ソードアート・オンライン 背徳な攻略者 作:ボルメテウスさん
作品内での設定の違いなどはありますが、ご了承ください
また、プレイ内容についても募集しております。
皆様の応募、お待ちしています。
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SAOの世界に入り込んでから、2年以上の時が経った。
このアインクラッドに閉じ込められ、75層で、キリトがこの事件の黒幕である茅場との戦いに勝利した時、俺達は解放されるはずだった。
だが、戦いが終わりを迎えるのと同時に変化が起きた。
俺達の身体は青い光に包み込まれ、無作為に選ばれたのか二つに分かれたアインクラッドにそれぞれテレポートされてしまった。
キリトの所にはクラインやリズべットなど、俺の知り合いも多くは攻略するべき75層よりも上の階へと転移される。
そして俺を含めた僅かな攻略組、そして攻略に参加できない子供達やその世話をしていた人などは下層へと取り残された。
それが、どのような意味で選ばれたのかは俺には分からない。
茅場が仕組んだ罠かもしれない。
もしかしたら、それ以外の誰かの仕業かもしれない。
ましてや、茅場すら想定していなかったエラーなのかもしれない。
だが、一人の天才によって作られたこのデスゲームの中で、攻略できない俺達はどう足掻いても脱出する事はできない。
できる事は、生き残る為に戦い続ける事だけだった。
そんな戦い続ける日々は慣れているはずだったが、様子が日々弱っている人物に対して、俺は心配していた。
「おい、大丈夫か」
「うっうん、ありがとうね、ハルキ君」
そう言いながら、あまり元気がないのか、力のない笑みを浮かべている彼女はアスナ。
リアルではどのような生活をしているのか分からないが、このSAOの世界ではキリトやクラインと同じぐらいに戦いを共にした仲間である。
そんな彼女はキリトの恋人であり、俺以上に離れ離れになってつらい人物だと思う。
「とりあえずは向こうはもう90層までクリアしたらしいぞ。
これまでにない程の装備とかあるらしいからな、あと少しかもしれない」
そう言いながら、俺は今日、キリトと話した内容をアスナに報告する。
かつて75層のボスがいた部屋は現在は転移が可能になっており、そこでは上層との連絡が行えるようになっていた。
すぐに攻略に参加できると思っていたが、どうやっても転移する事ができず、俺達はそのまま彼らの報告を待つしかなかった。
「もう少し、本当にかな」
「アスナ?」
俺からの言葉を聞いたアスナだが、その声は未だに不安だったのか、涙を出しながら答えた。
「この世界の理不尽な事は知っているよ。
だからこそ、最後まで負けるつもりはなかった。
でも、戦う事すらできない、この状況じゃ、私はっ」
同時に吐き出されたのは、彼女の確かな本心だった。
脱出する為の手段を奪われ、愛する人と離れ離れになって、どうする事もできない状況の中で、彼女は俯いていた。
俺はそんな彼女に対して、どう声を掛ければ良いのか迷う事しかできない。
「アスナ、あいつはそんな簡単に死なないし、絶対にクリアできる。
だから、諦めるなよ」
この状況では慰めにもならないが、俺は生きる希望を失ってほしくなくて、言う。
このまま自殺してしまったら、あいつに合わせる顔がない。
そんな思いと共に、アスナは
「ハルキ君。
だったら」
その言葉と共にそれまで座り込んでいたアスナは立ち上がり、俺に詰め寄る。
何をするつもりだったのか分からなかったが、座っていたソファの上に無理矢理押し倒され、目の前には涙目のアスナがいた。
「私の寂しさを埋めてよ」
「なっ何をっ」
アスナが何をしてほしいのか分かった俺はすぐに止めようと動こうとした。
「キリト君がいつ死ぬのか分からない不安はもう抑えられないのっ。
好きな人が傍にいない寂しさはもぅ、駄目なんだよ」
「だけど、俺はキリトじゃ」
未だに落ち着きを取り戻していない彼女に対して、俺はそっと言う。
この場で答えたら、きっと彼女自身が後悔するからこそ、俺は
「君にも好きな人がいるのは知っているよ。
キリト君の妹さんの事が」
「っ!?
いや、あいつとは、別にそういう関係じゃ」
アスナから出たその言葉を聞いて、俺は返事する事ができなかった。
「だからこそ、私の思いが分かるはずだよ」
そう言って、アスナはそっと俺に近づく。
「キリト君がいなくて寂しい。
今も彼が頑張ってくれているのを知っているけど、もしも、その間に私を見てくれなくなったら」
「そんな事は」
そう言おうとしたが、俺はすぐに答えを出す事はできなかった。
キリトはこのゲームで覚醒したように強くなって、そして異性にモテるようになった。
本人のこれまでの生活の影響なのか、そういう所は鈍感になっていたが、周りからしたらバレバレである。
そんなキリトと結ばれたアスナはかなり凄いと思うが、もしも離れていたら。
「だから、今はこの寂しさを埋めて欲しいの。
私はキリト君を思って、君は、君の好きな人を思って」
「アスナ」
その甘い誘惑に対して
2年という月日であいつが俺を見てくれなかったら、そんな恐怖を知っているからこそ、彼女の思いが理解できる。
何よりもあの時、再会できる喜びが突然消えてしまい、会えなくなってしまうのではないかと考えた時の恐怖を知っている。
だからこそ
「あぁ」
逆らう事など、できなかった。