そして尊とレイナーレは……! ついにディオドラ編完結!
兵藤の鎧が変質していく。鋭角なフォルムが増していき、巨大な翼まで生えてきた。両手両足から爪のようなものが伸び、兜からは角のようなものが幾つも形作られていく。
「な、何なのっ!?」
「ひいいいいいっ! こ、怖いっす~~!」
レイナーレが、ミッテルトちゃんが驚愕の声を上げ、カラワーナさんと流音くんの表情も血の気が引いている。不測の事態に備え、僕はレイナーレを、カラワーナさんは流音くんを抱きしめる。そしてミッテルトちゃんはアンドレアスさんにしがみついている。普段なら問題となりかねない構図だが、まあ、今は非常時なので仕方がない。
変貌を遂げた兵藤の姿はドラゴンそのものだった。彼の全身の宝玉各部から、絶叫に近い声が老若男女入り乱れて発生される。
「汝を紅蓮の煉獄に沈めよう!! ジャガーノート・ドライブ!!」
その声と共に兵藤の鎧から放たれる血のように赤いオーラが
ゴオオオオオオオオオオオオッ!!!
と凄まじい風圧となり、彼の周囲の全てのものがはじけ飛ぶ。床が、壁が、柱が、天井が、その全てが破壊されていく。
「ぐぎゅあああああああああああああああああああああああああああああっ!!! アーシアァァァァァァァァァァッ!!!」
獣の叫びにも似た声を兵藤は発する。
こんな状態になってもアーシアさんの事だけは兵藤の脳裏にはっきりと残っている。僕は兵藤のアーシアさんへの凄まじいまでの愛情を改めて感じる。もっとも僕も、以前、兵藤たちを相手に暴走した時、正気を失ってもレイナーレへの想いだけはしっかりとあったと、レイナーレ自身が涙ながらに言ってくれたが。
咆哮した兵藤はその場で四つん這いとなり、翼を羽ばたかせるとビュッ! と風音を響かせ、凄まじい速度で飛んだ。次の瞬間……
「ぬううううううっ!!」
シャルバの悲鳴が聞こえた。振り向くと、小型ドラゴンと化した兵藤がシャルバに絡みつき、肩に食らいついていた。兜に口のようなものが生まれ、その牙でかじりついているのだ。
ぶちぶちぶち……と肉を引き千切る音が聞こえてくる。
「ぐぐぐっ……おのれっ!!」
シャルバが右腕で光を作り出し、兵藤に放とうとするが、兵藤の鎧の宝玉の一つから赤い鱗に覆われた龍の手が出現し、シャルバの右腕をがしっ! と掴んで止める。
「なっ!!?」
驚くシャルバ。さらに別の宝玉から刃が生まれ、シャルバのその右腕はズバッ! と切断された。
「ぐおおおおっ!!」
激痛に苦悶の表情を見せるシャルバ。切断された腕から鮮血が噴き出し、それが神殿の床に散っていく。
ぶちんっ!
「ぐわあああっ!!」
気味の悪い音と共にシャルバがまた悲鳴をあげる。兵藤がついにシャルバの肩の肉を食いちぎったのだ。兵藤は床に落ちるが両手両足で着地し、ペッ! と肩の肉を床に吐き出す。その兵藤の鎧は鮮血と混ざり合い、不気味な光沢を放っている。あまりに凄惨な光景にレイナーレもカラワーナさんも、ミッテルトちゃんも流音くんも皆、顔色を失っている。
「げごぎゅがぁぁ、ぎゅはごはぁっ! ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
兵藤は既に人の言葉を発していない。全身に点在する宝玉から龍の腕が、あるいは刃が生えていき、次第に人の姿すらも保てないほどの異形さを見せてきていた。
「ふざけるなっ!!」
激高したシャルバは地に降り立ち、残った左腕で光の一撃を放つ。その帯状の一撃は極大ともいえるほどの威力だ。
だがそれに対して兵藤の……赤龍帝の翼が光り輝く。それはまるであのヴァーリさんの白龍皇の翼。シャルバの放った光の波動が襲い掛かった瞬間……!
「DividDividDividDividDividDividDividDivid」
そう、兵藤が匙とのレーティングゲームで使った、ヴァーリさんから奪ったあの白龍皇の力が発動され、光の波動は半分に、さらに半分、とどんどん縮小していき、シャルバの攻撃はペンライトの光ほどの弱々しさと化した。もちろん兵藤には何らのダメージも与えられていない。
「ヴァーリの力か! おのれっ! どこまでもお前は私の前に立ちふさがるというのだなっ! ヴァーリィィィィィィッ!!」
嫌い抜いているらしいヴァーリさんの力を見せつけられて激高したシャルバは、今度は魔力の波動を放つ。大きい、絶大なオーラの波が兵藤に襲い掛かる!
しかし兵藤はその魔力の波動をバジイィィィィィィッ! と翼の羽ばたきだけで軌道をずらしてはじいた。あれほどの攻撃をたったあれだけの挙動で……!
兵藤の赤龍帝の兜に生まれた口が大きく開く! 口内の奥にレーザーの発射口みたいなものを覗かせている。そこからビィィィィィィィッ! と赤い閃光が発射される。
「ぐわああっ!!」
兵藤が発した赤いレーザーは一直線に伸びてシャルバを襲い、その左腕を吹き飛ばし、シャルバはまた激痛に悲鳴をあげる。その直後、ドオオオオオオオオオオオンッ!! とレーザーを放った兵藤の周囲に爆発が巻き起こる。爆煙が上がり、粉塵を周囲に散らしていく。
「ぬあああああがああああっ!!」
兵藤が咆哮をあげ、全身に莫大なオーラを漂わせると床が大きく抉れて、巨大なクレーターが生まれていった。オーラを漂わせるだけで周囲が消し飛びそうになる!
「ば、化け物めっ! こ、これが【覇龍(ジャガーノート・ドライブ)】だというのか!?
冗談ではないっ! わ、私の力はオーフィスによって前魔王クラスにまで引き上げられて
いるのだぞっ! データ上の【ブーステッド・ギア】のスペックを逸脱しているではないか
っ!」
肩を食いちぎられ、両腕を失い、攻撃をことごとく跳ね返されたシャルバ。その顔がついに恐怖に包まれた。瞳には怯えの色が強く浮かび、兵藤を恐怖の対象として捉えている。
【覇龍】! ドラゴンの宿る神器の所有者が暴走してとてつもない力を持った状態……! 僕も以前、レイナーレを兵藤から守るために【覇龍化】しかけたと聞いたけれど、これが本格的な【覇龍化】……! それにしても何て恐ろしい攻撃力!
怪物と化した兵藤の姿にグレモリー眷属たちも今は呆然としていた。グレモリー先輩は目を見開き、全身をふるわせている。姫島先輩もゼノヴィアさんも塔城もギャスパーくんも、そして木場まで兵藤を恐怖の目で見つめている。だが、その中で鬼崎だけは深刻な表情を浮かべているものの、何かを決意したような様子で動ぜずにいる。
兵藤は再び赤いレーザーをシャルバに向けて放ち、 シャルバは右足を吹っ飛ばされ、もんどりうって壁に激突する。もはやシャルバは完全に抵抗の術を失い、兵藤に屠られるのを待つだけの存在と化していた。
「おいっ! 相棒! レイナーレ! 早くここから逃げろっ! あの赤龍帝の小僧、完全に理性を失ってやがる! このままだと巻き添えを喰うぞっ!」
ディヴェリクスの声が響く。
「う、うん!」
うなずく僕だが、その時、生き残ったディオドラ眷属たちが、敗残の惨めな姿を晒しているディオドラを取り巻いている姿を目にする。
「お、お前たちっ! 気でも狂ったのかっ! ご主人様の僕に向かってっ! バカな真似は止めて、早く僕を介抱しろっ!」
「何が【ご主人様】よ! 私たちをさらって辱め、無理矢理従わせたばかりか、使い捨てにしたクセにっ!!」
「そうよっ! 神に仕える聖女だった私たちによくもこんな事をっ……! この最低のゲス男っ! 許せないっ!」
これは……ディオドラが彼女たちに施していた洗脳が解けたのか……
「ま、待てっ! このままだとお前たちだって巻き添えをくらって死ぬぞっ! わ、分かってるのかっ!?」
「構うもんですかっ! あなたみたいなゲスに汚された私たちにどうせ未来なんてないっ! せめてここであなたを殺せば私たちの気も晴れて思い残す事なく死ねるわっ! さあっ! 覚悟しなさいっ!!」
「ひっ……ひいいいいいっ!!」
皆で怯えるディオドラににじり寄るかつての彼の眷属たち。
「ミコト!」
「うん!」
レイナーレの叫びに僕はうなずくと、元、ディオドラ眷属たちに走り寄る。
「待ってっ!! その男には後で魔王様方からしっかり裁きを受けさせるからっ!! 君たちは早くここを脱出するんだっ!!」
僕の叫びに今にもディオドラに襲い掛かろうとしていた彼の元、眷属たちは一斉に僕の方を見た。
「クニハラ・ミコト様……」
僕を見つめる彼女たちの声に、顔にもはや敵意は感じられない。
「良かった、君たちへのディオドラの洗脳が解けて……さあ、ここを一緒に脱出しよう!」
「そんな……ダメです。もう私たちは穢れた身……この男の手先になって悪事を働いた身……どの顔で天使長様や教会の方々に顔向け出来ましょう……」
僕の言葉にそう諦観に満ちた悲し気な表情でつぶやく彼女たち。
「そんな事ないよ! ミカエル様ならきっと分かってくださるはず! 君たちの立場と気持ちを……僕からそれをミカエル様にお伝えするから。だから、大丈夫だよ!」
「そうよ! 私もかつて愚かな思いに囚われて酷い罪を犯して破滅の道を歩んでいたのをミコトに愛されて、彼の優しさで救われたの! そしてアザゼル様もミカエル様も私の犯した罪を許して下さったわ! だからあなたたちも絶対に大丈夫よ!」
「ミコト様……レイナーレ様……」
僕とレイナーレの叫びを聞いた彼女たちの目に、涙が光る。しばらくの沈黙の後、彼女たちは意思のこもった目で僕たちを見つめ、その中の一人、灰色の長い髪に黄色の目の、ディオドラ眷属たちの中では一番大人びた雰囲気の、おそらくリーダー格であろう女性が言った。
「さっき、この男が私たちの仲間の精気を吸い取った時、あなたは私たちの為に怒って叫んでくれた……その叫びを聞いた時、この男に支配されていた私たちの心に自らの感情が戻ってきたのです……失われたかつての日々が……私たちの尊厳を踏みにじったこの男への怒りが……」
そう語った彼女の目から涙が溢れ落ちる。同時に他の元、眷属たちの目からも涙が流れる。
「ミコト様、レイナーレ様、あなた方は敵だった私たちを殺す事も憎む事もせず、私たちの為にこの男に怒ってくださいました。今も私たちに共に逃げようと仰ってくださって、私たちの為に取り成しまでしようと仰ってくださっている……そのあなた方の優しさに私たちは賭けます!」
彼女たちは僕たちに深々と頭を下げ、うずくまっていたディオドラを助け起こす。
「ディオドラ・アスタロト、これは私たちのけじめです。理由はどうあれ、私たちがあなたの手先となって、あなたの命令で悪事を働いたのは事実。そしてあなたから私たちを解放してくださった、ミコト様とレイナーレ様があなたを殺すなと、魔王様方の裁きに委ねるとの仰せ。だから私たちはその時まであなたを守ります」
ディオドラは無言のまま、元眷属たちに支えられて歩き出す。それを見届けて僕も皆に叫ぶ。
「さあ、僕たちも行こう!」
「ええ!」
「はい!」
「キャオンッ!」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
アーシアさんを失った悲しみのあまり、怪物と化してしまったイッセーくん。彼はその凄まじい怒りを持って、アーシアさんを殺した憎い仇、【禍の団】の幹部で旧魔王の一族シャルバ・ベルゼブブに襲い掛かった。
僕たちを高慢な態度で見下していたシャルバだが、彼は怒れるイッセーくん……赤龍帝の前には全く無力だった。その攻撃はことごとく跳ね返され、肩を食いちぎられ、両腕と右足を切断され、無様に転げまわり、鮮血が辺りに散らばる。
その有様を僕たちは呆然と見守っていた。リアス部長は目を見開き、全身を震わせ、朱乃さんもゼノヴィアも小猫ちゃんもギャスパーくんもイッセーくんを恐れるように見つめている。僕も全身の震えを抑えんと、思わず聖剣をグッと強く握る。
今の理性を失ってしまったイッセーくんの攻撃は僕たちも巻き込みかねない。でも、暴走してしまっている彼の身が気がかりだ。
どうすれば……! どうすれば良いっ!
苦悩する僕。その時、ふと、陽太郎くんと目が合う。僕も含めた皆が目の前の光景にただ震えているのに対して、彼だけは何かを決意したような表情で動ぜずにいる。
陽太郎くん……?
その陽太郎くんが僕の方に近づいて来て、肩に手をポンと置いた。
「祐斗。リアス部長や皆を頼む」
「えっ? 陽太郎くん、まさか……」
「ああ。僕がイッセーを止めてくる」
その発言に僕だけではなく、周囲の皆もざわめく。
「そ、そんな! ダメよ! 陽太郎」
「いかに陽太郎くんが強いと言っても今のあのイッセーくん相手じゃ!」
「危険です! 先輩!」
「大丈夫です。イッセーは祐斗と共に素性を隠して皆を騙していた僕を快く許して仲間として受け入れてくれた。今度は僕がその借りを返す番です。それに僕は以前、覇龍化した相手と戦った事があるんです。ですから、何とかなると思います」
「【覇龍化した相手と戦った事がある】……」
僕はその言葉をつぶやきつつ、陽太郎くんを見つめる。彼の表情は強い意志に満ちている。その場しのぎの嘘とは思えない。ちゃんとした確信に基づいての言葉と僕は感じる。どうやら彼の実力はまだまだ計り知れないものがあるようだ。
「陽太郎、あなたって一体……?」
「部長、それについては前にお話しした通り、僕から説明します。今はイッセーくんの身が何より大事。ここは陽太郎くんに任せて、一時退却しましょう」
「で、でも、私はイッセーを!」
イッセーくんを求めて歩み寄ろうとする部長を僕は抱き付いて制止する。
「陽太郎くん。すまない。後は頼んだよ」
「ああ、任せてくれ」
陽太郎くんはしっかりとうなずき、僕は部長を抱きかかえてその場を後にする。朱乃さんがゼノヴィアに肩を貸し、小猫ちゃんとギャスパーくんも後に続く。
神殿を出た後、僕は聖魔剣を幾重にも創り出し、それでシェルターのようなものを形作って部長をはじめ眷属たちをそこに避難させる。見ると國原尊たちとディオドラ、その眷属たちも近くに引き上げて来ていて、水神くんが彼の神器で光の防壁を作っている。
神殿の方から激しいズゴオオオオオオオーーーーーンッ!!! という爆発音が響き渡る。
僕はイッセーくんと陽太郎くんの無事を祈りつつ、部長と眷属たちに陽太郎くんの事情について説明した。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
覇龍化した一誠のもとに駆け付けた僕。
「魔人の少年、何故、ここに戻って来た?」
声が響く。その主は一誠の神器に宿る伝説のドラゴン【赤龍帝ドライグ】だ。
「イッセーは僕を仲間として、一人の友として受け入れてくれた。彼は僕が【禍の団】の一員だったと知っても、素性を偽って近づいたと知っても、それでも僕を嫌う事なく、これまでと同じく友として認めてくれた。その大切な友を僕は何としても救いたい! そのために僕は彼を止めに来た!」
「そうか。だが、今の相棒には俺の声も届かん……力にはなってやれんが、お前ならこいつを止められるかもしれん。俺の相棒を頼む」
ドライグの言葉に僕はうなずき、剣を構え、秘技、【瞬狼影斬】で自分の分身を出現させ、一誠を包囲する。
「げごっ?」
10体に分身した僕を見て首をかしげる一誠。だが次の瞬間
「ぬあああああがっ!!!」
叫ぶと同時に、素早い動きで僕の実体を捕えようと闇雲に襲ってくる。僕は素早く動き回ってそんな彼を翻弄する。
「ぐおおおおおおおおっ!!!」
一誠は首を回しながら四方八方に向かってレーザーを放ってくる。僕は秘技【獄炎】で炎の壁を次々と出現させてその攻撃をしのぐ。
「【煉火(れんか)】!」
僕はバレーボールサイズの火の弾を大量発生させて一誠めがけて発射する。もちろん、今の覇龍化した一誠ならそれによって大きなダメージを受ける事はないとふまえた上で。実際、一誠はその攻撃を素早い動きでかわし続ける。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「そうだったのね……陽太郎は【禍の団】のメンバーでヴァーリの仲間。でも、私たちに共感してくれて【禍の団】を離れて仲間になる決意をしてくれたと」
「そうです。部長、僕の説明で納得して頂けますか?」
「納得するも何も、陽太郎は私たちのために身を張って戦ってくれて、今、イッセーを命懸けで止めてくれているじゃない。信じない訳にはいかないでしょう」
「部長……」
部長は僕の説明にその場で納得してくれて、他の皆もうなずいてくれた。僕は一瞬安堵するも、今はそれに手放しで喜んでいられるような状況ではない。今、陽太郎くんはイッセーくんを止めるために命を懸けて戦っているのだ。
凄まじい爆発音がひっきりなしに響き渡り、その度にガラガラと建物が崩れる音が続く。あの神殿が完全に崩壊するのも間もなくだろう。
イッセーくん!! 陽太郎くん!! どうか無事でいて!!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
くそっ! キリがない!
僕の中で焦りが広がる。一誠の攻撃を何とかかわして防いでいるものの、次第に疲労は蓄積していく。
アザゼル先生が状況を打開する策を考えてもたらしてくれれば、という思いが脳裏をよぎった瞬間、一誠のレーザーが僕を襲う。
ビシュッ!!
「うっ!」
かわしたものの、その一撃は腕をかすり、そこから血が流れだす。
くっ、ここまでか……!?
焦燥。諦観。絶望。それらすべてに覆い隠されようとする僕。その僕を立ち直らせたのは、他の誰でもない大切な存在だった。
「陽太郎」
上から聞こえるその声に、僕は思わず叫ぶ。文字通りの、救いの神。僕の女神。龍神。
「オーフィス!」
彼女は宙に浮かんで、僕をじっと見つめている。
「我の蛇、陽太郎に与える。これで力を。大丈夫。もう少しでアザゼルが……」
その声と共に彼女の手から黒い【蛇】が飛んできて、僕はそれを体内に取り入れる。その瞬間、全身に力がみなぎるのを感じ、僕の体は黒いオーラに包まれ、それは漆黒の鎧に変化して全身を包んでいく……!
その時、一誠の赤龍帝の神器が輝き、それと同時に神殿内に幾重にも音声が鳴り響く。
「BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!」
「Longinus Smasher!!!」
一誠の発射口から膨大な量の赤いオーラが照射されていく。だが、僕は逃げない。僕を見守っているオーフィスも動じない。
ズバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!
圧倒的なエネルギーの赤い閃光が僕を、神殿全体を包み込む……!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
覇龍化し、我を忘れて暴れまくる兵藤から逃れた僕たち。流音くんが【聖光の防壁】で強力なシェルターを作ってくれて、僕たちはそこに身を潜めつつ、鬼崎が兵藤を止めるべく一人で向かったのを見届けた後、アザゼル様に連絡を取る。
「おう! 尊か! 事情はそちらの様子をモニターで見て分かってるぜ!」
「はっ! それでその暴走した兵藤くんを元に戻す、あるいは鎮める方法はあるのでしょうか? 鬼崎くんが一人で兵藤くんを食い止めに行ってくれていますが、いかに彼が強くてもさすがにそう長くは……」
「ああ、さすがにいくら鬼崎の奴でも覇龍化した一誠はキツいし、それに鬼崎は攻撃を手加減せざるを得ねえからな。だが、とてつもねえ強力な助っ人が向かったから大丈夫だ」
「えっ!? 【とてつもない強力な助っ人】というのは……!?」
「すぐに分かる。それと、一誠を元に戻す方法についてだが、一つ思いついた事がある。使いにそれを持たせて送り出すから、しばらく待ってくれ。以上だ」
「ミコト、アザゼル様は何と仰ったの?」
「うん、【とてつもない強力な助っ人】を送ったから大丈夫だと……そして兵藤を元に戻す方法についても思いついたから、しばらく待つようにとの仰せだよ」
「【とてつもない強力な助っ人】……誰なのかしら?」
レイナーレがそう言った瞬間……
ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!
とそれまで聞こえていたよりもはるかに大きな爆音が響き渡り、凄まじい振動が辺りを揺らした。
「キャッ!!」
思わず叫ぶレイナーレを僕は抱きしめ、振動が収まったところでその爆音のした方向……すなわち神殿の方向を見つめる。すると……
神殿は完全に崩れ去っていた。そこで対峙しているのは怪物化した兵藤と、漆黒の鎧に身を包み、背中に藍色の翼を生やした者……鎧の形状は兵藤の赤龍帝の鎧に似ていて、翼はヴァーリのものによく似ている。全身には紫色の宝玉がついている。
あれは……! 鬼崎!
その二人から離れた所に一人の女の子が浮かんでいる。自分の背丈よりも長い艶やかな黒髪の小柄な女の子……見た目は僕たちより年下っぽく見えるが、その全身から真っ黒なオーラを発していて、ただ者ではない雰囲気を漂わせている。
あの子は……! 一体!?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
自分の魔力とオーフィスから貰った【蛇】の力で、僕は【無限龍神の鎧(インフィニティ・スケイルメイル)】を出現させた。
「【Infinity】!!」
鎧の宝玉が電子音声が発する。それにより僕の能力は一挙に倍加する。
「【Divid】!!」
すぐさま一誠の赤龍帝の翼が光り輝き、僕の力を半減させようとするも、僕は動じずに一誠との距離を詰めて間近にまで迫る。
「DividDividDividDividDividDividDividDivid!!」
僕の力を更に半減させようとする一誠に対し、僕は彼の体に素早くさっ! と手を当てて軽く力を込める。
すると……
「ぎっ!!!!????」
一誠はまるで強い衝撃波に当てられたかのように、後方へと吹き飛んでしまう。
そう、この【無限龍神の鎧】の力は能力の倍加と半減を無限大に操る事ができる。だから、いくら一誠が僕の力を半減したとしても、それは1%に過ぎないのだ。
そして、半減が効かないことに苛立った一誠が僕に飛び掛かってくる。
「ぐおぉぉぉぉぉっ!!」
「【パープル・スネーク】!!」
僕はオーフィスから貰った【蛇】を源に手のひらから紫の蛇状のオーラを創り出し、鞭のようにビュッ! ビシュッ! としならせて一誠を軽く牽制する。そうしなければ、僕に接近した一誠の身体はこの鎧により倍加された強大なパワーの前に細切れになってしまう。
「ぐごっ! ぐぎゅるるるるっ……!」
鞭で追い立てられてこちらに近づけず苛立つ一誠。だが、彼はこちらに飛び込む隙を伺いつつ、レーザーで攻撃してくる。それを倍加させた【獄壁】で完璧に防ぐ僕。
だが、僕がこの鎧をまとっていられるのは10分間のみ。そのリミットは刻刻と迫っている。
くっ! アザゼル先生の打つ手はまだか……!?
「陽太郎、どうする? 我、加勢した方が良いか?」
「いや、もう少しだけ待って!」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
神殿の崩壊する音がなくなったのを確認すると、僕は聖魔剣を解放して外の様子に目を配った。
神殿は完全に崩壊し、その廃墟で怪物化したイッセーくんと黒い鎧を身に着けた人物……おそらく陽太郎くんに違いない……が攻防を繰り広げている
あの鎧、もしかして陽太郎くんもイッセーくんと同様に内にドラゴンを宿らせているのか? それにしても凄い!
「陽太郎が強いのはもう分かっていたけれど、こうなってくるともう底なしって感じね……」
「凄いです……」
陽太郎くんの戦いぶりに僕たちは思わず目を見張る。あの上級魔族で旧魔王の血を引くと豪語し、実際に相当な実力者であるはずのシャルバが全く歯が立たなかった怪物化したイッセーくんと、陽太郎くんは互角に渡り合っている!!
自分に飛び掛かろうとするイッセーくんを陽太郎くんは鞭のようなものをふるって寄せ付けず、イッセーくんがレーザーで攻撃すると陽太郎くんは炎の壁を出現させてそれを吸収して無効化する。
だが、怪物化して自我を失ったイッセーくんが殺意満々なのに対して、陽太郎くんは本気で戦えないという弱みがある。実際、徐々にではあるが、陽太郎くんの動きが鈍くなってきているという感じがする……
このままじゃ! 何とか陽太郎くんを助けると共にイッセーくんを助ける手立てはないものか!?
僕の中で焦りが広がる。その時、ふと僕は戦っている二人から少し離れた所に浮かんでいる長い黒髪の少女を発見する。彼女は小柄だが、得体の知れない膨大な黒のオーラをまとっていて、ただ者ではない事を感じさせる。一体何者!? 敵か味方か?
その時、その黒髪の少女が陽太郎くんに何かを語り掛け、それに陽太郎くんも応じている。どうやら、あの少女は敵ではないようだ。だが、僕たちとしてはとにかくイッセーくんと陽太郎くんの事が気がかりで仕方がない! このままでは2人ともどうなってしまうか分からない!
……どうすれば良い!? どうすればイッセーくんは元に戻る!?
僕もリアス部長も、他の眷属もただただ様子を見ているしかなかった。だが、その時、
第三者の、しかし聞き覚えのある声が響いた。
「困っているようだな?」
「……!?」
僕たちはその声のした方向を見つめる。その時、空間に裂け目が生まれる! その裂け目から現れたのは……
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
黒の鎧を身に着けた鬼崎と怪物化した兵藤の戦いを見守る僕たち。あの驚異的な攻撃力を持つ怪物兵藤に、鬼崎は互角の戦いを展開している。やはり彼はただ者ではない、驚異的な力を持つ存在。だが、兵藤を倒す訳にはいかない鬼崎は手詰まり状態のようだ。
やがてグレモリー眷属の面々も少し離れた場所に姿を現し、僕たちと同様に2人の戦いを見守る。だが、彼らもどうする事も出来ず、ただ見守っているしかないという状況のようだ。
突如、空間に裂け目が生まれ、そこからあのヴァーリさんと美猴、及びあの【聖剣コールブランド】を持つ金髪の美青年、の3人が現れた。
「ミコト!」
「うん!」
僕とレイナーレはその方向に向かって駆け出す。その後にカラワーナさんに流音くんとレックス、ミッテルトちゃんも続く。
「ヴァーリさん! 美猴さん!」
「やあ、君たちも大変だったな」
「よぉ! 黒龍王にニプルクィーン! おんや? ニプルクィーン、また素っ裸だねぃ♪」
「!?~~~~っ!」
レイナーレは美貌を真っ赤にして両手で乳首を隠して美猴を恨めしそうに睨む。僕の為にはいつでも全裸になってその素晴らしい裸体をさらす事を厭わないでくれる彼女だが、他の男にやはり戦いの時以外にジロジロと見つめられるのは抵抗があるのだ。その事を僕はこんな時だが内心嬉しく思う。
一方、グレモリー眷属の面々はヴァーリさんたちに対して戦いの構えを取る。だが、彼らから敵意は感じられず、淡々と話す。
「やるつもりはない。見に来ただけだ。赤龍帝の【覇龍(ジャガーノート・ドライブ)】と陽太郎の戦いぶりを……と言っても、あの兵藤一誠の姿を見るに中途半端に【覇龍】と化したようだ。【覇龍】の現象がこの強固な作りのバトルフィールドで起こったのは幸いだったな。人間界でこうなっていたなら、都市部とその周辺が丸ごと消える騒ぎになっていたかもしれない」
グレモリー先輩がヴァーリさんに聞く。
「……この状態、元に戻るの?」
「完全な【覇龍】ではないから戻る場合もあれば、このまま元に戻れず命を削り続けて死に至る場合もある。どちらにしてもこの状態が長く続くのは兵藤一誠の生命を危険にさらす事になるな」
やはり、これは危険な状態なのか……
その時、美猴が木場のもとに歩み寄る。彼の腕に抱きかかえられていたのは……!
「ほらよ、お前らの眷属だろ。この癒しの姉ちゃん」
そう、それはアーシアさん。彼女を受け取る木場。
「アーシア!」
「アーシアちゃん!」
グレモリー眷属の皆が駆け寄る。アーシアさんを見る限り、彼女に外傷はない。
「生きています!」
木場の声にそこにいたグレモリー眷属の面々、僕の隣のレイナーレも涙ぐむ
「アーシア……! 良かった!」
僕も胸にこみ上げるものがあった。良かった! 本当に良かった!
「でも、どうして……」
疑問を呈する木場に、あのコールブランドの青年が応える。
「私たちがちょうど、この辺りの次元の狭間を探索していましてね。そうしたら、この少女が次元の狭間に飛んできたのですよ。ヴァーリが見覚えがあると言いまして、ここまで連れて来たのです。運が良かったですね。私たちが偶然その場に居合わせなかったら、この少女は次元の狭間の【無】にあてられて、消失していくところでした」
なるほど、そういう理由か……でも、良かった。アーシアさんが無事で。
「うわぁぁぁぁぁぁあんっ!!」
ゼノヴィアさんが親友のアーシアさんの無事を確認して、安堵のためか、その場に座り込んで泣きじゃくる。木場が彼女のもとにアーシアさんをおろす。ゼノヴィアさんはアーシアさんを抱きかかえて、笑顔で嬉し涙を流す。そんな彼女の姿を僕もレイナーレも笑顔で見守る。
「ゼノヴィア先輩、良かったですね! アーシア先輩が無事で!」
「ああ、ルオン……ありがとう!」
さっき、カラワーナさんをさらわれて悲しみの底にいた自分を優しく励ましてくれた彼女に対する感謝の気持ちも込めての流音くんの言葉。それにゼノヴィアさんも涙に濡れた笑顔を返す。
「後はイッセーと陽太郎だけれど……」
グレモリー先輩が兵藤、および彼と戦っている鬼崎に視線を送る。怪物化して理性を失っている兵藤はアーシアさんが無事だった事も全く知らないまま、鬼崎と戦い続けている。
「アーシアの無事を伝えれば、あの状態を解除出来るかしら?」
「危険だ。死ぬぞ。ま、俺は止めはしないが」
グレモリー先輩の問いにヴァーリさんは首を振る。
「陽太郎くんの力でイッセーくんを抑える事は?」
「陽太郎の【無限龍神の鎧】の有効時間は10分間。そろそろ効果が切れる頃だ。まあ、そうなってもオーフィスがいるから兵藤一誠を抑える事は出来るだろうが、それは力づくで抑え込むだけの事。彼を元に戻せる訳じゃない」
木場の問いに対するヴァーリさんの言葉に僕も、グレモリー眷属の面々も一様に驚く。【オーフィス】! あの伝説の強大なドラゴン……【無限の龍神】が!?
「で、でも、そのオーフィスはどこに?」
「どこにいるも何も……あそこに浮かんでいるのがそうだ」
グレモリー先輩の問いに、目で例の小柄な黒髪の少女を示すヴァーリさん。それにまた皆が驚く。あの女の子が!
「ディヴェリクス、そうなの?」
「ああ、間違いねえ。あいつはあんななりをしちゃあいるが、間違いねえ……オーフィスだ」
「だ、大丈夫なの?」
さすがに不安げな表情のグレモリー先輩。一方、ヴァーリさんはどこまでも冷静さを崩さない。
「今のオーフィスは陽太郎に惚れてる。陽太郎の意思に背くことは基本的にしない」
「何だって!!?」
また驚きの声が上がる。それはそうだ。あの鬼崎が【無限の龍神】の彼氏だなんて……どこまで奥底の知れない男なのか……
「だが、このまま陽太郎の【無限龍神の鎧】の効果が切れて、陽太郎が危機に陥ればオーフィスも黙って見てはいられなくなるだろう。そうなれば兵藤一誠は……」
「そんなっ!」
グレモリー先輩が悲痛な叫びを上げ、姫島先輩と塔城がヴァーリに詰め寄る。
「頼める間柄ではないけど、それでもお願い。彼を助けるのに力を貸して。白龍皇のあなたなら、彼の意識を取り戻す役割を担えるのではなくて?」
「お願いです。私たちも全力を尽くしますから、あの人を救うために力を!」
必死で兵藤を救う事を願う二人の懇願を受け、ヴァーリさんはあごに手をやって考える。
「そうだな、何か彼の深層心理を大きく揺さぶる現象が起こればいいのいだが……」
その時、美猴が頭をぽりぽり掻きながら言った。
「おっぱいでも見せりゃいいんじゃね? なんせ【おっぱいドラゴン】なんだしよ」
皆、唖然とした表情を浮かべる。だが、次の瞬間にはグレモリー眷属の皆がうなずく。確かにあの兵藤の深層心理を揺さぶるにはそれしかないだろう。それにその件では僕も彼を【破廉恥だ!】とはいえない。なぜなら僕だって、自分が深層心理を揺さぶられるとしたら、レイナーレの裸体……彼女の張りつめた美しい大きな乳房と、ビンビンに勃起したいやらしい大きな乳首に勝るものはないからだ。
「あの状態ではな。ドラゴンを鎮めるのはいつだって歌声だったが、そのようなものはないし、赤龍帝と白龍皇の歌なんてものはない」
「あるわよぉぉぉぉ!!」
ヴァーリさんの言葉を遮る形で、突如、聞こえて来た声……この声、このテンションの高さは……!
「イリナさんっ!」
「イリナっ!」
そう、それは白い翼を羽ばたかせて遠くから飛んできたポニーテールの天使……イリナさんだ! 彼女は僕たちのそばに降り立つと、全速力で飛んできたらしく、大きく息をつく。
「はーーー着いたーーーって、あれが今のイッセーくん!? ミカエル様やアザゼル様に聞いてはいたけど、すごい事になっているわね!」
怪物化した兵藤を見て、さすがに驚きを隠せないイリナさん。
「イリナ、どうしてここに?」
ゼノヴィアさんが聞くと、イリナさんは手に持った立体映像機器を突き出す。悪魔たちが使っているもので、僕たちも何回か見たことがある。これがアザゼル様の秘策……!?
「イッセーくんが危険な状態になったのは観戦ルームやこのフィールドで戦っていたお偉い方々にも把握されているの。で、このままではいけないと魔王ルシファー様とアザゼル様が秘密兵器を私に持たせてくれたわけです! ちなみに転送してくれたのはオーディン様よ! すごいわよね! 北の神様! お髭たっぷり!」
イリナさんはいつものハイテンションな話しぶりで説明すると、持ってきた映像機器をグレモリー先輩に渡し、グレモリー先輩は受け取った機器を下に置く。
「よく分からないけれど、お兄様とアザゼルが用意したのなら、効果が見込めるかもしれないわね」
グレモリー先輩はゴクッ、と生唾を一度飲み込んでから機器のボタンを押した。
すると空中に大きく映像が映し出され、鬼崎と対峙していた兵藤もそちらに顔を向ける。同時に鬼崎の体を包んでいた鎧が消失して、彼は元の姿に戻った。その彼のもとにあの少女……オーフィスが降り立ち、何か話している。
映像に映し出されたのは禁手の鎧姿の兵藤。彼は素っ頓狂な声で叫ぶ
『おっぱいドラゴン! はっじっまっるよーーー!!』
すると子供たちが彼のもとへと集まって来て大きな声で叫ぶ。
『おっぱい!』
ダンスを始める兵藤と子供たち。軽快な音楽も流れ出し、それに伴い兵藤と子供たちもさらにノリノリで踊り出す。
宙に文字……タイトルと歌詞が表示される。
「な、何なの? これ……」
「ぼ、僕にも何とも……」
驚愕の展開に全員が呆気にとられる。
「おっぱいドラゴンの歌」
作詞:アザ☆ゼル
作曲:サーゼクス・ルシファー
ダンス振り付け:セラフォルー・レヴィアたん
アザゼル様……サーゼクス様……セラフォルー様……
唖然としている僕の目に歌詞が映り、歌声が聞こえてくる……
とある町の隅っこに
おっぱい大好きドラゴン住んでいる
お天気の日はおっぱい探してお散歩だ☆
ドラゴン ドラゴン おっぱいドラゴン
もみもみ ちゅーちゅー ぱふんぱふん
いろいろなおっぱいあるけれど
やっぱり おっきいのが一番好き
おっぱいドラゴン 今日も飛ぶ
とある町の隅っこで
おっぱい大好きドラゴン笑っていた
嵐の日でもおっぱい押すと元気になれる☆
ドラゴン ドラゴン おっぱいドラゴン
ポチッとポチッと ずむずむ いやーん
たくさんおっぱい見たけれど
やっぱり おっきいのが一番好き
おっぱいドラゴン 今日も押す
そこにいる、僕を除く全員が呆気にとられていた。どう反応していいか分からないのだ。
でも僕は、歌の内容には呆れたものの、内心思うところがあり、隣で固まっているレイナーレの肩を抱く。その時、兵藤が突然頭を抱える。
「うぅ……おっぱい……」
「……!?」
「反応したわ!」
兵藤が人間らしい、というか彼らしい言葉を発した。それに木場は驚いた様子を見せ、グレモリー先輩は歓喜の涙を流す。
「紫藤さん! もう一度流して頂戴!」
「ほいな! 任されて!」
イリナさんが再び映像機器の再生ボタンを押す。
とある町の隅っこに
おっぱい大好きドラゴン住んでいる
お天気の日はおっぱい探してお散歩だ☆
ドラゴン ドラゴン おっぱいドラゴン
もみもみ ちゅーちゅー ぱふんぱふん
いろいろなおっぱいあるけれど
やっぱり おっきいのが一番好き
おっぱいドラゴン 今日も飛ぶ
「うぅ、おっぱい……もみもみ、ちゅーちゅー……」
兵藤が頭を抱えながら苦しみだす。僕もレイナーレの張りつめた乳房の感触と彼女の乳首を吸う感触を思わず思い浮かべてしまい、股間が激しくうずいてしまう。
とある町の隅っこで
おっぱい大好きドラゴン笑っていた
嵐の日でもおっぱい押すと元気になれる☆
ドラゴン ドラゴン おっぱいドラゴン
ポチッとポチッと ずむずむ いやーん
たくさんおっぱい見たけれど
やっぱり おっきいのが一番好き
おっぱいドラゴン 今日も押す
「ず、ず、ずむずむ……いやーん……ポチッと」
兵藤の指が【それ】を求めて押す仕草をしている。僕もレイナーレの【それ】を押した感触と、【それ】が凄く感じやすくて過敏な彼女が甘い声で悶える姿を思い起こし、もう股間が破裂しそうなほどに猛り立つ。なにしろ、今、彼女は全裸で彼女の【それ】はむき出しなのだから……僕は彼女の【それ】に触れたいのを必死で耐える!
そんな悶々とした気持ちを抱えつつ、僕が兵藤の方を見ると、既に彼の指から鋭い爪も消失していた。
「これならいけるか……Vanishing Dragon Balance Breaker!!!」
ヴァーリさんが瞬時に禁手化して白の鎧を身に着ける。光の翼を羽ばたかせて兵藤に光速ともいえる速度で詰め寄る。
「【Divid】!!」
鳴り響く白龍皇の音声。同時に兵藤の力が大きく減少したように思えた。ヴァーリさんの能力が効いたのだ。先ほどまではとても無理に思えたが、あの歌で意識を取り戻しつつある兵藤には効果が出たようだ。
「今よ! リアス、あなたの乳首が求められているわ!」
「ええっ!!?」
姫島先輩の突然の叫びに仰天した様子のグレモリー先輩。
「イッセーくんはあなたの乳首を押して禁手化に至った。なら、逆の事も出来るはず。さっきまでは危険な雰囲気が漂っていて近寄れなかったけれど、歌で正気を取り戻しつつある、今のイッセーくんなら話は別だわ!」
「で、でも、私の乳首でイッセーの【覇龍】は解除出来るのかしら?」
「出来るわ! 私では無理……ふふふ、やっぱり、こういう役目はあなたの方がお似合いなのね……それがちょっと悔しいわ」
姫島先輩は悲哀に満ちた瞳になる。言葉遣いや普段の態度は全く友達感覚で、平然と兵藤をめぐってグレモリー先輩と張り合っている様子を僕も度々目撃しているが、相手は自分の主。下僕として重要な局面では、主に譲るところは譲るというところか。
チラリとグレモリー先輩がヴァーリさんの方へ視線を移すが、ヴァーリさんは額に汗を浮かび上がらせながら視線を外した。どうやら、これ以上関わり合いたくないらしい。ひたすら強敵との戦いに命を燃やすストイックな彼は、こうした話は苦手なようだ。美猴はその横で腹を抱えて笑いをこらえている。
グレモリー先輩は戸惑っている。レイナーレなら僕の為なら何の迷いもなく、すぐに全裸になってくれるけど。そう思うと僕は改めて自分の幸せを噛み締める。
グレモリー先輩は一度大きな深呼吸をして、ようやく意を決したようだ。
「わかったわ」
彼女は兵藤に向かって足を進め、彼の前に立つと制服のボタンを外し、ブラジャーを外す。僕たちの方からは角度的にグレモリー先輩の後姿しか見えない。僕は見たいとは思わないし、見ようとなどしたらレイナーレが激怒するのはまず間違いないので、そんな事は到底出来ない。
「お、俺の……お、おっぱい……」
兵藤の声が聞こえ、その指がグレモリー先輩の胸の方へと動く。
その光景の中、歌は何度目かのサビに突入していた。
ドラゴン ドラゴン おっぱいドラゴン
ポチッとポチッと ずむずむ いやーん
たくさんおっぱい見たけれど
やっぱり おっきいのが一番好き
おっぱいドラゴン 今日も押す
次の瞬間、兵藤の鎧が解除され、彼は元の姿に戻った。
「リアス・グレモリーの胸は兵藤一誠の制御スイッチか何かなのか?」
「お前、それは酷い言い草だろ! そういや、お前たちもそうだったねぃ! ニプルドラゴンにニプルクィーン!」
顔をしかめ真面目に悩むヴァーリさんに、大笑いする美猴。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
オーフィスの助力とアザゼル先生たちの用意した歌の力、さらにリアス部長の恥を忍んでの行動で一誠を元に戻す事に成功した僕たち。死んだと思われていたアーシアさんもヴァーリの手で救い出された。僕は一誠の鎧が解除されたのを見届けた後、オーフィスと共に仲間たちのもとへと歩み寄る。
シャルバがどうなったのか気になったが、神殿が完全に破壊されて、その瓦礫の下敷きになったのか、それともすんでのところで脱出したのか? 両腕と右足を失った状況で脱出できるのかと皆思うだろうが、あの男は【蠅の王】ベルゼブブの血筋。蠅を操る事で魔方陣を描いたりする芸当も出来る。だから脱出した可能性も捨てきれない。
僕が近づくと、祐斗を始め、グレモリー眷属の皆が僕を出迎えてくれる。
「陽太郎くん! ありがとう! 君が時間を稼いでくれたおかげでイッセー君は無事に元に戻れたよ!」
「陽太郎! ありがとう! あなたにはどんなに感謝したら良いか……!」
「陽太郎くん、ありがとうございます」
「陽太郎先輩、ありがとうございます」
「陽太郎先輩! と、とても恰好良かったですっ!」
ヴァーリと美猴もねぎらってくれる。
「陽太郎、ご苦労だった」
「陽太郎、大変だったねぃ。でも、オーフィスが来てくれて良かったねぃ」
そうしていると、元に戻った後、しばらく気を失っていた一誠が目を覚ます。
「うーーーん。あれ? 何がどうなったんだ?」
その声を聞いたリアス部長と朱乃さんの目に見る見る涙があふれる。
「イッセー……!」
「イッセー君……!」
二人は一誠に飛びつくように抱きつく。
「わわっ! 部長っ! 朱乃さんっ! ど、どうしたんですかっ!?」
どうやら自分が覇龍化した時の事は全く覚えていないらしく、驚く一誠に部長と朱乃さんは強く抱き付き、号泣する。
「イッセー……! イッセー! 良かったっ! 本当に良かったっ!」
「イッセー君っ……! 私! イッセー君に何かあったらどうしようかと……!」
困惑した様子の一誠に祐斗が事情を説明する……
「そうか……俺は暴走してドラゴン化して、あのシャルバとかいう奴をぶっ倒し、暴れまくる俺を鬼崎が助けようと……すまねえな。何も覚えてねえや……鬼崎、ありがとう。俺を救ってくれて。俺、完全に自分を見失っちまってたのか……」
僕が返事しようとしたその時、一誠はゼノヴィアがまだ気を失っているアーシアさんを抱えているのに気づく。
「アーシア! どうして……!?」
「彼が助けてくれたんだよ」
祐斗がそう言ってヴァーリを示す。ライバルの出現に驚く一誠。そんな彼に祐斗がまた事情を説明する。
「アーシア! アーシア!」
一誠が呼び続けると、閉じていたアーシアさんのまぶたが静かに開いていく。
「……あれ? ……イッセーさん?」
気が付いたアーシアさんに一誠は歓喜の表情を浮かべ、彼女を抱こうとするも、彼はゼノヴィアにドン! と弾き飛ばされる。
「アーシア!!」
アーシアさんに抱き付き号泣するゼノヴィア。そんな彼女に驚くアーシアさん。
「ゼ、ゼノヴィアさん……ど、どうしたんですか? く、苦しいです……」
「アーシア! アーシア! アーシア! アーシア! アーシア! アーシアァァァァァッ!! 私とお前は友達だっ!! ずっとずっと友達だっ!! だから、私を置いていかないでくれっ!!」
アーシアさんは泣き叫ぶゼノヴィアの頭を優しくなでる。
「はい、ずっとお友達です」
「良かったわぁ」
ゼノヴィアの親友だという天使の紫藤イリナさんが横でもらい泣きしていて、アーシアさんとゼノヴィアさんとは普段から仲が良い、國原尊とレイナーレもその様子を見て微笑んでいる。アーシアさんとの感動の再会を邪魔された形になった一誠も苦笑しつつも喜んでいるようだ。
そこでヴァーリが話しかける。
「兵藤一誠、無事だったようだな。陽太郎、改めてご苦労だった。國原尊とレイナーレ、君たちも大変だったな」
「ああ、木場から聞いたが、何だか世話になっちまったようだな」
「ヴァーリさん、アーシアさんの事、ありがとうございました」
一誠がいまだに警戒した様子は見せつつも感謝の意を示し、國原尊とレイナーレも礼を言った。
「ま、たまには良いだろう。それよりもそろそろだ。空中を見ていろ。陽太郎とオーフィスも」
その言葉に一誠と國原、レイナーレは訝し気に、僕とオーフィスはそれが意味するところを分かった上で空を見上げる。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ヴァーリさんの言葉に僕たちは空を見上げる。すると……
バチッ!バチッ!と空間に巨大な穴が開いていく。そしてそこから何かが姿を現す。
「あれは……!」
ヴァーリさんが口元にかすかな笑いを浮かべる。
「よく見ておけ、兵藤一誠、國原尊。あれが俺が見たかったものだ」
空中をとてつもなく巨大な生物……真紅のドラゴンが悠然と泳いでいる! レイナーレも僕も思わず目を見張る!
「す、凄いわ……!」
「うん……!」
大きい! タンニーン様よりもはるかに大きい! ゆうに百メートルは超えているだろう!
ヴァーリさんは目元を細めながら続ける。
「【赤い龍】と呼ばれるドラゴンは二種類いる。一つは兵藤一誠、君に宿るウェールズの古のドラゴン……ウェルッシュ・ドラゴン、赤龍帝だ。白龍皇もその伝承に出てくる同じ出自のもの。だが、もう一体だけ【赤い龍】がいる。それが『黙示録』に記されし赤いドラゴンだ」
「『黙示録』?」」
兵藤は怪訝な顔をするが、僕はそれを聞いてすぐに察する。
「『黙示録』に記されし赤いドラゴン……! そうか! ヨハネの黙示録の【火のように赤い大きな龍】!」
「黒龍王、さすがに君は物知りだな」
「さすがは私のミコトね♪」
レイナーレは嬉しそうに微笑んでくれる。
「そう、【真なる赤龍神帝(アポカリユプス・ドラゴン)グレートレッド】。【真龍】と称される偉大なドラゴンだ。自ら次元の狭間に住み、永遠にそこを飛び続けている。今回、俺たちはあれを確認するためにここに来た。レーティングゲームのフィールドは【次元の狭間】の一角に結界を張ってその中で展開している。シャルバたちの作戦は俺たちにとって、どうでも良い事だった」
「でも、どうしてこんな所を飛んでいるんだ?」
「さあね。いろいろ説はあるが……あれが今までオーフィスの目的だったし、今も俺が倒したい目標だ」
兵藤の問いに答えたヴァーリさんは今まで見せた事のない真っ直ぐな瞳をして言った。
「俺が最も戦いたい相手……【D×D(ドラゴン・オブ・ドラゴン)】と呼ばれし【真なる赤龍神帝】グレートレッド。俺は【真なる白龍神皇】になりたいんだ。赤の最上位がいるのに、白だけ一歩前止まりでは格好がつかないだろう? だから、俺はそれになる。いつか、グレートレッドを倒してな」
それがヴァーリさんの夢。そうか、彼の夢はあの巨大なドラゴンを倒す事。テロリスト集団に身を置いているのもそのため。大好きなレイナーレと二人で愛し合いながら、平穏に過ごす事が望みの僕には理解できないけれど。
「でも【オーフィスさんの目的】? そして【今まで】というのは?」
僕の問いにオーフィスさんの恋人だという鬼崎が答えてくれる。
「オーフィスは今までグレートレッドを彼女の故郷である【次元の狭間】から追って、そこで静かに暮らす事を望んでいた。その点でグレートレッドを倒したいヴァーリとも目指す所が一致していたんだ。でも、彼女はそれよりも僕と共にいる事を望んでくれた。だからもうグレートレッドの事はどうでも良いと言ってくれた」
「おい、話が見えねえぞ。って事はそこの女の子は鬼崎、お前の彼女か? しかし、『グレートレッドを追う』だの、『【次元の狭間で暮らす】』だの、どういう事だ?」
事情の呑み込めない兵藤が聞き、ヴァーリが苦笑しつつ説明する。
「ああ、君はまだ知らなかったか。こちらはオーフィス。【無限の龍神(ウロボロス)】だ。【禍の団】のトップでもあった。もうその座からは降りたがな」
「な、何だって!? 鬼崎の彼女が【禍の団】のトップで伝説のドラゴンだと!? 鬼崎、お前どこまでハイスペックなんだ!?」
驚く兵藤に苦笑する鬼崎。オーフィスさんが僕たちに顔を向ける。吸い込まれそうな黒い瞳……
「赤龍帝、そして黒龍王。そして……」
視線を向けられたレイナーレはビクッ! と身をふるわせて緊張した表情で答える。
「だ、堕天使のレイナーレ……ミコトの恋人です」
「そう。我はオーフィス。よろしく」
彼女はたどたどしい、神秘的な口調で挨拶してくれた。
「お、おう、よろしく」
「よろしくお願いします」
オーフィスさん……なんとも不思議な雰囲気の女の子。この子が伝説の強大なドラゴンだなんて……
その時、空からバサッ! バサッ! と羽ばたく音がして、巨大なものがドスンッ!と地響きを立てて着地する。僕たちが驚いて振り返ると、そこにはタンニーン様に乗ったアザゼル様とサーゼクス様がいた。
「先生! サーゼクス様! おっさん!」
「総督閣下! サーゼクス様! タンニーン様!」
「尊、レイナーレ、ご苦労だった! カラワーナ! 流音! 良かったな!」
アザゼル様は僕たちをねぎらった後、兵藤に話しかける。
「おー、イッセー、元に戻ったようだな。俺もどうなるか怖かったが、お前ならあの歌や女の胸で【覇龍】から戻るかもなんて思ってた。乳をつついて禁手に至った大馬鹿野郎だからよ。あの歌の作詞をした甲斐があったぜ! ちなみにサーゼクスからオファーが来たんだからな。あいつもセラフォルーもノリノリで作曲とダンスの振り付けをしやがったしな♪」
なるほど。あれはある意味、冥界の堕天使界と悪魔界の記念すべき合作という事なのですね……
「あっ、そういや乳をつついて禁手に至ったっていうと尊も一緒だったか! 尊、お前もレイナーレの乳首をつつけばあんな事になっても元に戻るだろうしな。どうだ? お前たちの歌も俺が作ってやろうか?」
「私も君たちの曲を作曲したいな」
サーゼクス様もノリノリのご様子。アザゼル様はともかく、この貴公子然としたサーゼクス様にもそんな一面があったとは……それはともかく僕はしばし考えて返答する。
「総督閣下、もしよろしければその歌の歌詞は僕とレイナーレで作らせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「ちょ、ちょっとミコト!」
美貌を真っ赤に染めるレイナーレ
「今後も僕たちは今回のようなピンチに遭遇する可能性は何度もあると思う。その時、レイナーレ、僕には君の乳首が必要なの。僕が暴走してしまった時、僕を正気に戻せるのは君の乳首だけ。僕のパワーの源になるのも、僕を癒してくれるのも君の乳首だけ。他の誰かのものじゃダメなんだ。だから、その歌は君と僕、2人で作りたいんだ」
「ミコト……ええ、分かったわ。正直恥ずかしいけれど、二人で作りましょう! あなたと私の……ニプルドラゴンとニプルクィーンの歌を!」
アザゼル様は大笑いする。
「ハハハハハハッ!! こいつは面白れえ! どんな歌を作ってくれるか楽しみだぜ! 分かった! 作詞はお前たち二人に任せるぜ! 後の事は俺たちがやってやる!」
「楽しみだね。期待して待っているよ」
「ハハハハ、さすがは乳が好きな事ではひけをとらん赤龍帝に黒龍王だ」
サーゼクス様とタンニーン様も楽しそうだ。
「へへっ、おっさん、俺の方が本家だぜ♪ だが、國原、お前らの歌も楽しみにしてるぜ♪」
兵藤がタンニーン様と僕に親指を立ててウィンクする。
「と、思ったらとんでもないものが出ているな」
タンニーン様とアザゼル様が空を飛ぶグレートレッドに視線を向ける。
「懐かしい、グレートレッドか」
「タンニーンも戦った事あるのか?」
アザゼル様の問いにタンニーン様は首を振る。
「いや、俺なぞ歯牙にもかけてくれなかったさ」
タンニーン様でも歯が立たない。あの巨大なドラゴンはどれほど強いのか?
ヴァーリさんがアザゼル様に話しかける。
「久しぶりだな、アザゼル。クルゼレイ・アスモデウスは倒したのか?」
「ああ……クルゼレイは私が倒した」
サーゼクス様の表情は寂しげだ。以前、カテレアさんが戦いを挑んできた時もこんな表情をしていた。たとえ一方的に戦いを仕掛けて来た敵であっても、同族間で争う事に痛みを覚えるのだろう。それに恋人を失ったカテレアさんの事を気にかけてもおられるのだろう。
「まとめていたやつらがやられれば配下も逃げ出す。どうやら、シャルバ・ベルゼブブの方もイッセーが【覇龍】で片付けたみたいだしよ。オーフィス、各地で暴れ回った旧魔王派の連中は退却および降伏したぜ。事実上、まとめていた末裔どもを失った旧魔王派は壊滅状態だ」
「そう。それもまた一つの結末」
アザゼル様の言葉にオーフィスさんは驚く様子もなかった。さっき彼女はグレートレッドの事を「もうどうでも良い」と言っていたが、【禍の団】の事も、もはやどうでも良いという事なのだろう。鬼崎という彼女にとって【大切な人】を手に入れた今となっては。
その彼女の気持ちは僕にはよく理解できる。誰よりも愛しいレイナーレのために、彼女と一緒にいるためにそれまでの人間としての平穏な生活を何の迷いもなく捨てた僕には……
「さて……」
サーゼクス様が元、眷属たちに囲まれてうなだれている。ディオドラに厳しい視線を向ける。ビクッ! と身をふるわせて怯えた表情のディオドラ。
「ディオドラ・アスタロト。君は由緒あるアスタロト家の御曹司という立場にありながら、【禍の団】旧魔王派と手を組んで多くの犯罪行為に手を染めた。我が妹やその眷属たち、國原尊くんとその仲間にも悪意をもって危害を加え、今日、諸勢力の指導者たちを殲滅しようという陰謀をシャルバ・ベルゼブブやクルゼレイ・アスモデウスらと共に実行した。これは許されない反逆行為だ」
「お、お待ちくださいサーゼクス様! ぼ、僕はシャルバやクルゼレイ、そしてそこにいる鬼崎陽太郎にそそのかされてっ!!」
見苦しくわめきたてるディオドラを鬼崎が冷たい目で見つめ、サーゼクス様も冷徹な目で睨む。いつもは穏やかで優しいサーゼクス様のその表情に、僕は悪魔たちの頂点に立つ魔王としての威厳を感じる。
「ディオドラ、君が極めて主体的に数々の犯罪行為を遂行した事は様々な方面から裏付けが取れている。見苦しい言い訳は止めるべきだ。ここで私の滅びの魔力で消し去ってやりたいくらいだが、仮にも君はアスタロト家の御曹司、その処罰は他の魔王たち列席の下で正式な裁判で決定せねばなるまい。その裁きを待つがよい」
サーゼクス様が言い終わると同時に、その場の床に魔方陣がきらめき、大勢の兵士たちが現れ、ディオドラの身柄を拘束した。もちろん、彼の元眷属たちの誰一人として彼を庇おうとする者はいない。
「い、嫌だああああっ!!! お、お慈悲をおおおおっ!!! どうかお慈悲をおおおおっ!!!」
ディオドラは泣きわめきながら連行役の兵士たちに引きずられて、魔方陣に入り、その姿を消した。
己の力量を図れず、分不相応な野心に身を焦がし、他者を見る目もなく、大切にすべき者たちを大切にせず、信じるべきではない相手を頼り、利用するつもりが利用されたあげくに切り捨てられた哀れな男……そんな彼を僕は憐れみの思いで見送った。
隣にいたレイナーレが僕に寄り添って腕にしがみつく。その彼女の表情は哀し気な愁いを帯びている。
「レイナーレ……」
「私……あれだけ憎かった、あの男がああなったのを見ても少しも喜べないの……ミコト、あの時、あなたがいてくれなかったら、私もあの男と同じ運命をたどっていたもの……」
「レイナーレ……!」
僕はレイナーレをしっかりと抱きしめ、そっと彼女に口づけする。
次に兵士たちはディオドラの元眷属たちに駆け寄って、その身を拘束しようとする。そこで僕は叫ぶ。
「お待ちください! サーゼクス様! 彼女たちは皆、ディオドラに無理矢理犯され、洗脳されて自我を奪われて、彼に利用されていただけの被害者です! 既に彼女たちは自我を取り戻してディオドラと袂を分かち、彼に従った事を悔いて、僕たちに協力してくれました! どうか、彼女たちに寛大なご処置をお願いします!」
「ミコト……」
「國原……」
グレモリー先輩と兵藤をはじめ、グレモリー眷属たちが僕を見つめる。
サーゼクス様は僕をじっと見つめた後、口を開く。
「尊くん、君の話はよく分かった。彼女たちの身の上についても、君の言う通りだという事はこちらでも調査をして分かっている。だが、彼女たちは今回の事件の関係者であり、ディオドラ・アスタロトの裁判に当たっても彼女たちの証言は重要だ。だから、一旦は彼女たちの身柄を預かる必要がある」
「だが、君の意見は大いに尊重する。彼女たちに手荒な扱いはないよう、部下たちにはしっかりと伝えておく。そして今の君の話は私から他の魔王たちに伝えよう。では……」
サーゼクス様が兵士たちに視線を送ると、彼らは一礼する。いつの間に用意されたのか、彼らは服を持っていて、全裸のままだった元、ディオドラ眷属たちにそれが手渡される。それを着た彼女たちは僕たちの方を見つめる。
「ミコト様、レイナーレ様、ありがとうございました」
元、ディオドラ眷属たちは一斉に僕たちに礼を述べて一礼すると、何らの抵抗も示す事なく、自ら兵士たちの後に従う。その表情は皆、晴れやかだ。彼女たちが魔方陣に入って姿を消したのを見届けたところでサーゼクス様が言われた。
「尊くん、あの場では立場上、私もあそこまでしか言えなかったが、君の言う通り、彼女たちが過去の痛みから立ち直って、新たな道を歩めるように私も出来る限りの事はしようと思う。彼女たちの元の主だったミカエルとも相談してね」
「サーゼクス様、ありがとうございます」
「いや、今回の事は我が悪魔陣営の不始末……それによって君たちにも大変な迷惑をかけてしまったからね。カラワーナ、流音くん、済まなかった」
「い、いえ……そんな……」
「もったいないお言葉……」
サーゼクス様の謝罪を受けて、流音くんとカラワーナさんは恐縮している。
「しかし、カテレアの時といい、今回といい、尊くん、君のその優しさが多くの者たちを救っている。素晴らしい事だ。ますます君の事が気に入ったよ」
サーゼクス様は僕に優しい表情で微笑んで下さり、次に鬼崎の方へ視線を移す。
「陽太郎くん、今日はイッセーくんや我が妹たちを守ってくれてありがとう。君がいなかったら、大変な事になるところだった。兄としても、魔王としても君には大変感謝してるよ」
「いえ、僕はこれまでルシファー様を始め、皆さんを騙していました。申し訳ありません」
鬼崎は深々と頭を下げて謝罪する。その彼にサーゼクス様は優しく微笑む。
「陽太郎くん、顔を上げてくれたまえ。アザゼルから事情は聞いている。ずいぶんと苦しんでいた事だろう。そして君はもう既にその事を帳消しにして余りある程の事をしてくれた。だからもう、過去の事は気にしなくて良い」
「ルシファー様……ご厚意に心から感謝します。それでオーフィスの件はいかがでしょうか?」
「オーフィスは我々に対して【禍の団】のトップの座から降りる事をはっきりと約束してくれた。さらに我々にとって大切な恩人の君が彼女の恋人……正式には魔王会議にはかる必要はあるが、まず大丈夫だろう。我々としてもオーフィスを敵に回すのは大変だしね。駒王町で二人で暮らし、これからもぜひ、我が妹を支えてやって欲しい」
「ありがとうございます!」
鬼崎は深々と頭を下げ、サーゼクス様はにこやかな表情で彼に手を差し出し、二人はしっかりと握手をする。グレモリー眷属の皆が彼を取り囲んで祝福する。
「さて、これで【禍の団】でヴァーリ、お前以外で大きな勢力は人間の英雄や勇者の末裔、神器所有者で集まった【英雄派】だけか」
「ああ、そうだな。さて、俺たちは今日はそろそろ退散する。じゃあな、アザゼル」
アザゼル様と言葉を交わしたヴァーリさんと美猴は、あの金髪の背広の青年が作り出した次元の裂け目にもう入ろうとしていた。それに向かって身を乗り出す兵藤。
「兵藤一誠、俺を倒したいか?」
「倒したいさ。けど、俺が超えたいものはお前だけじゃない。同じ眷属の木場も超えたいし、ダチの匙も超えたい。そこにいる國原もだ。俺には超えたいものがたくさんあるんだよ」
「兵藤くん……」
「兵藤一誠、俺もだよ。俺も君以外に倒したい者がいる。おかしいな……現赤龍帝と現白龍皇は宿命の対決よりも大切な目的と目標が存在している。きっと、今回の俺と君はおかしな赤白ドラゴンなのだろう。そして國原尊」
「はい」
「兵藤一誠は君を正式なライバルの一人として認めた。君は着実に力を伸ばしている。君と兵藤一誠の再度の戦い、見て見たい。そして俺はいずれ君とも戦ってみたい」
「いえ、僕は……」
「そうだな。君は俺や兵藤一誠とは違い、自ら好んで戦いをするタイプではない。君が戦うのはレイナーレを、そして仲間を守る必要がある時だけ。だが、いずれは……」
「……………………」
黙っている僕の肩をポン! とヴァーリさんは軽く叩く。
「では、強くなれよ、兵藤一誠、國原尊」
「ああ、いずれ決着つけようぜ。部長や朱乃さんのおっぱいを半分にされたら事だからな」
ヴァーリさんの呼びかけに兵藤はいかにも彼らしい返答を返す。
「わざわざ戦いたいとは思いませんが、レイナーレを守るために頑張ります!」
僕も僕なりの返答を返す。
「やはり君たちは対照的で面白いな」
「じゃあな、おっぱいドラゴンにスイッチ姫! そしてニプルドラゴンにニプルクィーン!」
美猴の発言にレイナーレとグレモリー先輩は共に顔を真っ赤に染める。
「木場祐斗くん、ゼノヴィアさん」
最後に背広の青年が二人に呼びかけ、自己紹介をした。
「私は聖王剣の所持者であり、アーサー・ペンドラゴンの末裔。アーサーと呼んでください。いつか、聖剣をめぐる戦いをしましょう」
アーサー・ペンドラゴン……イギリスのケルト人伝説のアーサー王の末裔か。同じ剣士として木場やゼノヴィアさんと手合わせしたいという事か。
「ところで、レイナーレさん、この前お会いした時もお伝えしましたが、もう戦いも終わりましたので、服をお召しになるべきかと……」
「きゃ!! きゃあああっ!!」
アーサーさんの言葉にレイナーレは慌てて両腕で乳房を覆う。そしてヴァーリさんとその仲間たちは次元の裂け目へと消えていった。
ヴァーリさん、美猴。彼らは僕たちとは敵対関係。でも、今回、彼らはディオドラの僕たちへの悪意を知らせてくれ、アーシアさんを助けてくれた。そんな彼らを僕は憎めないし、戦いたくもない。
でも、ヴァーリさんは僕といずれ戦いたいと言っていた。僕はレイナーレと愛し合って平穏に過ごせればそれでいいのに、ヴァーリさんも兵藤も、他のグレモリー眷属の面々も、何故、ああも戦いたがるのか……?
そんな事を考えている僕の腕をレイナーレがそっと取って身を寄せる。今の彼女は黒のボンデージを身に着けている。
「ミコト、先の事を思い悩む事はないのよ。あなたは自分がするべきと思う事をしていけば良いの。私はそれに従うわ」
そう、彼女は僕の胸の内を悟っていてくれているのだ。
「うん、そうだね」
僕は腕に感じるレイナーレの張り詰めた乳房の魅惑の感触を感じつつうなずく。彼女はそんな僕を美貌に優しい微笑みを浮かべて見つめてくれる。そうだ。僕はレイナーレの事を、誰よりも愛しい彼女の事を第一に考えて行動していけば良いのだ。これまでも、これからも。後の事は全てその結果として起こる事だ。
そして僕たちは人間界……駒王町へ帰る事になった。僕がレイナーレの手を引いて歩みだそうとしたその時……
「きゃっ! イッセーさん!」
「イッセー!」
「イッセーくん!」
アーシアさん、グレモリー先輩と姫島先輩の叫び声が聞こえて、僕たちが振り向くと兵藤がその場に倒れ込もうとしていた。その彼を木場と鬼崎が駆け寄って左右から支える。どうやら気を失っているようだ。
「【覇龍】状態になって力を暴走させた事が体に大きな負担をかけての事だろう。私がイッセーくんの身を預かって治療しよう!」
サーゼクス様の声が響き、木場と鬼崎はその指示に従って、兵藤を運んでいく。
「鬼崎くん!」
僕は彼を呼び止める。
「何だ?」
「あの、ありがとう。あの時、シャルバからミッテルトちゃんを庇ってくれて。そして君が覇龍化した兵藤くんを止めてくれなかったら、僕たちはどうなっていたか分からなかった。だから、ありがとう」
「そうか……」
鬼崎はフッ……とかすかに微笑むと、後はそのまま木場と共にサーゼクス様の後について兵藤を運んでいった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
あれから数日後、僕たちはアザゼル様から今回の事件とその後始末に関する詳しい話を伝えて頂いた。
兵藤はいまだに目覚めないそうだ。アザゼル様が彼の神器に宿る赤龍帝ドライグと話をしたところ、やはり兵藤がアーシアさんを失ったと思い込んだ事によって、彼の怒りの感情が最大限にまで高まって、封印されていた力を解放した結果、あの状態になったとの事だ。
あの状態は神や魔王すらも超えるパワーを一時的に手に入れられるのだそうだ。僕はシャルバが覇龍化した兵藤に驚愕して発した
【ば、化け物め! こ、これが【覇龍】だというのか!? 冗談ではない! わ、私の力はオーフィスによって前魔王クラスにまで引き上げられているのだぞ!?】
という言葉を思い起こす。
だが、これもやはり思っていた通り、あの状態は所有者の生命を著しく削るのだそうだ。兵藤と同じく体内にドラゴンを宿す僕にとっても他人事ではない。僕も愛しいレイナーレに何かあったら、同様の状態になる! でも、そんな事は決して起こって欲しくない!
今回の事件で【禍の団】の旧魔王派は壊滅的な打撃を受けた。クルゼレイはサーゼクス様に討ち取られ、シャルバは生死不明だが生きていても瀕死状態であろうとの事。投獄されているカテレアさんはもうすっかり改心している様子との事で旧魔王派は指導者を失い、ほぼ瓦解したという話だ。
窮した旧魔王派は、旧魔王の血筋であるヴァーリさんにトップに立って欲しいと願ったが、ヴァーリさんはそれに関心なく、申し出を拒んだ。絶望した旧魔王派の残党たちは降伏したり、いずこともなく身を潜めたという。
でも、僕たちとしてはクルゼレイを……愛する人を失ったカテレアさんの事が気がかりだ。それはサーゼクス様も自らクルゼレイを倒しただけに強く感じているようで、アザゼル様を通じて、僕とレイナーレは彼女のもとを訪れて励ましてあげて欲しいとのお願いを受けた。僕たちはそれを快諾し、近々、彼女が囚われている冥界の牢獄を訪問する予定だ。
ディオドラの刑は、あのコカビエルと同様に【地獄の最下層(コキュートス)】での【永久冷凍の刑】と決定し、即刻、執行されたとの事だ。
今回、ディオドラが行った犯罪はかつてコカビエルが起こした事件と比べても、その巻き込んだ勢力、犠牲者の数、犯行の重大性と全てがはるかに深刻であり、魔王様方からも「死刑にすべき」という意見も出たが、ディオドラの高い身分を考慮し、諸勢力の長の方々の了解も取った上で死刑は避け、次に重い重罰として【永久冷凍の刑】となったのだそうだ。もはや、二度と生きて会う事はないだろうとの事。
ディオドラのアスタロト家は今回の件で信用を一切失って、魔王輩出の権利を剥奪され、現当主は解任されたとの事だ。ディオドラは自業自得だとしても、その現当主……おそらくディオドラの父の事を思うと不憫に感じる。息子は凶悪な犯罪者として断罪され、自身はこれから【裏切者の大罪人の父】という汚名を着せられて生きねばならないのだから。
ディオドラの元眷属たちは、その同情すべき事情、さらにサーゼクス様の口利きも考慮されて、ディオドラの犯罪を立証する証言を求められ、それを済ませた上で全て釈放された。悪魔となった彼女たちはもはや教会には戻れないが、旧主のミカエル様とサーゼクス様の承認の下に、冥界にて各自に適した仕事が与えられ、新たな再出発のスタートを切ったとの事だ。彼女たちの負った心の傷は深いものの、これからの生活の中でそれが癒されていく事を僕は願う。
レーティングゲームも今回の事件により運営の見直しが行われる事になり、しばらくは中断状態になるとの事。もし、再開される事になれば、最初に行われるのはグレモリー眷属対バアル眷属、すなわちあのサイラオーグ様とその眷属との戦いだそうだ。
ところであの兵藤の【おっぱいドラゴン】だが、何と悪魔界の子供たちの間で社会現象になっているらしい。あの鎧姿の兵藤が戦う様子が人間界の特撮ヒーローもののような感じで、子供たちには非常に新鮮に映り、【おっぱいドラゴン】【ちちりゅーてー(乳龍帝)】なんて言葉が流行語になっているそうだ。いや、それって子供の教育上、どうなんだと思うが。
こうして、今回の事件は完全にその幕を閉じたと思った。ただ、その後、後日談が……
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「お願いします! どうかこちらに置いてくださいませ!」
あの元ディオドラ眷属のリーダー格らしい女性が僕たちの家を訪ねて来て、どうしても僕たちに仕えたいと頼み込んできたのだ。僕とレイナーレはとりあえず彼女を客間に招いて面会する。
「い、いや、君ほどの能力がある女性なら、もっとずっと良い勤め先がいくらでもあると思うんだけれど……」
彼女の話を聞けば、ディオドラの下では【女王(クィーン)】を務めていたとの事。僕はやはり彼女があの眷属たちのリーダーだったのかと納得した半面、彼女の懇願に困惑した。僕にそんな気は全くないとはいえ、若くて容姿の良い女性が家に入るとなればレイナーレが良い気はしないだろうし……実際、レイナーレは疑わし気な感じで彼女を見ている。
「いいえ。私がお仕えするのはミコト様とレイナーレ様をおいて他にはないと思っています。あっ、申し遅れました。私の名はマリア・スカッキと申します。以後、お見知り置きを」
彼女……マリア・スカッキさんは深々と頭を下げる。彼女の言葉を聞いて、レイナーレの彼女を見る目が変わった感じがする。彼女が忠誠の対象として挙げたのが僕だけではなく、自分も含んでいたからだろう。
「マリアさん。僕とレイナーレをそんなに見込んでくれるのはどうして?」
「それは、ミコト様とレイナーレ様が、私たちを救ってくださった恩人であるという事、とても優しいお方であるという事、そしてお二人ならば私を大切に思って扱ってくださる……そう確信するからです」
「どうしてそう思うの?」
僕に対するマリアさんの答えに、今度はレイナーレが問う。
「それは……お二人がお互いをとても大事に思って愛し合われている事、カラワーナ様やルオン様、ミッテルト様の事もとても大事にされている事がお二人の行動を見ているととても伝わって来て……お二人ならばあのディオドラとは違って私をきっと大切に扱ってくださるはず……私をただの性欲処理や使い捨ての道具として扱う事は決してない! そう確信するからです」
「マリアさん……」
「お願いです! ただの小間使い、メイドで結構ですのでどうか置いてくださいませ! これでも私、アスタロト家ではメイド長もやっておりまして、料理・掃除・洗濯・裁縫と一通りの事はこなせますし、ミコト様やレイナーレ様のような力はございませんが、魔力もそれなりにありますので何かの折にもお役に立てると思います。どうか……お願い申し上げます!」
マリアさんは僕たちに平伏して頼んだ。レイナーレはその彼女をしばし見つめて、声をかけた。
「マリア、顔を上げて」
「はっ」
顔を上げたマリアさんにレイナーレは優しく微笑む。
「あなたの気持ちはよく分かったわ。ミコト、彼女の願いを叶えてあげて。彼女なら、きっと誠心誠意、私たちに尽くしてくれるはずよ」
レイナーレはマリアさんの言葉を聞いて確信したのだ。彼女が心から僕たちの事を見込んで誠意を持って仕えようとしてくれている事を。それは僕も同じだ。
「うん、そうだね。でも、マリアさん、君をこの家に置くには、一応、僕たちの主のアザゼル様の許可を頂かなければならないから、少しだけ待ってね」
僕はすぐにアザゼル様に連絡を取る。アザゼル様はすぐにOKしてくださり、それをマリアさんに伝えると、彼女は心から嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「それではマリア、あなたには家事を手伝って欲しいのと、ミッテルトの補佐役をお願いするわね。あの子、私生活がだらしがないところがあるから、あなたに見守ってもらって注意すべき事は遠慮なく注意してあげて欲しいの。それとあの子、強くなりたいって思って頑張っているから、そのサポートをしてあげて欲しいの。お願い出来るかしら?」
「ミッテルト様の私生活と訓練のサポートですね。分かりました。精一杯務めさせて頂きます!」
「マリアさん、僕からもお願いするよ。ミッテルトちゃんの事、頼んだよ」
「はっ!」
こうしてマリアさんは僕たちの家で働く事となった。さすがに悪魔の名門、アスタロト家でメイド長を務めていた事はあり、その仕事ぶりは実に素晴らしい。料理や掃除、洗濯、レックスの世話などは当然僕たちも協力するのだが、彼女はいつも実に手際よく、しかも見事に次々とこなしてしまい、僕たちはついつい甘えてしまう。そして……
「ミッテルト様、まだ学校の宿題済ませてないのですか! ダメですよ! ルオン様にやらせようなんて! 私が見ていてあげますから、今日中にちゃんと仕上げるんですよ!」
「む~~~~っ…… マリアってば、頭硬いっすよぉ~~」
「文句言ってもダメです! さあ、お部屋に行きましょうね」
「ぶ~~~~っ」
マリアさんはミッテルトちゃんの鬼監督となり、ミッテルトちゃんは文句を言いつつも彼女に従っている。彼女が作ってくれる食事がおいしいのと、彼女が自分をよく支えてくれる事に内心、感謝しているからだろう。
「フフッ♪ マリアが来てくれて本当に良かったわ♪」
「そうだね」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
今日は体育祭の日。
「ミッテルト! ルオンくん! よくやったわ!」
「ミッテルトちゃん! 流音くん! 頑張ったね!」
1年生の競技が終わり、汗びっしょりとなったミッテルトちゃんと流音くんが僕たちの元へと駆け寄って来た。
「いや~~悔しいっす! ウチ、頑張ったっすが……あのドチビにはまだ勝てなかったっす……」
悔しがるミッテルトちゃん。彼女は対抗リレーに出場し、その走る速さは見守る皆を驚かせたものの、同じ1年生で彼女を上回る俊敏さを持ち、彼女が乗り越えるべきライバルと見なすグレモリー眷属の塔城には敵わず、第2位に終わったのだ。
「それは仕方ないわ。あの猫又娘の体力は凄まじいから。でもミッテルト、あなた凄く注目されていたわよ♪ ウフッ、またファンが増えるわね♪」
レイナーレが悔しがるミッテルトちゃんをねぎらっている。実際、ミッテルトちゃんの早い走りに大歓声が上がり、塔城に対する【小猫ちゃんコール】に負けない、【ミッテルトちゃんコール】が校庭に響き渡っていた。
「ミッテルト様、よく頑張られましたね♪ 今日はお祝いにご馳走しますわ♪」
「ヘヘッ♪ 楽しみっすね♪」
応援に来てくれたマリアさんが、走り終えたミッテルトちゃんの汗を拭きつつ、笑顔でご褒美にご馳走を作る事を約束し、ミッテルトちゃんもすごく嬉しそうだ。
「流音くん、1位おめでとう!」
「國原先輩、ありがとうございます」
僕の言葉にペコリと頭を下げてお礼を言う流音くん。彼は借り物競争に出場して見事、第1位を取ったのだ。僕と同様に本来、運動が苦手だった彼だが、堕天使となった事により、さすがにただの人間の生徒に比べれば圧倒的に優位だ。周囲の生徒たちからも驚きの声が上がっていた。
「な、何だ!? 水神の奴、あんなに早く走れたのか!?」
「でも、カラワーナ先生と一緒に手を繋いで走れたのが一番嬉しかったです!」
流音くんは可愛い頬を赤く染めて言った。そう、彼が借り物競争で引き当てたお題、それは……
【この学園で最も背の高い女の先生と手を繋いでゴールまで走る】
だったのだ。それはカラワーナさんしかいない! そんな訳で流音くんはカラワーナさんに憧れて自分に嫉妬する女生徒たちに非難の口実を与える事なく(とはいえヤジは飛んだが)、彼女と共に走る事が出来たのだ。カラワーナさんも少々恥ずかしそうではあったが嬉しそうだった。それはこの学園では忍ばなくてはならない2人のささやかな幸せ……それだけに僕もレイナーレも心温まるものを感じた。
「これというのも、さ……」
流音くんが言いかけたのを僕は慌てて口元に指を当てて口止めし、それを見て流音くんも慌てて口をつぐむ。
2年生の借り物競争開始のアナウンスが流れる。いよいよ僕の出番だ! 緊張が高まる……
「じゃあレイナーレ、行ってくるよ。よろしくね!」
「ええ、任せて♪」
レイナーレに笑顔で送り出され、僕はスタートラインに立つ。スタートと同時に、僕は全速力でお題を引く場所へと駆け寄る。堕天使になった僕に走る速さで勝るのは、この学校の男子ではグレモリー眷属の兵藤と木場と鬼崎、そして匙しかおらず、匙は同じクラスだし、兵藤と木場と鬼崎はこの種目にエントリーしていない。だから、僕は余裕で第1位でお題引き場に着く。
「おーーーーーっ! 第1位は國原尊くん! 果たしてどんなお題を引くのかーーーっ!」
アナウンスの声が響き渡り、僕は生徒会役員の匙が座っている机の上に置かれている箱へと歩み寄り、その箱の上に空いた穴へと手を差し入れる。
すると箱の中に差し入れた僕の手のひらに紙がピタッ! と貼り付く。僕はその紙を握って箱の中から手を出し、握り締めた紙をそれをチェックする生徒会役員に手渡す。
「それでは、國原くんのお題を発表します! それは……! な、何と! この学園で一番好きな人に告白せよ。そして告白された人は必ずそれに返事した上で、ゴールまで國原くんと一緒に走るようにとのお題です!」
その声が流れた瞬間、周囲から一斉に怒号が響き渡った。
「な、何だとおおおおおっ!!」
「ふざけんじゃねええええええっ!!」
「静粛に! それでは國原くん、お願いします」
「はい」
生徒会役員からマイクを受け取る僕。もちろん、その相手は決まっている。僕はあらん限りの声でその名を叫ぶ。
「レイナーレっ!! 愛してるよっ!! 誰よりも君を!! ずっと永遠に僕と一緒にいてっ!!!」
「バカ野郎おおおおおおおっ!!」
「死ねえええええええっ!!」
再び怒号が響き渡る。
「静粛に! それではレイナーレさん、返事をお願いします」
「はい」
レイナーレはマイクを受け取ると大きな声で叫んでくれる。
「もちろんよ!! ミコト!! 私もあなたを誰よりも愛してるわっ!! 私たちは永遠に一緒よ!! 私のミコトっ!!」
「やめてくれえええええええええっ!!」
「レイナーレさんっ!! 目を覚ますんだあっ!!」
今度は悲鳴が響き渡る。
場内アナウンスもヒートアップする。
「おーーーーーっ!! これはお互い何と正々堂々とした愛の告白っ!! さすがは我が学園きってのラブラブバカップルーーーっ!!」
レイナーレは僕に向かって駆け寄って来る。彼女の美貌は赤く染まってその目は潤んでいて、ブルマ姿の彼女の張り詰めた大きな胸の頂の肥大化した乳首は、まるでブルマの体操着の布地を突き破りそうなほどにくっきりとその形が浮き出し、そのくびれた腰と黒のブルマパンツに覆われた形の良いお尻、むき出しのふとももにすらりと伸びた足、その全てに僕は興奮して、僕の股間は猛り立つ。
「さあ、ミコト、行きましょう♪」
「うん!」
僕とレイナーレは響き渡る怒号と悲鳴をものともせず、手を取り合って走る。
「姉さま! ミコトくん! 頑張るっす!」
「國原先輩! レイナーレ先輩! 頑張ってください!」
「ミコト様! レイナーレ様! 頑張ってくださいませ!」
ミッテルトちゃんと流音くん、マリアさんが周囲の怒号に負けず、懸命に応援してくれる。
「レイナーレ様! ミコトさん! ファイトです!」
「レイナーレ! ミコト! 行けーーーーーっ!」
アーシアさんとゼノヴィアさんも声を張り上げて応援してくれる。
「負けたら承知しねえぞ! 学園一のバカップルの根性見せろ!」
アザゼル様の声が響く。
そして……
「尊! レイナーレさん! 頑張れ! お前たちの晴れ姿を撮影してるぞ!」
「尊! レイナーレさん! 頑張ってっ! ファイトよっ!」
「父さん……! 母さん……!」
「お義父様……! お義母様……!」
まさかわざわざ来てくれたなんて……! 僕とレイナーレはうなずき合い、全力で走り、余裕の第1位でゴールインした。怒号の飛び交う中ではあったが、大切な人たちの応援を受けられて、その上、1位を獲れて、僕たち2人は充実感に包まれていた。
その後、二人三脚が行われ、出場したアーシアさんはあれから学校をしばらく休んでいたペアの兵藤がなかなかやって来ず、やむなく他の男子と走ろうとしていたが、そこでギリギリセーフという形で兵藤が駆け付け、二人は息の合った走りで1位となった。
「アーシア、あんなに喜んでいて、良かったわね♪」
「うん」
その後、レイナーレは対抗リレーに出場した。彼女を見つめる僕の傍に父と母がやって来た。
「あっ、父さん、母さん、来てくれてありがとう! レイナーレもとても喜んでいるよ!」
「ハハハ、そう言ってもらえると嬉しいな。さあ、レイナーレさんの姿、しっかり撮らせてもらうよ」
「それにしてもレイナーレさん、あの姿だとスタイルの良さがこれでもかというくらいに強調されるわね。さっき見ていても、尊、あなた、他の男子たちに嫉妬されまくっているわね。美人さんを彼女にするというのもなかなか大変なのね」
「ううん。レイナーレと一緒にいられるのなら、あんな事なんて何でもないよ」
「フフフ……尊、あなた、本当に強くなったわね。まさにレイナーレさんはあなたの女神様ね♪」
母は嬉しそうに笑う。
スタートラインに立ったレイナーレがこちらを見て、僕の両親に向かって会釈をする。その彼女に両親は笑顔で手を振る。
いよいよスタート! 張り詰めた大きな胸を揺らし、長い黒髪をなびかせて、高速で走り抜ける彼女は最高に美しく、皆の歓声が上がる。その彼女を僕たちは全力で応援する。そして彼女は圧倒的な速さで第1位でゴールインして、僕たちのもとへと駆け寄って来る。
「レイナーレさん、おめでとう!」
「レイナーレさん、おめでとう! 素晴らしい走りだったわ!」
「お義父様、お義母様、ありがとうございます!」
両親がレイナーレを祝福し、レイナーレはそれに笑顔で応える。
「レイナーレ、おめでとう!」
「ウフッ♪ ありがとう♪」
レイナーレは最高に嬉しそうな微笑みを浮かべて僕からタオルを受け取り、顔の汗を拭く。
それを見て、また周囲からブーイングと僕に対する罵声が響き渡る。
汗に濡れた彼女の肌にブルマの体操着がピッタリと貼り付き、さらに彼女の抜群のプロポーションがくっきりと浮き上がり、彼女の肌が透けて見える。僕は自分への罵声を聞き流しつつ、愛しい彼女の姿にただ見惚れた。
その後、リレーには木場や鬼崎が出場した事で今度は女子のボルテージが思い切りヒートアップした。結局、ゼノヴィアさん、イリナさん、兵藤という悪魔および天使で身体能力に優れた選手をそろえた兵藤たちのクラスが総合優勝はさらったものの、僕とレイナーレは十分満足する結果だった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
体育祭が終わり、僕の両親は僕とレイナーレの紹介でミッテルトちゃんと流音くんに会った後、明日、仕事があるからとそのまますぐに実家へと帰った。ミッテルトちゃんと流音くんは共に母から「とても可愛らしい子ね♪」と言われて照れたり、恥ずかしそうにしていた。マリアさんは「私は使用人ですのであらぬ誤解をご両親に与えてしまっては申し訳ありませんので」と二人に会うのを辞退して席を外していたが。
両親はたくさんおみやげをくれてレイナーレも、ミッテルトちゃんと流音くんも喜んでいた。マリアさんも良い食材をいっぱい頂けたと感謝していた。父が先ほど撮っていた僕とレイナーレの姿を映したビデオも後で送ってくれるとの事で嬉しい。
その後、僕たちは仕事があるから学校に残るというカラワーナさんと別れて学校を出る。ディオドラは断罪され、彼の眷属は解体し、彼と結んでいた旧魔王派もやはり壊滅状態になったという事で、当分の間はいきなり彼女が狙われる事はないだろう。
流音くんも僕たちと一緒だ。もちろん、彼の本心としては学校に残ってカラワーナさんと一緒に帰りたいはずだが、この前の事があった以上は学校内では慎重にしなければならないという事でやむなく。でも、今日は匙の好意で借り物競争でカラワーナさんと手を繋いで走る事が出来てとても良かったと、流音くんは笑顔で語っていた。
途中で流音くんと別れて家に戻ったところで、ミッテルトちゃんはマリアさんと共に台所に向かう。これから夕食の準備をするマリアさんを手伝いながら、今日の事についていっぱい彼女と語りたいのだろう。一方、僕とレイナーレは、そのまま僕たちの愛の巣……寝室へと入る。
「ミコト、今日は良かったわね♪ 匙くんのおかげで私たちも、カラワーナとルオンくんも借り物競争で一緒に走る事が出来たし、お義父様とお義母様も応援に来てくださって♪」
「うん、そうだね♪」
「でも、私のせいであなたはあんなに皆から罵声を浴びせられて……ごめんなさい」
「ううん、いつも言ってるでしょう? レイナーレ、君と一緒にいられる幸せに比べればあんな事なんて何でもないって」
「ミコト……!」
「それでね。応援に来てくれた母さんにそれを言ったら、母さん、【あなた、本当に強くなったわね。まさにレイナーレさんはあなたの女神様ね♪】ってとても嬉しそうに言ってくれたの」
「お義母様がそんな事を……! な、何だか照れるわね……」
母の言葉を聞いたレイナーレは照れ臭そうで、でもとても嬉しそうだ。
「でも、そうよ。お義母様の仰る通りよ。ミコト、あなたは本当に強くなったわ。私をこれほどまでに愛してくれて、その私への愛を力にあなたはとても強くなった」
「レイナーレ……」
潤んだ目で僕を見つめるレイナーレ。その彼女と見つめ合った僕は互いにそっと顔を寄せて唇を重ねる。
「あむっ……ううんっ……」
「さあ、私たちずいぶんと汗をかいたわ。お風呂に入りましょ♪」
微笑むレイナーレ。
もちろん、レイナーレと二人でお風呂で洗いっこするのは最高の楽しみ。でも今日は……
「うん、でもその前にもう一度、君にあのブルマを着て欲しいな。あの姿で走る君の姿、とっても良かったから」
「も、もうっ! 前にもそんなお願いされたけど……あの時と同じく、またエッチな事しまくるつもりでしょ?」
「もちろんだよ。君のそのいやらしくて素敵な最高の体を見て、二人だけでいるのにそうならない方がおかしいもの。それに一緒にお風呂に入ってもそれは同じだし。今日は体育祭の成功を祝って、その前にもう一つっていう訳♪」
「ミ、ミコトったらどこまでエッチなのっ……」
僕のお願いにレイナーレはいつも通り言葉だけの抵抗をした後、隣の部屋に着替えに行く。しばらくして戻って来た彼女。
「ほら、あなたのお願い通り着替えてきてあげたわよ♪ エッチで可愛い私のミコト♪」
美貌に妖艶な表情を浮かべて、張りつめた大きな胸を弾ませて微笑むレイナーレ。その姿とその表情はあの借り物競争の時に僕のもとに駆け寄って来てくれた時と同じ。その大きな乳房の頂にそそり立つ、石のようにカチカチに硬く勃起した彼女の大きな乳首は、もう服の布地を今にも突き破りそうだ……!
その上、彼女が着ているブルマは洗濯せずに昼間の体育祭の時の汗をたっぷりと吸ったままであるため、汗の甘酸っぱい臭いが立ち込めていて、彼女の妖艶な美貌と併せて僕の性欲を激しく刺激し、僕の股間は激しくうずき、猛り立つ。
「ああっ……! レイナーレ! なんて素敵なのっ! なんていやらしいのっ! 君はっ!」
僕の指がレイナーレのブルマの上着の上から、彼女の大きくいやらしい乳首をすりっ……とさする。
「あっ!」
レイナーレがビクッ! と甘い声であえいで体をふるわせる。僕はさらに彼女の乳首を汗が染み込んだ布地の上からすりすりとさすり回す。
「あっ! あっ! あっ! ああんっ! ミ、ミコトおっ!」
甘い声であえぎ、美貌に悩まし気な表情を浮かべてもだえるレイナーレ。
むちゅうっ! と僕はレイナーレのブルマの布を突き破りそうな彼女の大きな勃起乳首を、汗がたっぷり染み込んだ布ごと強く吸い上げる。口中に広がる甘酸っぱい味、甘い臭い!
「あっ!! あはあっ!! ミ、ミコトおっ!! そんなっ!! 汗べっとりでき、汚いのにいいっ!! ふあああんっ!!」
「汚くなんかないよっ! 大好きな君の汗なんだものっ! じゅるっ! じゅるるるるっ! ああっ……おいしいっ……! おいしいよっ……! 君の汗っ……! 君の乳首っ!」
さらに僕は彼女の張り詰めた乳房を……黒のブルマパンツに覆われた引き締まった形の良いお尻を……すべすべな太ももをさする。
「あっ! あっ! あはあんっ……! ああっ……ミコトっ! 好きよっ……大好きっ……」
恍惚とした表情で僕に愛の言葉をささやいてくれるレイナーレ。僕はその彼女が愛おしくてたまらなくなり、彼女をぎゅっ! と強く抱きしめると、今度は舌を絡める濃厚なキスをしかける。
「あむっ! ちゅうううううっ! るろっ……れろれろっ……ぷはあっ……ああっ! レイナーレっ……! 愛してる。愛してるよっ! はむっ! じゅるるるるーーーーっ!」
「はうううんっ……! るろるろっ……ぺちゃあっ……はあああっ……わ、私も愛してるわあっ……私のミコトおっ……はむっ……ううううんっ……」
舌をねっとりと絡み合わせる濃厚なキスをようやく終えて、ようやく顔を離す僕。ほんのりと赤く上気した美貌に潤んだ目で僕を見つめるレイナーレ。
「レイナーレ、脱がすよ」
「ああんっ……ミコト……いいわ……脱がせて」
僕はうなずき、まずは彼女の腰に手をやって黒のブルマパンツをずりっ……と引き下ろす。
「あっ……」
レイナーレの甘い嘆息と共に、彼女の黒い陰毛に覆われた秘部が、むっちりとした丸く綺麗なお尻が丸出しとなる。
次いでレイナーレの上着に手をかける。肌にピッタリと貼り付いた薄い体操着をゆっくりとまくり上げていく。露わとなっていく彼女の引き締まったへそ……張りつめた美しい大きな乳房……
「あっ! ああんっ!」
レイナーレの甘い叫びと共に、彼女のビンビンに勃起してそそり立つ、石のようにカチカチに硬い卑猥きわまる、長く大きな乳首がぶるっ! と大きく弾みつつ晒される。その瞬間、僕は自分の股間が激しくうずき、猛り立つのを感じる。
そして僕はレイナーレの上着を頭上までまくり上げて完全に脱がせ、さらに彼女の腰下まで引き下げてあったブルマパンツを完全に下までずり落とす。パサッとブルマパンツが彼女の足元に落ち、彼女は足の黒のソックスだけを残して全裸となった。
「ああんっ……ミコトおっ……」
全裸となってその美の女神も及ばぬ美しく卑猥な裸体を僕の前に晒すレイナーレ。僕はその彼女の裸体を余すところなく見つめる。
彼女の素晴らしい裸体はいつ見ても僕を感動に満たして、僕の股間をうずかせ、たぎらせる。彼女と一緒に暮らすようになって、僕は毎日、彼女を全裸にしてそれを眺め、何時間も愛撫し続けているが、飽きるなどという事は全くない! それほどに彼女の裸体は僕の心を虜にしているのだ。
レイナーレの赤い瞳の妖艶な美貌……香しい香りを放つ艶やかな長い黒髪……重力に逆らうように張り詰めてムチムチとした弾力感にあふれた、揉めば僕の手を押し返してくる見事な球形の美しい大きな乳房……引き締まったへそ……くびれた腰……しなやかな足……白く滑らかな肌……そして何よりも張りつめた大きな乳房の頂の、これ以上ないほどに肥大化して、カチカチに硬く勃起してビン! とそびえ立つ、あまりにも卑猥な大きな乳首……
レイナーレの異名【ニプルクィーン(乳首女王)】の由来であるそのいやらしい魅惑の乳首は、これまでに何度も大きな奇跡を起こして僕を救って来た。彼女と初めて結ばれたあの日、僕はこの乳首に完全に魅了されてそれをむさぼるように求め、それは僕を彼女の虜にしたのと同時に、僕の神器【情念の炎】を覚醒させて彼女を僕の虜にし、同時に僕は彼女を守る力を得た。さらに僕は彼女の乳首への想いを糧に必殺技【ニプルブラスト(乳首の衝撃)】を会得して強敵に立ち向かう力も得た。その乳首はその大きな奇跡を経るごとに肥大化して大きく長くなり、硬くなってその卑猥さはどんどん増している!
レイナーレも、自分の乳首が僕を魅了して支えている事を喜んでくれて、僕が毎日何時間も乳首を求めても、嫌がるどころか、いつも狂おしいほどに感じてくれて乳首への愛撫を求めてくれる。それが僕は嬉しくてたまらず、さらに夢中で彼女の乳首を指でさすり回し、ひねり回し、舌でなめ回して、しゃぶり、吸い上げる。彼女はこの乳首で僕をより強く支えようと、ミカエル様とアザゼル様のお力で神器【堕天の乳汁(フォーレン・ブレスト・ミルク)】を手に入れて、僕を癒して支えてくれ、今回はこの乳首から【ニプル・スピア(乳首の槍)】を生み出して、それはディオドラを打ち破る大きな武器となった。
そう、まさに彼女の乳首は僕の最高の宝物であり、力の源であり、何よりも大切なものなのだ。その乳首を見つめる僕の脳裏にアザゼル様の仰った、僕とレイナーレの【ニプルドラゴンとニプルクィーンの歌】のイメージが浮かんできた!
「レイナーレ、僕と君の歌をどんなものにするか、浮かんできたよ!」
「えっ!?」
僕は彼女に自分が考えた歌の歌詞とメロディー(僕の好きなアニメの歌をもとにアレンジしたもの)を伝えた。
「まあ……! は、恥ずかしいけれど……でも、とっても素敵な歌ね! メロディーも響きも良いし! ウフッ♪ 気に入ったわ♪」
「そ、そう? 君にそう言ってもらえて嬉しいな♪ じゃあ、さっそく歌ってみようね。まずはレイナーレ、君から♪」
「えっ、ええ……分かったわ♪」
レイナーレは一瞬、恥ずかしそうな表情をしたものの、すぐに微笑んで同意してくれて、彼女は両手で張りつめた大きく美しい乳房を手の甲でそっと持ち上げ、その見事な乳房といやらしい乳首を見せつけるポーズを取る。それは彼女の自分の魅惑の裸体と、それが僕を虜にしている事への自信と僕への想い、それを込めたポーズ。彼女は美貌を輝かせて歌い出す……
ニプルドラゴン あなたの魔法の指は
ニプルクィーン 私を虜に
あなたの瞳は 私を求める
その愛のすべてを この乳首に注いで お願い
至高の快感が 私を包む
それはしぶきになって 愛しいあなたに注ぎ 癒すの
レイナーレのセクシーな歌声が響き渡り、それと同時に彼女は今度は手のひらで自分の張り詰めた大きな乳房をさらに押し上げて僕に見せつける。その彼女の愛の歌は、目の前の彼女の美しくいやらしい、素晴らしい裸体と共に僕の心をとらえ、僕の股間を猛り立たせる!
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尊から、彼が作ったこの子と私の歌を聞いた私。エッチで恥ずかしいけれど、でも、私とこの子の愛を見事に表現した素敵な歌で私は思わず心が弾む。そして私はこの子が大好きな私の自慢の裸体を見せつけつつ、この子への愛を込めて歌う。それに尊は目を輝かせ、股間を猛り立たせて聴き入ってくれる! 尊が歌の二番を歌い出す。
ニプルクィーン 君の魔法の乳首は
ニプルドラゴン 僕を虜に
君のすべてが 僕の幸せ
その愛の全てを この乳首に注ぐよ いつまでも
ニプルクィーン 君は僕のすべて
ニプルクィーン 愛しているよ
尊は目を輝かせて私の裸体を見つめ、股間を大きく猛り立たせつつ、私への愛を込めて歌ってくれる。それを聞いて私の胸が熱くなり、私の大きくいやらしい乳首が激しくうずいてさらにピクピクと卑猥に膨張するのを感じる!
あはあんっ! ミコトおっ! あなたにそんなに目を輝かせて裸を見られて、そんな歌を歌われたらっ……! わ、私っ! あっ! あああっ!!
興奮した私は思わず自分の張り詰めた大きな両乳房を両腕で抱え込み、それをギュムウッ! と上に大きく押
し上げる。
するとそれを見た尊の股間が大きく膨れ上がり、あの子の男根がズボンを突き破りそうなまでに猛り立ったのが私の目に映り、私はますます興奮する!
最後の三番、私と尊が二人で歌う。
ニプルドラゴン 誰より愛しいあなた
ニプルクィーン 誰より愛しい君
私の乳汁(ミルク)が あなたに入る
それは僕の力 敵を打ち砕くよ 粉々に
ニプルドラゴン 永遠に一緒にいるわ
ニプルクィーン 君を求める
歌い終わった私たち。尊が私に近づき、私の張り詰めた乳房を、いやらしい大きな乳首をさする。
「あっ……! あはあんっ……!」
「歌の通り、僕と君は永遠に一緒だよ。僕のニプルクィーン」
「ああんっ……そうね。あなたと私は永遠に一緒よ。私のニプルドラゴン」
「うんっ! じゃあ、この歌をアザゼル様に報告して公式に僕たちの歌にしてもらおうね!」
「ええ!」
尊と私は大きくうなずき合い、尊は私の張り詰めた乳房をぐにっ! むにっ! と力強く揉みしだき、私のいやらしい乳首をグリグリとしごく。私への愛を込めて。
「あっ!! あっ!! あひいいいっ!! あひゃああああんっ!! ミ、ミコトおおおおおっ!! あっ!! ああああーーーーーーーーんっ!!」
乳首への激しい刺激に私の体は全身に電撃が走ったかのような凄まじい快感を覚え、私は凄まじい声で絶叫し、それと同時に私の大きくいやらしい勃起乳首から、ブシュウウッ! と私と尊の愛の証である黄金色に輝く【堕天の乳汁】が噴出して、それが尊の少女のように甘く可愛い顔にかかり、尊はそれを目を輝かせて見つめている。
「あはあああっ!! ミコトおっ!! 愛してるっ!! 愛してるわあっ!! 私の愛しいニプルドラゴンっ!! ああああんっ!!」
愛しい彼の愛撫に私は絶叫してみだらにもだえまくる。
(次回に続く)
ついにディオドラ編完結編! 前半は覇龍化した一誠のシャルバを圧倒する凄まじい攻撃と、彼を救おうとする鬼崎の活躍、そしてディオドラの洗脳から解かれて自我を取り戻した元ディオドラ眷属たちを救おうとする尊と、彼の優しさに心を打たれる元ディオドラ眷属たちが中心となりました。
鬼崎の強さとオーフィスとの絆、グレモリー眷属の仲間たちとの間に出来た確かな信頼関係、さらにサーゼクスからも認められてオーフィスと共に受け入れられと。この作品を読んでいる方々の間でも鬼崎は人気の高いキャラですが、今後も彼は大いに活躍する予定です。
今回の大きな以前のお話との変更点は、以前のお話ではディオドラは原作やアニメ同様にシャルバに殺されてしまいましたが、今回のお話では一応は生きているという形になった事と、ディオドラ眷属の事件後の顛末が加えられた事、それとディオドラの【女王(クィーン)】が尊たちに仕える事になった事です。
ディオドラの洗脳から自我を取り戻したディオドラ眷属たち。彼女たちは元、教会に仕える聖女たちであったのが、ディオドラに無理矢理犯されて絶望したところでディオドラに洗脳されて自我を失い、彼の操り人形にされていた訳で、ディオドラが一誠と尊の前に惨めに敗北して力を失った事、また、自分たちをただ自分に都合よく利用するだけの玩具、そして駒としてしか扱っていなかったディオドラに対して、自分たちの為に怒ってくれた尊の優しさが心に響いた事で彼女たちは自我を取り戻した訳です。
「私たちは汚れてしまった身」と自暴自棄になった彼女たちを説得して、新しい人生を歩むように説得する尊。尊の性格からしても、彼女たちの事情を知れば絶対に救いたい! と思うはずですからね。以前のお話にそうした場面がなかったのは完全に手落ちだったと反省し、今回、新たに加えました。
あのコカビエルと同じく【永久冷凍の刑】という形で一応、生き延びる事になったディオドラ。これはたとえ敵であろうと極力相手を殺す事は避けようとする尊が彼を破った事、原作やアニメでもディオドラの処分は本来はサーゼクスたち魔王たちの採決に委ねられる形になっていた事を考えてこういう形にしました。まあ、自分の眷属たちにも完全に見放され、サーゼクスの激しい怒りも浴びたディオドラは、もはや全く日の目を見る事はないでしょうが。
そしてディオドラの【女王】。尊とレイナーレの優しさ、部下に対する思いやり(自分たちに対するだけでなく、ミッテルトやカラワーナ、流音たちに対するものも見て。特に今回、二人が部下のカラワーナを助けるために敵地に命懸けで乗り込んできたのは、旧主ディオドラとの比較という意味でも、彼女に強い印象を与えたはず)に惚れ込み、二人のもとに押しかけて頼み込み、仕える事になった彼女。
原作でもアニメでも、本名が明かされる事はなかった彼女ですが、尊たちの部下になった以上は名前がないという訳にはいきませんので「マリア・スカッキ」という名を与えました。マリアはよくある名前ですが、元は教会の聖女だった彼女にふさわしい名となると、やっぱり【聖母マリア】の名がすぐに浮かびましたので。スカッキはイタリア風の苗字という事で思いつきました。アニメで見ても彼女は真面目で責任感の強いタイプという感じでしたので、ミッテルトのお目付け役がふさわしいかなと思い、コンビを組ませる事にしました。
事件後の駒王学園体育祭。原作では一誠とアーシアの二人三脚がメインとなっていますが、このお話では尊とレイナーレが主人公&ヒロインですので二人の借り物競争のお話がメインとなりました。それにしても匙は二人の親友として良い関係を築き、今回も二人を大いに助け、流音に対しても【頼りになる良い先輩】である事を示しました。
一誠の【おっぱいドラゴンの歌】に対抗する尊とレイナーレの【ニプルドラゴンとニプルクィーンの歌】。尊と一誠は【おっぱい好き】という点は同じでもタイプは大きく違いますし(多情で多くの女性とその胸を求める一誠に対して、尊は徹頭徹尾、レイナーレに一途で求めるのは彼女の胸のみ)、子供好きでその扱いが上手い一誠に対して尊はそんな描写はない、という事で【おっぱいドラゴンの歌】とは対照的な大人向けでしっとりとした響きの曲になりました。内容は相当にエッチですが(笑)
なお、今回の歌作りにおいては、数名の方々からモデルとなる歌の候補を教えて頂き、大変助かりました! お世話になった方々、本当にありがとうございました! ちなみにメロディーは流せないので(私自身は作った歌を自分で歌いましたが)、分かりずらいと思いますが、何という歌をもとにしたか、お分かりになりますでしょうか? ちなみにアニメの主題歌です。バカップル呼ばわりされてもどこ吹く風で、とことん一途に愛し合う二人にはぴったりの雰囲気の歌だと思い、モデルにさせて頂いた次第です。
それではディオドラ編も完結し、今後はまた新しい展開へと入っていきますが、次回もどうぞお楽しみに!^^