そしてグレモリー眷属とシトリー眷属のレーティングゲームの試合当日を迎え、匙やソーナたちシトリー眷属を激励し、彼らの応援の為に試合会場へと乗り込む尊とレイナーレ。二人はそこで……
魔王領にある会談ルームに三大勢力の代表が集まって、先日の事件についての話し合いが行われている……堕天使陣営からは俺と副総督のシェムハザ、悪魔陣営からはサーゼクスやセラフォルー、天界からはミカエルの奴は来てねえが、セラフの代表どもが来ている。
「失態ですね」
シェムハザが開口一番にそう言う。俺は隣で茶を飲みながら心中、奴に対して
ほどほどにな……
と思っていた。
あの魔王主催のパーティの日、悪魔たちは【禍の団】の襲来を受けた。まあ、正確に言えば「結果的にそうなった」って感じなんだが……
俺もその事情はよく知らねえが、主を殺して逃亡し、その後、【禍の団】の一味となった冥界指名手配中のSS級はぐれ悪魔【黒歌】が、あのパーティを使い魔を使って見に来ていたなど、誰も予想だにしなかったに違いねえ。
その後、会場近くの森にて、リアス・グレモリー眷属と最上級悪魔のタンニーン、そして偶然、あのパーティを抜け出して森に来た、俺の配下の堕天使の尊とレイナーレたちが黒歌とその仲間の孫悟空【美猴】と接触し、苦戦は強いられたもののこれを撃退した。
事態は最小限に収まったが、パーティ会場の隙を突かれたのは、他の勢力にとって、悪魔の警戒心の有無を問うものになるって訳だ。
見ての通り、シェムハザと天使側のセラフさんたちはお怒り中だ。とはいえ、俺も人の事は言えねえ。堕天使総督の俺がハメを外してカジノに夢中だったなんて口が裂けても言えねえ……
シェムハザの報告がさらに続く。
「相手は【禍の団】独立特殊部隊【ヴァーリチーム】の孫悟空【美猴】と猫又【黒歌】、さらに聖王剣コールブランド使いも関与。一人一人が絶大な力を有するチームの三名も来るとは……大体、悪魔の管理能力は……」
あーあ、こいつの小言が始まると長ぇんだ。参ったぜ……
事件的にはもう収拾がついてる。リアスと小猫が毒にあてられたが、幸いにも軽症ですぐに解毒は済んだ。尊たちは堕天使だから毒は効かず無傷だしな。むしろ、全員無事の状況で一誠が禁手に至ったってのは嬉しい誤算だ。俺の可愛い部下たちもやってくれた。尊とレイナーレ、流音の連携プレイが見事にはまって、黒歌の結界と毒霧を吹っ飛ばした。
魔王の妹リアス姫は無事、赤龍帝は最初の一歩を踏みだし、俺の部下たちも修行の成果を実戦で見事に出した。パーティは中止されたが、大局を見れば大きな収穫だ。タンニーンの話によれば、一誠も尊たちとの共闘は断ったものの、尊とレイナーレの絆を認める発言はしたって話だし、あいつも多少成長して、和解に幾分近付いた手応えはある。それも俺としちゃあ嬉しい変化だ。
俺がそんな事を考えてる中、そこにいる連中の話題は、もうすぐ行われるグレモリー眷属とシトリー眷属のレーティング・ゲームへと移っていった。
「俺はリアス嬢を応援させてもらおうか。何せ、俺が直々鍛え込んだ赤龍帝がいるのでな。ククク、面白い小僧だぞ。乳をつつくんだ。それは同じく俺が少し訓練を施した黒龍王の小僧も同じなんだが、堕天使だから今回のゲームには参加しないのが残念だな。あいつらも参加すれば面白いのにな……」
タンニーンの奴、一誠や尊に対してずいぶんと情を持ったみたいじゃねえか。
「イッセーくんやリアスたちと、尊くんとレイナーレたちとの間も少しは好転の兆しも見えて来たようだし、いずれは尊くんたちの戦いぶりも観てみたいね。それにしてもアザゼルのもたらした知識はレーティングゲームに革命を起こしそうだよ。下手をすれば半年以内に上位陣に変動があるかもしれない」
サーゼクスとしても自分が見込んだ一誠や妹のリアスたちに二回に渡り引き分けた尊には大いに興味があるようだ。非力さを戦略でカバーする尊の戦いぶりはまさにレーティングゲームの神髄と言えるしな。
「そりゃ良かった。ここ十数年もトップの十名に変化がなかったものですから。これで面白いゲームが拝めそうですな」
セラフの代表の一人が言った。協定を結んでから、皆、緊張感ねえなぁ~~
そこに突然、北欧神話の主神【オーディン】……北の田舎のクソジジイが側近の【ヴァルキリー(戦乙女)】を連れて姿を現しやがった。あのクソジジイ、来るやいなやセラフォルーのパンツや足を見てやがって、相変わらずのスケベジジイぶりだぜ。
それはともかく、オーディンは今回、悪魔陣営に招待されてレーティングゲームを観に来たって事で、会議の議題は完全に今度行われるレーティングゲームへと移った。今回、悪魔陣営は各勢力の要人をしこたまゲーム観戦に招待したからな。
俺は休憩と言って席をいったん立ち、廊下の長椅子で休んでいた。お偉方でやる会談やら会議は肩がこるからな。
そこへサーゼクスが姿を現し、俺の隣に座った。
なんだ、こいつも抜け出して来たのか?
「アザゼル、お前の部下たちには色々と迷惑をかけて済まないと思っている。若手悪魔の会合に彼らが行った際には石をぶつけられ、あのパーティ会場でもレイナーレや尊くんに対してひどい嫌がらせがあったと聞いた。本当に済まない」
「まあ、過去にレイナーレがしでかしちまった事があるからな。とはいえ、あいつらはお前やセラフォルーがレイナーレの過去の罪を不問にしてくれた事や、お前の両親が自分たちを温かく迎えてくれた事、あの若手悪魔の会合の時にもバアル家の小僧が自分たちを庇ってくれた事、タンニーンが自分たちを訓練して禁手化に導いてくれた事をとても感謝してるぜ。あいつらは決して悪魔自体を嫌ってはいねえ。だから安心してくれて良いぜ」
「そうか……そのように思ってくれているのなら嬉しいな」
「特に尊は……あいつはそういう点ではイッセーやリアスや朱乃よりはるかに大人だからな。何かあったからといって、種族で相手を決めつけたりはしねえ。相手をしっかりと観察して、よく知った上で判断する。そんな奴だからな。そんなあいつの性格が戦闘の時にも大きな力になっている」
「そうだな。彼のそんな所がレイナーレへの強い想いと併せて彼の力となり、我が妹たちと二度も引き分けている訳だな。そんな尊くんをレイナーレをはじめとするあの四人は心の支えにして、彼を頼りにしている訳だ……」
「話は変わるが、アザゼル、ゲームが始まる前に一つ聞いても良いか?お前がリアスの対戦相手なら、グレモリー眷属の中で確実に誰を取る?」
「イッセーだな。リアスのチームはどいつもこいつも何となく感じているはずだぜ。眷属のテンションを維持してるのはイッセーだと、な」
そう、尊がレイナーレたちにとって精神的な柱であるように、一誠はリアスたちにとって精神的な柱になりつつある。理由も理解出来るぜ。あいつは相手を理解する力やそこからくる戦略では尊に大きく劣るが、何をやってもどこにいても諦めずに前に突っ走る根性がある。その姿が眷属悪魔たちの活力になっている部分がある。主のリアスでさえ、一誠に依存している。他者を惹きつけるのがドラゴンの常だ。それは尊も一誠も例外じゃない。
サーゼクスは腕を組み、真剣な面持ちを浮かべる。
「ソーナはイッセーくんを狙うだろうな」
やはりこいつも妹の事が心配なんだな
「ああ、問題は取られた時だ。奴らの気力が上がるか、それとも落ちるか。奴らはまだ【赤龍帝】としての一誠を目の前でやられた事がないからな」
「そうだな。もしそうなったらそこでリアスたちの現在における真価も試される事になるな。ところでアザゼル、お前は将来的にレーティングゲームを堕天使界にも導入しようと考えているのかな?」
「ああ、まあ導入してもいいんじゃねえかとは思ってるぜ。俺の一存で決めるって訳にもいかねえがよ」
「そうか……」
サーゼクスは俺を真剣な表情で見つめた。
「もし、将来、尊くんたちとリアスたちが再び戦う事になるのなら、それはレーティングゲームという形で行われる事を願うよ。命を賭けた戦いではない事を願う」
「ああ……俺もそう願ってる。そのために俺もあいつら双方をよく見張ってるよ。サーゼクス、お前も頼むぜ」
「ああ、承知した」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
シトリー眷属とグレモリー眷属のレーティングゲームの決戦前夜、アザゼル様は明日の試合に備えてグレモリー眷属の面々と最後のミーティングをされた後、ご自分の部屋に僕たちを呼ばれた。
グレモリー眷属に立ち向かうシトリー眷属を応援する僕たち、でも、アザゼル様はグレモリー眷属の指南役を務めておられるが故に、グレモリー眷属側に立たれている。そう考えると僕たちは複雑な思いになる。
「あの夜はよく頑張ったな。【禍の団】の黒歌と美猴、この二人の襲来を退けたって事でお前たちの評判もずいぶんと上がってるぜ。詳しい事はタンニーンから聞いたが……尊とレイナーレ、そして流音、お前たちの連携プレーは見事だったとあいつ、言ってたぜ。俺もお前たちの主として鼻が高いぜ」
「ありがとうございます」
「ところでレイナーレ、お前、あのとぼけたクソ猿から【ニプルクイーン】という異名を頂戴したそうじゃねえか。俺もお前のその大活躍の場面、見たかったぜ♪」
「そ、総督閣下……お、お戯れを……」
レイナーレは美貌を真っ赤にしてうつむく。
「そして尊。お前の戦略、今回も見事だったぜ。レイナーレと流音の神器の特性を見事に活かして黒歌の攻撃を防いで、【ニプルブラスト】であえて黒歌を狙わずに奴の結界を破壊して、悪魔どもに事態を知らせた。無駄な争いを好まず、先々の事も考えたお前らしい賢い戦略だった」
「あ、ありがとうございます」
尊敬する主に褒められて、僕は思わず嬉しさがこみ上げる。
「それから流音、今回はお前の神器の力がいかに大切かという事を示した戦いだった。お前の頑張り、見事だったとタンニーンも言っていたぜ。これからもその神器の力で尊たちをサポートしていけ」
「は、はい! ありがとうございます!」
流音くんもアザゼル様に認められて嬉しかったのだろう。大きな声で決意を込めた表情で返事をした。
「よし! ではこれからはグレモリー眷属たちの話になる。お前たちとすりゃ、あいつらの話は聞きたくないかもしれねえが、これはお前たちにとっても大切な事だ。だから心して聞け。まず、一誠が禁手化を果たしたのはお前たちも直接見てるな?」
「はっ」
「では、これから話す事は絶対に他言無用だ。お前たちだから話すんだ。それを忘れるんじゃねえぞ」
「はい。決して他言しない事を誓います!」
「よし。まず一誠の禁手化についてだが、現状ではあいつが禁手化する際には変身するまで二分はかかる。それに禁手化状態にいったん入るとその間は神器は使えねえ。さらに一日一度しか変身出来ねえ。一度変身すると解除しても神器はほとんど力を失った状態だ。それから奴の禁手の使用時間は三十分だ」
「兵藤が禁手化で変身を果たすまでは二分かかる…… そしてその間は神器は使えない……」
「ミコト……! これは大変な情報を教えて頂けたわ……!」
「うん……!」
レイナーレがやや興奮して叫び、僕はその彼女にうなずく。確かにその通りだ。
「もちろん、あいつも今、お前たちに話した欠点については自覚してる。だから、あいつも通常の神器を使った戦闘と禁手の使い分けを今後考えていく。さらに変身にかかる時間や禁手の使用時間は今後の慣れと訓練で短縮する事も出来る。ただ、この情報を知っているかそうじゃねえかは、今後、レーティングゲームとかであいつと対決する際に大きな差となるぜ」
「はっ! ありがとうございます!」
「それで、明日のレーティングゲームについてだが、ここでグレモリー眷属とシトリー眷属たちの戦いぶりを見ておくのはお前たちにとっても、今後、大いに役立つはずだ。だからよく見ておけ。今回、両者の数は8名ずつ。レーティングゲームというのはプレイヤーに細かなタイプをつけて分けている。パワー、テクニック、ウィザード、サポートだ。パワータイプは強力な攻撃力で相手を圧倒するタイプ、テクニックタイプはスピードや技を駆使して戦うタイプ、ウィザードは魔力全般に優れたタイプ」
「お前たちをこれに当てはめてみると、尊、お前はテクニックタイプとウィザードタイプを兼ねた存在だ。お前はパワーやスピードは大きく欠けるが、多彩な技に加えて強力な魔力も持っている。そしてお前は相手のタイプを見極める力とそれに基づく状況判断に優れ、司令塔としての素質にも優れている。グレモリー眷属のキング(王)のリアスよりもそこは上回っていると俺は断言するぜ」
「そ、それほどでも……」
アザゼル様から身に余る賞賛を受けて、僕は恐縮する。
「いいえ、ミコト、総督閣下の仰られた通りよ。あなたは私たちにとって素晴らしい司令塔よ。私たちはあなたのその的確な状況判断と指示で、これまで何回救われてきたのか分からないんだから」
「レイナーレ……!」
「そうですとも。私もミコト殿のおかげで何回救われたか分かりません」
「そうっすよ。ミコトくんは姉さまとのエロエロぶりはアレっすけど、ウチらにとって最高の司令塔っす」
「そうですよ。國原先輩は素晴らしい司令者です。この前の森での戦いでもとても的確な指示を出していただいて、僕、國原先輩のおかげで頑張れたんですから。國原先輩、これからも僕たちを導いていってください」
「カラワーナさん……! ミッテルトちゃん……! 流音くん……!」
皆の言葉を聞いて僕は思わず目頭が熱くなるのを感じた。つい最近まで学校内で友達もいない孤独で皆の関心の対象外のオタクであった僕が、最高に美しくセクシーな魅力あふれる美女であるレイナーレと相思相愛になれて、自分の事をこれほどに理解して評価してくれる最高の主を得て、これほどまでに僕を慕ってくれる素晴らしい仲間たちを得られたのだ。これを奇跡と呼ばずに何と言おうか……!
「そういう訳だ。尊。ここにいる皆がお前の事をこんなに慕っている。お前の愛する女を何があっても守ろうとする勇気と覚悟、仲間に対する優しさと責任感、それらが生み出す優れた判断力と戦略、そしてそれを決してひけらかしたりしねえお前の性格。それに皆が引きつけられてんだ」
「総督閣下……」
思わず感激に浸る僕。そしてアザゼル様は今度はレイナーレを見つめる。
「レイナーレ、お前はテクニックタイプとサポートタイプを兼ねた存在。優れたスピードを活かした攻撃に加え、神器の力で仲間を癒し、補佐する力を持っている。そしてあの神器を手にした事でお前は魔力を強大化させ、ウィザードタイプとしても大きな力を持つようになった。今のお前は、少なくとも禁手化状態ならリアスと互角に戦えるだろう」
と言われた。
「総督閣下……」
レイナーレの瞳が潤む。かつて兵藤と共に自分を恐怖のどん底にたたき落とし、追い詰めたあのグレモリー先輩と自分が対等に戦える存在になったと尊敬する主から言われたという事、それは彼女としては信じられない思いなのだろう。
「尊という心から愛する男を得て、その尊を支えたいというお前の想いがお前を大きく成長させたって訳だ。そうだろ?【ニプルクィーン】」
「そ、総督閣下……その名で呼ばれるのはど、どうかご勘弁を……」
あの美猴につけられた【ニプルクィーン(乳首女王)】の名で呼ばれて、レイナーレは美貌を真っ赤にして嘆願する。
「おいおい、その程度で恥ずかしがってちゃダメだろ?タンニーンから聞いたぜ。お前、黒歌と美猴を前に堂々たる脱ぎっぷりだったそうじゃねえか。これからお前は冥界全土でその【ニプルクィーン】の名をとどろかせてもらわねえとな!愛しの【ニプルドラゴン】と共に【最強バカップル】の名を知らしめるんだぜ!ハハハハッ!」
「ニ、【ニプルドラゴン】……! 【最強バカップル】……!」
「……………………」
さしもの僕も思わずカーーーッと顔が熱くなり、レイナーレは恥ずかしさのあまり涙ぐんでいる。
「やれやれ、この二人の事っすから、この世界全てにその名をとどろかすのは間違いないっすね~~という事は……ウチら、【ニプルドラゴンとニプルクィーンの部下】、【最強バカップルの部下】って呼ばれる事になるんすかぁ~~わーーー恥ずかしいっす!」
ミッテルトちゃんが【恥ずかしい】と言う割にニタニタと楽しそうに笑いながら言った。
「まあ、このお二人の事だ……仕方ないな」
「そうですね……」
カラワーナさんと流音くんは達観したようにうなずき合っている。
「いや~~恥ずかしい名前を頂戴してくれたもんだぜ……まあ、相棒、お前がレイナーレとのセックスで目覚めた時にこうなる事は覚悟していたがよ……」
「ごめんね。ディヴェリクス」
ディヴェリクスがやれやれという感じで言い、僕はそんな彼に謝る。
「次に流音、お前はサポートタイプとテクニックタイプを兼ねている。お前の神器は仲間を敵の攻撃から守るのと同時に、相手の攻撃を跳ね返すカウンター能力も備えている。これは大きな強みだぜ」
「は、はい!」
「そしてお前は今回の黒歌との戦いで見事に尊やレイナーレのサポートを務めた。お前の頑張りなくして尊たちも決して黒歌に立ち向かえなかったはずだぜ」
「いえ、僕だってレイナーレ先輩の神器の癒やしの力がなければ、そして國原先輩の的確な指示とカラワーナ先生の支えがなければ、とてもあの女性(ひと)の攻撃には耐えられませんでした」
流音くんはしみじみとした口調で言い、それにアザゼル様は大きくうなずかれる。
「その通りだ。だが、さっきも言ったがお前の神器の支えがなければ、尊もレイナーレも黒歌には立ち向かえなかったんだぜ。だからお互い様だ」
「総督閣下……」
「カラワーナ、ミッテルト、お前たちは現状では神器を持っていねえ。だから自らの力で今回の黒歌や美猴といった強力な敵を脅かす事は出来ねえ……」
「…………」
アザゼル様の言葉にカラワーナさんとミッテルトちゃんは深々と頭は下げるが、二人の体はふるえている。直接的に強力な敵を脅かす力がないと言われた事、いかに事実で尊敬する主の言葉とはいえ、相当悔しいのだろう。
「だが、カラワーナ、そしてミッテルト、お前たちは今のままじゃ悔しいんだろ? 神器を得て、もっとずっと強くなりたいんだろ? そして好きな奴を守りてえんだろ?」
「はっ! 左様でございます! 私は神器を得たい! 神器を得て今よりもずっと強くなって、レイナーレ様やミコト殿のお力になりたい……! そしてルオンを……愛しい彼を支えたいのです! ですので総督閣下! どうか私に神器をお授けください!」
「カラワーナ……!」
「カラワーナ先生……!!」
「ウチだって同じっす……神器を手に入れてレイナーレ姉さまとミコトくんを……カラワーナとルオンを助けたいっす! ですから総督閣下! どうかウチにも神器をお授けくださいっす!」
「ミッテルト……!」
「ミッテルトちゃん……!」
「大丈夫だ。お前たちのその熱い気持ちと、今回のしごきに耐えた根性があれば絶対にお前たちは神器を得て、それを使いこなせるようになるぜ。レイナーレも尊を支えたいという想いを力にして、思い切りエッチな方法だが、しっかり尊を支えられる力を身につけられたからな。お前たちだって出来るぜ」
「あ、ありがとうございます……!」
「ありがとうございますっす!」
「ところで、レーティングゲームの話に戻るが、お前たちの中には現在、パワータイプがいねえ。一方、グレモリー眷属の側には一誠、小猫、ゼノヴィアとパワータイプが3人もいる」
「確かに……」
「そしてパワータイプの連中が一番苦手にしてるのがカウンター使いだ。今、名を挙げた3人のようなパワータイプはなまじ攻撃力が凄まじい分、カウンター一発で形勢が逆転される事がある。カウンターというのは相手の攻撃に自分の攻撃をプラスして相手に跳ね返すモンだからな。そのパワーファイターの攻撃力が強ければ強いほど、カウンターがそいつに与えるダメージも甚大なものになるって訳だ」
「……という事は」
僕も、他の皆も流音くんに視線を注ぎ、流音くんも緊張した面持ちでアザゼル様を見つめている。
「そうだ。もし、お前たちが今後、再びグレモリー眷属と対決する事になったら、奴らがまず狙ってくるのは尊と流音、お前たち二人だ。尊、さっき言った通り、お前はこのチームの司令塔で、さらにレイナーレはもとより、ここにいる全員の心の柱になっている。お前が欠ければ、ここにいる全員が動揺するのは避けられねえ。そして流音、お前のカウンター能力は強力だ。一誠たちには大きな脅威になるのは間違いねえ。」
「………………」
僕も、そして流音くんも真剣にアザゼル様の言葉を拝聴する。
「そんなお前たちだからこそ、敵もまず最初に狙ってくる。俺がリアスの立場だったら間違いなくそうするぜ。だからレイナーレ、カラワーナ、ミッテルト、お前たち三人がいかに二人をサポート出来るか、それが重要になってくる」
「…………」
レイナーレの、そしてカラワーナさんとミッテルトちゃんの表情も真剣だ。
「レイナーレは今回の修行でその力を大きく向上させた。だからカラワーナ、ミッテルト、お前たちの成長が今後に向かってとても大事なんだ。頼んだぜ!」
「はっ! 承知いたしました!」
「承知したっす!」
「よし!」
アザゼル様は満足そうにうなずかれた。そして続けて言われる。
「最後に言っておくが、今回のレーティングゲームはグレモリー眷属が勝利する可能性は80パーセント以上とも言われてる」
「80パーセント以上……」
シトリー眷属側を応援している僕たちだが、両者に対する巷の評価にはそれほどの差があるのか……
「ああ、俺もグレモリー眷属の勝利だと思っちゃいるが、【絶対】に勝てるとは思ってないぜ。俺は長く生きてきた。その中、多種多様、様々な戦闘を見て来たぜ。だからこそ、言えるんだ。勝てる見込みが1割以下でも勝利してきた連中がいた事を俺は覚えている」
「良い例がお前たちとグレモリー眷属だ。あの、駒王町の教会での、襲撃してきたグレモリー眷属とお前たちの戦い……当時、もし事前に聞いたなら、それこそ誰に聞いても【グレモリー眷属が勝つに決まってる】と答えただろうし、リアスたちグレモリー眷属側も勝利……すなわちお前たちを殲滅出来ると確信していた。だが実際にはお前たちはドーナシークを失いつつもあの戦いを乗り越えて何とか生き延びた。だから1パーセントの可能性を甘くはみれねえし、お前たちにも、そしてシトリー眷属にも無限の可能性があるんだ。これが今回の合宿で俺がお前たちに伝える最後のアドバイスだ」
「はっ! 総督閣下、ご教示ありがとうございました!」
僕たちは一斉に平伏して、心の底から礼を申し上げた。そしてアザゼル様の部屋から退出したすぐ後……
「ミコト、ちょっと待っていて。カラワーナと話があるの」
レイナーレはそう言うと、並んで歩いているカラワーナさんと流音くんの元へと駆け寄った。
「カラワーナ、ちょっといいかしら? ルオンくん、ちょっと彼女を借りるわよ」
「は、はい、何でしょうか?」
と尋ねるカラワーナさんをレイナーレは少し離れた所に連れて行って、そこでそっと耳打ちした。
「えっ……? は、はい……分かりました……ありがとうございます……」
カラワーナさんは顔を赤く染める。そしてレイナーレは僕の元へと戻って来る。
「レイナーレ、カラワーナさんにどんな話をしたの?」
「ウフッ……内緒♪」
レイナーレは悪戯っぽく微笑んだ。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
僕たちが國原先輩とレイナーレ先輩の二人と別れた後、カラワーナ先生はいったん自分の部屋に戻って、改めて僕の部屋に来ると言って僕たちはいったん別れた。ちなみに先程、レイナーレ先輩と何を話していたかについては先生は教えてくれなかった。
僕は自分の部屋でカラワーナ先生を待ちつつ、いよいよもうすぐ終わる、今回の合宿について振り返っている。本当に色々な事があった。若手悪魔の会合の際には行く途中で悪魔の人たちに罵声を浴びせられて石をぶつけられ、会場でもゼファードルという見るからに不良っぽい人に絡まれたし、あの神器発動訓練の際のゴーレムに襲われた時は死を覚悟もした……
でも、今回の訓練とあの【禍の団】の人たちとの戦いの中で、僕は神器発動の能力を高める事が出来て、あの【黒歌】という猫又の女の人との戦いでは國原先輩とレイナーレ先輩の力になる事が出来た。その事をアザゼル様にも認められ、お褒めのお言葉も頂けた。それは僕にとって大きな進歩だった!
そして國原先輩とレイナーレ先輩。二人は僕よりずっと辛い思いをしていたにも関わらず、僕を常に気に掛けて優しく支えてくれた。そんな素敵な先輩と共にいられて、僕は自分の幸運を噛みしめている。
さらに何といっても僕にとって一番大きかったのは大好きなカラワーナ先生との絆を深められた事! 彼女と温泉で短い時間ではあったが愛し合えて、僕はまさに至福の時を過ごせた!
でも、カラワーナ先生、【私は神器を持っていなくて肝心な時に役立たずだ】ってすごく気にしている。それに人間界に戻れば、先生と僕はまたいつも人目を気にしなくてはならなくなる。その事も先生は気にしている。僕が頼りなさ過ぎるから先生に余計な心配をかけているんだ。もっとしっかりしないと……!
僕がそんな事を考えていると、部屋のドアがコンコン、とノックされた。
「は、はい!」
「ルオン、私だ。空けてくれ」
カラワーナ先生の声に僕はベッドから飛び起きて、ドアを開ける。するとそこには……
「あっ……! 先生、そのドレス……」
僕は驚く。そう、彼女はあの魔王主催のパーティの時に着ていた、あの露出度の極めて高い紺色のドレスをまとっていたのだ。
「ああ、あの時、私のドレス姿を、お前がとても喜んでくれていたからな。レイナーレ様が気を利かせて、借りたままにしておいて下さったのだ。【あなたが再びこれを着れば、きっとルオンくんも喜んでくれる】とな……」
先生は美貌を赤らめつつ説明してくれた。
そうか……それでさっき、レイナーレ先輩はカラワーナ先生を呼び止めて話を……
僕はレイナーレ先輩の優しさに感激する。
「そ、それでどうだ……? ルオン、私のこの姿を再び見れて、その……嬉しいか?」
先生は恥ずかしそうにしつつ僕に聞いてくる。もちろん僕の答えは……
「もちろんです! 先生のその姿、とても素敵ですから!」
そう。その先生の前も後ろも大きく開いたドレスは、前は彼女の張り詰めた大き過ぎるほどに大きな胸の深い谷間も引き締まったへそがほとんど丸出しで、下はもう少しで秘部も見えてしまうギリギリのところまで空いている。そして後ろも彼女の起伏に富んだ綺麗な背中が丸出しで、下はもう少しでお尻が見えてしまいそうである。あまりにも性的魅力にあふれた姿だ……!
「そうか……! 嬉しいぞ!」
先生は目を潤ませて喜んでくれる。いつもクールな雰囲気を醸し出している彼女が、僕にはこんな表情を見せてくれる。その事が僕はとても嬉しい……!
「ルオン……せっかくだから踊らないか?」
「踊りを……ですか?」
突然の彼女の申し出に僕は戸惑う。
「あの夜のパーティーだが……本当はあの後、ダンスが予定されていたと聞くぞ。あんな事があって中止になってしまったが、私はルオン、お前とぜひ踊りたかったんだ。だから受けてくれ」
先生は美貌をほんのりと赤らめる。
そういえば……確かにあのパーティーでは会食の後、皆でダンスを踊るという予定になっていたよね……
僕は思い出す。そんな僕に先生は手を差し出す。
「で、でも……僕、ダンスなんて踊った事なくて……」
「大丈夫だ。私が教えるから」
なお戸惑う僕に先生はそう言って迫る。そうなると僕ももう拒めず、僕は彼女と手を取り合って踊り始める。ちなみにこの部屋、個室なのにとんでもなく広い。僕と彼女、二人が踊るだけのスペースは十分にある。
「ほら、そこの足の運びはこう。ステップはこう踏むんだ。そうだ。ずいぶんと上手くなってきたぞ……♪」
僕は先生から手取り足取り指導される。ダンスの経験もなく、運動神経も良くない僕はてんで下手で、周囲に人がいたら笑われるであろうが、先生はそんな僕に優しく微笑みつつ教えてくれる。
それにしても、カラワーナ先生の方が僕よりもずっと背が高く、力もあるので、彼女と両手を取り合って回る時とか、僕の体が宙に舞うような感じになる。もし、パーティー会場で踊ったなら、かなり目立つだろう。
先生は僕を軽く両手で持ち上げると、まるでフィギュアスケートのペアのように僕の体を空中でクルクルと回す。
「わわっ! 先生っ!」
「フフフッ……♪」
本来、男の方がやるべき事を彼女にされて(とはいえ、非力すぎる僕には彼女を持ち上げるなど到底無理だが)、僕としては内心少々複雑だったが、でも、先生がとても楽しそうな様子なのでまあ良いかと思う。そして先生は僕の体を下に下ろすと、そのまま僕をぎゅっ! と抱き締め、僕にそっと顔を寄せて唇を重ねる。
「あむっ……くちゅっ……れろっ……れろれろ……」
「うむっ……うううんっ……ぷはっ……!はあっ……はむっ……」
舌を絡め合う濃厚なキスにふける僕と彼女。しばらくしてカラワーナ先生は赤く染まった顔で僕を潤んだ目で見つめて言った。
「ルオン、さっき、お前はアザゼル様の前であの猫又女との戦いの時に【カラワーナ先生の支えがなければ】と言ってくれた。あの言葉、とても嬉しかったぞ……」
「先生……」
「分かっている。アザゼル様に言われたように神器も持たない、ただの下級堕天使の下っ端でしかない私は、あの猫又女のような強力な敵との戦いでは現状ではただの足手まといでしかないという事を……だが、ルオン、お前はそんな私を自分の支えとしてくれている。そんなお前の気持ちが、私は本当に嬉しかった……!」
先生は目から涙を滲ませる。僕はそんな彼女に愛おしさが募る。
「先生……!」
「だがルオン、私はそんなお前の優しさに甘えていたくはない。レイナーレ様がミコト殿を支えたいという想いで神器を得て、さらに禁手化まで果たして見事にミコト殿を支えられるようになったように、私もルオン、大切なお前を支えられるようになりたいんだ。だから、私は必ず神器を手に入れて、今よりもずっと強くなってみせる!」
先生は涙を流しつつ叫ぶ。そんな彼女に僕の胸の鼓動もさらに激しく高鳴る!
「先生! 嬉しいです! 僕をそこまで想ってくれて……! はい! 僕ももっと先生を守れる力をつけられるようにこれからも努力します! 大好きです! 愛してます! 僕のカラワーナ先生!」
「嬉しい……! 嬉しいぞルオン!」
先生は涙目で僕を見つめ、僕を誘う。
「さあ、来てくれルオン。私を存分に愛してくれ」
「先生……!」
僕は先生を愛おしく思う気持ちと、ドレスからのぞいている彼女の深い胸の谷間への欲情で胸をいっぱいにしつつ彼女に近付き、そっと彼女の肩に手をかける。彼女の方がずっと背が高いため、僕は大きく腕を腕に伸ばしてまるで背伸びをするような体制になる。
「あ……ルオン……あっ……」
先生の嘆息と共に、彼女の滑らかな肌を紺のドレスがするりとすべり落ちて彼女はその張り詰めた大きな乳房をぶるんっ! と弾ませつつ全裸となる。
全裸となったカラワーナ先生の裸体を僕はじっと見つめる。いつもはクールビューティなイメージの彼女が、その美貌を赤らめ、涙目で僕を見つめている。その表情はとてもいじらしい。そして彼女の張り詰めた大きな乳房とその頂の硬く勃起して突き出している大きな乳首に引き締まったへそ、くびれた腰に形の良いお尻の素晴らしい裸体は僕を興奮させ、僕の胯間は大きく猛り立つ!
「ああっ……! ルオン……! お前のアソコがそんなに大きくなってっ……! お前の可愛い顔がこんなに赤くなってっ……! 私の裸に興奮してくれているんだな……嬉しいぞ! さあ、早く来てくれ……私のルオン」
「はい……!」
僕は先生のビン! と硬く勃起した乳首をすりっ……とさする。
「あっ!!」
先生が裸体をビクッ! とふるわせる。僕はさらに彼女の乳首をすりっ……すりすりっ……すりっ……とさすりまくり、僕の指の動きと共に彼女の大きな乳首がぶるぶるっ! と卑猥にうごめく。
「あっ! あっ! あはあっ! ル、ルオンっ! ち、乳首気持ち良いっ! 気持ち良いぞっ! あっ! あはああっ!」
僕に乳首をさすり回され、先生は甘い声であえぎまくる。彼女の硬く勃起した大きな乳首の触り心地は最高で、僕は夢中で彼女の乳首をさすり続け、その乳首の素晴らしい感触と、それをさすられてあえぐ彼女の甘い声、恍惚とした表情を浮かべた彼女の美貌が僕を感動させる。
僕は先生の張り詰めた大きな両乳房をぎゅむっ! と掴む。
「あっ!! あはあっ!!」
また先生が裸体をふるわせる。僕は掴んだ自分の手を押し返してくる彼女の張り詰めた大きな乳房の弾力感に興奮しつつ、彼女の乳房をさらにぎゅむっ! ぎゅむぎゅむっ! むにゅうっ! と激しく揉みまくる。
「ああっ!! 先生の胸っ!! 凄いですっ!! こんなに大きくてムチムチして弾力があって素晴らしいですっ!!」
「ああっ!! あはああっ!! ル、ルオンっ!! 胸気持ち良いっ!! 気持ち良いぞっ!! あっ!! あはああんっ!!」
夢中で先生の乳房を揉みしだく僕、僕に乳房を激しく揉まれてあえぎまくる先生。
僕は先生の勃起乳首にはむっ!と吸い付く。
「あっ!! あはああああああっ!!」
先生が裸体をのけぞらし、さらに僕は彼女の乳首をなめ回し、吸い上げ、しゃぶりまくる。
「あむっ……ちゅうううううっ!ちゅばっ!るろっ……れろれろっ……ああっ……カラワーナ先生の乳首っ……とってもおいしいっ……!おいしいですっ……!もっともっと味併せてくださいっ……はむっ!じゅるるるるーーーーーーっ!」
「ふああああんっ!!ル、ルオンっ!!乳首イイっ!!もっともっと吸ってくれっ!!吸いまくってくれっ!!あっ!!そ、そうだっ!!あはっ!!はああああーーーーーんっ!!」
僕とカラワーナ先生は何度も何度も求め合った。間もなく、僕たちは人間界に……駒王学園へと戻る。そうなれば僕たちはまた、教師と生徒の立場を常に意識しなければならず、公然と愛し合う事は出来なくなる。その前に思い切りお互いのぬくもりを感じたい! その思いで……
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
その翌日、グレモリー家の居城地下にレーティングゲーム場に移動するための巨大な魔方陣が出来ていて、これからグレモリー眷属との決戦に向かうシトリー眷属の面々が集まっている。僕たちは彼女たちを激励するためにそこに来ている。
ちなみにアザゼル様はグレモリー眷属の面々を激励しにここから少し離れた場所においでだ。それが終わったら僕たちに合流されるとの事だ。
決戦に赴くシトリー眷属の面々は……ソーナ会長、そして匙と、以前、僕たちの駒王学園復学・転入時に彼と共に僕たちの面倒を見てくれた1年生の仁村留流子さん、そして長い黒髪に眼鏡をかけた胸の大きな美女……3年生で生徒会副会長【真羅椿姫(しんらつばき)】先輩、そして僕と同じ2年生の4人の女生徒……長身でクールな雰囲気で胸はかなり控えめな由良翼紗(ゆら つばさ)さん、赤い髪で大きなクリッとした目が印象的な巡巴柄(めぐり ともえ)さん、長い栗色の髪をおさげにしている草下憐耶(くさか れや)さん、そして柔らかな感じの銀髪の美少女の花戒桃(はなかい もも)さん、という顔ぶれだ。
「ルルコ! 頑張るっすよ! グレモリー眷属の奴らに目にもの見せてやるっす!」
「仁村さん! 頑張ってね!」
ミッテルトちゃんと流音くんが仁村さんを激励する。この二人と仁村さんは同学年でクラスメイトで、その上、転入生であるミッテルトちゃんの面倒を仁村さんがよく見てくれているという事もあってとても仲が良い。
「ミッテルトちゃん! 水神くん! ありがとう! 私、頑張る!」
仁村さんは笑顔で礼を言う。
「匙くん張ってね! 君たちの勝利を願ってる!」
「サジくん、頑張ってね!」
僕とレイナーレも匙を激励し、さらにソーナ会長にも応援の言葉を贈る。
「会長、頑張ってください!」
「おう! ありがとな! 必ず勝ってくるぜ!」
「國原くん、レイナーレさん、あなたたちから聞かせてもらったグレモリー眷属との戦いの体験の話、これからの勝負に大いに参考にさせてもらいます」
そう、僕たちはこれまでの自分たちとグレモリー眷属との戦いの経験を話す事が匙や会長たちにとって少しでも力になればと思い、彼女たちに伝えたのだ。
「圧倒的に力が勝っている。圧倒的に有利だとされている者が必ず勝つわけではない。あなたたちはこれまでのグレモリー眷属との戦いでまさにそれを証明してきました。そんなあなたたちの体験を話してもらえたのはとても大きいです。ありがとう」
ソーナ会長は僕たちに頭を下げる。
「國原、お前の話、凄く胸に響いたぜ。お前がレイナーレさんを守る為に兵藤相手に見せた勇気と根性、俺も見習わないとな! 見ててくれ! 必ず俺はこの戦いでお前に負けない勇気と根性を見せてやる!」
「匙くん……! うん! 君ならきっとそれが出来るよ!」
「おう!」
僕と匙はしっかりと握手を交わした。
アザゼル様には申し訳なく思うが、僕たちは心の底からシトリー眷属の皆を応援し、その勝利を願っている。まだ兵藤やグレモリー先輩たちグレモリー眷属の憎悪を浴びていた頃のレイナーレや僕を、ソーナ会長や匙たちシトリー眷属の皆は快く駒王学園に受け入れてくれて、様々な便宜を図ってくれていた。
先日聞いた匙の将来の夢も、僕たちにとって心から共感出来るものだった。そんなシトリー眷属の皆の役に少しでも立てれば……! 僕もレイナーレもそう思って、僕たちの体験を伝えたのだ。
シトリー眷属の皆の乗っている魔方陣が輝きだし、彼女たちは決戦の会場へと移動した。僕たちはグレモリー眷属の面々を見送ってこちらに来られたアザゼル様と合流し、要人専用のレーティングゲーム観戦会場へと移動する事となった。本来そこは各勢力のトップの方々のみが入れる場所であり、僕たちのような下級堕天使が入れるような場所ではないのだが、アザゼル様の口添えで入れて頂ける事になったとの事だ。
そして要人VIPルームへと到着した僕たち。そこにいたのは、シェムハザ様、サーゼクス様、グレィフィアさん、セラフォルー様と僕がよく見知った方々……そして……
鬼崎……!
そう、あの鬼崎がいた。オカルト研究部の一員とはいえ、悪魔からみれば異種族の【魔人】であり、グレモリー眷属でもない彼は、僕たちと同様にレーティングゲームに参加する事は出来ない。しかし、グレモリー先輩の関係者だという事で彼女の口利きでここに招かれているのだろう。
僕たちと鬼崎の目が合う。だが、彼は僕たちを一瞥しただけで、これまでのような挑発的な態度を取ることもなく、すぐに僕たちから視線をそらした。
あれ? 何だか【心ここにあらず】って感じだ。どうしたんだろう?
鬼崎の様子に違和感を感じた僕だが、彼をずっと見ている訳にもいかず、視線を他へ移す。すると……
これまで会った事のない人物が二人いた。一人は古ぼけた帽子をかぶり、白く長い髭を生やした隻眼の老人で質素なローブを身にまとい、杖を持っている。
もしや……この老人は……!?
僕はその老人の姿からある有名な神話上の人物を思い浮かべる。
もう一人、長い綺麗な銀髪に抜けるような白い肌に青い目の整った顔立ちの美女。胸が大きくてスタイル抜群で背が高く、いかにも北欧系白人美女という感じだ。その身には女戦士という感じの鎧を身につけている。
「総督閣下、あちらのお二人は……?」
「ああ、あのジジイは北欧の主神オーディン……まあ、色々と厄介なクソジジイだ。そしてあの娘はジジイに仕える【ヴァルキリー(戦乙女)】。名前はまだ知らね」
やっぱり……僕が思った通り、あの老人はオーディンだったのか……
僕が彼を見つめていると、ふと、彼と視線が合う。僕は慌てて挨拶する。
「初めましてオーディン様。僕はアザゼル様に仕える下級堕天使、國原尊と申します。以後、お見知りおきを」
続いて、レイナーレも挨拶する。
「初めまして、オーディン様、私は【ミコトの恋人】で同じく下級堕天使のレイナーレと申します。どうぞお見知りおきを」
その後、カラワーナさん、流音くん、ミッテルトちゃんも続いて丁重に挨拶をする。
それにしてもレイナーレ、わざわざ【ミコトの恋人】って初対面の挨拶で言うなんて……僕としては嬉しいけれど、もしかしてあのヴァルキリーの女性を意識したのかな? 挨拶の時にチラッと彼女を見た気がするし……そんな心配は無用なのに……僕はいつだってレイナーレ、君の事しか考えていないんだから!
するとオーディンはその隻眼で僕を見つめる。
「おう、お主が例の【黒龍王】の小僧か……線は細いがなかなか意思は強そうじゃの……【赤龍帝】の小僧たちとの事はよく聞いておるぞ。いずれ、お主の戦いぶりも見てみたいものじゃ」
「は、はい、そのように仰っていただき、光栄に存じます」
オーディンの視線は僕の隣のレイナーレに移る。ちなみに彼女は今は、本来のあの露出度抜群の黒のボンデージ姿だ。オーディンはその彼女の姿をなめ回すように見る。
「おうおう、お主が【黒龍王】の恋人の評判の堕天使か……しかし……ううむ……胸はデカいしスタイル抜群じゃのう~~そしてその体を隠そうともしないその衣装……実に良いぞい♪」
オーディンは好色な笑みを浮かべる。
そんなオーディンのセクハラじみた視線と言葉にレイナーレは美貌を真っ赤にして困惑する。
「あ、あの……」
「聞けば、お主とそこの【黒龍王】はずいぶんとエロい必殺技を駆使するそうじゃのう……ぜひ、今度披露して欲しいものじゃ。そしてそこの女、また実にデカイ乳をしとるのぉ……おお、良い眺めじゃ♪」
オーディンは今度はカラワーナさんに好色な視線を向けてやはりセクハラじみた発言をする。カラワーナさんはレイナーレ同様、顔を真っ赤にして困惑していて、流音くんは思わずキッ! とオーディンを睨んでいる。
それにしても……子供の頃から聞いていた神話と同じ……オーディンはとても好色な神様……
「あのジジイ、どうしようもねえスケベジジイでな……気にするな」
アザゼル様がささやかれる。
するとヴァルキリーの女性がオーディンの頭をハリセンでパシッ!と叩く。
「オーディン様!卑猥な事はいけないとあれほど申し上げているではありませんか! 堕天使の皆様、我が主がご迷惑をおかけして申し訳ありません。私はオーディン様に仕えるヴァルキリーの【ロスヴァイセ】と申します。以後、お見知りおきを」
「は、はい、どうぞよろしくお願いします」
僕とレイナーレはそのヴァルキリーの彼女……ロスヴァイセさんに頭を下げる。
「全く、お前は固いのぉ。そんなだから勇者の一人や二人、ものに出来んのじゃ」
オーディンの言葉にロスヴァイセさんは途端に涙目になる。
「ど、どうせ、私は彼氏いない歴=年齢の戦乙女ですよ!私だって、か、彼氏欲しいのにぃ!うぅぅ……」
泣き出すロスヴァイセさん。その様子をそこにいた皆は唖然として見つめる。
さっきはとても優秀な秘書さんといった感じだったのに、結構落ち込みやすい性格なのか。でも、真面目で良い女性みたいだ。
僕はロスヴァイセさんの振る舞いに驚いたものの、彼女に悪くない印象を持った。
「では、いよいよレーティングゲームが始まるぜ。お前たちもよく見ておけ」
「はっ!」
アザゼル様の声に僕たちはモニターの画面に見入る。
匙くん……! ソーナ会長……! 頑張って!
僕はふと鬼崎の方を見つめた。モニター画面を見つめる彼の顔は真剣そのものだ。そこには以前、レイナーレに見せた悪意といったものは一切感じられない。得体の知れない男で、アザゼル様も強く警戒しているが、彼は彼なりにグレモリー眷属の仲間たちの事を真剣に思っているという事なのか?アザゼル様もそんな鬼崎の様子をじっと見つめている。
僕は改めてモニターの画面に見入る。そしてその目に映った光景は……
あれ……? この場所、どこかで見た気が……あっ!
「ミコト……! これは……!」
レイナーレも気付いたようだ。
そう、そこは僕たちがしばしば訪れる、駒王学園の近くにあるデパートだったのだ。広いショッピングモールに見知った店の数々、天井は吹き抜けアトリウム、間違いない!
その時、場内アナウンスの声が聞こえて来た。
「皆様、この度はグレモリー家、シトリー家の【レーティングゲーム】の審判役を担うこととなりました、ルシファー眷属の【女王】のグレイフィアでございます」
そうか、グレィフィア様がこの試合の司会兼審判役というところなのか……
「わが主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。どうぞ、よろしくお願い致します。早速ですが、今回のバトルフィールドはリアス様とソーナ様の通われる学舎【駒王学園】の近隣に存在するデパートをゲームのフィールドとして異空間にご用意致しました」
グレイフィア様のアナウンスを受けてアザゼル様が僕たちに説明される。
「レーティングゲームの戦場はその時々において様々な形に設定される。それがどんな場所になるかは試合の直前まで出場者には知らされねえ。そして試合のルールも試合開始直前になってようやく知らされる。出場者は短い時間でその戦場の状況とルールを把握して、それに応じた作戦を立てなくちゃならねえんだ」
そうか! 実際の戦いはいつ、どんな場所で、どんな条件で戦わされる事になるのか分からない! どんな状況でも臨機応変に対応して戦える能力を培うのが目的という訳か……!
僕はこのレーティングゲームという試合の趣旨を悟った。なるほど、確かに理にかなっている。
「そして、この試合のルールだが、【バトルフィールドとなるデパートを破壊し尽くさないこと】という事だ。つまり、ど派手な戦闘は行うなって意味だ」
アザゼル様は苦虫を噛み潰したような顔で言われる。それを聞いて僕はハッ! とする。
そうか! そのルールだと兵藤のような力任せのパワータイプのファイターは大きく不利になる。彼の真骨頂の破壊力抜群の攻撃技は使えないという事。もちろん、仮に僕がこの試合に参加するのであれば【ニプルブラスト】も使えないわけだけれど。綿密な戦略と仲間との連携、それが勝敗の大きなカギを握る事となる。
僕はアザゼル様の言葉を思い起こす。
「勝てる見込みが1割以下でも勝利してきた連中がいた事を俺は覚えている」
「1パーセントの可能性を甘くは見れねえ」
「レイナーレ、この試合……」
「ええ、シトリー眷属側が勝つ可能性、十分にあるわね」
「うん!」
当初はグレモリー眷属の勝率80パーセント以上とされていたこの戦いだが、その差はかなり縮まったと見て良いのは間違いない。そうなれば僕たちとしても応援に大いに熱が入る……! そして僕とレイナーレは身を寄せ合ってモニターの画面に見入る。
(次回に続く)
今回の第35話で原作では第5巻に当たる冥界合宿編を完結させようかとも思いましたが、ラストのグレモリー眷属対シトリー眷属のレーティングゲーム対決に入る直前の段階でもう2万字近い字数になっておりましたので、レーティングゲームの決着と人間界への帰還までとなると長くなり過ぎますので、ここで更新する事にしました。
最初のアザゼルとサーゼクスたちの会話に、その後のアザゼルと尊たちとの会話。尊を司令塔とする堕天使チームには一誠のようなパワーファイターがおらず、グレモリー眷属と比べると非力な感は否めませんが、その分、尊の司令塔としての資質とチーム内の皆の信頼と結束はグレモリー眷属に全くひけをとらないどころか、勝っている部分もあり、将来的に尊たちがレーティングゲームに参戦する事になればかなり期待出来る、そんな事を伺わせるお話でした。
アザゼルやミッテルトに【ニプルクィーンにニプルドラゴン】【天下無敵のバカップル】と思い切り冷やかされる尊とレイナーレですが、この二人ならばアザゼルの期待に違わず、その異名を思い切り世界に響き渡らせる事はまず間違いないと思われます(笑)将来、仇敵の一誠&リアスの【おっぱいドラゴン】【スイッチ姫】とその異名を競い合う事になるでしょう…(;^^)
流音&カラワーナのラブシーン。レイナーレがカラワーナのドレスを「ルオンくんが喜ぶから」と確保しておいた所に、彼女の部下に対する優しさが示されていました。尊&レイナーレのラブシーンがもうバカップル度全開なのに対して、流音&カラワーナはこの二人が女教師と生徒という、世間でいうところの【禁断の恋】であって慎重にならねばならない事と、二人の性格的な事もあって、やや控えめな感じになっています。ちなみに流音とカラワーナ、今回の描写では二人の【逆身長差カップル】という面を強調してみました^^
レーティングゲームの決戦へと向かうシトリー眷属を激励する尊たち。駒王学園への復帰&編入以来自分たちに友好的に接してくれて便宜も度々図ってくれているシトリー眷属に対する感謝の念と、匙の夢に対する共感もあって、尊たちはシトリー眷属側に大きく肩入れしています。それが、尊たちが自分たちのグレモリー眷属との戦いの経験をシトリー眷属に伝えるという行動に繋がっています。
最後の要人VIPルームでの出来事。そこでの鬼崎の様子にこれまでと違った印象を感じる尊。今、鬼崎の心は【禍の団】とグレモリー眷属の間で大きく揺れている訳ですが、果たして次の【ディオドラ編】で示される、彼の下す決断はどうなるのか…!?
尊たちとオーディンおよびロスヴァイセとの初対面。まあ、あのオーディンなら、あのボンデージ姿のレイナーレのセクシーダイナマイツボディを見たら、ああいう反応を示すのは絶対に間違いない訳で…(;^^)
そしてロスヴァイセ…現在、彼女はD×Dモバゲーでの人気投票でメインヒロインのリアスや朱乃に匹敵するほどの人気を誇りますが、この初登場の段階で彼女がそれほどの重要キャラ、人気キャラになるなどと予想した人はまず全くいなかっただろうと思います。そう思うと感慨深いものがありますね。
次回第36話は尊たちの視点から見たグレモリー眷属とシトリー眷属の試合の経過とその顛末、冥界合宿の終わりと駒王学園への帰還、そしてディオドラ編の導入部といった所を書く事になります。
それでは、次回をお楽しみに!^^