※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D~情念の炎~(完全版)   作:ドミトリ

33 / 45
 魔王主催のパーティに参加した尊とレイナーレだが、2人に悪魔たちの厳しい視線が注がれる。

 そしてパーティを抜け出した尊たち。彼らがそこで遭遇した事態は!


第33話・ニプルクィーン参上!(前編)

 僕とレイナーレはパーティ会場をさまよっていた。レイナーレの素晴らしい容姿に見惚れて視線を送る悪魔の男たちは多いが、上級悪魔である彼らにはすぐに雰囲気で、彼女や僕が堕天使である事が分かってしまう。

 

 すると途端に寄りつこうとはしなくなり僕たちを胡散臭そうにジロジロと見ている。まあ、レイナーレに言い寄られたなら言い寄られたで、それもまた大いに困るが。

 

「おい、間違いない。あの女、堕天使だ。一緒にいるあの小僧も堕天使だ」

「それにあの二人、間違いなく下級の堕天使だな。なんでそんな薄汚い奴らが、我々誇り高き上級悪魔が集う、この晴れの場にいるんだ?」

 

「だが、あの女、美人で胸がデカイし、体つきがいやらしくて凄い色気だな。俺、見てるだけで勃っちまいそうだ」

「まさに売春婦そのものという感じね。あの女。こんな所にのうのうとあんないやらしい姿で出てきて、羞恥心というものがないのかしらね? やっぱり堕天使の女って下品ね」

 

 悪意に満ちた声があちこちから聞こえて来て、レイナーレは怒りに身を震わせつつ必死に耐えていて、僕も怒りといたたまれない気持ちになる。

 「レイナーレ、もうここを出ようか?」

 

 「あら、こんな所に下級堕天使がいるなんて……珍しいですわね」

 明らかに見下した口調の女の声が響く。

 

 「!?」

 僕たちが振り向くと、そこには金髪碧眼の、髪を縦ロールのツインテールにまとめ、ピンク色のドレスを着た、見るからにお嬢様然とした少女がいた。歳は僕よりも少し下くらいか。相当な美少女だが、我の強そうな表情をしている。

 

 「あなたは?」

 「あなた方のような下級堕天使に名乗る名前はなくてよ……と言いたいところですけど、まあ、名乗って差し上げますわ。レイヴェル・フェニックスと申します」

 自慢げにその少女は名乗った。

 

 「レイヴェル・フェニックス……」

 聞き覚えのある名前に僕は記憶を探る。

 

「あっ、兵藤くんがグレモリー先輩の婚約者だったライザー・フェニックス様という方に決闘を挑んで勝って、婚約を解消させたとアザゼル様やグレモリー先輩から聞きましたが……あなたはもしやそのライザー・フェニックス様の関係者の方ですか?」

「ライザー・フェニックスは私の兄ですわ。そう、イッセー様に敗れてリアス様を取られてしまい、すっかり落ち込んでしまいましたの。まあ、あれは才能に頼って調子に乗っていたお兄様にとっては良い薬にもなりましたけど……」

 

 そうか……彼女はライザー・フェニックスの妹。どうやら彼女は兵藤とも面識があるようだ。しかも彼女は自分の兄を打ち負かした兵藤の事を悪くは思っていないようだ。

 

「それにしても……あなた方、イッセー様やリアス様とお知り合いのようですわね。でも、何か気になりますわ……あの、あなた方のお名前は?」

「あっ、僕は國原尊と申します。そしてこちらが僕の恋人の……」

「レイナーレです」

「クニハラ・ミコトさん……そしてレイナーレさん……どこかで聞いた名ですわね……ええと……」

 

「あっ! 思い出しましたわ! イッセー様を色仕掛けで騙して殺して、イッセー様がリアス様の眷属となるきっかけを作り、その後、イッセー様に負けて命からがら逃げ出した女堕天使が確かレイナーレという名前だったはず! そしてその恋人でイッセー様と戦ったのがクニハラ・ミコトという男……!」

 

 レイヴェル・フェニックスの声が大きかったため、周辺の人に丸聞こえとなり、皆の好奇と侮蔑に満ちた視線がレイナーレと僕に注がれる。

 「ほう……あの女が……なるほどな」

 「よく、それでこんな所に来れたものだな」

 「恥知らずな女」

 「あの少年がクニハラ・ミコト? あのヒョウドウ・イッセイ殿と引き分けたという……貧弱な体つきでナヨナヨしていてとてもそうは見えないが……」

 

 「なるほど……やはり、その露出狂の下品な姿といい、卑しさは隠せませんわね。なぜ、こんな所にのうのうと来られたのかは分かりませんけれど、イッセー様にあなたがした事は絶対に許せませんわ!」

 レイヴェル・フェニックスはレイナーレを睨みつけて叫んだ。その声には怒気がこもっている。

 

 そうか……この娘も兵藤の事を……!

 僕がそれを察した瞬間、レイヴェル・フェニックスは今度は僕を睨みつける。

 

 「あなた、イッセー様と引き分けたって本当ですの? 見た所、イッセー様に比べて肩幅も筋肉もなくて男らしさの欠片もない貧弱な体ですし、なよっとして頼りなさげで……私のお兄様のパンチ一撃で吹っ飛びそうですわね♪ 何か卑怯な手でも使ったんじゃありませんこと♪」

 彼女は侮蔑に満ちた目で僕を見つめ、嘲笑する。するとその時……

 

 「ふざけないで! 鳥頭の小娘!」

 「な、何ですってっ!」

 レイナーレが怒りの叫びを上げ、それを聞いたレイヴェル・フェニックスが顔を引きつらせる。

 

「私の事なら好きなだけ言っていいわ! でも、私のミコトを侮辱しないでっ! 何よっ! 家柄を鼻にかけてセンス悪い成金趣味のドレスを自慢げに着込んで、高慢にふんぞり返っている世間知らずの小娘なんかに私のミコトの素晴らしさが分かる訳ないわっ!」

「この露出狂の下品な恥知らずの堕天使……! 言わせておけば!」

 

 一触即発の状態で睨み合うレイナーレとレイヴェル・フェニックス。騒然となる辺りの雰囲気。そこで騒ぎを聞きつけたカラワーナさんと流音くん、ミッテルトちゃんが駆け寄って来る。

 

「レイナーレ様! ミコト殿! 急いでここを立ち去りましょう! ここにこれ以上いても、状況は悪くなる一方ですから!」

「そうっすよ! 姉さま! ミコトくん! ここを早く出るっすよ!」

「國原先輩! レイナーレ先輩! 行きましょう!」

 

 確かに、このままここにいては状況は悪化するばかりだ。僕は3人にうなずくとレイナーレの手を引いて、急いでその場を離れる。

 

 「お待ちなさいっ! 逃げるんですのっ!? 臆病者っ!」

 レイヴェル・フェニックスが叫ぶのを無視して、僕たちは騒然とする会場を後に、エレベータに乗り込んで1階まで降りた。

 

 「あの……ミコト、ごめんなさい。私のせいでこんな事になってしまって……」

 申し訳なさそうに言うレイナーレを僕はギュッ! と抱きしめる。

 

「あっ……ミコト……」

「ううん、そんな事ないよ。ありがとう、レイナーレ。僕のために怒ってくれて……」

「ミコト……」

 

 「レイナーレ様、ミコト殿、もうあそこには戻らない方が良いです。しばらくこのホテルの周辺で時間を潰して、パーティが終わる頃に戻って帰れば良いと思います。大丈夫です。今回の件は先に突っかかって来た、あの娘の方に非がありますし、あの状況からしても、あの場を出たのは最善の行動ですから」

 「そうっすよ! もし、姉さまとミコトくんが、あのヘンな髪型の悪魔女たちにまた出くわすのが嫌なら、ウチが一足先に戻って、あのドラゴンさんたちに姉さまとミコトくんがいる所まで迎えに来るようお願いするっす!」

 「そうですよ! 僕たちが何とかしますから、レイナーレ先輩も、國原先輩も安心してくださいね!」

 カラワーナさんとミッテルトちゃん、流音くんがそう僕たちを励ましてくれる。

 

 「ありがとう……本当に……!」

 「ありがとう……!」

 僕は目頭が熱くなるのを感じ、レイナーレも目を潤ませる。

 

 そして僕たちは周辺一帯を散策する。ホテルの前の大きな噴水を見て、きらびやかなイルミネーションの数々を見つめる。

 

 「ねえ、ミコト、あちらの森へ行ってみない?」

 レイナーレがホテル周辺にある森の方を示す。

 

 「森へ? でも、あまり奥へ進んでこちらへの戻り方が分からなくなったらまずいけれど……」

 「遠くへ行かなければ大丈夫よ。ねっ、少しだけで良いから行ってみましょう」

 レイナーレは僕の腕にすがりついておねだりする仕草を見せる。

 

 「う、うん……じゃあ少しなら……皆、良いよね?」

 カラワーナさんたちも少しなら問題ないと同意してくれて、僕たちは森へと向かった。

 

 森の入口に入った僕たち、そこは人の手がそこそこ入っているようで、思ったよりも歩きやすい。

 

 夜の森は幻想的だ。木々のそよぐ音が聞こえ、鳥や虫の声が聞こえる。空を見上げると満点の星空だ!

 「綺麗ね……!」

 「うん……!」

 

 僕とレイナーレは身を寄せ合って夜空を見上げる。レイナーレはいつも以上に歩く時も、このように止まった時も、僕の体にぴったりと絶対に離れまいとするように寄り添ってくる。そんな彼女を僕はとてもいじらしいと感じる。普段なら【ベタベタし過ぎ】【バカップル過ぎ】と言ってくるミッテルトちゃんも、今夜はあんな事があったからか、何も言わずに見守ってくれている。

 

 「本当に綺麗ですね……」

 「ああ……そうだな……」

 カラワーナさんと流音くんもいつしか身を寄せ合って星空を見上げている。僕はそれを微笑ましく思う。しばらくしてさらに先へと足を進める。だが、その時……

 

 僕たちは前方に何かを探し求めるようにキョロキョロとしながら動いている小柄な人の姿を認める。それを見てミッテルトちゃんが小さく叫ぶ。

 「あっ! あれはあのドチビっす!」

 「えっ! 塔城さん!?」

 「ええ、間違いないわね」

 

 そう、それはまさにあのグレモリー眷属の一員の塔城小猫だった。どうやら、彼女以外のグレモリー眷属の面々は少なくともこの周辺にはいないようだ。

 

「アイツ、こんな所で一体、一人で何してるっすか?」

「さあ……分からないわね……」

「…………」

 

 塔城は何かを夢中で探していて、僕たちの存在には全く気付いていない様子だ。しばらくして彼女は何かに気付いて視線をその方向へと向ける。僕たちもそちらへ視線を向ける。すると……

 

 「久しぶりじゃない?」

 聞き覚えのない女性の声が響き、それと共に音もなく現れたのは……

 

 黒い着物を身につけた女性だ。両肩をはだけさせて足も丸出しの露出度の高い姿をしている。長い黒髪で、はだけた着物から深い胸の谷間がのぞいている。おそらく、レイナーレと同じ位のサイズはあるだろう。妖艶な雰囲気の美女だ。

 

 その整った顔立ちの両眼は金色に妖しく光り、頭に大きな猫のような耳がビン! と立っている。よく見ると尻尾もあるのが分かる。

 

 【猫又】……!

 そう、それは日本の昔話に出てくる妖怪……【猫又】、そのままの姿だった。

 

【挿絵表示】

 

 「白音(しろね)、よく来てくれたわね♪ そして……思いがけないお客さんもご一緒に来てくれたにゃ……ハロー、そこの堕天使の皆さん、初めまして♪」

 彼女は僕たちに視線を向けて悪戯っぽく微笑んだ。どうやら、塔城と知り合いらしい。

 

 それにしても、今、彼女は塔城の事を【白音〔しろね〕】と呼んでいたけれど……

 塔城は驚いた様子でその猫又の女性を見つめ、つぶやく。

 「黒歌(くろか)姉さま……」

 

 【姉さま】……じゃあ、彼女は搭城の姉で、彼女が呼んでいた白音というのが塔城の本名。という事は……塔城も元々は猫又という事か……

 

 僕は少々驚いたが、それならばあの塔城の飛び抜けた俊敏さと、あの小さな体からは想像も出来ないパワーも納得出来るし、言われてみれば何となく二人の顔は似ている。もっとも、姉が僕のレイナーレに匹敵するセクシーボディであるのに対して、妹の塔城は比較にならない幼児体型(失礼!)だが。

 

 「堕天使たち……どうしてここに……?」

 塔城は訝し気に僕たちを見つめたが、すぐに彼女は【黒歌】という猫又の女性……彼女の姉の方に向き直る。

 

 その時、黒歌の足下に黒い猫がすり寄る。黒歌は楽しそうに笑う。

 「会場に紛れ込ませた、この黒猫一匹でここまで来てくれるなんて、お姉さん感動しちゃうにゃ!」

 

 「姉さま……これはどういう事ですか?」

 塔城は怒気を含んだ声だ。どうやらこの姉妹は何か事情があるのか、いや、塔城が本来とは違う名前でグレモリー眷属の一員となっている事からしても、特殊な事情がある事は十分推測出来るが、少なくとも塔城は姉との再会を喜ぶという風では全くないようだ。

 

 「怖い顔しないで。ちょっと野暮用なの。悪魔さんたちがここで大きな催ししているっていうじゃない。だからぁ、ちょっと気になっちゃって。にゃん♪」

 黒歌は猫又らしく猫のようなポーズを取って妹にウィンクする。

 

 「ハハハハ、こいつ、もしかしてグレモリー眷属かい?」

 以前、聞いた声が響いた。姿を現したのは古代中国の鎧のようなものを身につけた男。

 

 美猴……!

 そう、あの三勢力会談襲撃事件の時に会った、ヴァーリさんの仲間で孫悟空の末裔で【禍の団】の一員。彼がここに現れたという事は、パーティ会場を狙ったテロを目論んでの事か!? さらにこの黒歌も【禍の団】の一員。姉妹で敵対陣営に分かれているという事か。それなら姉に対する塔城の態度もうなずける。

 

 「ミコト……!」

 隣にいるレイナーレが僕の腕をぎゅっ! と掴む。その彼女に僕はうなずく。そんな僕たちに美猴が視線を向ける。

 

 「へえ……【黒龍王】、以前と雰囲気が変わったねぃ。なるほど、カノジョと同じ堕天使になったのかい。以前よりかはだいぶ強くなったみたいでねぃ。堕天使の姉ちゃんも相変わらず色っぽいねぃ♪ そこの可愛いボウヤ、初めて会うねぃ。やっぱ堕天使かい」

 美猴は余裕綽綽という感じで僕とレイナーレ、流音くんに話しかけた。

 

「あ、あの……國原先輩……この人は?」

「前に教えた、あの【禍の団】の一員だよ」

「えっ! この人が!」

 

 流音くんは驚くが、彼の華奢な肩をカラワーナさんがぎゅっ! と抱く。

 「カラワーナ先生……!」

 「ルオン……動じるな」

 

 「へーーーっ……この子が【黒龍王】なの? ずいぶんと可愛らしいにゃん♪ そしてこれが例の堕天使……なるほど、噂通りのバカップルぶりにゃん♪ そちらの子もずいぶんと可愛いにゃ♪」

 黒歌が僕と流音くんに向かってウインクして見せる。その彼女をレイナーレとカラワーナさんはキッ! と怒った目で睨み付ける。

 

 「それで、あなた方はどうしてここにいるんですか? もしかしてパーティに対するテロを?」

 僕はずばり直球で聞く。だが美猴と黒歌の二人は余裕の笑みを浮かべている。

 

「いんや、そういうのは俺っちに降りてきてないねぃ。ただ、冥界で待機命令が出ていてねぃ。俺も黒歌も非番なのさ。そしたら、黒歌が悪魔のパーティ会場を見学してくるって言い出してねぃ。なかなか帰ってこないから、こうして迎えに来たわけ。OK?」

 

 美猴の言う事が嘘でないなら、大体事情は分かった。黒歌が自分の使い魔の黒猫を使ってパーティ会場を見ていて、それを塔城が偶然発見して追いかけ、ここに来たという訳か……

 

 「黒歌~~帰ろうや。どうせ俺っちらはあのパーティに参加出来ないんだし、無駄さね」

 美猴は緊張感皆無という感じであくびをする。どうやら、嘘は言っていないようだ。

 

「そうね。帰ろうかしら。ただ、白音は頂くにゃん。あの時、連れて行ってあげられなかったからね♪」

「あらら、勝手に連れ帰ったらヴァーリ怒るかもだぜ?」

「この子にも私と同じ力が流れていると知れば、オーフィスもヴァーリも納得するでしょ?」

「そりゃそうかもしれんけどさ……」

 

 黒歌の主張に美猴は少々戸惑った様子は見せつつも、黙認するという態度だ。そして黒歌は目を細めて搭城を見つめる。

 

 「…………!!」

 搭城はビクッ! と小さな体をふるわせる。明らかに嫌がり、怯えている様子だ。それを見て僕は考える。

 

 目の前の美猴は以前、僕たちの目前であの鬼崎と互角の戦いを繰り広げて見せた猛者だ。そして黒歌も相当な実力者である事は間違いないはず。はっきりいって戦えば僕たちの側が圧倒的に不利なのは否めない。そんな命がけの戦いを愛するレイナーレや、カラワーナさんやミッテルトちゃん、流音くんの命を危険にさらして塔城の為にする義理など、これまでの彼女との関係を思えば全くない。だが……

 

 ここで僕たちが、黒歌たちが塔城を連れ去るのを傍観したと知られれば、兵藤たちグレモリー眷属たちの中の、最近、和らいではきている僕たちへの不信感と憎悪は再び増大するのは間違いない。

 

 いや、それだけならまだしも、これまで兵藤たちを抑えて僕たちを庇っていてくれた、グレモリー卿やヴェネラナ様、さらにはサーゼクス様にまで嫌悪の感情を抱かれかねない! そうなれば堕天使と悪魔の和平にも亀裂をもたらしかねない! どうすれば……!?

 僕の心を葛藤と迷いが駆け巡る。するとその時……!

 

 「小猫ちゃんっ!」

 「小猫っ!」

 搭城を呼ぶ声が響く。

 

 兵藤……! そしてグレモリー先輩……!

 きっとパーティ会場から塔城が抜け出したのに気付き、追ってきたのだろう。

 

 「イッセー先輩! 部長!」

 塔城が驚いた様子で二人を見つめる。

 

 「……! クソ猿……! レイナーレに國原、お前ら、どうしてここに?」

 兵藤が驚いた様子で美猴と僕たちを見つめる。

 

 「あんたは……?」

 兵藤は僕たちから黒歌に視線を移して彼女に問う。一方、グレモリー先輩も黒歌を見て驚きの表情を浮かべる。

 

 「黒歌……!」

 様子から見るに、兵藤は黒歌とは初対面であるようだが、グレモリー先輩は彼女と面識があるようだ。

 

 「よう、クソ猿さん。ヴァーリは元気かよ?」

 「ハハハハ、まあねぃ。そっちは……へぇ、多少は強くなったのかねぃ」

 「…………?」

 美猴の言葉に兵藤は怪訝そうな表情を浮かべる。

 

「俺っちは【仙術】も嗜んでいるんでねぃ。気の流れとかである程度は分かるのさ。お前さんを覆うオーラの量が以前よりも上がっていたんでねぃ」

 

 そうか。さっき美猴は僕にも同様に【以前よりは強くなった】と言った。その時は単に僕が人間から堕天使になったのが分かったからだと思っていたが、そういう事だったのか。しかし【仙術】とは、さすがにあの孫悟空の子孫……!

 

 「部長、【仙術】って何ですか? 魔法使いが使うっていう魔術や魔法とは違うんですか?」

 兵藤に問われたグレモリー先輩が彼に分かりやすくかいつまんで説明する。

 

 仙術とは気、つまり生命に流れる大元の力であるオーラ、チャクラと呼ばれるものを重視して源流としているもので、悪魔の魔力や天使の光力とは同じようでも別の力。直接的な破壊力は魔力や光力に比べて大きく劣るが、仙術を覚えれば気、オーラの流れを読む事に長け、遠くにいる対象の動きもある程度は把握出来るのだ、と。僕は以前、本で読んでそうした大まかな事は知っていた。

 

「気の流れを操って、肉体の内外強化やこの辺の木々の木を乱して咲かせたり枯れさせる事も出来るにゃん♪ 仙術は生命の流れを操作する術。相手の気を乱したり、断つ事で生命にダメージを与えるの。悪魔の魔力や魔術師の魔術に比べると生気の乱れを直す術は対処方法が限られているから、やられた方は大概死んじゃうにゃん♪」

 

 黒歌がウインクしながら補足説明してくれた。相当危険な事をずいぶんと明るい調子で話す黒歌……かなり危険な女性かと思わせる。

 

 「あの……部長……彼女は?」

 「黒歌。小猫の姉よ」

 「えっ!? 小猫ちゃんの!?」

 グレモリー先輩から知らされた兵藤は驚いた表情を浮かべる。

 

 「美猴、誰、この子?」

 黒歌の方も兵藤を指さして美猴に聞く。

 

 「赤龍帝」

 「本当にゃん? へぇ~~これがヴァーリを退けたおっぱい好きの現赤龍帝なのね。そこにいる黒龍王たちとは犬猿の仲の」

 黒歌は目を丸くしつつ言った。僕たちと兵藤たちとの因縁はヴァーリさんを通じて知っているようだ。

 

 黒歌の言葉を受ける形で兵藤は改めて僕たちの方を見つめる。

 「それで、何でお前らがここにいるんだよ?」

 

「僕たちはパーティを抜けてここ散策していて、たまたま塔城さんと彼女のお姉さん、そして美猴さんに会ったんだ」

「そうか……」

 

 兵藤は一応納得したのか、今度は美猴たちに向き直る。

 「それで何でここにいるんだ? テロか?」

 

 「さっき、黒龍王にも同じ質問をされたんだけどねぃ……」

 美猴は苦笑しつつ、先ほどの僕たちにしたのと同じ説明をした。その説明を終えたところで彼は改めて黒歌を見つめる。

 

「じゃ、黒歌、話も終わった事だしそろそろ帰ろうや」

「そうね。じゃあ、そこの赤龍帝とリアス・グレモリー、白音はいただいていくにゃ♪」

 

 黒歌の言葉にグレモリー先輩の表情が一気にこわばり、兵藤は動揺した様子で尋ねる。

 「おい……白音って……?」

 

「小猫の事よ。この子が私の眷属になる以前の名前を【白音】といったの」

「何だと……」

 

 グレモリー先輩の言葉に兵藤は表情をこわばらせて塔城の方を見る。彼女が怯えている様子を確認した兵藤は塔城の前に進み出て黒歌たちの前に立ちはだかる。

 「この子は俺たちリアス・グレモリー眷属の大事な仲間だ。連れて行かせる訳にはいかない」

 

 美猴が笑う。

 「いやいや、勇ましいと思うけどねぃ。さすがに俺っちと黒歌相手に出来んでしょ? そちらの堕天使たちとはあまり仲が良くないって聞いてるし、仮に協力したって無理だねぃ。今回はその娘もらえればソッコーで立ち去るんで、それで良しとしようやな?」

 

 「そいつらは関係ねえ! 仲間をはいそうですかと渡せるか!」

 兵藤が激怒し、グレモリー先輩もやはり激怒した様子で黒歌を睨み付ける。

 

 「そう、その堕天使たちは関係ないわ。この子は私の眷属よ。指一本も触れさせないわ」

 「あらあらあらあら……何を言ってるのかにゃ? それは私の妹、私には可愛がる権利があるわ。上級悪魔さまにはあげないわよ」

 黒歌は美貌に不敵な表情を浮かべる。

 

 睨み合う黒歌とグレモリー先輩に兵藤。まさに一触即発という状況だ。しばらくして黒歌はニッコリと笑い、宣告する。

 「めんどいから殺すにゃん♪」

 

 その瞬間、何とも言いようのない感覚が僕を襲う。周りの風景は変わらないが、空気と雰囲気が変わったというか……

 

 「ミコト、これは……!」

 「うん……!」

 僕はレイナーレを抱き締めつつ、彼女にうなずく。

 

 「黒歌、あなた、仙術、妖術、魔力だけじゃなく、空間を操る術まで覚えたのね……?」

 グレモリー先輩が苦虫を噛み潰したような表情で言った。

 

 その彼女に黒歌は余裕の笑みを浮かべる。

 「時間を操る術までは覚えきれないけどねん。空間はそこそこ覚えたわ。結界術の要領があればわりかし楽だったり。この森一体の空間を結界で覆って外部から遮断したにゃん。だから、ここでど派手な事をしても外には漏れないし、外から悪魔が入って来る事もない。あなたたちは私たちにここでころころ殺されてグッパイにゃ♪」

 

 何だって!?

 僕は驚愕する。僕たちは森ごと閉じ込められてしまったという事……!? しかも戦ったとしても外には気付かれないと……!

 

 見る限り、余裕綽々という感じの黒歌と美猴に対し、グレモリー先輩と兵藤は明らかに余裕がないという感じだ。黒歌と美猴、この二人の実力はそれだけ並外れているという事か。

 

 だが、僕たちとしては極めて迷惑な話だ。突然、彼らとグレモリー眷属の対立に関係ない立場なのに巻き込まれてしまったのだから。

 「待ってください! 僕たちはどうなるんですか!?」

 

 「あっ、そういえばお前さんたちもいたねぃ。黒歌、どうする?」

 「ああ、そういえばあなたたちもいたわね……まあ、私たちがその二人を消すまで、おとなしくしていてくれるなら見逃してあげるにゃ♪ とはいえ、この狭い森の中、間違って攻撃が当たってしまうかもしれないけど、そうなったらあなたたちを巻き込んだ、そこの二人を恨んでにゃ♪」

 黒歌は無責任で無茶苦茶な事を平然と言い放つ。

 

 「な、何を……!」

 僕が怒りの抗議の声を上げようとした時、空中高くから声が聞こえて来た。

 

 「リアス嬢と兵藤一誠がこの森に行ったと報告を受けて急いで来てみれば、結界で封じられるとはな……」

 その聞き覚えのある声に僕たちも、そして兵藤も上を見上げる。

 

「タンニーン様!」

「タンニーンのおっさん!」

 

 「おお、國原尊にレイナーレ、お前たちもいたか!」

 思いがけない援軍に僕たちは歓喜する。それは兵藤たちも同様のようだ。

 

 「それにしてもどす黒いオーラだ。このパーティには相応しくない来客だな」

 タンニーン様が美猴と黒歌を見つめる。

 

 だが、美猴と黒歌は巨大なドラゴンを見て恐れるどころか平然としている。それどころか美猴は歓喜の表情でタンニーン様を見つめる。

 

 「おうおうおう! ありゃ、元龍王の【魔龍聖】タンニーンじゃないかぃ! まいったね!こりゃ、もう大問題だぜ、黒歌! やるしかねぇって!」

 そうテンション上がりまくりという感じで叫ぶ美猴。強大な力を持つドラゴンと戦えるのが嬉しくて仕方ないという感じだ。そんな美猴に黒歌も微笑する。

 

「嬉しそうね、お猿さん。いいわ。龍王クラス以上の首を二つ持って行けば、オーフィスも黙るでしょうね」

 

 【龍王クラス以上の首二つ】……タンニーン様と兵藤の事か……

 僕がそう察した瞬間、美猴が叫んだ。

 

 「【觔斗雲(きんとうん)】ッ!」

 その瞬間、彼の足下に金色の雲が出現し、そのままタンニーン様のいる空へと飛び出して行く。

 

 「【如意棒】ッ!」

 美猴の手元に長い棍が現れる。その姿は、まさに『西遊記』の孫悟空そのものだ。

 

 「伸びろおォォォッ! 如意棒ッッ!」

 美猴の叫びと共に彼の棍が長く伸びてタンニーン様を襲う! だが、タンニーン様はその巨体にふさわしくない俊敏な動きでそれを回避する。

 

 「もう一丁!」

 美猴はそのまま長く伸びた棍を横なぎに振るい、回避したタンニーン様を追撃する。しかし、タンニーン様は翼をうまく使って宙で回転し、それも回避する。

 

 そしてタンニーン様は口を大きく開いて

 ゴバァアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!

と大質量の火炎を吐き、その火炎は空一面を覆い尽くす……

 

 「す、凄いわ……!」

 レイナーレが驚嘆してそれを見つめている。そういえば、アザゼル様が仰っていた。タンニーン様の火の息は隕石の衝撃と同じくらいだと……!

 

 それにあの巨体での素早い動きと回避力。

 龍王とは、全ての能力があれほどに高スペックなのか!

 

 驚く僕にディヴェリクスの声が響く。

 「いや、あれでもタンニーンはブレスの威力を抑えてるぜ」

 

「ほ、本当なの!?」

「あれで抑えているなんて!?」

「ここであいつが本気のブレスを放ったら、パーティ会場だけじゃなく、俺たちも消え去っちまうからな……あいつもあいつなりに考えているのさ。それでもタンニーンを止められる奴なんざ限られているけどな」

 

 「そ、そうなのね……」

 レイナーレが思わず目を見張る。そして僕はそんな凄いお方に直々に訓練を受けた事に今更ながら驚嘆する。

 

 あの時、ディヴェリクスはタンニーン様が本気だったのなら、僕とレイナーレはあっという間に消し炭にされていたと言っていた。それは確かだったんだ……!

 

 大質量の炎が消え去った後、空中には全身から煙を立てている美猴の姿があった……

 

 「アハハ! やるねぃ! 元龍王!」

 美猴は笑う。彼の鎧や衣服は焦げているが、ダメージはわずかのようだ。

 

 「あんな威力の炎を喰らって生きているとは……!」

 「あのドラゴン様も、あのお猿さんも凄過ぎるっす……!」

 カラワーナさんとミッテルトちゃんの驚愕の声が響く。

 

 さすがは伝説の妖怪、孫悟空の血を引く者……!

 僕も目の前の光景にただ驚くばかりだ。

 

「ふん! 何者かと思えば孫悟空か! このタンニーンの一撃を受け切るとは何とも楽しませてくれるわ!」

「美猴ってんだ! よろしくな! ドラゴンの大将!」

「クククク。猿ごときが言ってくれる。お前ら、一体何を相手にしているのか分かっているのか?」

「俺っちも伝説の妖怪の血を引いているんでねぃ。そうそうやられる訳にもいかないさ」

 

 そんなやり取りの後、タンニーン様は兵藤とリアス・グレモリーを見つめる。

 「何にせよ、この猿は俺が相手をしてやろう。リアス嬢と兵藤一誠はその間にその猫を倒してみせろ。赤龍帝の主と赤龍帝だろう?それぐらい乗り越えてみるんだな」

 

 その言葉に兵藤は動揺した様子を見せる。タンニーン様は続けて言われる。

 「どうしても二人では敵わないというのなら、そこの國原尊やレイナーレの協力を得ても良いと思うぞ。お前たちとは因縁があるとは聞いているが、【黒龍王】たちはなかなかに力になるはずだ」

 

 それを聞くやいなや兵藤もグレモリー先輩も叫ぶ。

 「冗談じゃねえ! そいつらの力なんざ借りなくても俺たちで十分だっ!」

 「そうよ! 私たちはそこの堕天使たちの力なんか借りないわ!」

 

 「何よ……強がって……」

 2人の態度にレイナーレが呆れたという様子でつぶやく。

 

 「ハハハッ! 大きく出たねぃ! 俺っちと二人でいいだなんてさ!」

 美猴がタンニーン様を挑発する。

 

 「鳴くな、猿。たかが猿一匹だ。造作もない。それで豚と妖仙はどうした? 仲違いか?」

 「八戒と悟浄の末裔の事かぃ? ハハハハ! 俺っちの一族の奴らも含めて、皆、保守派さね! どいつもこいつも現状で満足なのさ! けど、俺っちは楽しい事が大好きでねぃ! だからこそ【禍の団】の誘いも喜んで受けて白龍皇ヴァーリと行動共にしてたりしてんだよねぃ!」

 どうやら美猴は一族の間でも異端児という感じのようだ。

 

「フン! 初代に一番近しい気性は貴様かもしれんが、白龍皇と何を企んでいる? 噂では貴様たちの部隊だけ別行動を許されているというではないか! オーフィスの【蛇】も与えられていない唯一のチームとも聞いた!」

 

 タンニーン様の言葉で僕は思い出す。

 オーフィスの【蛇】……カテレアさんがアザゼル様との戦いの時に使っていたあの……

 

 すると美猴は笑ってまたタンニーン様を挑発する。

 「聞きたきゃ、俺っちに勝ってみなよ!」

 「言うか、猿めっ! ここは【あの世】と呼ばれし地獄こと冥界だ! 貴様ら雑魚が後悔するには最高の場所だと知れっ!」

 

 再び、タンニーン様と美猴は空中で激闘を繰り広げ、タンニーン様の吐く炎のブレスのドンッ!! ドゴンッ!! という凄まじい音が響き渡り、夜空が赤く染まる。一方、その下では……

 

 「にゃん♪」

 黒歌が妖艶な笑みを浮かべつつ、黒いオーラを全身から発している。その様子はまさに余裕綽々という感じだ。魔王の妹と赤龍帝を同時に敵に回しつつも、毛ほどでもないという風に……

 

 すると突然、塔城が口走った。

 「姉さま、私はそちらに行きます。だから、二人は見逃してあげてください」

 

 「何を言っている……」

 「何を言っているの!? 小猫! あなたは私の下僕で眷属なのよ! 勝手は許さないわ!」

 兵藤が愕然とした表情を浮かべ、グレモリー先輩は叱りつけつつ、塔城の小さな体を抱き締める。

 

 しかし、塔城は首を横に振る。

 「ダメです。姉さまの力は私が一番よく知っています。姉さまの力は最上級悪魔に匹敵するもの。部長とイッセー先輩では……元龍王の力があっても、幻術と仙術に長けている姉さまを捉えきれるとは思えません」

 

 しかし、グレモリー先輩は塔城の言葉に首を振る。

 「いえ、それでも絶対にあなたをあちら側に渡すわけにはいかないわ!あんなに泣いていた小猫を目の前の猫又は助けようともしなかった!」

 

 グレモリー先輩が怒りの形相で黒歌を睨みつける。だが、黒歌は激高する彼女を笑う。

 「だって、妖怪が他の妖怪を助けるわけないじゃない。ただ、今回は手駒が欲しいから白音が欲しくなっただけ。そんな紅い髪のお姉さんより私の方が白音の力を理解してあげられるわよ?」

 

 塔城はその姉の言葉に首を振る。

 「嫌……あんな力いらない……黒い力なんていらない……人を不幸にする力なんていらない……」

 

 塔城はふるえる声で言い、体もふるわせて涙をぽろぽろとこぼし始めた。そんな彼女をグレモリー先輩はさらに強く抱き締め、再び黒歌を睨みつけて言う。

 

「黒歌……力におぼれたあなたはこの子に一生消えない心の傷を残したわ。あなたが主を殺して去った後、この子は地獄を見た。私が出会った時、この子に感情なんてものはなかったわ。小猫にとって唯一の肉親であったあなたに裏切られ、頼る先を無くし、他の悪魔に蔑まれ、罵られ、処分までされかけて……この子は辛いものをたくさん見てきたわ。だから、私はたくさん楽しいものを見せてあげるの! この子はリアス・グレモリー眷属の【戦車(ルーク)】塔城小猫!私の大切な眷属悪魔よっ! あなたに指一本だって触れさせやしないわっ!」

 

 グレモリー先輩の言葉に塔城も、そして兵藤も感激して涙を流している。僕だって、これまでの経緯もなく、こんな場を見たのならば感動しただろう。だが、僕としては素直に感動するという訳にはいかない。

 

 あなたたちの眷属……仲間を大切にする思いは分かる! だけど、そんなあなたたちがドーナシークさんを平気で殺し、さらに僕のレイナーレを、そしてカラワーナさんやミッテルトちゃんをやはり平気で殺そうとした! 彼女たちが堕天使で敵対してきた種族だから……彼女たちが自分たちの眷属に手を出したから、という理由で……でも、彼女たちだってあなたたちと同じ、ちゃんと感情を……愛も、悲しみも、喜びも知っている存在なんだ! その事を考えようともせず、彼女たちの事情も知ろうともせず、言い分も聞かず、一方的に【悪】のレッテルを貼って何の心の痛みもなく殺そうとした! 塔城だって【人を不幸にする力なんていらない】と言いながらレイナーレたちを平気で殺そうとした! その点で、あなたたちはあなたたちの【敵】と何の変わりもなかった! 確かに彼女たちに非はあった! でも、その事だけは反省して欲しい!

 そんな思いが僕の心を駆け巡る。

 

 一方、グレモリー先輩の、主の言葉に感激した塔城は叫んだ。

 「行きたくない……私は塔城小猫。黒歌姉さま、あなたと一緒に行きたくない! 私はリアス部長と一緒に生きる! 生きるの!」

 

 それは塔城の姉に対する絶縁宣言ともいえる言葉だった。その彼女の肩にいつの間にかそのそばに来ていたミッテルトちゃんがポン! と手を置いた。

 

「おっ! 散々イジイジしてたアンタだったっすけど、ようやく吹っ切ったようじゃないっすか! アンタがそうあってこそ、ウチもやっつけ甲斐があるってもんすよ! だからお互いここで死ぬわけにはいかないっすよ! ウチは姉さまのため、アンタもアンタの御主人様のために頑張るっすよ!」

 

 ミッテルトちゃんはそう叫びつつガッツポーズを取って見せた。

 

【挿絵表示】

 

その彼女を塔城はじっと見つめる。口には出さないがその表情には感謝の念がこもっているように僕には見え、レイナーレも、そしてグレモリー先輩も兵藤もそんな二人をじっと見つめた。

 「…………」

 

 一方、妹の絶縁宣言に黒歌は苦笑している。だが、僕は思う。

 彼女……平然としているように見えるけれど……でも、なんだか寂しそうな表情を一瞬見せた気が……

 

 次の瞬間、黒歌は冷たい冷笑をその端正な美貌に浮かべた。

 「じゃあ、死ね」

 

 黒歌の体から薄い霧らしきものが発生する。それは徐々に広がり、グレモリー先輩と塔城と兵藤、僕たちのもとに届き、さらに森全体を覆っていく……

 

 それは【濃い】というほどの霧ではない。前方が確認出来るくらいだから。ただ、なんだかゾッとするような不気味さを感じる。

 

 「あっ……」

 突然、グレモリー先輩が小さな声と共にその場に膝をついた。

 

 続いて塔城も苦しそうに口元を抑えながら膝をつく。

 「これは……うっ……」

 

 「ど、どうしたっすか!?」

 ミッテルトちゃんが塔城の背中に触れつつ尋ねるが、塔城は体が苦しく声が出ないようだ。

 

 「!!?」

 僕は慌てて隣にいるレイナーレを、さらにカラワーナさんと流音くんと、塔城を心配そうに見つめているミッテルトちゃんを見回すが、4人共驚いてはいるが、体に変調をきたしたような様子はない。僕自身にも何ら体に変わった事はない。

 

 とはいえ、

 「ミコト、私は大丈夫よ。あなたは……?」

 「うん、僕も大丈夫だよ! カラワーナさん、ミッテルトちゃん、流音くんは?」

 「はっ、大丈夫です」

 「あっ、ウチも大丈夫っす」

 「僕も平気です」

 と僕たちは互いに無事を確認し合う。

 

 改めてグレモリー眷属たちの方を見ると、グレモリー先輩と塔城は苦しそうにしているが、兵藤は驚いて他の二人を見ているものの、彼自身はやはり体に変調などはないようだ。

 

 するといつの間にか高い木の枝に座っている黒歌が兵藤を見つめつつ、つぶやく。

 「ふーーーん……赤龍帝だから効かないのかしら? この霧はね、悪魔や妖怪にだけ効く毒霧にゃん。だから、そこの堕天使さんたちには効かないという訳。毒を薄くしたから、全身に回るのはもう少し苦しんでからよ。短時間では殺さないわ。じわじわっと殺してあげるにゃん♪」

 

 なるほど、僕たち堕天使には効かない! だが、兵藤に効かないのは……? それがドラゴンの力なのか?

 そう思った瞬間、兵藤の隣にうずくまっていたグレモリー先輩が突然魔力の弾を撃ち出し、それはドンッ! と黒歌に命中し、彼女の体は霧散していく。だが……

 

 「良い一撃ね。でも無駄無駄。幻術の要領で自分の分身ぐらい簡単に作れるわ」

 黒歌の声が森に木霊して、フッ! フッ! フッ! と霧の中に次々と彼女の姿が現れる。

 

 これは分身の術……!

 全部が本物に見えて、僕には全く判断つかない。

 

 「ブーステッド・ギア!」

 兵藤が叫び、左腕にあの赤い籠手を出現させる。だが、どうやらその力を思うように発動する事が出来ないようで、彼は戸惑い、焦った様子を見せている。

 

 「あらら、赤龍帝ちゃんは神器も動かずじまい? でも、私は打っちゃうにゃん♪」

 黒歌の声が聞こえ、彼女の分身(?)の一つが手を突き出し、魔力の弾のようなものを、毒で苦しんでいるグレモリー先輩と塔城めがけて撃ち出す。

 

 それを見た僕は急いでレイナーレの手を取る。

 「レイナーレっ! 逃げるよっ!」

 「ええ!」

 

 グレモリー先輩や塔城の事は気になるものの、今の僕は愛しいレイナーレと大切な仲間たちを守る事が何より最優先だ。

 

 グレモリー眷属たちの後方にいた僕たちは、とりあえず難を避けようとさらに離れた所に逃れた。一方、兵藤はダッシュして、グレモリー先輩と塔城を庇って黒歌の攻撃を受ける。

 

 ドオオオオオオンッ!!

 「ぐはっ!!」

 

 黒歌の攻撃をもろに受けた兵藤は着ていた制服の前面が吹っ飛び、前面裸になり、彼の体から血が流れ出す。

 

 その様子を見てグレモリー先輩が彼を助けようとして必死に前に出ようとするが、立ち上がるのも大変なようだ。その彼女に兵藤が叫ぶ。

 「部長! 動かないでくださいっ! 毒が体に回りますっ! だ……」

 

 その後、何か言いかけたところで、彼の体を再び黒歌の攻撃が襲った。

 

 ドッゴオオオオオオンッ!!

 「ぐはあああっ!!」

 

 今度は完全に不意を突かれた兵藤は、先程の攻撃よりもさらに大きなダメージを受けたようで、その場に膝をついた。

 

 「弱っ……これがヴァーリのライバル? 本当にヴァーリを退けたの?」

 黒歌はそんな兵藤を嘲笑する。兵藤はそれでも立ち上がる。

 

 「部長と小猫ちゃんはやらせねえぇぇぇっ!!!」

 絶叫する兵藤だが、黒歌はその彼にさらに第3撃を加える。

 

 ドオオオオオッ!!

 「ぐわああああっ!!」

 兵藤は後方に吹っ飛び、巨木に激突してその場に倒れ込む。しかし彼は地面に突っ伏しつつも、地面を這ってグレモリー先輩と塔城のもとへと近付いていく。

 

 「あまりに弱すぎて、期待外れもいいところね……」

 黒歌は心底呆れたという表情を浮かべる。

 

 「こうなったら……」

 黒歌は今度は僕たちの方に視線を向けた。

 

 「…………!」

 僕たちは思わず身構える。

 

 「あなたたちは見逃してやってもいいと思っていたんだけど……赤龍帝があまりに弱すぎてつまらないから、代わりにあなたたちと遊んであげるにゃ♪ 恨むんならあの弱すぎる赤龍帝を恨んでね♪」

 黒歌は冷酷な笑みを浮かべる。

 

 「何だって!?」

 僕は黒歌の理不尽な態度に非難の叫びを上げるが、彼女は到底話が通じる相手ではない。先ほどの様子からすると、まだ美猴の方が話が通じそうにも思えるが、彼はタンニーン様と空で激闘中だし、そのタンニーン様も美猴との戦いで手一杯という様子だ。

 

 やるしかない……!

 僕は心を決めてレイナーレの方を見る。すると彼女はコクリとうなずく。

 

 僕は黒歌の方に向き直り、彼女に告げる。

 「分かりました。でも、あなたは僕たちと楽しみたいのでしょう? それでしたら、あなたを少しでも楽しませる事が出来るよう、少し時間を頂けませんか?」

 

 「ウフフッ……あなた、なかなか面白い事を言う子だにゃ♪ いいわ、この私を少しでも楽しませてくれる事を期待して、少し時間をあげるわよん♪」

 黒歌は余裕の表情で笑う。

 

 「皆、こちらへ来て」

 僕は全員を呼び寄せて、そこで【計画】を伝える。

 

 「えっ……!」

 「マ、マジっすか……?」

 僕の話を聞いて、流音くんが、カラワーナさんが顔を真っ赤にして絶句し、ミッテルトちゃんもさすがに引いている。

 

 「うん……僕だってさすがに恥ずかしいよ……でも、やるしかないんだ」

 「私だってすごく恥ずかしいわ……でも、こうなったらやるしか私たちの生き延びる道はないのよ」

 レイナーレも美貌を真っ赤にしつつ言った。

 

 「分かりました。確かにやるしかありませんね……」

 カラワーナさんと流音くんがなおも顔を赤らめながらもうなずいてくれる。

 

 話を終えた僕たちを見て黒歌が聞いた。

 「話は終わったかにゃ?」

 「はい。ただ、ここから少し場所を移してお願いします。その……グレモリー眷属の彼らにはあまり見られたくないので……」

 「そうなの? 仲悪いから手の内を見せるのが嫌だからって事? どうせお互い先は短いんだし、そんな事気にしないで良いと思うんだけど……まあいいわ。じゃあ向こうへ行くにゃん」

 

 僕たちはうずくまっているグレモリー眷属の3人を気にはしつつも、その場に残して移動する。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 黒歌の攻撃に無様に膝をついてしまった俺。そんな俺を嘲笑う黒歌。本当に情けねえ……俺はいつもそうだ……ピンチの時に……肝心なところで力を発揮出来ない!

 

 アーシアの時、レイナーレに……あいつにアーシアが殺されるのを俺は助けられなかった。その上、俺はそのアーシアの仇を取ってやる事すら出来なかった。あいつを盲愛する國原の奴に相打ちに持ち込まれちまった……

 

 俺はその後も、國原に……あいつに勝てないでいる。俺の大好きな人たちを守ろうって気持ちは、あいつがレイナーレの奴を盲愛する気持ちに劣ってるってのか? そんな事、絶対に認められねえ! 認めたくねえ! だが、俺は現実に奴に勝ててねえ……

 

 そのアーシアが蘇る事が出来たのは、レイナーレが保身の為にアーシアの神器を返したから……俺の力じゃ全くねえ! 俺はそんな自分が情けなくてたまらない。俺は、俺は、あの時にアーシアを守れず、今も小猫ちゃんを……大切な人をまるで守れない情けない奴なんだ! クズでダメな奴なんだ!

 

 俺は悔し涙を流しながら、ボロボロの体で何とか部長と小猫ちゃんのもとにたどり着いて、そこで小猫ちゃんに俺は自分が赤龍帝の力を宿しながら何も出来ないダメな男……クズなんだと率直に自分の思いを吐露した。

 

 だが、そんな俺に小猫ちゃんは言ってくれた。イッセー先輩はクズじゃない。歴代の赤龍帝は力に溺れる者が多かった。でもイッセー先輩はそうじゃない、優しい赤龍帝だと……それは素敵な事だと……毒に犯され、苦しみながらも笑顔でそう言ってくれた!

 

 その言葉に俺は救われた。俺があのタンニーンのおっさんとの過酷な訓練でもなぜ禁手化に至れなかったのか、それが分かった気がした。

 

 俺はリアス部長を見つめ、彼女に伝える。

 「部長。俺、自分に何が足りなくて禁手に至れないのか、少し分かった気がします。俺が禁手に至るにはおそらく部長の力が必要です」

 

 「……分かったわ! 私でよければ力を貸すわよ! それで何をすればいいのかしら?」

 毒に犯され、苦しみながらも部長はうなずいてくれた。そして俺は部長にそれを伝えようとするが、その時、俺はある事に気付く。

 

 黒歌の分身は未だにそこら中にいて、空ではタンニーンのおっさんと美猴が相変わらず激闘を繰り広げている。それに俺は小猫ちゃんや部長の事で頭がいっぱいだった。だから気付かなかったのだが……

 

「な、何だ!? あいつらの……堕天使どもの姿が見あたらねえ!」

「そういえば、いつの間にかいなくなっているわね。あの連中だって毒霧は平気でも、ここから脱出する事は出来ないはずだけれど……?」

「どこへ行ったのでしょうか……?」

 

 周りを見渡す俺。だがあいつらの姿は見つからない。

 

 「もしかして……私たちを助けようと黒歌姉さまとの戦いを受けたのかも……」

 「まさか! あいつらに限ってそんな……」

 小猫ちゃんの言葉を打ち消す俺。そうだ。自分と好きな奴との幸せしか考えねえあいつらにそんな殊勝な気持ちがあるはずがねえ……!

 

「でも、あの鳥頭の堕天使、さっき、私を元気づけてくれました……」

「…………」

 

 とにかく、あいつらがどうであろうと今回の決着は俺が付けなきゃならねえ! そう思った俺は気力を振り絞って立ち上がる。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 僕たちはグレモリー眷属たちからしばらく離れた場所に移動した。

 「では、この辺りで……」

 

 そこで僕は愛しい彼女に聞く。

 「レイナーレ、いい……?」

 「ええ……いいわ、ミコト」

 

 レイナーレはうなずき、彼女は自分の両肩に手をやると、身にまとっていた黒の、前も後ろも極限まで空いたドレスをするっ……とずり落とす。彼女の白く滑らかな肌を黒のドレスがするりとすべり落ち、彼女は全裸となり、その美しく卑猥きわまる最高の裸体が月明かりに照らされる。

 

【挿絵表示】

 

 「な、ななっ……! いきなり何をするにゃ!?」

 黒歌は仰天し、空中で激闘を繰り広げていた美猴とタンニーン様も戦いを一旦中断して見ている。

 

「な、なんちゅうエロい体……」

「始めたのか……」

 

 だが、レイナーレはそんな周囲の反応にいささかも動じる事なく、美貌に自信に満ちた表情を浮かべる。

 「私は愛しいミコトを支える為なら裸になるなんてなんでもないの。ミコトは私のこの顔に……この体に……この胸と乳首に……私の全てにいつも夢中でいてくれて、私を何事にも代え難く愛してくれているのよ」

 

 「特に私のこの乳首……」

 レイナーレは僕を常に虜にしてやまない、張り詰めた見事な美しい巨乳の頂の、カチカチに硬く勃起してまるで槍のようにそそり立っている、卑猥極まる大きな乳首を……僕の神器【情念の炎】の力の源であり、僕の必殺技【ニプルブラスト】の発動エネルギーが宿る所であり、また僕を癒してくれる彼女の神器【堕天の乳汁】の宿る所でもある、まさに僕にとって最高の宝であるいやらしい乳首を黒歌たちに見せつける。

 

【挿絵表示】

 

 「ミコトは私のこの乳首が大好きなの♪ ミコトは毎日この乳首を触って、吸って、なめ回して存分に愛してくれるのよ♪ ミコトは私のこの乳首から戦う力を得て、私を守ってくれるの。そしてこの乳首はさらに大きな力を秘めているのよ。ウフッ♪ 今からそれをあなたたちに見せてあげるわ」

 レイナーレは妖艶に微笑む。

 

【挿絵表示】

 

「へえ~~確かにこれはエロ過ぎる乳首だねぃ……」

「ねえ、美猴! あの露出狂の堕天使と【黒龍王】の坊や、一体何をするつもりなの? どういう作戦なの? 人前であんなエロ乳首さらけだして……」

「俺っちに聞くな! 赤龍帝と同じく、黒龍王の思考回路は俺っちとは別次元のところにあるんだってばよ!」

 

 僕は美猴と黒歌の声にさすがに恥ずかしさを覚えつつも思う。

 【赤龍帝と同じく】だって!? 僕とレイナーレはお互いを他の誰よりも強く愛しているんだ! その僕と彼女のこの絆を……この絆が生み出す力を……あんな多情で可愛らしい女の子なら手当たり次第に手を出すような男と一緒にして欲しくないっ!

 

 「ああっ! ミコトっ! 私とあなたの愛が生み出す力をそこの猫又さんやお猿さんに見せてあげましょう! 私のミコトっ!」

 レイナーレはその美しくいやらしい魅惑の裸体を見せつけつつ、僕を潤んだ目で見つめて叫ぶ。

 

 「うん! 君と僕の愛が生み出すこの力を……この技をあの人たちに見せてあげようね……さあ……来てっ、僕のレイナーレ……」

 僕は両腕を広げつつ彼女を見つめ、彼女の想いに応える。

 

【挿絵表示】

 

 「ああっ……! ミコトっ……! 私のミコトっ……!」

 レイナーレが美貌に歓喜の表情を浮かべて、張り詰めた大きな乳房を揺らせながら僕に寄ってくる。

 

【挿絵表示】

 

僕は擦り寄って来た彼女の張り詰めた大きな乳房に手を伸ばして、それをぎゅむっ! と掴む。

 

 「あはあっ!! ミコトおっ!!」

 乳房を掴まれたレイナーレがビクン! と裸体をのけぞらす。僕の手がそれよりずっと大きい彼女の張り詰めた乳房に食い込み、その形が卑猥に変形する。張り詰めた弾力感にあふれた彼女の乳房は僕の手を押し返して来て、その感触は最高だ!

 

 僕は大好きな、レイナーレのカチカチに硬く勃起して槍のごとくそそり立っている卑猥きわまりない大きな乳首を指ですりっ……とさする。

 「あっ!! あはあんっ!!」

 乳首が性感帯であまりにも過敏なレイナーレは、それだけで先ほど以上に大きく裸体をのけぞらせる。

 

【挿絵表示】

 

僕は彼女の乳首を強く、激しく攻め立てる。まず、彼女の両乳首をぎゅっ! と強くつまむ。

 「あっ!! あああっ!!!」

 

 僕はそのつまんだ両乳首をぎゅりいっ! と強く、激しくねじり上げる。

 「ふっ!! ふうひいいいいいっ!!! ふひゃあああああんっ!!!」

 

 強烈な刺激にレイナーレは目を見開いて絶叫する。僕はさらに彼女の乳首に爪を立て、何度も何度も激しくねじり回して引っ張りと、全身全霊をかけて激しく攻める。カチカチに硬くて、それでいてムチムチとした弾力感も併せ持つ、彼女の大きな乳首の感触はそのいやらし過ぎる外観と合わせて僕を常に虜にして、僕は周りで見られているという羞恥心も忘れ去って、僕はただ夢中で愛する彼女の乳首を求め、攻めまくる。

 

「ああっ!! レイナーレっ!! 好きっ!! 大好きいっ!!」

「ふ、ふぎいいいいいいいっ!!! はひゃあああああっ!!! ミ、ミコトおおおおおっ!!! わ、私も大好きいいいいいっ!!! はひっ!! お、お願いっ!! も、もっと私のいやらしい乳首を攻めまくってえっ!!! あひっ!! あ、愛してるっ!! 愛してるわあっ!! 私のミコトおおおっ!!! ふひっ!! ひいいいいいいいいいいいっ!!!」

 

 レイナーレの絶叫が森の中で木霊する。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 僕は目の前で國原先輩が全裸のレイナーレ先輩の乳首を激しく攻める様子に、それに絶叫してもだえ叫ぶレイナーレ先輩の姿にただ圧倒され、僕の胯間は意思に反して傍目から見えるほどに大きく猛り立ってしまっている。

 

 ぼ、僕は何をっ……! カラワーナ先生以外の女性の裸にこんなに勃ってしまうなんてっ……!

 必死で胯間の猛りを静めようとする。だが、そんな僕の肩をカラワーナ先生は優しく抱く。

 

「先生っ……! すみませんっ……ぼ、僕っ……」

「いいんだ……ルオン。お前も健全な男の子だ。目の前でレイナーレ様のあんな姿を見せられては、そうなるのは当然だ」

「先生……」

 

 「だが……私以外の女でここをこんなに大きくした罰は……」

 カラワーナ先生は妖艶な目で僕を見つめて、僕の猛り立ったモノをそのしなやかな指ですーーーーっとさする。

 

 「あっ! ああっ!」

 僕は思わずビクン! と身をのけぞらせる。

 

「後で、思いきり償ってもらうぞ。ベッドの上でな♪」

「は、はいっ!」

 

 そして僕はレイナーレ先輩が國原先輩の攻めで、神器の力を発動させる、その瞬間を待つ……!

 

(次回に続く)




今回は、前回の投稿から、それほど日を置かずに更新する事が出来ました!ただ、この対黒歌編ですが、1話で納めるには話が長いので、今回の前編と次回の後編、2話に分けて投稿する事にしました。

パーティ会場におけるレイナーレ&尊とレイヴェルの遭遇とそれによる騒動。「レイヴェルの描き方がどうも……」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、私としては別に彼女に対して一切、悪い印象はありませんし、むしろ好きなキャラです。

「では、なぜ彼女のレイナーレや尊に対する態度がああも辛辣なのか?」と思われるかと思いますが、彼女としては、グレモリー眷属の面々と同様に持っているであろう、長年に渡る悪魔の宿敵であった堕天使への嫌悪・偏見に加えて、彼女は丁度、一誠に対する好意を明確に意識してきた所ですので、その一誠の【仇敵】であるレイナーレや尊に対する態度は、あのようにとても辛辣なものになったという訳です。

一方、レイナーレの方も愛する尊を侮辱された事に激怒して激しい口調で言い返し、極めて険悪な雰囲気になってしまいました。第一印象は最悪のものになってしまった両者ですが、いずれ、レイヴェルは駒王学園に転入して来る事になりますので、そこで果たしてどうなるか……

パーティ会場を抜け出した尊たちが森で黒歌と遭遇……レイナーレと黒歌、共にD×Dの世界を代表する黒髪セクシーキャラですね。

以前のお話では遅れて森に駆け付けてきた一誠とリアスは尊やレイナーレに敵意剥き出しの態度でしたが、今回のお話では両者の間はわずかながら改善されては来ていますので、いまだにレイナーレや尊への不信感は残ってはいるものの、その態度は幾分、和らいでいて、ミッテルトがライバルの小猫を励まし、小猫も内心、彼女に感謝する場面もありました。

妹の小猫(白音)にも冷酷な言葉を吐く黒歌……原作を読まれている方はご存じのように、それは表面上の事であって、彼女の内心は違うものがあるわけですが、この時点では彼女と面識のあるリアスも、そして妹の小猫すら、それを知りません。しかし、尊はそういう彼女の側面に若干、気付いています。

一誠を圧倒する力を持つ黒歌に無理矢理強いられ、やむなく彼女と戦う決意をした尊とレイナーレ、2人はまさに羞恥心を捨て去った戦法で彼女に立ち向かい、さしもの黒歌もそれに仰天します(笑)

そしてこの戦いの大きな鍵となるのが流音の神器。愛するカラワーナに支えられて、次回、彼は尊とレイナーレをサポートします!

果たして、尊&レイナーレ&流音VS黒歌、この対決の行方はどうなるのか?そして一誠やリアスは……?次回をどうぞお楽しみに!(*´∀`*)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。