※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D~情念の炎~(完全版)   作:ドミトリ

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 グレモリー眷属に追い詰められつつも、辛うじて彼らを退けた尊とレイナーレたちは【白龍皇】ヴァーリの案内で堕天使総督アザゼルのもとに向かい、彼と謁見する。

 果たして尊とレイナーレに対するアザゼルの対応は……?


第9話・愛の誓い

 ヴァーリに従って僕たちは冥界へのゲートに導かれた。空間に大きな幾何学的な文様が浮かんでいて、そこからまばゆい光りが降り注いでいる。

 

「これが魔界への入口。この先にレイナーレ、君の本来暮らしている世界があるんだね」

「ええ、そうよ」

 

 僕は自分を抱き抱えてくれているレイナーレとそんな会話を交わす。全く未知の世界、僕の最愛の美しき女性の世界。その世界にこれから入ろうとしている。僕は思わず緊張する。

 

 「では、入るぞ」

 ヴァーリが最初にゲートの中に入って行く。それに次いでレイナーレが僕を抱き抱えたまま、ゲートの中に突入する。

 

 「わっ!! うああああっ!!」

 ゲートに入った瞬間、僕を煌々と輝くまばゆいばかりの光と、強い圧迫感が襲う。

 

 「ミコトっ! 心配しないで! 大丈夫よっ!」

 レイナーレが叫びつつ、僕を強く抱き締めてくれる。僕は彼女の張り詰めた大きな胸の深い谷間に顔を埋めて、彼女の大きな乳房の弾力感と、硬く勃起している彼女の大きな魅惑の乳首の感触、彼女の甘い匂いをいっぱいにかいで、全身を襲う圧迫感に耐える。

 

 そして……

 

 「ミコト、着いたわよ」

 レイナーレの声に、僕は彼女の胸から顔を上げる。

 

 その瞬間、僕は頭がクラッとして、思わずその場に倒れ込む。

 「わっ!!」

 

 「ミコトっ!」

 レイナーレがサッと僕の体を抱き留めてくれる。

 

 「ご、ごめんね。なんだか目眩がして、体が疲れている感じで……」

 そう、ゲートをくぐり抜けた時間はほんの一瞬だったのに、なんだか異様な疲労感を僕は感じていた。

 

 そんな僕をレイナーレは優しく見つめてくれる。

 「仕方ないわ。あなたは初めて世界を超えてここに来たんだもの」

 

 なるほど、時差ボケと空気圧の影響みたいなものかな?

 

 僕はそんな事を考えつつ、改めて顔を上げて辺りを見回す。その風景は一見、僕たちの世界とそれほど変わらない。緑と山々、豊富な水をたくわえ、流れる大きな川といった雄大な自然が広がっている。

 

 しかし、その空はワインレッドのように赤く染まっていて、そこには僕たちの世界では見られないような巨大な鳥の顔と翼に獣の体を持った怪物や、翼を生やした物語に出てくる悪魔のような怪物が空を飛んでいる。

 

 「レイナーレ、あ、あれは?」

 僕は怪物たちの恐ろしげな顔と、巨大なくちばしや鋭いかぎ爪に思わず恐怖感を覚えつつ彼女に尋ねる。

 

 「ああ、あれはグリフォンとガーゴイルよ。こちらから危害を加えない限りは襲って来たりはしないから安心して」

 レイナーレは僕を安心させようと優しく微笑んでくれる。

 

 「あっれ~~ミコトくん、グレモリー眷属の悪魔どもにも立ち向かうミコトくんが、グリフォンやガーゴイルが怖いっすかぁ~~?」

 ミッテルトちゃんが悪戯っぽい表情で笑う。

 

 「仕方ないだろう! ミコト殿はこの世界に初めて来られて、ああいうものを見るのも初めてなんだから!」

 カラワーナさんはミッテルトちゃんをたしなめる。それにレイナーレも同意してくれる。

 

 「そうよ! カラワーナの言う通りよ!」

 

 そんなやり取りをしている僕たちだったが、やがて前方にいるヴァーリの声がした。

 「おや、君たちの迎えが来たみたいだな」

 

 僕たちは彼が視線を向けた方を見つめる。するとそこには……

 

 「よう、ヴァーリ、ありがとよ」

 多くの男たちを引き連れた、ワイルドな男前という感じの背の高い男がその場に腕組みをして立っていた。さぞかし女性にはモテるだろうというタイプだ。その背中からは12枚もの黒い翼が生えている。

 

 彼を一目見て、レイナーレとカラワーナさん、ミッテルトちゃんは驚きの表情を浮かべる。

 

 「あ、あのお方は!!?」

 「も、もしや!?」

 目を見開いて体をふるわせているレイナーレたち。

 

 彼に話かけられたヴァーリが応じる。

 「やあ、アザゼル、直接会うのは久しぶりだね。言いつけ通り、彼らを連れて来たよ」

 

 やはり、あの人がアザゼル総督……!

 僕は先程からのレイナーレたちの様子からおそらくそうではと思っていたが、それは正しかった。そしてその名を聞いた瞬間、レイナーレたち3人は、その場にひざまづいて平伏した。

 

 「そ、総督閣下、お初にお目にかかります……この度は私のしでかした不始末のせいでご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません」

 レイナーレはそう彼……アザゼル総督に謝罪した。

 

 レイナーレから聞いていたけれど、堕天使の世界って本当に身分の差が厳しいんだ。

 僕はレイナーレの様子にそんな事を感じつつ、彼女たちと同様にその場にひざまづく。

 

 僕は目の前のアザゼル総督に頭を下げ、レイナーレと同じ口上を述べる。

 「総督閣下、お初にお目にかかります」

 

 「お前たち、顔を上げろ」

 「はっ!」

 

 「お前がレイナーレか?」

 「はっ! 左様でございます! 私が下級堕天使のレイナーレでございます」

 

 「そしてお前たちがレイナーレの部下のカラワーナにミッテルトだな?」

 「は、はっ! 左様にございます! わ、私どものような下賤な者にお声を頂き、もったいなく存じます」

 「お、お目通り……出来て光栄で、ご、ございます……」

 

 普段は冷静なカラワーナさんが明らかに緊張していて、ミッテルトちゃんも普段の口調とは全く違う、慣れない感じの敬語で挨拶をしている。

 

 そして総督は僕を見た。

 「お前がレイナーレの恋人の……國原尊か?」

 「は、はいっ!」

 

 総督はフッと笑う。

 「そう固くなるな。気を楽にしていいぜ」

 

「は、はいっ!」

「もったいなきお言葉、感謝いたします!」

 

 総督の表情からは、僕たちに対する怒りとか蔑みといった感情はうかがえず、僕は少しホッとする。

 

 レイナーレが口を開いて再び謝罪の言葉を述べようとした時、総督は悠然と手で遮った。

 「話は明日、じっくりと聞く。今日はまずは疲れを癒せ」

 

 そして総督は傍に控えていた部下の一人に命じた。

 「宿へと案内してやれ」

 「はっ! 承知いたしました」

 

 「あ、ありがとうございます!」

 僕たちは総督の心遣いに礼を述べる。

 

 「では、俺の用事は終わったようだね。これで失礼するよ」

 ヴァーリが帰りかける。その彼を総督が呼び止める。

 

「おっ、ヴァーリ、すまねえが、お前にちょっと聞きてえ事があるんだ。ちょっとだけ付き合ってくれねえか?」

「しょうがないな……分かったよ」

 

 ヴァーリはやれやれという感じで同意した。先ほどヴァーリは総督との関係を【親子のようなもの】と言っていたが、その言葉通り、2人は気兼ねなく話が出来る関係のようだ。

 

 彼と話をするという事は、僕たちをどうすべきかという事について、彼の考えを総督は聞きたいのかな?

 

 僕はそんな事を思いつつも彼に礼を述べる。

 「ヴァーリさん、ありがとうございました」

 「礼には及ばないよ。俺はアザゼルの言いつけで動いただけだからね。【黒龍王】」

 

 

 【黒龍王】? そうか! 兵藤は赤いドラゴンを神器に宿しているから【赤龍帝】! そしてヴァーリは【白龍皇】!

 

 「今度会う時は果たして……いや、それでは俺はアザゼルが話があるという事だから、これで失礼するよ」

 ヴァーリは僕に背を向けて、アザゼル総督の方へと歩いて行った。

 

 今度会う時って……彼は何が言いたかったんだろう?

 

 「それでは、総督閣下のご命令により、君たちを案内させてもらう」

 先ほど、アザゼル総督から僕たちを宿に送るよう命じられた人が僕たちのところに来て告げた。

 

 「はい、よろしくお願いします! それでは総督閣下、本日は失礼致します!」

 僕たちは総督に向かって深々と一礼する。

 

「おう、じゃあまた明日な」

「はっ! よろしくお願い致します!」

 

 そして僕たちはその場から退出した。

 

 

****************************************************************

 

 

 私は先ほど初めてアザゼル様にお会いした。驚きと緊張で胸が張り裂けそうな気持ちだった。それはカラワーナとミッテルトも同様だった。

 

「私も生まれてこのかた、これほど緊張したのは初めてでした……」

「ウチ、ビックリし過ぎて頭の中がパニクッちゃったっすよ~~」

 

 それはそうだ。極めて身分差が厳しいこの堕天使の世界で、総督という至上の地位にあるお方が、私たちのような下級の者をわざわざ出迎えに来てくださり、お声をかけてくださったのだ。その事に私は驚き、感激した。さらにアザゼル様は私たちの為に上等な宿舎と豪華な食事まで手配してくださった。本当に感謝の言葉もない。

 

 とはいえ、その場で私たちの処遇について、アザゼル様からお言葉を頂けなかったのは正直、気になっている。それはお言葉にあったように、私たちの疲れを考慮されての事だとは思う。

 

 しかし、私としては、もしかして上層部において私たちに厳罰を科すべきだという意見が強くて、それへの対応に苦慮されているのでは? あるいはグレモリー眷属の悪魔どもの強硬な引き渡し要求に困惑されているのでは? そんな不安が胸をよぎってくるのだ。

 

 「レイナーレ、どうしたの?」

 尊の声に私はハッとする。そう、今、私は宿舎の部屋に彼と二人きりだ。カラワーナとミッテルトは別の部屋にいる。夕食は4人で一緒にとったが、その後は彼女たちと分かれたのだ。

 

 「あっ、ミコト、あ、あの、私……」

 「うん、分かっているよ。アザゼル様があの場で僕たちをどうするのか、それを仰ってくださらなかったのが不安なんだね」

 

「ええ、アザゼル様が私たちを気遣ってくださっているのは分かっているのだけれど……もしかして上層部の中に私たちを厳罰に処すべきとか、悪魔たちの要求を聞いて引き渡すべきとかいった声が上がっていて、もしかしたらそうした声に迷われていらっしゃるのかも……そんな不安も抱いてしまっているの」

 

 私は思っている事を一切隠す事なく尊に話した。そう、私は、私を一途に愛してくれている、私を命を賭けてグレモリー眷属の悪魔どもの憎しみと殺意から守ってくれているこの子になら、自分の全てをさらけ出せる。

 

 そんな私の傍に尊はそっと寄ると、私の体をぎゅっ! と抱き締める。

 「あっ……ミコト……」

 

 思わず尊の顔を見つめる私。そんな私を尊は優しく見つめる。

 「大丈夫だよ。アザゼル様は絶対に君をグレモリー眷属に引き渡したりなんかしない。僕たちを引き裂いたりなんかしない。僕はそう確信しているの。それに、たとえ何があっても僕は君と一緒にいるよ。君を絶対に一人にはしない! 君がもし死ぬのなら、その時は僕も一緒だから!」

 

 この子のその言葉に私の胸に熱いものがこみ上げ、私は思わず涙を流す。

 「ミコト! そう、そうよね! アザゼル様は決して私たちを見捨てたりされないわよね! それを信じなければ! そしてミコト、あなたがそばにいてくれるもの! あなたが支えてくれるなら、私はきっとどんな事も乗り越えていけるわ!」

 「レイナーレ……!」

 

 尊がその女のように白く細い腕で、華奢な体で私を強く抱き締める。そして私たちはそっと顔を寄せて唇を重ねる。重なり合う私たちの唇。

 「あふっ……あむっ……」

 

 私は尊の歯をこじ開けるように自分の舌を彼の口内に侵入させ、ねっとりと彼の舌に絡ませ、さらに口内を余すところなくなめ回し、唾液を注ぎ込む。

 「るろっ……れろれろっ……ぺちゃあっ……ちゅうううっ……ぷはあっ! ああっ! 愛してるっ……! 愛してるわっ……! 誰よりも……! 私のミコトっ……! はむっ……じゅるるるっ!」

 「ふああああっ……はああっ……レ、レイナーレっ! ぼ、僕も愛してるっ……! 愛してるよっ……! 誰よりも君をっ……! あふっ! ううううんっ!」

 

 私のむさぼるような濃厚なキスに、尊はその美少女のように可愛らしい顔を上気させてあえぎ、その彼の表情に私の胸はドキッ!と高鳴る。

 「ああっ! ミコトったらそんなに可愛い顔を赤くしてっ! そんなに私のキス、気持ちいいの?」

 「はああっ……う、うんっ! 凄く気持ち良いよっ! 君のキスっ……!」

 「うふっ♪ 嬉しいわ♪ もっともっとしてあげるわ……あむっ……ちゅうううっ」

 

 ようやく私は尊の唇から自分の唇を離す。お互いを潤んだ目で見つめ合う私と尊。尊の目は、彼が大好きな、私の自慢の、張り詰めた大きな胸に注がれる。これから私のその胸を襲う激しいこの子の愛撫と、それによる至上の快感に私の鼓動はいつもながら高鳴る。

 

「ああっ! ミコトったらそんなに私の胸を見つめてっ! そんなに私のこの胸が好きなのね……! 私のこの胸を揉みたくて、私のこの乳首を見たくて、触りたくて、吸いたくてたまらないのね! いいわ! 好きなだけこの胸を揉んでっ! 乳首を触ってっ! 吸ってっ! 私のミコトっ!」

 

 

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 レイナーレの濃厚なキスにいつもながら極上の快感を味わった僕。いつもながら彼女のディープキスは最高だ。その舌使い、ねっとりとした感触、まるで脳がとろけるような夢心地になる。

 

 【キスの次は胸】の言葉通り、僕は目の前の、レイナーレの張り詰めた美しい巨乳を見つめる。僕は彼女と一緒に暮らすようになって以来、毎日、欠かすことなく彼女のこの胸を何時間も存分に愛しまくっている。

 

 彼女はいつも通りの黒のボンデージ姿だが、今は部屋で僕と二人だけなので、肩当てや腕当て、ブーツなどは全て脱いで、今身につけているのは、面積のすこぶる狭い、彼女の乳首をかろうじて隠すだけの胸当てと、やはり彼女の秘部を申し訳程度に隠しているだけの、黒の紐状のパンティー、そして黒の手袋とソックスだけである。

 

 ちなみに今は手袋は付ける必要はないのだが、僕がこのボンデージ姿が大好きなのが分かっている彼女はあえて付けていてくれているんだと思う。

 

 彼女の張り詰めた胸には、その黒の面積の狭い胸当てがかろうじて乳首を隠すだけの形で食い込んでいる。そしてその薄い黒布に、彼女の硬く勃起した大きな乳首がくっきりと浮かんでいて実に卑猥だ。僕は思わずゴクッ! と唾を飲み込みつつ、指を伸ばして彼女のその乳首にツン! と触れる。

 

 「あっ!!」

 僕の指が触れただけで、レイナーレはビクッ!と体をふるわせ、その美貌に悩ましげな表情を浮かべて甘い声であえぐ。そう、彼女は乳首が性感帯でとても感じやすいのだが、さらに僕の神器である【情念の炎】は、その力の源である僕の情念の対象……すなわち愛しいレイナーレの体を強く刺激する性質を持っているので、彼女は余計に激しく感じてしまうのだ。僕はそれがとても嬉しい!

 

 僕はさらに彼女の乳首をすりっ……すりすりっ……すりりっ……と激しく、執拗にさすり回す……

 「あっ!! あっ!! ミ、ミコトおっ!! ああんっ!! あはんっ!!」

 

 レイナーレは甘い声でもだえる。僕は彼女のその声と、指に感じる彼女の乳首の感触に興奮し、僕の股間は猛り立つ!

 

 「ああっ!! レイナーレっ!! 裸になってっ!! 君の乳首とアソコを見せてっ!!」

 僕は興奮して叫びつつ、彼女の張り詰めた乳房に食い込んでいる胸当てと、腰の紐状パンティーに手をかけて、それを同時にビリイッ!! と引き剥がす!

 

 「あっ!! あああんっ!!」

 レイナーレの甘い叫びと共に、彼女の張り詰めた大きな乳房がぶるるんっ! と豪快に激しく揺れて、僕が好きでたまらない、彼女の充血して変色して膨れ上がり、石のようにカチカチに硬く勃起してビン!と突き出している卑猥極まる大きな乳首が僕の目にさらされ、同時に黒の陰毛で覆われた彼女の秘部もさらされ、彼女は全裸となった。

 

【挿絵表示】

 

 「ああっ……! レイナーレっ! なんていやらしくて素敵なのっ! 君の体っ!」

 僕はいつものように感激して愛しい彼女の魅惑の裸体に魅入る。彼女の素晴らしい裸体は何度見ても飽きる事はなく、見る度に僕を激しく興奮させ、虜にする。

 

 「ああんっ……ミコトおっ……」

 レイナーレは恥ずかしそうに美貌を赤く染めつつも、その自分の自慢の美しい裸体を決して隠そうとはせず、それを僕に見せつける。

 

 彼女の妖艶な表情を浮かべた赤い瞳の整った素晴らしい美貌……香しい香りの長く艶やかな黒髪……白く滑らかな肌……

 

 彼女の乳房は90cm後半はある巨乳であるにも関わらず、重力に逆らうように張り詰めた見事な球形で、仰向けになってもその形が崩れる事はない。まさに【美巨乳】と言うにふさわしい! そしてその弾力感にあふれた乳房は僕の揉む手を押し返してくる。その感触は実に素晴らしい!

 

 そしてその頂の乳首は、僕の毎日の激しい愛撫で充血して変色して膨れ上がって大きく、石のようにカチカチに硬く勃起して、ビン! とそそり立つように突き出している。その景観は実にいやらしく、僕はいつも彼女の乳首を見るだけで股間が激しくうずき、射精しそうになる。 

 

 そのいやらしい乳首は硬いコリコリ感とムッチリとした弾力感を併せ持っていて、指で触っても舌で味わってもその感触は素晴らしく、その上、とても過敏ときている。まさに僕を虜にして離さない【魔性の乳首】だ!

 

 そして彼女のへそはキュッ! と締まっていて、腰は見事にくびれて尻も締まって丸く美しい形で見事な曲線を描いている。まさに【出るべきところは出て、締まるべきところは締まっている】女体美の極致で美の女神も到底及ばない、素晴らし過ぎる裸体だ! 僕はこんな最高の美女の愛を得たことに改めて自分の幸福を噛みしめる……!

 

 だが、こんな彼女の素晴らしい体を、あのグレモリー眷属の悪魔たちは消し去ろうとした。僕の必死の願いを無視して……その事を思い出す度に僕は愛しい彼女を失う事への恐怖に襲われる。

 

 僕の目から思わず涙がこぼれ落ちる。それを見たレイナーレが心配そうに僕を見つめる。

 「ミ、ミコト……!? どうしたの……?」

 

 「う、うん、僕ね……あのグレモリー眷属たちに見つけられた時の事を思い出して……僕、怖かった。彼らが僕のお願いを無視して平気で君を殺そうとした時、【この女の体を消し飛ばせば簡単に神器を回収できる】と平然と言い放った時、君のこの素敵な体が彼らの手で……そう思うと怖くてたまらなかったの……」

 

 「ミコト……」

 僕の言葉にレイナーレの目も潤む。

 

「そう……それにね、僕、こんな事も考えていたの。僕が今のままじゃ大好きな君とずっと一緒にいる事は出来ない。僕、僕、君と永遠に一緒にいたい! 君と添い遂げたい! だから僕は、もし、明日、君がアザゼル様の許しをいただけたなら、アザゼル様にそれをお願いしようと……」

「ミ、ミコトっ!」

 

 話しているうちに僕の目から涙が止めどもなくあふれ落ちる。そして僕を見つめているレイナーレの裸体がふるえ、彼女の目からもはらはらと涙がこぼれ落ちる。そう、彼女も僕と同じ事を考えてくれていたのだ! そして僕と同じ事を望んでくれていたのだ!

 

 

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 尊の告白を聞いて、私は感激していた。この子は、私と同じ事を考え、そしてそれを望んでくれていたのだ! 私は明日、アザゼル様に自分の罪を許していただけたなら、それをお願いさせていただく決意だった。でも、心の中で、

 もし、ミコトがそれを拒否したなら……

という一抹の不安があった。しかし、今、尊は直接、彼が私と同じ気持ちである事を打ち明けてくれたのだ!

 

 私の胸が歓喜で張り裂けそうに高鳴る。

 「ミコトっ! 嬉しいっ! 嬉しいわっ! 私もずっとその事を考えていたの! あなたがそうなってくれたらどんなに素晴らしいかって……でも、もし、あなたに嫌と言われたらどうしようかって不安だったの……でも良かったっ! あなたもそれを望んでくれてっ! ええ! 私もそうよ! あなたと永遠に一緒にいたい! あなたと添い遂げたい! ミコト、明日、二人でアザゼル様にそれをお願いしましょう!」

 

 「レイナーレ……! うん! そうだね! 二人でお願いしようね!」

 尊は私の叫びに大きくうなずく。

 

 私の心はそんな彼を愛おしく思う気持ちで一杯となり、私は嬉し涙を流す。

 「ええ! ええ! そうね……!」

 

 そして私は愛しいこの子に愛撫を求める。

 「さあ……来てっ……あなたが愛してくれて、あの悪魔どもから守ってくれた私のこの体を存分に愛してっ……!」

 

 

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 全裸のレイナーレが嬉し涙を流しながら僕の愛撫を求める。そんな彼女をいじらしく思う気持ちと、彼女の美しく卑猥な魅惑の裸体の魅力に僕の鼓動は激しく高鳴り、僕の股間は猛り立つ!

 

 「ああっ!! レイナーレっ!!」

 僕は誰よりも愛しい彼女の名を叫び、目の前で張っている彼女の大きな乳房の頂の、僕を誘うようにビン!と突き出している卑猥極まる大きな乳首を今度は直に指ですりっ……とさする。

 

 「あっ!! ああっ!!」

 レイナーレがまたビクン!と裸体をふるわせる。そして僕は彼女のそのいやらしい乳首を指でぎゅっ! と強くつまむ。

 「ふあっ!! はあああんっ!!!」

 

 レイナーレが裸体を大きくのけぞらす。そして僕はつまんだ彼女の乳首を指でぎゅりっ!と強くひねる。

 「ふっ!! ふひいいいいっ!!!」

 

 性感帯の乳首への強い刺激にレイナーレが絶叫する。僕は彼女の乳首をさらにぎゅりっ!ぎゅりぎゅりっ! ぎゅりりいっ!と激しくひねり回す。

 「ふっ!! ふぎいいいいいいいいっ!!! いひいいいいいいいっ!!!」

 

 レイナーレが凄まじい声で絶叫する。僕は彼女のその痴態と、指に感じる彼女の大きな乳首の硬くコリコリした感触と、ムチムチした弾力感に激しく興奮し、さらに彼女の乳首を夢中でひねり回す。

 「はひいいいいいいいっ!!! ミ、ミコトおおおっ!!! ち、乳首そんなに攻められてえっ!!! わ、私いいいっ!!! 感じすぎておかしくなっちゃいそうよおっ!!! あひっ!!! あひいいいんっ!!!」

 

 僕の激しい乳首への攻めにレイナーレは目を見開き、口元から涎を垂れ流して、長い黒髪を振り乱し、その美しくいやらしい裸体をのけぞらせ、汗をほとぼしらせて淫らにもだえまくる。

 

「ああっ……! レイナーレっ! いつもこんなに感じてくれてっ! 嬉しいっ! 嬉しいよっ!」

「あはあっ!! そ、それはミコトっ!! あ、あなただからっ!! ふあっ!! 誰よりも大好きな愛しいあなただからっ!! わ、私っ!! ふひっ!! こ、こんなに感じちゃうのよおおおっ!!! はひっ!! も、もっともっと私の乳首攻めてえっ!! ふぎっ!! そ、そうよおおっ!! あひゃっ!! あひゃあああああああーーーーーーーんっ!!!」

 

 ああっ……!! レイナーレっ!! 君はなんでこんなに可愛いのっ……! 僕の愛撫にこれほどまでに感じてくれてっ! 僕を一途に愛してくれてっ!

 僕の心に彼女を愛おしく想う思いがあふれる。それと同時に僕の脳裏にあの兵藤の罵りが響く。

 

 そいつは顔や体は綺麗でも心は悪魔以上に悪魔な最低の堕天使なんだ!

 そんな見てくれだけの、悪魔以上に悪魔な外道堕天使を盲愛してるてめえなんかな!!

 

 違うよ! 外見しか見てないのは兵藤くん、君の方だよ! 君は彼女を本気で愛した訳じゃない! 【本当に大切に思っていた】って君は言いながら、彼女を説得しようと、改心させようという努力をせずに、ただ憎んでいる。彼女は本気で愛せばこれほどまでに一途に応えてくれるのに……! こんなに可愛いのに……!

 

 僕の心の中で兵藤にそう抗議する。そして僕は改めて、その兵藤を始めとするグレモリー眷属たちからレイナーレを守る決意を固める。

 

「レイナーレ、僕は大好きな君のこの乳首に賭けて誓うよ」

「えっ……?」

 

 驚くレイナーレのビンビンに勃起した大きく硬い乳首に僕はギッ!と爪を立てる。

 「ふっ!! ふぎいいいいいいいいいっ!!!」

 

 レイナーレがまた目を見開いて絶叫する。その彼女に僕は続ける。

 「絶対に兵藤くんから、彼を始めとするグレモリー眷属たちから君を守り抜くって。そして君をずっとこのように愛し続けるって!」

 

 そう僕は決意を告げつつ、爪を立てたレイナーレの乳首をそのままぎゅりりりっ! と強くひねり上げる。僕の彼女への強い想い、僕の情念を込めて。そして僕にねじられた彼女の乳首が卑猥な形に変形し、彼女は涙を流し、口元からまた涎を垂れ流してもだえ叫ぶ!

 

「ふっ!! ふぎいいいいいいいっ!!! う、嬉しいわああああっ!!! そ、それほどまでにっ!!! はひいいっ!!! わ、私を愛してくれてええっ!!! お、お願いいいいっ!!! わ、私をこれからもあの悪魔どもから守ってえええっ!!! あひっ!! そ、そしてこうやって永遠にいつも私と一緒にいてっ!! ふひっ!! わ、私の乳首を愛し続けてえっ!!! わ、私のミコトおおおっ!!! あひゃっ!!! ああああああーーーーーーーーーっ!!!」

 

【挿絵表示】

 

 レイナーレの絶叫が部屋中に響き渡り、彼女は裸体を大きくのけぞらせて絶頂に達した。

 

 そして……………

 

 「はあんっ……はあはあっ……ミコトおっ……好きよっ……大好きっ……あはあんっ……」

 レイナーレが汗でびっしょりと濡れた魅惑の裸体をベッドに横たえ、甘い声でもだえている。彼女の張り詰めた大きな乳房の頂にそそり立ついやらしい大きな乳首は、僕の激しい攻めでさらに膨れ上がり、長くなってとても卑猥だ。僕はその彼女の乳首にまた激しい欲情を感じつつ思う。

 

 僕の【情念の炎】は、レイナーレへの想いがその力の源……! それならきっと……!

 

 そこで僕はレイナーレの傍に寄って、彼女に自分の思いついた事を伝える。すると彼女はさすがに美貌をカーーーッと赤くする。

 「えっ……? そ、それはっ……あっ!! ミコトったらっ、ま、また乳首をっ!! あっ!! ああああんっ!!!」

 

 

****************************************************************

 

 

 俺はアザゼル。一応、堕天使の総督で【神の子を見張る者(グレゴリ)】のトップをつとめてる。色々と面倒くせえし、いまいちガラじゃねえって気がするんだが……

 

 俺は今、厄介な問題を抱えている。俺の部下の下級堕天使の女……レイナーレが、悪魔の、それも魔王サーゼクスの妹のリアス・グレモリーとその眷属どもとの間に争いを起こして、奴らに追われてこの俺に助けを求めて来た。

 

 リアスや兵藤一誠はレイナーレへの復讐に燃えていて、この俺に身柄を得た場合の引き渡しを執拗に求めている。確かに話に聞いた、レイナーレのしでかしちまった事は深刻だし、本来なら連中に引き渡すのが筋なのかもしれねえ。だが、俺はどうもそうする気にはならねえ。

 

 レイナーレが相当な美女だって事も多少はある。シェムハザにはそれを勘繰られて突っ込まれた。だが、それ以上に俺が興味をひかれたのはレイナーレの人間の恋人の國原尊、あいつが兵藤一誠との戦いで見せた潜在能力とレイナーレを命を懸けても守りたいという強い想いだ。

 

 人間の身で、そして神器の能力に目覚めたばかりの身で、あいつは二度に渡って【赤龍帝】兵藤一誠と互角に渡り合ってグレモリー眷属からレイナーレを守った。それは並大抵の事じゃねえ。

 

 あいつの誠実な性格は、あいつがレイナーレと共に送って来た手紙、そして今日、実際に会ってみた様子からも確認できた。もし、俺があいつの願いを拒否してレイナーレをグレモリー眷属に引き渡すと言おうもんなら、あいつは間違いなくレイナーレと共に死ぬ事を選ぶだろう。俺としてはそれは避けてえ。後味が悪いってだけじゃねえ。俺たち堕天使界にとっても貴重な人材をみすみす失う事になっちまう。シェムハザの奴もそんな俺の率直な気持ちを話すと理解を示してくれた。

 

 そこで俺はヴァーリにあいつらを迎えに行かせた。あいつなら一人でもグレモリー眷属どもと張り合える実力があるし、堕天使じゃねえ分、しがらみもなくて身軽だからな。そして俺は今、二人を連れて来たヴァーリを自室に呼んで、話を聞く事にしたって訳だ。

 

「じゃあ、尊たちを迎えに行った時、あいつらはどんな感じだったか話してくれ」

「実は俺が迎えに行った時、彼らは既にグレモリー眷属たちに追い詰められていてね……」

 

「何……? じゃあ、お前が尊たちを連中から助けたのか?」

「いや……いよいよとなったら俺が出て行くつもりだったんだが……それには及ばなかったよ」

 

「どういう事だ?」

「あの國原尊がレイナーレの助命をグレモリー眷属たちに願ったが拒否されて、その瞬間、彼は突然泣き叫び、力を暴走させた。それに対してあの【赤龍帝】……兵藤一誠が対抗して力を暴走させて戦い、互角だが共に危険な状態になった。そこに突然、【ある男】が乱入して兵藤一誠を気絶させ、戦いを止めてリアス・グレモリーたちを説得して引き下がらせた。これ以上戦えば兵藤一誠の身も危険だからってね……」

 

「その【ある男】ってのはどんな奴だ? 兵藤一誠が危険だからってリアスたちを説得して引き下がらせたっていうからには、そいつ、グレモリー眷属なんじゃねえのか?」

「さあ……俺も初めて会った相手だからね……だが、少なくともグレモリー眷属じゃないのは、リアス・グレモリーとの会話を聞いていても確かだろう。だけど、凄く強い男なのは間違いない。この俺を十分に楽しませてくれるくらいはね」

 

「ほう……お前にそれだけ言わせるってのは、そいつ、かなりのモンだな。だけどよ、お前、そんな強者を目の前にして【戦闘狂】の血がうずかなかったのかよ?」

俺の問いにヴァーリはフッとその端正なツラに微笑を浮かべる。

 

「今回はアザゼル、あんたに頼まれた仕事が優先だからね。それに俺はその【彼】にも興味はあるが、【赤龍帝】と【黒龍王】にも興味があるからね。二人とも今はまだまだだが、成長してこの俺を満足させられる相手になって欲しい、そう願っているから」

「なるほどな……」

 

 俺はヴァーリの話に出て来た、兵藤一誠と尊の戦いを止めたという奴の事が気になったが、ひとまずそれは置いて次の質問に移る。

 「しかし、尊だって一誠と同じく暴走してたんだろ。そっちは一体どうしたんだ?」

 

「レイナーレが國原尊のもとに行って彼を止めたよ。彼の持つ神器は【情念の炎】……宿り主が何物に代えても欲するもの、それを求めて力を欲する事でその力を発揮する神器……そして彼の情念の対象はレイナーレだからね。彼に力を発揮させるのも、彼を止められるのもレイナーレだけだって事さ」

 

「そうか。尊の神器は【情念の炎】……って言うと、神器に宿っているのはあのディヴェリクスの奴。あいつ、なかなかクセがあって宿主を選ぶ奴だが……そうか。あいつが尊にな。それでヴァーリ、お前は尊の事をどう思う?」

 

「まあ、俺には到底及ばないが、なかなかに凄い潜在能力を秘めている。それに彼はなかなかに頭が良くて賢明だ。突然現れた俺を警戒するレイナーレたちに対して、彼は俺を信用する以外に道はないとすぐに判断した。それに、聞いたところによれば、彼は先に下級悪魔たちに襲撃された時も、倒したその連中を殺さずにアザゼル、あんたにその処置を任せる事にしたそうだな。あんたの意向やサーゼクスたち悪魔の上層部への配慮だろうな。あんたの部下にすれば、結構役立つんじゃないかな。まあ、決めるのはあんただが……」

 

「そうか……ありがとよ。ずいぶんと参考になったぜ」

「そうか、それは良かった。じゃあ、今日のところは俺はこれで失礼させてもらうよ」

 

「お前もずいぶんとせわしいじゃねえか。もっとゆっくりしていけや」

「ちょっと用事があるんでね。それじゃ」

 

 ヴァーリはそう言ってそのまま立ち去った。やれやれ、あいつは変わらねえな。他人に合わせるって事を知らねえ。それはそうと、ヴァーリの話はずいぶんと参考にはなった。

 

 國原尊って奴、確かに俺が思った通りの奴だ。明日が楽しみだぜ!

 

 

****************************************************************

 

 

 翌朝、僕たちはアザゼル総督から使わされた部下の人の案内で、総督の率いる堕天使たちを束ねる組織【神の子を見張る者(グレゴリ)】の本部へと赴いた。

 

 見えてきた堕天使本部の建物。さすがにこの世界の中心だけあって、すこぶる大きくて立派な建物だ。そして僕の隣にいるレイナーレは僕の腕にぎゅっとしがみつく。

 

 無理もない。この場所は下級堕天使であった彼女にとっては雲の上の場所で、憧れの場所であった所。そこに来てやはり彼女にとって【雲の上のお方】であったアザゼル総督と謁見するのだ。緊張するなという方が無理だろう。

 

 それに彼女は【罪を犯してしまった者】として、その裁決を総督から受ける立場でもあるのだ。僕の励ましで勇気を出してくれたとはいえ、いざとなるとやはり不安に襲われるのは仕方ない。

 

 僕はそのレイナーレを勇気付けるために強い口調で言い切る。

 「大丈夫だよ! 僕がいるから!」

 

 カラワーナさんとミッテルトちゃんも彼女を励ます。

 「そうですとも! レイナーレ様! ミコト殿がいてくだされば大丈夫ですよ!」

 「そうそう、姉さま! ミコトくんが一緒なら鬼に金棒っうすよ!」

 

 するとレイナーレも緊張した顔に懸命に笑顔を浮かべる。

 「あ、ありがとう……! そうよね! ミコトが一緒にいてくれれば大丈夫よね!」

 

 そして僕たちは堕天使本部の中へと入る。中はとても近代的でその設備・科学技術は僕たちの世界のものを大きく凌駕していると感じる。そこでは数多くの職員たちが働いている。レイナーレの話によれば、ここで働けるのは堕天使の中でもごく一握りのエリート中のエリートだけであるという事だ。

 

 だが歩いているうちに、僕たちは多くの職員たちが僕たちの方を見て、なにやらヒソヒソと話をしているのに気づく。それはどう見ても好意的な様子ではない。

 

 その会話の内容が聞こえてくる。

 「ちょっと……見ろよ、あの女」

 「ああ、確か前にテレビに映っていたな。確かレイナーレとか……魔王サーゼクス・ルシファーの妹との間に事件を起こした女だ」

 「総督閣下のご命令に背いて悪魔との戦争をまた引き起こしかねないような事件を起こしたんだよな」

 「それでいて、よくのうのうとこんな所に来れるわね。一体どういう神経をしてるのかしら? 大体何? あの恥女そのものといういやらしい格好! 恥知らずも極まれりだわ」

 「きっとあの体でこれまで多くの男をたぶらかしてきたに違いないぜ。ゲスな売女だ!」

 「そういえば、あの恥女と手を取り合って歩いている男の子、結構可愛いわね。きっとあの恥女の性欲処理の相手よ」

 

 「………………………」

 聞くに堪えない悪意ある侮蔑の言葉を浴びせられてレイナーレは今にも泣き出しそうな様子をしつつも必死で耐えている。僕も、そしてカラワーナさんとミッテルトちゃんも今にも怒りが爆発しそうなのを必死でこらえる。

 

 そして僕たちは総督の執務室の前へと案内された。僕たちをここまで連れてきた人が厳しい表情を浮かべた。

 「くれぐれも総督閣下に失礼がないように。君たちの身分で総督閣下にお会いできるなど、ほとんど前例のない、破格の待遇なのだからな。それを肝に銘じるように」

 「はっ!」

 

 大きな声で返事をしたものの、僕は内心、このあまりに厳しい堕天使の階級社会のあり方に、そしてレイナーレがたとえ罪を犯したとはいえ、彼女をあからさまに侮辱するエリート堕天使たちの態度に強い違和感と反感を感じた。

 

 その案内役の人が執務室のドアをノックする。

 「総督閣下、下級堕天使レイナーレとその仲間の者たちを連れて参りました」

 

 「分かった。中に入れ」

 「はっ!」

 

 案内役の人が僕たちを引き連れる形で執務室の中へと入る。そこには豪華なソファが並んでいて、アザゼル総督はその中央に腰掛けていた。その傍にはベレー帽のような帽子をかぶった、何だかルネサンス時代のような古めかしい感じの衣装を着た銀髪の男性が立っていた。

 

 この人もなかなかハンサムな人だけれど、ワイルドな感じのアザゼル総督に対してほっそりとしていて真面目そうな感じ……アザゼル総督の秘書か何かかな?

 

 「おう! よく来たな!」

 総督は僕らに声をかける。

 

 「そ、総督閣下……本日は私たちのような者にこのような場を設けてくださいまして……」

 レイナーレが恐縮した様子で挨拶を述べる。

 

 「堅苦しい挨拶はいい。今日はお前たちとじっくり本音で語りてえんだ。まあ、座れ」

 「では、レイナーレさんとミコト君はこちらに……カラワーナさんとミッテルトさんはあちらに」

 

 ベレー帽の男性が僕たちにそれぞれの座る場所を示してくれる。

 「失礼いたします!」

 

 そして総督は案内役の人に命じる。

 「ご苦労だったな。後は俺たちだけでじっくりと話をしたい。お前はもう下がっていいぜ。そして、俺が良いと言うまでこの部屋には誰も入れるな。誰かが来ても待たせておけ」

 

 「さ、左様でございますか……承知致しました」

 案内役の人は驚いた様子を見せつつ、その場を退出した。

 

 「さてと、それじゃ話に入るとするか。まずはお前たちから何か俺に聞きたい事があるか?」

 総督の問いにレイナーレがベレー帽の男性を見つめつつ聞く。

 

 「総督閣下、あの……そちらのお方は?」

 「ああ! そういやあ、まだ紹介してなかったな! こいつは俺の片腕で副総督のシェムハザだ」

 

その言葉に僕は驚き、レイナーレとカラワーナさん、ミッテルトちゃんは文字通り仰天した。

 

 「シェ、シェムハザ副総督閣下でございますか! こ、これは知らなかったとはいえ、ご無礼をお許しください!」

 レイナーレたち3人は慌ててベレー帽の男性……シェムハザ副総督に深々と頭を下げた。

 

 すると副総督は優しく微笑んだ。

 「良いのですよ。先ほどアザゼルが言ったように、今日は忌憚なく話しましょう」

 「は、はっ! ありがとうございます!」

 

 「では、まずはレイナーレ、お前にあの町、駒王町での事を聞く。包み隠さず正直に話せ」

 「はっ……」

 

 レイナーレは沈痛な表情で頭を下げ、あの町での自分の行動について話し始めた……

 

 上層部の命令で危険な神器保有者という理由で兵藤を殺害した事、そして僕も同様の理由で殺そうとしたが、命を引き替えにしても自分を愛して欲した僕を殺せずにその後、僕と恋人関係になった事、アーシアさんの神器を奪ってそれを総督に献上する事で総督の寵愛を得たいと思って彼女を殺害した事、その事で兵藤やグレモリー先輩たちグレモリー眷属の憎悪を買い、彼らによって絶体絶命の危機に陥った事、

 それらの事をレイナーレは一切隠す事なく述べた。

 

「それでレイナーレ、お前はアーシアの神器を奪ってそれを身につける事で、本気でグレモリー眷属の連中に勝てると思ってたのか? そしてそんな形で奪った神器を俺に差し出して俺が喜ぶと本気で思ってたのか?」

 

 アザゼル総督の問いにレイナーレの体がふるえ、彼女の目から涙があふれ出す。

 「総督閣下、私は愚かでした……身の程知らずにも私はあの神器を手に入れさえすればグレモリー眷属など恐るるに足らずと思い上がっておりました。そしてあの神器をお見せすれば、総督閣下は喜んでくださるに違いないと勝手に思い込んでおりました……ミコトは私の事を心から心配して必死で止めてくれたのに、私はそれを退けて暴走して……そのために大切な部下のドーナシークは私を助けるために命を失いました。そして私は総督閣下に多大なご迷惑をおかけして……本当に申し訳ございません!!」

 

 そう言ってレイナーレはさめざめと泣き続けた。僕はそのレイナーレのふるえる肩を抱いて、彼女の背中を優しくさする。

 

 アザゼル総督はそんな僕たちの様子を見つめていたが、しばらくして今度は僕に視線を向けた。

 「尊、お前はレイナーレに騙され、殺されそうになったにも関わらず彼女を愛し、命と引き替えにしてでも彼女と結ばれる事を望んだ。そして彼女がお前の説得を聞かずにグレモリー眷属の怒りを買って追い詰められた時も、お前は命を賭けて彼女を救った。お前は一度でもそれを後悔したり迷ったりした事はねえのか?」

 

 僕は即座に答える。

 「ありません。僕は命と引き替えでも彼女と結ばれる事を望みました。だから彼女にならたとえ殺されても本望だと思いました。そして彼女が危機に陥った時も、僕はとにかく彼女が好きでたまらなかったし、彼女は僕の説得を聞かなかったとはいえ、彼女なりに僕を本気で愛してくれていましたから、悪魔たちに彼女を殺されたくない! 彼女を何としてでも守りたい! ただその一念でした!」

 

 「ミコト……!」

 レイナーレが涙に濡れた目で僕を見つめる。

 

 「お前のそれほどまでのレイナーレへの想い……決して皆に受け入れられるわけじゃねえぞ。それは自覚しているか?」

 アザゼル総督は厳しい表情で僕に聞いた。それは僕のレイナーレへの愛を否定している訳ではなく、僕の覚悟のほどを試そうとしているように僕は思った。

 

「ええ……兵藤くんたちには【盲愛だ】、【気違いだ】と散々に言われています。でも僕は、誰に何と言われようとレイナーレの事が大好きです! たとえこの世界の人々が全員彼女の敵となっても、僕だけは彼女を愛して彼女の味方でいる決意です!」

「ミコト!」

 

 「尊、人にはいろんな愛の形がある。その兵藤一誠……奴には奴なりの考え、矜持もあるだろうぜ。お前と奴、どちらの愛のあり方が正しいか、それは俺にも分からねえ。だがな、好きな女のために命を賭けられるお前、俺は嫌いじゃないぜ」

 

 そう総督は言ってニヤリと笑った。

 「総督閣下……」

 

「それにお前は、ここに来る直前に下級悪魔のチンピラどもに襲撃されて勝った時も奴らを殺さずにその処置をこの俺に任せた。お前にとっちゃあ愛する女を辱めた上にグレモリー眷属に引き渡そうとした憎い奴らだろうに……俺の立場とかサーゼクスの事を考えたんだろうぜ。お前にゃそういう物事を的確に判断できる能力もある。ますます気に入ったぜ」

 

 「そ、それでは……総督閣下……」

 レイナーレが思わず目を見開く。

 

 その彼女に総督は笑いかけた。

 「ああ。レイナーレ、お前には別のやり方で罪を償ってもらうぜ。尊と共に俺に仕えな。そしてそれを通じてお前は今回の汚名を挽回するんだ」

 

 「そ、総督閣下……! あ、ありがとうございます……!」

 レイナーレは涙に濡れた感激の表情で頭を下げ、礼を述べる。

 

 そして僕もやはり感激で胸がいっぱいになる。

 「総督閣下……ありがとうございます! レイナーレ共々、閣下に誠心誠意お仕えいたします!」

 

 「レイナーレ様!! ミコト殿!! 良かったですね!!」

 「姉さま!! ミコトくん!! 良かった!! 良かったっす!!」

 カラワーナさんもミッテルトちゃんも心から喜んで、ミッテルトちゃんは喜びの涙を流しつつレイナーレに抱きついた。

 

 

****************************************************************

 

 

 喜んでくれるのは嬉しいが、その代わりお前らにはこれからたっぷりと働いてもらうぜ!

 

 俺は泣きながら喜び合っているレイナーレや尊たちの様子に思わず微笑ましさを覚えつつも考える。

 さて……これからどうするか……

 

 その俺の気持ちを見透かすかのようにシェムハザが俺にそっと顔を寄せて小声でささやく。

 「アザゼル、あなたの決定に私は反対しませんし、私もあのミコトという少年を気に入りました。ただ、この事をグレモリー眷属の面々が知ったら……」

 

「ああ、間違いなく激怒するだろうぜ。だが、俺にもちゃんと考えはある。だからこの件については俺に任せな」

「分かりました。あなたがそこまで言うのなら、お任せしますよ。マイマスター」

 

 そして俺は尊たちの方へと向き直る。

 

 

****************************************************************

 

 

 「さて、それでは改めて今回の件の処置についてお前たちに伝える」

 アザゼル総督…アザゼル様の声が響く。

 

「まずはレイナーレ、お前がアーシア・アルジェントから奪った神器はグレモリー眷属の連中に返せ」

「は、はい、それはもちろんでございます。ですが……先日、グレモリー眷属たちに襲われた時も、ミコトはそれを返す事を条件に私を許すよう彼らにお願いしてくれたのですが、彼らはそれを承知いたしませんでした。あくまでも私たちを殺さなくては気が済まないと……だからミコトは私を守るために力を……」

 

 「そうか。あいつらのお前たちへの憎しみは凄まじいからな……まあ、分かった。とにかくお前は奴らに神器を返さなくちゃならねえ。それはその時が来たら改めて伝える。そして後の事は俺に任せろ」

 どうやらアザゼル様にはレイナーレへの復讐に燃えているグレモリー眷属に対して何か策があるようだ。

 

 僕としても、アーシアさんには申し訳ないという気持ちは強い。レイナーレがアーシアさんに神器を返して、それでアーシアさんが蘇るのであれば、それは喜ばしい事だ!

 

 「は、はっ! 承知いたしました!」

 レイナーレはそう言って深々と頭を下げる。そしてアザゼル様は今度は僕の方を向いた。

 

「尊、俺の部下になるに当たってお前にはこれから特訓を受けてもらう」

「【特訓】ですか……」

 

 僕は思わず緊張する。するとアザゼル様は笑う。

 「まあ、そう硬くなるな。お前、グレモリー眷属の連中にレイナーレを殺すと言われて、思わず力を暴走させたそうじゃねえか。今回はそれで事なきを得たが、力を暴走させるのはお前にとって極めて危険だし、お前が真の力を身につけてそれを発揮するには自分のパワーをコントロール出来るようにならなくちゃいけねえ……それはお前だって分かるだろ?」

 

 「は、はい」

 確かに仰る通りだ。今回はレイナーレが身を挺して止めてくれたので良かったが、毎回、あんな風に力を暴走させたら大変な事になりかねない。

 

「それで総督閣下、特訓とはどのような事をすれば良いのでしょうか?」

「そうだな……まずはお前、右手を極力使わずに左手で生活するようにしてみろ」

「左手で生活、ですか……?」

「そうだ。食事をする時も、何か持つ時も、字を書く時も極力、左手でするようにしろ」

「そ、それはどのような……?」

 

 「左手を右手と同じように使えるようにする。つまり両利きになれという事だ。両利きになる利点は大きいぜ。まず、攻撃の幅が広がる。そして敵がこちらの攻撃を予測しずらくもなる。左右、どちらから攻撃が来るのか分からねえのは敵とすりゃ相当やりずらいぜ。【ミスディレクション】ていう両手を使ったマジックのトリックもあるだろ? 相手を幻惑する事も出来るぜ。尊、お前はあの兵藤一誠に比べてパワーでは大きく劣る。そんなお前が今後、あいつみてえなパワーファイターに対抗していくには実に有効な技能だ」

 

 「なるほど……! 分かりました! 今後、両利きになる訓練をしていきます!」

 アザゼル様の説明は実に分かりやすく理に適っていて僕は心から納得する。

 

「よし! そしてもう一つ、【空間認識能力】を鍛えろ。そのトレーニングについては俺が提供してやる」

「【空間認識能力】……あの、物を真っ直ぐ見ている状態から離れて、それぞれの物体がある場所・向き・大きさ・姿勢・形・速さ・物体同士の位置関係などを素早く正確に認識する能力ですね?」

 

「そうだ。その能力を身に付ければお前は、敵の姿やその行動、状況を素早く認識して対策が立てやすくなる。敵が大人数でいろんな方向から襲ってきても対処しやすいって訳だ。お前が運動能力に乏しくて素早い敵の動きについていけなくても、その能力を身に付ければ対処可能だ」

 

 アザゼル様の話に僕は、あのフリードとの戦いを思い起こす。僕はあの時、フリードの素早い動きについていけず、あの男の攻撃を一方的に受けた。フリードが僕を見くびって油断しなければ、またディヴェリクスの適切なアドバイスがなければ危なかった。

 

 そして先日のあの下級悪魔たちの襲撃の時にも、僕は彼らの不意打ちに対応できずに捕らわれてしまい、そのせいで愛しいレイナーレを危険と恥辱にさらしてしまった。もう、彼女をあんな危険にさらしたくない!

 

 「総督閣下、ご説明ありがとうございます! それでは仰る通り、その特訓を受けさせて頂きます。よろしくお願いいたします!」

「おう! やる気になってくれて嬉しいぜ!」

「はい!」

 

 だが、そこでレイナーレが心配そうな表情を浮かべる。

 「あ、あの、総督閣下」

 

「何だ?」

「総督閣下のお気遣いに感謝いたします。ですが、ミコトは正直、非力で運動能力も乏しいのです。あまり激しい訓練は無理かと……」

 

 するとアザゼル様はまた笑う。

 「ああ、そりゃ大丈夫だ。それについちゃ俺も把握してる。ちゃんと尊にあったトレーニング法を考えてやる。そしてレイナーレ」

 

「は、はい!」

「お前は尊の訓練に常に同行してしっかりサポートしろ。尊はお前の事が絡むととてつもねえ力を発揮する。お前がいれば尊は頑張れる。そして尊の神器はお前への想いをパワーに発動される。なら、お前がしっかりついていてやらなきゃダメだろ? お前が尊を支えてその能力を存分に引き出せ」

 

 そのアザゼル様の言葉にレイナーレの美貌がパッ!と輝く。

 「はっ! 承知いたしました! 私がミコトを支えて2人で総督閣下のお力になれるよう頑張ります!」

 

「ああ、頼んだぜ! そしてさっき言った両利きになるための訓練、お前も尊に付き合ってやれ。お前が一緒にやってやれば尊も気持ちが入るだろうし、お前自身もより強くなれるからな」

「は、はっ!」

 

 僕も心の中で歓喜していた。正直特訓と聞いて怖い気もしたが、レイナーレが、愛しい彼女が一緒なら僕は頑張れる……!

 

「それからカラワーナとミッテルト、お前たちも尊とレイナーレと一緒に同じ訓練をしろ

「はっ!承知いたしました!」

「全力で頑張るっす……いえ、頑張ります!」

 

「よし! それじゃあ両利きの訓練は早速、今日から始めろ。そして空間認識能力については明日から特訓開始だ。早速、明日の朝に迎えを送るから、お前たちはそれに従って特訓の場に行け。詳しい事はシェムハザから聞きな」

「は、はいっ!」

 

 そして僕たちはシェムハザ様から明日の予定について具体的な説明を受けた。

 

 

****************************************************************

 

 

 尊たちがシェムハザから説明を受けている間、俺は……

 

 「よう、久しぶりだな。ディヴェリクス」

 「おう、あんたも変わってねえな。アザゼル」

 そう、俺はもう何百年ぶりか、久々にディヴェリクスの奴と話していた。

 

「お前、なかなか面白れえ相棒を見つけたじゃねえか」

「ああ……あんたもずいぶんとあいつの事を気に入ったようだな」

 

「まあな。俺は好きな女の為に命を張れる奴は嫌いじゃねえんだ」

「へへっ、あんたらしいぜ。俺の大事な相棒をよろしく頼むぜ。あいつは見かけはひ弱そうに見えるかもしれねえが芯は強ええ……きっとあんたにとって役立つはずだ」

「ああ、任せておきな」

 

 俺がディヴェリクスの奴とそんなやり取りを交わしている内にシェムハザの説明も終わった。そして俺は尊たちに伝えた。

 「じゃあ、今日の話はこんなところだ。最後に何か俺に頼みたい事があったら遠慮なく言ってみな。必ずしも応えられるとは限らねえが」

 

 

****************************************************************

 

 

 アザゼル様は私たちに「頼みたい事があれば遠慮なく言え」と仰られた。

 「あ、あの……総督閣下にここまでして頂いて、これ以上のお願いをさせて頂くなど心苦しいのですが……」

 

 そう言いかけた私の肩を尊が押さえる。

 「あっ……ミコト……」

 「レイナーレ、僕から話すよ」

 

 尊は私の目をしっかりと見つめてそう言った。私はうなずいて彼に任せる。

 

 そして尊はアザゼル様を見つめると、その場にひざまずく。

 「総督閣下、これは僕とレイナーレ、二人が強く願っている事です。レイナーレが言ったように、ここまでして頂いてあつかましいと思われるかも知れませんが、お聞き入れ頂ければこれほど嬉しい事はございません」

 

 「どうやら、かなり真剣な願い事のようだな……分かった。言ってみな」

 アザゼル様はそう仰られた。そこで尊はその願い……それは私の切なる願いでもある……を述べる。

 

「総督閣下……どうか僕を堕天使にして頂きたいのです」

 

 「ミコト殿……!!」

 「ミコトくん……!!」

 カラワーナとミッテルトが尊を見つめる。そして私もその尊の私への強い想いゆえの必死の表情と、それに対するアザゼル様の反応を固唾を呑んで見守る。

 

 「そうか……お前は堕天使に……」

 アザゼル様はそう仰ると考え込むような様子を見せられる。

 

 そのアザゼル様に尊は高ぶる感情で涙を流しつつ、切々と訴える。

 「総督閣下。僕は先ほども申し上げたようにレイナーレの事を……彼女の事を心から愛しています。そして彼女も僕を愛してくれています。でも、僕はただの人間。このままでは彼女はずっと若いままなのに、僕はすぐに老いさばらえて死んでしまいます。それは嫌なんです! ずっとすっと彼女と一緒にいたい……! 彼女と常に寄り添って、共に支え合っていきたいのです! どうか、どうかお願いいたします!」

 

 そして私も尊と同様に、その場にひざまずいて涙ながらにアザゼル様に訴える。

 「総督閣下! 私からもお願いいたします! どうかミコトを堕天使にしてくださいませ! 私はこれまで自分が出世したいという愚かな野心に囚われて滅びの道を自ら歩んでおりました……そんな私を命を賭けて愛してくれて、私の目を覚まさせてくれたのがミコトでした。今の私はただ、大好きな彼とずっと共に生きたい、ただ、それのみを望んでおります。どうか私とミコトがずっと共に支え合って生きる事ができるよう、彼を堕天使にしていただきたいのです! どうか、どうかお願い申し上げます!」

 

 アザゼル様はそんな私たちをしばらくの間、見つめていたが、やがてうなずかれた。

 「そうか……お前たちの願いはよく分かった」

 

 「で、では!!」

 私と尊の中で思わず期待が膨らむ。

 

 しかしアザゼル様の次の言葉は…

 「お前たちの願いを聞き届けてやりてえのは山々なんだが……現状ではその願いを俺が叶える事は不可能だ」

 

 

****************************************************************

 

 

 「えっ……!?」

 僕とレイナーレはアザゼル様の言葉に思わず戸惑う。

 

「堕天使になるためにはその前にまずは天使でなけりゃならねえ……だが、人間から天使になるって話は今のところ通常じゃあり得ねえんだ……」

「えっ!? で、でも悪魔たちはあのグレモリー眷属たちのようにどんどん人間から……」

 

 「確かにな。上級悪魔の連中はどんどん自分のお気に入りの人間を【悪魔の駒】を使って悪魔に転生させて自分の眷属にする事が出来る。だがな、俺たち堕天使や天使はそうじゃねえんだ。天使や堕天使が人間との間に子供を産んでその子が天使や堕天使にってのは出来る……しかし、普通の人間がいきなり天使や堕天使になるってのは現状じゃあ不可能なんだ」

 

 「そ、そんな……」

 僕は思わず目の前が真っ暗になったような思いに襲われる。

 

「落ち着け。俺が言ったのはあくまでも【現状では】って話だ。今、天使も俺たち堕天使も長年の戦争で大きくその数を減らしてる。それをどうにかしなくちゃならねえってのは天使どもも俺たちも痛感してる。今、悪魔どもの転生技術を応用しての人間から天使への転生を可能にする実験を天界でも進めていると聞く。いや、もう既に成功したのかもしれねえ……」

 

 そ、そうなんだ……! では! で、でも、確か今、天使は悪魔と同様に堕天使と敵対していると聞いたはず……

 

「まあ、今、俺たち堕天使と天使は対立は続いてるが……俺は現在の天使長のミカエルとは古い付き合いでな。近々、奴には正式に和平を持ちかけてえと思ってるんだ。そしたらその時にでも尊、お前の事を奴に頼んでやる。あいつはちょっとイケすかねえとこもあるが、人を見る目はある奴だ。きっとお前の事も気に入るだろうぜ」

 

 「ミ、ミカエル天使長様にでございますか!?」

 レイナーレが思わず大声をあげた。そして彼女は僕にささやく。

 

 「ミコト、天界でそのような研究が進んでいて、そしてミカエル天使長の同意を得られればきっと可能性は大きく広がるわ!」

 アザゼル様、そしてレイナーレの言葉に沈みかけていた僕の希望は大きく広がる。

 

 そして僕はアザゼル様に心からの礼を述べる。

 「総督閣下……! ありがとうございます!」

 

 「ああ。だが……ミカエルの同意を得るには尊、お前自身が奴の信頼を得なきゃならねえ。そのためにもお前は今はしっかりと訓練して自分を磨いておけ」

 「はい! 頑張ります!」

 

「よし! じゃあ今日はこれで終わりだ。宿に戻ってしっかりと休め! 明日から訓練だからな」

「はっ! 総督閣下! 本日は誠にありがとうございました!」

 

 僕たちはそう礼を述べ、執務室を退出しようとした。だがその時、アザゼル様は僕を留める。

 「尊、あと一つお前に伝えとく事がある。レイナーレたちは先に外で待っていろ」

 「あ、はい……」

 

 「…………………」

 レイナーレは僕とアザゼル様の方を気になるという様子で見た。しかし彼女はすぐに微笑みを浮かべる。

 

 「じゃあミコト、私たちは外で待っているわ。それでは総督閣下、失礼いたします」

 そしてレイナーレはカラワーナさんたちと共に部屋の外に出た。

 

 「それで総督閣下、僕に伝えたい事とは?」

 「尊、お前については少し調べさせてもらった。お前にはあちらの世界に両親がいるんだろ。今頃、お前の事をずいぶんと心配してると思うぜ」

 アザゼル様は声をひそめた。

 

 「は、はい……」

 そう、僕の故郷は駒王学園から遠く離れた所にあって、僕は駒王学園に通うために親元から離れてアパートで暮らしていた。僕がレイナーレたちと逃亡生活を余儀なくされて日が経った後、僕はさすがに両親に何も伝えないわけにもいかず、事情があって駒王学園を休学して、今は愛する女性と遠い所で暮らしていると電話で伝えた。

 

 当然、両親は驚愕して、とにかくその女性と共に家へ戻って来るようにと言った。母は泣いていた。僕は心がとても痛むが、グレモリー眷属に追われている身で故郷に帰るなど彼らに捕まりにいくようなもので到底不可能だ。

 

 「大丈夫だから安心して!! いずれ必ず彼女と一緒に帰るから!!」

 僕は断腸の思いで両親に泣きながらそう伝えて電話を切った。そしてそれ以降、僕はスマホの電源を切り、両親とは話していない。話しても辛くなるだけだから。それでもせめて両親を少しでも安心させたいと思い、無事を伝える手紙は何度か送っている。

 

 「グレモリー眷属に追われている今のお前が、親元へ戻れねえのは仕方ねえ。だが、いずれ落ち着いたら、一度ちゃんと戻ってやれ。レイナーレを連れてな」

 「はい……お気遣いありがとうございます」

 アザゼル様の気遣いに僕は礼を述べて、執務室を出た。そして廊下で待っていてくれたレイナーレと落ち合う。

 

 「ミコト、アザゼル様と何をお話ししたの?」

 「うん……実はね……」

 僕は彼女にありのままの事を伝えた。

 

 「そう……ごめんなさい……私のせいであなたにも、そしてあなたのご両親にも辛い思いをさせてしまって……」

 レイナーレは心から申し訳ないという表情で頭を下げる。

 

 「いや、これは仕方のない事だから……でも、レイナーレ、いずれアザゼル様のお力であちらへ戻れるようになったら、その時には僕は君を両親の元へ連れて行きたい! 【この女性が僕の妻になる人】と紹介したいんだ。その時は来てくれる?」

 

 するとレイナーレは涙の溜まった目で僕を真っ直ぐに見つめる。

 「ええ! 行くわ! そして私、お義父様とお義母様に【私のせいでご心配をおかけして申し訳ありませんでした】と謝るわ! そしてその上で、ミコト、あなたが私にとってどれほど愛しくて大切な人なのかをお伝えするわ!」

 

 「レイナーレっ!!」

 僕の心は彼女を愛おしく思う気持ちで一杯となり、僕は彼女の名を叫びつつ、彼女を強く抱き締めた。

 

 そして僕たちは外で待っていたカラワーナさんとミッテルトちゃんと合流して、宿舎へと戻った。

 

(次回に続く)

 




今回の第9話、以前のお話からの大きな変更箇所としては、まず、尊たちをめぐってのアザゼルとヴァーリの会話の場面です。以前のお話よりも鬼崎の登場が早まった事により、会話の内容が幾分変化しています。

ちなみにこの場面でヴァーリは鬼崎について【初めて会った相手】と、明らかな嘘をアザゼルに対してついています。初めてどころか、前回の描写にあったようにヴァーリにとって鬼崎は初めて会ったどころか、お互いの力量を認め合った友人同士です。何故、このような嘘をつくのか、これは次回以降の展開に大きく関わってきます。

そして尊がレイナーレたちと共にアザゼルの部下に迎えられ、アザゼルから訓練を命じられる場面。アザゼルは尊に対して【両利きになれ】、【空間認識能力を身に付けろ】と以前の話のものよりも訓練の内容についてより具体的な指示を与えています。この事もまた、今後の展開に大きく関わってきます。

後、前のお話だと尊の訓練開始と、その後の敵の襲撃のストーリーも第9話に入っていましたが、それを加えると長くなり過ぎるので、それは次回の第10話に回しました。

尊がレイナーレと愛し合う中で思い付いて彼女にささやいた事、それは次回の第10話の展開に大きく関わってきます。

そして尊が愛するレイナーレと添い遂げる為に堕天使になりたいとアザゼルに願った件、これが今後、どうなっていくのか…?ご期待ください!

それでは、次回をお楽しみに!(*´∀`*)
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