で誘惑して、彼に慰めてもらっているのね。アハハッ! いかにも下賤で卑しい下級堕天使らしいじゃない! 【今のあなたのように】ですって! 冗談じゃないわ! 私は正統な魔王の後継者で、これからすぐに名実ともに新たな魔王となる誇り高き存在……あなたみたいなみじめな卑しい負け犬と一緒にしないで! 虫唾が走るわ!」
「そんな風にあなたが思うのは、あなたが本当の愛を知らないからよ! あなた、さっき自分の恋人の事を【力強い男】とか褒めたたえていたけれど、じゃあ、なぜ、ここに今いないの! こんな危険な戦いの場に恋人を一人で送って平然としている、そんな男が理想の男だなんて言えるの! ミコトは違うわ! ミコトはいつだって私と一緒にいてくれて、私を愛して守って、支えてくれているわ! 本当に勇気があって素敵な男の子というのはそういう子をいうのよ!」
レイナーレはそう叫んでくれた。そんな彼女の気持ちに僕は胸が熱くなる。
「レイナーレ……!」
「この下賤な痴女堕天使、私をどこまで愚弄する気? 私は正統なレヴィアタン……この世界を支配するにふさわしき存在……男に媚びて慰めてもらい、守ってもらうようなみじめで下種なあなたなんかとは格が違う。そんな私を自分と同一視するとは……この侮辱、万死に値する!」
カテレアは激怒してレイナーレに攻撃の構えを取る。僕は急いでレイナーレの前に入って、彼女を守るべく神器を発動させようとする。だが、その時……!
「くっ……くっくっくっくっ」
アザゼル様が笑い出した。
僕たちを攻撃しようとしていたカテレアはキッ! としてそんなアザゼル様を睨みつける。
「アザゼル、何がおかしいのです?」
「尊、レイナーレ、こいつらに何言ったって無駄だぜ。はなからお前たちの言う事を理解しようなんて気はねえんだからな」
アザゼル様はカテレアに向き直るとからかうように彼女に話しかける。
「カテレア……ハハハ……お前、いや、お前ら、こぞって世界の変革かよ?」
「そうですよ。それが一番正しいのですよ。アザゼル、この世界は……」
「この世界は……? 後は何だ? 腐敗している? 人間が愚か? 地球は滅ぶ? ってか? おいおい、今時流行らないぜ!」
自分の理想を語ろうとしたカテレアの言葉をアザゼル様は遮り、心底おかしくてたまらないという様子で腹をかかえて笑う。
カテレアは目元を引きつらせる。
「アザゼル、あなたもあなたなのですよ。それだけの力を有していながら、今の世界に満足などと……」
彼女は彼女なりにアザゼル様の力を認めていて、事と次第によっては自分たちの仲間にと考えている……という事だろうか。だが、そんな彼女をアザゼル様は容赦なく突き放す。
「言ってろ。お前らの目的はあまりに陳腐でひどすぎるぜ。なのにそういう奴らに限ってやたらと強いんだよな。全く、傍迷惑だぜ。おい、レヴィアタンの末裔、お前の台詞、一番最初に死ぬ敵役のそれだぜ?」
「アザゼル! あなたはどこまで私たちを愚弄する!」
カテレアは怒りの形相で叫び、全身から魔力のオーラをほとばしらせる。もはや一触即発の状態だ!
「サーゼクス! ミカエル! こいつの相手は俺がやる。手を出すんじゃねえぞ!」
アザゼル様は叫んで立ち上がる。その体から薄暗いオーラが立ち込める。
「カテレア、降るつもりはないのだな……?」
サーゼクス様は彼女になおも聞いた。これが最後通牒という事なのだろう。同族として、先代魔王の血を引く彼女との戦いをなんとか回避したかった。そんなサーゼクス様の気持ちが伝わる。
カテレアは首を横に振る。
「ええ、サーゼクス、あなたは良い魔王でした。でも、最良の魔王ではない。だから私たちは新しい魔王を目指します」
【良い魔王】……彼女はサーゼクス様についてもその実力については認めていた……という事か。でも、考え方が違いすぎて相容れない……という事なんだね。
「そうか……残念だ」
サーゼクス様は目を閉じて、本当に残念そうな表情を浮かべた。
アザゼル様はそれを見て、窓の方に手を向けた。するとその手から光槍の一撃が飛んで、ドンっ!! と窓際の全域が吹っ飛んだ。そしてアザゼル様の背中から、十二枚もの黒い翼が出現する。
「旧魔王レヴィアタンの末裔……【終末の怪物】の一匹……相手としちゃあ悪くねえ。カテレア・レヴィアタン、俺といっちょ、ハルマゲドンでもシャレこもうか?」
アザゼル様が挑戦状を叩きつけ、それにカテレアも不敵な笑みを浮かべる。
「望むところよ! 堕ちた天使の総督!」
カテレアも悪魔の翼を出現させ、二人は外に飛び出し、はるか上空で激しい攻防を繰り広げ始めた。
カッ!ドッ!ドゴオオオオオオオオオオオンッ!!!
凄まじい轟音が響き渡り、まばゆい光が輝く……
その戦いを見つめる僕とレイナーレ。一方、サーゼクス様は木場と鬼崎に外で暴れている魔術師たちの討伐を依頼し、2人はそれをうやうやしく受ける。特に木場の顔には高揚感がみなぎっている。尊敬する主の命で敵を屠る。それは栄光の極み! といった様子で。
「陽太郎くん、行こう!」
「ああ」
二人がうなずき合う。
そして木場はゼノヴィアさんに叫ぶ。
「ゼノヴィア! 君も一緒に来てくれ!」
「ああ!」
ゼノヴィアさんは快く応じる。だが、その後、彼女は僕たちの方を見て叫んだ。
「ミコト! レイナーレ! 一緒に来てくれないか? ミコト、君は非常に優れた攻撃補助能力を持っていると聞いている! それは魔術師の大軍と戦うのに非常に大きな力となる!」
すると木場は表情を曇らせる。
「まあ今は非常事態だ。ゼノヴィア、君が二人の力を借りたいというなら僕は止めないよ」
木場の言葉に僕は引っかかるものを感じるも、今はそれを気にしているような場合ではない。僕はゼノヴィアさんにうなずくと、ズボンのポケットからレイナーレの胸当てを取り出して神器を発動させる。
「レイナーレ! お願いっ!」
「ええ!」
僕はレイナーレに抱えられてゼノヴィアさんと共に外に飛び出し、校庭へと降り立つ。途端に魔術師たちが四方八方から襲い掛かってくる。
「【スプレッド・フォース】っ!!」
僕は彼らに向かって叫ぶ。その瞬間、僕の手から黒い神器が四方に飛び散り、襲い掛かってくる魔術師たちの目を、鼻を、口をふさぐ。
「ぐ、ぐええええっ!! な、何だこりゃ!! と、取れねえっ!! ぎゃ!! ぎゃあああっ!!!」
僕のスプレッド・フォースで動きが止まった魔術師たちをゼノヴィアさんが容赦なく斬り倒していく。少し離れた場所では木場と鬼崎が縦横無尽に駆け回って魔術師たちをまるで草でも刈るかのように次々と斬り倒している。特に鬼崎の動きはまさに疾風のごとくという感じで、彼が一走りすると途端に周囲に死体の山が出現するという感じだ。だが、鬼崎は息の上がった様子もなく、平然とした様子を崩さない。
そこかしこに響き渡る魔術師たちの悲鳴。血まみれになって次々と横たわる彼らの死体……僕はあまりに凄惨な光景に心を痛めるも、まさか命懸けで戦っているゼノヴィアさんたちに【みねうちで戦え!】などとは言えない。彼らが恐れをなして戦うのを止めて撤退する事を期待するくらいしか出来ない。
「あなたたちでは僕たちには勝てません!! あきらめて撤退してくださいっ!!」
僕は必死でそう叫ぶものの、それに応じる者は誰もいない。
「ミコト!! キミの優しさは分かる!! でも、ここは戦場なんだっ!! それを理解してくれっ!!」
ゼノヴィアさんはそう叫びつつ、敵を斬り倒していく。一方、木場と鬼崎は僕を軽蔑したような表情で見つめている。
「ミコト!! ゼノヴィアの言う通りよ!! ここは戦場なのよ!! あなたに【殺せ】とは言わないわ! でも、私は愛しいあなたを守る為に敵に対しての情けは捨てるわ!!」
レイナーレも叫びつつ、光槍を次々と出現させては、それを投げつけてスプレッド・フォースで動きの止まった魔術師たちを倒していく。
「………………」
僕はそんな彼女たちに対して何も言えない。自分では直接手を下さない、それがこの場で出来る精一杯の事だ。もちろん、それが何の意味もない偽善に過ぎない事を分かった上で……
魔術師たちは倒されても倒されても次から次へと新手が出てくる。僕がいざという時のために携帯していたレイナーレの胸当てのストックが切れる。
「ゼノヴィアさん!! ちょっと時間を稼いでっ!!」
僕の叫びにゼノヴィアさんはうなずくと聖剣デュランダルを大きく振るう。すると……
ズバァアアアアンッ!!! と聖剣から凄まじい波動が放たれ、校庭を縦横無尽にえぐり、それが魔術師たちを根こそぎという感じで屠っていく……凄い威力だ。結局、僕もここでは殺戮者に過ぎないと心の痛みは覚えつつ……
「レイナーレっ!!!」
僕は愛しい彼女に叫ぶと、彼女の張りつめた大きな乳房に食い込んでいる黒の胸当ての上にくっきりと浮かび上がっている、彼女のビンビンに勃起した、硬く大きな乳首を親指と人差し指でしっかりとつまむ。
「あっ!! ミコトおっ!! あはあっ!!」
レイナーレがビクンッ! と大きく体をのけぞらす。そして僕は彼女の乳首をつまんだ自分の指にさらに力を込めて、それをギュリギュリとねじり回す。大好きな彼女の大きな乳首のカチカチに硬く、同時にムチムチとした弾力にあふれた素晴らしい感触を感じつつ。
「はひっ!! はひゃあああああんっ!!! ミ、ミコトおおおおっ!!! あああああああーーーーーーーっ!!!」
レイナーレの絶叫が辺りに響き渡り、その瞬間、彼女の体から黒のボンデージがバリバリッ!! ビリリリイイッツ!! という大きな音と共に破れてはじけ飛ぶ!
「あっ……あはあんっ……ああんっ……」
レイナーレの張りつめた大きな乳房がぶるるんっ! と大きく弾み、僕が好きでたまらない彼女のカチカチに勃起して、ビン! と突き出している卑猥極まる大きな乳首が丸出しとなり、同時に彼女の黒の陰毛で覆われた秘部もさらされて彼女は両腕の腕当てと左腕に付いた鎖、そして足のストッキングとブーツのみを残して全裸となる。
その彼女のあまりに美しくていやらしい裸体に、僕はこんな時でも股間が激しく猛り立つ! そしてその瞬間、僕の両手にレイナーレの体から剥がれて飛び散ったボンデージの黒布の破片が飛んできて絡みつき、神器として装着される。そして僕は再び、【スプレッツド・フォース】を放ち、また襲ってきた魔術師たちの動きを止め、その彼らをゼノヴィアさんが素早く斬り倒す。
そして全裸となったレイナーレは美貌に恍惚とした表情を浮かべて言う。
「ああっ……ミコトっ……見てっ! あなたが大好きな私の乳首、こんなにまで大きくいやらしくなってしまっているわっ……!」
その彼女の言葉通り、彼女の乳首はこれ以上ない位に大きく膨れ上がって、石のようにカチカチに硬く勃起してビン! と空に向けてそそり立っている。そのあまりの卑猥さに、僕の股間はもうどうしようもない位に猛り立つ。
「でも、私、今、体中に力がみなぎっているのを感じるわ……! ミコト、あなたが言ってくれたように、この私のいやらしい乳首はあなたと私の【愛の実り】……だからこそ私のパワーは今、最大限になっているんだわ……!」
そうレイナーレは妖艶な表情で僕に言った後、呆気にとられた様子で僕たちを見守っていた周りにいる敵の魔導士たちにその美しく卑猥な裸体を見せつけるように胸を張って告げる。
「さあ、これが愛しいミコトの愛の力でパワーアップした【至高の堕天使】の姿よ! あなたたち程度ではとても相手にならないわ。でも、大好きなミコトの優しさに免じて、今、この場で逃げるなら見逃してあげるわ。死にたくなければすぐに立ち去りなさい!」
そのレイナーレの美しさといやらしさ、自信にあふれた表情の素晴らしい美貌はまさに僕の至高の堕天使! だが……
「何が【至高の堕天使】だ!! 露出狂の変態堕天使女が!!」
魔術師たちはそう侮蔑の叫びをあげつつ、レイナーレに向かって攻撃の構えを取る。その彼らに僕はスプレッド・フォースを放とうとするが、それより早く、レイナーレは瞬時に何本もの光槍を出現させて、その素晴らしい裸体を旋回させつつ、それを魔術師たちに次々と投げつけた。
「ぎゃあああっ!!!」
「ぐわあああっ!!!」
「ふぎゃああっ!!!」
魔術師たちは次々と光槍に串刺しにされて血しぶきを上げて倒れていく。張り詰めた大きく美しい乳房を弾ませて、美しい裸体を躍動させつつ、容赦なく敵を屠るレイナーレ。その姿はまさに【美しき女豹】だ!
そして周囲の敵たちを一瞬の内に葬り去ったレイナーレは、僕たちを遠巻きにしている魔術師たちを見つめて言う。
「さあ、これで分かったでしょう? ミコトの愛の力でパワーアップした私の強さが! さあ、引きなさい!」
先ほどと同様にその美しくいやらしい至高の裸体をさらしつつ、胸を張って自信にあふれた態度で宣言するレイナーレ……! だが、その瞬間、僕は周囲の空気が変わったのを感じる。
「へえ、こりゃ面白い見世物だな……素っ裸で戦う痴女堕天使とはね……」
豪華な衣装を身に付けてはいるが、どす黒いオーラを纏い、どことなく人相の良くない2人の男が姿を現した。
この男たち、レイナーレの戦いぶりを見ていたのに彼女の事を歯牙にもかけない態度……よほどの力を持った連中という事……!
「な、何よ!? あなたたちは!!?」
「俺たちかい? 俺は上級悪魔のメヌオ、こっちは同じく上級悪魔のヴァルガだ」
「その上級悪魔のあなたたちが何故、【禍の団】に……!?」
僕の問いにその2人の上級悪魔は笑い、メヌオと名乗った男が答える。
「俺たちはね。戦いで敵を殺して、敵の女や子供を捕まえて妾や奴隷にするのが楽しみなのさ。だけど、あのお高くとまったサーゼクスをはじめ、今の魔王連中は戦いを止めて堕天使や天使どもと和平を結ぶとかつまらない事を言っていてね。俺たちは失望していた。そんな俺たちに【禍の団】の旧魔王派は居場所を提供してくれた。出会った敵は殺しても、奴隷にしてもかまわないって言ってくれてる。これに乗らない手はないだろ?」
こ、この男たち……正真正銘の悪党だ……!
僕は思わずゾクッとする恐怖を覚える。そして今度はヴァルガという男が僕を見るからに見下した口調で言う。
「そういう訳だ。そこのひ弱な坊や。その痴女堕天使は俺たちがもらい受けて奴隷とする。お前はおとなしくその痴女堕天使を渡すなら見逃してやるが、抵抗するなら……殺すぜ?」
「冗談じゃない! 僕のレイナーレをあなたたちなんかに渡すものかっ!!」
理不尽で無道な要求をする二人の上級悪魔、メヌオとヴァルガに僕は心の底からの怒りを感じて叫ぶ。
「そうか……見た目よりも頭が悪いんだな。非力な人間の身で俺たちに歯向かおうとは……望み通りに殺してあげるよ」
二人の内のメヌオが冷酷な殺意を込めた目で僕を見つめる。だがそこで、もう一人のヴァルガという男がメヌオにささやく。
「だが、あの痴女堕天使、レイナーレって言ったろ? あいつとこの小僧、確かこの前の新聞に出てたぞ。何でも【ニプルブラスト】って面白い技を使うって話だ」
「そういえば聞いたな。この少年が痴女堕天使の乳首を刺激して、そこからエネルギー弾を放出するとか……そこの少年と痴女堕天使、君たちに一度だけチャンスをやろう」
「えっ!?」
驚く僕とレイナーレ。
「君たちの【ニプルブラスト】とかいう技。俺たちが受けてやるよ。それまでは攻撃しないから安心して良い。だが、効かなかったら、その時はその場で少年、君を殺して痴女堕天使は奴隷にする。さあ、やってみるがいい」
僕たちを完全に舐め切った態度で、二人の凶悪な悪魔が言った。
「…………………」
僕は周囲を見回す。アザゼル様は相変わらずカテレアと激しい攻防を続けている。
「ミコトっ!! レイナーレっ!! くそっ!!」
ゼノヴィアさんはこちらの状況に気付いてはいるが、次々と群がって襲ってくる魔術師たちと戦うのに手一杯でこちらに駆けつける余裕はない。
ヴァーリさんは離れたところで戦っているようで、また敵の魔術師の大軍に遮られて僕たちからはその姿が見えない。木場や鬼崎はこれまでの経緯からして、彼らの救援はとても期待出来るとは思えない。ここはもう、命を懸けて戦うしかない。もちろん、手加減など論外だ。愛しいレイナーレを守る為に僕は覚悟を固める。
「ミコト……!」
「うん、相手は上級悪魔でおそらくコカビエルと同等の力を持っているはず。【ニプルブラスト】で倒せるかどうか……でも、やるしかない! 倒せればそれで良し。倒せなくても時間を稼いでその間に救援が来てくれれば……!」
「そうね……やるしかないわね……!」
僕とレイナーレは決意を込めてうなずき合う。そして僕は神器を装着した手を彼女の張り詰めた大きな乳房に伸ばし、彼女のビンビンに勃起して突き出している、カチカチに硬く勃起した大きな魔性の乳首をツン! とつつく。
「あっ!! ああんっ!!」
レイナーレはそれだけでビクン!と大きく裸体をふるわせてあえぐ。さらに僕は彼女のいやらしい大きな乳首を指でツン! ツン! と突きまくり、グリグリとひねり回す。僕の指の動きと共に彼女の大きな乳首がぶるっ! ぶるぶるっ! と意思を持つ生物のように激しくうごめき、その卑猥さに僕の心は熱く燃え上がる!
「あはあんっ!! ミ、ミコトおおおっ!! 好きっ!! 大好きいいいっ!! あはあっ!! あああんっ!!」
レイナーレは甘い声をあげて、魅惑の裸体をふるわせて激しくもだえまくる。
ああっ! 僕の愛しいレイナーレっ! 僕だけの君のこの素晴らしい、いやらしい大きな乳首っ!
僕はその大好きな彼女の乳首を指でつつき回し、舌でなめ回してその硬くムチムチな素晴らしい感触と味わいを楽しむ。
僕の唾液にベットリとまみれてテカテカといやらしく照り輝き、僕の指で弾かれて、
ぶるぶるっ! と卑猥にうごめく彼女の大きくいやらし過ぎる乳首……!
「るろっ……れろれろっ……ああっ! レイナーレっ! 君の乳首っ! 何て素敵な触り心地っ! 何ておいしいのっ!」
「あっ! ああんっ!! あはああっ!! ミ、ミコトおおっ!! 乳首っ!! 乳首気持ち良すぎるわああっ!! あああんっ!!」
僕はその彼女の乳首を指で強くギュッ! とつまむ。
「あっ!! あああああっ!!」
僕はそのつまんだ乳首にギリッ!と爪を立てる。
「ふっ!! ふぎいいいいっ!!」
凄まじい刺激にレイナーレが目を剥いて絶叫する。さらに僕はその彼女のいやらしい乳首を爪を立てたまま、ギュリッ! ギュリギュリッ! ギュリリイッ!と激しくひねり回す。
「はひっ!! ふひいいいいいいっ!!! い、いいわあっ!!! ミコトおおおっ!!! すごくすごく感じちゃうわあっ!!! はひっ!! はひゃああああああああああああんっ!!!」
レイナーレがその魅惑の美しくいやらしい裸体をのけぞらせ、長い黒髪を振り乱して美貌に恍惚とした表情を浮かべて絶叫する。ふと、二人の悪魔が僕たちを侮蔑の笑みを浮かべて見つめ、何やら言っているが、その言葉は僕たちの耳には一切響かない。そう、今の僕とレイナーレにはお互いを大切に思う気持ち、それ以外はない!
ああっ!! レイナーレっ!! 大好きっ!! 絶対に君を守り抜く!! こんなに素敵な君をあんな悪魔どもなんかに絶対に渡さないっ!! 愛してるっ!! 誰よりもっ!! 僕の、僕のレイナーレっ!!
僕はレイナーレへの想いを込めて、彼女のこれ以上ないほどに肥大化した大きくいやらしい乳首をギリリイッ! とさらに強くひねった。
「あひっ!! あひゃあああああああんっ!!! ミ、ミコトおおおっ!!! 愛してるっ!! 愛してるわあっ!!! ああああああああああーーーーーーっ!!!」
レイナーレが絶叫しつつ僕への愛を叫び、これまでよりさらに大きく裸体をのけぞらす。その彼女の乳首が熱い熱を帯びて、そこからまぶゆい閃光が放射される。
「ふあああああああっ!!! ミコトおっ!!! ミコトおっ!!! あああああああーーーーーーんっ!!!」
レイナーレの甘い絶叫と共に、彼女の乳首をつまんでいる僕の手に膨大なエネルギーが宿る。僕はそのエネルギーが宿った手を、余裕の表情でこちらを見つめている二人の邪悪な悪魔に向ける。
「ニプルブラストおおおおおっ!!!」
僕の手から、あのコカビエルとの戦いで放ったものよりも、さらに強力なエネルギー弾が放射されて二人の悪魔を襲う。
ドゴオオオオオオオオーーーーーーッ!!!
凄まじい爆発音と共に二人の悪魔はまばゆい閃光に包まれる。
…………そして閃光が消えた瞬間、二人の邪悪な悪魔は平然としてその場に立っていた。
や、やはりダメだったか……!
「面白い見世物だったよ。だが俺たちには全く効かないな」
「思い切り笑わせてもらったぜ。さあ、約束通り、小僧、お前にゃ死んでもらうぜ。そして痴女堕天使、お前は俺たちの奴隷とする。調教が楽しみだぜ~~」
邪悪な悪魔の嗜虐的な視線が僕とレイナーレに注がれる。
「ミコト……あなたとなら私は死んでも良いわ! あなたを殺されてあんな連中の奴隷にされるなんて絶対に嫌! ここはもう2人で命を懸けて立ち向かいましょう!」
レイナーレが僕に抱き付く。僕は彼女を抱き締めつつ必死で考える。
何とか、何とかならないのかっ!!
この場で頼れるとしたら、やはり【彼】しかない……でも、【彼】はおそらく……それでも【彼】は僕たちを助けてくれるだろうか……? いや、迷っている暇はない!
僕は決断する。
「ディヴェリクス! 【白龍皇】のアルビオンと連絡が取れるっ!?」
「この距離なら大丈夫だ!」
「お願い! 一刻も早く来て欲しいって伝えて!」
「分かった!」
「何を二人で言っているのかな? 下手な悪あがきは止めた方が……」
メヌオがそう言った瞬間……!
「ぎゃあああああああああっ!!!」
【白龍皇】……ヴァーリさんが凄まじい勢いで群がる魔術師たちを屠りつつ、こちらに向かって突進して来た。
「へえ……こいつが噂の【白龍皇】か……なかなか凄い攻撃力だが、俺には通用……」
ヴァルガがそこまで言いかけた瞬間、ヴァーリさんは猛スピードで一瞬の内に彼に詰め寄るやいなや、強烈なパンチを顔面に見舞った。
「ぶがあああっ!!!」
絶叫と共にヴァルガの顔面が粉々に砕け散り、辺りに血しぶきが飛び散る。そして頭を失ったヴァルガの体はその場にバタリと倒れ伏した。
「なっ……!!」
仲間を一撃で葬り去ったヴァーリさんの凄まじい攻撃の威力に余裕の表情だったメヌオに驚愕の色が浮かぶ。だが、その彼の背後から声がかかる。
「さすがは【白龍皇】……僕も負けてはいられないな」
そこにいたのは、いつの間にやって来ていたのか、あの鬼崎だった。彼の手には、あのコカビエルとの戦いで使った、金色の曲がった刀身に、狼の頭部を象った鍔を持つ剣が握られている。
「な、何者だ!?」
「魔人【鬼崎陽太郎】見参!」
「だ、誰だそれは? 聞いた事もないぞ。粋がるな! ザコが!」
メヌオは精一杯の強がりを見せるものの、その声も、体もふるえている。彼の体は無意識に鬼崎の持つ圧倒的な力を感じ取っているのだろう。
鬼崎はそんなメヌオをフッ……と冷笑する。
「どうやら、君も僕と同じく剣を武器としているようだね。抜くまで待ってあげるよ」
「ケッ! その思い上がりが命取りになるぞっ!!」
メヌオが腰に差していた剣を抜き、2人は対峙する。鬼崎が全く平然と落ち着き払っているのに対して、メヌオの方は傍目から見ても動揺しているのがありありと分かる。
「死ねっ!!」
メヌオが叫びつつ、剣を振りかざして突進する。だが、鬼崎はそれを悠然と受け流すと、次の瞬間、メヌオの前でヒュン! ヒュン! ヒュンッ! と凄まじい速さで剣をふるった。
「ぎゃ、ぎゃああああああああーーーーーっ!!!」
絶叫と共に血しぶきが上がり、メヌオの体はまるでファミレスで出るサイコロステーキのようなバラバラの肉片になって崩れ去った。そのあまりの凄惨さに僕は思わず戦慄する。
僕たちを追い詰めた二人の上級悪魔を、圧倒的強さで一瞬の内に葬り去ったヴァーリさんと鬼崎。鬼崎が来たのは予想外だったが、とにかく僕は、僕とレイナーレを助けてくれた二人に礼を述べる。
「あ、ありがとうございました!」
「君の潜在能力には期待しているからね。今日は助けた。だが、この程度の相手に追い詰められるようじゃ、まだまだだな。もっと己を磨いて強くなる事だ。これからを期待しているよ。【黒龍王】」
「僕はこちらの【白龍皇】には負けたくないからね。ライバルに張り合ってみたというだけさ。だが、今回の君には正直失望した。実力もまだまだの上に、戦場で戦う覚悟も出来ていない。それで大切な者を守れると思うのかい? 少なくともイッセーや祐斗たちグレモリー眷属にはその覚悟がある。そこのところをよく考える事だね」
……………!!!
2人の言葉が僕の心に深く突き刺さる。特に鬼崎の言葉は辛辣だった。だが、僕は何も言い返せない。彼らの言葉は全て事実であるから。このままでは僕はとてもレイナーレをこの先守れない! その事実を徹底的に思い知らされたから……
黙っている僕にヴァーリさんは言った。
「まあ、戦場の覚悟についてはそこの彼が言う通りだな。後、君の必殺技についてだが、今の君は彼女から得たエネルギーを十分に活用出来ていない。だから威力が今一つなんだ」
「えっ!?」
僕は思わず顔を上げてヴァーリさんを見つめる。
「今の君の体では、彼女から得たエネルギーの全てを受け止めるのには耐えられない。だから、君の意思とは関係なしに、君の体が受け入れるエネルギーの量を制限している状態なんだ」
それは……僕が人間でひ弱な体だから、レイナーレの乳首から発するエネルギーを受け止め切れていないっていう事……なら……これから僕は!
ヴァーリさんの言葉に僕は自らの可能性を感じる。
「では、お互い、もうひと暴れするとしようか」
「そうだね」
ヴァーリさんと鬼崎はうなずき合うと、僕たちをその場に残してそこから去っていった。
僕はレイナーレの方を見る。彼女は優しく微笑んでくれる。
「ミコト、気にしないで。あなたは精一杯、私を守ってくれているから」
僕はそんな彼女の気持ちが嬉しい。でもこのままではいけない! その気持ちを込めて彼女に答える。
「ありがとう……でも、僕は絶対にもっと強くなって、君を守り抜くから」
その僕にレイナーレは再度微笑むと、黒のボンデージを再生させてそれを身につけた。
僕たちが2人の悪魔と対峙していた間に、ヴァーリさんと鬼崎、そしてゼノヴィアさんや木場の攻撃で、無限に出現するかと思われた魔術師たちも目に見えて数が減っていた。一方、空ではアザゼル様とカテレアの激しい攻防が未だ続いていた。取りあえず危機を脱した僕とレイナーレはそちらに目を向ける。
(次回に続く)
今回の第18話、【禍の団】襲来のお話は一貫して尊視点のお話となりました。
以前のお話との大きな変更点としては、以前の話では最後の場面が怪人【煉鬼】の姿に変身した鬼崎との対決であった訳ですが、今回は鬼崎が早くから既に登場して、グレモリー眷属と協力関係になっているところから、彼は木場と共に戦うという役割を演じていて、代わりに【禍の団】に加わった二人の上級悪魔、メヌオとヴァルガと戦うという形となりました。
この2人の悪魔、まさにヴァーリと鬼崎の圧倒的強さを際立たせるためのやられ役のモブキャラという形で、その性格や振る舞いもまさに三下の下種な悪党で、『北斗の拳』でいうところのモヒカンたちと同じで、即退場となりました(合掌)
ちなみに、メヌオの最期は、あの『鬼滅の刃』の【サイコロステーキ先輩】の最期からイメージしました。
後、戦いの場面における尊の葛藤も以前のお話に比べて描写がより詳細になっています。グレモリー眷属たちが、大事な仲間を守るために敵を倒すのにためらいがないのに対して、尊は生来の穏やかで戦いを嫌う性格から、襲い来る敵の魔術士たちを倒す事にためらいを感じています。だから愛するレイナーレが重大な危機に陥った時以外は敵を直接殺すことは極力避けようとする。
しかし、一方で尊は自分のその振る舞いが偽善に過ぎないと認め、レイナーレやゼノヴィアが大事な人の為にためらいなく敵を倒す事に何も言えず、そして彼女たちの言葉に対し何ら言い返す事は出来ない。そんな自分に後ろめたさを感じて激しく葛藤しています。そんな尊の心の動揺を今回は詳しく描きました。
最初の【禍の団】の襲撃開始の際、レイナーレはカラワーナやミッテルトと共に一時、囚われの身となったギャスパーの時間停止能力の発動によって停止状態になってしまう……しかし、ドラゴンを身に宿す尊と愛し合い、彼と一心同体の彼女は、尊の愛のエネルギーによって停止状態を脱する、という形になりました。
アザゼルと一誠のやり取りの場面、一誠がアザゼルから神器の暴走を抑える腕輪を抑える場面については、尊は事が終わった後でアザゼルからその時の説明を受けるという形にする事にして、ここでは具体的な説明ははぶきました。このお話のメインはあくまでも尊とレイナーレであるという事で……
また、一誠のアザゼルに対する言葉遣いが原作に比べてより乱暴になっていますが、それはレイナーレと尊の事で、この作品においてはこの時点における一誠のアザゼルに対する反発がより強いという事を念頭において、そのようにしました。
カテレアの登場。彼女とアザゼル、およびサーゼクスやセラフォルーとのやり取りはほぼ、原作通りですが、そこに尊とレイナーレとの対話も加えました。尊とレイナーレはカテレアの姿にかつてのレイナーレと同じ姿を感じて、彼女を説得しようとしますが、二人を【下賤な人間の子供に卑しい下級堕天使】と見下す彼女は耳を貸さず、結局原作通りアザゼルとの戦いに突入します。
尊とレイナーレがゼノヴィアを補佐するという形で戦闘に参戦したのは、二人は木場との間にはこれまでの因縁から、一応は和解したもののお互いにまだわだかまりが強く協力は困難ですが、ゼノヴィアとの間にはコカビエルの事件を通じて信頼関係が出来ている為に、こうした形になりました。
次回はアザゼルVSカテレア戦の決着とヴァーリや鬼崎の動き、といったところがメインのお話となります。
それでは、次回をお楽しみに!^^