※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D~情念の炎~(完全版)   作:ドミトリ

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 夕食の席でリアスの父、グレモリー卿と会う尊とレイナーレたち。その翌日、彼らは若手悪魔の会合の場に出向くが、そこで彼らは幾つもの辛いトラブルに見舞われる。

 一方、鬼崎は……


第29話・堕天使と悪魔

 僕とレイナーレはダイニングルームに来た。既に来ていたカラワーナさんと流音くん、ミッテルトちゃんと合流し、メイドさんの案内で緊張しつつ中に入る。

 

 僕たちの左側には、グレモリー先輩や兵藤たちグレモリー眷属たちが先に来て座っている。もちろん、兵藤や木場、姫島先輩といった面々は相変わらず、こちらに険しい表情を向けている。

 

 一方、右側の席は僕たちのために用意された席で空席になっている。正面奥の席に、ヴェネラナ様と並んで、グレモリー先輩やサーゼクス様と同様に、燃えるような深紅の髪に青い目で赤く短い顎髭を生やした男性がいた。なかなか男前といった風貌だが目つきが鋭く、厳格そうな印象を受ける。その隣にはミリキャス様が座っている。

 

 この人がグレモリー先輩とサーゼクス様の父上……

思わず緊張する。だが、次の瞬間。

 

 「よく来てくれたね。國原尊くん、レイナーレさん、そして堕天使の皆さん、歓迎するよ。私がサーゼクスとリアスの父だ」

 グレモリー先輩の父上……グレモリー卿は笑顔で語りかけてきた。

 

 「は、初めまして。僕がアザゼル様の部下で転生堕天使の國原尊です。この度は僕たちを受け入れていただき、ありがとうございます」

 「お、お初にお目にかかります。私が堕天使のレイナーレでございます……以前、私がしでかしてしまった事……本当に申し訳ございませんでした……心からお詫び申し上げます……」

 僕とレイナーレは深々と頭を下げる。

 

 「顔を上げたまえ。レイナーレさん」

 「は、はっ……」

 

 「なるほど、美しい女性だ。國原尊くんが命を賭けて守ろうとするのも分かる。君とリアスや兵藤一誠くんとの間には色々とあったようだが、今はかつての行いを悔いて、國原尊くんと共に頑張っているとサーゼクスから聞いている。だから、もう以前の事を問題にするつもりはない。安心してくれたまえ」

 「は、はっ……ありがとうございます」

 

「そして、國原尊くん」

「は、はい……」

 

「君の事はよく聞いているよ。レイナーレさんを守るために君が見せてきた勇気と知略、我が娘の敵とはいえ、実に素晴らしい! 幸いにも君たち堕天使と我々との間には和平が成立した。これからはレイナーレさんと共に私たちにその力を貸して欲しい」

「は、はっ! ありがとうございます! 我ら堕天使と悪魔の方々との友好のために尽力する事を誓います!」

 

 グレモリー卿の寛大な言葉に僕は感激し、協力を誓った。ふと、グレモリー眷属たちを見ると、アーシアさんとゼノヴィアさんは嬉しそうな表情を浮かべてくれているが、グレモリー先輩は無表情、兵藤と木場と姫島先輩は明らかに不満そうな表情だ。

 

「まあ、兵藤一誠くんもリアスも眷属諸君も、まだ君たちを快く受け入れる気にはなれないようだが、いずれ時が解決してくれるだろう。では、そろそろ食事といこう。遠慮なく楽しんでくれたまえ」

 

 グレモリー卿のお言葉で食事が始まった。とても食べきれないほどの量の豪華な食事が高価そうな皿の上に盛られている。天界でも同様のもてなしを既に受けてはいたが、僕も、流音くんもまだ慣れていなくてぎこちない。

 

 でも、そんな僕にレイナーレが優しく指導してくれる。

 「こういう場に慣れていないにしては上出来よ♪ 私のをよく見てゆっくりと慣れていけばすぐ、きちんと出来るようになるわ」

 

 流音くんにもカラワーナさんが同様に手足足取り指導している。

 「ルオン、お前、あまり食が進んでないぞ。どうした?」

 「す、すみません。ぼ、僕、まだこういう席に慣れていなくて……」

 「ほら、フォークの持ち方はこうだ。ナイフはこうして……」

 

 どうやらレイナーレは過去にこうした場に出ることが多かったようで、彼女の素晴らしい美貌と相まって実に優雅で恋人の僕としても鼻が高い。カラワーナさんも慣れているようで、彼女のクールビューティーなイメージと相まってとても様になっていて、流音くんもそんな彼女に見惚れている。

 

 一方、ミッテルトちゃんはいつも通りのマイペースな様子で、そんな彼女をカラワーナさんが叱る。

 「いちいちそんな細かいマナーなんか気にしてたら窮屈っすよぉ~~」

 「お前はもっと気にしろ! 少しは私たちの立場も考えろ!」

 

 グレモリー眷属側をチラッと見ると、兵藤は明らかにこういう場に全く慣れていないようで戸惑った様子で食事が進んでいない。アーシアさんとゼノヴィアさんもやはり慣れていないようで苦戦しているが様になっている。人見知りの激しいギャスパーは涙目で食べている。その他のメンバーは慣れた様子で食べている。

 

 塔城は……彼女は全く食欲がない様子で食事に全く手を付けていない。やはり様子がおかしい……

 

 「あのドチビ、いつまで辛気くさい顔してるっすか!」

 ミッテルトちゃんがまた苛立つ。

 

 アザゼル様は夕食に間に合わなかった。どうやら会談が長続きしているようだ。

 

 「リアスの眷属諸君、堕天使の諸君、ここを我が家と思ってくれると良い。ここに来たばかりで勝手が分からないだろう。欲しい物があったら、遠慮なくメイドに言ってくれたまえ。すぐに用意しよう」

 グレモリー卿が朗らかに仰った。厳しそうな外見とは裏腹に、とても気さくなお方のようだ。

 

 グレモリー卿は兵藤に話しかけ、そこで何と兵藤の両親に城をプレゼントするという話を持ち出され、兵藤は戸惑い、慌てた様子を見せる。それはそうだろう。狭い日本で城なんか貰っても扱いに困るし、世間でも評判になってしまう。仮に僕が貰ったとしても同じ事だ。

 

 人間界の事情に詳しい娘のグレモリー先輩やヴェネラナ様の言葉でさすがにその話は取りやめになったが、どうやらグレモリー卿はよほど兵藤の事がお気に入りのようだ。

 

 「今日から、私の事をお義父さんと呼んでくれても構わない」

 グレモリー卿の言葉に、皆が驚く。ヴェネラナ様は夫を【性急過ぎる】とたしなめる。だが、今度はそのヴェネラナ様が

 

 「一誠さんと呼んでもよろしいかしら? あなたには紳士的な振る舞いも身につけてもらわないといけませんから。少しこちらでマナーのお勉強をしてもらいます」

 

 これはちょっと気に入っているなんていうレベルじゃない! 明らかにグレモリー卿とヴェネラナ様は兵藤を……

 

 突然、グレモリー先輩がバン! とテーブルを叩いて立ち上がり、両親に抗議する。

 「私を置いて話を進めるなんて!」

 

 その彼女を先ほどと同様にヴェネラナ様が厳しくたしなめる。ライザーとの婚約解消の件でどれほど父や兄に迷惑をかけたか、我が儘もいい加減にするようにと手厳しく言われ、グレモリー先輩は悔しそうにしつつも何も言い返せずにドカッ! と勢いよく腰を降ろす。

 

 ヴェネラナ様はハア……と息を一度吐いた後、一同に微笑まれる。

 「リアスの眷属さんたち、そして堕天使の皆さんたちにお見苦しいところを見せてしまいましたわね」

 

 その後、彼女はまた兵藤の方に振り返る。

 「話は戻しますが、ここに滞在中、一誠さんには特別な訓練をしてもらいます。少しでも上流階級、貴族の世界に触れてもらわないといけませんから」

 「あ、あの……どうして俺なのでしょうか?」

 

 兵藤は自分に指さしてヴェネラナ様に尋ねる。ここまで特別扱いされてもまだ理解出来ないとは……思わず呆れるが、彼をヴェネラナ様は微笑みを止めて、真剣な表情で見つめた。

 

 「あなたは……次期当主たる娘の最後の我が儘ですもの。親としては最後まで責任を持ちますわ」

 それでも兵藤はまだ理解出来ないようで、戸惑った表情でグレモリー先輩の方を見つめ、グレモリー先輩は真っ赤になって彼の視線を背ける。

 

 「ミコト……これは……」

 レイナーレが小さな声で話しかけるのにうなずく。間違いなく、グレモリー卿とヴェネラナ様は兵藤を自分たちの娘婿に……グレモリー先輩の夫として迎えるつもりなのだ。

 

 いかに強大な神器を、潜在能力を秘めているからといっても、つい最近、人間から悪魔に転生したばかりの下僕悪魔を……兵藤が状況を飲み込めないのも、彼がとてつもなく鈍感なのは確かだが、ある程度は仕方がないのかもしれない。

 

 夕食会が終わり、僕たちは自分の部屋へと戻る。レイナーレはまた沈んだ表情をしている。

 

 「レイナーレ、ショックだった?」

 「ええ……」

 

「私がかつて殺して下等な存在と見下していたあの男が、アザゼル様、ミカエル様、そして魔王様方、三勢力のトップの全ての方々に認められて、魔王の一族の次期当主の婿として迎え入れられようとしているなんて……そして今は私の方があの男に憎まれ、軽蔑され、罵られる存在……自分の愚かさが招いた事とはいえ、本当に皮肉なものね……」

 

「そう、一誠はいまだに私を激しく憎悪しているわ。これまでも何回もその恨みを晴らすべく私の命を狙ってきた。ミコト、あなたが私を身を張って守ってきてくれたおかげで私はこうして生きているけれど、あの男はこれからさらに強くなって、強大な権勢も手に入れる事になる。そんなあの男がこれからもずっと私を憎んでいたら……私だけじゃないわ。ミコト、あなたにもどんな事が降りかかるか……ミッテルトやカラワーナやルオンくんにも。私、私それが怖いの……」

 

 レイナーレの体がふるえる。僕は彼女をそっと抱き寄せて抱き締める。

 

 「あっ……ミコト」

 「大丈夫だよ。大丈夫だから」

 愛しい彼女にそう言いつつ微笑み、さらに語る。

 

「さっき、ヴェネラナ様が仰っていたよね。【以前のような勝手な振る舞いは出来ない】って。そう、もう三勢力の和平が成立して僕たちの身の安全が各勢力のトップの方々に保障された以上、もうグレモリー眷属たちが好き勝手な真似は出来ない。グレモリー先輩にしろ兵藤にしろ、高い地位、注目される立場にいるからこそ、むしろ勝手な事は出来なくなるんだ」

「………………」

 

 「ここに来てからだって、ヴェネラナ様も、グレモリー卿も、グレイフィアさんも僕たちに親切にしてくれたじゃない。それに僕たちにはアザゼル様もついていてくださるんだもの。だから大丈夫だよ! もちろん、いざという時の為にこれからの訓練、頑張らなくちゃならないけれど」

 「ミコト……! ええ! そうね! 確かにそうね! ごめんなさい。取り乱したりして」

 レイナーレは健気に微笑んでくれる。僕はそんな彼女をいじらしく思う気持ちで胸をいっぱいにする。

 

 「レイナーレ。僕はさっきのグレモリー卿のように君にお城をさっと与えたりするような生活はさせてあげられないけれど、君が好きな想いだけは誰にも負けないよ! それで良い?」

 「ええ! もちろんよ! 私にはミコト、あなたがいてくれさえすればそれで良いものっ! 私のミコトっ!」

 レイナーレは美貌を輝かせて僕への愛を叫んでくれる。その彼女に心が熱く燃える!

 

 「レイナーレ……」

 そっと彼女に顔を寄せると唇を重ねる。その後、彼女といったん身を離した僕は、今にも制服のブラウスのボタンが弾け飛びそうに、パンパンに張り詰めた彼女の張り詰めた大きな胸を、その中央にくっきりと浮き上がっている彼女のカチカチに硬く勃起した大きく卑猥な乳首を見つめる。

 

 すりっ……とその乳首をさする。

 「あっ!!」

 

 レイナーレがビクッ! と体をふるわせる。僕はさらに彼女のその乳首を、張り詰めた弾力感あふれる彼女の胸をすりすりとブラウスの上からさすりまくる。

 「あっ!! あっ!! あふんっ!! あっ!! あはあっ!!」

 

 そしてレイナーレの両方の胸をぐにゅっ! と掴む。

 「あっ!! あはあああんっ!!!」

 

 両掌に伝わるレイナーレの大きな張り詰めた胸の素晴らしい弾力感、手のひらをくすぐる彼女のカチカチに硬く勃起した大きな乳首、甘い叫びを上げてもだえる彼女の悩まし気な表情を浮かべた美貌、それに激しく興奮した僕は彼女の胸を激しく揉みしだきつつ、彼女の制服のブラウスのファスナーをジーーーッと下ろしていく。露わとなる彼女の深い胸の谷間……

 

「あっ!! あっ!! ああっ!! ミ、ミコトったらさっきしたばかりなのにっ!!」

「仕方ないでしょ……レイナーレ、君を見ていると僕、アソコが勃っちゃうんだからっ……! 君が悪いのっ! そんなにエッチでいやらしい素敵な体をしてるからっ! そんなにいやらしくもだえてくれるからっ!」

「そ、そんなっ!! あっ!! あはあああああっ!!」

 

 レイナーレはいつも通りの言葉だけの抵抗で、されるがままになっている。僕はそんな彼女のスカートを脱がせ、ブラウスを剥ぎ取る。

 「あああんっ!!」

 

 レイナーレの甘い叫びと共にブラジャーに包まれた彼女の大きな胸がぶるるんっ! と激しく弾みつつ晒される。そして僕は彼女の腰に手をかけてパンティーをずるっ……と引き下ろす。

 「ああっ……」

 

 最後に、僕は最高の楽しみ……レイナーレの張り詰めた、大きく美しい乳房を覆っているブラジャーを取って、彼女の大きくいやらしい乳首を丸出しにして全裸にすべく、彼女の胸に手を伸ばす。

 

 プチッ! と僕の指がレイナーレのブラジャーのホックをはずす。

 「あっ!! あはあああんっ!!」

 

 レイナーレがまた甘い叫びを上げ、それと共に彼女のムッチリと張り詰めた大きな乳房からブラジャーが乳房の弾力で吹っ飛ぶようにはずれ、ぶるるんっ! と乳房がまた大きく弾み、僕が好きで好きでたまらない、彼女のカチカチに硬くビンビンに勃起して突き出している、卑猥きわまる大きな乳首がぶるっ! とうごめきつつ晒された。

 

 全裸となったレイナーレ。彼女は美貌に妖艶な笑みを浮かべ、張り詰めた大きな乳房を持ち上げ、卑猥すぎる大きな乳首を指でつまみ上げて僕に見せつける。

 「ウフッ……♪ ミコトったらどこまで私の裸が、この胸が、この乳首が好きなのっ……♪ 毎日毎日、何度でも私を裸にしなくちゃ、私のこのいやらしい乳首を見なくちゃいられないんだからっ……本当に困った子っ……でも、そんなあなたが私は大好きっ……♪」

 

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 そうレイナーレはささやくと、乳房を両手で持ち上げたまま、僕ににじり寄る。

 「ウフッ……♪ あなたが大好きな私のこの胸で、このいやらしい乳首であなたを喜ばせてあげるわ♪」

 

 思わずドキッ! とするような妖艶な表情で僕を見つめ、張り詰めた大きな両乳房を持ち上げ、僕に向けて大きくいやらしい勃起乳首を突き付けるレイナーレ。彼女のあまりの卑猥さに僕の鼓動はドキドキと高鳴り、股間は激しく猛り立つ。

 

 「ほ~~ら、ミコトっ……♪ あなたが大好きな私の胸を、乳首をたっぷりと味わってっ……♪」

 レイナーレは僕の傍に寄ると、両手で持ち上げた張り詰めた大きな乳房を、カチカチに石のように硬く勃起してビン! とそそり立つあまりにもいやらしい乳首を顔に……額に、鼻に、頬にすりすりと擦り付ける。

 

「ああっ……! ミコトっ! 可愛い顔をそんなに火照らせてっ……! 私の胸が、乳首がそんなに気持ち良いのっ?」

「ふああっ……! レ、レイナーレっ! う、うんっ! す、凄く気持ち良いよおっ! 君の胸っ! 君の乳首っ! もう最高だよおっ!」

「ああ……嬉しいわ……ミコト……ウフッ♪ もっともっとしてあげるわ♪ 私の可愛いミコト……♪」

 

 僕は彼女の硬く、同時にムチムチとした感触も併せ持つ彼女の乳首がすりすりと肌に擦り付く感触とその卑猥な形に、張り詰めた彼女の乳房の感触に、その滑らかな肌触りに虜となり、股間はもう爆発寸前だ。

 

 「あああっ!! レイナーレっ!!」

 欲情が爆発した僕はレイナーレの両乳房をぎゅむうっ! と今度は直に掴む。彼女の張り詰めた弾力感あふれる大きな乳房に僕の指がめり込む。

 

 「あはあっ!! ミコトおっ!!」

 レイナーレがビクン! と大きく裸体をのけぞらせる。僕は無我夢中で掴んだ彼女の両乳房を激しく揉みしだく。彼女の弾力感にあふれた乳房は手を押し返してきて、それにまた興奮する。

 

「ああっ!! レイナーレっ!! 何度揉んでも最高だよっ!! 君のこの胸っ!! こんなに張りつめてムチムチで弾力あってっ!!」

「あはああっ!! ミ、ミコトおっ!! いいわあっ!! 揉んでえっ!! もっともっと揉んでえっ!!」

 

 執拗にレイナーレの乳房を揉みしだいた後は、今度はその頂の、僕を最も興奮させるカチカチに硬く、ビン! と突き出している、彼女のあまりにも卑猥な大きな乳首をギュッ! と摘まむ。

 「あっ!! あはあああああああっ!!!」

 

 レイナーレが先ほどよりもさらに大きく裸体をのけぞらす。そう、僕と彼女の【愛の実り】である彼女のこの大きく卑猥な乳首は見る度に、触れる度に、どんどん大きく、いやらしく過敏になっている。それがとても嬉しい!

 

 指でしっかりと摘まんだレイナーレの乳首をぎゅりいっ! と強くひねる。

 「ふっ!! ふひいいいいっ!!!」

 

 レイナーレが目を見開いて絶叫し、裸体をふるわせる。僕はさらに彼女の乳首をぎゅりっ! ぎゅりぎゅりいっ! と激しくひねり回す。

 

「はひゃああああああんっ!!! ミ、ミコトおおおっ!!! わ、私っ!! か、感じ過ぎてえっ!! ふぎっ!! お、おかしくなっちゃいそうよおおっ!!! あひっ!! ああああああああーーーーーーっ!!!」

 

 絶叫と共にレイナーレの大きな乳首から【堕天の乳汁】がビシュウッ! と噴出する。僕は彼女のその乳首を摘まんだまま、彼女に舌を絡めるディープキスを仕掛ける。

 「はふっ……るろっ……れろれろ……ぺちゃあっ……ああっ……ミコトおっ……愛してる……愛してるわあっ……はああっ……」

 「るろるろ……れろおっ……ぺちゃあっ……ああっ……僕も愛してるよおっ……僕のレイナーレっ……」

 

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 僕は何度も何度もレイナーレの胸を、乳首を、彼女の素晴らしい裸体をむさぼり続けた……そして真夜中……

 

 「ねえ、ミコト」

 「何?」

 レイナーレの声に、僕は僕をじっと見つめている彼女の美貌を、彼女の裸体を見つめる。

 

「グレモリー卿やヴェネラナ様は知っているのかしら? 一誠が多情な男で、自分たちの娘だけを一途に愛するタイプの男じゃないって事を。それを承知で娘の婿にと考えているのかしら?」

「さあ、どうなのかな? でも、たとえどうあろうと兵藤の女癖の悪さは変わらないと思うし、グレモリー先輩もそんな彼の性癖を知った上で彼が好きなんだと思う。アーシアさんを初めとする他のグレモリー眷属の皆も同じだと思うよ。【兵藤一誠が好きになるというのはこういう事】だって割り切っているんだと思う」

 

 「私には理解できないわ」

 レイナーレは嫌悪感に満ちた表情を浮かべる。

 

「僕だって理解できないよ。僕にはレイナーレ、君しかいないし、それに見たところ、サーゼクス様もグレモリー卿もそれぞれグレイフィアさんとヴェネラナ様しかお相手はいなさそうなだけに尚更ね。自分の父も兄も一人の女性だけを愛しているのに、なぜ娘はあんな多情な男にって。でも、以前、アザゼル様が仰っていたように【愛というのは様々な形がある】という事なんだろうね」

 

「私には全く理解できないし、理解したくもないけれど。でも、あの男はともかく、アーシアやゼノヴィアがそれでもあの男が好きでたまらないというのなら、私たちはそれで納得するしかないわね」

「うん、そうだね……」

 

 レイナーレと話しつつ思う。

 それはグレモリー眷属たちの仲間間の情愛が強すぎる程に強いからかもしれない。それだけに仲間たちの仲で自分だけが幸せになっては! という罪悪感が無意識の内に働くのかも。

 

 それと兵藤の性格からして、彼はたとえ相手が自分を一途に愛していたとしても、彼を自分だけのものにしようとしてライバルの女性を排除しようとするような女性には凄まじい嫌悪感と拒絶感を抱くに違いない! グレモリー眷属の皆はそれを内心、理解しているんじゃないだろうか?

 

 それだからこそ、兵藤は僕とレイナーレの愛のあり方に異常なほどの嫌悪感を抱いているのだろう。一人の女性をひたすら愛するという感覚がない彼には、僕のたとえ罪を犯していようが好きな女性はどこまでも愛し抜くという想いが理解できないのだろう。だが、そんな彼に、彼を好きなグレモリー眷属たちに理解されなくても、僕は愛しいレイナーレを愛し切るのみ! それが僕の……【情念の炎】の宿主の定めなんだ!

 

 改めて決意する僕にレイナーレが抱きつく。全裸の彼女の張り詰めた大きな乳房がむにゅっ! と僕の体に押しつけられ、彼女の硬く大きな勃起乳首が肌をくすぐる。それはまさに至福の感触!

 

「ミコト、私にとって好きな男はあなただけよ! あなたを他の誰にも渡さないわ! あなたを殺そうとした私を命を賭けて求めて愛してくれた。そして私を殺そうとするグレモリー眷属たちから命がけで守ってくれたあなた以外に私が愛する男はいないの! ミコト、あなたもそうよね? あなたは一誠とは……あんな男とは違うわよね? 私以外の女を決して求めたりなんかしないわよね?」

 

 レイナーレは美貌に切なげな表情を浮かべてささやく。そんな彼女を愛おしく思う気持ちが激しく高鳴る!

 

「もちろんだよ! レイナーレ! 僕が好きで愛する女性は君だけ! 僕が求める女性は君だけだよ! 君を絶対に離さない! 君に危害を加えようとする者は誰であろうが許さない! 愛してる! 誰よりも! 僕のレイナーレ!」

 

 僕は愛する彼女を安心させたいと思う気持ちから、情念のありったけを込めて彼女に伝える!

 

 「ウフッ……♪ そうよね。ミコトはあんな男とは違うものね。あなたは私を心の底から愛してくれているもの。そして私のこの顔に、この胸に、この乳首に、この体に夢中なんだものね♪」

 レイナーレは安心してくれたのか、美貌にいつもの自信に満ちた笑みを浮かべる。僕を虜にしている美しくいやらしい裸体を見せつけながら。その彼女の硬く勃起した大きな乳首をまたすりっ……とさする。

 

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「あっ!! あはっ!! ミ、ミコトったらまたっ! あっ!! あはあああんっ!!」

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 翌朝、僕たちは案内係の人について、グレモリー家の敷地内を観光して回った。何から何まで壮大で豪華で驚かされる。

 

 昨日とは違い、レイナーレは明るい表情で僕に寄り添って見学を楽しんでいる風だ。もちろん心の底ではいまだに葛藤はあるのだろうが、昨日の僕の言葉で過去の事を悔やむより、未来の事を考えて僕と共に前に進もうと、僕と一緒のこの時を楽しもうと気持ちを切り替えてくれたのだろう。

 

 ちなみにグレモリー眷属たちも一緒に敷地内を回っている。ただし、兵藤は将来のグレモリー先輩の婿になるべく、貴族の教養を身につけるための教育を受けるために一人残っているそうだ。彼が貴族? あまりにもイメージが合わない気が……

 

 他のグレモリー眷属たちが和気あいあいとしている中で、相変わらず塔城は元気ない様子でうつむいている。そんな彼女にミッテルトちゃんが声をかける。

 

 「ちょっとアンタ、いつまでそんな辛気臭い顔してるっすか」

 「………………」

 塔城は一瞬振り向いてミッテルトちゃんの顔を見るも、すぐにプイっとそっぽを向いてしまう。その彼女の態度にミッテルトちゃんは苛立つ。

 

 「アンタ……ウチがせっかく心配して声かけてやってるのに……」

 「別に心配してくれなんて言ってないです。大きなお世話」

 「な……何すかその態度は……この……」

 ミッテルトちゃんが思わず詰め寄ろうとしたところを慌ててレイナーレとカラワーナさんが抑える。

 

 「ミッテルト! やめなさい!」

 「そうだぞ! ここは気持ちを抑えろ!」

 そう。ここで喧嘩でもしようものなら、僕たちを快く迎え入れてくれたグレモリー卿やヴェネラナ様に申し訳が立たない!

 

 「~~~~~~っ! ……………わ、分かったっす……」

 ミッテルトちゃんはとても悔しそうな表情を浮かべたものの、何とか気持ちを抑えてくれた。

 

 「…………………」

 その場にいた他のグレモリー眷属たち、グレモリー先輩や姫島さんや木場たちもミッテルトちゃんの様子に思うところはあったようだが、何も言わなかった。

 

 グレモリー邸に戻ってきてすぐに、昨日乗ってきた、あの列車に再び乗って、魔王領にある若手悪魔の集合場所へと向かう。今回会うのはグレモリー先輩や兵藤と同世代の若手悪魔たち……グレモリー眷属たちと同様に、血の気が多く、僕たち堕天使に対して露骨に憎悪や侮蔑を露わにする人たちもいるだろうとアザゼル様も仰っていた。それを思うと気が重いが、でも仕方がない。

 

 途中、宙に展開する巨大な長距離ジャンプ用魔方陣を何度かくぐり抜けた。それはとてもスリリングで、僕と流音くんは驚き、そしてワクワクした。

 「わあっ……!」

 「す、凄いですね……!」

 

 アーシアさんとゼノヴィアさん、兵藤も同様に驚いている。だが、あの鬼崎は……ここに来るのはやはり初めてかと思うが、特に表情も変えずに淡々としている。本当に彼は得体が知れない……

 

 列車に揺られること3時間で都市部に到着した。

 

 「ここは魔王領の都市ルシファードです。旧魔王ルシファー様がおられたと言われている悪魔界の旧都なのです。それでは私の列車はここまでです。お気を付けて」

 レイナルドさんは説明してくれた上で送り出してくれた。

 

 悪魔界の旧都ルシファード。目の前の風景は、以前訪れた堕天使界の首都と同様、人間界の大都市とそう変わらない。

 

 「このまま地下鉄に乗り換えるよ。表から行くと騒ぎになるからね」

 木場が少し離れた所で兵藤たちに説明している。

 

 それにしても地下鉄もあるのか。本当に人間界と変わらないところが多いな。

 考えてみれば悪魔は三種族の中でも特に人間と密接な関係にある。契約を結ぶところといい、人間から転生悪魔になるのは、天使や堕天使になるよりはるかに容易だという事もあり、まさに共存関係にあると言える。だからこそ人間界の文化も大いに取り入れているのだろうし、逆に悪魔界の文化が人間界に伝えられたのも、僕たちが知らないだけで多々あるのかもしれない。

 

 堕天使界も、アザゼル様が人間界の文化がお好きでよく取り入れていらっしゃるから人間界の文化であふれている。僕のレイナーレも人間界で全く自然な形で暮らしているものね。

 レイナーレと手を繋いで歩きつつ思う。

 

 突然、女性たちの歓声が聞こえて来た。

 「キャーッ!! リアス姫さまぁぁぁぁっ!!」

 

 見るとホームにいた悪魔の女性たちがグレモリー先輩を見て憧れのまなざしを向けていた。グレモリー先輩はそれに向かって手を振る。

 

 「部長は魔王の妹。しかも美しいものですから、下級、中級悪魔から憧れの的なのですよ」

 姫島先輩が得意そうに解説する。兵藤たち他のグレモリー眷属たちも得意げだ。ただ、ギャスパーは悪魔たちの多さと声に怯えているようだ。

 

 「……………………」

 レイナーレが不快そうに眉をひそめる。

 

 その彼女に周囲に聞こえないよう小声でささやく。

 「レイナーレ、君の方が綺麗だよ」

 「ミコト……! ありがとう……!」

 

 レイナーレはとても嬉しそうに微笑んでくれる。その彼女の顔はとても美しく、僕の胸は激しく高鳴る。もし二人だけなら、彼女をその場で抱きしめていただろう。

 

 だが、その時、グレモリー先輩に歓声を上げていた悪魔の女たちの雰囲気が一変する。その視線は僕たちに注がれていて、それは決して好意的なものではない。

 

 「ちょっと……あの後の方にいる5人……なんだか様子が違うわね……」

 「あの気配……あの連中……間違いないわ……堕天使よ!」

 「何ですって……! 何故、汚らわしい堕天使がリアス姫と一緒に……?」

 「私たちのリアス姫が汚れるじゃない……!」

 悪意に満ちたヒソヒソ話が聞こえて来る。

 

 僕たち5人の中に怒りと不安、緊張が走るが、これは当然、予想していた事でもあり、我慢してやり過ごす事にする。

 

 「困ったわね。彼女たちの気持ちも分かるけれど、これ以上騒ぎになったら大変ね。急いで地下の列車に乗りましょう。専用の列車は用意してあるのよね?」

 グレモリー先輩は付き添いの黒服男性の一人に聞いていた。この人たちはグレモリー眷属たちと僕たちのボデイガードという事で、グレモリー邸からついてきてくれていた。

 

 「はい、付いて来てください」

 問われたボデイーガードの人が言い、グレモリー眷属と僕たちは彼の後に続いて地下鉄の列車へと移動する。しかしその途中でも……

 

 「リアスさまぁぁぁぁっ!!」

 今度は男の悪魔たちの集団が姿を現し、グレモリー先輩に歓声を送る。グレモリー先輩は苦笑しながらも彼らに向かって手を振るが、僕たちは気が気でない。

 

 何とか気づかれずに通過できないか……!

 と思うが、それも空しく……

 

 「おい……あの後ろにいる連中……」

 「ああ……間違いねえ……あの連中、堕天使だ……」

 「何で俺たちのリアスさまに薄汚ねえ堕天使どもがくっついてやがるんだ?」

 「俺の親父は堕天使との戦いで死んじまったんだ……許せねえ……!」

 先ほどよりもさらに険悪で危険な雰囲気があたりを覆った。そしてその瞬間……

 

 ピュッ! と音を立てて、石が飛んできてレイナーレの顔に当たった。

 「キャアッ!!」

 「レイナーレっ!! や、やめてくださいっ!!」

 

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 僕は慌ててレイナーレをかばい、悪魔たちに向かって叫ぶも、僕の顔にも石が当たる。

 「うあっ!!」

 「ミ、ミコトっ!!」

 

 「ルオンっ!!」

 カラワーナさんが流音くんをかばうも、その彼女にも石が当たる。

 

「うわあっ!!」

「カ、カラワーナ先生っ!!」

 

 ボディーガードの人たちが銃を抜いて空に向かって威嚇射撃をする。すると石を投げていた悪魔たちはハッとした様子でその手を止める。その彼らに向かってグレモリー先輩が叫ぶ。

 

「皆、聞いて頂戴! あなたたちの気持ちは分かるわ! つい最近まで堕天使との戦いが続いて、あなたたちも、そして私たちも堕天使に身内の人を何人も殺されている! でも、私たち悪魔はもう堕天使と和平を結んだの! そしてここにいる堕天使たちはいわばその和平の証としての賓客としてこちらに招かれているの! お願い! ここは私に免じて彼らに手を出す事は控えて!」

 

 グレモリー先輩は悪魔たちに向かって頭を下げた。するとさすがに悪魔たちは恐縮したような表情を浮かべる。

 

 「リアスさま……しょ、承知致しました。おい、ここらでもう良いだろ。奴らに石ぶつけてやったし、リアスさまのお立場もある」

 「ああ、そうだな……おい、堕天使ども! リアスさまのお言葉に免じてこれで許してやるが、これに懲りてデカイ顔するんじゃねえぞ!」

 「リアスさま、お役目とはいえ、心中お察しします。おい! 堕天使ども、リアスさまに感謝しろよ!」

 彼らは僕たちを睨みつけ、グレモリー先輩に頭を下げつつ、去って行った。

 

「グレモリー先輩……ありがとうございます」

「礼には及ばないわ。私としては当然の事をしたまでだから」

「グレモリー先輩……」

 

 グレモリー先輩に一礼するとレイナーレの方に振り返る。

 「レイナーレ! 大丈夫!?」

 「だ、大丈夫よ……」

 

 レイナーレは気丈に答えるが、彼女の頬には血がにじんでいる。

 

 「ミコト……あなたも血が……」

 レイナーレの言葉に、それまでは気が高ぶっていて気が付かなかったが、額の右側がヒリヒリするのを感じてそこに手をやると、手にベットリと血が付いた。

 

 「カラワーナ先生っ! 大丈夫ですかっ!」

 流音くんの叫び声が聞こえる。そちらを見るとカラワーナさんがその場にうずくまって頭を押さえている。

 

 「だ、大丈夫だ……」

 カラワーナさんは言いつつも、彼女の頭からポタポタと血が滴っている。そこにアーシアさんが駆け寄って来る。

 

 「じっとしていてください」

 アーシアさんがカラワーナさんの頭に手を置いて神器【聖母の微笑】を発動させる。すると薄い緑色の光がカラワーナさんの怪我の箇所を覆い、彼女の出血はたちどころに止まった。

 

 さらにアーシアさんは今度はレイナーレの所に駆け寄ってきて、彼女の血のにじんだ頬に手を当てて神器を発動する。レイナーレの傷はたちどころに消える。続けてアーシアさんは僕の額にも手を当てて傷を癒やしてくれた。

 

 「これで大丈夫ですよ」

 「ア、アーシア……ありがとう!」

 「アーシア先輩!ありがとうございます!」

 「アーシア、ありがとう!」

 「アーシアさん、ありがとう!」

 

 「いえ、大事なくて良かったです」

 アーシアさんは優しく微笑む。そんな様子をグレモリー先輩や兵藤たちは複雑な表情で見つめている。

 

 「さあ、列車に乗るわよ」

 グレモリー先輩の声で地下鉄へと向かい、列車に乗った。5分ほどで、会場となる、この都市で最も大きな建物のプラットホームに着いた。

 

 若手悪魔の集う会場のある建物へと到着した僕たち。今日、ここの会場には名門の若手悪魔たちに、上級悪魔の幹部の人たちが集まるのだそうだ。

 

 僕たちは異種族なので本来ならば参加できる立場ではないのだが、今回はアザゼル様の要請をサーゼクス様が受け入れたという事で特別にゲストとして参加する事になったとの事だ。ボディガードの人たちはエレベーター前までしか随行できないようで、そこで待機となった。

 

 グレモリー先輩を先頭に地下からエレベーターに乗り込む。何とも広いエレベーターで、グレモリー眷属と僕たち全員が乗り込んでも十分余裕があるスペースだ。そこでグレモリー先輩は自分の眷属たちに言った。

 

 「皆、もう一度確認するわ。何が起こっても平常心でいること。何を言われても手を出さないこと……上にいるのは将来の私たちのライバルよ。無様な姿は見せられない」

 彼女の言葉にグレモリー眷属の面々も緊張感のある表情でうなずく。

 

 かなり上がったところで、ようやくエレベーターの扉が開いた。見渡す限りの広いホールだった。そこにいた使用人らしき人がグレモリー先輩に向かって会釈する。

 

 「ようこそ、グレモリー様。こちらへどうぞ」

 その人の後に続く僕たち。通路を進んでいくと、一角に複数の人影があった。

 

 「サイラオーグ!」

 グレモリー先輩がその人影の中の一人に呼びかけた。するとその人影も彼女を確認して近づいてくる。男性で、見た目は僕たちより少し年上くらいの年齢だ。

 

 黒髪で精悍な顔つきをした、筋肉質で背が高く体格の良い、格闘家という印象の青年だ。瞳は紫色で、どことなく顔立ちはサーゼクス様に似ているような気がする。

 

 「久しぶりだな。リアス」

 彼はグレモリー先輩とにこやかに握手を交わしている。様子から見て、グレモリー先輩と同等の名門の上級悪魔なのだろう。その体からは強烈なパワーが溢れているのを感じる。相当な実力者なのだろう。そして彼の眷属らしき悪魔たちがこちらに視線を送っている。皆、強そうな悪魔ばかりだ。

 

 「ええ、懐かしいわ。変わりないようで何よりよ。ああ、あなたと会うのが初めての者もいるわね……」

 グレモリー先輩は彼を自分の眷属……兵藤たちに紹介する。

 

 「彼はサイラオーグ。私の母方の従兄弟でもあるの」

 なるほど、従兄弟……だからサーゼクス様と似ているんだ

 

 「俺はサイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ」

 彼はそう兵藤たちに名乗った。

 

 僕は以前、アザゼル様から伺った話を思い出す。

 バアル家というと、確か悪魔の中では魔王に次ぐ【大王】の家系……! グレモリー先輩が彼と従兄妹という事は……ヴェネラナ様はバアル家の出身だったという事なのか?

 

 「そうか。彼らがリアスの新しい眷属か。ところで後ろの方にいるのは?」

 「ああ……彼女たちはあなたも聞いているでしょう? 以前、私のテリトリーに侵入して私たちと戦った例の堕天使たちよ。アザゼルの配下で、アザゼルがお兄様にどうしても私たちに同行させて欲しいと言ってきたから、連れて来たのよ」

 「そうか。あれがその堕天使たちか」

 

 「さっき名乗ったから聞いているかとは思うが、俺はサイラオーグ・バアル。魔王の家系、バアル家の次期当主だ。よろしくな。堕天使の諸君」

 彼は僕たちに握手を求めてきた。

 

 「あっ、ぼ、僕は堕天使の國原尊といいます。サイラオーグ・バアル様、どうぞよろしくお願いいたします」

 まさか挨拶されて握手を求められるなど思っていなかったので、緊張しつつ挨拶した。差し出された彼の手は僕の手よりもはるかに大きくてたくましく、簡単に握りつぶされてしまいそうだ。

 

 「そうか……お前が國原尊……話は聞いている。あの神器【情念の炎】の宿主である【黒龍王】。愛する堕天使レイナーレを守るためにリアスたちと二度に渡って戦って彼女を守り抜いているという男か。見たところずいぶんと華奢だが、潜在能力と勇気は大変なものがあるのだろうな……でなければ、本気のリアスたちを二度も阻む事などできないからな」

 

 僕って、もうそんなに名が知られているの……!?

 

 「そしてその堕天使レイナーレとは……」

 「は、はい、私です」

 レイナーレは緊張した面持ちで頭を下げる。

 

 「なるほど……美人だな。【黒龍王】、お前が命を賭けて守りたいと思うのも分かる。俺たちとお前たち堕天使とは長く争ってきたが、和平も成立して今後は共に【禍の団】などと戦っていく事になった。以後、よろしく頼む」

 サイラオーグ・バアル……サイラオーグ様は僕の目を見つめて力強く言った。

 

 「はい! よろしくお願いします!」

 僕は改めてサイラオーグ様に挨拶し、彼としっかりと握手を交わした。この人もサーゼクス様やセラフォルー様、ヴェネラナ様と同様に僕たちを偏見を持たずに公正に見てくれている。それが嬉しかった。

 

 「それで、こんな通路で何をしていたの?」

 グレモリー先輩がサイラオーグ様に聞く。

 

「ああ……くだらんから出てきただけだ」

「くだらない? 他のメンバーも来ているの?」

「ああ、アガレスもアスタロトも既に来ている。あげく、ゼファードルだ。着いた早々、ゼファードルとアガレスがやり合い始めてな……」

 

 サイラオーグ様は心底嫌そうな表情を浮かべている。ここに来た若手悪魔たちの間で何かいさかいでも起きているのか? と思った瞬間……

 

 ドオオオオオオオオオオオオオッ!! 

 凄まじい破砕音と共に建物が大きく揺れた。

 

 「………………!」

 グレモリー先輩がその音のした方、大きな扉の方へと向かう。

 

 「全く……だから開始前の会合などいらないと進言したんだ」

 サイラオーグ様が嘆息しつつ、自分の眷属らしき人たちと共にグレモリー先輩の後に続いた。兵藤たちグレモリー眷属たちも戸惑いつつもその後に続き、僕たちもそれに続く。

 

 開かれた大きな扉の向こうには、破壊され尽くした大広間があった。テーブルも椅子も装飾品も全て破壊されている!

 

 中央では二つの陣営に分かれた悪魔たちが睨み合っていた。互いに武器を取り出していて、一触即発の様相だ。一方はいかにも邪悪そうな風体の悪魔や魔物たちで、もう一方は比較的まともそうな姿の悪魔たちだ。しかし、共に冷たく殺気に満ちたオーラを放っている。

 

 一方、視界に広間の隅でテーブルを無事に保ったまま、どこ吹く風という感じで優雅にしている者たちが映る。にこやかに微笑みを浮かべている少年悪魔を中心に、皆フードを被った不気味そうな様子の人たちだ。

 

 あれ? 彼……ずっとこちらを見ているな……特にレイナーレとアーシアさんをじっと見ているような……何なんだろう?

 僕は少し微笑んでいる彼の事が気になった。すると次の瞬間……

 

 「ゼファードル、こんなところで戦いを始めても仕方なくてはなくて? 死ぬの? 死にたいの? 殺しても上に咎められないかしら?」

 睨み合う二チームの片方の主らしい、女性が冷たい口調で言った。灰色の長い髪に赤い瞳の眼鏡をかけ、青色のロープをまとっているクールな表情の美少女だ。とはいえ、僕のレイナーレの妖艶な美しさとセクシーさには及ばないが。

 

 「ハッ! 言ってろや、クソアマッ! 俺がせっかくそっちの個室で一発仕込んでやるって言ってやってんのによ! アガレスの姉ちゃんはガードが堅くて嫌だぜ! へっ、だから未だに男も寄ってこねえで処女やってんだろ!? ったく、魔王眷属の女どもはどいつもこいつも処女くさくて敵わねえぜ! だから俺が開通式をしてやろうと言ってんのによ!」

 もう片方のチームの主らしい、どう見ても不良という風体の男が下品な暴言を吐いた。

 

 緑色の髪を逆立たせ、顔にタトゥーを入れて、さらに裸に近い上半身にもタトゥーをいっぱい入れて、ズボンにも装飾品を大量に付けていた。これが本当に名門悪魔の御曹司だろうか。

 

 大体の事情は分かった。この不良悪魔が相手の彼女に汚らしいセクハラ発言をして、それに怒った彼女との間で喧嘩になったという事か。

 

 その不良悪魔……確か、ゼファードルとかいったか……がこちらを振り返り、僕たちと目が合う。彼がニヤリと笑う。

 「……!!」

 

「おう、こいつはたまげたぜ……俺たち上級悪魔の会合の場に薄汚ねえカラスどもが紛れ込んでいるとはよ……だが、そこの女ども、カラスの女にしちゃ上玉じゃねえか。なかなかエロイ体してるしよぉ~~そこの万年処女よりかぁ楽しませてくれそうじゃねえかあ~~」

 

 ゼファードルは口汚い暴言を吐き、レイナーレやカラワーナさんに下品な視線を送る。【カラス】とは黒い翼を持つ僕たち堕天使に対する蔑称だ。僕は激しい怒りを覚えるも、耐えて無視しようとするが……

 

 「見たところ、そこの男カラスどもはまるで女みてえに生っ白くてクッソ弱そうじゃねえか~~そいつらじゃとても満足できねえだろ~~? 俺が存分に楽しませてやるからこっちへ来なって!」

 ゼファードルは僕と流音くんを侮辱し、レイナーレとカラワーナさんに下品な言葉を浴びせかける。

 

 「っ!!」

 レイナーレとカラワーナさんが怒りにふるえ、レイナーレはキッ! とゼファードルを睨みつける。

 

【挿絵表示】

 

二人は今にも光槍を出現させてゼファードルに投げつけそうな勢いだ。それを見て青ざめていた流音くんも勇気を振り絞るように立ち上がる。僕は腕を広げてレイナーレたち三人を制して、ゼファードルと向かい合う。

 

 「ミコト……!」

 レイナーレが心配そうに僕の名を呼ぶ。正直怖い。だが、ここで彼女たちが彼に手を出したとなると大変な事になりかねない。ここは僕が彼に殴られてでもこの場を収めるしかない。

 

 「ああっ? 何だあ~~ひ弱な意気地なしのカラス野郎! この俺に楯突こうってえのか? 下等なカラスの分際でよ! たっぷりと痛めつけてやるぜえ~~」

 ゼファードルは僕を散々に嘲笑する。だがそこでサイラオーグ様が僕の前にさっと進み出ると、僕の肩にポン! と手を置いた。

 

「サイラオーグ様……」

「お前の勇気、確かに見せてもらった。ここは俺に任せろ」

 

 サイラオーグ様はゼファードルの前に進み出て、凄みのある一言を彼に放つ。

 「グラシャラボラス家の凶児ゼファードル、これ以上ふざけた真似をするなら俺が相手をする。いいか、これは最後通告だ。次の言動次第で、俺は拳を容赦なく放つ」

 

 ゼファードルは額に青筋を立てる。

 「て、てめえっ! バアル家の無能がっ…………」

 

 その言葉を言い切る前にドゴオッ!! と凄まじい一撃をサイラオーグ様はゼファードルの顔面に浴びせ、彼は吹っ飛ばされて広間の壁に叩き付けられ、失神し、床に突っ伏した。凄い……! たった一撃であんなに強い魔力を放っていた悪魔を……!

 

 「言ったはずだ。最後通告だと」

 サイラオーグ様は突っ伏しているゼファードルに言った。

 

 「おのれ!!」

 「よくもゼファードル様をっ!!」

 「バアル家め!!」

 ゼファードルの眷属たちがわめきつつ、サイラオーグ様に襲いかかろうとした。

 

 しかしサイラオーグ様は少しも動じない。

 「主を介抱しろ。まずはそれがお前らのやるべき事だ。俺に剣を向けてもお前たちに一つも得はない。これから大事な行事が始まるんだ。まずは主を回復させろ」

 

 ゼファードルの眷属たちは悔しそうにしつつも、サイラオーグ様に襲いかかろうとしていた動きを止めて、倒れている主のもとへと駆け寄って行った。

 

 次にサイラオーグ様はゼファードルと争っていた、確かアガレスという女性に目を向けた。サイラオーグ様に目を向けられた瞬間、彼女の顔が強張るのが分かった。

 

 「まだ時間はある。化粧をし直してこい。邪悪なものをまとったままでは行事もままならんからな」

 「わ、分かっています!」

 彼女は踵を返して、眷属たちと共に広間から出て行った。

 

 サイラオーグ様はそれを見届けると、今度は自分の眷属たちに命じる。

 「スタッフを呼んでこい。広間がメチャクチャ過ぎて、これではリアスと茶もできん」

 

 サイラオーグ様の堂々とした見事な態度に、僕は思わず目を見張る。ふと後ろをちらっと見ると、兵藤もサイラオーグ様を憧れの眼差しで見つめていた。彼としてはサイラオーグ様が僕たちをかばったのは面白くなかったであろうが、それ以上にサイラオーグ様の強さと男らしさに彼はひかれたようだ。

 

 状況が一段落したのを確認すると、僕とレイナーレはサイラオーグ様にお礼を述べた。

 「サイラオーグ様、ありがとうございました!」

 「ありがとうございます!」

 

 「いや、こちらこそ済まなかった。悪魔同士のくだらない喧嘩に、関係ないお前たちを巻き込んで大変な思いをさせてしまって。血の気の多い連中を集めれば問題の一つも出てくるのは当然なのに、それを良しとする旧家や上級悪魔の古い悪魔たちはどうしようもない。悪魔を代表して言わせて貰う。申し訳なかった」

 サイラオーグ様は済まなそうに頭を下げた。

 

 その時、聞き覚えのある声が響いた。

 「あ、國原にレイナーレさん! そして兵藤!」

 

 振り返るとそこには見知った駒王学園の制服に身を包んだ2人がいた。

 「匙くん! そして会長! こんにちは!」

 「匙じゃん。あ、会長も」

 

 「ごきげんよう、リアス、そして兵藤くんと國原くんにレイナーレさん」

 ソーナ会長も僕たちの挨拶に応えてくれる。

 

 そうか、生徒会メンバーもこちらに……そういえば会長のシトリー家もグレモリー家と並ぶ悪魔の名門だし、会長もリアス・グレモリーと同じく、現魔王の妹であるもの。当然か。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 大広間は、駆けつけたスタッフたちの魔力によって修復されて、ほぼ元に戻り、先ほどサイラオーグ様にKOされたゼファードルとその眷属を抜いた者たちがテーブルを囲み、順々に挨拶を交わしている。

 

 「私はシーグヴァイラ・アガレス。【大公】アガレス家の次期当主です」

 先ほどゼファードルとぶつかっていた女性が自己紹介をした。

 

 ちなみに彼女はあの後、僕たちに謝ってくれていた。

 「さっきは私たちの争いにあなたたちを巻き込んでしまって、ごめんなさい」と。

 

 いや、あれは彼女との争いとは関係なしにゼファードルが一方的に僕たちに因縁を付けてきたものであり、彼女との喧嘩があろうがなかろうが、彼は絡んできただろう。とはいえ、彼女が謝ってくれた事で、彼女が決して悪い人ではない事を認識できた。そもそも、あんな汚らしいセクハラ発言をされれば彼女が怒ったのも当然であるし。

 

 続いてグレモリー先輩とソーナ会長が続けて挨拶をした。公式の場での挨拶だという事で、席に着いているのはそれぞれグループの主だけであり、眷属たちは皆後ろに控えているという形だ。

 

 僕たちの扱いには皆も困惑していたようだが、僕たちは下級堕天使であり、堕天使を代表するような立場では全然ないので、後ろに控えさせていただきたいと自分たちからお願いして、そうさせてもらっている。

 

 次にサイラオーグ様が先ほどと同様に堂々たる態度で自己紹介し、その後、先ほど騒ぎの中で優雅にお茶を飲んでいた少年が自己紹介した。優しげな声で、顔から笑みを絶やさず。

 「僕はディオドラ・アスタロト。アスタロト家の次期当主です。皆さん、よろしく」

 

 【アスタロト】……確か現魔王ベルゼブブが出た家系か。さっきのゼファードルは【グラシャラボラス】。現魔王アスモデウスが出た家系のはず。あんな男が次期当主で良いのか?

 

 そう思うが、さっき、サイラオーグ様がその件について説明してくれた。

 「グラシャラボラス家は先日、お家騒動があったらしくてな。次期当主とされていた者が不慮の事故死を遂げたばかりだ。先ほどのゼファードルは新たな次期当主の候補という事になる」

 

 なるほど……いつの時代も大きな権勢を持った一族の相続問題というのは深刻な事態を引き起こすものだという事か。

 

 そう考えてみれば、下手に圧倒的な権勢や財力なんて持たない方が良いのかな? だって僕は……

 

 隣のレイナーレを見つめ、そっと手を握る。

 僕はレイナーレ、君さえいてくれればそれで良いもの。君を幸せに出来さえすれば、それで良いもの。

 

 「あっ……」

 レイナーレは小さな声を漏らすも、その後、微笑んでうなずいてくれる。

 

 こうしてトラブルはあったものの、悪魔の名家6家……グレモリー家、シトリー家、アスタロト家、グラシャラボラス家の現魔王を出している4家と、バアル家とアガレス家、その6家の次期当主が一同に会したという訳だ。

 

 若手悪魔たちの顔合わせが終わったところで、この後はサーゼクス様を初めとする魔王やその他の悪魔の指導者たちと、今、ここにいる若手悪魔たちが対面する行事が始まる。当然、悪魔ではない僕たちは参加出来るものではない。ここで退出という事になる。

 

 「じゃあ、僕たちはこれで失礼します。後、大変だと思うけれど頑張ってください」

 

 「ああ、じゃあ國原、レイナーレさん、またな」

 「レイナーレ様、ミコトさん、お疲れ様でした!」

 「ミコト、レイナーレ、またな!」

 匙やアーシアさん、ゼノヴィアさんが応えてくれる。

 

「大変だったわね。どうもお疲れ様」

「ありがとうございます」

 

 グレモリー先輩も素っ気ない感じではあるが返事を返してくれ、それに礼を述べる。あの悪魔たちに石をぶつけられた時も彼女は僕たちを庇ってやめさせてくれたのだし、彼女としては精一杯の対応をしてくれているのだろうと感じる。兵藤や木場、姫島先輩は相変わらず僕たちを無視した態度であるが。

 

 僕たちはソーナ会長にも挨拶し、その後、サイラオーグ様と目が合う。

 

 「サイラオーグ様、それでは失礼します。今日はありがとうございました!」

 「ああ、また会おう。【黒龍王】」

 サイラオーグ様は微笑み、肩を軽く叩いて励ましてくれた。

 

 会場を後にしようとすると、そこで背後から声がかかった。

 「やあ、初めまして【黒龍王】くん、そしてレイナーレさん」

 

 えっ……この声は……

 そちらを振り向く。するとそこにはあのデイオドラ・アスタロトが立っていた。顔には例の微笑を浮かべている。

 

 「あっ……これはアスタロト様、わざわざお声をかけていただき、ありがとうございます」

 「ありがとうございます。アスタロト様」

 僕とレイナーレは彼に深々と頭を下げる。

 

 するとデイオドラ・アスタロトは微笑を絶やさぬまま、レイナーレをじろじろとまるでなめ回すように見つめる。

 「あ、あの……」

 

 レイナーレが困惑した表情を浮かべる。僕も彼の態度に異様なものを感じて彼に尋ねる。

 「あの……アスタロト様、レイナーレが何か?」

 

 するとデイオドラ・アスタロトはレイナーレのそばに顔を寄せて、こうささやいた。

 「無様にドジを踏んだね。無能な下級堕天使さん」

 

 「!!!!」

 その酷い侮蔑の言葉にレイナーレの顔が引きつる。僕も驚愕と怒りで愕然とする。

 

 「な、何を……!?」

 僕は思わずふるえる声で言った。それに対してディオドラはフッと嘲りの笑みを浮かべる。

 

 「失礼。これから大事な会合があるのでね。君たち下賤な下級堕天使と違って僕は忙しいのさ」

 そう言い放つと、彼はその場を去って行った。すると少し離れたところで様子を見ていたカラワーナさんとミッテルトちゃん、流音くんが近寄って来る。

 

 「レイナーレ様、ミコト殿、どうかされましたか……?あの男が何か……?」

 「あのニヤケ面の悪魔に何か言われたんすか?」

 「國原先輩、レイナーレ先輩、あの人に何かひどい事を言われたんですか……?」

 心配そうに次々と聞いてきた。おそらく、僕たちの様子からただならぬものを感じ取ったのだろう。

 

 「う、うん……後で話すよ……」

 ここで騒いでも、過去の事を蒸し返されてレイナーレが余計、辛い思いをさせられるだけなのは分かっているから。何しろここにはあの事件の当事者で、未だにレイナーレの事を執念深く憎み続けている兵藤をはじめとするグレモリー眷属たちがいるのだから。

 

 嫌な気持ちを抱えながら会場を後にする。さっき、僕たちが堕天使だと気づいた者たちによって危害を加えられた事を鑑みて、地下鉄駅のすぐそばまで大きな自動車が来ていて、それに乗ってレイナルドさんの列車が待つ場所まで戻ったので、今度はそうした目に遭わずに済んだ。

 

 その列車の中で、皆に、先ほどディオドラとの間で起こった事を話す。

 

 「あの男がそんな事を……!」

 「あのニヤケ男! 許せないっす!」

 カラワーナさんとミッテルトちゃんが怒る。

 

 「でも、それではあの場では確かに下手に口に出せないですよね。あの場には兵藤先輩たちもいた事ですし……國原先輩、レイナーレ先輩、お気持ちお察しします」

 流音くんが僕たちを気遣ってそう言ってくれた。

 

「ありがとう。それともう一つ気になった事があったんだけれど……」

「えっ? 先輩、それは何ですか?」

「ミコトくん、何すか? それは」

 

 「うん……実はね……」

 僕はあの騒動の最中、ディオドラがレイナーレとアーシアさんをジロジロと見ていた事を話した。

 

 「そ、そうだったの……!」

 レイナーレがゾッとしたというような表情を浮かべた。無理もない。

 

 「でも、レイナーレ姉さまとアーシアじゃ、全然タイプ違うっすけどね……」

 「あのチンピラ悪魔と同じで、ちょっと顔の良い女なら誰でも良いというタイプという事か?」

 ミッテルトちゃんとカラワーナさんが首をかしげる。

 

 「でも、あの人がレイナーレ先輩に言った言葉が、先ほど國原先輩が言われた言葉通りとするなら、明らかにレイナーレ先輩に好意を持ってはいないですよね……」

 流音くんが言った。

 

 確かにそうだ。あのディオドラの言葉……あれはレイナーレに対するひどい侮蔑の言葉以外の何物でもなかった。心の底から見下し、軽蔑しているという態度だった。それはあの兵藤のレイナーレへの執拗な憎しみとはまた違ったもの。

 

 そして明らかに、彼はかつてレイナーレとアーシアさんの間に起こった事件の事を知っている。その上でのあの態度……何だか胸騒ぎがする!

 僕はこの件をアザゼル様にお伝えしておく事に決めた。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 リアス部長や一誠たちと共に若手悪魔の会合の場にやって来た僕。本来、僕はオカルト研究部員ではあってもリアス部長の眷属ではなく、悪魔でもない為、この会合に参加する資格はないのだが、リアス部長の推薦という形で特例で参加させてもらえたのだ。

 

 それには、あの【黒龍王】國原尊やレイナーレたちが堕天使の身でありながら、アザゼルの推薦という形で特例で参加を認められたという事があり、リアス部長はその点を突いて、僕の参加を認めさせる事に成功したのだ。

 

 とはいえ、國原尊たちが参加を認められたのは若手悪魔の会合、すなわち彼らの顔合わせまでであり、その後の魔王たち悪魔界の指導者たちも列席しての会合には彼らも参加は認められなかったので、必然的に僕の参加も若手悪魔の顔見せまでだ。

 

 だが、それで十分だ。後の正式な会合で話された事は、部長や一誠、祐斗を通じて十分情報を得る事が出来るし、若手悪魔の顔見せに参加出来るだけでも、僕としては今回の目的については十分果たす事が出来るからだ。

 

 その会場で予定通り、【彼】に会った。実に好都合な事に、僕を疑っているアザゼルはその場におらず、その上、その場でいきなり、アガレス家とグラシャラボラス家の次期当主が派手に争いを始めてくれて、さらにイカれたグラシャラボラス家の次期当主が國原尊たちに因縁までつけてくれたおかげで、そこにいる皆の注意が完全にそちらに向いてくれた。

 

 その隙に僕は【彼】、すなわち我々【禍の団】の同盟者である、アスタロト家次期当主のディオドラ・アスタロトに、周囲の者に全く気付かれる事なく接触する事が出来た。

 

 「やあ、久しぶりだね。【例のモノ】は持って来てくれたかい?」

 「もちろん」

 僕は隠し持っていた【例のモノ】を彼に渡す。

 

 「サンキュー、これで僕の計画も成就したも同然だね。後は計画を実行に移していくだけ……そちらの準備も順調かな?」

 「うん。僕とシャルバで万事怠りなく進めているよ」

 「上々」

 ディオドラは上機嫌で微笑み、お茶をすする。

 

「ところで、ちょっと君にお願いがあるんだけれど……」

「何かな? 言ってみて」

 

 そこで僕は【あの人物】に接触するつもりである事を彼に話した。

 

「なるほどね……クルゼレイにでも頼まれたのかな? それともまた戦力に出来ればというところかな?」

「まあ、両方だね」

「分かった。では僕の方で牢番を買収しておくよ」

 

 こうして用を済ませた僕は素知らぬ顔で若手悪魔の顔合わせの場に参加した。だが、そこで自己紹介した若手悪魔の一人でリアス部長の従兄弟というサイラオーグ・バアル……あの男が鋭い目で自分を観察しているのに気づく。

 

 自己紹介の後、僕はサイラオーグがリアス部長に話しかけるのを目撃する。

 「リアス、こちらに来てくれ」

 

 二人で席を外したのを確認し、その後を気づかれぬように追って、様子を確認する。

 「リアス、お前が連れてきた中で、一人、悪魔ではない奴がいたな?」

 「陽太郎の事?」

 

「ああ、キザキヨウタロウとかいう男だ。あの男、ただ者ではないな。強力な力を秘めている。この俺でも敵うかどうか分からないくらいの……」

「ええ、あなたが言う通り、彼は凄く強いわ。私なんてとても敵わないほどに。それで、そんな事を言うなんて、彼の事を疑っているの?」

「いや、そこまで言うつもりはないが……気になるんだ」

 

「大丈夫よ。彼は【魔人】だと自分の事を明かしてくれたけれど、イッセーがあのミコトとの戦いで暴走した時にも、私たちがコカビエルや【禍の団】との戦いで危機に陥った時にも私たちを助けてくれた。そして、自分から私に【一緒に戦わせて欲しい】って言って仲間になってくれたの。イッセーとも祐斗ともとても仲が良くて、うちの眷属の皆から好かれているわ」

「なるほど【魔人】か……」

 

 そんなやり取りを聞く事が出来た。さすがに若手悪魔のナンバーワンで将来の魔王候補、僕の力をある程度、感じ取っているという事か。

 

 あの男も要注意人物だな。

 と思いつつ、まずは当面の目的を果たすべく動く事にする。

 

 「じゃあ、僕はこれで失礼するよ。お屋敷に帰るついでに、ちょっとこちらの知り合いの所に寄って来るから、皆より帰るのが遅くなるかもしれないけどね」

 僕はこれから魔王たちとの会合に出席する一誠と祐斗に声をかけた。

 

 「おう、そうか! 鬼崎、じゃあ後でな!」

 「陽太郎くん、後でね!」

 二人は手を振って見送ってくれる。さらに僕はリアス部長にも挨拶して、その場を退出し、【彼女】の元へと向かった。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 グレモリー邸へと戻ってきた僕たちは、会談を終えてこちらにやって来られたアザゼル様に出迎えられた。広いリビングに集合して、アザゼル様に今日の事を中心に、これまで起こった事を報告した。

 

「そうか……そりゃ大変だったな。だが、人間もそうだが、悪魔にも良い奴も悪りい奴もいるし、気の合う奴もいりゃ、合わねえ奴もいるって事だ。辛い思いもさせちまったが、ここでリアスを除くグレモリーの一族や若手悪魔NO1のサイラオーグと誼を結べたのは大きい。そういう事で納得してくれ」

 

 悪魔たちに石を投げられたり、ゼファードルに絡まれたり、ディオドラに侮辱されたりと散々な思いをさせられたが、アザゼル様のお言葉を聞いて、改めてここに来た事が無駄ではない事を実感し、落ち込んでいた気持ちがまた高揚するのを感じる。

 「はっ! お言葉の通り、辛い事もありましたが、多くの事を学びました!」

 

 「よし! 今日は後はゆっくり休め! 予定通り明日から特訓を開始するぜ。既に各自のトレーニングメニューは考えてある」

「はっ! しかし、総督閣下はグレモリー眷属の特訓も担当されるのでは? グレモリー眷属と僕たちは別々に訓練を行うとお聞きしましたが……その、お一人で大丈夫なのでしょうか?」

「ああ、もちろん、全員を俺が一人で指導なんか出来ねえよ。だからいろんな奴にそれぞれ違う場所で分担して指導してもらう事になる。まあ、明日になれば分かるぜ」

 

 「そ、それで総督閣下、以前、私とミコトは一緒に訓練させていただけると仰られましたが、それは大丈夫でございましょうか?」

 レイナーレが不安そうに聞く。そう、僕もレイナーレもお互い、何日も引き離されるなんて到底耐えられない!

 

 「ハハハハッ! そいつは大丈夫だ。何しろ尊、お前の神器はレイナーレがいてこそ威力を発揮出来るモンだし、レイナーレ、お前の神器も尊がいなきゃ発動出来ねえ。お前たちはまさに【一蓮托生】、【二人で一つ】だからな」

 良かった! これでたとえ訓練が大変でもきっと耐えられる!

 

 「あ、ありがとうございますっ!」

 「いやいや、しかし、お前たちの訓練を担当する奴は、さぞぶったまげる事だろうよ……」

 

 「あ、あの、國原先輩とレイナーレ先輩の二人での訓練というのはどんなものなのでしょうか?」

 「聞くなっ!」

 興味津々という表情で尋ねる流音くんをカラワーナさんが真っ赤な顔で一喝する。その様子にミッテルトちゃんはニヤニヤする。

 

「良い子は見ちゃいけないもんっすよぉ~~♪」

「そ、そうなの……?」

 

 「まあ、差し当たり、尊とレイナーレ、カラワーナと流音とミッテルトの2つに分かれて訓練をする。そして最終的には合同でやるって事にするぞ」

 「…………………」

 アザゼル様の説明にカラワーナさんは顔を真っ赤にしている。

 

 「どうした? カラワーナ、不満か?」

 「い、いえ……た、ただ……」

 アザゼル様に問われたカラワーナさんはますます顔を赤くする。

 

「まあ、お前の言いたい事は分かるぜ。ただ、いずれ敵と戦闘という事になりゃ、流音も嫌でも目にする事になるからよ。今のうちに慣れさせておくってのも手だぜ。それに俺にゃ、いろいろと考えがあってな」

「お考え……でございますか?」

 

「いずれ分かる。きっとお前たちに凄く役立つ事になるからよ」

「は、はっ……!」

 

 カラワーナさんはやむなくという感じで納得したようだ。一方、流音くんは首をかしげて考え込んでいる。

 「一体、どんな訓練を、どんな戦い方をするんだろう?」

 

 「まあ、とにかく明日の朝、庭に集合だ。そこでそれぞれの修行方法を教える。覚悟しろよ」

 「はっ! あの、総督閣下、実はもう一つ、お伝えしておきたい事があるのですが……」

「何だ? 言ってみろ」

 

 僕は今日起こった出来事の中で、唯一、まだアザゼル様にお伝えしていなかった、ディオドラとの一件を話した。

 「何? アスタロト家の小僧がお前たちにそんな事を? そしてアーシアに興味を示していたと……」

 

 アザゼル様はしばらく考え込むような様子を見せて、仰られた。

 「分かった。奴に関して調べてみる」

 

「はっ!ありがとうございます!」

「良いって事よ。部下の面倒をみるのは当たり前だからな。それはそうと、俺の方でもちょっとお前たちに聞きたいんだが……」

「はっ! 何でございますか?」

「あの鬼崎って小僧だが、奴に何か変わった事はなかったか?」

 

 「鬼崎陽太郎ですか……」

 彼について色々と思い起こしてみたが、特にこれといって怪しい行動は思い当たらなかった。というか、今日の僕たちはトラブル続きで自分たちの事で精一杯であり、彼に注意する余裕などなかったというのが本当のところだ。

 

 「特にこれといった事は……ただ、彼は悪魔ではないので僕たちと同様に参加出来るのは若手悪魔の方々の顔合わせまでで、それが終わった後は帰ると聞いていましたので、きっとこちらに戻ったのかと」

 「実はまだ、奴はこちらには戻ってねえんだ」

 「えっ!? ではどちらに?」

 「分からねえ。ただ、奴は絶対に何かを企んでる。俺も今回は仕方ねえとはいえ、奴から目を離しちまった。だが、今後は可能な限り奴を見張る。お前たちも奴に気になる事があればすぐに報告してくれ」

 「はっ!」

 

 その後、グレモリー眷属の面々が帰って来て、共に夕食となった。そして夕食後、しばらくしてグレイフィア様が現れて言った。

 「皆様、温泉のご用意が出来ました」

 

(次回に続く)




 今回の更新、特に10月に入ってから仕事が物凄く忙しくなり、また体調不良に見舞われたりもあって、前回の更新から1ヶ月以上かかってしまいました……(>_<)

 今回のお話ですが、まず冒頭のグレモリー邸での夕食の場面。リアスの両親が一誠を娘の将来の婿と見込んで特別扱いをする様子を見て尊とレイナーレの間で交わされた会話。改めて尊と一誠の恋愛観の違いをはっきりと浮き彫りにしたお話でした。そしてこの違いこそが両者の相互理解と歩み寄りを決定的に困難にしているのですよね……

 その後の尊とレイナーレのラブラブエッチ!この2人の熱愛バカップル振りは何があろうとも変わりません!(笑)

 尊たちがリアスのファンである悪魔たちのグループに堕天使である事を気付かれて石を投げつけられた場面……原作でも当初、グレモリー眷属の面々が堕天使に深い憎悪と不信感を抱いていたように、両種族の間には長い戦いによって深い怨恨が満ちている、それを示すエピソードとして取り上げました。

 その後、若手悪魔の会合の場において、尊たちがゼファードルに絡まれて、サイラオーグによって助けられる場面、サイラオーグの性格だと尊の愛する女性を命を賭けて守るという勇気を、きっと評価して共感するに違いないと思いつつ書きました。今後の展開を考えれば、ここでサイラオーグの好感を得たというのは尊たちにとっては大きいですね。

 レイナーレはもちろん知らなかったわけですが、彼女にとって因縁のある男、ディオドラとの対面。初対面の尊やレイナーレをわざわざあのように侮辱して、彼らの怒りと疑惑を買う態度に、ディオドラの自らの地位を鼻に掛けて相手を見下す性格と、彼の迂闊さがよく現れています。ちなみに鬼崎がディオドラに渡した【例のモノ】が何であるかは、原作を読まれた方であればお分かりになると思います。

 そして鬼崎の暗躍……彼が会おうとしている【ある人物】とは一体、誰なのか……

 次回は堕天使一行及びグレモリー眷属の温泉シーン、その後はいよいよ特訓へと入っていきます!

 それでは、次回をお楽しみに!(*´∀`*)
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