出来損ないの転生魔術師〜三千年の時を越えて俺に会いに来たエルフがいるって本当ですか!?〜 作:☆あきつしま☆
有無を言わせず俺を従わせようとし、実力行使をもいとわないその態度。
俺の記憶から判断するのであれば、この彼女は闇ケイティだろう。
闇ケイティとはなんぞや? となっている君に、一部記憶が戻った俺が簡単に教えてしんぜよう。
彼女は、心に強いストレスが掛かったときや俺が他の女性の話をしたりしたときに出現するケイティの裏の人格だ。
非常に攻撃的で、いつものように俺のいうことを聞いてくれない。聞くどころか俺に命令してくる有様で、主従関係が逆転することが多々あった。まあ、それはそれで昔の俺は楽しんでいたらしいが。
闇ケイティを元のケイティに戻す方法は無い。と言っても、時間が経てば勝手にもとに戻るらしい。一週間くらい待つ必要があるらしいが。
あと、彼女に接するときは言動にかなり気を使わないといけない。顔色を伺うのは基本中の基本で、彼女の言うことには絶対服従。拒否なんてした暁にはもれなくケイティからの攻撃を食らってしばらく行動不能に陥る。『昔の俺』がそうだったんだから、今の俺だったら……最悪死にかねない。
と、まあこれが闇ケイティに関するめちゃくちゃ簡単な説明だ。
この情報を元に戻った俺にも渡してやりたい。命に関わることだし……どうにかして……あ、あれだったら確実にいけるんじゃないのか?
……うん、そうだな。なら、早速ケイティに頼んで出してもらおう。
だが、まずは彼女の質問に対する返答をしてからだな。
「あー、ケイティ。お前の胸は最高だった。おかげでほら。俺の封印は解除されているだろ? 興奮がマックスまで上がったってことだ。だから、この拳銃を収めてくれないか?」
「……なるほど。それは良かったです。私の日頃の努力が報われたようで嬉しいです」
ケイティは暗い笑顔をまたしても俺に向けてくる。
いつもだったら満面の笑みなのだろうが……闇ケイティだし仕方ない。
ただ……拳銃は収めてくれそうになかった。今も俺の頭に照準を定めたままだ。
……俺的にはこの拳銃を突きつける、という意味がよく分からないんだが……あれか? 私の言うことに従ってくださいね? って言っているのか?
まあ、もう別にいいや。ごますりしとけば撃ってはこないだろうし。たぶん、おそらく。
拳銃のことについては諦め、質問に対する返答もしたところで、闇ケイティに関する情報を残すためにあれを出してもらうことにした。
「……ケイティ、ちと紙とペンを貸してくれないか?」
「紙とペンですか? …………はい、ではここから取ってください」
ケイティは拳銃を俺の頭に突きつけたまま、異次元収納空間から紙とペンを取り出して俺にわた――すことはせずに、彼女自身の胸に挟んだ。
……ほう。これはアニメで見たことがあるシチュエーションだな。まあ、あれはお札を胸に挟んでいたが。
「なあケイティ。こう何度も何度も胸に――」
「早くしてください」
「あ、はい」
ぐいっと銃口を押し付けられたので、渋々彼女の胸に手を伸ばして……紙とペンを取る。
一瞬ムニュンと指がお胸に触れてしまったが……ケイティは『んっ』と言っただけで何もしてこなかったのでセーフなのだろう。
(ケイティは嫌じゃないのだろうか? というか、そんなに色々と俺にさらけ出して恥ずかしくないのだろうか?)
そう思いながらも、俺はペンを紙に走らせていく。
書いている内容は大雑把に言うと『今現在のケイティは『闇ケイティ』と推測。言動には十分注意されたし』というものだ。先程説明したことを更に簡潔にして書いているって感じだな。
ケイティがその紙をガン見していたが……特に何も言ってこないので別にいいのだろう。
カキカキカキ……キュッ
ちょうど注意書きを書き終えたところで封印が元に戻り……いつもの俺に戻る。
「……ん……? 俺、何していたんだっけ……? おや、この紙は…………ほうほう。なるほど、そういうことか」
このヤンデレ化したケイティはとにかくヤバいということだな? ありがとう、さっきまでの俺。なんとか殺されないように頑張ってみるよ!
「おかえりなさいませ、ご主人様。用事はもう済みましたか?」
ケイティが拳銃を仕舞いながらそう言ってくる。
おでこを触ってみると、なんだか銃口の跡みたいなものがついているようだった。
……ま、まじで言動には注意しよう……