※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D~情念の炎~(完全版)   作:ドミトリ

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 レイナーレと尊に対する復讐心に燃える一誠たちグレモリー眷属の前に突然現れ、復讐の手伝いを申し出た謎の男、鬼崎陽太郎。果たして彼の目的は?

 一方、そのような事は全く知らない尊とレイナーレたちは、堕天使総督アザゼルのもとへ向かうため、隠れ家を後にするが……


第8話・情念の爆発

 突然、俺たちの前に現れ、レイナーレと國原を捜し出して報いを与える事に協力する事を申し出た男……鬼崎陽太郎。奴を前にして俺たちは話し合う。

 

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「彼を信用して良いものでしょうか?」

「うさん臭さは否めないですわね」

「でも、あの堕天使どもの事について重要な情報を持っているのは間違いなさそうね」

「…………」

 

 そんなやり取りを交わした後、リアス部長が言った。

 「イッセー、ここはあなたが決めなさい。私たちはそれに従うわ。あの堕天使どものせいで一番辛い思いをしているのはあなただもの」

 「部長……」

 

 「皆、それで良いわね?」

 「はい!」

 部長の言葉に朱乃さんも、木場も、小猫ちゃんも大きくうなずく。そんな皆に俺の心は熱くなる。

 皆、ありがとう……!

 

 確かにこの鬼崎という奴、うさん臭さは否めないが、部長の言った通り、レイナーレや國原について重要な情報を持っているのは確かなようだ。それにこれ以上ぐずぐずしてると、奴らはアザゼルの庇護下に入ってしまい、容易に手を出せない事になっちまう。そんな事は許せねえ!

 

 俺は鬼崎の方を見て奴に伝える。

 「……分かった。話を聞こう」

 

 「そうか。良かった。僕もここを訪れた甲斐があるよ」

 鬼崎は微笑する。そして奴と俺たちはソファに向かい合って座る。

 

「それで、あなたはどんな立場で、何で私たちやあの堕天使どもの事を知っているの?」

「さすがにあまり詳しくは答えられないよ。僕だって話せる事と話せない事があるからね。だが、ある程度は話さないと君たちも僕を全く信用出来ないだろうから、それなりに答えさせてもらうよ」

 

 鬼崎のその言葉を受けて、俺は奴に質問する。

 「よし、じゃあ、ずばり聞くが、お前の種族は何だ? 普通の人間か? それとも悪魔か?あるいはもしかして堕天使か?」

 

「普通の人間ではない。だが、今、君が挙げた三種族のいずれでもない。僕は【魔人】さ」

「【魔人】?」

 

 鬼崎の返答を聞いて、俺はいまだ聞いた事のない種族名に首をかしげる。だが、部長はその存在を知っていたようで俺に教えてくれる。

 「何か人間以外の生物の能力を持った【超人】とでもいう存在よ。イッセー、あなたはまだ私たち悪魔をはじめとする三種族以外の種族の存在を知らないと思うけれど、この世界には三種族以外にも色々な種族が存在してるのよ」

 

 「なるほど……じゃあ、鬼崎、お前は何の能力を持ってるんだ?」

 そう俺は突っ込んだが、鬼崎はそれに対しては首を振った。

 

 「今はまだ答えられない。だが、いずれ知る事になると思うよ」

 そこで俺はそれについてはあえて無理に聞くまでもないと思い、もっと重要な聞くべき事に話題を変える。

 

「分かった。なら、何でその魔人のお前が俺たち悪魔や堕天使の事を知っていて、さらに俺やレイナーレ、國原の事も知ってるんだ?」

「僕は以前から悪魔や堕天使に知り合いがいてね。三種族についてはよく知っているよ。そして今回の君たちの事……君とレイナーレ、そして國原尊との間に起こった事件については、その知り合いの中に【ある上級悪魔】がいてね。彼から教えてもらったのさ」

 

 鬼崎のその言葉を聞いて部長の表情が変わる。

 「その【ある上級悪魔】というのは誰の事なの?」

 「それは今、僕が勝手に答える訳にはいかないよ。その【彼】の立場もあるしね」

 

 「そう……じゃあいいわ」

 部長は鬼崎の言う【ある上級悪魔】についてかなり気になる素振りは見せたものの、おそらく俺の事を気遣ってその質問を打ち切り、俺を見つめてうなずいた。質問を先に進めて良いという合図だ。

 

 俺はそんな部長の気遣いに感謝して彼女に頭を下げ、いよいよ最も重要な事を奴に問く。

 「では、なぜお前は俺たちグレモリー眷属とレイナーレや國原との事で、俺たちの方に協力してくれるんだ?」

 

 すると鬼崎は真剣な表情を浮かべて言った。

 「君とレイナーレたちとの間に起こった出来事について聞いて、僕、そのレイナーレって堕天使の女のした事が許せなくてね……聞けばその女は、君の彼女になったフリをして君を騙して殺した。さらに自分を【至高の堕天使】と称して自惚れて、人間や君たち悪魔を露骨に見下す態度を取っていた。そうだよね?」

 

 「ああ、その通りだ」

 俺はレイナーレのそれらの振る舞いを思い起こして、はらわたが煮えくり返るような怒りを覚えつつうなずく。

 

 「さらにその女は【聖女】と呼ばれた心優しい女の子アーシア・アルジェントを、彼女の持つ神器を奪って、それを使って堕天使総督アザゼルに取り入って出世したいという自己中心的な目的のために殺した……本当にひどい女だよね」

 そう鬼崎は怒りのこもった表情で言った。

 

 俺は鬼崎が予想以上に詳しく事実を知っている事に驚きつつ答える。

 「お、お前、ずいぶんと詳しく知っているんだな。そうだ。今、お前がまさに言った通り、あいつはとてつもなくひでえ女……悪魔以上に悪魔な最低の堕天使なんだ」

 

 俺は俺の気持ちをしっかりと代弁してくれた鬼崎に大きくうなずき、心から同意する。もしかしてその鬼崎のいう【ある上級悪魔】っていうのは、リアス部長、あるいは部長経由でサーゼクス様とかにあの事件について話を聞いたんだろうか……?

 

 「そうだね。そして君たちは怒りを持ってその女を追い詰め、当然の報いを受けさせようとした。だが、その女の人間の恋人で君と同じく神器保有者である國原尊が邪魔をしたせいで、その女は逃げ延び、さらにアザゼルの保護を受けて裁きから逃れようとしている。許せないよね。兵藤くん、君の気持ちは良く分かるよ。僕もこれまで、そういうひどい奴らと度々戦ってきたからね……」

 そう鬼崎はしみじみとした口調で言った。

 

 こいつ、うさんくさい奴だと思っていたが……なかなか良い奴だな。

 俺は目の前の鬼崎に感激していた。

 

 「ああ、その國原の野郎、レイナーレに盲目的な執着をしていて、あいつがどんな悪事を働いてもことごとくかばい立てしやがるばかりか、あいつに当然の報いを与えようとする俺たちに身勝手な理屈をぶつけて邪魔しやがる。あの野郎もとんでもねえ奴だ」

 俺は國原に対する憤懣をぶちまける。

 

 鬼崎はまた、心から同意という感じでうなずきつつ聞いた。

 「それで君はそのレイナーレと國原尊に復讐して、2人を倒した上で神器を取り戻し、アーシアさんを復活させたい。そうだね?」

 

「ああ、その通りだ。だけどよ……奴らは実に上手く逃げ隠れしてやがって、いまだに行方が掴めねえんだ」

「私もあの連中に賞金を賭けて情報を募っているんだけれど、なかなか網にかからないのよ……」

 

 だが、俺と部長の言葉を聞いた鬼崎は言った。

 「いや、その賞金の効果はあったよ。ある街でその賞金を目当てとした下級悪魔たちがレイナーレと國原尊を発見した。もっとも彼らは二人を捕えようとしたが返り討ちにされてしまったけれどね。僕はその一部始終を目撃した」

 

 「な、何だと!!?」

 「それは本当なの!?」

 俺と部長は驚いて叫ぶ。

 

 「ああ、間違いない。だが、その時、二人を捕えようとしていた悪魔たちは【グレモリー家からの賞金目当てでお前たちを捕える】と二人にはっきり伝えていた。当然、二人もこのままでは危ないと察したはずだ」

 その鬼崎の言葉に俺たちは一斉に顔を見合わせる。

 

「部長! これは急がないと!」

「ええ、急がないと逃げられてしまいますわよ!」

「ええ、そうね! あなた、その二人がいるという街にすぐ私たちを案内できる?」

 

 「ああ、大丈夫だよ。すぐに案内しよう」

 「ありがとう! 助かるぜ!」

 鬼崎の言葉を受けて、俺はすぐにでも部室を飛び出そうとするが、その俺を木場が引き止める。

 

 「待って、イッセーくん」

 「何だ? 木場」

 

 「鬼崎くんといったね? 君は今回の件で見返りとか求めないのかい?」

 そう木場は鬼崎に聞く。

 

 「別にないよ。お金とか地位が目的で協力する訳じゃない。あくまでも君たちに共感しての事さ」

 と鬼崎は答えた。

 

 「………………」

 鬼崎の返事を聞いた木場は考え込むような様子を見せる。さすがに話がうますぎると思ってるんだろう。

 

 鬼崎はそんな木場の様子を見て、俺たちに言った。

 「君たちが僕を信じられないのは分かる。何しろ、今会ったばかりだし、話がうますぎるんじゃないかとね。でも、これだけは言っておく。ここで急がないと2人は確実にアザゼルのもとに逃げてしまうよ。それでも僕が信じられないから話に乗れないというなら、僕はこのまま立ち去るけど、それでも良いのかい?」

 

 鬼崎は俺たちをじっと見つめる。俺は一瞬迷うも、レイナーレや國原を絶対逃がしたくないと強く思い、そしてさっきの鬼崎のレイナーレたちへの怒りを込めて言った言葉、俺の言葉に心から同意しているという鬼崎の様子を思い起こす。

 

 そして俺は決心する。

 「鬼崎、俺はお前を信じる。木場、すまねえが、ここは俺の決断に従ってくれ」

 

 「分かったよ。イッセーくん。さっき誓った通り、君がそう決断したなら、僕はそれに従うよ」

 そう木場は言って微笑む。

 

 「ありがとう、木場」

 と俺は木場に礼を言って、鬼崎に伝える。

 

「じゃあ鬼崎、俺たちをそこに案内してくれ」

「分かった。では、準備が整ったら知らせてくれ」

「ああ、よろしく頼む」

 

 そして俺は部長の方に向き直る。

 「では部長、よろしくお願いします」

 「分かったわ。じゃあ、皆、急いで準備するわよ!」

 「はい!」

 

 部長の言葉に俺たち皆は一斉にうなずいた。

 

 

****************************************************************

 

 グレモリー眷属からの賞金目当てで襲ってきた下級悪魔たちを倒し、彼らの身を堕天使上層部に委ねて、隠れ家へと戻った僕とレイナーレは、留守番をしていたカラワーナさんとミッテルトちゃんにその一件を伝え、気の緩みから出た今回の失態を二人に謝罪した。

 

 僕たちの話を聞いたカラワーナさんとミッテルトちゃんは僕たちが無事だった事を喜んでくれて、僕たちの失態を快く許してくれた。襲って来た下級悪魔たちは全員、堕天使本部から来た人たちに引き渡したし、僕らがこの街にいる事がグレモリー眷属に伝わるような事はないはず……と僕たちは思っていた。

 

 とはいえ、この地が決して安全ではない事を僕たちははっきりと思い知った。幸いにも僕たちは明日にはここを立って堕天使界へと赴く。でも、その際、迎えの人との待ち合わせの場所に行くに当たっても十分に用心する必要があると感じる。

 

 そして明日の準備を終えた僕とレイナーレは手を取り合って寝室へと入り、二人並んでベッドに腰掛ける。ちなみにレイナーレは僕とデートに出かけた時と同じ服装……白のブラウスに黒のミニスカートという姿のままだ。

 

 「もうすぐ、この部屋ともお別れだね」

 「そうね。短い間だけれどなかなか良い居心地だったわね。ミコト、あなたがいれば私にとってそこが最高なのだけど……」

 レイナーレはそう言って微笑む。

 

 「レイナーレ……」

 僕はそっと彼女に顔を近づけて、唇を重ねる。

 

 その後、顔を離した僕と彼女はお互いの顔を見つめ合い、僕は彼女に尋ねる。

 「でも、レイナーレ、大丈夫? 不安じゃない?」

 

 すると彼女は首を振って微笑む。

 「ううん、大丈夫よ。ミコト、あなたが一緒にいてくれるから」

 

 僕の胸はそんな彼女を愛おしく思う想いであふれる

 「レイナーレ……」

 

「でも、正直、緊張はしてるわ。だって、アザゼル様にお会いするのだもの。ミコト、あなたに話したでしょう? 私がずっとアザゼル様にお仕えする事を目的にしてきたという事を……」

「うん……」

 

 レイナーレは過去を思い起こすように上を見上げた後、再び僕を見つめて言った。

 「私たち堕天使の世界は、とても身分の差が大きいのよ。下級堕天使の私たちではアザゼル様とお話しさせていただくどころか、お目通りすら許されないの。だから私は何としてでもアザゼル様へのお目通りを果たして、お側にお仕えしたいと思ったの。私を馬鹿にして見下した者たちを見返してやりたくて……だから私はあんな事をしてしまったの」

 「…………」

 

「そして私のその計画は無様な失敗に終わってしまった。いえ、今、考えれば成功していても結果は悲惨な事になったのは間違いないわね。でも、不思議なものね。今、こうして思いもよらない形でそのアザゼル様へのお目通りが実現しようとしているなんて……」

「…………」

 

 「ウフッ、もっとも今の私は、もう出世なんてどうでも良くなってしまっているけど。ミコト、あなたと一緒に幸せに暮らせればそれで良いわ」

 微笑むレイナーレ。その彼女の美貌はとても美しい!

 

「レイナーレ……」

「でも、私の愚かしい計画に付き合わせてしまったのに、こうして今でも私に付いてきてくれているカラワーナとミッテルト、彼女たちにはぜひ幸せになって欲しいの。私たちのために犠牲になったドーナシークの分も……そして、今回のお目通りがそのきっかけになれば良いと思っているわ」

 

 「レイナーレ……うん! そうだね!」

 僕は心の底から彼女に同意した。

 

「ねえ、ミコト、あなたはアザゼル様ってどんなお方だと思う?」

「そうだね……かつて神に仕える上級天使だったのに恋のために堕天されたとか、こうして今回、僕たちと会って下さるというところから見て、高い地位にありながらあまりしきたりとかにこだわらない方なんじゃないかって思うよ」

 

 「ええ、そうね。きっとあなたの言う通りだと思うわ。なら、きっと今回のお目通り、良い方向に行くわよね。ねっ、あなたもそう思うでしょう?」

 レイナーレは目を輝かせて僕に尋ねる。

 

 「うん! そう思うよ! 間違いなく!」

 僕は愛しい彼女を安心させようと、自信いっぱいという表情を演じつつうなずく。

 

 そして僕とレイナーレは再び見つめ合い、顔を寄せて唇を重ねた。そしてその後、僕たちはいつものように激しくお互いを求め合った。

 

 

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 熱く激しい交わりの後、尊はすやすやと寝息を立てている。私はその彼の顔をじっと見つめている。

 

 長い睫毛の整った顔立ちの尊。女の子のように可愛らしいその表情。

 「ウフッ……♪ こんなに可愛いこの子が、いつもあんなに激しくいやらしく私を攻めて悦ばせてくれるなんて……♪」

 

 いつも私だけを見つめてくれるこの子。私のためならばこれまでの平穏な生活も何もかも捨てて、命懸けで私を悪魔どもから守ってくれて、私を深い愛情で包み込んで支えてくれるこの子。私よりもはるかに年下で、こんなに可愛らしいのにとても優しくて頼りになるこの子。そんなこの子が私は愛おしくてならない。

 

「ミコト、あなたさえいてくれれば、私は幸せよ。ずっとずっと永遠に私と一緒にいてね……私のミコト」

 

 そう私は眠っている彼にささやくと、そっとその寝顔に口づけした。そんな私の心に、ある強い願いが湧き起こっていた。それはきっと尊も願ってくれている事。

 

 ミコト……! アザゼル様にお会いして、そして私の罪を許していただけたなら、その時は!

 

 

****************************************************************

 

 

 その翌日の朝、僕たち4人は隠れ家を出た。

 「本当に短い間だったけれど、引き払うとなると多少名残惜しさもあるわね……」

 「そうだね……」

 「そうですね……」

 「そうっすね……」

 

 僕たちは名残をしのんだ後、つかの間の住み家に別れを告げ、アザゼル総督の迎えが来るという待ち合わせ場所へと向かった。先日の下級悪魔たちの襲撃の経験から、周囲を警戒しつつ……

 

 そして、待ち合わせ場所である公園へやって来た僕たち、周囲には僕たち以外の姿は見えない。

 

 少し早く来すぎたのかな?

 僕は自分の腕時計を見つつ思う。だがその時、レイナーレが僕にささやいた。

 

 「ミコト、すごく嫌な雰囲気を感じるわ」

 「えっ!? まさかまた賞金狙いの悪魔が!?」

 レイナーレの言葉に、僕は先日のあの事件を思い起こす。だが……

 

 「いえ、あの連中とは比較にならないほどの魔力を感じるわ! こ、これは!!」

 レイナーレの顔が見る見るうちに青ざめる。

 

 そしてカラワーナさんとミッテルトちゃんも明らかに動揺した様子を見せる。

 「ええ、これは……!」

 「ま、まさか……!」

 

 その彼女たちのただならぬ様子に僕もハッとする。

 も、もしかしてっ!! そ、そんな……!!

 

 最悪の予測が僕の脳裏をよぎる。僕はそれが取り越し苦労であって欲しいと心から願った。だが!

 

 「やっと見つけたぜ!! クソ堕天使にクソ野郎!! 今度こそアーシアの仇を取ってやるぜ!!」

 忘れようにも忘れられない男の罵声が響いた。

 

 それに続いて女性の声が響く。

 「ずいぶんと手こずらせてくれたわね。でも、それも今日で終わりね。もう逃がさないわよ」

 

 兵藤!! そしてグレモリー先輩!!

 動揺する僕たちの前に2人が姿を現す。憎悪にたぎった目で僕とレイナーレを睨みつける兵藤。一方、グレモリー先輩はその青い目に冷たい殺意を込めて僕たちを見つめる。

 

 ど、どうして彼らがここに!?

 僕は恐怖で気が動転するも、その気持ちを必死で押さえ付ける。

 

 今はそんな事を考えても仕方がない! 何とか逃げる方法を考えないと!

 僕はレイナーレの手を取る。その彼女の手はふるえていて、僕を見つめる彼女の顔は蒼白になっている。僕はそんな彼女の手を強く握ると急いで背後を確認する。だが……

 

 「何をキョロキョロとしているのかな? 逃げ道を探そうと? 残念だけどもう君たちに逃げ道はないよ」

 と冷たい声が響き、その声の主、整った顔に冷徹な表情を浮かべた木場と、やはり鋭い目で僕たちを睨みつけている搭城が現れた。

 

 「ア、アンタたちっ!! 姉さまとミコト君に手を出したらウチらが許さないっす!!」

 ミッテルトちゃんが僕とレイナーレを庇うように前に出て叫んだ。だがその瞬間……

 

 ドガガアッ!!

 「うわああああっ!!!」

 凄まじい音と共に雷撃がミッテルトちゃんを直撃し、彼女はその場にバタッ!と倒れる。

 

「ミッテルトちゃんっ!!」

「ミッテルトっ!!」

 

 「おい、しっかりしろっ!!」

 カラワーナさんが倒れたミッテルトちゃんに駆け寄って彼女を抱き起こす。

 

 一方、僕はその姿を現した雷撃の主をキッ! と睨んで叫ぶ。

 「い、いきなり何をするんですかっ!!」

 

 「うふふふ、身の程もわきまえずに私たちにまた刃向かおうとする困った子をおしおきしてあげただけですわよ」

 そう雷撃の主……姫島先輩がその美貌に嗜虐的な笑みを浮かべつつ笑う。

 

 「くっ………!」

 僕は激しい怒りを覚えつつも周囲の状況を確認する。そう、僕たちは完全にグレモリー眷属の5人に包囲されていた。

 

 状況はまさに絶望的といえた。ただでさえ4対5で相手が人数で上回っているのに加え、1人1人の戦力でも相手が圧倒的に勝っている。その上……

 

 「おい、どうした國原? またあの目くらましでもやって逃げようっていうのかよ? 無理だぜ。こっちはてめえの考えてる事なんざお見通しなんだよ。てめえがおかしな動きをしやがったら、俺たちは一斉にてめえらに襲いかかって仕留めてやるぜ」

 憎悪に満ちた表情に笑みを浮かべて僕を睨みつける兵藤。

 

 「そういう事さ。これまで散々、僕たちをコケにしてくれたね……でもそれもこれで終わりだよ。覚悟を決める事だね」

 冷酷な表情で僕たちに【死刑宣告】をする木場。

 

 「ま、待ってくださいっ!!」

 僕は思わず叫んでいた。絶対絶命の状況に追い詰められた僕たちだが、それでもまだ望みの綱があったのだ。

 

「何? この期に及んで命乞いをしようっていうのかしら?」

「ケッ! 見苦しい野郎だぜ!」

「全くです」

 

 僕を見下し、嘲るグレモリー眷属の面々。それでも僕はなりふり構ってはいられなかった。僕の最愛のレイナーレ、僕たちにここまで付いてきてくれた、カラワーナさんやミッテルトちゃん、彼女たちを何としてでも救わなければならない。その気持ちで一杯だった。

 

「レイナーレがアーシアさんから奪った神器を……【聖母の微笑】をお返します! そうすればアーシアさんは転生悪魔として復活できるのでしょう!? だから、だから、お願いします! レイナーレを許してあげてくださいっ! 彼女を殺さないでくださいっ! お願いしますっ!」

 

 僕は思わず地にひざまずいて、泣きながらグレモリー眷属に哀願していた。そんな僕をレイナーレは涙を流して見つめている。

 「ミコト……!」

 

 だが、そんな僕たちをグレモリー眷属の面々は冷然とした表情で見つめている。そしてしばらくしてグレモリー先輩が聞いた。

 「ふうん……どこでそんな話を聞いたのかしら? それで私たちにどうしろと?」

 

 「えっ!?」

 僕は唖然として思わず彼女の顔を見つめる。

 

「わざわざ私たちが、その女がアーシアを殺して奪い取って体内に入れた神器を、面倒な作業をしてその女の体から抜いてあげるのかしら? そんな事をしなくても、私の【滅びの力】でその女の体を消し飛ばせば、簡単に神器を回収できるのよ」

「なっ!!?」

 

 グレモリー先輩のその言葉に僕は愕然とし、全身の血が逆流するのを感じた。さらにそれに追い打ちをかけるように木場が冷たい突き放す口調で言った。

 

「部長の言われる通りさ。そもそも何故、僕たちが君のそんな身勝手なお願いを聞かなければならないんだい? その堕天使がイッセーくんやアーシアさんにどれだけ酷い事をしたかを、部長がわざわざ何度も警告をしたのにそれを無視して部長の管轄下にあるあの町で無法な行為を繰り返したかを君はよく知っていた。にも関わらず、君は彼女が自分の恋人だからと、彼女がどれだけ悪事を繰り返しても彼女をかばい立てした上に僕たちに敵対した……そんな君のお願いを何故、この期に及んで僕たちが聞かなければならないのかな?」

 

 そして姫島先輩と搭城も軽蔑した様子で言う。

 「全くですわ。あまりに身勝手過ぎますわ。國原君、あなたのような愛を【盲愛】と言うんですのよ。少しは目を覚ましなさいな」

 「その通りです。はっきり言って気持ち悪いです」

 

「分かったかよ國原! 誰もてめえの事なんざ認めてねえんだよ! そんな見てくれだけの、悪魔以上に悪魔な外道堕天使を盲愛してるてめえなんかな! そしてそんなクソ堕天使をかばって、アーシアの命を取引の道具にしやがるとは……どこまで腐ったクソ野郎なんだよ! てめえは!」

 

 そう兵藤が僕とレイナーレを散々に罵る。するとその時、カラワーナさんが怒りの表情で叫ぶ。

 「ふざけるな! ミコト殿は素敵な方だ! レイナーレ様を自分の命に代えても一途に愛しておられて、私たちにもとても優しくて、私たちをいつも思いやってくださる! そんなミコト殿の素晴らしさが、貴様なんかに分かってたまるかっ!」

 

 そしてミッテルトちゃんも雷撃で打たれてダメージを受けた体なのに、ふるえる声で兵藤に言い返してくれる。

 「そ、そうっすよ……ミコトくんはとっても優しくて、勇気があって頭も良くてレイナーレ姉さまにふさわしい人っす……アンタを相手にしなかった姉さまがミコト君を熱愛してるのが気に食わないっすか?……当然っすよ……ミコト君とアンタじゃ、姉さまに対する愛の強さも……優しさも……全然違うっすからねぇ」

 

 カラワーナさん! ミッテルトちゃん!

 

 その時、レイナーレがそれまで着ていた服を散らして、黒のボンデージ姿となって、その美しい見事な肢体をさらした。そして彼女は泣きながら叫ぶ。

 

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「そうよ! ミコトは本当に私を心の底から愛してくれたわ! ミコトは私が彼に近付いた理由を知っても、一切、私を憎んだりせずにひたすら私を愛して求めてくれたわ! だから私も彼を愛したの! そして、私を憎み殺そうとするあなたたちから彼は私を命を賭けて守ってくれた! 私は確かに間違った野望に囚われていた……あなたの言う通り何の罪もないアーシアに酷い事をしてしまった……でも、私はミコトと会って、本当に心から愛し合える人との幸せを、その素晴らしさを知ったの! だから私は何としてでもこの幸せを守るわっ! あなたたちに私とミコトのこの幸せを潰される訳にはいかないのっ!」

 

 そしてレイナーレは光槍を出現させてそれを構えた。

 レイナーレ!!

 

「うるせえっ!! 散々好き放題な事をしやがって!! 俺を騙して殺し、アーシアに酷い事をしやがったくせに何を勝手な事をぬかしてやがるっ!! てめえの部下も部下だ!! あんなクソ野郎を持ち上げやがってっ!! やっぱりゲス女の手下はゲス女って事だぜっ!!」

 

 兵藤が怒り狂った様子で罵りつつ、彼の神器を出現させた。僕もポケットからレイナーレの胸当てを取り出し、神器を発動させ、それを腕に装着する。

 

 それでも僕はまだ、グレモリー眷属との和解の希望を捨てきれなかった。自分自身はともかく、愛するレイナーレを、カラワーナさんやミッテルトちゃんをあそこまで侮辱されて激しい怒りを感じつつも。それは彼らと戦っても勝ち目はない事。そして負けたならレイナーレも、カラワーナさんもミッテルトちゃんも情け容赦なく皆殺しにされてしまうのは間違いなかったから。

 

 だから僕は改めて涙を流しつつ叫ぶ。

 「どうかお願いです! レイナーレを許してあげてくださいっ!」

 

 しかし帰って来たのは前にも増した憎悪と殺意だった。

 「くどいわよ! いい加減あきらめなさい! ただでさえ許し難いのに、この堕天使どもは私の可愛い下僕の一誠をまた侮辱したわ。その罪は万死に値する!」

 「そうですわよね。イッセー君をまた侮辱してくれたこの堕天使さんたちにはキツい懲罰を加えなくてはいけませんわよね」

 「そうですね。これまでの事でも許せないのに、この堕天使たちのこの態度、絶対に許せません」

 「殺すしかないです」

 「という訳だ。國原、これ以上見苦しいマネはやめな。俺たちはてめえらをブッ倒した上で、アーシアを生き返らせる。てめえらはもう許される範囲をとうに超えちまってるんんだ!」

 

 「そんな……! アーシアさんだって生き返ればきっと幸せになれますっ! 人は生きていればまたやり直せるんですっ! なのにあなたたちはその機会をレイナーレから奪おうというんですかっ! アーシアさんが生き返って幸せになり、レイナーレも心を改めて幸せに生きる、それのどこが悪いんですかっ!」

 僕は必死でグレモリー眷属の面々に叫ぶ。

 

 レイナーレはそんな僕を見て涙をさめざめと流している。

 「ミコト……ミコトっ……」

 

 だが、そんな僕たちの切なる願いもグレモリー眷属たちの心にはまるで響かないようだ。

 

「やれやれ……國原君、君はとんでもなく非常識だね。君の言っている事は泥棒がお金を盗んだけれども、それを返したから罪は帳消しにしろと言っているのと同じだよ。たとえアーシアさんが生き返ろうと、その堕天使が自分の身勝手な欲望のために何の罪もない彼女を殺した……その事実は何も変わりはしないのさ」

 

 木場が呆れかえったという様子で言った。そして他のグレモリー眷属の面々も当然だという表情でうなずく。そんな彼らの態度に僕の心は絶望に沈む。

 

 「それでは、どうあっても殺すと……」

 僕の脳裏に、レイナーレが、そしてカラワーナさんとミッテルトちゃんが彼らに無惨に殺される姿が、レイナーレの美しい魅惑の体が無惨に消し去られる様子が浮かび、僕の心は悲しみと怒りに張り裂けようとしていた。そこに兵藤がとどめの一撃を加えた。

 

 「当たり前じゃねえか! いつまでもウダウダみっともなくほざいてるんじゃねえよ!」

 その言葉を聞いた瞬間、あくまでもレイナーレを殺そうとするグレモリー眷属たちへの怒り、愛する女性を守れない自分の無力さに対する怒りで僕の胸は張り裂ける。

 

 そして、僕の意識ははじけた。

 

 

****************************************************************

 

 

 ついに私たちは仇敵のグレモリー眷属の悪魔どもに見つけられてしまった。奴らに追い詰められた私たち。でも、尊は私を守るために奴らに散々に侮辱されつつも、必死で私を許してくれるようにと悪魔どもに涙ながらに懇願してくれた。私はこんな絶体絶命の危機に置かれながらも嬉しかった! これほどまでに私の事を愛して、私を守ろうとしてくれる尊の気持ちが……!

 

 でも、そんな尊の私への愛を、奴らは【盲愛】と嘲笑し、彼の心を踏みにじった。特にあの一誠は散々に尊を罵倒した……彼が私を憎む気持ちは分かる。私は彼を騙して殺し、アーシアにひどい事をしてしまったのだから……だが、尊への、私の愛しいあの子への侮辱は許せない!

 

 「うわあああああああああーーーーーーーっ!!!」

 尊が突然、両手で頭を抑え、涙を流しながら絶叫した。

 

 「ミ、ミコトっ!!? ど、どうしたのっ!!?」

 私は驚愕してあの子に叫ぶ。

 

 そしてカラワーナとミッテルトも驚いて叫んだ。

 「ミ、ミコト殿っ!!? どうされたのですかっ!!?」

 「ミ、ミコト君っ!!?」

 

 一方、一誠はまたひどい罵声を彼に浴びせる。

 「國原、てめえ、往生際が悪すぎるぜ!! いい加減にしやがれ!!」

 

 しかし、もはや尊はそんな私たちの叫びも、一誠の罵声も全く耳に入らないようだ。

 

 「嫌だ!! 嫌だっ!! 嫌だーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

 凄まじい声で絶叫する尊。その瞬間、あの子の体からブワッ! と凄まじい衝撃波のようなものが発せられた。

 

 「きゃっ!!」

 「うわあっ!!」

 私とカラワーナ、そしてミッテルトは少し離れた場所へと吹っ飛ばされた。

 

 「ミ、ミコトっ!!!」

 私は必死であの子の名を叫ぶ。しかし尊はさらに涙を流しつつ、頭を抱えて絶叫を続ける。

 

 尊の体に変化が起こる。体の周りを黒いオーラが包み込み、瞳の形状が変わり、あふれ落ちた涙の後の目の下から頬にかけて黒い線が浮かび上がる。そして口には鋭い牙が生え、両手の爪が長く鋭く伸びて、両手の甲に黒い鱗のようなもの生えて手が黒く変色する。

 

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 そして尊は全身に黒いオーラを纏い、膨大な魔力を周囲に漂わせて雄叫びを上げる。

 「うおおおおおおおおおおっ!!!」

 

 「ミ、ミコト殿おっ!!!」

 「ミ、ミコトくんっ!!! ど、どうしちゃったっすかっ!!!」

 変貌した尊の姿に驚愕し、恐怖するカラワーナとミッテルト。私も呆然とあの子をただ見つめる。

 

 そしてその時、私の脳裏にディヴェリクスの声が響いた。

 「まずいぜ!! ミコトの奴、完全に暴走しちまってる!!」

 「えっ!! ディヴェリクス、どういう事なの!!?」

 

 問い返す私にディヴェリクスが叫ぶ。

 「あいつはレイナーレ、あんたを殺されてしまうという恐れで完全に我を忘れちまってる! それであいつの心のタガが外れて、神器の……それに宿った俺の力が極限にまで高まっちまったんだ!」

 

 そして尊はグレモリー眷属たちの方に目を向けて奴らを睨みつけ、ただたどしい、絞り出すような声で言った。

 「ぼ、僕の、レイナーレにひどい事する、な」

 

 「ミ、ミコトっ!!!」

 私の目から思わず涙があふれる。力を暴走させ、我を忘れてしまっても、この子の心には私への愛があふれているのだ……!

 

 変貌した尊にさすがのグレモリー眷属の連中もたじろいだ様子を見せる。だが、あの【騎士】の少年……あの夜の教会で私に斬りつけた木場祐斗が剣を出現させ、尊に向けて構える。

 

 「化け物がっ……その堕天使へのおぞましいまでの執着……僕が消し去ってあげるよ!」

 木場は尊と私の愛を侮蔑する言葉を吐くと、尊に斬りかかる。

 

 「ミコトっ!!!」

 私は急いで光槍を創り出し、木場に向かって投げつけようとするも、それより先に尊が襲い掛かって来る木場に向かって鋭い爪の生えた右手をふるう。するとその瞬間……

 

 ブワッ!!

 と凄まじい風圧が辺りを揺るがし、木場の体がズバッ! と切り裂かれた。

 「うわあああっ!!!」

 

 木場はドバッ! と鮮血を撒き散らして、大きく吹っ飛び地面にドッ! と叩きつけられる。

 「き、木場あっ!!!」

 「ゆ、祐斗っ!!!」

 「祐斗くんっ!!」

 「先輩っ!!!」

 

 グレモリー眷属の面々は驚愕して木場のもとに駆け寄る。一誠は倒れた木場を抱き上げて

 「木場っ!! しっかりしろっ!!」

 と叫ぶ。

 

 一誠はしばらくして顔を上げて尊を凄まじい形相で睨みつけ、叫ぶ。

 「國原っ……! てめええええええええっ!!!」

 

 それと同時に一誠の体を光のオーラが包み込む。そう、それはあの夜の教会で私に対する憎悪を爆発させた時、あの時と同じだ。

 

 そして一誠の姿も変化していく。尊の黒に対して赤い紋様が顔に浮き上がり、瞳の形状が変わり、口に牙が生え、両手の爪が伸び、両手の甲を赤い鱗が覆う。

 

 「イ、イッセーっ!!!」

 「イッセーくんっ!!!」

 「先輩っ!!!」

 今度はグレモリー眷属の面々が驚愕の声を上げる。

 

 「うおおおおおおおっ!!! 國原あっ!!!」

 一誠は尊に向かって殴りかかる。

 

 「ミコトっ!!!」

 私は光槍を一誠に投げつけるも、奴はそれを振り向きもせずに弾き返す。尊は自分に襲い掛かってくる一誠に向けて、先ほどの木場に対してと同様に右手を大きくふるい、強烈な真空の刃を奴に見舞う。

 

 バリイイイイイイーーーーーーンッ!!!

 凄まじい音が響き渡り、一誠の体が後ろへと戻され、奴の赤い鱗で覆われた拳が少し切り裂かれそこから血が滴り落ちる。

 「イッセーっ!!!」

 「イッセーくんっ!!!」

 

 リアス・グレモリーと姫島が悲鳴を上げる。しかし一誠は体勢を立て直すと手の傷をもろともせずに拳を尊に向かってブオオッ! と思い切り振るう。すると凄まじい衝撃波のようなものが尊を襲う。

 

 「!!!」

 尊は両手を広げて障壁のようなものを作り上げてそれを防ぐ。

 

 しかし、それで防ぎきる事は出来ずに

 バリリインーーーーーッ!!!

 と障壁が砕ける音がして尊はよろめいて後退し、彼は口元から血を吐く。

 「ミ、ミコトおおおっ!!!」

 「ミコト殿っ!!!」

 「ミコトくんっ!!!」

 

 今度は私たちがたまらず叫ぶ。一誠は一気に尊に襲い掛かろうとするも、尊はまた奴に対して真空の刃を放ち、それは奴の胸元をかすり、そこからドバッ!と血が噴き出す。

 「イッセーっ!!!」

 

 そして尊とイッセーは互いに真空の刃と衝撃波を繰り出し合う。一誠は得意の力任せの肉弾戦に持ち込もうと接近を試みるも、尊は真空の刃を繰り出す事によって、奴の突進を食い止める。その攻防が続く。

 

 「ミ、ミコトっ……!!」

 私は気が気ではなかった。こうして見ている間にも尊のダメージはどんどん蓄積されていくのが分かり、彼の足取りはフラフラとおぼつかないものになっていく。もっともそれは一誠も同様だが。

 

「いけねえ……あんたも知っての通り、ミコトは普通の人間で身体能力も低い。もし、このままの状態が続くと、あいつは赤龍帝の小僧の攻撃と、暴走する神器のパワーに体がもたなくなって死んじまうだろう……もっともそれはあの赤龍帝の小僧も同様だがな……」

 

 ディヴェリクスの声に私は思わず取り乱し、私は泣き叫ぶ。

 「イ、イヤっ!!! イヤよおおおおっ!!! ミコトっ!!! あなたが死んじゃうなんてイヤあああああああああっ!!!」

 

 

****************************************************************

 

 

 さて、そろそろかな……

 離れた場所で二人の戦いを見ていた僕は、そろそろ自分の出番である事を自覚する。そしてそこで僕は人の気配を感じる。

 

 「陽太郎、久しぶりだな」

 「やあ、来たね」

 そこに現れたのは僕の友人にして僕とはお互いの力を認め合う仲間。

 

「あの二人、まだまだだが、なかなかに面白い。強くなる資質を大いに秘めている」

「うん、そうだね。でも、今日のところはここまでだね。二人ともここで死なせてしまうのは面白くないから、そろそろ止めるとするよ」

「ああ、俺としても頼まれた仕事は果たさなくてはならんからな。陽太郎、俺はカタがついたところで行く。この場の処理は君に任せる」

「うん、分かった」

 

 僕は【彼】の言葉にうなずくと、その場を後にする。

 

 

****************************************************************

 

 

 取り乱して泣き叫んでいた私。だが、その時、思いもかけなかった事が起こった。突然、飛び込んできた人物が、一誠の腹にドゴッ!とパンチを叩き込んだのだ。

 

 「うごっ……」

 暴走していたとはいえ、尊との戦いで消耗していた一誠はその一撃で気を失ってその場にくずおれる。そして彼を失神させた人物は彼を抱き上げる。私はその男を見つめる。

 

 えっ!!?

 私は驚いた。それはあの夜、グレモリー眷属の手から逃れて教会から脱出する私たちをじっと見つめていた、あの男だったのだ。

 

 「な、何するの!!? 陽太郎っ!!」

 リアス・グレモリーが驚愕の叫びを上げる。

 

 すると【陽太郎】と呼ばれた男はリアス・グレモリーたちに向かって言った。

 「残念だが、今日はここで退こう。兵藤くんは暴走する力と彼から受けたダメージでもう限界だ。これ以上、この状態が続けば彼の命に係わる。それに木場くんのケガも心配だ。早く、二人を安全な所に連れて行って暴走を解き、治療しないと」

 

 その言葉にリアス・グレモリーはハッ! とした様子で叫んだ。

 「そ、そうね!! イッセーと祐斗を助けないと!! 小猫!! 祐斗を頼むわ!!」

 

 「はい!」

 あの白髪の猫のような小娘がうなずき、倒れている木場を抱き上げる。

 

 そしてリアス・グレモリーは私たちを睨みつける。

 「陽太郎、あの連中は?」

 

 すると陽太郎と呼ばれた男は私たちを一瞥して言った。

 「放っておこう。今はあの堕天使たちの事より、兵藤くんと木場くんの身が大切だ。それにあの國原尊は暴走状態だ。もしかしたら制御が効かない彼の手であの堕天使たちが始末されるなんて事になるかもしれないしね……」

 

 「そ、そうね。ぜひそれを期待したいものだわ」

 リアス・グレモリー、及びその眷属たちは私たちを憎悪のこもった目で睨みつけ、その場を駆け去っていった。

 

 その場に取り残された私たち。もう、尊や私たちを苦しめていたグレモリー眷属の悪魔どもはいない。だが……

 

 「うおおおおおおおおおっ!!! わああああああああっ!!!」

 尊はいまだ我を失って、叫び声を上げている。彼の周囲には黒いオーラが立ち込め、力の暴走が続いている。このままでは尊は! グレモリー眷属どもがいなくなった事もあり、冷静さを取り戻した私は決意を固める。

 

 「ミコト殿おおっ!!!」

 カラワーナが叫びつつ、もだえ苦しむ尊に駆け寄ろうとする。

 

 「待って!! カラワーナ!!」

 私は彼女のそばに寄ると、その肩を掴んで彼女を止める。

 

「私が行くわ」

「し、しかしレイナーレ様……」

 

 私の身を案じてか、不安そうな表情を浮かべるカラワーナ。その彼女を安心させようと私は笑顔で伝える。

 「いいのよ。これは私が行くべきなの。ミコトは私をあの悪魔どもから守ろうとしてああなったの。私を愛し過ぎるくらいに愛してくれているからああなったのよ。なら、私が行かなくてどうするの! それに大丈夫よ! ミコトが私を傷つけたりなんかする訳ないもの! だから安心して!」

 「レイナーレ様……」

 

 そして私は尊に向かって歩み出す。怖さは全くない。愛しいあの子の為なのだから

 

 ディヴェリクスの声が響く。

 「レイナーレ、頼むぜ。暴走したミコトを鎮められるのはあんただけなんだからよ」

 

 「ええ、任せて」

 私はうなずきつつ前に進む。

 

 「ミコトっ!! 私よっ!! あなたのレイナーレよっ!!」

 私は愛しいあの子に叫ぶ。しかし尊はずっと両手で頭を押さえて苦しみ、泣き叫ぶばかりだ。

 「わあああああああああっ!!! うううううーーーーーーーっ!!!」

 

 「ミ、ミコトおおおおっ!!!」

 私のせいで尊がここまで苦しんでいる。その事は私の心を打ちのめし、私の目からも思わず涙があふれる。しかし私は立ち止まるわけにはいかない!

 

 「ミコトっ!! お願いっ!! 私を見てっ!! あっ!! きゃっ!!」

 尊に近付いた私を凄まじい衝撃が襲い、私の右の肩当てが吹っ飛ぶ。

 

「レイナーレ様っ!!」

「姉さまっ!!」

 

 カラワーナとミッテルトの声が響く。しかし私は二人の方を振り向いて微笑む。

 「大丈夫よ!! 怪我はないわ!!」

 

 また私はミコトに向かって歩き出す。また衝撃が走り、今度は左の肩当てが吹っ飛び、私の両肩がむき出しとなる。しかし私はあの子に向かってさらに歩む。そして私の腕当てが、散り散りになって吹き飛ぶ。

 

 私は確信する。尊は混乱状態になってはいても、その心は変わらず私への愛であふれている。そして明確に意識は出来なくとも、この子の感覚が私の存在を感じ取り、力を抑えているのだと。

 

 その証拠に、この子の体から発せられる衝撃は私の服は裂いても、私の肌には全く傷を付けていないし、木場や一誠にしたように腕を振るって私に攻撃をかけたりなどは一切してこない。

 

 それを悟った私にもう迷いはなかった。後は愛しいこの子をこの胸に抱き締めるだけ! この子にもう少しのところまで近付いた私の体に残っているのは、私の張り詰めた大きな自慢の胸に食い込んでいる、この子が大好きな私のいやらしい大きな乳首を隠すだけの胸当てと、それを固定しているみぞおちのベルト、そして秘部を申し訳程度に隠すだけのくの字型パンティー、足のストッキングとブーツだけだ。

 

 私のくの字型パンティーが衝撃でビリッ! と剥がれて、私の黒の陰毛で覆われた秘部がむき出しとなる。次いで私の胸に食い込んでいる胸当てと、それを固定しているみぞおちのベルトがビリビリッ! と裂けてはじけ飛ぶ。

 

 ぶるるんっ! と私の張り詰めた自慢の大きな乳房が弾むように揺れつつあらわとなり、尊が大好きな、私の充血して変色し、膨れ上がって石のようにカチカチに勃起してビン! と突き出している、卑猥極まる大きな乳首がむき出しとなり、私は黒の手袋と足のストッキングとブーツのみを残して全裸となった。私はその姿で、尊が大好きなその姿で愛しいこの子の前に立つ。いつの間にか、尊の体から湧き上がっていた黒いオーラは消えていた。

 

 尊は戸惑ったような表情で私を見つめる。

 「あっ……あっ、ああっ……」

 

 私は尊の手を取ると、その指を、長い爪が生えた手を彼が大好きでいつも求めてやまない、自分のカチカチに硬く勃起した大きくいやらしい乳首に触れさせる。チクッ!という針で刺されたような痛みが乳首に走る。だが、それは私にとっては心地よい痛み。

 

「あんっ! ああっ……ミコトっ、あなたが大好きな私の乳首よ……好きなだけ触って良いのよ……この乳首はあなただけのものなんだからっ……」

「あっ、あっ、ち、乳首っ」

「あっ! あっ! あんっ! そ、そうよ! あなたの乳首よ! あんっ!」

 

 尊の長く伸びた鋭い爪で私の乳首は突かれて転がされ、乳首から血が流れ出すが、その痛みまでもが私にとっては気持ち良い! 愛しいこの子がそれで喜んでくれて、正気を取り戻してくれるのだから。

 

「あっ!! あっ!! あはあっ!! ち、乳首、チクチクされるのっ!! す、凄く感じちゃうわあっ!! ふああああんっ!!! 」

 

 私の乳首を転がしているうちに、尊の指の爪は短くなっていき、手の甲を覆っていた黒い鱗も消えていく。目の周りの黒い隈取のような文様も次第に薄くなっていく。

 

 そして尊は私の張り詰めた大きな乳房をぎゅむうっ! と握り締める。

 「あっ!! あはあっ!! ミコトおっ!! 揉んでっ!! 力いっぱい揉んでえっ!! あはああんっ!!」

 

 

****************************************************************

 

 

 僕はしばらく我を忘れて自分を見失っていた。グレモリー眷属たちにレイナーレの助命を懇願して冷酷に退けられた事で絶望に陥った事で。しかし、やがて僕を呼ぶ愛しい声が聞こえ、甘い匂いが漂ってきた。

 

 さらに僕の指に触れる硬くコリコリとして、同時にムッチリとしたものの感触が伝わってくる。それは、あの教会での兵藤との戦いから生還した時と同じ感触……

 こ、これは!!

 

 そして僕は手に張り詰めた弾力感にあふれた素晴らしい感触を感じた。それと同時に僕は愛しい叫びを聞く。

 

 「あはあっ!! ミコトおっ!! 揉んでえっ!!」

 その甘く愛しい声、手に感じる素晴らしい感触により僕は完全に自我を取り戻す。

 

 

 そして僕の目に映ったのは……

 

 「レイナーレ!!」

 そう、僕の目の前にいるのは誰よりも愛しい彼女。その彼女はなぜか、僕を魅了してやまない大きくいやらしい乳首も、秘部も丸出しで、黒い手袋と足のストッキングとブーツのみを付けているだけの全裸になって、その美しくいやらしい魅惑の裸体を僕にさらしている。彼女は涙に濡れた顔に優しい微笑みを浮かべて僕を見つめている。

 

 「ミコト……!! 良かったっ!! 意識が戻ったのね!!」

 そうレイナーレは涙を流しつつ、歓喜の表情を美貌に浮かべる。僕はその彼女の涙に濡れた滑らかな頰に触れる。

 

 「レイナーレ……!! 無事だったんだね!!」

 僕の心にも歓喜の思いが満ちあふれる。

 

 「ええ!! ミコト、あなたが守ってくれたのよ!! あの憎い悪魔どもから!!」

 レイナーレは涙ぐみつつも笑顔で応える。

 

 「そ、それで彼らは!?」

 僕はレイナーレに聞く。

 

 すると彼女はやはり涙声で、しかし笑顔で答えてくれる。

 「詳しい説明は後でするけれど、今回は私たちを殺す事はあきらめて撤退していったわ。ミコト、あなたのおかげよ。あなたがあいつらと戦って私を守ってくれたから……ありがとう」

 

 「ほ、本当に僕が彼らを!?」

 僕は信じられなかった。あれほどの圧倒的な力を持つ悪魔たちを僕の力で本当に……? するとその時、ディヴェリクスの声が聞こえる。

 

「相棒、レイナーレの言った事は本当だぜ。お前の何としてでもレイナーレを守りたいと思う心が、お前の神器の力を極限まで高めさせたんだ」

「ディヴェリクス……」

 

「だがよ……お前、危なかったぜ。あのまま力を暴走させ続けていたら、お前の体は耐えきれなくなってお前は死んでたぜ」

「えっ!? あっ!?」

 

 ディヴェリクスのその言葉を聞いた瞬間、僕は頭がクラクラとして、足がふらついてその場に倒れ込む

 

 「ミコトっ!!」

 レイナーレがそんな僕を抱き留めてくれる。そして僕はディヴェリクスの言葉が事実である事を認識する。

 

「そしてそれを救ったのはレイナーレだ。彼女がお前を狂乱状態から呼び戻した事でお前は救われたんだ……」

 

 そう、確かに僕は彼女に呼ばれて、彼女の甘い匂いを嗅いで、いつも好きでたまらない彼女の大きくいやらしい乳首を触って、やはり大好きな彼女の張り詰めた大きな胸を揉んで意識を取り戻したんだ!

 

 ディヴェリクスの言葉に僕は自分がレイナーレの愛の力によって救われた事をはっきりと認識して彼女に礼を言う。

 「レイナーレ、ありがとう!!」

 

 「そんな……お礼を言うのは私の方よ! あなたがあそこであの力を発動しなかったら、私も、そしてカラワーナもミッテルトも間違いなく奴らによって殺されていたわ。ありがとう、ミコト!」

 レイナーレはまた涙を流して僕に礼を言った。僕の心はそんな彼女を愛おしく思う気持ちであふれる。

 

 でも、僕は本当にあのグレモリー眷属に勝てたの? そしてレイナーレを本当に守れたの? もしかして夢だなんて事はないよね?

 

 不安になった僕はもう一度確かめる事にした。僕は目の前で張っている、レイナーレの大きく美しい乳房に手を伸ばし、その頂の、勃起してビン!と突き出している彼女のいやらし過ぎる大きな乳首に指を近づける。もし、その瞬間、彼女の姿が消えてしまったら……! そんな恐れを抱きながら……

 

 しかし、僕の伸ばした人差し指に確かにカチカチに硬く勃起した乳首がぐにっ! と触れる。その硬くて弾力にあふれた感触はまさにレイナーレ……彼女の乳首そのもの!

 

 そして指にその感触が伝わった瞬間、レイナーレが甘い声を上げて裸体を大きくのけぞらせる。

 「あっ!! あはあんっ!!」

 

 この極度に感じやすい乳首、それを触られて発した甘い声、間違いない!! 僕のレイナーレ!! 僕の愛しい、美しくていやらしい至高の堕天使!!

 

 僕は嬉し涙を流しながら、夢中でレイナーレの乳首を指でさすり回す。その硬くてムチムチの弾力にあふれた素晴らしい感触を存分に楽しむ。

 

「あはっ!! ああんっ!! ああっ!! ミ、ミコトおっ!! 大好きなあなたに乳首触られるのっ!! 最高に気持ち良いわあっ!! あっ!! も、もっともっと乳首触ってえっ!! ふああんっ!!」

 

【挿絵表示】

 

 僕と同様に嬉し涙を流して性感帯の乳首を触られる快感にもだえるレイナーレ。彼女の美貌は歓喜に輝き、彼女の美しく卑猥な裸体から汗がダラダラとあふれ落ち、甘酸っぱい匂いが立ち込める。

 

 嬉し涙に濡れて歓喜の表情であえぐレイナーレの顔は例えようもないほどに美しく、彼女の大きくいやらしい勃起乳首が僕の指の動きと共にぶるっ! ぶるっ! と卑猥にうごめく。

 

「ああっ!! レイナーレっ!! こんなに素敵な君をあのグレモリーの悪魔たちは残酷に殺そうとした!! 君のこの美しくていやらしい素晴らしい体を彼らは消し去ろうとした!! でも、僕は君を彼らから守れたっ!! 嬉しいっ!! 嬉しいよっ!! これからも絶対に君を守るっ!! 絶対に彼らに君を殺させたりしないっ!! 愛してるっ!! 誰よりもっ!! 僕のレイナーレっ!!」

 

 そう誰よりも愛しい彼女の大きな乳首をさすり回しつつ、喜びの涙を流しつつ、僕は彼女に叫ぶ。そして彼女も僕の頭を優しく抱いて、僕の乳首への愛撫に甘い声でもだえつつも、僕の愛に応えてくれる。

 

「ああんっ!! ミコトおっ!! わ、私も愛してるわっ!! 誰よりもあなたをっ!! あのむごい悪魔どもから私を愛の力で守ってくれるあなたをっ!! わ、私は誰よりも愛してるのっ!! あはあっ!! ミコトおっ!! これからもずっと永遠に私を離さないでっ!! そ、そしてこうやってっ!! はあんっ!! 私の乳首を愛してえっ!! 私をあなたの愛で包んでっ!! 私のミコトおっ!! あっ!! あああんっ!!」

 

 そして僕はいったんレイナーレの大きく卑猥な乳首から指を離してそれをよく見つめる。今まで夢中で、眼鏡もなくなっていたので気が付かなかったが、彼女の乳首のあちこちから血が流れ出した事、そしてそれが固まってこびりついているのが確認できる。

 

「レイナーレ、君の乳首、血が……」

「あっ……こ、これは……」

 

 レイナーレはその事について言いづらそうだったがディヴェリクスが彼女に代わって説明してくれる。

 「相棒、お前が力を暴走させた時、神器に宿る俺とお前が一部同化したせいで、お前は一部だがドラゴン化したんだ。それでお前の手はドラゴンの手に変化して爪が大きく、鋭くなったんだ。レイナーレはお前を元に戻す為にお前のその鋭い爪を自分の乳首に触れさせたのさ。だから彼女の乳首は傷だらけになったんだ」

 

 「そう……だったんだね……」

 僕は血があちこちにこびりついているレイナーレの乳首を見て、僕の為にそこまでしてくれた彼女を愛おしく思う気持ちを募らせる。

 

 そして僕は彼女に謝る。

 「レイナーレ、ごめんね。そして、ありがとう」

 

 レイナーレはそんな僕に優しく微笑む。

 「ううん……ミコト、私を守ろうと、あの恐ろしい悪魔どもと戦ってくれたあなたの為なら、この程度の事なんて何でもないわ。それに、私、あなたの爪で乳首つつかれて凄く感じちゃったのよ♪」

 

 「レイナーレ……!」

 僕は胸が熱くなると同時に、僕のその鋭利な爪で乳首をつつかれて、乳首から血を流してあえぐ彼女を想像して、僕の股間は激しくうずく。

 

「レイナーレ、人間界では【唾液は傷を癒す】とよく言うの。僕のせいで傷付いた君の乳首、僕がいっぱい吸って、なめ回して癒してあげる」

 

 そう言うと、僕はあちこちに血がこびりついた、ビンビンに勃起したレイナーレの卑猥極まる硬く大きな乳首にむちゅうっ! と思い切り吸いつく。僕の口内に彼女の乳首の硬くムチムチとした素晴らしい感触と同時に、それにこびりついている血の味が広がる。

 「あっ!! ああんっ!!! ミコトおっ!!!」

 

 レイナーレが僕の頭を抱えてぎゅっ!と抱き締める。僕はそのまま彼女の乳首をじゅるるるるるーーーーーーーっ!と思い切り吸い上げる。

 

 「あっ!! あっ!! あはああああっ!! ミコトおっ!! ああああああーーーーーーんっ!!!」

 レイナーレの甘い絶叫が響き渡った。

 

 そして僕は彼女の乳首をなめ回し、しゃぶりまくる。

 「るろっ……れろれろっ……ぺちゃあっ……じゅるるるっ……ああっ……! レイナーレ、どう? 傷は?」

 「あああんっ!! ミコトおっ!! あ、あなたの唾液がっ! ち、乳首の傷に染み込んでっ!! す、すごく気持ち良いのおっ!! ほ、本当に癒されている感じがするわあっ!! あはあんっ!!! もっともっと乳首なめ回してえっ!! もっともっとしゃぶってえっ!!」

 

 その彼女の甘い叫びに僕の心はさらに熱く燃え上がり、股間が猛り立つ!

 

「うんっ!! もっともっと君の乳首をなめ回してあげるっ!! もっともっとしゃぶってあげるっ!! 愛してるっ!! 愛してるよぉっ!! 僕の、僕のレイナーレっ!! あむっ! じゅるるるるるーーーーーっ!!」

「ふあああああっ!!! ミ、ミコトおおっ!! わ、私も愛してるっ!! 愛してるわあっ!! 私のミコトおっ!! ああああーーーーーーーーっ!!!」

 

 夢中でレイナーレの乳首をむさぼる僕と、僕の頭を抱いて裸体をのけぞらせてもだえ、絶叫するレイナーレ。その燃え上がる愛の炎が僕たち二人を包み、僕たちはもう周囲の事など完全に忘れて、ひたすらその愛に身を焦がした。

 

 

****************************************************************

 

 

 存分に愛しいレイナーレの裸体を味わった僕は、その後、カラワーナさんとミッテルトちゃんから無事を大いに喜んでもらった。もっとも、それと同時にカラワーナさんからは

 「お気持ちは分かりますが、せめてもう少し人目を気にしていただけたら……」

と注意され、ミッテルトちゃんからは散々冷かされた。

 

 さらに僕はレイナーレたちから、僕が正気を失っていた間の事を詳しく聞いた。力を暴走させた僕が襲ってきた木場を返り討ちにした事、それに逆上した兵藤が同じく力を暴走させて僕と彼とが激しい戦いを繰り広げた事、しかし僕も彼もこれ以上戦い続けると危ないという状態になったところで、グレモリー眷属に味方する【陽太郎】という謎の男が介入して来て、それによって結果的に兵藤はもちろん、僕も救われたという事、そしてその【陽太郎】という男はあの教会から脱出した際にも、逃げる僕たちの姿を眺めていたという事を……

 

「その【陽太郎】という男は一体……」

「分からないわ……でも、あなたとの戦いで消耗していたとはいえ、あの暴走した一誠を一撃で倒すほどの男だから、凄く強い事は間違いないわ。今回は結果的に助けられる形にはなったけれど、彼はグレモリー眷属と結託している事は間違いないわ。用心しなくてはならない相手よ」

「なるほど……」

 

 レイナーレの話を聞いて、僕はその【陽太郎】という男に今後、注意しなければならないと感じた。そしてその時……

 

 「クニハラ・ミコトとかいったかな? なかなかに面白いものを見せてもらったよ」

 と若い男の声が響いた。

 

 「!!!?」

 僕たちは驚いて声のした方を見つめる。するとそこには、銀髪で透き通った青い目で整った顔立ちの、多くの女性たちが一目で惹きつけられるであろうほどの、凄い美少年が立っていた。

 

 「あなたは……?」

 僕はその【彼】に尋ねる。一方、レイナーレにカラワーナさんにミッテルトちゃんは、その彼にただならぬ雰囲気を感じたらしく、険しい表情で身構える。

 

 「レイナーレ、彼が、君が言っていたその【陽太郎】っていう人?」

 僕の質問にレイナーレは首を振る。

 

 「いえ、その男ではないけれど……」

 自分を警戒する僕たちの様子を見て、その【彼】はフッと笑った。

 

 「怖がらなくてもいい。俺はアザゼルの使いとして君たちを迎えに来ただけだ」

 「えっ!? あなたがアザゼル総督の使いの方ですか?」

 と僕は【彼】に聞いた。

 

 一方、レイナーレは大いに警戒した様子で【彼】を睨みつける。

 「あ、あなた、アザゼル様とどういう関係なの!? アザゼル様を呼び捨てにするなんて……見たところ堕天使ではなさそうだけれど……」

 

「俺はアザゼルとは長い付き合いでね。まあ、言うなれば彼の息子のようなものかな……まあ、見ての通り、俺は堕天使ではないがね。堕天使レイナーレ」

「あ、あなたがアザゼル様の【息子】!?」

 

 レイナーレが驚愕している。話の限り、アザゼル総督の実の息子ではなく、総督が育ての父というところなのだろう。

 

「それにしても……人間の、そして全く鍛えられていないひ弱な君がまだまだ未熟とはいえ、【赤龍帝】をはじめとするグレモリー眷属に対してあれだけの戦いをするとはな。君の持つ神器……ドラゴンの力はなかなかのもののようだ。もっとも、この俺には到底敵わないがな」

 

 こ、この人!! 僕がディヴェリクスを宿している事を!!

 驚く僕。その僕にディヴェリクスが語りかける。

 

「この小僧……【白龍皇(はくりゅうこう)】だ。神滅具【白龍皇の光翼】(ディバイン・ディバイディング)の持ち主だ」

 

 「す、凄い人なの!!?」

 「ああ、あの小僧……【赤龍帝】の【赤龍帝の籠手】と対をなす存在。そして現時点では【赤龍帝】よりも実力は問題にならねえくらい上だ」

とディヴェリクスは説明してくれた。

 

 「さて、今日のところは俺は君たちをアザゼルの元へと送り届けるのが仕事だ。俺について来てくれ」

と【彼】は言い、その言葉に僕はレイナーレたちの方を振り返る。

 

 「…………………」

 彼女たちは【彼】を警戒して、信じて良いものか躊躇しているようだ。

 

 「悪魔たちを完全に敵に回している君たちに選択する余裕などないはずだがな……」

と【彼】が言った。確かに【彼】の言う通りだ。今の僕たちに【彼】を疑っている余裕なんてない。

 

 「行こう」

 「ええ、分かったわ」

 僕はレイナーレの手を取り、彼女もそれ以外に道はない事を感じているのだろう。うなずいて同意する。

 

 そして僕は【彼】に頭を下げる

 「よろしくお願いします」

 

 すると【彼】はその端正な顔に微笑を浮かべて言った。

 「君は中々に頭が良くて聡明なようだね。【情念の炎】の宿主よ」

 

「僕の神器を!?」

「俺の中の【彼】が教えてくれたのさ」

「【彼】……!?」

 

 ディヴェリクスが僕に説明してくれる。

 「こいつが体に宿しているドラゴンの事だ。伝説の龍……【白い龍】、【アルビオン】」

 

 「ついでに言っておくが、俺の名はヴァーリ、覚えておくがいい」

と【彼】は言った。

 

 そして【彼】……ヴァーリは背中に白く輝く翼を出現させる。

 「では、俺について来い」

 

 そう言って飛び立つヴァーリ。

 「レイナーレ、お願い!」

 「ええ……!」

 

 レイナーレはまだヴァーリに対して疑いを持っている様子ではあったが、僕の声にうなずいて僕の体を抱き締める。彼女の張り詰めた大きな胸が僕の体に押しつけられ、僕は愛しい彼女のぬくもりを強く感じる。

 

 彼女は僕を抱き抱えて飛び立ち、ヴァーリの後を追った。それにカラワーナさんとミッテルトちゃんも続いた。

 

(次回に続く)

 




 今回の第8話も以前のお話とは大きな変更がありました。

 まず、前の話ではこの時点ではまだ登場していなかった鬼崎が前回の終わりから本格的に登場し、彼が一誠たちグレモリー眷属を尊とレイナーレが隠れていた町に案内する役割を担っている事、また、前の話では力を暴走させた尊の前にグレモリー眷属は全員あっさりと敗れましたが、今回のお話では暴走した尊に斬りかかった木場が倒された事に激高した一誠が尊と同様に力を暴走させ、尊と一誠、共にドラゴンを宿した二人が互角の攻防を繰り広げました。

 そして暴走した尊と一誠は、それぞれ宿している黒龍(ディヴェリクス)と赤龍(ドライグ)を思わせる姿に変貌し、尊の変貌した姿は挿絵にも載せました。今回の二人の暴走による外見的変化は、まだまだ二人が真の覚醒にははるかに遠いという事があり、原作第6巻の覇龍化一誠とは異なり、顔や手が幾分変貌しただけの、大体にして人間の姿を残したものに共にとどまっています。

 暴走した一誠を止めねば彼の命が危うい、という理由のもとに二人の戦いに介入して、戦いを中断させた鬼崎。作品中で出てきたように鬼崎はあのヴァーリ・ルシファーの友人で彼と互いの力を認め合っているほどの強者であり、暴走したとはいえ、まだ戦いの道に足を踏み込んだばかりの素人である一誠や尊などはその気になれば簡単に始末できる力を持っています。

 二人を争わせておいて、これ以上は危険と思えばそれを止める、まるで二人が強くなるのを期待して楽しんでいるかのような鬼崎、果たして彼の素性と目的は?そして彼の本気の能力は?それは今後、明らかになっていきます。

 戦いの後、暴走した尊が愛するレイナーレの乳首で自分を取り戻す場面、これはもちろん、原作6巻の覇龍化一誠とリアスのエピソードと同じ形になっています。尊と一誠は宿敵の関係で色々と対照的ですが、共にドラゴンをその身に宿し、愛する女性の胸を力の源とするという共通点もあります(笑) もっともリアス以外の多くの女性とも関係を結んでハーレムを形成する一誠に対し、尊はあくまでもレイナーレに一途というところが大きく異なりますが。今後もそうした場面は何度も出てきますのでお楽しみに!

 辛くもグレモリー眷属の襲撃という絶対の危機を逃れた尊とレイナーレは、現れたヴァーリの案内で堕天使界へと向かいます。次回はいよいよ二人がアザゼルと対面します!果たしてその結果は?そしてレイナーレの願いとは?

 それでは、次回をお楽しみに!^^
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