※この作品はR-18です。

出来損ないの転生魔術師〜三千年の時を越えて俺に会いに来たエルフがいるって本当ですか!?〜   作:☆あきつしま☆

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新しい首輪

 怒涛の展開すぎて自分でも良く分からないが、なんせケイティが俺の家に厄介になることになった後。

 正式に彼女を家に迎え入れて、まずはゆっくりとしてもらうために居間に彼女を案内したのだが……

 

「これは……なんというか……昔、私が奴隷として初めてご主人様の家に上がったときのような散らかり具合ですね……」

 

 居間は散らかり放題で物で溢れていた。

 ……そういえば、こういう状態だったな。でも、片付けるのって面倒くさいんだよなぁ。

 何処に何があるかは把握できているし、自分ひとりであればこの状態でも問題ないんだが……ケイティがこれから住むことになるとなれば、片付ける必要がありそうだ。

 というか、俺の家ってボロアパートの一番部屋数と面積が小さいところだから、このままだと彼女の寝る場所が無い。

 

「あー……ちょっと待っててくれ。今片付けをーー」

「――待って下さい!」

 

 『片付けをするから』と言おうとしたら、ケイティが食い気味に言葉を重ねてきた。

 ……?

 

「ご主人様は何もなさらないで、座って待っていて下さい。昔のご主人様は、片付けると言いながら余計に散らかすという理解不能な行動に出たことがあるのです。それ以降、ご主人様には片付けをさせていません」

 

 ……なるほど。確かに、俺も片付けようとすると余計にとっ散らかるという自分自身でも意味不明な現象が起きるからな。昔の記憶が読み取れなくなって良く分からないが、前世でもそうだったんだろう。

 俺は『じゃあ宜しく』と言って、近くにある椅子に座って彼女の片付け風景を見守ることにする。

 

 

 パタパタパタ……トントントン……パタパタパタ……キュッキュッキュッ……

 

 大した時間が経っていないのにも関わらず、みるみるうちに居間がきれいになっていく。

 ケイティは、動きやすいようにフードが付いた上着を脱いで、露出度が高い服であちこち動き回っているのだが……思春期真っ只中の高校生には少し刺激が強すぎると思うのだ。エッチ過ぎますよ。

 というか、胸を無理やり押し付けられたときは上着を付けていたからよく分からなかったんだが……やっぱり彼女、乳がデケェ! いや、あんなもの味わったらそりゃ封印も解けるわ!

 先程の感触を思い出しながら彼女のこと(主に胸)をチラチラ見ていると、ケイティの首にはまっている首輪が目に入ってきた。

 なんだあれ? おしゃれアイテムか? それにしては無骨すぎるし、材質は鉄か何かで出来ているんだろうが、錆びてボロボロになっているし……気になるな。

 

「ケイティ。その首輪は何なんだ?」

 

 自分の首を触りながら、彼女に聞いてみる。

 するとケイティは、片付けをする手を一旦止めて、俺に近づいてきた。

 ……あ、ああ……! エッチな服を着たケイティが……俺の目の前に……!

胸を揉んでおいて今更だろ? とか言われそうだが、俺はおどおどする。彼女はそんな俺の手を取ってきて……首輪に触れさせてきた。

 ザラザラしていて、なんというか年代物というような感じだ。

 

「……なるほど。ご主人様は封印を解除すれば昔の記憶が戻りますが、通常時は一切過去の情報にアクセスできないのですね。覚えておきましょう。で、この首輪ですが、これはご主人様と私の思い出の品です。封印が解けたらすぐに思い出すとは思いますが、これはご主人様が私と奴隷契約を結んだ時につけてくださった首輪なのです。それ以降、私はこの首輪を大事にしてきました。ご主人様と離れ離れになったときも、この首輪と、左手の薬指につけている指輪を見て、会えない寂しさを紛らわしていたのです」

 

彼女は首輪と指輪を優しく撫でながら教えてくれる。

一瞬胡散臭いと感じたが……ここで『嘘だろ?』とか言ったらもう一回あの天国を味わうことになりそうだったので口に出すのを止める。

 いや、俺的には何度でも味わいたいのだが、暴走して本当に彼女を襲いかねない。まあ、ケイティの口ぶりからして大昔から大分仲が良かった様子だから、襲っても抵抗してこないんだろうが……流石にね?

 

「なるほど。でも……流石にその首輪は古すぎないか? いくら思い出の品と言っても錆びついていたら肌に悪いだろうし……それに、そんな目立つ首輪をしていたら、周りから奇異な目で見られるぞ?」

「そうなんです。たまに錆びた首輪が首に刺さってチクチクして結構苦労していたんです。ただ、生まれ変わったご主人様に会うまでは絶対に手放さないと思っていたのですが……ご主人様とは会えましたし……そろそろこの首輪とはお別れしても良いかもです。ですが……ここでご主人様にお願いと言いますか、さっき私の体を触り放題もみ放題していただいたお礼です。この奴隷の首輪の代わりになるものをいただけませんか? 奴隷契約は現代ではその技術が廃れてしまって出来ないので、それは良いのですが……首輪だけはどうしても欲しいのです」

 

 ペコっと頭を下げてお願いをしてくる。

 ……首輪……あぁ……そういえば、この前、魔天市場で魔が差して買ったものがあったな……いや、でもあれは……

 

「一応代わりになるものはあるし、すぐに渡せるんだが……あれはちょっと意味合いが違ってくると言うか、なんというかだな……」

「首輪ですか?」

「……いや、確かに首輪なんだけど……ちょっと俺達にはまだ早いと思うんだよ。だから、少し待ってくれればとーー」

「首輪であれば何でも良いのです! 正直に言いますと今すぐにでもこの首輪を外して首をきれいに洗いたいのです! あ、別に臭いとか洗っていないとかそういうのではないんですよ? 取り外せはしませんが、なんとか隙間にタオルとかを入れて綺麗に洗っていましたし、臭くもないはずなんです。ただ……その……三千年ぶりに会ったご主人様の前ではふさわしくないと言いますか……もうちょっと綺麗にしておきたいんです」

 

 ケイティがモジモジしながら顔を赤らめる。

 ……かわいい。

 『文句言うなよ?』と一応の保険を掛けてから自分の部屋へと向かい、例のアレを取り出して……彼女に差し出す。

 

「凄いですね! なんとも高級感のある首輪です! なぜかリードがついていますが……」

 

 ……やっべ、取るの忘れてた。

 俺は急いで首輪からリードを取り外して、本体のみを再度彼女に渡す。

 

「サービスでちょっと付いてきていたんだ。気にしないでくれ。で、まあ、こいつは結構お高い品でな。いい値段がしたんだが……デザインが良かったからポチッとしちゃったんだ。ちなみに主な材質は本皮で、汚れ防止の魔術が付与されているやつだったかな。で、たしか……五千ギーギルくらいしたと思う。いやー、貧乏人なのにこんな高いものを買っちゃって……次の日後悔したもんだ」

 

 あの時のことを思い出して苦い顔をする。

 ケイティは『そうなのですね。それはお辛かったでしょう』と言いながら涙目になって同情してきた。

 ……いや、別に泣くほどのものではないんだが……まあいいや。

 

 で、その後。早速その首輪を付けてみますと言ってきたケイティだったのだが……動きが止まる。

 ……おや?

 

「どうした? サイズが合わないのか? ベルトみたいに穴にはめるタイプだから長さ調節は出来るはずなんだが……」

「あっ! いえ! その……これってSMプレイ用の……首輪だったのですね」

 

 首輪に付いていたのであろうタグを俺に見せてくる。

 ……しまった……そんなの付いていたのか……

 しかし、ここは動揺せずに堂々としているのが良いと思ったので

 

「ああ、そのとおりだ。でも、何でも良いからくれ、と言ってきたのはそっちだぞ? 俺は悪くないからな。責任はとらん」

 

 と言って腕組をする。

 しかし、そうは言っても彼女がどんな反応を返してしてくるか内心ドキドキだったのだが……予想外の展開となった。

 

「いえ、嫌だとかそういうのではなくて……私をまた昔のように奴隷として扱ってくれるのかと思うと……その嬉しくて。もちろん、元ご主人様は私にひどいことをしてきませんでした。ただ……奴隷でありながらも愛してくれていたので……『奴隷扱い』イコール『愛していただける』、みたいな感じで頭にインプットされていて……胸がキュンキュンとしたのです」

 

 ……渡した本人が言うのもアレだが、こじれてるなぁ……いや、生まれ変わる前の俺もこじれているのか? うーん、記憶がないから判断がつかん。ただ、今の俺の考えを伝えておくか。

 

「別に俺はそういう意図で渡したわけじゃないからな? お前を奴隷扱いするためにとか、そうじゃないから。『首輪が欲しい』と言われたから、それを渡しただけで、それ以外の意図は一切ない。それは理解しておけよ?」

「……ふふっ。分かりました。そういうことにしておきますね?」

 

 なにかを深読みしたようなことを言いながらも、嬉しそうな顔をしてくる。

 ……いや、本当にそういう意図はないんだが……まあ、彼女が幸せならそれでいいか。訂正するのも面倒くさいし。

 

 で、話も一区切りしたので、俺が渡した首輪を次こそはつけるのかと思ったのだが、また動きを止めて……申し訳無さそうな顔をしてくる。

 ……今度はなんだ?

 

「あの……この古い首輪を外していただけませんか?」

 

 ……ああ、それを付けたままだと新しい首輪をはめられないもんな。しかし……

 

「外せと言われてもだな……錆びているとは言え、かなり頑丈そうじゃん? 力ずくでっていうのは無理だと思うぞ?」

「いえ、ご主人様であれば簡単に外せるはずです。この首輪に手を触れて、魔力を流し込んでみてください」

 

 特に拒否する理由もなかったので、言われたとおりすると……

 

 ――カチッ……ガシャン! からの……バキバキバキッ!

 

「ああ! 床が! 床が抜けたぞ! まあ、ボロアパートだから何も言われないが、今後ここで生活する時に気をつけないといけない落とし穴が出来てしまった……!」

 

 若干頭を抱える。というか、結構重量があったんだな。その胸で首輪とか……肩が凝っただろう。いや、魔術で軽く出来るのか? じゃあ、大した問題じゃないな。

 

「す、すみません! 首輪を落ちる前に取ろうと思ったのですが……ご主人様から懐かしい魔力の波動を感じて……うっかりしてました」

 

 ケイティが高速ペコペコをしてくる。ここまで頭下げを高速で出来るとは……筋力もあるらしい。

 そこまで謝れても困るので、俺は『どうせいつかは抜けていた床だし気にしなくていい』と言う。

 で、なんとか落ち着いてもらってから……彼女が恐る恐るというような感じで俺が渡した首輪を今度こそ……はめる。

 

「……どうだ? いや、どうだと聞くのは色々とおかしいとは思うが」

「……付け心地がいいですね。それと……ご主人様からの……三千年ぶりのプレゼントということで……うぅ……うぅぅ……嬉しい……嬉しいです……」

 

 ケイティは感極まったのか嬉し涙を流し始めた。

 SMプレイ用の首輪をはめて号泣する女性。……傍から見たらまじで頭がおかしい人だな。いや、俺もその一員かもしれないが。

 

「あー、なんだ。よく分からんがおめでとう? なんか違う気がするが、気に入ってもらえてよかったよ」

「ありがとうございます……ありがとうございます……一生大事にしますから……手放しませんから……」

 

 こういうときどうすればいいのか迷ったが……結局、泣き止むまで頭を撫でてあげることで落ち着いた。

 

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