圧倒的不利とされていた匙たちシトリー眷属は予想外の善戦を見せ、その彼らを尊たちも全力で応援するが……
VIPルームにてモニターの画面を見る僕たち。グレイフィア様のアナウンスが入る。
「開始のお時間となりました。なお、このゲームの制限時間は3時間の短期決戦(ブリッツ)形式を採用しております。それでは、ゲームスタートです」
その瞬間、室内のモニターが二つの場面を映す。まず、ペットショップ、ゲームセンター、飲食フロア、本屋、ドラッグストアといったものが見える。そこにはグレモリー眷属たちが集まっている。それは駒王町のデパートの2階の東の端に位置する場所だ。
もう一つは、食材品売り場と、電気屋、ジャンクフード店、雑貨品売り場が見える。デパートの1階の西の端に位置する場所だ。そこにはシトリー眷属の面々が集まっている。
グレモリー先輩とソーナ会長が、それぞれ自分の眷属たちに何やら指示を与えている。それに眷属たちが一斉にうなずき、それぞれ別の場所に散っていく。その動き全てをここからは追う事が出来るのだ。
匙くん! そして仁村さん!
僕は二人の姿を認めた。その匙は黒いロープのようなものを右腕に巻き付けて天井にひっかけて宙にぶらさがっていて、彼の背に仁村さんがおぶさっている。
「サジくん、何をしようとしているのかしら……?」
「うん……」
僕とレイナーレは二人の様子を観察する。
「あれは……」
その匙の腕に巻き付いているロープのようなものは、よく見ると黒い蛇だった。ディヴェリクスの声が響く。
「あれは神器【黒い龍脈(アブソーブション・ライン)】だ。あの小僧もドラゴンの宿主だって事だ。まあ、俺はしばらく前から気付いちゃいたがな」
「匙がドラゴンを宿してるって?」
「ああ。あの小僧が宿しているのは【五大龍王】の一角、【黒邪の龍王】の【ヴリトラ】だ。【黒龍王】の俺にとっては親戚に当たる奴だ」
「そうなんだ。君の親戚……それでその神器の能力は?」
「今、あの小僧がやっているようにラインを飛ばして対象と自分を接続できる。そして相手が生物の場合、相手の力を吸い取る事が出来るんだ」
「なるほど。相手の力を吸収する事が出来る……」
それはなかなかに有効な能力……それにしても【黒邪の龍王】という事は匙のドラゴンも黒いドラゴンという事。そういえば僕の神器も相手に巻き付いて締め上げたり、拡散して相手にへばりつくなどの攻撃が出来るし、ディヴェリクスと匙のドラゴンが親戚だというのもうなずける。
「ミコト……! 見て!」
レイナーレが僕の腕を引っ張る。
「えっ? あっ! あれは……!」
レイナーレが示した先を見ると、そこには自動販売機の影に隠れている兵藤と塔城の姿があった。その塔城の頭には……
「猫耳……!」
そう、塔城の頭からはこれまで見た事のない猫のような耳が生えていた。さらによく見ると尻尾も見える。そうか、塔城は猫又。この前、姉の黒歌と接触した時には【あんな力なんかいらない!】と猫又の力を否定していた塔城だが、この試合でそれを使う決意をしたという事か。
僕は匙と仁村さんの方へ視線を戻す。すると匙の目が兵藤たちを見つめているのを確認する。
そうか……! 匙は兵藤たちの居場所を天井から見つけて攻撃の機会を伺っている。兵藤たちはそれに気付いていない。これはチャンス! と僕は思う。だが、
「いや、あの【赤龍帝の小僧】、少なくとも敵が自分たちに接近している事は感づいているぜ。敵が具体的に誰なのか、どこにいるのかって事までは把握出来てねえだろうがな」
「えっ!?」
「よく見てみな」
ディヴェリクスに促されて僕がよく観察すると、塔城の猫耳がピクピクと動き、彼女と兵藤が何やら話している様子が見える。
「あの猫又の小娘、仙術を使ってやがる。それで気の流れで敵の存在をある程度把握してるんだ」
「なるほど……」
そういえば塔城の姉の黒歌は仙術の使い手だった。妹の塔城も姉ほどではなくても、それなりに仙術を会得しているという事か。
「あっ! 先輩! あれは!?」
流音くんが叫ぶ。
「えっ? どうしたの? あっ……!」
流音くんが指さした画面を見ると、そこはシトリー眷属の本陣となっている食材品売り場で、そこに多くのコウモリが群がっている。
「あれは……!?」
「ありゃ、あの女装趣味のハーフヴァンパイアの坊やさ。ヴァンパイアはあの姿に変身する能力を持ってるんだ」
「えっ!? あれがギャスパーくん!?」
「ほ、本当に……!?」
僕も流音くんも驚く。初めて彼が男だと知った時には大いに驚いた、あの美少女のように可憐な容姿のギャスパーくんがあんな姿に変身するなんて……と僕たちは思うが、レイナーレやカラワーナさん、ミッテルトちゃんは別に驚いた様子はない。
そういえば以前、レイナーレが【ハーフヴァンパイアなら、普通の人間とは違った雰囲気を持っているはず】って言っていた。彼女たちはヴァンパイアについてそれなりに知っているという事か。
僕は匙たちと兵藤たちの方へと視線を戻す。するとその瞬間……!
匙が仁村さんを背負ったまま、ターザンのように膝蹴りの体勢で兵藤めがけて天井から急降下する。兵藤は【赤龍帝の籠手】を盾にその攻撃を受け止める。
落下の勢いと匙と仁村さんの二人分の体重を載せての膝蹴りに兵藤の体がグラッ! とよろめく。
「……!」
「やった!」
「よし!」
レイナーレの表情がパッ!と輝き、ミッテルトちゃんとカラワーナさんも歓声をあげる。
だが、兵藤はさほどのダメージを受けた様子はなく、体勢を立て直して身構える。さすがにこのくらいの攻撃で大きなダメージを与えられるほど兵藤は甘くない。それは彼と戦った経験のある僕は身を持って知っている。
「國原先輩っ!」
また流音くんの声が響いた。僕は再びギャスパーくんの入り込んだ食料品売り場を映した画面に目を映す。すると……
元の姿に戻ったギャスパーくんが気を失って、シトリー眷属の二人……草下さんと花戒さんが彼を取り押さえている。
「リアス・グレモリー様の【僧侶(ビショップ)】1名、リタイヤ」
アナウンスが響く。
「よっしゃあっ!」
「いいぞっ!」
「ミコト、やったわね! 見事な専制攻撃だわ!」
ミッテルトちゃんとカラワーナさんが先程以上に大きな歓声をあげ、レイナーレも歓喜の表情を浮かべる。
絶対的不利を予想されていたシトリー眷属側が先に一つ、勝利を手にしたのだ! 当然、彼女たちを応援している僕たちの熱は大いに上がる。一方、そのアナウンスを聞いた兵藤と塔城は明らかに驚き、動揺した様子を見せている。
「あのハーフヴァンパイヤの坊や、まんまと誘い出されたな」
「誘い出されたって?」
「ディヴェリクス、どういう事なの?」
「ああ、あの坊やは相手の偵察を任されていたのさ。だが、それを察知したシトリー眷属側は、わざと不審な行動をとって坊やの気を引き付けた。そして自分たちの本陣へと誘い出した。そこで……おい、相棒、食料品売り場には必ずある、吸血鬼が苦手なものって何だ?」
ディヴェリクスの問いかけに僕は瞬時に思いつく。
「ニンニク!」
「そうだ。まんまと誘い出されたあの坊やは、そこで大量に用意されていたニンニクの臭いでやられたって訳だ」
「なるほど……」
ディヴェリクスの説明に納得する僕とレイナーレ。
「國原先輩、【ニンニク】というのは?」
「ミコトくん、どういう事っすか?」
流音くんとミッテルトちゃんが聞いてくる。そこで僕は今、聞いた説明を二人にする。
「なるほど……ギャスパーくんは吸血鬼だから、そこを突いた作戦をという訳だったんですね……」
「アハハハッ! あのオカマヴァンパイア、マヌケっすね!」
流音くんは感心したという口調で言い、一方、ミッテルトちゃんは彼女らしい毒舌を飛ばす。
僕が兵藤の方へ視線を戻すと、彼の籠手を装着した腕に匙の神器が絡みついていた。さっき、匙が兵藤に膝蹴りをくらわした時に絡めたのだろう。
「そうか……! 匙くんの神器の能力は相手の力を吸い取るもの。ああする事で彼のパワーを吸い取る事を狙って……!」
「ああ。だが、当然、赤龍帝の小僧もそれは承知だ。だから奴は禁手化を果たす事で、その衝撃であのラインを切り離すのを狙ってる」
なるほど……だが、アザゼル様の話では彼が禁手化を試みてそれを果たすまでには2分の時間が必要……!匙くん! 一気に畳みかけるんだ!
兵藤が匙と距離をとろうとする。それをさせじと匙は神器をグイ! と引っ張り、兵藤が体勢を崩したところに、その腹にドガッ! と蹴りを放つ。
「いいぞっ!」
「一気にやっちゃうっす!」
「いいわよ! サジくんっ!」
カラワーナさんとミッテルトちゃんの応援が盛り上がる。レイナーレも気合を込めて匙を応援する。だが、あの打たれ強い頑健な兵藤、さほどのダメージではないようだ。
兵藤は匙から距離を取ることをあきらめ、彼の得意な近接戦へと持ち込もうと匙に殴りかかる。すると匙は右手から神器のラインを飛ばす。兵藤の力を奪う為……? と僕は一瞬思ったが、そのラインは彼を通り過ぎて、近くの店舗のライトに貼り付く。
匙が仁村さんに何かを叫び、二人は懐からサングラスを取り出して装着する。次の瞬間、照明がまばゆい光を発し、予期せぬ攻撃に兵藤と塔城は目を押さえる。その瞬間、匙は兵藤の腹に再び蹴りを放つ。
今度は構えを取る余裕がなかった兵藤は攻撃をもろに喰らった形になり、彼は苦痛に体をくの字型に曲げて苦しむ。さらに匙はその兵藤の背中にエルボーを叩き込み、彼の顎にアッパーをぶちかます。その連続攻撃にさしもの兵藤もその場にドッ! と倒れて突っ伏す。
「見事だ……! まるでミコト殿の戦い方を見ているようだ……! 力任せのあの男を見事な戦術で翻弄している……!」
「ミコト……! あなたと私がサジくんたちに教えた一誠との戦いの経験、見事に活かしてくれているわ!」
「うん!」
匙の見事な戦いぶりに盛り上がる僕たち。ふと、僕は鬼崎の方を見る。モニターの画面を見つめる彼の表情は真剣そのものだ。そこからは少なくとも邪心といったものは全く感じられない。僕はしばらく彼の様子を伺った後、視線を戻す。
「行け~~っ! 一気に片付けるっす!」
ミッテルトちゃんが叫び、匙は倒れている兵藤に魔力の弾を放つ。だが、兵藤は咄嗟に立ち上がってそれをかわす。匙が放った魔力の弾で床に大きな穴が空く。
さらに匙は兵藤に魔力の弾を何度も放つが、兵藤はそれを全てかわす。匙の放った魔力で店舗が破壊される。相当な威力だ!
「おい! 相棒! レイナーレ! 見ろっ! あの【黒邪の龍王】の小僧の胸を!」
ディヴェリクスが叫ぶ。
「えっ!?」
僕とレイナーレは匙の胸を見る。すると……
「ミ、ミコトっ! サジくんの神器、彼の胸に伸びているわっ!」
レイナーレが悲鳴に近い声で叫んだ。確かに、彼の神器は彼の胸に……心臓に繋がっている!
「あの小僧……! 自分の命を魔力に転換してやがるっ!」
「何だって!」
僕も驚愕するが、その時、僕は自分たちの兵藤たちとの戦いについて、シトリー眷属の皆に話した時の事を思い出す。あの時、僕の話を聞いた匙は言った。
「國原、お前がレイナーレさんを守る為に命懸けで兵藤と戦った、その覚悟、俺も見習わせてもらうぜ! お前はその時、自分が負けたら最愛のレイナーレさんが殺されてしまう、そのギリギリの状態の中で命を賭けてボロボロになりながらも必死で戦った。一方、俺たちは負けたからって自分や仲間の命が取られるわけじゃない。だが、俺は会長の、そして自分の夢を何としても叶えるという目標があるんだ。その為なら俺は命を張るぜ!」
彼はその覚悟を本当に実行しているのだ。
僕は自分の胸に熱いものがこみ上げ、目から涙があふれるのを感じた。隣を見るとレイナーレも涙を流していた。そう、これは僕があの夜、教会で兵藤と戦った時と同じなのだ。あの時、僕は自分の身がどうなるかなど全く考えずに、ただ愛しい彼女を……レイナーレを救いたい! その想いだけで本来、到底勝ち目はないと思えた彼と戦ったんだ。あの情景に、今、見ているこの戦いが重なった!
匙くん……君はあの時の僕と同じなんだね……! 愛する女性と君自身の重なる夢……それを実現する為に君は今、君は命を賭けて戦っている……!
匙と兵藤の避けたり、詰め寄ったりの激しい激闘が続く。その横では仁村さんと塔城の攻防が始まっていた。
「ルルコ! 頑張るっす!」
「仁村さん! 頑張ってっ!」
彼女のクラスメイトであるミッテルトちゃんと流音くんが懸命に応援し、仁村さんは必死に食い下がっている。だが、塔城は元々、パワーと俊敏さを併せ持ち、格闘術に優れている。その上、今は猫又の力を解放しているため、その攻撃力は何倍にもアップしているはず。まともに打ち合っては仁村さんの不利は否めない。事実、明らかに押されている。匙は兵藤との戦いで精一杯で、とても仁村さんの援護に回る余裕はない!
塔城の拳が仁村さんの頰をかすめ、仁村さんはわずかにバランスを崩す。塔城はその隙を見逃さず、拳に薄い白色のオーラをまとわせ、仁村さんの胸に打ち込んだ。その瞬間、仁村さんはその場に膝を落とした。
「ルルコ!」
「仁村さん!」
ミッテルトちゃんと流音くんの叫びもむなしく、仁村さんは必死で起き上がろうとするも体が言う事を聞かないようだ。
「匙先輩、ごめんなさい……」
その言葉と共に仁村さんの体は光輝き、その場から消えた。塔城の一撃を受けた彼女は深刻なダメージを受けて戦闘不能となって、その場から転送されたのだろう。このレーティングゲームは絶対に死者を出さない事をモットーとしていて、戦闘不能と判定された時点で強制的に医療ルームに転送される。そうアザゼル様は仰っていた。
「ソーナ・シトリー様の【兵士(ポーン)】1名、リタイヤ」
アナウンスが聞こえた。これでシトリー眷属とグレモリー眷属、双方とも1名を欠いたという事になる。
匙と兵藤の攻防はまだ続いている。兵藤は匙の魔力による攻撃を避け続けている。相当なダメージを匙は兵藤に与えているはずだが、彼も魔力を打ち続けている事で相当疲弊してきているのが分かる。次第に動きが鈍くなり、息が上がっている様子が見て取れる。当然だ。文字通り自分の命を削って魔力を発し続けているのだから。
「ミコト! サジくん、あれじゃ持たないわ!」
レイナーレが悲痛な声で叫ぶ。
当たってくれ!
僕も心からそう願うが、その攻撃は兵藤の体を時々かすめはするものの、完全にヒットするには至らない。
その時、塔城が兵藤に加勢しようという動きを見せる。この状態で塔城が加勢したら、完全に匙に勝ち目はなくなる。しかし、兵藤はそれを断ったようで、塔城は拳を収め、距離を取る。
兵藤は匙とは友人だ。だからあくまで正々堂々と勝負したいんだ。兵藤も色々と問題はある男だが、その根性、男気は確かだ。
「しかし、何故、彼は兵藤の神器だけではなく、その体にも神器を投げて力を吸おうとしないのでしょうか?」
カラワーナさんが疑問を呈する。
「イッセーの力を吸っている間に奴の神器の倍加能力を復活させられて、同時にそれが体に流れてくるのを防ぎたいんだろうぜ。イッセーの力とブーステッド・ギアの力を同時に吸ったら、匙の体は耐えきれずに爆発しちまう。それを認識してるのさ」
いつの間にか傍に来ていたアザゼル様が仰った。なるほど、兵藤の力はそれほどに強大という事か……
その時、匙の手元に膨大な質量の魔力が集まりだした。それは圧縮され、匙の手にソフトボール大の弾となって収まる。そう、匙はこれで兵藤を仕留めるつもりなのだ。その一撃に全てを賭けて!
匙は渾身の一撃を兵藤に向けて放つ! 兵藤はそれを避けようとするも、匙は兵藤の籠手に繋いでいた自分側のラインを放し、兵藤の足下に飛ばす。その結果、兵藤の籠手と床がラインで繋がる。
やった! これで兵藤は攻撃を避けられない!
僕は心の中で喝采しする。
「これで決まったわ!」
「よし! これで決まりっすね!」
レイナーレとミッテルトちゃんも歓声を上げる。だが……
ドオオオオオオオンッ!!
匙の一撃が兵藤に炸裂した! と思った瞬間、兵藤の右腕に白い籠手が出現し、彼は匙の攻撃を受け止めた。
兵藤の腕に現れたその籠手を見て僕たちは驚愕する。
「う、嘘……! あれはヴァーリの……」
「うん……あれは【白龍皇】の力……【Devide】だ」
そう、それはあの【白龍皇】のヴァーリさんがコカビエルを倒した時に見せた技……相手の力を触れるごとに半減させていくというあの技だ。だが……
「う、嘘よ……! なぜ、一誠がヴァーリの技を……!?」
「一体何故……!? 兵藤が何故あの技を……!?」
レイナーレも僕も、信じられない光景にただ驚愕する。
「ああ、お前たちはあの時、カテレアをサーゼクスたちのもとへと連行していて、あの場に居合わせなかったな」
アザゼル様の言葉に僕は【あの時】の事を思い起こす。
カテレアさんを僕たちが連行した時……そうか! あの時、兵藤はアザゼル様と共にあの場に残ってヴァーリさんと戦ったんだった。
そう、アザゼル様との戦いに敗れ、自爆しようとしたカテレアさんを僕とレイナーレが必死で説得して、その甲斐あって彼女が降伏して、僕たちは彼女をサーゼクス様の元へと連行するようアザゼル様に命じられた、あの時だ。
「あの時、一誠は俺が与えたリングの力で一時的に禁手化状態になり、奴が放った一撃がヴァーリの鎧を打ち砕き、その宝玉が飛び散った。だが、ヴァーリの鎧はたちどころに元に戻り、圧倒的な実力差の上に時間制限付きの一誠は絶体絶命の危機に陥った。だが、その時、奴はとんでもねえ賭けに出やがった」
「総督閣下、その賭けとは?」
「奴はその場に落ちていた白龍皇の宝玉を自分の籠手……ブーステッド・ギアにはめ込んだんだ。本来、赤龍帝と白龍皇は相反する存在、相反する力を取り込みなどしたら死んじまう可能性がきわめて大だったし、たとえ死なないにしても発動する可能性は極めて低かった。だが、奴はそのわずかな可能性に賭けて、その賭けに勝ちやがった。まさに大博打だったんだ」
「今だって、白龍皇の力が発動する確率は1割以下だ。その上、その行為は匙の行為と同様に自分の命も削る。だが、他に選択肢がない状態で奴は再びそれに賭けた。そしてそれに成功したんだ」
僕は改めて兵藤に対して恐怖を感じた。この凄まじいまでの勝利に対する執念と根性、そして度胸。確かに味方であれば、これほど頼もしい存在はないだろう。だが、敵に回したのなら、彼のその執念は実に恐ろしい!
「ま、まずいぞ……! これは……!」
カラワーナさんの声が響く。匙の渾身の魔力攻撃は兵藤の白龍皇の力により半減され、彼に決定的なダメージを与える事は出来なかった。匙は魔力を打ち続け、彼の体は完全に疲弊している。その上……!
声こそ聞こえないが、兵藤が咆哮し、彼の体を赤く輝く特大のオーラが包み込み、それは鎧となっていった。そう、彼は匙の攻撃を耐え凌ぎ、禁手化を果たしたのだ。これでそれまで匙優位に進んでいた戦いは完全に形勢逆転してしまった。
匙はそれでもひるまずに兵藤に立ち向かい、殴り合うが、どう見ても彼が圧倒的に不利だ。兵藤は禁手化して鎧をまとった事により、攻撃力と防御力が格段に上昇している。それに対して匙は鎧もまとっておらず、生身に素手で戦っているのだ。
何度も何度も匙は殴り飛ばされ、後ろの店舗まで吹っ飛ばされて、建物に、地面に激しく体を叩きつけられる。それでも彼は立ち上がる。彼の足はガクガクとふるえ、口からは血反吐を吐き、彼の拳は兵藤の鎧を殴る事でパックリと傷口が開いて血に染まっている。
「も、もう……ウチ……見ていられないっす……」
「も、もういい……これだけ頑張ったのだから……」
「サジくん……」
「匙先輩……」
あまりの凄惨な光景に、ミッテルトちゃんも、カラワーナさんも、レイナーレも流音くんも身をふるわせて、目には涙が滲んでいる。
匙が神器のラインを飛ばしても、兵藤の鎧が放つオーラでそれは全て弾き返されてしまう。だが、最初に匙が兵藤の右腕に繋いだラインだけはしっかりと繋がって離れない。
匙くん……! それが君の執念の証なのか……!?
匙は必死で兵藤に殴りかかり、ラインを飛ばしてベンチを、家具を兵藤に向けて投げつける。だが、兵藤にはさほどのダメージは与えられず、匙は悔し涙を流して何やら叫びつつ兵藤に向かう。その彼を兵藤は何度も何度も殴る。
もう何十発殴られたのだろうか。匙の顔は腫れ上がり、左目は完全にふさがれてしまい、歯は折れ、口から血をボタボタと流している。手の指も何本かあらぬ方向へと折れ曲がっている。しかし、そんな無惨な姿になっても匙は何度も何度も立ち上がり、兵藤に向かって行く。
「も、もうやめてっ! サジっ!」
レイナーレが涙を流して悲痛な叫びを上げる。普段は匙を【くん】付けで呼んでいるレイナーレだが、今は悲痛な思いから呼び捨てになっている。僕は彼女を抱き締めつつ、彼の戦いを見つめる。匙が何かを僕たちに伝えようとしている。そんな気がしたから、どんなに辛くとも、彼の戦いを見届ける事が彼に対して敬意を示す事なのだと、そんな気がしたから。
ついに決着の時が来た。匙が折れ曲がった手で兵藤にパンチを放つ。それを兵藤は最小限の動きで避けると、カウンターで匙の顔面にパンチを叩き込んだ。
匙はついに意識を失ったようだ。しかし、彼は兵藤の右腕をしっかりと掴んで離さなかった。そのまま、彼は光に包まれて消えていった。アナウンスが響く。
「ソーナ・シトリー様の【兵士(ポーン)】1名、リタイヤ」
あまりの結末に僕たちはしばし呆然としていたが、しばらくして、またアナウンスが響く。
「ソーナ・シトリー様の【騎士】1名、【戦車(ルーク)】1名、リタイヤ。リアス・グレモリー様の【騎士】1名、リタイア」
「えっ!?」
皆、その声に一斉に反応する。僕たちは匙と兵藤の壮絶な戦いを見るのに手一杯で、他の戦いを見る余裕はなかったが、別の場所でもちろん他の戦いも並行して進行していたのだ。
「ミコト、リアス・グレモリーの【騎士】って……」
「うん……ゼノヴィアさんか、木場のどちらかだね」
レイナーレと僕がささやき合っているとアザゼル様が教えて下さった。
「やられたのはゼノヴィアだ。敵側の【女王(クィーン)】の持つ神器がカウンター系でな。ゼノヴィアが全力で攻撃をぶち込んだところをモロに返されちまった」
シトリー眷属の【女王】といえば真羅先輩。彼女は流音くんと同じカウンター系の神器を持っていたんだ……
「だが、ゼノヴィアはリタイヤする前に最後の力を振り絞って木場に力を与え、木場はシトリー眷属の【騎士】と【戦車】を倒した」
【騎士】と【戦車】という事は、巡さんと由良さんだ。
「これでシトリー眷属で残ったのは4名。対するグレモリー眷属側は6名。戦前の予想からすれば大善戦ではあるけれど……」
僕がつぶやくと、即座にアザゼル様が訂正される。
「いや、グレモリー眷属側は5名だ」
「えっ? 総督閣下、それはどういう事でしょうか?」
「すぐに分かる。まあ、見てな」
僕たちは再びモニターの画面に見入る。グレモリー眷属とシトリー眷属の双方が動き出す。それまでそれぞれの本陣にいた、グレモリー先輩とソーナ会長の双方がそれぞれ相手の方角に向かって動き出した。兵藤と塔城もやはりその方角に向かって動き出す。
「どうやら、互いにここで決着をつけるつもりみてえだな」
アザゼル様の言葉に、僕たちは双方の動きに注目する。そこで僕はある事に気付く。
「兵藤の右腕……!」
「えっ!? あっ……!? あれはサジくんの!」
レイナーレも気付く。
そう、匙が兵藤の右腕に絡めたあのラインは、匙が敗れてあの場から消えた後も、そのまま兵藤の腕に絡みついたままだったのだ。それはシトリー眷属側の本陣に向かって伸びていた。
「あれは一体、何を意味するのかしら?」
「分からない。でも、あれが匙くんの想いを込めたもの……たとえ自分は敗れても、シトリー眷属の……自分の好きな女性の勝利を願う想いを込めたものである事は確かだと思う。レイナーレ、この勝負、まだ終わってないよ! だから僕たちは最後まで見届けよう!」
「ミコト……ええ! そうね!」
双方のメンバーがショッピングモールの中心の中央広場のような場所に続々と集まって来る。グレモリー眷属はグレモリー先輩、姫島先輩、兵藤、塔城、木場、アーシアさんの6名、シトリー眷属はソーナ会長、真羅先輩、そして共に【僧侶(ビショップ)】の花戒さんと草下さんの4名だ。
善戦しているとはいえ、劣勢なはずのソーナ会長が至って冷静な表情で、グレモリー眷属に何かを語りかけている。そして突然……!
兵藤の体が大きくよろめき、彼はその場にがっくりと膝をついた。グレモリー先輩がそれに驚き、アーシアさんが彼に駆け寄って【聖母の微笑】の癒しの力を発動するが、それでも彼は起き上がれない。
グレモリー眷属たちが兵藤の異常に気付いて、皆、困惑した様子を見せる。一方、ソーナ会長はしてやったりという感じで小さな笑みを浮かべる。僕はまた鬼崎の方を見つめる。すると彼は、画面上の仲間たちと同様に、やはり明らかに動揺したという表情を見せている。
「あ、あれ? あのチンピラ悪魔が急に……な、何が起こったっすか!?」
「一誠が急に……! 一体何が……?」
ミッテルトちゃんとレイナーレが驚きの表情で彼を見つめる。
兵藤……急にどうしたんだ?
僕も一瞬、訳が分からなかったが、そこでハッ! と気付く。
そういえば彼の右腕に絡みついた匙のライン……もしかしてあれが……!?
そこで僕はそのラインを目で追う。するとラインはシトリー眷属の【僧侶(ビショップ)】の花戒さんの持っているバッグに繋がっていた。ソーナ会長が花戒さんに何か話しかける。すると花戒さんはバッグからパックを取り出す。
「ミコト、あれは……!」
「うん……!」
レイナーレと僕はそのパックに注目する。そのパックの中には赤い液体が入っていて、匙のラインがそれに繋がっている。という事はあれは……!
「そうだ。一誠の血だ。奴は人間がベースとなっている転生悪魔。人間は体に通う血液の半分を失えば致死量となる。尊、俺が教えたレーティングゲームのルール、覚えてるな? ゲーム中、眷属悪魔が戦闘不能状態になると、強制的に医療ルームに転送される」
アザゼル様が解説して下さる。
そうか! 匙くん、君は最初からこれを狙って!
その瞬間、膝をついた兵藤の体からガクッ! と力が抜ける。恐らく彼も、ソーナ会長から真相を聞かされたのだろう。
木場が短剣を投げて、兵藤に繋がっていたラインを切り離し、液体……血が床に飛び出す。
ああやって匙はラインを通して兵藤の血を抜いていたのか!
グレモリー先輩が兵藤に駆け寄る。彼女の顔には明らかに焦りが浮かんでいる。
「そうだ。俺もついさっきまで気付かなかったが、あいつは神器を用いて、一誠の血を少しずつ吸い取っていたんだ。危険な状態となる寸前までな。対象のエネルギーを吸い取るのが本来の能力のあいつの神器で血液を吸い続けるにゃ、相当な修行と緻密なコントロールが必要だったはずだ。だが、あいつはそれを成し遂げやがったんだ」
アザゼル様の言葉で、僕はあの時の匙の行動について全てを理解した。レイナーレもそれを察する。
「ミコト、サジくんは……」
「うん、匙くんが体がボロボロになっても兵藤と殴り合い続けたのは、彼の根性だけじゃない。時間稼ぎのため。彼の神器では血を少しずつしか吸い取れない。だから、その間、自分の体を犠牲にしてまで時間を稼いだんだ! 仲間の、愛する女主人の勝利の為に!」
「で、でも、それならサジくんは一誠から逃げてその時間を稼ぐ事も出来たはずよ。それなのに……」
「うん、そうだね。でも、きっと匙くんはあくまでも真っ正面から兵藤を倒したかったんだ。それが彼の男気なんだ」
「そんな……その為にあんなになってまで……」
レイナーレは涙を流している。僕もそんな彼女を抱き締めつつ、涙を流す。
匙くん……! 素晴らしかったよ! 君の戦いぶり、君の男気は……!
僕とレイナーレは顔を上げて再び状況を見守る。ソーナ会長がグレモリー先輩に何かを話しかける。それを聞いたグレモリー先輩の顔には心底悔しそうな表情が浮かぶ。
「もうダメかと思ったが……これはまだまだいけるぞ! サジの頑張りが実を結んだな!」
「そうっすよ! これであのチンピラ悪魔は退場! まだこれからっすよ!」
カラワーナさんとミッテルトちゃんがまた勢いを盛り返す。
ソーナ会長は膝をついている兵藤に視線を向けてやはり何かを話しかけた。すると、しばらくして兵藤が突然立ち上がる。もう、彼の体力は限界に近いはず。最後の力を振り絞って攻撃しようというのか。
「…………!!」
僕たちをはじめ、この戦闘を見守っている全員の緊張感が高まる。もちろん、兵藤と直接対峙しているシトリー眷属たちは即座に身構える。
すると兵藤は両手を前に出して、グレモリー先輩の胸に向けて指を向けた。
「な、何!? あの時と同じようにリアス・グレモリーの胸をつついてパワーを得ようというの!?」
レイナーレが叫ぶ。確かに、彼がここで起死回生の一発! と考えた場合、それは大いに考えられる手だ。というか、僕が同様の状況ならば、やはり愛しいレイナーレの乳首を糧にパワーを得ようとするのは間違いない!
オーラが兵藤の全身を包み込む。それを見て、シトリー眷属の面々は防御態勢を取る。だが、どうも兵藤は戦うというよりも何かを訴えたいというポーズを取っているようだ。
場内アナウンス担当のグレイフィア様もそれを感じたようだ。
「おや? グレモリー眷属の【兵士】兵藤一誠さんは、ここで何かを訴えたいようです。では、それに応えて会場の音声を大きくしてみましょう」
すると、次の瞬間、兵藤の声が僕たちにはっきりと聞こえてきた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
レーティングゲームは幕を閉じた。私たちがいるVIPルームでは、未だにあの戦いの余波が残っている……
「シトリー眷属、試合前は簡単に片付けられてしまうかと思いましたが、どうしてどうして、なかなかに見事な戦い振りでしたな」
「そうですね。その一方、グレモリー眷属は、自分たちが圧倒的優勢だとどこか油断があったのか、迂闊な部分が多く見られましたね。まあ、辛くも勝ちましたが、これを教訓に精進が必要だという事ですね」
このゲームを観戦に来ていた、各勢力からの客たちの声が聞こえる。
あの後、一誠は下劣極まる【新必殺技】とやらを見せて皆を唖然とさせた後で倒れた。それを見たアーシアがもはや意味はない事は知りつつ、彼女の一誠への一途な想いと生来の優しさからそうせずにはいられなかったのだろう。癒しの力を発動させたのだが、それを見たシトリー眷属の【僧侶】花戒桃が【反転(リバース)】という技を使った。それは聖を魔に、闇を光へと文字通り反転させるという技だ。
アーシアの回復能力が絶大な事を突いた捨て身の戦術に、アーシアは一瞬でリタイヤに追い込まれた。彼女の回復領域に入っていた花戒桃も同時にダメージを受けてリタイヤしたが、その表情は満足そうだった。サジといい彼女といい、その心意気は見上げたものがある。同時に一誠も力尽きてリタイヤした。
アザゼル様のお話ではその【反転】の能力は元々、アザゼル様のご指示で私たち堕天使陣営で研究していたものだという。何でも研究段階で研究担当のどなたかが、データを取るのを条件にシトリー眷属に提供したのだろうとアザゼル様は苦笑されていた。
その後、あのグレモリー眷属の【女王】で、わが堕天使の大幹部でシェムハザ様と並ぶアザゼル様の片腕であるバラキエル様の娘……姫島朱乃が一誠がやられたからと激昂したヒステリックな態度で、シトリー眷属のもう一人の【僧侶】、草下憐耶を強烈な雷光攻撃で倒した。
リアス・グレモリーといい、姫島朱乃といい、アーシアといい、なぜ、あんな多情で下品な男をああまで熱烈に愛するのか? 確かに強さと根性は凄まじいものがあるが……私には理解出来ない!
しかし、あの姫島朱乃の【雷光】の力、確かに彼女が強大な雷光の力を誇るバラキエル様の娘である事を示している。その彼女が、以前見せたように父であるバラキエル様になぜ、あれほどの嫌悪と反感を露骨に示すのか? まだバラキエル様にお会いした事すらない私には全く分からないが気になる。
そしてあの木場がシトリー眷属の【女王】真羅椿姫を倒し、最後にリアス・グレモリーが一騎打ちでソーナ会長を破って、ゲームはグレモリー眷属側の勝利に終わった。
試合を見た客たちが口々に言っていた通り、グレモリー眷属は圧倒的に優位と見られていた試合でメンバーの半分が倒されるといった事態になり、勝つには勝ったものの、その評価は下がった。その一方、シトリー眷属は敗れはしたものの、予想を大きく覆す大健闘に評価は上がった。それを思えば、私たちの彼女たちへのアドバイスや応援は決して無駄ではなかったと思う。
あの好色な北欧の神、オーディンもサーゼクス様に言っていた。
「シトリー家の【兵士】、良い悪魔じゃな。大切にするがいいぞ。ああいうのが強くなる。赤龍帝の小僧を倒した功績は大きいぞい。これだから悪魔どものレーティングゲーム観戦は楽しいわい。弱者が一戦の間に化ける。これぞ、真の試合というものじゃよ」
そう、この試合でサジは一誠よりも評価を上げたようだ。そして彼の健闘を表現した【弱者が一戦の間に化ける】との言葉、それは私の愛しい尊が何度も実現してきた事なのだ。尊は私への一途な愛を胸に、私を守る為に、誰もが到底敵わないと思える一誠たちグレモリー眷属との戦いを二度に渡って乗り切った。サジはそんな尊を手本にして、一誠に見事に一泡ふかせたのだ。そう思うと、私は誇らしく思える。だが……
「それにしても、あの現赤龍帝のあのとんでもない技には驚きましたな」
「ええ、まさかあそこまで欲望に忠実に生きるタイプであったとは」
客たちから聞こえてきたその言葉に、私は一誠のあの下品な技の事を改めて思い起こす。
あの時、あの男は突然、リアス・グレモリーやソーナ会長に対して彼女たちが内心思っている事を言い当て始めた。それに驚く皆に、あの男は【乳語翻訳(パイリンガル)】という下劣極まる技の解説を得意げに始めた。
それはあの男が対象とした女の胸に質問すれば、あの男はその女の心の中が分かってしまうというものだった。私たちと共にVIPルームにいた客たちにとっては笑い話で済む事かもしれないが、私たちにとっては由々しき事態なのだ。
将来、もし、再びグレモリー眷属の連中と戦うような事になったら。もし、私があの男に心の中を見られてしまったら、私のせいでミコトは窮地に追い込まれてしまいかねない!
そんな不安が私の心の中によぎるのだ。
私の様子を心配して尊が声をかける。
「レイナーレ、どうしたの? そんなに心配そうな顔をして」
「あっ、ミコト……それは……」
私は彼に率直に自分の不安を伝えた。すると……
「あっ、それならきっと心配するには及ばないよ」
「どうして?」
「だって、あの技は彼の女性に対する見境ない欲望から来ている技だもの。でも、彼はレイナーレ、君を……こんなに素敵な君を……女性として見ていないから」
「あっ……」
私は尊の言葉の意味を即座に理解する。そう、あの男は私を【忌まわしい堕天使】としか見ていない。
「そんな彼の問いに、君のこの胸が答えたりする訳がないよ。だから心配には及ばないよ。君のこの胸が答えるとしたら、それは僕に対してだけだよね?」
尊は私の張り詰めた乳房に食い込んでいる黒の胸当ての上にくっきりと浮かび上がっている私の大きくいやらしい乳首をすりっ、とさする。
「あっ! あはんっ!」
「どう? 不安は消えた?」
「も、もうっ、ミコトのエッチっ……でも、ありがとう。そうね。私のこの胸が答えるのはミコト、あなただけね♪」
私の心に先程までの不安はもはや完全になくなっていた。
「フフッ、良かった♪」
尊は私に優しく微笑み、私にそっとキスをする。同じ部屋にいた客たちの視線とヒソヒソ声が聞こえ、いつものミッテルトのひやかしも聞こえるが、私たちは気にしない。
尊の愛情溢れるスキンシップとキスに、あの男による不安をひとまず払拭した私は、愛しいこの子と手を取り合って立ち上がる。
「総督閣下、僕たち、匙くんの病室に行って来たいのですが、よろしいでしょうか?」
「いいぜ。行ってきな」
アザゼル様は快く快諾される。私は尊と共に深々と頭を下げ、カラワーナとルオンくん、ミッテルトに伝えた上で、病室に向かった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
レーティングゲームは終わった。僕たちが応援したシトリー眷属は敗れはしたものの、試合前の圧倒的不利だと言われた下馬評に対し、グレモリー眷属のメンバーの半分をリタイヤさせるという大健闘を見せた。
特に匙の自らの体を犠牲にして、【赤龍帝】……兵藤をリタイヤに追い込んだ戦い振りは試合を観戦していた皆の感動を呼び、試合前は無名の存在であった彼に対する評価は大きく上がった。一方、グレモリー眷属側は勝ったものの、試合前から評価を下げた。特にギャスパーくんが試合開始早々に敗退した事、【赤龍帝】として皆の注目を集めていた兵藤が敗退した事は特に大きく評価を下げる要因となったようだ。グレモリー先輩も試合後、見るからに悔しそうな表情を浮かべていた。
個々の実力では大きく上回っていても、それぞれの場面で迂闊さが目立ち、それが苦戦の原因となった事で厳しい評価を受けた、という事だ。逆にシトリー眷属は、自分たちの劣勢をよく認識した上で、相手の弱点を見事に突く巧みな戦略と、仲間を信じて団結する結束力でグレモリー眷属を苦しめ、大健闘した。その戦い振りはまさにレーティングゲームの神髄! という事で大いに評価を高めた訳だ。
シトリー眷属が最終的に敗れた事は残念であったが、僕たちはそんな周囲の評価を聞いて、心から良かったと思った。だが、あの兵藤が最後に見せた【乳語翻訳(パイリンガル)】なる技、あれには正直ドン引きしたが。
【ドレスブレイク】といい、今回の【乳語翻訳】といい、対戦相手の女性に対する露骨なセクハラ行為であり、相手の心に場合によっては深い傷を負わせる事になる酷い技だ。まあ、普段からセクハラ行為三昧の兵藤にこんな事を言っても【馬の耳に念仏】であろうが。
特にあの【乳語翻訳】、これは相手の女性の心の中を読み取るという事で、これをされた相手は単に心を傷つけられるだけではなく、戦闘の中で一気に不利な立場に置かれる事になる。アザゼル様は【今後、レーティングゲームで使う事は禁止にさせる】と仰っておられたが当然の事だ。
しかし、裏を返せば真剣勝負の命を賭けた実戦ではOKだという事だ。そしてその事は未だに彼に嫌われている僕のレイナーレを不安にさせた。レイナーレを憎むが故に彼女を女性として見ていない彼が、彼女にあの技を仕掛けられるはずがないと僕は確信していて、それを僕は彼女に伝えて安心させはしたが……
それはともかく、僕とレイナーレは匙のいる病室へと向かう。そしてその途中でサーゼクス様と会う。
「やあ、尊くん、レイナーレ、匙くんの見舞いに来たのかい?」
「は、はい! サーゼクス様はもう行かれたのですか?」
「うん、彼はもうすっかり元気になっているよ。行ってあげなさい。君たちが行けばきっととても喜ぶと思うよ」
サーゼクス様はそう微笑みつつ言って、去って行かれた。
僕は匙の病室のドアをノックする。
「どうぞ」
ソーナ会長の声が聞こえ、僕とレイナーレは部屋の中に入る。
「おう! 國原! レイナーレさん! よく来てくれたな!」
「よく来てくれました」
匙は笑顔で迎えてくれて、会長も穏やかな表情だ。。
あの兵藤の攻撃で見るも無惨になっていた匙の体はすっかり元に戻っていた。この世界の医療技術は素晴らしい! 人間界よりもはるかに上だ。
「サジくん、もう体は大丈夫なの?」
「ああ、もう大体大丈夫だよ。ただ、まだ体のあちこちがちょっと痛いけどね……」
レイナーレの問いに苦笑いを浮かべる匙。彼の胸には輝く勲章がついている。
「匙くん、これは?」
「ああ、これはサーゼクス様から先程頂いたのさ。レーティングゲームで優れた戦い、印象的な戦いを演じた者に贈られる物だという事なんだ」
匙は照れくさそうな表情を浮かべる。そうか、先程、サーゼクス様に会ったのはこれを匙に渡して帰る途中だったのか。
「魔王様から直々に頂けたのね! サジくん、凄いわ! おめでとう!」
「匙くん、おめでとう!」
レイナーレと僕は彼を祝福する。
すると匙はしんみりとした表情を浮かべる。
「俺、いったんは辞退したんだ。俺は結局、兵藤より先に倒れた、つまり負けたんだからと……でも、そんな俺にサーゼクス様はこう仰った。【そうだ。でも、君は結果的にイッセーくんを……あの赤龍帝を倒した。私たちは君の戦いを観戦室で興奮しながら見ていた。あの北欧のオーディンも君に賛辞を贈ったほどなんだ】と……」
「そしてサーゼクス様は俺の胸に自らこの勲章を付けてくださって【自分を卑下してはいけない。君だって、上を目指せる悪魔なんだ。私は将来有望な若手悪魔を見られて嬉しい。もっと精進しなさい。何年、何十年先になってもいい。レーティングゲームの先生を目指しなさい】と俺の夢を応援してくださったんだ……」
そう語る匙の目からは涙が溢れていた。それを聞いているソーナ会長の目からも熱いものが流れている。きっと会長も嬉しかったのだろう。自分の自慢の眷属が大きく評価された事が……
それにしてもサーゼクス様、自分の将来の義弟と思い、目をかけている兵藤が敗退したのは内心残念だったに違いないのに、こうして匙の事を心から祝福し、彼の夢を応援したんだ。やはり人の上に立つ者は器が違う……
「國原くん、レイナーレさん、今回はありがとう。あなたたちが事前に私たちに伝えてくれた、自分たちの体験に基づくグレモリー眷属の情報とアドバイス、とても役に立ちました。負けてしまって、あなたたちの好意に完全に応えられなかったのは申し訳ありませんでしたが、私たちがここまで頑張れたのもあなたたちのお陰だと思っています」
ソーナ会長が僕たちに頭を下げた。
「い、いえ、僕たちの力なんて……シトリー眷属の皆さんが全力で頑張った、その成果です。でも、そのように仰って頂けて嬉しいです。日頃、お世話になっているお礼、少しでも返せたのなら嬉しいです」
本当に、レイナーレや僕が駒王学園で日々過ごせているのは、アザゼル様の庇護と併せて、シトリー眷属の皆の好意による所がとても大きい。今回の件で彼女たちとの絆がさらに深められたのは僕たちにとって大きな事だ。
「そのように言ってもらえて嬉しいです。これからもよろしくお願いします」
「はい! よろしくお願いします!」
「じゃあ、匙くん、改めて、今日はおめでとう! これからも頑張ってね!」
「サジくん、おめでとう! サジくんの夢が叶うよう、私たち、いつも応援しているわ!」
「ありがとう! これからもよろしくな! 國原、いずれお前たちともレーティングゲームで競え合えたら良いな」
「うーーん……僕はそんな戦いよりは正直、レイナーレと愛し合ったりデートしている方が良いけど……」
「も、もうっ! ミコトったら……」
匙の言葉への僕の返答にレイナーレは美貌を赤く染める。
「ハハハッ! お前らしいな!」
「フフッ……國原くんらしいですね。レイナーレさん、そこまで愛されて幸せですね」
「は、はい……」
レイナーレはさらに真っ赤になってうつむいた。
そして僕とレイナーレはVIPルームへと戻って、匙がサーゼクス様から勲章を授かった事を皆に伝えた。カラワーナさんも流音くんもミッテルトちゃんも、皆、とても喜んだ。対兵藤戦を見ているのは辛かったけれど、でも応援した甲斐があったと。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
レーティングゲームは終わった。僕は悪魔ではなく、グレモリー眷属の一員でもなかったのでイッセーや祐斗たちと共に戦う事は出来なかったが、それでも観戦室から試合を見て、彼らを応援した。
戦前、グレモリー眷属圧倒的有利とされた試合であったが、実際には予想外の苦戦を強いられ、イッセー、ゼノヴィア、ギャスパー、アーシアさんと半分が途中でリタイヤするという事態となり、グレモリー眷属の評価は下がってしまい、リアス部長もとても悔しそうだった。
特に【赤龍帝】イッセーが敗退した事は大きな衝撃を与えた。しかし、祐斗や小猫ちゃん、朱乃先輩がイッセー敗退のショックにめげずに、逆に彼への強い想いを胸に頑張った事で相手に傾きかけた試合をグレモリー眷属は立て直し、最終的にリアス部長が相手の大将であるソーナ生徒会長に勝ち、試合はグレモリー眷属の勝利という形で終わった。
リアス部長もとにもかくにも、これがグレモリー眷属のレーティングゲームにおける記念すべき初勝利になった事、今回の戦いで朱乃先輩が堕天使の、小猫ちゃんが猫又の、それぞれ自分の中の忌み嫌っていた力を解放して勝利し、自分の中の壁を乗り越えた事、それは大きな前進だと、最後には晴れやかな笑顔を見せていた。
僕としても、今回の戦いは自分の胸に強い印象を残した。たとえ、圧倒的な力を持っていようとも決してそれに慢心して油断してはいけない、決死の覚悟で向かって来る相手を決して侮ってはならないという事、思わぬ事態があっても、仲間を信じて仲間の為に戦う意思の強さ、結束力があれば危機を乗り越える事が出来る事、そうした事を僕は今回の戦いを見て強く感じた。それは僕がこれまで属していた【禍の団】にはなかったもの。僕はますます、グレモリー眷属の【仲間たち】に強く惹きつけられているのを感じている……!
だが、それだけに僕は、今後に間もなく確実に起こる出来事に対する恐れで内心、激しく動揺している。あの男……ディオドラ・アスタロトが動くのは間もなくだ。そしてそれは確実に、グレモリー眷属にとって大きな禍となり、イッセーやリアス部長、祐斗たちを激怒させる事は間違いないのだ。
僕が裏であの男と繋がっていた事が彼らに知られたら、僕がグレモリー眷属に近付いた当初の目的を彼らが知ったら、それまで彼らが僕に向けていた好意と信頼はその瞬間に失われ、代わりに彼らは憎悪と軽蔑の目を僕に向けるのでは……そう思うと僕の心は不安に締め付けられる。
僕は……! 僕はどうすれば……!
僕は激しい葛藤に悩み苦しむ。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
僕とレイナーレは部屋に戻った。もう、この部屋で、この屋敷で過ごすのもごくわずかだ。間もなく、僕たちは人間界に……駒王町へと戻る。そして再び学園生活を送るのだ。そう思うと、何となく間もなく去るこの部屋に感傷も感じる。レイナーレと僕はベッドに並んで腰掛けて身を寄せ合う。
「ねえ、ミコト」
「何?」
「今回のこの合宿、本当に色々あって……嫌な事、辛い事もたくさんあったけれど、でも、私、今は本当に来て良かったと思っているわ。ミコト、あなたと愛し合いながらお互いを高め合って禁手化も果たす事が出来たし、ルオンくんも神器の力を大きく向上させる事が出来たし、シトリー眷属の皆との絆も深められて、グレモリー卿やヴェネラナ様、サイラオーグ様といった方々の好意も得られた。これらの事はきっと今後、私たちにとって大きな力になるはずだもの……」
レイナーレはその白く滑らかな手で僕の体を優しくさすりながら言う。
「うん、そうだね。今回の合宿は君の言う通り、僕たちにとってとても大きな財産になった。レイナーレ、その財産を活かして、これからも頑張っていこうね」
「ええ、そうね!」
レイナーレは大きくうなずいたが、彼女はそこで表情を少し曇らせる。
「でも、本当に理解出来ないわ。一誠のあの【乳語翻訳】とかいう酷い技……本当になぜ、あんな下劣な技を得意げに自慢するようなあの男をグレモリー眷属の女たちはあれほどに慕っているのかしら? 確かにあの男の強さと根性は凄いものがあるけれど……」
「これからも、あの男は平気であちこちの女にセクハラ行為を繰り返して、ああいう下劣な技を仕掛けていくはずよ。そして自分のハーレム要因たる女を次々と増やしていく。そんな状況にあのリアス・グレモリーやアーシアたちは何の疑問も感じないのかしら? その気になれば、自分を一途に慕って自分だけを見つめて大事にしてくれる相手を見つけられるはずなのに……本当に分からないわ……」
僕はレイナーレのなめらかな白い頰にそっと手を当てる。
「あっ……ミコト……」
「僕だって全然理解出来ないよ。でも、もしかしたら日常的に接している者だけこそが理解出来る良い部分があるのかもしれない。例えば彼には分からなかったレイナーレ、君が僕やカラワーナさんやミッテルトちゃんに見せる優しさとか、君のこの素晴らしい胸の……乳首の魅力とか……」
僕はボンデージ姿のレイナーレの張り詰めた大きな乳房を、その乳房に食い込んでいる黒の紐状の胸当ての上にくっきりと浮き出している彼女の大きな勃起乳首をさする。
「あっ! あはんっ!」
レイナーレがビクッ! と体をふるわせて、美貌に悩ましげな表情を浮かべてあえぐ。僕はその彼女の痴態に胯間に激しいうずきを感じる。
「君のこのおへその魅力とか……」
彼女の引き締まったへそをさする。
「ああんっ……あはんっ……」
「そう、君のこの魅力を彼は知らない……」
僕は愛しい彼女の素晴らしい体をさすり回しながら伝える。
「ああっ……ミコトっ……」
レイナーレは美貌に恍惚とした表情を浮かべて僕のなすがままになっている。
「兵藤は……彼は一人の女性では満足出来ない男。それでもグレモリー眷属の女性たちはそんな彼を好きでしょうがないんだ。それを僕たちがどうこう言っても仕方がない。【それぞれの愛のあり方】で割り切るしかないんだ。でも、僕はレイナーレ、君だけを永遠に見つめて、君だけに愛を捧げ続けるよ! 僕の愛しい【ニプルクィーン】に……!」
「ああんっ……! 嬉しいわ……! ミコトっ……!」
「ああっ! ミコトっ! 私を裸にしてっ! あなたのためだけにある私のこの体を愛してっ! あなたの愛は一誠……あの男のものとは違って私だけに注がれているわ! それが私にはとても嬉しいのっ! 嬉しくて嬉しくてたまらないのっ! だから来てっ! 私のミコトっ!」
レイナーレは美貌を上気させて、僕の愛を求めてくれる。
僕はそんな彼女の姿に、たとえようもないほどのいじらしさと興奮を覚え、僕の鼓動は激しく高鳴り、僕の胯間は激しく猛り立つ!
「ああっ! レイナーレっ!」
僕は叫びつつ、彼女の胸と彼女の腰に同時に手を伸ばす。
「ああんっ!! ミコトおっ!!」
僕の指がレイナーレの張り詰めた大きな乳房に食い込んでいる、かろうじて乳首を覆っているだけの黒の紐状の胸当てと、彼女の秘部をやはり申し訳程度に隠しているだけの黒の紐状パンティーにかかる。指に感じる彼女の張り詰めた乳房の弾力感と、なめらかな肌の感触……
僕は胸当てとパンティーにかけた指を同時に強く、強引に引っ張る。
「あっ!! ミコトっ!! あっ!! あはあああんっ!!!」
レイナーレの甘い叫びと共に、彼女の胸当てとパンティーがブチッ! と大きな音を立てて外れ、彼女の張り詰めた大きな乳房がぶるるるんっ!! と大きく弾み、僕が好きで好きでたまらない、彼女のカチカチに硬く勃起して、ビン! と突き出してそそり立っているあまりにもいやらしい大きな乳首が丸出しになり、同時に彼女の黒い陰毛で覆われた秘部もさらされる。
僕はさらに彼女の肩当や首輪も外そうとするが、レイナーレはそれを手を出して押しとどめる。
「待って。後は自分でやるわ。ちょっと思いついた事があるの」
「えっ?」
レイナーレは肩当を外し、腕当ても外す。だが、首輪と手袋、足のソックスは付けたままで僕に向き直る。彼女の白く美しい裸体にわずかに残された黒の首輪と手袋、ソックスがより、その裸体の卑猥さを高め、僕は激しく興奮して股間は猛り立つ!
「ウフッ……♪ ウフフッ……♪ ミコト、どう? 私のこの姿?」
「う、うん……! すごく綺麗でいやらしいよ! 最高だよ!」
「ウフッ♪ 嬉しいわ♪ 私ね、今度から禁手化した時の姿はこれにしたいと思うの」
「えっ?」
「この首輪は【服従】の証。私があなたの虜になって、愛しいあなたのためならどんないやらしい事だって出来る。その証よ。そう、この首輪は私の……【ニプルクィーン】の【ニプルドラゴン】……あなたへの愛の証なの」
「レイナーレ、嬉しいよ……うん! その姿で僕に力を与えて! 僕の【ニプルクィーン】!」
僕は感激しつつ、改めてレイナーレの素晴らしい裸体にひたすら魅入る。彼女の情熱的な赤い瞳の整った美貌……香しい香りの長く艶やかな美しい黒髪……白く滑らかな肌……まるで重力に逆らうかのようにむっちりと張り詰め、上を向いた球体の美しい大きな乳房……その乳房の頂にそそり立つ、毎日の僕の指と舌、歯による激しい攻めで充血して変色し、石のようにカチカチに硬く勃起してビン! と突き出している、あまりにも卑猥でいやらしい大きな乳首……引き締まったへそにくびれた腰……引き締まった丸く形の良い美しいお尻……黒い陰毛に覆われた秘部……しなやかに伸びた美しい足……常に僕の心を虜にして夢中にさせる彼女の、僕の【ニプルクィーン】の魅惑の裸体!
「ああっ!! レイナーレっ!! 何度見ても飽きないよっ!! 君のその素敵な体っ!!」
僕は心からの感激と賛美を彼女の裸体に捧げる。
「ああっ!! ミコトっ!! 嬉しいわ!! いつもいつもそれほどまでに私のこの体に夢中でいてくれてっ!!」
レイナーレは歓喜の叫びを上げる。
「ねえ……ミコト、答えて。あなたはこの私の裸だけで満足? 他の女の裸を見たいなんて思ったりしないかしら? あの一誠のように……」
レイナーレはこれまでも何度も繰り返した問いを、僕の答えを分かっていながら尋ねる。それに僕も何度も繰り返した答えを飽きる事なく伝える
「もちろんだよ! だってレイナーレ、君以上に美しくていやらしくて、僕を興奮させる体を持っている女性なんてどこにもいないもの! 僕は君のその裸だけを見れれば、それだけで幸せ! 兵藤とは違うよ!」
「ああっ!! ミコトっ!! そうよね。あなたはあんな女と見れば、手当たり次第にセクハラ行為に及ぶような男とは違うわよね! あなたはいつだって私だけを見てくれている! 私の裸だけを見て、私だけを愛して求めてくれる! そして私を何よりも大切にしてくれている! そんなあなたが私は大好きなの!」
先ほど以上に歓喜してくれるレイナーレ。実は一度、彼女にこう聞かれた事があった。
「ミコト、あなたもエッチな本とか見たりしないの?」と。当然、あの松田や元浜といった悪友たちと度々、学校でもそうした行為を平然と繰り返している兵藤を念頭に置いての事だろう。
その問いに僕はこう即答した。
「以前、君に会う前は見た事もあるけれど、君と出会って結ばれた、あの日に全部処分したよ。だって君の方がずっと美しくてずっとエッチで素敵なんだもの! 君がいるのにあんな物が必要な訳がないじゃない!」
もちろん、それは事実であり、僕の心からの想い。その答えを聞いたレイナーレはとても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
そして今、レイナーレは様々なポーズを取って、僕にその美しくていやらしい最高の裸体を様々な角度から存分に見せてくれる。僕を喜ばせようと。そんな彼女の気持ちが嬉しくて、彼女を愛しく想う気持ちで胸が激しく高鳴り、彼女の素晴らしい裸体に僕の胯間は激しくうずく。
「ウフッ♪ ウフフッ♪ ミコト、どう?」
レイナーレはその張り詰めた大きな乳房を持ち上げて、僕が好きでたまらないカチカチに勃起して突き出している卑猥極まる大きな乳首を見せつけ、形の良い丸い綺麗なお尻を僕に向けて振りつつ、美貌に妖艶な笑みを浮かべて僕を見つめる。その彼女の裸体のあまりの美しさといやらしさ、彼女の性的魅力に僕の股間はもう爆発寸前に猛り立って、僕はその男根のうずきに思わず顔をしかめる。
「まあ……! ミコトったらそんなに苦しそうにしてっ……! そんなにオチンチン勃たせてっ……! そんなにまで私の裸が好きなのね……! 好きで好きでたまらないのね……! 嬉しいっ! 嬉しいわっ! 良いのよ……! あなたにならいくらでもこの裸を見せてあげるわ……! あなたが大好きなこのいやらしい乳首を好きなだけ触らせてあげる……! 吸わせてあげるわ……! 私の全身を触って、なめ回して良いのよ……! 好きよ! 大好きっ! 私のミコトっ!」
卑猥な愛の言葉を僕に叫んでくれるレイナーレ。その彼女に、僕の愛と欲情が爆発する!
「あああっ!! レイナーレっ!! 僕のレイナーレっ!!」
僕はほとばしる彼女への恋情と彼女の美しく卑猥な体への欲情から興奮して叫びつつ、彼女の裸体に近づき、その素晴らしい裸体に触れる。まずは彼女の丸くすべすべした形の良いお尻をさする。
「あっ!」
僕は彼女のお尻をすりすりと何度もさすり回して、そのすべすべな素敵な感触を楽しむ。
「フフッ♪ レイナーレ、君のお尻、すごくすべすべで触り心地最高だよ♪」
「あっ……! ああんっ……! ミコトおっ……! お尻さすり回されてすごく気持ち良いわあ……! ああんっ……!」
お尻をさすり回されてレイナーレは美貌に恍惚とした表情を浮かべて、甘い声であえぐ。
次に僕はレイナーレの起伏に富んだ美しい背中を人差し指ですーーーーーーっとなぞる。
「あっ!! あっ!! あああんっ!!」
レイナーレは美しくいやらしい裸体をビクッ! と大きくのけぞらせてあえぐ。僕はさらに彼女の背中を指で何度もなぞる。
「あっ!! あっ!! あはああんっ!! ミ、ミコトおっ!! せ、背中なぞられるのっ!! す、すごく感じちゃうわあっ!! あっ!! ああんっ!!」
レイナーレは裸体を繰り返しのけぞらせて、甘い声をあげてもだえる。
彼女の引き締まったおへそをさする。
「あっ……! ああっ……!」
レイナーレはまた甘い声であえいでくれる。本当に彼女は僕が体のどこに触れても感じてくれる。その美しい顔に悩ましげな表情を浮かべて、甘い声であえいでくれる。まさに全身が性感帯であるかのように。僕はそんな彼女がどうしようもないほどに愛おしい!
そして僕は、僕が最も好きなレイナーレの張り詰めた、見事な球形の美しい巨乳とその頂の、カチカチに硬く勃起してビン! と突き出ているこの上なく卑猥な大きな乳首の愛撫に取りかかる。
まずは彼女のその乳房をぎゅむっ!とつかむ。
「あっ!!」
僕の指がレイナーレのムッチリと張り詰めた、弾力感にあふれる大きな乳房にめり込み、
彼女はビクッ!と裸体をふるわせる。そして僕はさらに彼女の乳房をむにゅっ!むにゅむにゅっ! ぐにゅっ! ぐにっ! と強く、そして激しく揉みしだく。
「あっ!! あはあっ!! あああんっ!! ミ、ミコトおっ!! む、胸っ!! 気持ち良いっ!! 気持ち良いわあっ!! あはっ!! も、もっともっと揉んでえっ!! あっ!! あはああんっ!!」
僕の指がレイナーレの張り詰めた大きな乳房に深々と食い込み、彼女の乳房は卑猥な形に変形し、そのムチムチと弾力にあふれた乳房は僕の指を押し返してきて、彼女は甘い声をあげてもだえる。
僕はレイナーレの充血して卑猥な色に変色した、カチカチに硬く勃起してビン!と槍のごとく突き出している卑猥極まる大きな乳首を指ですりっ……とさする。
「あっ!! あはあっ!!」
レイナーレはもうそれだけでビクウッ!!と美しい裸体を大きくのけぞらす。とても感じやすい彼女の体の中でも、この大きくいやらしい乳首の過敏さは際立っている。そう、このいやらしい大きな乳首こそが彼女と僕の愛の象徴。僕の神器【情念の炎】は彼女のこの乳首に触れることで発動し、僕の必殺技【ニプルブラスト】はこの乳首を激しく攻める事で発生する強力なエネルギーを発動源にしていて、さらに彼女の神器【堕天の乳汁】はこの乳首に宿り、ここから吹き出す彼女の乳汁が僕を癒やしてくれるのだから。
このレイナーレの大きな乳首のあまりにも卑猥な形と、カチカチに硬く、それでいてムッチリと弾力感も併せ持つ感触は常に僕を激しく興奮させ、僕はこの彼女の乳首を見るだけで男根が激しくうずいて猛り立ち、射精しそうになってしまい、その感触は指で触っても、舌でなめ回しても最高で僕を激しく魅了して虜にする。まさに僕の心を捉えて放さない【魔性の乳首】だ!
僕はその魔性の乳首を指ですりっ! すりすりっ! すりいっ! と何度も何度もさすり回す。
「あっ!! あはっ!! あああんっ!! ミ、ミコトおっ!! ち、乳首気持ち良いっ!! 気持ち良いわあっ!! お、お願いっ!! も、もっともっとさすってえっ!! あっ!! ああああっ!!」
僕の指の動きと共に、レイナーレのビンビンに勃起した硬く大きな乳首がぶるっ! ぶるぶるっ! と卑猥に躍動し、彼女は裸体をふるわせて甘い声でもだえまくる。その彼女の美貌は陶酔したような悩ましげな表情を浮かべていて、実に美しい!!
ああっ!! レイナーレっ!! 君はなんて素敵なのっ!! 何でこんなにまでいやらしいのっ!! 僕の、僕の【ニプルクィーン】っ!! 愛してるっ!! 愛してるよっ!! 僕のレイナーレっ!!
僕の人生はレイナーレに出会って大きく変わった。ほんの少し前までの平穏だが、恋人はもちろん友達もいなかった、ただ、一日一日が過ぎていくだけの日々。それと比べて何と大きな変化だろうか! 彼女と出会った事で僕のその平穏な日々は終わりを告げ、グレモリー眷属たちからは激しく敵視されて憎まれ、多くの戦いに巻き込まれて命の危機にも何度も直面したが、そんな事はこの素晴らしい恋人……レイナーレと共にいられる幸せに比べれば何でもない! 彼女のこの素晴らしい美貌に、美しくいやらしい性的魅力にあふれた最高の裸体、甘い声……これを失ったら僕はもう生きてはいられない!
僕は彼女への熱い想いを込めて、彼女の大きく卑猥な乳首をさらに激しく攻める。
まず指でぎりっ!とレイナーレの大きな乳首を強くつまむ。
「あっ!! あひいっ!!」
レイナーレは強い刺激にビクウッ! とまた大きく裸体をのけぞらす。僕はさらに彼女の乳首をぎゅりっ! ぎゅりぎゅりっ! ぎゅりりいっ! と強く、激しくひねり回す。
「ふっ!! ふぎいいいいいっ!!! ミ、ミコトおおおおっ!!! ち、乳首っ!! そ、そんなに激しく攻められたらあっ!!! ふひっ!! お、おかしくなっちゃいそうよおっ!! あひっ!! あぎゃああああああんっ!!!」
乳首を襲う強烈な刺激に、レイナーレは裸体をのけぞらせ、艶やかな長い黒髪を振り乱し、張り詰めた大きな乳房を弾ませて絶叫する。そしてそんな彼女の痴態に僕は激しく興奮し、さらに彼女の魔性の乳首を攻めまくる。
僕は彼女の乳首から指を離すと、今度はそれにるろおっ……と舌をはわせる。
「あっ!! ああんっ!!」
レイナーレがまた裸体をのけぞらせる。僕はさらに、そのカチカチに硬く勃起した彼女の大きくいやらしい乳首を入念に、そして執拗になめ回す……
「るろっ……れろれろ……ぺちゃあっ……ああっ……レイナーレっ……君の乳首本当においしいっ……おいしいよっ……!」
「あはあっ! あんっ! あああっ……!ミ、ミコトっ……あはっ! わ、私っ……! あ、あなたにっ……あっ……! ち、乳首なめ回されてっ……! ああんっ……! す、すごく気持ち良いのおっ……! は、はあんっ……! もっともっとなめ回してえっ……! ああああんっ……!」
僕は夢中でレイナーレの大きくいやらしい乳首をなめ回し、彼女のその硬くコリコリで、それでいてムッチリとした弾力も併せ持つ魅惑の乳首の感触を存分に味わう。その僕の愛撫にレイナーレは美貌に恍惚とした表情を浮かべて甘い声でもだえ、彼女の乳首は僕の舌の動きと共にぶるっ! ぶるっ! と卑猥にうごめき、僕の唾液でテカテカと卑猥に光る……その彼女はあまりにも美しく、そしていやらしい!
はむっ! と僕はレイナーレのその大きな乳首に力を込めて吸い付く。
「あっ!! あはあああっ!!」
レイナーレがまた絶叫する。僕はさらに彼女の乳首に何度も吸い付き、強く吸い上げ、しゃぶりまくる。
「あむっ! ちゅっ! ちゅううううっ! ちゅばっ! ああっ! レイナーレっ! 好きっ! 大好きっ! あむっ! じゅるるるるるーーーーーーーっ!」
「はあああんっ!! ミ、ミコトおっ!! わ、私も大好きいいいっ!! 愛してるっ!! 愛してるわああっ!! あっ!! あああーーーーーんっ!!」
僕は夢中でレイナーレの魅惑の乳首をむさぼり、レイナーレは甘い声で絶叫し、僕の想いに応えて愛の言葉で応えてくれる。僕はそんな彼女が愛しくて、彼女の乳首を吸って、なめ回して、指でさすって、ひねり回してと、何度も何度も執拗に彼女の乳首を攻めまくった。
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8月後半のその日、ついに僕たちとグレモリー眷属の面々はグレモリー本邸前の駅で冥界とのお別れの時を迎えようとしていた。そこにはグレモリー卿とヴェネラナ様、サーゼクス様とミリキャス様、グレイフィア様、大勢の使用人さんたちが集まっている。
「それでは一誠くん、また会える日を楽しみにしているよ。いつでも気兼ねなく帰ってきてくれてかまわんよ。グレモリー家をキミの家と思ってくれたまえ」
「ありがとうございます! で、でも、ちょっと恐れ多くて……」
グレモリー卿の言葉にさすがに兵藤が恐縮して苦笑する。
「そんな事ありませんわよ。一誠さん。人間界ではリアスをよろしくお願いしますわね。娘はちょっとわがままなところがあるものだから、心配で……」
「お、お母様! な、何を仰るのですか!?」
ヴェネラナ様の言葉にグレモリー先輩が赤面する。
「はい! もちろんです!」
「うぅ、私も涙もろくなったものだ。我が家の未来は明るい……」
グレモリー卿がさめざめと涙を流す。その様子に兵藤は明らかに驚き、何がなんだか分からないという表情を見せる。やはり彼は……
「ちょっと、あなた。そこは父親らしく『娘はまだやらん!』ぐらい言って返すものですわよ?」
「そんな事を言ってもだな、一誠くんは既に私の力を超えそうなのだから。もう十分だろう? そろそろ落ち着いても良いのではないかと思ってな……」
「隠居めいた事を仰るのは、せめてリアスが高校を卒業してからにしてください」
ヴェネラナ様とグレモリー卿のこんなやり取りを聞いても、やはり兵藤は何の事やら分からないという風だ。彼以外のここにいる全員が、もうグレモリー夫妻が共に兵藤を将来の娘婿にする事に決定しているというのが丸分かりなのに、当の本人はここまで言われてもまるで気づかない。見ている皆が兵藤のあまりの鈍感ぶりにあきれているだろう。だが……
「ねえ……ミコト、一誠のあの態度……」
「うん……どうも彼は意識的に気付かないようにしているんじゃないかと思うよ……」
「えっ……!? どうして?」
「分からないけれど……でも、あの兵藤の様子を見ていればそうとしか思えないよ」
「ええ、確かにそうね。あのグレモリー卿たちの自分に寄せるあれほどの好意をあんなにいっぱい見せられてもあれだもの……リアス・グレモリーも、アーシアたちも大変ね……」
レイナーレは因縁の相手にも関わらず、グレモリー先輩に同情している様子だ。それは僕も同様だ。
「尊くん、レイナーレさん、そして堕天使の皆さん、名残惜しいな……この冥界での日々はキミたちにとって大変な事も多かったようだが、それでもキミたちは頑張って、尊くんとレイナーレさんは一誠くんと同様に見事に禁手化を果たし、流音くんも神器の能力を向上させる事が出来たとの事で良かった! 私たちとしても嬉しいよ」
グレモリー卿は僕たちにも笑顔でそう仰ってくださった。
「はい! おかげさまで! 大変お世話になりました!」
僕たちはグレモリー卿に深々と頭を下げる。実際、グレモリー卿もヴェネラナ様も、過去の因縁にとらわれる事なく、公平に、そして丁重に接してくださった。その事に僕たちは心から感謝していた。
「また、いつでもこちらに来てくださいね。今度来る時には私の娘や一誠くんたちとあなたたちが多少でも心を許せるようになっていれば良いのだけれど……」
ヴェネラナ様が仰った。僕が兵藤の方を見ると、彼は聞こえない風を装っている。
「とにかく、いずれそうなるのを期待するわね」
「はい……努力いたします」
「尊くん、レイナーレ、よく頑張ったね! 流音くんも。君たちのこれからの活躍、楽しみにしているよ。頑張ってくれたまえ」
「また、来てくださいね!」
サーゼクス様が、ミリキャス様が笑顔で見送ってくれる。
「はい! ありがとうございました!」
僕たちは感謝の意を込めて深々と頭を下げ、列車に乗り込み、グレモリー邸に別れを告げた。
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帰りの列車の中、アザゼル様は僕たちから少し離れた席で豪快に鼾をかいて眠ている。僕とレイナーレは身を寄せ合ってくつろいでいる。
アザゼル様に聞いたところによれば、兵藤は全く学校の宿題をやっておらず、今、それで大忙しだという事だ。まあ、学園の問題児として有名な彼の事だからそんな事だろうと思ったが。ちなみに僕とレイナーレは冥界滞在中から時間を見つけて継続的に進めていて、もうすっかり終えていたのでそれを気にする必要はない。
流音くんもカラワーナさんに教えてもらいつつ、宿題はしっかりと終えているとの事だ。だがミッテルトちゃんは……
「うわーーーーーっ! 終わらないっすーーーーっ! ルオンっ! 手伝うっすーーーーっ!」
「ちょ、ちょっと! ミッテルトちゃんっ!」
「ミッテルトっ! 私とルオンの時間を邪魔するなっ! お前が怠けていたせいなんだから自分の事は自分でやれっ!」
と流音くんとカラワーナさんを巻き込んで大騒ぎになっている。
「本当にミッテルトったら……カラワーナとルオンくんも大変ね……」
「そうだね……」
レイナーレと僕は苦笑する。
「そういえば……帰ったらすぐに学校が始まって体育祭だったわね」
「うん……」
正直、僕は体育祭は気が重い。何故なら……いや、あまり考えても仕方ない。
「ねえ……ミコト」
「何?」
「戻ったら、少なくともしばらくは戦いとか起こらずに静かに過ごせると良いわね。私はあなたと愛し合って過ごせればそれで良いもの」
「うん、そうだね。僕もレイナーレ、君と愛し合って過ごせればそれで良いもの」
僕と彼女はそっと顔を寄せて唇を重ねる。後ろの席でのミッテルトちゃんたちの騒ぎをよそに。
そして人間界側の地下ホームへと列車がたどり着き、僕たちは列車から降りた。その瞬間。
「アーシア・アルジェント、やっと会えた」
えっ!? この声は……
聞き覚えのある声に僕はその声の方を向く。するとそこには……
ディオドラ・アスタロト!
そう、そこにはあの上級悪魔で現魔王家の一つ、アスタロト家の御曹司で、あの若手悪魔の会合の時にレイナーレに酷い侮辱の言葉を浴びせた、あのディオドラ・アスタロトがいて、アーシアさんに詰め寄っていた。
ディオドラに詰め寄られているアーシアさんは戸惑っている。そういえばあの時、ディオドラは盛んにアーシアさんに視線を向けていた。僕は隣のレイナーレを見る。
「…………」
「大丈夫だよ」
僕は驚愕して青ざめているレイナーレの肩を抱いて彼女を励ます。
「おいおいおい! アーシアに何の用だ!」
兵藤が怒った様子でディオドラに詰め寄るが、ディオドラはそれを無視して、アーシアさんに語りかける。
「僕を忘れてしまったのかな? 僕たちはあの時、出会ったはずだよ」
ディオドラは突然胸元を開き、大きな傷跡を見せた。
ずいぶんと深い傷跡だ。アーシアさんはそれを見て、驚き、目を見開く。
「その傷は……! もしかして……!」
「そう、あの時は顔を見せられなかったけれど、僕はあの時の悪魔だ」
「……っ!」
その一言に言葉を失うアーシアさんにディオドラはさらに伝える。
「僕の名前はディオドラ・アスタロト。傷跡が残らないところまで治療してもらえる時間はあの時、なかったけれど、僕は君の神器によって命を救われた」
「何ですって!」
レイナーレが驚愕の声を上げる。そう、アーシアさんはかつて、偶然出会った一人の悪魔を助けた事で【魔女】の烙印を押されて教会を追い出され、彼女はそのためにレイナーレの元に来たのだ。そう、全ての始まりはこの男から来ていたのだ。レイナーレが驚愕するのも無理はない。
するとディオドラが僕たちの方に目を向けた。あの時と同じ、侮蔑に満ちた視線。それを見てレイナーレがビクッ! と体をふるわせる。僕はそんな彼女を抱きしめつつ、デイオドラを睨む。だが彼はすぐに僕たちから視線を他へ移した。
あれ……?
その時、僕はディオドラが鬼崎の方を見て、彼に目配せをしたように見えた。するとそれに鬼崎もかすかにうなずいたように見えた。だが、グレモリー眷属たちはそれに気付いた様子はない。
どういう事? ディオドラと鬼崎は知り合いなのか?
「ディオドラ? ディオドラね?」
グレモリー先輩が彼の名を呼ぶ。様子から見るとあまり親しい関係ではなさそうだが、二人は共に名門悪魔で現魔王家の跡取り、あの会合の時も共に出席していたし、当然顔見知りのはずだ。
だが、ディオドラはその彼女の声にも反応せず、いきなりアーシアさんの前にひざまずくと、その手にチュッ! とキスをした。驚くアーシアさん。
「な、何だよお前! アーシアに何を!」
兵藤が激怒して飛び出そうとするが、そんな事には全く構わずディオドラはアーシアさんに告げた。
「アーシア、僕は君を迎えに来た。会合の時、挨拶出来なくてゴメン。でも、僕と君の出会いは運命だったんだと思う。僕の妻になって欲しい。僕は君を愛しているんだ」
と、ディオドラはいきなり、あまりにも一方的にアーシアさんに求婚した。
「あ、あの……」
アーシアさんは驚愕して困惑し、兵藤は今にもディオドラに殴りかからんばかりに怒りに体をふるわせ、それを木場や塔城が抑えている。レイナーレも唖然とした目でその様子を見つめている。
僕はまた鬼崎の顔を見た。すると彼の顔には戸惑いのような表情が浮かんでいる。
あのいつも冷然とした態度だった鬼崎が……このところ、彼の様子は明らかにおかしい……
僕たちの後ろで様子を見守っているアザゼル様は何かを考えておいでの様子だ。
「………………」
僕とレイナーレが望んだ平穏な生活。それは早くも暗雲に包まれたように思えた……
(次回に続く)
ついに冥界合宿編も最終話! 今回のお話は尊&レイナーレから見た、匙VS一誠戦を中心としたグレモリー眷属VSシトリー眷属のレーティングゲームが中心のお話となりました。原作中では一誠と匙がよく似ていると言われますが、むしろこの作品の尊と匙はそれ以上に共通点が多いです。
多情な一誠に対して一人の女性に一途な尊と匙、パワータイプの一誠に対して尊と匙は共に知略を用いるタイプ(まあ、匙は尊に比べればずっと肉弾戦も強いですが)、共に黒のドラゴンを宿しているといった具合に……それだけに尊と匙の間には(尊と一誠が以前は仇敵で今も微妙な関係であり、一誠と匙は友人であるにも関わらず)しっかりとした友情が育まれてきています。それだけに尊たちのシトリー眷属、特に匙に対する応援には熱が入っていました。
恒例の尊とレイナーレのラブシーン……まあ、この二人は未来永劫、ずっとこのままでしょう!(:^^) しかし、二人の会話にあるように、今回の冥界合宿、二人にとって辛い事も多かった訳ですが、しかし、とても実り大きなものになりました。今回、新たに二人が習得した能力と築いた人脈、これは今後、大いに役立つものになる事は間違いありません。
ちなみにレイナーレの禁手時、ほぼ全裸になる彼女の身体にボンデージの首輪が残るようになるという設定は、以前のお話にはなく、今回、新たに加えました。首輪は服従の印=愛する尊の虜になったレイナーレの彼への想いの象徴という事。もっとも尊も最初からレイナーレの虜ですが。
一誠の極度の鈍感さを訝しがる尊。これは原作やアニメをご覧になられている方はご存知の通り、レイナーレとの事が大きく絡んでいる訳ですが、それを尊とレイナーレが知ったら……
ディオドラのアーシアへの求婚。今回一部語られましたが、デイオドラはアーシアだけではなく、レイナーレとも深い因縁がある(レイナーレはまだその詳細を知りませんが)男なので、これからの展開が果たしてどうなるか……
そして鬼崎の葛藤……ディオドラが行動に出た事により、いよいよ彼も決断を迫られる訳ですが、果たして彼はどうするのか……?
それでは次回からディオドラ編が本格的にスタート!ご期待ください!^^