出来損ないの転生魔術師〜三千年の時を越えて俺に会いに来たエルフがいるって本当ですか!?〜 作:☆あきつしま☆
……ギシギシギシ……ギシギシギシ……
「んっ……ご主人様……そそり立ったたくましい〇〇が私の〇〇に〇〇して〇〇ですぅ!」
『おいおい。〇〇が〇〇しているなんてケイティ……お前、どこでそんなはしたない言葉を覚えたんだ? え? 言ってみろ』
ギシギシギシ……ギシギシギシ……
「はぁあああんっ! そ、そんなぁ! ことぉ! い、言えません……!」
『ならば……ほれっ! 俺のたくましい〇〇でお前の〇〇の〇〇を責めて責めて責めまくってやる! おらっ! おらっ!』
ギシギシギシ……ギシギシ……
「んはぁあああああああ! いっくぅううううううう!」
『プシプシぃいいいいいいい!』
…………え? 何事?
ギシギシ……ギシギシ……
「んな!? わ、私……いま〇〇したばかりなのに……!」
『俺はまだ〇〇していないんだが?』
「ぁああ! そんなぁ!」
……いや、まじで何事ですか?
意識が戻ってきて、さあ目を開けるか! って思ったときに何故か分からないが一人芝居をしているケイティの声が入ってきたのだ。
というか〇〇ってなんだよ。伏せ字とかじゃなくて口で『まるまる』って言っているからな、このケイティ。
あとベッドの揺れも、俺とケイティがそういう行為を……ってあれ? 今気がついたけど、俺の上に何か乗っかっている感じがするな……。主に下半身だが。
……ふむ。これはどういうことだろうか。
ギシギシ……ギシギシ……
『パンパンパンッ! ほれ、これがええんやろ? ここがええんやろ?』
「んんっ! そ、そうです! そこがいいんですぅ!」
……なるほど。良く分からん。
よく分からないので、状況確認のためにちらりと薄く目を開け――
――ガシッ!
「みーつけた。ご主人様。私がご主人様の意識が戻っていることに気がついてないとでも思っていたのですか? 残念でしたね。ずっと前から気がついていましたよ? うふ……うふふふ……あら……そんなに怯えた顔をしないでください。まだ何もしていませんよ? ええ、まだ何も……ふふ……うふふふふ……」
ケイティは俺の両肩をバカみたいな力で掴んできて、ハイライトが無い目線を俺によこしてくる。
……こ、こぇええええええ! めちゃくちゃ怖いんですけど!? え!? これ何かの夢じゃないの!?
「た、助けて……」
「あら? なにを言っているのですか? ちゃんとご主人様の怪我は治しましたよ? あと三日間ほどは動けないでしょうが……それでも蜂の巣になったご主人様の体はほら。この通り元に戻っていますよ?」
「ひ、ひぃいいいいいいい! だ、だれか助けてくれ! お願いだ! この恐ろしいケイティから俺を助けてくれ! 神様! 神様ぁあああ!」
「……もう、ひどいですね。さっきのは冗談ですよ。蜂の巣なんかにしたら蘇生魔術を使わないといけなくなるじゃないですか。あれ、結構疲れるんですからね? というか……ご主人様、ひどすぎませんか? いくらなんでもそんな態度を取られたら流石の私も……っ!?」
相変わらずの暗い笑みを浮かべながら俺の肩を押さえてきていたケイティだったが……急に表情を厳しいものに変えて俺達の部屋にある大きな窓を見据える。
……な、なんだ……? なにかあったのか? あ、でも、ケイティが手をのけてくれたおかげで今なら彼女から遠ざかることが――
「――ご主人様、危ない!」
突然ケイティが大声で警告してきたと思えば、彼女が俺をゴリラのような力でぶっ飛ばし……パリンッ! と窓ガラスが割れる音が聞こえてきた。
「――くっ! ご主人様! 早く避難を! この人を私が押さえている間に!」
――な!? まさかこの家に強盗かなにかが来たのか!?
ケイティのふっとばしのせいで全身を強打した俺だったが、大慌てで顔を上げてみると ……ケイティはフードを被った小柄な人と剣を交えていた。
……いや、もとい。ケイティは包丁を、小柄な人は短いナイフを使って鍔迫り合いをしていた。
「あなた……昨日も一昨日も襲撃してきた人ですね! 一体何が目的なんですか!」
ケイティが包丁を大きく振り回しながら小柄な人に質問をする。
「……彼をあなたから隔離するのが目的。昨日も一昨日も言ったはず」
小柄な人はケイティの包丁を軽くいなしながら、鋭いナイフの突きを繰り出す。
というか、この人……どうやら声から判断するなら女性らしい。というか、なんだか人間味がないような声だな。……なんだか聞き覚えのある声としゃべり方だったような気がせんでもないが……
ヒュンッ! シュッ! ヒュンヒュンッ! シュシュッ!
「なにが『隔離するため』ですか! 冗談もほどほどにしてください! あなたはご主人様の生い立ちを知って、なんだかよく分からない理屈で攫おうとしているのでしょう!? それとご主人様! 早く避難を!」
「そんな理由じゃない。四日前、この家の監視作業中にあなたが彼に発砲した瞬間を見た。その時点で元々要注意人物として警戒していたあなたを危険人物に繰り上げ、彼をあなたから隔離することを決定した。今のあなたはおかしい。このままだと彼が死んでしまう。それは困る。あと、アイゼア君。早く私の元に来て」
何やら訳ありの女性らしい。というか、この家を監視中って何をしていたんだ? もしかしてオルソックの人ですか? あと、事情はどうであれ、あとからこの粉々になった窓ガラスは弁償してくれよ?
しかし……この状況はあれじゃないか? 少女漫画でいうところの『私を巡って争わないでー!』状態じゃないか? 恐ろしいのはナイフと包丁をお互いが振り回して殺そうとしているところだろうか。血生臭すぎますよ。
てか、逃げろとかこっちに来いとか言いますけどね……
「……体が動かないんだが……? というか、さっきのケイティの投げ飛ばしで傷口が開いたのか血が溢れて止まらないんですが……」
「――んな!? あなた……ご主人様をよくも……! 許しません! 殺します! あなたは殺します!」
「やはり今の貴方はおかしい。このままだとアイゼア君がまた瀕死になる。……仕方ない」
そう言って彼女はナイフを流れるような手付きで内ポケットに仕舞う。
その様子を見て、これは好機とケイティはニヤリと口元を歪ませながら……小柄な女性に勢いよく包丁を刺して、鮮血が辺り一面に――飛び散ることはなかった。
もっというなら、そもそもケイティは彼女に包丁を突き刺すことも出来ずに、獲物を突き出そうとして足を踏み出したところで動きを止めていた。
……一体これはどういうことだ?