※この作品はR-18です。

出来損ないの転生魔術師〜三千年の時を越えて俺に会いに来たエルフがいるって本当ですか!?〜   作:☆あきつしま☆

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転校生のケイティ

 その後。襲われても文句言えないぞ? というような露出度の高い服を来たケイティと一緒に学校へ登校し、職員室まで彼女を案内する。

 

「そこら辺の先生に声をかけて、『この学校に転入したいんですけど』とか言ったらあとは向こうが諸手を挙げて色々説明してくれると思う。ちなみに、この学校は資金繰りが苦しいらしくてな。新入生を年中募集しているらしい。そういうことだから、入学試験なんて受けなくてもお金さえ出せば入れてくれるはずだ。それと……」

 

 俺はケイティの長い髪で隠れた耳を指差しながら、

 

「家から出る前にも言ったが、それは絶対に隠しておくこと。じゃないと、大変な騒ぎになって収集がつかなくなるからな?」

 

 と、一応の忠告をしておく。

 エルフはこの世界では非常に希少な人種なのだ。そんな人が、このギーギル王国でも最底辺な学校に現れたとなれば……ケイティを拉致しようとする人が出てきてもおかしくない。

 

「心配していただいてありがとうございます! でも大丈夫です! しっかりと耳には認識阻害の魔術をかけていますから!」

 

 ……まあ、そういうことなら問題ないな。

 

 その後、朝のHRがそろそろ始まりそうだったので『じゃあ、またな』と言って俺は自分の教室へと駆け足で向かった。ケイティも『すぐに会いに行きますから!』と言いながら俺に手を振って見送ってくれた。

 

 

 教室に急いで入って席につくと同時に始業のベルが鳴り、いつもどおり担任の先生が来る……と思ったのだが、来ない。おそらく、シエナが捕まえた先生が俺の担任の先生だったんだろう。というわけで、『これだったら合法的に寝られるじゃん、ラッキー!』と思いながら、若干の寝不足だった俺は机に突っ伏して……夢の中へと落ちていった。

 

 

『うぉおおおおおお!』

 

 クラスメイトの大きな歓声が耳に入ってきて……俺は目が覚める。

 今は何時かと思って魔動式腕時計を見ると……俺が寝てから一時間が経過しているようだった。

 ……かなり長い間起こされずに寝られたらしい。いつもなら、十分くらいで寝ている俺の頭にチョークが吹っ飛んできて、先生に叩き起こされるのに。

 しかし、なんかやけに騒がしいな。まあ、いつも授業中でさえも騒がしい我がクラスだが、それとは違うベクトルで騒がしい。

 なんだと思って顔を上げると……丁度、先生が『じゃあ、転校生を紹介する。入ってきてくれ』と教室の扉の外にいるのであろう人物に声を掛けたところだった。

 『失礼します』とうやうやしく頭を下げて教室に入ってきたのは……今朝方着ていたエチエチな服ではなく、この学校の制服を着たケイティだった。

 ……まあ、だろうね。『すぐに会いに行く』とか言ってたもんね。

 クラスメイトたちが立ち上がって大興奮している中、俺は一人だけ椅子に座りながら静観をする。

 (しかしまあ……制服姿がよく似合っているじゃないか。)

 俺は、ぼろぼろのフード付きの服を羽織っている姿か、露出度が高い服しか彼女の普段着を見たことがなかったのだが……これは素晴らしい。

 基本的に紺色で構成された制服ではあるが、下は少し短めのスカート、上はこの学校のエンブレムがついたブレザーで(エンブレムは付けないほうが良いと思うのだが)、中には黄みを帯びた灰色(アイボリー)のセータを着ている。まだ時期としては春だから、セーターを着ていてもそこまで暑くはないだろう。で、最後にアクセントとして赤いリボンを付けて……完成だ。

 うん、制服自体も自分で学校のノーマルなものにはないセーターとかを着てかわいく仕上げているし、そもそも彼女は顔面偏差値もスタイルもいいからな。すんばらしく似合っている。こりゃ、男女構わずクラスメイトが盛り上がるのも納得ですな。

 そんな盛り上がるクラスメイトを『静かに!』と言いながら先生が落ち着かせて……

 

「では、ケイティさん。クラスの皆さんに自己紹介をしてくれるかな?」

 

 昨日、俺に三時間説教をしたこのクラスの担任であるキャメロン先生が、にこにこ顔でケイティに話しかける。

 こいつ、女子生徒にはめちゃくちゃ優しくて男子生徒にはめちゃくちゃ厳しいという典型的なおっさんだからな。こんな美人な生徒が入ってきたら……生クリームよりも甘い態度をするんだろう。というか、教師のくせにケイティの大きな胸をガン見してんじゃねえよ。ちょっとはチラ見するとか努力をしろ!

 おっさんの見え見えな下心を知ってか知らずか、彼女も先生と同じくニッコリ顔で頷き……

 

「はじめまして。私はケイティと申します。まだこのギーギル王国に来て間もないので、色々と不思議なことを言ってしまうかもしれませんが、どうぞ宜しくお願いします」

 

 綺麗なお辞儀をして、百点満点の自己紹介をする。

 クラスメイトの興奮度合いはマックスまで上がり……教室の窓が震えるほどの大歓声が起きた。

 ……いや、男子のお前ら……目が完全にイッてしまっているんだが……ケイティが襲われないか心配になるぞ……

 で、自己紹介の後は、恒例の質問タイムへと入っていった。

 

「好きな食べ物はなんですか!」

 

 名前も知らないクラスの女子が、『はいはいはい!』と勢いよく手を挙げながら質問をする。……いや、言い方に語弊があるな。俺が名前を覚えていないクラスの女子、と言うべきだろう。まあ、名前を覚えているクラスメイトなんていないが。何故か名前が覚えられないんだよなー。興味無いから覚える気が無いとも言えるが。

 

「そうですね……どの食べ物も大好きなのですが……最近食べたものでいうと、ご主人様が私にくださったカップ麺でしょうか。今まで食べたどの食べ物よりも優しさがこもっていて……それが私の一番好きな食べ物ですね」

 

 クラスメイトが『おぉ〜……お?』というなんとも言えないような声を上げる。それもそうだろう。いきなり『ご主人様』とか言い出したんだから。

 しかしながら、ここは頭が悪くて妄想豊かな高校生が集う学校。クラスメイトの一人が『ケイティさんは貧乏で、お金を稼ぐためにメイド喫茶でバイトしていて、そこのまかないを食べたんだろう。で、そこでは『ご主人様』と言いながら接客業をするから、ついつい仕事の癖が出てしまったんだと思うんだが、どうだろうか?』と何もかも間違っている推理をして……それに男どもが『そういうことか!』と納得し、女子にもその考えが波及していって……『いい話だな〜』という流れになった。

 (ケイティめ……いくら俺に『青春』と『リア充生活』を提供すると言っても、その関係性を明かすのは不味いだろ。クラスで孤立している俺が余計に孤立して、今は何も危害を加えられていないけど、最悪クラスメイトからイジメられるぞ……)

 俺は冷や汗を拭う。ちゃんと彼女には『俺達の関係性は言わないこと』と伝えるべきだった……。

 しかし時既に遅し。何も知らないクラスメイトは、無邪気にもどんどんと質問をしていき、ケイティがポンポンと導火線に着火していく。

 

「この国に来る前にはどこにいたんですか?」

「どこにいたかですか……もうそれは世界のあちこちにいました。ご主人様を探すために数え切れないほどの国を転々として……このギーギル王国にたどり着きました。そして……昨日、愛しのご主人様に再会できたのです!」

 

 ああ! やばい! 最初の自己紹介の時に言った『不思議なことを言ってしまう』という予防線では支えきれないくらいのことを言っちゃってるよ、この人!

 

「……あ、じゃあ、恋とかしたことあるんですか?」

「――もちろんあります! 今でも忘れられなくて……大切な人との恋です……今も……ふふっ……今もその人には恋してますよ? すぐ側にいますし。私の目は常にハートマークです!」

 

 クラスメイトがざわつき始める。流石に『メイド喫茶でバイトをしている貧乏な彼女』という話に無理が出てきたからだろう。それでもなんとか男どもは『きっと辛い出来事があって現実と妄想の区別ついていないんだよ。少し精神状態が悪いのかもしれない。俺達が支えてあげなければ』とか言って踏みとどまってくれている。

 お前達、頑張れ! どちらかと言うとお前たちが『現実と妄想の区別がついていない』側のような気がするが……頑張れ!

 

「じゃ、じゃあ俺も質問! 好きな男性のタイプはどんな感じですか!」

「……そうですね……好きな男性のタイプはご主人様ですね。ご主人様の若干やさぐれているような顔がタイプですし、ご主人様のツンデレだけど優しい性格が好きですし。そんな感じでご主人様しか眼中にありませんね!」

 

 今までは質問をしてきたクラスメイトに視線を合わせていたケイティだったが、この質問のときは俺にガンガン視線を送ってきていた。

 流石に踏ん張っていた男子生徒たちも、ケイティの恋する乙女的な顔を見て、で、視線の先にいる俺を見て……何かを理解したようだった。

 そんな彼らも、すぐさまケイティと同じように熱々の視線を俺に提供してくれる。まあ、こちらには殺気が混じっているような気がしてならないが……気にしないでおこう。

 努めて我関せず、というような顔をしていた俺だったが、ここでようやく先生が『時間も押しているから次が最後の質問だぞ』と言う。良かった……もう爆弾に火が付いて爆発した後だけど、被害の拡大は阻止できそうだ。

 して、栄えある最後の質問に選ばれたのは……

 

「えーっと、その首輪はどうして付けているの?」

 

 俺がうぐっとなるようなものだった。

 ……変なことは絶対に言うなよ……。もうオチが読めるが、回避してくれ……!

 俺が心の中で念を送っていると、ケイティは首輪を一撫でして……俺をちらりと見た後、

 

「それは、私がご主人様の奴隷だからです。私は、ご主人様であるアイゼア様に一生を捧げることを誓い、『青春』と『リア充生活』をご主人様に提供するためだけにこの学校に転入してきたのです。ですのでどうか、皆様は私達を邪魔せずに、外から優しく見守っていただければと思います。それでは、これからどうぞ宜しくお願いします」

 

 と言って、自分で上手いこと質問タイムの幕引きをする。いや……全然上手くないけど。荒らすだけ荒らして帰っていったみたいな。そんな感じですけど。

 これにはクラスメイトどころかさっきからずっと『面白いことをいう生徒だねぇ』と現実逃避していたキャメロン先生も絶句。あれだな、これはケイティとの『青春』と『リア充生活』は味わえても、その他全てを捨てることになったかもですね。

 (……胃が痛い……)

 今後の学校生活に一抹の不安を抱えながら、俺ににっこり笑顔を送ってくるケイティをジト目で見るのであった。

 

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