出来損ないの転生魔術師〜三千年の時を越えて俺に会いに来たエルフがいるって本当ですか!?〜 作:☆あきつしま☆
「以上で、今日の授業および終礼は終わりだ。みんな、気をつけて帰るように!」
『きりぃ〜つぅ〜きをつけぇ〜礼ぃ〜さいならぁ〜』
ゆるっゆるな号令が終わると同時にダダダダッ! というような感じでクラスメイトが一斉に教室から出ていく。おそらくはカラオケとかゲーセンで、出来る限り長い間遊ぶために皆走っていったんだろう。
え? 部活動はないのかって? 昔はあったらしいが、誰も部費を払わないせいで継続が出来なくなって、この学院からは部活というものが消えたらしい。まあ、そんなことをするよりもどこかで遊ぶのが好きな奴らが集まっている学校だからな。だれもやりたがらないだろう。俺もそうだし。
キャメロン先生も『ようやく授業も終わったし、今からキャバクラでも行きますかなー』とか言いつつスキップしながら教室を出ていった。……せめて俺達がいないところでそういうことは言ってほしいがな。まあどうでもいいけど。
「じゃあ、俺達も帰るか」
「そうですね」
して、俺達も同じように帰路へついた。
今日からケイティがご飯を作ってくれるということで、帰り道にいつもお世話になっているオープさんで食材を買ってから……いつもどおりの道を通って家へと帰ろうとしたのだが……
「ご主人様。お家はそっちではないですよ?」
なんてことをケイティが突然言ってきた。
「……何を言っているんだ? 俺の家はこっちで合っているはずだぞ? この狭い道をずっと先に進むとボロアパートが見えてくる。俺が何年同じ道を歩いていると――」
「――いえ。確かに昨日までのご主人様のお家はそのルートであっているのですが、今日からは違うお家に住むことになりましたから。ささ、早く行きましょう! ご主人様に相応しいとびっきり大きなお家をご用意しましたから!」
彼女が笑顔で俺の背中を押してくる。
おいおい、まじかよ。行動が早いな。いや、良いことなんだけどね。
「でも、いつの間に家を買ったんだよ」
「職員室で転校手続きをしているときに、学校の電話を借りて不動産会社に連絡をしていたのです。それで、すぐにいい物件を見つけてきてくださったので……その勢いで契約を交わしたという感じですね」
……すげぇ……まじですげぇ……。職員室で不動産会社と連絡するそのメンタルも凄いし、実際の物件を見ずに契約したのも凄い。でも、ケイティのことだから怪しいものを掴まされたりはしていないだろう。
『よくやったな、ケイティ!』と、俺も上機嫌になりながら二人でルンルン気分で新居に向かった。
「ここが私達の新しいお家です!」
ドドンという効果音がなりそうな感じの家の目の前で、ケイティが腕を広げる。
……いや……まじででかいな……『俺に相応しい』とか言っていたが……『不相応』の間違いだろ、これ……
俺は二人で住むにはデカすぎる家を前に呆け顔を晒す。しかし、ケイティが『ここで立ち止まっているのもなんですから、中へ入ってみましょう!』と言ってきたので、『お、おう……』と言いながら彼女と一緒に家の中へと入った。
重厚な玄関を開くと……どデカいシャンデリアが天井からぶら下がっているのがまず最初に目に入ってきた。
……あれをぶら下げる意味は分からないが、とにかく……すげぇ……
「中々いい感じのお家ですね。安心しました。ちなみにご主人様。このお家は、セキュリティー会社で有名なオルソックから派遣された複数の警備員が二十四時間、この近くで待機して、異常がないかを監視しています。もちろんプライバシーは守られているのでご安心ください。何か起きたら怖いですから、安全対策はかなり気を使っています。あと、見ての通りかなり大きな屋敷なので、メイドを雇ったらどうかと不動産会社から言われたのですが、家事全般は魔術を使えばあっという間に出来ますし、メイドなんて雇ったら私のご主人様に手を出すかもしれませんし、そもそもここは私達二人だけのお家なので何人たりとも入れたくないということでその案は丁重にお断りしました。以上が今ご主人様に伝えるべき情報です。では、このまま、まずは家の中を探索しましょう!」
一息で長い長い説明をし終わったケイティは、ウキウキ顔で家の中を歩いてまわろうとする。俺も彼女の勢いに流されそうになったのだが……ふと彼女と自分の靴が目に入ってきて、思うところがあったので待ったをかける。
「あー、説明ありがとう。で、ケイティ。どこかで靴を脱がないか? 俺はあのボロアパートの生活が長くてな。あそこではいちいち靴を脱がないといけなくて、最初は面倒だと感じたんだが……今は脱がないと不潔だと思うようになってしまったんだよ」
玄関近くの適当なところで靴を脱ぐ。ケイティも『なるほど。分かりました!』と言って素直に俺の言うことに従ってくれた。
で、靴を脱いだ後。気の回るケイティが、異次元収納空間からスリッパを二人分取り出してくれたので、それを履いてから家の中の探検に出発する。いやー、こんな豪華な家に入ったのは初めてだから、すごい楽しみだな〜!