「最近ちょっと調子が悪くない? 体の調子は大丈夫?」
団長不在の間指揮権を委ねられたアネモネの自室。機能本位の素っ気ない部屋にスノードロップを招き入れながらアネモネは心配そうな表情を浮かべて聞いた。
「悪く……見えますか?」
少し表情を曇らせながら答えるスノードロップ。さすがに連夜で耽る自慰行為のせいだとは言えなかった。
「みんなの目は誤魔化せないわ。あなたに正面切って言わないだけ」
アネモネは真顔でそう言った。確かにアネモネの言う通り、ここ最近のスノードロップの動きにはキレがなかった。ちょっとしたミスが頻発し、仲間の花騎士にフォローしてもらうことも多々あった。
「すいません……」
しおらしく頭を下げるスノードロップ。素直で優しい心根の持ち主でもあるので仲間の指摘に正直に耳を傾けるだけの心の器の大きさがあった。
「団長さんが居なくて寂しいのはとてもよくわかるのだけれど、やはりこれだけ動きに精彩を欠くとやはりみんなわかってしてしまうから……」
アネモネは髪をかき上げながらズバリとそう言った。
「結論としてはあなたは少し心身共に疲れてる。団長さんがいない間しっかり頑張ろうとする心がどこかで上滑りを起こしているんだと思う」
スノードロップを見据えてそういうアネモネ。彼女の瞳の中には純粋な心配の色が浮かんでいる。
「団長さんがいない間、私は誰も死なせない、怪我もさせない。そう誓ったから厳しい見方をしてしまうのは許してね。とにかくあなたには休息が必要だと思う。ゆっくり休んでみんなにいつもの笑顔を見せて欲しい。だから3日程任務から外れてもらうわ。まぁ、ちょっとしたバカンスとでも思って欲しいわね。休むのも仕事のうち、と言うこと」
アネモネはそういい、僅かな笑みを浮かべる。
「団のことは心配しなくていい。私が頑張らないと! そういう気持ちが体の疲れと相まって動きをぎこちなくさせてるんだと思うから……頭を空っぽにして休んで欲しい」
「わかりました。ありがとうございます! アネモネさん!」
アネモネの言葉に頷いて感謝の言葉と一緒に深々と頭を下げるスノードロップ。確かに自分のミスで仲間を窮地に追い込んでしまうわけにはいかない。少し休むのも悪くはないかな。そうも思っている。
「休みボケはしないでね? 休んで帰ってきたら、しっかりと頑張ってもらうわよ? ああそう、休む場所のことなんだけど……」
アネモネはそう言って薄く笑みを浮かべた。
「宿舎じゃダメなんですか?」
少し怪訝な顔になるスノードロップ。
「任務に出ていく仲間たちを見ちゃったらおちおち休めないでしょう?」
アネモネはピシャリと断言した。
「自分は休んでいるのに仲間たちは任務に出て行く、その姿をみたらやっぱり心がざわついてしまうわ。それでは休みにならない」
「帰省すると言うのはダメなんです? お休みを頂けるということなら、久しぶりに両親の元に帰って親孝行したいと思います!」
アネモネの言葉に頷きながらそういうスノードロップ。帰省するのであれば何かお土産を持って行こうかな、とも考えている。
「そうしてあげられれば良いんだけどね……さすがにそれは許可できないの。お休みとは言ったけれども、実際にはあなたには指定された場所で指定日数を待機という任務が与えられたのだと認識してほしい。団長が不在だから団の規則に従うしかないのだけれど、団の規則をどれだけ紆余曲解しても、緊急のお休みを与えるにはそういう風にするしか出来ないから。だから、あなたの好きな場所に行くということはちょっと無理」
済まなそうな表情を浮かべるアネモネ。言葉を続ける。
「その代わりと言ってはなんだけど、郊外の温泉宿を指定しておいたわ。もちろん経費は騎士団の経費から落ちるからお金の心配はいらない。後で領収書を見たナズナさんが怖い顔になるかもしれないけれど、それくらいは大目に見てもらえると思う」
「温泉宿ですか? それは魅力的です!」
アネモネが精一杯の配慮をしたことに対することがわかり、スノードロップは大きな笑みを浮かべる。
「ゆっくり温泉に浸かってご馳走を頂いてきます! そうしたら気分も良くなると思うんです!」
「ええ、そうしてきて。お土産なんて考えなくていい。あなたの明るい笑顔といつもどおりの雰囲気私たちにとって何よりのお土産」
アネモネも笑顔で応える。こうして和気あいあいといった空気でスノードロップの休暇、もとい温泉宿での待機任務が下されたのだった。
「やっぱり温泉はいいなぁ……」
湯船にゆったりと体を沈めてスノードロップはぼんやりと思う。温泉に浸かっているだけで心や体の緊張の糸が解れていくようだった。
後でナズナさんが怖い顔になるかも、といったアネモネの言葉は嘘ではなかった。基本的に高給取りの花騎士の経済感覚に照らし合わせてすら高級と思われる温泉旅館が指定された場所だった。宛がわれた離れの部屋のしつらえも贅を尽くしたものであり、昼食に出てきた料理もまた山海の珍味が並んでいた。罪悪感を抱かないために離れた場所で休養してもらう、とアネモネは言ったがここまで高級旅館だとその配慮が逆に仇になってしまいそうだった。
「団長さんと来たかったなぁ……」
そうぼんやりと思う。まるでプールのような大きさの露天風呂に一人である。どうやら客は彼女一人であるらしかった。
「こういうとこってお金持ちの貴族がお忍びで来るところよね-自分でお金を出すならこういう所には来れないなあ……」
少しはしたなくも思いながらも足をバタバタさせながらスノードロップは思う。
「どうしてここまで高級な旅館を取ってくれたのだろう? 休むだけならもうちょっと庶民的な所でも……アネモネさんも気を使いすぎよね-」
スノードロップは独りごちる。
「こういうところなら三日とは言わず、1ヶ月くらい……さすがにそれは贅沢かな……うん、一週間ぐらいで! 1ヶ月もいたらご馳走ばっかりで太っちゃいそうだし!」
そう冗談めいた気持ちも抱くだけの余裕が彼女にも生まれている。
「晩御飯も楽しみよね-!」
昼食ですらあれだけ豪勢だったのだ、夕餉にはどれ程の山海の珍味がふんだんに使用されたご馳走が並ぶのだろう、その事を思うだけで自然と頬が緩む。
「……休みボケしちゃうかも……」
そう言って天真爛漫な笑みを浮かべ、大の字に湯船に体を浮かべる。見上げる青い空に漂う白い雲、スノードロップは温泉を満喫していた。
(何か音がする……動物かな……)
豪勢な夕食をたっぷり頂き、複数人でも狭く思わずに眠れそうなほどに大きいベッドの上でゴロゴロとしているスノードロップはかすかな物音に耳を澄ました。
確かに休暇、いや待機任務を満喫してはいたがやはり現役の花騎士だけあって、研ぎ澄まされた神経は容易に鈍るものではなかった。
物音は離れの外から聞こえてきていた。神経を集中してじっと耳を澄ませる。
(これは人の足音……それも複数……動物じゃない……)
身を起こして身構える浴衣姿のスノードロップ。待機任務とは言いつつも害虫との戦いで常に共にあった射突槍は手元にはない。武器を携えて行ったら休みにならないというアネモネの勧めに従い宿舎に置いてきたのである。
さすがに丸腰ではなかった。害虫の発見が殆どない平和な地域ではあったが、何らかの害虫によるトラブルはある可能性はある、その時は花騎士として戦わなければならない、その認識からあまり得意ではない短剣を携えて来ていた。今はその短剣は枕の下に隠してある。
その短剣を取り出すとスノードロップは面差しを真剣なものにして身構えた。
(と言うか……人間の足音でしょう……私に危害を加える可能性はないじゃない!)
あくまでも花騎士は害虫と戦うための存在であり、人と戦う兵士ではない。不意に自分のとった行動が気恥ずかしく思う。構えるのを止めて剣を再び枕の下に隠す。
(どう考えても旅館の人よね……)
それがスノードロップの下した結論だった。その結論を肯定するかのように足音は次第に遠ざかってやがて消えた。
(やっぱりまだ疲れてるのかな……)
警戒を解きそう思うスノードロップ。思った途端に強烈な眠気が襲う。
(今日はちゃんと眠れるかな……)
大きなあくびと背伸びを一つ。ランプを吹き消してゆっくりとベッドに身を預けた。湯疲れと豪華な食事で満腹になったせいも相まって、彼女はじきに安らかな寝息を立て始める。今日は身体を慰めずに済んだ。その思いを抱きながら。
「え? ちょっと何! どういう事?」
頬を撫でる冷たい夜風。その冷たさに目を覚ましたスノードロップは身を起こそうとして、両手両足が鎖でベッドに繋がれた手枷足枷に縛されていることに気がついて驚きの声を上げた。そして傍らには人影。明かりが消えて暗い中、人影はスノードロップの方をじっと見つめている。瞳だけが微かに光っていた。
「ちょっとどういう事なんですか!」
覚醒するに従って次第に明らかになってゆく視界の中、スノードロップは人影に怒りを込めた口調で凄んでみせる。だが人影は動じた様子はない。魔術師のようなフードを被った人影は静かに佇んでいるだけである。フードのせいで顔は見えない。
「助けて! 誰か助けて!」
続けて大きな声を上げる。世界花の加護がある花騎士とはいえ、手を拘束された状態では何も出来ない。スノードロップにはその身の中には常人とは根本的に異なる魔力を秘めているのだが、生憎とそれは他人に影響を及ぼす性質のものではなかった。それでも仮に素手で常人と戦ったとしても遅れを取ることなど絶対にあり得ないのだが、両手両足を拘束されいては打つ手がなかった。
「静かに……こちらは騒いでもいいが……」
スノードロップを見下ろしているフード姿の人物が重々しく口を開いた。男とも女ともつかない奇妙な声である。
「いや! 誰か! 誰か助けてー!」
大きく叫んで体をよじらせるスノードロップ。その度に手枷足枷をつないでいる鎖が重々しい音を立てる。恐怖のあまりにその愛らしい瞳から涙が零れ落ち、歯の根がガタガタと鳴り始めた。
「殺しはしない……」
フード姿の人物は奇妙な声でそう言うと、スノードロップに手を伸ばした。衣擦れの音とともに浴衣の帯が解かれる。
「ダメッ!」
恥ずかしげに叫ぶが、その甲斐はなく逆に身を捩らせるので浴衣がはだけ白い肌と下着が晒される。
「お願いします! 止めてください!」
これだけ叫んでも何も起こらない事に恐怖を感じつつスノードロップは哀願する。次にフード姿の人物が何をするのか彼女には容易に思いついていた。つまりは貞操の危機なのだった。ただ男とも女ともつかないので(どこかで嗅いだことのあるような臭いがした気がした)、本当にそうなのかはわからない。だがこんなことをするのは変態の男に決まっている。彼女はそう決め付けていた。
(こんなので失うなんてイヤ! 初めては……初めては大好きな団長さんに捧げるって決めたんだから!)
そう思いながら身を捩らせるが手足を戒める枷は外れそうにもない。むなしく音を立てるばかりである。
しかしフード姿の人物はそれ以上何もしなかった。ただ暴れ続けるスノードロップの腹の上に手のひらを差し出し、何らかの呪文を唱え始めたのである。
「変なことをしないで! お願い!」
涙目でスノードロップは叫ぶが、フード姿の人物は気にした様子もなく呪文を唱え続ける。やがて呪文が唱え終わるとスノードロップのへその下、そしてお尻に毒々しい色をした小さな奇妙な紋様が浮かび上がった。
「やだ! 何をしたの! いったいこれは何!」
恐怖に震えながら叫ぶスノードロップ。しかしフード姿の人物の答えはない。それどころか……
「せいぜい楽しむと良い……楽しむことが苦痛からの脱却なのだから……」
と謎めいた言葉を残して足音もなく立ち去ったのである。
「ねえ! ちょっと待って! いったい私に何をしたの!」
スノードロップはフード姿に呼びかけるがその声は届かなかった。手足を拘束されたまま、彼女は一人になったのである。
「どういうことなの? それにこれは何?」
驚きと恐怖に混乱する意識と激しく乱れる動悸を意識して抑えつつスノードロップは呟いた。全く訳がわからない。謎めいた言葉と行動、そして身体に浮かび上がった奇妙な紋様。全てが更に恐怖をかきたてる。そして聞こえる新たな足音。その足音を彼女は恐怖とともに待ち受けた。
「成功したようだね……」
足音が近づき、やがて男がスノードロップに顔をのぞかせる。男はスノードロップの体に浮かんだ紋様を見つめ大きな笑みを浮かべている。灯りがないのでぼんやりとしかわからないが、どこかで見た記憶がある。
「あなたは! 授賞式で私と団長さんに勲章をくれたあの!」
記憶と目の前の姿が合致した。スノードロップの目の前にいるのはちょっと前に彼女と団長に重々しい言葉と態度で勲章のメダルを首にかけた貴族だった。
「そうだよ……正解だ……」
貴族はそう言うとランプに火を灯しベッドの上に上がる。そして戒められているスノードロップの顔の付近に膝を突いて彼女の瞳をマジマジと覗き込む。
「その日以来恋焦がれていたんだ。君をこうすることにね!」
そう言って貴族はやおらズボンのベルトをガチャガチャと外しズボンと下着をずり下ろす。大きく膨れ上がった醜悪な肉棒がまろび出た。むわっと青臭い匂いが周囲に立ち込める。そしてスノードロップの目の前にさらす。
「やめてください! あんなに立派な貴族様がどうして!」
そのあまりに醜悪な肉棒の姿、そして立ち込める青臭い匂い。それらから顔を背けつつスノードロップは叫ぶ。
「あなたがしていることは立派な犯罪です! 私が憲兵に言えばあなたは貴族ではなくなるんですよ! お願いですからこのまま去ってください!」
だがスノードロップの言葉を貴族はニヤニヤと笑みを浮かべ聞き流した。そして肉棒の先端を頬に押し当て擦り付ける。すぐにスノードロップの可憐な頬は醜悪な肉棒が滲ませる粘液でドロドロになった。
(やだ! この匂い臭い! 気持ち悪い!)
頬に塗り込められた粘液の醸し出す臭いにスノードロップは思わずえづきそうになる。顔を背けていることを良いことに、貴族は頬への冒涜を止めない。むしろ嫌がる様を楽しんでいるようだった。
「すぐに楽しんで自分から求めたくなるさ!」
貴族はそう言って身を捩って暴れ続けるスノードロップのへその下、あの紋様の上に手をかざす。
「嘘! だめ! 何これ! いったい何! いやあっ!」
貴族の手のひらがかざされた紋様が淡く怪しげな光を放つ。すると得体の知れない感覚が身体を駆け抜ける。スノードロップは一層大きな叫び声をあげた。まるで全身を火で炙られるようなジクジクとした疼きが全身を嬲りだす。
「あっ! ああ! あああっ!!!」
言葉にならない呻き声がスノードロップの唇から漏れる。疼きが全身を、特に敏感な乳首や陰部を嬲っている。刺激してもいないのに乳首が勃ち、下着に覆われた秘めたる場所が僅かに慄き始め、トロリトロリと蜜を大量に滲ませて下着へと含まされみるみるうちに陰唇の形をおぼろげに浮かび上がらせる。不浄の穴にすら痒みにも似た疼きが走り始めた。
「体中が疼いて疼いて仕方ないだろう? どうにかして欲しいだろう?」
貴族には似つかわしい下卑た笑みを浮かべスノードロップに語りかける。より強く頬に肉棒を押し当てる。
「あなたのような犯罪者になんて嫌です! 死んでも屈しません! 舌を噛み切って死にます!」
貴族の方を向ききっとするスノードロップ。その瞳には固い決意の光がある。
「フフフ! そうこなくてはな! やっぱり見込んだだけのことはある」
貴族は楽しげに笑い、もう一度紋様の上に手をかざす。文様がまた光をつよく放つ。
「ああ! ああ! いや! いやぁーっ!」
スノードロップは喘ぎ悶える。乳首や陰部、そして不浄の穴に今度は電撃がくわえられたような鋭い刺激が走る。
自慰に耽ることもあるとはいえ、性的にはまだまだ未熟なスノードロップには刺激が強すぎた。
「ひっ、ひぎぃーっ!」
奇怪な叫び声を上げ、目からは涙、可憐で愛らしい唇からは泡立ったよだれを垂れ流してスノードロップは絶頂へと押しやられていった。身体中がビクビクと震え、股間からは湯気が立つ。あまりの刺激に小便が漏れてしまったのだった。
「ふふふ! 可愛らしいイキっぷりだね!」
激しい絶頂に白目を剥いて気絶してしまったスノードロップの髪を優しく撫でながら貴族は満足げに呟いた。そして貴族らしい優雅な仕草で彼女の頬にキスをする。
「明日の朝が楽しみだね……」
そう言い残して去っていったのである。