要はオリ主の無駄な設定が出てくるので、適当に読み飛ばしても問題ありません。みんな分かってたであろう伏線の回収でもある。
それと書きたいことぶっこみ過ぎてまた長くなってしまったのでその辺はご了承ください。
そしていつも誤字報告ありがとうございます。大変助かっております。
ただ、敢えて言わせてもらうとすれば、この小説の表現方法が気に食わないからと、誤字報告システムを使って変えようとするのは止めてください。
気に食わないなら違うの読むか、自分で書くか。どちらにせよこの小説を自分の好きな形に変えようとする方の御要望には添えません。どうぞ御理解をお願いします。
どうも、貴一です。神様転生者に分類されます。
結局として、チーターって人間として弱いんですよね。そのままの自分で勝つ自信が無いからチートを求める訳で。
アンサートーカー。
別名『答えを出す者』漫画・金色のガッシュで主人公高嶺清麿が修練と死線をくぐり抜けたその先で目覚めた能力。
俺のアンサートーカーはこの
原点である『答えを出す者』は本来、天才的な頭脳を持つ高嶺清麿や、同じく天才的な頭脳を持つ、ライバル的存在のデュフォーの様な、際立って頭脳の優れた者にのみ発現した能力だ。それでも主人公の高嶺清麿は最初は持っておらず、1度心臓が完全に停止するという、文字通り死んでようやく発現した様な、超特殊なスキルだ。それ故に性能も破格だったが、力が強力過ぎて、1度能力が発現した主人公高嶺清麿でさえ、自身の脳が負荷が重すぎて危険と判断し、無意識の夢で1度封印してしまった。それくらい危険な力だった。
だが、生まれ直した当初の俺はアホだった。
そんな危険な力を、転生特典というチートという形で与えられたから、なんて理由で、愚かにも当然の様に使えるものだと勘違いしていたのだ。生まれたばかりの、満足に長時間起きていることさえ出来ない、貧弱な赤子の体で。
だが俺に力を与えた神は、やはり曲がりなりにも神という超常存在だったのだろう。あろう事か、能力に耐えられない状態の体で能力を使った結果として、能力の負荷に耐えられない俺の体を傷付ける、などと言う真似はせず、逆に能力の方を体に合ったものとして改変することで、俺への負担を無くしたのだ。
その結果俺のアンサートーカーは
改変された俺のアンサートーカーは似て非なるもの、その名は
数多の問いの中の、様々な答えを瞬時に処理しきれるだけの容量の無かった俺の体に適応した、アンサートーカーでありながら
これはどういうことか。例えば、単純な数学の問題で、複数通りの解答がある問題に使うなら、単に一度に一つしか答えが出せないだけだ。少々のタイムラグはあるが繰り返せば全て正答に辿り着く。
だが、これが複数通りの結末に繋がる未来の予測に使われた場合。俺の
何故そんなことが分かるのか?俺がそうだからだよ。赤子の俺が、愚かにも生まれた瞬間にアンサートーカーで見ようとした答え。それは、ある意味単純で、ある意味では転生者の誰もがやるはずだと思う。
それは、転生特典の確認。
俺は、生まれ直した俺が、本当に神から特典を貰えて、それが使えるのかが知りたかった。たが、その瞬間はそんなこと確認してはならなかった。恐らく、俺が3歳になるまでその事を我慢できてたならば、こうはならなかった。与えられた能力が自ら形を変えて、俺の能力として俺の未来を固定し、それのことを含めて全て説明する。そう、あの時に俺の能力は『答えを出す者』から『答えと成る者』へと固定されてしまった。あれから17年経って脳が成熟しつつある今でも、俺の『答えと成る者』は本物の『答えを出す者』となることは無い。あの瞬間に完全に変化して固定されてしまったからだ。
だからこそ、俺は14年もの間、この世界がどんな世界なのかアンサートーカーで調べられなかった。もし、本来ならば様々な偶然を経て、奇跡的に起こる戦争やバイオハザード、それらが普通に生きているだけならば天文学的確率よりも遥かに僅かな可能性で起きるようなものだったとしても、俺の目が、
例えばターミネーター世界の様に、世界で機械と人間の戦争が起きるとして、それを阻止するために様々な人が動いて、本来なら危なげなく回避されるものが、俺がその未来を観た瞬間に、奇跡的な偶然が起きて様々な人の努力を嘲笑う様に悲劇が起こる。
例えば交通事故にあう人が、本来様々な要因でもしかしたら助かっていたとして、俺が死んだ未来を見た瞬間に何をしても死ぬ。それこそ無理やり交通事故を回避したとしても死因が交通事故では無くなるだけだ。何が起きても絶対的に死ぬ。何故ならこの目は
…本来ならばそれでも、探そうと思えばきっと原作主人公を……比企谷八幡を探せたのかもしれない。だって逆に言えば俺の能力が、見た相手が助かる未来を見たならば、絶対に助かるのだ。もしかしたら、俺のように誰かを死なせる事に怯えて力を使わないよりも、犠牲を出しても必ず人を救えるのならと、この力を使える者がいるのかもしれない。
結局俺は、逃げていただけだ。俺が見た瞬間の比企谷八幡が、もうすぐ死ぬ場所にいる、とか。もう死んでいる、とか。あるいは、初めから居ない、なんて答えを見るのが怖かった。現実を突き付けられるのが嫌だった。
だってそうだろう?
原作の彼は、ひねくれてて、面倒くさくて、色々駄目な奴で。でも誰かに手を差し伸べられる優しい男で、なんだかんだやる時はやる男で、常識の斜め下から、とんでもないやり方で色んな事を解決してきた。何度も間違えて、何度も苦しんで、それでも足掻いて、自分の力で誰かと繋がって、自分の力で誰かを救ってきた。そんな彼だからこそ色々な登場人物達は救われ、成長し、未来へと進めるようになったんだ。
そんなカッコイイ男だからこそ、大人気ライトノベル「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」は大人気作品足りえた。
そんな彼が何処かにまだきっと居ると、そう信じたかったからこそ、俺は奉仕部に入った。
俺がいるせいなのかは分からないが、原作が始まってもまだ彼は出てこなかったけれど、彼が出てくるまでは何とか代役に成ろうとそう思った。俺は所詮特典を与えられただけの偽物で、彼のように誰かの成長を促しながらは出来ないかもしれないけど、大まかなストーリーさえ同じに進行出来たら、比企谷八幡が現れた時に交換するだけで原作と同じようになるに違いない。
それで、彼が現れたらサッと立ち位置を交換して、俺はギャルゲーによく居る謎の高スペックな親友ポジになって、なんだかんだと彼らの青春ラブコメを見守りながら共に生きていきたいと……そう、なれるのだと信じたから今までやってきた。
だって、そうじゃなければ俺はどうすればいい?
所詮俺は
そもそも俺は犬を庇って車に撥ねられても無ければ、単に比企谷八幡と仲良くなれそうだからぼっちをしていただけの男だ。本来あるべき立ち位置すら、既に彼と同じにはなれない。
自分の中の力すら
……だけど。きっとこれは俺のせいだから。
問.原作主人公、比企谷八幡の居場所。
答.この世界には比企谷八幡は存在しない。
問.原作主人公、比企谷八幡が存在しない理由。
答.転生者、榊貴一が超常存在◼◼◼◼◼◼から望む
……ふふ、やはり全ての原因は俺が生まれたことか。
そりゃそうだ。
ならば、俺のすべき事は……!
◻️◻️
比企谷 小町
うーん、今日はちょっと厄日だなぁ。
思わず私はそんな事を考えた。
だってその日は朝から運がなかった。まず、ここ3年ほど愛用している、お気に入りの目覚ましが今朝になって突然お亡くなりになって、今まで無遅刻無欠席だったのに遅刻する羽目になった。
朝ごはんを食べている余裕も無いので、通学に使っている自転車で立ち漕ぎフルスロットル、一路学校を目指したというのに、今日に限って途中で何かを踏んだのか突拍子パンクしてしまい、私は手押しで学校まで向かう羽目になった。
そんな朝から体を動かしまくった日なのに、今日の気温は30度越えらしい。汗が止まらなくて、朝から制服が汗でびちゃびちゃになってしまった。最悪である。
けれどいざ学校に辿り着いてみれば、今日の一限は遅刻やら居眠りやらに寛容な国語のおじいちゃん先生が急遽遅れてくるとかで、熱血で暑苦しくて、無駄にデカい声で生徒を叱責する体育教師の吉田に変更になっていた。
それはつまり、授業が国語から体育になったということでもあり、ついさっきまで汗だくだった私は更に汗をかく羽目になった。そして当然の如く朝からデカい声で説教された。正直私が悪いのは分かるけど、私だってしたくて遅刻した訳ではないので、そんなに怒られると嫌になってくる。
というか、この先生自分が昔ワルだったとかいう謎の自慢話をするのでも有名なのだけれど、そのせいなのか中学生なのに髪を金髪に染めている不良の生徒にはやたらと甘い。
今だって必死になってやって来て怒鳴り散らされてる私と違い、あからさまに悪びれなく遅刻してきたクラスの不良の3人がやってきたけど、吉田先生は「お、今日は結構早いな?ちゃんと準備体操はしろよー」なんてにこやかに話し掛けている。
正直贔屓が酷すぎてPTAに文句言いたいくらい。共働きの両親に迷惑かかるからやらないけど。というか普通贔屓する方逆じゃない?なんで普段から真面目な私がたまの遅刻で延々と説教されて、遅刻サボり常習犯の不良共があんなに優しくされているのだろう。世の中って不思議だ、昔散々悪い事した人間が真面目な職に就いただけで絶賛されるのに、散々真面目に頑張ってきた人が仕事に挫折してニートになると罵倒される。
そんな大変な思いを朝からしたのに、朝ごはんを抜いた私にとって今日初めての食事である給食は、私の嫌いなメニューだった。いや、母親から好き嫌いは駄目って躾られているから残さず食べるけど、嫌いなものは嫌いなので、テンションはどうしても下がる。
そして、極めつけはコレだ。
「あー、痛ってーなー!これは絶対に腕折れてるなー?どーしてくれんのかなー君たちー?」
最近ちょっと仲のいい男子の川崎 大志くんが、何か今日は妙に元気がなくて落ち込んでるみたいだったので、軽い気持ちで相談に乗るよと話し掛けた。
それで2人で駅の方の喫茶店に向かっていたら、普段より元気の無い川崎くんが、たまたま道行く人にぶつかってしまったのだ。当然普通なら謝って終わりだったのだが、今回は歳上の、ガラの悪い人達だったので、因縁をつけられてしまったのだ。
いやでも、私も前に似たような事あったけど、見た目ガラの悪い不良の人達だってぶつかったくらいでこんな風に絡んできたりしなかった。明らかに胡散臭い演技でアイタタ!骨が折れた!なんて漫画みたいなこと言い出す不良なんて、少なくとも私は見たことない。ならきっとこれも運が悪い、の部類なのだろう。
幸いなことにここは人目があるし、何とかなるだろうと思ったのだが、予想に反して誰もがこちらをチラチラと見るが、明らかに中学生に因縁付ける大人(たぶん大学生くらいの年齢?)という構図でも助けに入ってくれる様なことは無い。何と言うことでしょう、昨今の日本の人情味ってやつは何処へ行ってしまったのか。
そんな事を考えているうち(現実逃避してたとも言う)に、何やらガラの悪い人達の何人かが私のことをじっと見詰めていることに気付いた。同時に下卑た笑みを浮かべていることも。
その意味に気付いた時に怖気が走った。だってあれ、学年1番の発育である横山さんの胸の揺れを見つめるクラスの男子達の目の10倍は下卑た笑みだった。
嘘でしょ、この人たちロリコン!?確かに私は可愛いけどまだ中学生だよ!?そんな大人実在しちゃうの?おまけにこんな往来で因縁つけてくるとか、千葉にそんな頭の悪い不良がいるなんて信じたくない!それは茨城の役目でしょ!?
そのうち、ガラの悪い人達が向こうで話そう、なんて明らかに人気のない所へ誘導しようとしてきた。それもぶつかった本人である川崎くんを無視して私の方に声を掛けた。
それに反発した川崎くんが、咄嗟に庇おうとしてくれたけど、1発お腹を思い切り殴られて悶絶してしまった。ああ、庇ってくれようとした事は小町的にポイント超高いけど一瞬でやられたのはポイント超低いのでギリギリプラスになるかどうかだ!
お願いもっと頑張って川崎くん!というかせめて周りの誰か警察に通報してよ!と思ったら、携帯を取り出してたオジサンが、ガラの悪い人達の1人に睨まれて携帯をしまっていた。もっと頑張ってぇぇ!!
なけなしの抵抗も虚しく、私は3人のガラの悪い人達に囲まれ、川崎くんはお腹殴った人に首に腕を掛けられ、引き摺られるように、そのまま人気のない路地まで連れてかれそうになった時……その人は来た。
凄い勢いだった。
猛烈な足音が響いて、思わずガラの悪い人達と一緒になってその方向へ顔を向けたら、彼は一直線にこちらへ向かって走ってきていた。見間違いかもしれないが、横を走る車と並走しているように見えた気がした。
何だろう、と思った時には私の横に居たガラの悪い人を「すまんちょっと退いてくれ」とまるで、スーパーで取りたい商品の前でケータイ弄ってる人を退かすみたいに押し退けて、いきなり私の両肩を掴んできた。凄いびっくりした私は悪くないと思う。というか押し退けられたガラの悪い人が吹っ飛んだ気がするけどそれどころじゃないので分からない。
初めて間近で見たその人の印象は、何と言うかモサモサしてる、だった。かなり背の高い人で、多分185cmは絶対超えてる。だって隣のクラスに居る、バスケ部の巨人で通ってる山下くん(女子ネットワークによると182cm)より大きいもん。
私の両肩に置かれた腕は太く、よく見ると肩幅も広い。あれだけの勢いで走ってきたのに全然息は乱れてなくて、でも表情が分からない。だって前髪長すぎっていうか髪の毛が全体的に多すぎて目が全然見えなかったから。でも何となく笑っているのだと思う。口の両端が若干上向きだったし。
そして、その人は驚く私を無視して話し始めた。
「すまん、比企谷 小町だよな?」
私は名前を知られてる事に気付いて直ぐに恐怖を覚えた。ひょっとしたら助けに来てくれたかも?と思ったが、心の中でいきなり周りのガラの悪い人達より危ない不審者に格上げした。正直普通に怖くてひっ、って悲鳴が漏れた。
それに気付いたその人は、慌てた様に両肩を離して、まるで手を出す気はないと言わんばかりに両手を上に上げて言った。
「す、すまん!怖がらせた!だ、だが不審者では無いんだ。いや、たぶん今のところ不審者にしか見えないと思うんだが、えーと、何と言うか、君に興味がある訳では無いというか、用があるのは君じゃないと言うか……!」
見た目にはあんまり変化がなかったが、その大きな体が、何となく慌てているのは声で分かった。でも、私の名前まで知ってるのに私に用がある訳じゃないってどういうことだろう?あまりの事にかえって私の脳は落ち着きを取り戻したのか、そんな事を冷静に考えている余裕があった。後で気付いた時に、やっぱり私は凄いと自画自賛したくらい。
ひょっとして家族の関係者だろうか、と思って聞いたら、その人はとても嬉しそうに
「そ、そう!そうなんだ。いや、実を言うと今は全然関係ないと言うかたぶん俺が一方的に知ってるだけと言うかともかくそんなんだが、誓って悪意があっての事じゃない!信じてくれとも言えないし、到底信じられないかもしれないが、ともかく今は全部おいといて、会わせてほしいんだ!君の、お兄さんに!」
この人は何のことを言っているんだろう。そう思った私を誰が責められようか。いきなり現れて、何故だか私の名前を知っていて、それで要求は私の兄に会わせてくれ?意味が分からない。それが表情に出たのか、彼は更に焦ったように言葉を重ねた。
「いや、変な事を言っている自覚はある!だが本当に俺は君のお兄さんに会いたいというか、会わなければならないというか、いや、会わなければならない訳でもないんだけど、俺が会ってみたいというか……ああしまった咄嗟に追い掛けて来たけど上手い言葉を考えてなかった!」
危ない人では?正直、凄い本気でそう思ったけど、何故だか相手が必死なのは分かって、これも何故だかこの人が嘘をついていないと思った。だけど、だからこそ、余計に不思議で仕方がない。この人は本当に何を言っているのだろう。そう思って、怖かったけど、何とか声を絞り出した。
「あ、あの…すいません、私に兄は居ないんですけど……?」
「……え?」
目に見えて目の前の人が硬直したのが分かった。ピタッって擬音が聞こえたような気がした。その後、まるで信じられないことを聞いたかのように、そんな馬鹿なって小さく呟いた。そして再び私の両肩に手を置くと、怯えるように震えながら、恐る恐る私の顔と目線を合わせるように体を屈めて、震えた声で聞いてきた。
「すまない…。すまないが、もう一度言ってくれ。よく、聞こえなかった……!」
震えた声。まるで信じたくないと言うような問いかけ。けど、私はとにかく答えなくちゃと思って、何とか今の私の気持ちを口にした。
「あの、すいません……何の話ですか?私、生まれた時から今までずっと、一人っ子なん、です……けど……?」
その言葉を聞いた瞬間、その大きな人は力無く両膝を着いて項垂れてしまった。私の肩に両手を置いたまま。まるで悲しみに暮れるように。
ふと見るともの凄い美人の女の人と、かなり可愛い女の人が息も絶え絶えで側にやってきていた。2人ともひょっとして目の前の人の関係者だろうか。あの制服は知ってる、この辺りで有名な進学校の総武高校のものだ。一応私も受験生だし、進路を調べた際に制服が可愛かったからよく覚えている。
そんな事まで考えられる様になって、ようやく私は自分の思考が落ち着いてきていることに気付いた。そして、とあることに気付いて愕然とした。
……ひょっとして今、私がこの人虐めた様に見えてる?
勘弁して下さい。
◻️◻️
「……榊君」
その声に気が付いて、思考の渦から意識が外に戻る。
ふと顔を上げてみると、困惑した表情で、愛想笑いを浮かべる少女の顔。よく見るとガッツリ彼女の両肩を俺の手が掴んだままだった。あたりを少し見見渡して、状況を確認する。
……なるほど。見知らぬ人間にいきなり話し掛けられて、それが身に覚えのない話の挙句、正直に答えたらその見知らぬ人間が自分の肩に捕まって途方に暮れ始めたらそりゃあこんな風な顔にもなるだろう。
正直由比ヶ浜以来の唯一の手掛かりで思わず先走ってしまった自覚はある。というかよく考えなくてもいきなり知らん男がやってきて、君のお兄さんに会いたい!でも面識はない!とか言われたら普通に通報案件だ。
テンパって居たにしても限度がある。恐らく少女の恐怖は尋常ではなかったはずだ。非常に申し訳ない事をしたな。少女の両肩を離して立ち上がり、いきなり変な話をした事を謝る。
「すまない、取り乱した。……どうやら俺の勘違いだったようだ。いきなり変な話をした挙句、迷惑を掛けて申し訳ない」
「へっ?あ、いやー、私は大丈夫ですけど、お兄さん……その、大丈夫ですか?」
どうだろうか。まぁ、多分大丈夫だよ、ありがとう。突然だったから怖い思いをさせてしまったな。本当にすまない。今日のことは気にしないで貰えると助かる。
「あ、えーと、はぁ……分かりました?」
「ね、ねぇサカキン、大丈夫?その、様子が変だったけど……?」
む、由比ヶ浜もいたか。いかん、ちょっとまだ衝撃が抜けてないな。どうやら雪ノ下も由比ヶ浜も心配して咄嗟に追い掛けてきてくれた様だ。2人にも突然変な事してすまないと謝罪する。
「…別に良いわ。榊君が突拍子もないことをするのは今に始まった事でもないもの。よく分からないけれど、もう大丈夫なのよね?」
ああ、問題ない。どちらにせよ何とかするしかないしな。とりあえずは戻ろうか。すまんな少女、本当に迷惑を掛けた。俺達はもう行く、と声を掛けようとして、短い悲鳴。見ると、見知らぬ男に捕まっている由比ヶ浜の姿が。ふむ?
「話は終わったかァ?いきなり出てきて人の事を突き飛ばすわ、訳のわかんねー話をするわ……どうしてやろうかと思ったけどよ、いい女2人も連れてるから許してやんぜ」
「きゃあっ!!ちょ、やめてよっ!触んないで!キモイ!」
どう見てもチンピラにしか見えない男が、由比ヶ浜の胸を揉みながら、今どきなろう系チーレムの雑魚敵でも中々言わないような事を言い出した。現実にもこんな頭の悪いことを言える奴が居るとは思わなかったので、少し驚く。
ふと周りを見ると少女の他に、少女と同じくらいの少年が1人と、由比ヶ浜にセクハラしてるチンピラみたいな人間がもう3人。こちらを囲む様に位置取りながら、皆ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべていて、どうやら雪ノ下や由比ヶ浜の見た目にエロい妄想でもしてるようだった。ふむ。
「そこのチンピラ、どうやら歳上の様だけど、セクハラで逮捕されたくなかったら今すぐ由比ヶ浜さんを離しなさい。潰すわよ?」
「おー?この子由比ヶ浜ちゃんって言うのかー!いーもん持ってんなー!最高だぜこの揉み心地!」
「や、やめっ……触んな!」
由比ヶ浜の様子を見て、雪ノ下が止めに入るが、チンピラは取り合わずに由比ヶ浜の胸を揉み続ける。ほう?
「……いきなり変な事をした俺が言うのも何だが、友人はもうちょい選んだ方が良くないか?」
「へっ!?それ私に言ってます?!や、やー!誤解ですって!むしろ私達もさっきまで絡まれて危なかったと言いますか正直お兄さんのおかげで助かったと言いますか……」
何と。じゃああのチンピラってロリコンなの?普通にキモい。ヤバい。そしてそろそろ由比ヶ浜の胸から手を離せ。その巨乳はお前みたいな社会不適合者如きが揉んでいいもんじゃないんだよ。つーか俺も揉んだことないから即刻手を離さないとどうなっても知らんぞ。
「あぁ?何1人でイキってんだよ!これはもう俺「じゃあもういいな」の……?あ?」
とりあえず時間を止めて由比ヶ浜を奪い返し、ついでに由比ヶ浜の胸を揉んでいたチンピラの腕を綺麗な球状に丸めて潰しておいた。そして戻るついでに今にも飛び出しそうだった雪ノ下も連れて、少女の側へ戻る。
そこで時間を元に戻した。時は動き出す、ってか。
「っ!あ?何でそこにその女が……あ?」
「お、おい、お前、手が……!?」
直後に響く汚い悲鳴。うるさいのでチンピラ全員の周辺の空間を固定して声の振動をカット。これでどんな声も響かないし漏れはしない。ついでに女の子の精神的に良くないので空間を歪めて腕の先がいまいちよく見えなくしておく。
「ふぇ?あ、あれ?あたしなんで……サカキン!?えっ、なにこの状況!どうなってんの?」
「えっ?えー!?なんで?今あそこに居たおねーさんがここに!?ていうかリアルお姫様抱っこ!凄い初めて見た!」
「私まで移動して……?榊君、また貴方が何かしたの?」
なに、イリュージョンだよイリュージョン。助けが遅れて悪かったな由比ヶ浜。ちょっとここで待っててな。そう言って腕の中の彼女の時間を巻き戻す。胸をもまれる前に。何故か意識があると記憶は消せないが、感触とかは触る前に戻したから感じないと思う。
「えっ、あっ、……う、うん。っていうか恥ずかしいから早く降ろして!」
「ええ〜?せっかくのリアルお姫様抱っこなのに勿体ない……や、なんでもないですよ!」
いや、全部聞こえてるから。物凄い余裕だね君。どうやらこの少女はかなり豪胆な性格らしい。原作の方をあんまり覚えてないから何とも言えないが、大したもんである。ところで少女よ、あの辺のチンピラ、迷惑料代わりに片付けて行こうかと思うんだけど、大丈夫?
「え?やー、正直そうしていただけると助かるんですが、良いんですか?」
「ああ、ついでに奇跡のイリュージョンを見せてあげよう。見ていてくれ、一瞬で方が着くぞ?」
そう言って腕を潰されて蹲ってた男の元に歩いていく。だが同時に空間と時間を操作して、チンピラと俺だけ別空間へ移動する。
俺が作った時間を止めた異空間の中を自由に行動できるのはスタンドを持つ俺だけで、他の生き物が入ると死んでしまう為、切り離した空間内の時間は止めない。
けれど、元の世界の時間は止めてきたので、戻った時はさぞ驚かれる事であろう。さて、ササッと八つ当たりでもしちゃうか。
や、何時までも蹲っちゃってどうしたの?何か悲しいことでもあった?
「て、てめぇぇ!よくも、よくもタツヤの手をー!」
「お、俺の腕がァァ!痛てぇよぉぉぉ!」
「待て、なんかヤベぇぞ!こいつ!」
「ンなことは良いんだよ!〆んぞこのガキを!」
なんだこいつら、ヤンキー漫画世界の住人か何かなの?言ってることもやってることも正直現実の人間とは思えないんだが。正直驚愕だ、こんな馬鹿が現実に存在する事に!それはさておき、腕がどうしたって?まるで腕が無くなったみたいなこと言ってるけど?
「てめぇ、白々しいことを抜かしやがって!コイツの手をこんな風にしといて…あ?」
「俺の腕ぇぇぇ……あれ?ある?」
「…は?」
「どうなってんだよ、こりゃぁ……!?」
なんだなんだ、揃いも揃って夢でも見たような顔をして?まさか本当に腕が無くなったようにでも見えていたのか?
おいおい、頭大丈夫か?普通の男子高校生にそんな事出来るわけないだろ?どうやれば人間の腕を簡単に無くせるんだよ馬鹿なの?白昼堂々と女の胸揉むわ、女子中学生コマそうとするわ、ヤクでもキメてんのかい?
「て、てめぇ、調子に乗ってんじゃねぇぞコラ!」
「な、なんで?さっきまで確かに飛んでもない痛みがあったのに!?な、何が起きてるんだよォォ!!」
確かに自分の腕は潰されて、気が付いたらドス黒い球状になっていた。そして確かに全身を駆け巡るような激痛があったのに、またしても気が付いたら腕は元通りで痛みもない。
そんな意味不明な出来事に、チンピラ達は混乱し、恐怖していた。だが、今更ビビっても遅すぎる。いやー、由比ヶ浜の胸、揉んでなければ八つ当たり相手にしなかったんだけどなぁ。
何が起きてるのかって?そんな事も分かんないのか?イリュージョンだよイリュージョン。お前たちみたいな馬鹿なチンピラには少々勿体ないが、まぁ構うまい。
諸事情で少々気が立っているから、多少の八つ当たりも含まれている。その代わり最高のイリュージョンを見せてやるから感謝してくれていいぞ!
そう言って更に一歩踏み出すと、チンピラの1人が覚悟を決めた顔で飛び出してきた。なので、優しく声を掛けてあげる。
「お?勇ましいのは結構だが、お前、足折れてんぞ?大丈夫か?」
「アア!?何言ってやがっ!?いてっ!…なんで転んでんだ今……?ああ?なんで?俺の足……変な、ほぉぉこぉぉいいぎぃぃぃ!」
「な、なんだ?!何なんだよおまえぇぇ!!!」
何と言われてもね。通りすがりの奇跡イリュージョ二ストにして正義の暴漢だよ。足くらいで騒ぐなよ、そっちのお前、腹に穴空いてんぞ?大丈夫か?あ、そっちのお前は背骨が折れてんな!大変だ!
途端に鳴り響く絶叫の嵐。だが、誰も反応はしない。それはそうだ。今この空間は、俺とチンピラ達を除いて完全に切り離された空間で、元の世界の時間は停止している。俺が先程そうやって切り分けたからな。要は位相結界みたいなもんだ。
どんなに叫び、苦しみ、絶望しようが、その声が俺達以外に届くことは無い。ここは今、驚くほどに元の世界に身近な場所にありながら、地球から月に行くよりも遠い遠い世界の果て。この中で起きたことが何であれ、元の世界には何一つ影響出来ない。
そう説明してあげてみたが、痛みで叫んでうるさい上に全然聞いてない。仕方ないので全員の時間を巻き戻して怪我を無くしてやる。
「何叫んでんだ?どこも怪我なんてしてないだろ?」
「あぁぁぁ!?ま、また治ってる!なんで!確かに今飛んでもない痛みがあったのにぃぃ!!何が起きてんだよ本当にぃぃ!」
「お、おいヤバい、こいつマジやべえって!逃げようぜ!こんな奴関わっちゃいけねぇよ!!」
おやおや、自分達で絡んで来ておきながら、ヤバくなったら逃げるのか?そりゃあないぜ。せめて謝罪してもう二度と関わりませんって誓約書書いてから逃げなよ。……まぁそもそも逃げ場が何処にあるのかって話だが。
「何言ってやがるてめぇ!くそ、本当にぶっ殺して「な、なぁ!」なんだようるせぇ、な……?」
「ま、周りが……どこだよ、ここ!」
「おい、なんだよここ!さっきまでそこそこ人歩いてただろ!?なんで誰も居ねぇんだよ!!」
あ、本当に今頃気付いたの?今散々説明したじゃあないか。この場所はもう元いた世界とは別の世界だって。なぁに大丈夫大丈夫、この世界はほぼ俺の意のままに動くし、どんなに手酷く破壊して、どんなにぐちゃぐちゃになってもすぐ元通りだよ!
それにほら、元の世界では如何にお前らみたいな最底辺ゴミクズチンピラと言えど、居なくなったら問題になるからな。だからちゃんと五体満足で返してあげるから安心してくれ!
彼らはその時になってようやく、本当にようやく気付いた。
目の前に居るのが、ただのカモでも無ければ、ただのヤバい奴でもないと。
ざわ、ざわ、と背中を冷たい焦燥が駆け巡る。
目の前の、見た事ない程にモサッとしていた男の、大量の髪の毛が、独りでに沸き立って行く。
それによって顕になる顔と、全てを見透かすように渦巻く瞳。
やがて独りでに沸き立っていた髪が、くすんだような色の金髪が、蠢くように、悶えるように伸びていく。
頭皮から色を吸い上げるように、くすんだ色の金髪が、紅く、紅く、地面まで伸びた髪の毛先まで一切を染め上げた。
かぶりを振って、伸びた髪を鬱陶しそうに跳ねあげると、誰に言うでもなく男は呟いた。
「相変わらずこれだけは理解出来ん。いや、理由は調べたから分かっているけど、要る?この余計な変身。まぁいいけど」
そんな風に平然とした男の姿が、逆に恐怖を呼んだ。
何故なら、それは男にとってこの場所は未知では無いということ。
それはつまり、この意味不明な場所そのものが目の前の男の仕業と言うことで、そんな事は本来有り得ない。
だってここは現実のはずだ。漫画やゲームの世界じゃあるまいし!
そう思っていた。いや、そう思いたかったが、そんな事は男がさて、とこちらを見た瞬間に吹き飛んだ。まずい、とにかくまずい!
──ーでは、ちょっと八つ当たりに付き合ってくれ。大丈夫大丈夫、何度死にかけても、全部元通りになるから!
……これは、ヤバい奴どころか絶対に手を出しちゃいけない類の存在だった!
そう考えた直後に、彼らの意識は激痛で塗り潰された!
◻️◻️
パチン、と指を鳴らす。
「え?」
その瞬間にはもう全てが元通りで、俺の髪も元のくすんだ金髪モサモサに戻り、相変わらず髪の毛で塞がれた視界が戻ってくる。いや、本当になんで空間を完全支配する時だけ髪の毛伸びる上に赤くなっちゃうのか。俺蒼月潮じゃないんだけど。獣の槍持ってないんだけど。
さておき、少女達や雪ノ下達には俺がイリュージョンを見せると言って、指を鳴らした音が聞こえた瞬間には、並んで深く土下座するチンピラ共がいきなり現れた様に認識した筈である。
ハイ終わり。以上、いつの間にか相手が負けているイリュージョンでしたー!
「え、えぇー?見どころも何もなくていきなり相手が土下座してるだけとかドン引きなんですけど……?」
お?そう言われたらそうかもしれない。確かに合間合間に前衛的なアートになったり、絶望の表情で石になったり、そういう状態を段階的に見せてから土下座に辿り着かないと面白くないとか以前に観客には何が起きたのかも伝わらないか。なるほど、参考になる。
やるな少女よ。お主さてはエンターテイナーだな?きっと我々はオーディエンスの居ない試合はしなーい!とか言っちゃうルチャドールだな?
「え、ルチャ…?すいません、なんですか?」
アッハイ。ごめんなんでもないです。
そりゃそうね、皆がみんな漫画とかアニメの事知ってるわけじゃないよね。何か最近通じる相手ばかりで忘れてたよ。
とりあえずチンピラ共は反省の意を込めて、しばらくああしてるらしいから、そこで固まってる男子連れてもう行きな。もうこういうのに絡まれるないように気を付けてな。
「え、ええ!?ちょっと待ってサカキン、あたしが着いていけないんだけど!」
「大丈夫よ由比ヶ浜さん、私も理解は出来ていないから」
「それ全然大丈夫じゃないよゆきのん!しっかりして!?」
およ?ゆいにゃんもセツのんも分かんないの?はっ、駄目だなー!見たまえ、こっちの中学生達の方が落ち着いてるじゃないか。つまりこっちの子達はちゃんと分かっているのさ!そう、これが……!
「超・イリュージョンッッ!!」(`・ω・´)キリッ
「いや、それは無理があると思うっす」
「流石にそれは小町的にもドン引きかなー」
「というかイリュージョン関係なくない?」
「知らないの榊君。こういうのは怪奇現象っていうのよ?」
なん…だと…?
まさかこの場でセツのんとゆいにゃん以外からツッコミが来るとは。実に将来有望な中学生達だぜ!つーか少女はそっちが本来の一人称なの?え、昔の癖?たまに出る?そうか。そしてようやく口開いたな少年、大丈夫だったか?あ、腹殴られた?よし、じゃあ俺が……痛いのいたいのとんでけー!
「いやそんな子供騙しな……あれ?痛くなくなった?」
「またまたそんな……流石に効かないでしょってウソ!?」
ふ、これぞ忍法痛いのいたいのとんでけされたら何故か治ってる!の術!掛けられた相手は痛いのいたいのとんでけされていつの間にか治っちゃう!そんなイリュージョンだっ!(`・ω・´)キリッ
「凄い!その術の説明全く要らない!」
「名前が全て表してるじゃないの」
「というか忍法なのかイリュージョンなのかハッキリしてよ」
「なんかよく分かりませんが、ありがとうございます」
それはさておき、今頃になって人目が増えてきたからはよ離れよう。2人とも、気を付けて帰りなさい。セツのん、ゆいにゃん、俺らはどうする?やっぱりサイゼ行く?
「うっわ、ガン無視で話元に戻した。でもあたしお腹空いた!」
「そうね、誰かさんのせいで走ったから喉も渇いたわね」
ハイハイすみませんでした。というかセツのんは素直に行くって言えよもう。勉強ばっかりしてると表現が迂遠になるのか?そんなんだから何かと勘違いされるんだよチミは。
何て話しながら元来た道へ歩き始めた俺達だったが、唐突に服を引かれて足を止める。振り返るとにへら、とあどけない顔で少女が俺の服の背中の当たりを引っ張っている。あれ、どした?
「ああいや、よく考えたらお兄さんだけ私の名前知ってるのなんかなーと、思いまして!」
おっとそれは失礼。俺の名前は榊 貴一。総武高校2年F組、奉仕部所属のごくごく普通の一般人です。どうぞよろしく……あれ、しない方がよいかな?
「さかき、きいちさん……よし、覚えました!改めまして、比企谷小町です。中学3年生ですっ!うーん、仲良くしていいのかはまだ分かんないので、1つ提案があるんですがー、如何ですかー?」
いやいきなり話しかけた俺が言うのも何だけど、ここはまず怪しい人には関わらないが正しい選択だと思います。自分で自分を怪しい人間っていうのなんか結構ダメージあるけど、歳上のお兄さんからの大事な提案だゾ!まぁいいけど。で、提案ってなに?
「助けてくれたのはお兄さんですけど、よく考えたら私が怖い思いしたのはお兄さんのせいでもあると思うんですよー!仲良くするにはどっちかまだ判断しにくいですしー。だからここはまず、お互いを知る必要があるのではないかと思うんですがいかがですかー?」
お、おう。俺の提案ガン無視なのね。というか、君の隣でえ、これ以上こいつらに関わんの?マジで!?みたいな顔してる少年は……ああオーケー、黙殺しちゃうのね。すまん少年、気持ちは分かるが諦めろ。女は基本すべからく暴君だと思え。たった数年だが人生の先輩からのアドバイスだ。で、少女よ、本音は?
「や、今気付いたんですけど、私財布忘れたみたいでして!」
朝寝坊して慌ててたんですよね!と少女が言う。なるほど。つまり奢れと。ふむ、まぁいいよ。
「いや、比企谷さん流石にそれは……えっ!」
「いやー、やっぱり?流石に私も無理があるかなって、ええっ?」
なぜ驚く。いや驚くか。まぁでもほら、俺が君らに迷惑掛けたのは事実だしね。食いもん奢るくらい別に構わんよ。もちろん少年も一緒においで。というか君真面目そうだから最初からこの状況で女の子一人で行かせるつもりはないだろうけど。あ、それとすまん2人とも、歓迎会はやっぱり今度にしよう。今日はこの子達も含めてただの寄り道、では如何か?
「はぁ……まったく、仕方ないわね。確かにウチの部員が迷惑掛けたのだもの、お詫びはちゃんとしないとね」
「まったくサカキンは本当にしょーがないねー。良いけど、もちろんあたし達もサカキンの奢りだよね!」
おお、ありがとう2人とも。元より2人にも迷惑掛けたしな、好きなだけ頼んでいいぞ。なんなら店のメニュー全部注文しようぜ。俺1度店員さんに、ここからここまで全部って注文してみたかったんだよね。
「誰がそんなに食べるのよ……」
「知らんのか?男子中学生の胃袋は宇宙なんだぞ」
「え、俺すか?」
「やー、女子中学生の胃袋も馬鹿にしたもんじゃないですよ!」
ほほう、それならば見せてもらおうじゃないか!俺は沢山食べる子は好きだぞ。ほら、デブ猫とか可愛いし。病気で長生きできないとかの制約とか無ければ世界中の猫がデブ猫になってもいいと思うくらい。
「それは私に太れってことですか!?」
「まぁ確かに丸々とした猫も愛らしいというのは分かるわ」
「ゆきのん違う、そうじゃない!」
なんて話をしながら、俺達はサイゼに向かうのだった。
なお、土下座しっぱなしのチンピラは多分そのうち帰ったと思うよ。うん。
◻️◻️
サイゼにて。
6名がけの席に座った俺達は、とても楽しく和気あいあいと談笑していた。
「サカキン…!手と口止まってるよ…!」
「貴方だけ楽になるとか許さないわよ榊君…!」
「うぷっ、まさか本当に全メニュー頼むとは思わなかったっす…!」
「ごめんなさい私もうほんとに無理ですぅ……!」
……楽しく談笑していた!
「誰も会話する余裕残ってないんだけど?!」
「榊君、こういうのは死屍累々と言うのよ…!」
ちっ、空気だけでも明るくしようとしたがやはり無理か。
あの後5人でサイゼに来たんだが、冗談抜きで店員さんにメニュー渡してドリンク以外全部で!ってやったら仲良く話してられたのは最初だけで、途中から絶え間なく来る料理に封殺されていたのだ。
いやー、サイゼの底力舐めてたな!5人も居れば全メニュー余裕だと思ったんだが。つーか思ったよりセツのんとゆいにゃんが食べないのなんで?何時ももっと食ってんじゃん!
「人を食いしん坊みたいに言うのやめてくれるかしら?」
「というかサカキンの料理と違ってそこまで美味しくないものを食べ続けろとかただの拷問だよ……」
え、味の問題なの?ふむ、なるほどなァ。まぁ次は考慮に入れるとしよう。ま、なんだかんだ後ハンバーグとパスタとピザだけだし、何とかなるよ。
「や、やー。一番きついのが残ってしまってる気がするんですけどー?」
「すいません、俺ももうギブっす」
む、育ち盛りコンビもやられたか。まぁ大丈夫大丈夫。これくらいなら俺一人でいけるし。とは言うものの、流石に夕飯は入らなさそうだな。平塚先生に怒られないといいけど。まぁいいや、早く食べてしまおう。見よ!これぞ秘技ジャックハンマー風ハンバーグの一気食い!ピザをカットした後重ね食い!パスタを普通に食べる!
「うわ、ハンバーグ無理やり口に押し込んで一口で全部食べてる…!」
「…正直汚い食べ方だけど、この際残さないなら何でもいいわ。というか、そんなに余裕があるなら何故もっと早く……!」
「すっげー、ピザ全部重ねてハンバーガーみたいな厚さになってる。先輩、流石っす!」
「いや、そこでなんでパスタだけ普通の食べ方なんですか…?」
ふ、優れた闘士は食う量も多いものさ。まぁ俺地下闘技場に参加したことはないしなんなら闘士でもないけど。ちなみにバキみたいな大規模なものはないけど、地下闘技場自体はこの世界にも実在する模様。主にヤクザとかの関係者が賭け事とかに使っているとかいないとか。
なんだかんだ全メニュー制覇に成功した俺達だったが、セツのんが言った通りその代償はご覧の通り俺以外死屍累々で、飲み物さえ口にしたくないレベルらしいので当然今歩くのも無理、ということで食べ終わった後もしばらく店に居させてもらうことにした。まぁ店側としてもアルコールメニュー以外全品頼んだ連中を無下に扱ったりしないでしょたぶん。
ところで川崎少年、料理が来て中断してたが、お姉さんが俺達の学校に居るんだって?何年なの?
「や、先輩達と同じく2年っすけど……うぐ、すいませんまだ会話キツいっす」
およ?まぁ川崎少年は頑張ったからな。ヒキコの代わりにドリアシリーズ制覇してたし。1人だけ回復が遅いのも川崎少年が誰よりも食べたからに他ならない。うん、ナイスガッツだぜ川崎ボーイ。
「貴一先輩、そのヒキコって言うのやめてくださいよー。引きこもりの女の子みたいじゃないですかー。もっと可愛いあだ名を所望しますっ!」
じゃあこまっちゃんね。はい決まり。てかそもそも比企谷って苗字が可愛いあだ名に向いてないよね。ウチのセツのんを見習いなさい。彼女は苗字でも名前でもゆきのんセツのんって呼べるんだぜ凄くない?
「むむむ!それを言われると辛い…!確かに私の苗字は可愛くしにくい……だけどこまっちゃんは無いです!トリコの相棒みたいじゃないですかやだー!というか雪乃さんを引き合いに出すのはずるです卑怯です!」
「何が狡いのよ……。別に私が凄い訳ではないでしょう……というか、私は別にそのあだ名可愛いと思ってる訳では無いのだけれど」
「えぇー!そんな事ないよゆきのん!ゆきのんは可愛いーよ!」
「そうですよー!というかもうあだ名とかじゃなくて雪乃さんが可愛いですっ!これと比べられたらだいたい可愛くなくなっちゃうと私は思いますがどうですか貴一先輩!!」
「貴方は何を言っているのよ…?」
何を言うか、セツのんがちょっとヤバいレベルの美少女だというのは認めるが、こまっちゃんも別に見劣りしてる訳ではなかろう。というかタイプが違うだけでこまっちゃんも大分レベル高め。学校でかなり人気あるんじゃない?その辺どうなの川崎ボーイ。あ、話すのもキツいんだっけ?仕方ないな、食らうがいい!波紋式なでなでによる生体機能強化&時間加速!相手は一瞬で消化が進むゥ!!
「うわ、なんすかやめて下さい先輩、今そんなに強く頭撫でられるだけで吐き気が……あれ?なんか腹が楽になった?!」
「ふ、これぞイリュージョンッッ!」(`・ω・´)キリッ
「ええ!?これ先輩のマジックすか!?やべー!すげー!いやマジ凄いっす!先輩本当に凄いっす!」
えっ?お、おう。あれ、なんか凄い嬉しい!普段と違ってちゃんと評価されると何かすごい照れる!ヤバい!セツのんとかゆいにゃんとか最近めっちゃ冷たいから凄いなんか気分いい!こ、これが敬われるということか……!今までぼっちだったから知らなかったが、これは確かについつい後輩に見栄張っちゃう先輩の気持ちが分かっちゃうかもしれない!おいセツのんとゆいにゃんも見習うが良いぞ?これがイリュージョンへの正しい評価だ!……あれ?
「あ、アハハ…真顔で言われるとちょっと照れますねー!」
「………」ムスー
「……榊君?いきなり中学生を口説くとか警察呼ぶわよ?」
いや何の話だし。っていうかゆいにゃんはなんで不機嫌なの?セツのんはなんだか満足気だが。こまっちゃんはまぁいいや。え、何川崎ボーイ。こまっちゃんは実際かなりモテる?あ、やっぱり?可愛い見た目してるし、その上なんか愛嬌ある子だしね、色んな奴に好かれそうだよね。お、てことはアレか?今日2人で居たのはアレか?デートなのか?良いねー青春だねー?
「貴一先輩、もうその辺で!これ以上は逆に小町的にポイント超低いです!具体的には私の方に結衣さんの痛い視線が……ッッ!!」
「いや、違うっす。比企谷さんには相談したいことがあって、話を聞いてもらおうと……。それで今日付き合ってくれたんですけど、途中であのチンピラ達に絡まれて……」
ほう、相談事とな?一応聞くけど好きな人が居るんだ、貴方のことです!みたいな少女漫画でも余り見ない展開を狙った訳じゃないよな?あ、違うのね良かった。で、何があったんだね?何、たまたま通りがかった歳上に話すのも、何か変わるかもしれないし、変わらなくてもただの通りがかりだから何に影響与えるものでもないよ。思い切って話してガスっ、って痛ッッ!何すんだこまっちゃん!タバスコの尖ってる方で殴んな打突面積小さい分威力が集中して痛いんだぞ!?
「人の話を無視する貴一先輩が悪いですっ!というか女子を無視して男子だけで盛り上がらないでもらえますかー?」
いやそんな事言われても。お兄さんとしては後輩から頼られたい欲が今すごい湧いてきてるんだが。あ?こまっちゃんの頼み?何だね、聞こうじゃないか。え、ゆいにゃんはどう思うか?そりゃ可愛いよね。巨乳だし。見た目がビッチじゃ無ければ会話すんのに緊張するレベル。え、その理屈で何故セツのんに緊張しないのかって?ははは、緊張するほど目を引く盛り上がりないじゃん何言ってんの?
「うわぁ、貴一先輩結構最低ですねー……」
「う、うぅ。喜ぶべきなのか怒るべきなのかすごい複雑……!」
「榊君、貴方今私が満腹で動けないことに感謝しなさい。危うくこのナイフで首を切り裂くところだったわ」
ははは、首を切った程度で俺が死ぬか。というかセツのんの発言が最近本当に猟奇的。いつか犯罪起こしそうでお兄さん心配です!……まぁそれはさておき、ちょっと静かに。今から青少年のお悩み聞くから。先輩ムーブするから。
「首を切られて死なないとか言い切る貴方に正直ドン引きなのだけれど、川崎君の相談と言われては榊君だけに任せては置けないわね。いいわ、ウチの部員が迷惑掛けたお詫びもまだだし、私も奉仕部部長としても話を聞きましょう」
や、セツのんには話してないから。これは先輩として俺にだけ相談されたことだから。
と思ったら川崎ボーイが良いんですか!?ありがとうございます!とかセツのんの介入にすごい嬉しそうに反応してしまった。嘘でしょ俺の時よりも嬉しそうなんですがそれは。え、なにこまっちゃん。…貴一先輩の見た目胡散臭い!?雪乃さんの方が頼りになりそう!?な、なんということでしょう。これが容姿による格差社会かッッ!!
「いやサカキンは髪切ればいいんじゃない?」
だが断る。何故なら最近この見た目に慣れてきたので今更変えるの凄い面倒だから!さておき、我らが部長が奉仕部としてやる気出したなら仕方ないな、俺も個人としてでは無く部員として対応しよう。
「というか貴一先輩、奉仕部ってなんですか?」
簡単に言えば人助けする部活。要は学生ボランティアみたいなもんだ。ただし、ウチの部長曰く、困っている人の悩みを解決するのではなく、悩みを解決する手段を教えるのがウチのやり方だ。要はやり方教えてやるから魚は自分で捕れ、みたいな?
「あー、なるほど!アドバイスはするから自分で解決しろって事ですね。はー、そんな部活あるんですねー!」
や、普通は無いぞたぶん。ウチは普通じゃない先生が居たから作られたけど。
「榊君、奉仕部の仕事の説明は私がするからいいわ。……それより、その、私にも…」
ハイハイ、いつも通り黙ってますよー。ん?何ゆいにゃん、お腹苦しいから話に集中出来ない?だからなに、ってああ、川崎ボーイにやったやつをゆいにゃんにもやれば良いのね。ハイハイ、波紋式なでなで〜!あ、ゴメンセツのん、なんか言った?
「う〜、やっぱサカキンに頭撫でられるの気持ちいぃ……あ、もう少し強く撫でて」
「……」
いやもう腹楽になってるはずだけど。え、もうちょっと?えぇ…まったく、しょーがない子ねぇ。相変わらずワンコみたいで可愛いけどさー。え、なにセツのん。こっち見てないで川崎ボーイから話聞いてやりなよ。部長でしょ何してんの?
「……コホンッ。その、榊君?私も誰かさんが店のメニュー全部なんて馬鹿なことするから、お腹が苦しくて川崎君の話に身が入りにくいのだけど?」
あ?あー、まぁそりゃそうね。ゆいにゃんがやられてたらセツのんも苦しいよね。ちょっと待ってね今何とかしよう。喰らえ秘奥義、消化一瞬の巻物!セツのんの胃の中の物に直接時間加速!胃液で解ける時間を短縮ッッ!一瞬で消化されてさらに身体機能上げて吸収も早い!相手は即お腹が楽になるゥッッ!!
ふ、どうだセツのん。もう終わったぞ!より早く話を聞けるようにゆいにゃんより早くお腹が楽になる方法を使ってみたぜ!もう満腹の気持ち悪さ無いだろ?ふふふ、褒めてもいいんだよ?……え、なに?頭撫でないのかって?いや何言ってんの?相談してる相手が頭撫でられてたら依頼人が対応に困るでしょ。当たり前じゃん。良いからほら早く相談に乗ってやりなよ。何のために一瞬で治したと思ってんのさ。
「治ってないわ。恐らくやり方が良くなかったのね」
「は?何言ってんのセツのん?もう既に終わったってば」
「治ってないわ。恐らく頭を撫でないと効果が無いのね」
「いや、そんなはずは「治ってないわ」アッハイ」
そうね!本来スタンド能力がメインだから波紋とか半分くらいおまけなんだけど、どうやら頭撫でないと効果出ない体質もあるみたいですねHAHAHA!えーと、あの、分かったから人の手無理矢理頭に載せようとしないでセツのん。分かったから。ちゃんといつも通り好みの強さで波紋流して頭撫でるってば。まったく、何故どちらかを撫でると結局両方撫でる羽目になるのかってああハイハイ、強めに撫でるのね。分かった分かった。だからそんな頭掌に押し付けなくても良いってば。
「ねぇねぇ大志くん、私達さっきから何見せられてんのかな?ちょっとブラックコーヒーが欲しくなってきたんだけど」
「いや、俺に聞かれても。とりあえず、2人分コーヒー取ってきます……」
や、待てお前達。違うから。いつもはもうちょいキリッてしてるから。今日はほら、たまたまだよたまたま。こういう事もあるんだよきっと。あ、全然信じてないなこれは。ま、まぁ仕方ないね!
この後結局撫でながら話聞いたぞ!
◻️◻️
川崎ボーイの相談内容を纏めると、要するにお姉ちゃんが不良になっちゃった!毎日家に全然帰って来ない!助けて!という事らしい。ふむふむ。ではまずそのお姉さんを探さねばならんな。2年って言ってたけど2人とも知ってる?
「ええ、知ってるわ。貴方のクラスね。川崎沙希さん、だったかしら」
なにっ!?うちのクラスなの?ほほー、これはまた偶然ですな。
「え、いや…あの、同じクラスなのに知らなかったんですか?」
「あはは、まぁサカキンだから。ほらサカキン、あの子だよ。今日遅刻して平塚先生に怒られてた子が川崎さん。居たでしょ?」
……?居たような居ないような。うーん、言われてみれば何か青い髪のヤンキーが居たような気もする。どうでも良いけどうちのクラスヤンキー多いよね。皆髪の毛染めすぎじゃない?
「え、それ先輩が言うんすか?」
「あれぐらいじゃサカキン的には記憶すら怪しいんだね……。でもあたしもあんまり話したことないかも。というか、川崎さんが他の誰かと仲良く話してるの見たことない、かも。何となくいつも静かに窓の外見てるイメージ」
ああ、俺のこの変な色の髪の毛、これでも地毛だから。先祖返りとか隔世遺伝とかって奴らしいぞ。随分前にロシア人の血が入ってるらしい。つまり俺は真面目な一般ピープルだよ。というかあのクラスに俺以外にぼっち居たのね。知らんかったわ。
「残念だけれど、貴方は不良でないだけで一般人でも無いわよ。むしろかなりの変人、いえ、変態だわ」
なぜ言い直したし。ていうか何時もスカした態度のくせにむっつりスケベのセツのんには変態とか言われたくないですしおすし。あ?なにセツのん自分はエロくないって本気で思ってんの?あんだけアブノーマルに造詣が深いのに?はは、ご冗談を。
「貴方と一緒にしないでもらえるかしら。このオーク木くん」
「はは、そこの中学生2人。オークと聞いて思い浮かべるものは?」
「え、俺らっすか?なんだろ、確か前に読んだ漫画だと、豚の頭持ったモンスター、でしたっけ?」
「槍持ってる奴ですよね!地味にザオラルがやっかいな!」
ほれみろこれが普通の感想だよセツのん。前にも言ったけどオークが性獣扱いされてるのなんて基本的にエロ本かエロいゲームの中だけだから。つまりそれを知ってるセツのんもどちらかを知ってるのは確定的に明らか。やーいこのスケベ!ってうぉぉ!待てセツのん!やめろ!謝る、俺が悪かったから俺のドリンクにタバスコ入れまくんのやめてくれ!あああ!俺の野菜ジュースがァ!?
「なにやってんのサカキン……。ゆきのんも、サカキンに報復は後にしよ、ね?今は依頼をどうするかが先でしょ?」
「…そうね。ごめんなさい川崎君、取り乱したわ。とりあえず、まずはお姉さんに何があったのか明日調べて見るわ。それが分からないと対処のしようもないし。なにか分かったら連絡するから、連絡先を教えてもらえるかしら?」
「分かりました。すいません、よろしくお願いします。最近は変な店からも姉ちゃん宛に電話掛かってきたりして……俺、本当心配で」
「あ、ついでに私のも連絡先教えますね!乗りかかった船だし!」
おお、姉思いのえー子やな川崎ボーイは。それはそうと、何て店だったか名前分かる?エンジェルなんとか?ああ、名前は全部聞き取れなかったのね。や、それだけ分かればなんとかするから安心おし。こう見えて我々今んところは依頼の達成率100%だから、信じてくれていいよ!まぁそもそも依頼がまだ3回しか来てないけど、うん。これは言わんどこう。
とりあえずゆいにゃんとセツのんが2人の連絡先を登録したところで今日は解散しよっか。俺の連絡先?俺はほら、スマホだから。赤外線通信とか無いし手打ちでメルアド打ち込むとかだるくてやってらんないから。まぁ二人が知ってれば十分でしょ!
「えぇ…そんな理由で断られたの私初めて…。というか、こんなに可愛い子と連絡先交換できるんだからもう少し喜ぶべきでは?」
「あ、僕ロリコンじゃないんで」
「それは私の体が貧相だと言ってるんですかね?」
何言ってだこいつ。
や、どう考えても歳の方だと思うんだけど。中学生だろこまっちゃん。というか体のメリハリならセツのんも大して変わらなうぉ!?お前マジでナイフ振りやがったな!?それステーキとか切るためもんで人に向けるもんじゃないんですけど!?
ああすまん、話が逸れたな。ていうかアレだ、逆に言えば可愛い中学生なんだから見知らぬ歳上の男とポンポン連絡先交換すんなよ。もうちょっと危機感持つべきでは?
「あ、それは大丈夫です。私その辺の見極めは凄いんで。てかもう面倒なんでこっちでやるんでケータイ借りますね」
「あ、コラ!」
「ええと、電話帳は…あ、これか。えっっ少な!ちょっ、喜一先輩、家族と思われる榊の苗字の人除いたら3つしか登録されてないんですけど!?」
や、だって俺ぼっちだし。新しいクラスの時の連絡先交換会みたいなの普通にトイレ行ってスルーしたし。というか人のケータイを勝手に取るでない。あ、もう登録完了したの?え、川崎ボーイのもメールで送ってくれる?あらヤダ助かるー!
「いやサカキンもうちょっとケータイの使い方覚えなよ。前にあたしの連絡先登録した時も打ち込んだのあたしだったじゃん」
ふ、ケータイなんてね、要は電話出来れば良いんですよ。大人なんでね。え、連絡先登録出来なきゃ電話出来ない?そりゃそうね!
そんな事やりながらお会計を済まし、皆でサイゼを出る。頼んだ量が多過ぎて流石に少し遠慮したのか、皆も少しくらい払おうとしてくれたが気にせずカードで一括払いしといた。どうでも良いけどこういう時「カードで!」って言えるのカッコいいよね!カッコよくない?俺はそれに憧れて無駄にカード使ってるんだけど。
「や、かなりカッコイイですよ貴一先輩!これからもちょくちょく奢って貰えると小町的にポイント超高い!」
フホホホ!そうじゃろそうじゃろ!
欲に素直なお子様は嫌いじゃない!良かろう!次も奢ってやろうではないか(。・ω´・。)ドヤッ
「わー、貴一先輩ちょろーい!そう言えば貴一先輩、会った時から疑問だったことがあるんですけど質問いいですか?」
おお、なんじゃねこまっちゃん後輩。なんでもこの御大臣さまが答えてあげようじゃないか!フホホホ!
「完全に良いようにされてるじゃないの……(呆れ)」
「知らなかった、サカキンって年下にはこんなに甘いんだ!」
「いや、これは甘いとかそんなレベルじゃなくないすか?」
後ろのやっかみは無視しよう!ふ、後輩に慕われるのもできる先輩の特権だからな!ふーははは!
「なんで今日暑いのにネックウォーマーなんか付けてるんですか?ぶっちゃけ季節外れ感エグいです」
「ふ、それはな。首だけダイエットと言う奴だよ!首周りの発汗促して顎とか首とかシェイプアップするのさ!」
「ええー?なーんだ、普通 !!貴一先輩、こんな見た目でタラシっぽいから実はキスマークがヤバくてそれ隠すため、とか期待してたのに!」
ぎくっ
「あはは、もー何言ってるの小町ちゃんたら。サカキンに限ってそんなこと……ねぇサカキン、なんで今ぎくってしたの?」
「ふふ、面白い冗談ね小町さん。そんなことあるはずが……榊君?」
ば、馬鹿な!何だかんだ学校では張本人の平塚先生以外誰も突っ込んで来なかったと言うのに、何故こまっちゃんが気付いた!?い、いや待て、慌てるな。ここは下手に弁明すると余計にボロをだしかねん。まずは、そうまずは笑って誤魔化す所からだっ!
「HAHAHA!何を言い出すかと思えば「あ、先輩の声めっちゃ震えてる。マジっすか!流石ッスね先輩!」か、川崎貴様ッッ!?」
おいよせ止まれ少年!お相手は先輩たちのどっちすか?とかセツのんとゆいにゃんに聞くんじゃない!どっちでもないから!ていうかこまっちゃんなんて事を…楽しそうにしてんじゃねぇよ!
「いやー!半分くらい冗談で言ったんですけどまさか図星だとは!これは凄い、流石ですね貴一先輩!で、どっちとやったんですか?あれ、でもお二人の反応が芳しく……ハッ!?まさかどちらでもない!?そ、そんな、こんなに可愛いお二人を差し置いて他にお相手が!?す、凄い!本当に凄いですね貴一先輩!どんな人なんですか?!ねぇねぇどんな人なんですか!?」
ちょ、待て!違う誤解だから落ち着け!今日一眼をキラキラさせて寄ってくるんじゃない!何も無い!何も無いから!ただ付けてるだけだからこのネックウォーマー!
「何も無い?ふーん、じゃあ取ってよそのネックウォーマー」
「そうね。何も無いのなら取る事にも問題は無いはずね。外しなさい榊君」
ちょ、二人まで!?何楽しんで……ないな。あれ?寧ろなんか怒ってる?え、何故に!?い、いやー、汗かき過ぎて汗疹になっちゃって恥ずかしいから外すのはちょっとなー!
「あ、それならあたし汗疹にも効くクリーム持ってるから塗ってあげるよ。だからそれとって?…ね、サカキン」
「あら、良かったじゃない榊君。むしろ汗疹が出来てるのにまだ汗かくものを付けてるのは皮膚に良くないわ。早く外しなさい。…早く」
ぐぐぐ、まずい、これは誤魔化しきれない……!こうなったら時間加速でキスマークを治すか!?いや、1度治した傷は巻き戻しても元には戻らない。俺の時間操作は、生物には謎の働きを見せるからな!そんでもって昼にあれだけ残ってますアピールしたんだ、平塚先生は絶対夜にも確認する!それが消えてたら今日以上にキツい跡を付けられかねん!出来ればこれからの季節にネックウォーマーなんて毎日つけるのは勘弁願いたい。ど、どうする俺、考えろ、この場を切り抜ける方法を……!!おいこまっちゃん修羅場だ♪ってニヤニヤすんな!
「もう、自分で取れないの?赤ちゃんみたいだなーサカキンは。仕方ない、あたしが取ってあげるよ」
「まったく、往生際が悪いわよ榊君。由比ヶ浜さん、私が押さえてるわ」
ぐっ、駄目だ考えてる時間が無い!か、かくなる上はッッ!!
「あっ、逃げた!」
「くっ、逃がさないわよ榊君!どうせ帰り道は同じなのだから!」
これは逃げではない!戦略敵撤退である!では諸君、また会おう!サラダバー!!
後ろから結局逃げてますよとか聞こえた気がしたが無視だ!セツのん流石に今日はもう走って追い掛けて来る事はないみたいだし、自分の部屋に入ってケータイの電源落とせば大丈夫!のはず!
後ろを振り向くことなく俺は駆け抜けた!
◻️◻️
「……駄目ね、あれはもう追えないわ」
く、相変わらず無駄に運動神経の良い……!
「仕方ないよゆきのん。さっきお腹いっぱい食べたばっかりだし、明日学校で追求しよう」
由比ヶ浜さんが冷静にそう告げるが、恐らくあれはこの後メールか電話で確認する気だ。恐らく彼の事だから、電源切ってしまう気がするけれど。
「そうね、そうしましょう。では私達もそろそろ帰りましょう。これ以上は暗くなってしまいそうだし。2人も、気を付けてね」
「私は自転車ですから!お二人共、今日はありがとうございました!」
「俺も慣れてるんで大丈夫です。ご馳走様でした。姉の件、よろしくお願いします」
別に私がお金を払った訳では無いのだけれど、2人の中学生は律儀にそう言って帰って行った。なるほど、よく出来た子達だ。彼が甘くなるのも分かる気がする。
私と由比ヶ浜さんは途中まで帰り道が一緒だ。2人で並んで歩きながら、取り留めのない話に相槌を打つ。こういう時、あまり彼の話題はでない。勉強会でも、彼への愚痴がたまに出るくらいで、あまり長々とした話のネタにすることは無い。それはきっと、お互い分かっているからだろう。
ふと、隣で歩く由比ヶ浜さんの横顔を見る。
いつも通り楽しそうに止めどなくこちらに話かけながら、されど何処か憂いが混ざる。少しだけ、その気持ちが理解出来た。
「ゆきのんはさ……」
唐突に変わる声のトーン、こちらに向けた言葉に、思わず少し身構えた。なにかしら、と返した。たぶん声は震えてはいないはずだ。
「……んーん、ごめんやっぱ何でもない」
「……そう」
煮え切らない態度。でも、何となく私もそれ以上に踏み込みたくないと、そう思ったから、何も言わずに歩いた。
やがて、彼女が私こっちだから、と指をさして立ち止まった。別れ道であった。なので、また明日、と手を振って別れる。彼女は、明日はサカキンとっちめよう!と明るく言って去っていった。
そのまま1人で帰り道を歩く。何故か違和感を覚えた。何だろう、そう疑問に思い、少しだけ理由を考えたら、驚くほど簡単に答えが出た。
「そういえば……ここ最近、一人で帰ることなんて無かったわね」
2年になって少ししてから彼が入部し、ほぼ毎日部活がある。それは同じ場所に帰る彼とほぼ毎日一緒に帰ると言うことだ。なんなら、お互い自炊してるから、帰りにスーパーに寄るのも一緒であった。
そうでない時は彼と別れて由比ヶ浜さんと寄り道した時で、ギリギリまで彼女と一緒にいたり、彼女が家に泊まることもあった。
そう考えると、1年の時とは比べ物にならないほど一人の時間が減ったな、と。そう気付いて。思わず何故だか笑ってしまった。
「ふふ、おかしなものね。一人でない事に違和感を覚えるなんて。……ずっと一人でやってきたのに」
それはつまり、自分でも知らない間に一人では無いことに慣れてしまっていたのだろう。あるいは、そんな事に気付かないくらい、私はこの時間を──
「なんて、ね。……いえ、やっぱり明日こそ榊君を懲らしめましょう」
よく考えたら、自分を一人で帰らせた彼に腹が立ってきた。その原因は自分達であるとか、そういうのは意識して意識の外に追いやっておく。
そう、私を置いて帰った彼が悪いのだ。
……そういうことにしておこう、と思った。
だって。
独りだという事の違和感なんて、
───二人なら、気付く事もないのだから。
◻️◻️
バタン!
あれから走って逃げて、一人で帰ってきた。帰り道が同じセツのんを置いていった事には若干罪悪感が湧かないでもないが、まぁまだ明るいし、この辺りまでは人通りもある。問題はないだろう。
「………フゥ──」
思わず溜息が出た。同時に肩の力が抜けて、玄関の扉にもたれ掛かる。正直、空元気もいい所だった。あの時は咄嗟に、気持ちを……
咄嗟に切り替えた?
切り替えれるわけが無い。
この世界に、
そんな事、あってたまるか。
今でもそう思いたい自分が居る。
俺はそれをどうしても否定出来なかった。
だって、俺なんかが主人公の代わりなんて出来るわけがない。
痛みも苦しみも味わいたくないからチートを貰ったのだ。そんな人間が、痛みと苦しみを乗り越えて答えを出した彼と同じ結果なんて出せる訳がない。模倣する事さえ烏滸がましい。
「そう、烏滸がましいんだ……!」
だから、俺は彼の真似はしてはいけない。俺如きに彼の代わりなど務まらない。この世界を、彼以上に良く廻すことなど俺には無理だ。
けれど。
俺がこの世界から比企谷八幡を奪ってしまった。
俺が、俺自身の存在が、この世界の最も重要なピースを奪ってしまったのだ。
ならば俺は、俺の出来うる限りの事をして、彼が関わる筈だった全てを解決して行かなくてはならない。
……重い。
代役のつもりで今まで奉仕部にいた。心のどこかで彼がいつか現れるはずだと信じてた。
だが、どんな理由であれ、原因は俺であると、もう現実を知ってしまった。知ってしまった以上、俺は俺なりのやり方で、彼女達と向き合って行かなければならない。
それはつまり、俺にあの子達の運命が掛かるということでもある。それが途方もなく重く感じる。
自分の運命さえ自分一人で何とかできる自信がなくて他者からチートを貰ったようなこの俺が、他者の運命に影響を及ぼす位置にいる。そんな事が、許されるのだろうか。
「……いや、そうじゃないな。許されなくても、もうやるしかない。何故なら、もう既に影響が出ているんだから」
そうだ。もう影響は出ている。
それも、ずっとずっと前から。
──ー比企谷小町。
原作主人公、比企谷八幡の妹にして、重要な登場人物の一人。彼女は要所要所で彼を支え、ある時は叱り、間接的に彼女達をも支えたと言える大事な存在である。
それと同時に、比企谷八幡という兄を大事に想う、兄想いの優しい少女だった。
彼女には兄が居たのだ。本来ならば。
生まれてからずっと一緒に居る家族。その一人を、俺が奪っている。
生まれる前から居なかったことになったから、その事に関して何も感じることもないなんて、慰めにもならない。兄という頼れる家族を一人失っただけで、彼女の人生は大きく変わってしまった筈だ。一人称が私、という時点でそれはもう間違いない。
「いや待て、アンサートーカーは比企谷八幡を含む、と言ったんだ。という事は、由比ヶ浜の犬が居ないのももしかして俺のせいか?……くそ、影響が大き過ぎて何処から如何して行くべきなのか分からん!」
だが
だがそれは本来、皆が普通にやっている事だ。否、やらなければいけない事だ。つまりこの苦しみは、焦燥は、恐怖は、今までそれら一切を
だからこれは罰だ。俺自身が背負うべき当然の負債だ。
ああくそ、そんな事は今はいいんだよ!悲劇の主人公気取りなんて後でも出来るだろ!余計な自虐は後にしろ、考えるな!そんな事より、彼女達の未来を───!
ガチャリ
「うぇっ?」
「おっと!」
気が付いたら平塚先生に支えられていた。どうやら今帰って来た所の様だった。思考に没頭し過ぎて、扉一枚の向こう側の気配さえ感知出来なくなって居たらしい。
「……えっと。おかえりなさい、平塚先生」
「ああ、ただいま榊。……どうかしたのか?」
どきり、と鼓動が高鳴った。
こちらを心配するように見る瞳に、バレてはいけないと、反射的に思った。原作主人公が居ないという影響を受けたのは、平塚先生も一緒だ。ひょっとしたら、俺が彼女とこんな関係になった切っ掛けの、平塚先生の心の傷でさえ、原因は俺にあるかもしれないのだ。
そう考えたら、俺のやった事は彼女を救ったなんて烏滸がましいどころの騒ぎでは無い。マッチポンプよりも遥かに酷いなにかだ。だから、咄嗟に嘘をついた。
「や、何でもないです。それよか、飯「嘘つくな」なにを仰います。俺がそんな嘘つく意味が無いでしょう?」
「それでも嘘だよ。私には分かる。他の誰よりも君を見ているからな。……酷い顔をしている」
そう言って、彼女は俺の額に手を当てて、熱を測るように髪を掬いあげた。髪の毛が無いと平塚先生の顔が良く見えた。その切れ長の目が、優しい光を讃えてこちらの目を見詰める。
どくん。先程より大きな鼓動。先程固めた決意が直ぐにひび割れて、彼女に抱き着いてしまいそうになった。なんて弱い心か!と己で己を罵倒して、無理矢理奮い立つ。それでも、声が震えるのだけは隠しきれなかった。
「なんでも、ないですよ。俺は、大丈夫です」
絞り出すような声。自分に言い聞かせるようだった。それでも、これ以上追求されたら簡単に折れてしまいそうだったから、額に置かれた彼女の掌から逃げるように身体を翻した。彼女との関係も自分で始めた事だ。全部ちゃんとやるのだ、俺が。
振り向かずに廊下を歩く。リビングの扉を開けようとして、後ろからドタドタと足音。なん、だー?!
「榊っ!!」
「いぃっ!?」
振り返った瞬間に目の前に飛び込んできたのは靴下に包まれた2つの足裏。ドロップキック!?考えるより先に身体が動いて、開けそうだった扉を左手で突き飛ばすように開け放ち、右手で押さえる様に飛んできた足の裏を受けて、上半身を丸ごと開くような動きで身体を半身に、相手の勢いを利用して受けた腕は衝撃の行き先だけを変えていく。
ズバッ、と風を押し出すような音ともに間一髪顔の脇と両足が通り抜る。このままだと、テーブルに直撃してしまうので、通り抜けた足を流した右手で自らの頭を蹴らせるように掬いあげ、逆に前に突き出る形になっていた左手で平塚先生の頭を下から足へ向かうように押し込む。
その結果平塚先生は勢いよく一回転し、その運動エネルギーを使い尽くした。するとそのまま下に落ちてしまうので、落ちる直前で背中と膝裏に腕を差し込んだ。いわゆる横抱きである。
「……まさかこうも完全にいなされるとは思わなかった」
「いやアホですか。俺が何も出来ずに直撃しても、ただ避けただけでも怪我しますよこんなの。何考えてんですか」
ドロップキックは本来衝撃を吸収するリングの上とか、マットの上とか限定の技だ。こんな硬いフローリングの上で、しかも色んな障害物がゴロゴロしてるリビングでやるような技ではない。
「何を考えて居るかだって?無論君の事だ。というか、自慢じゃないがここ最近の私はだいたい君のことしか考えてないぞ。昨日と今日に至ってはほぼ完全に君の事で頭がいっぱいだった。」
や、それは本当に自慢にならないんで胸を張って言わないで下さい。好きになった相手の事しか頭に無いとか恋に夢中な中学生じゃないんだから。
「うるさい。大人だって恋に熱狂する事もある。それこそ相手の事なら何でも知りたくて堪らなくなるくらいに、いてもたっても居られなくなるのが恋というものだ。理性的な恋など、逆に恋と呼べるものか」
「むっ!……一理ありますね」
「当たり前だ。今の私の実体験だからな。……そう、知りたくて堪らないんだ。君の事は全部。君の事で知らないことがあるのが嫌だ。君が苦しんでるのに、何も出来ない、何も知らないなんて──ー絶対に嫌だ」
「………!」
「だから教えてくれないか?全部じゃなくてもいい。いや、いつかは全部知りたいけど、いきなり全部教えろなんて言わないし言う気もない。いつも君に甘えてばかりで、いつも君に情けないところを見せてばかりで、私なんか頼りにならないかもしれないけれど……それでも!」
「私は君の全部を知って、胸を張って君の隣に立ちたいんだよ」
……不覚にも、と言ったら失礼か。
だけど、これは参った。今のは本格的に心を撃ち抜かれた気がする。だって心臓から血がだくだく漏れるような、大きな鼓動が止まらない。全身を巡る血の流れが、音を立ててるような気がする。
ヤバい、前世で好きだったキャラどころの騒ぎでは済まないな、コレは。もう言い訳も浮かばないレベル。
だからだろうか。口が上手い言い訳を並べてくれなくて、思わずポロリと本音が漏れた。
「平塚先生……自分の存在が無意識のうちに他の誰かに取り返しのつかない傷を与えていた場合、どうすればいいんですかね。情けない事に、今日になってようやく知りまして」
詳しくは言えない。でも。
これぐらいは良いかと思ってしまった。
これが甘えだと、分かってはいたけれど。
「そうか。……君は真面目だなぁ。意識してやったのならともかく、無意識ならばそのまま気にしなければ良いだけだろうに」
そんな事は出来ない。してはいけない。俺という存在が生まれてきた罪は、そんな軽いものではない。相手がその傷に気付くことはなくとも、俺には償う義務がある。
「いいか榊、世の中のほとんどの人間は、自分が他者に与える影響なんて気にしちゃいない。だから平気で皆誰かの誹謗中傷をネットに書き込めるし、人が汗水たらして働いて得た金を騙し取れる。その結果として誰がどうなったとしても、 皆自分の責任だとは捉えない。何故か分かるか?……責任を認めてしまったら、償いをしなくちゃいけないからだ」
それは……そうだろう。誰もが自分の行いの責任をとれ、なんて言われたら怖い。俺だってその責任が取りたくなくて、取れる気がしなくてずっと答えから逃げていた。今日だって現実を突き付けられなければこんな覚悟を、決められてなかったかもしれない。
「でもな榊。結局は、何処までを誰の責任にするかって話なのさ。ぶっちゃけた話、人間は人間社会で生きている以上綺麗事だけでは生きては行けない。自分がしたくないことはしない、なんて皆ができる余地があるのならそもそも縦社会なんて構造は生まれない。誰かが損をする、誰かが割を食う、そんな事が無いと社会は回らないんだ。歪んでいるけどな」
「………」
「それを否定して、割を食った全ての人間を救済するとして、今度はでは何が救済なんだという話になる。金か?それなら何処から用意するんだ?用意出来たとして、被害者全員で山分けするのか?それは皆被害が一緒なのか?違うとしたらそれでも山分けにしたらそれこそ割を食ってるんじゃないか?……まぁ金だけの事をとってもこんな感じに、キリがないわけだ。それがもしそこに住まう全ての人間で、様々なことで起きたら、全部解決するのに何百年って掛かるしその何百年の間に同じかそれ以上積み上がってイタチごっこ。おまけに最初の方に解決された奴はいいけど、そうでなかった奴は最悪、死んでから解決される事になる。それになんの意味がある?それは結局その人が割を食うことに変わりないだろ?」
「長くなってしまったが、要はそんな事いちいちやってられないし待ってられないから、だいたいの事は自分で何とかしましょうって言うのが今の日本の基本的な在り方だ。闘うにしても守るにしても、ただ生きるだけにしたって知識が必要になるから学校があって最低限の義務教育があり、私みたいな教師で飯を食うものも出てくる」
それはつまり、他人を傷付けた事など気にするなって事ですか?それでどうするかは相手次第だと?俺は何もしなくていいと。
「ははは、それは穿ちすぎだよ。要はそれら全て引っ括めて相手の人生だ、という事だよ。一人で戦うにせよ複数で戦うにせよ、或いは戦わずにさっさと別な事をするにせよ。それを選ぶのはあくまで傷付けられた被害者の方であって、君がどうこう考えるのは相手がどうしたいか、どうするのか知ってからであるべきじゃないか?詳しい事情は分からないが、そもそも相手は君に何かを望んでいるのか?」
それは……そもそも、相手は俺に傷つけられた事さえ知らない。俺が生まれた事で無かったことにされた存在など、気付くことさえ出来ない。ましてや、これから救われるはずだったなんて事、知ってる方がどうかしている。人は皆、俺と違って
「いいか榊、君のその優しさと誠実さは美徳だが、求められてもないうちから償いをする、というのは逆に侮辱だよ。償うべき相手を見ていないのだから。そんなものは償いではなくただの君の自己満足さ」
自己満足………そうか。俺は罰が欲しかったのか。この世界から比企谷八幡を奪ってしまった、その結果ある筈だった様々なことの責任から逃げる為に。罰を与えられればそれで終わりだ。その
そうだ、分かっていたはずだ。比企谷八幡の代わりなど俺には出来ない。だから、彼が居ないことの償いなど、そもそも俺に出来るはずがない。
だから俺は、他の誰でもない俺として生きなければならない。償い、なんて考えがそもそも間違っているのだ。だって彼女達は、俺なんか居なくたって彼の居ない時間を乗り越えて来たのだから。それなのに償いなど、平塚先生の言う通り、ただの侮辱にしかならない。
出来ることをしよう。俺に出来る生き方を。そうだ、そもそも俺如きが居れば何かを改善できる、代わりに何が出来るなんてのがそもそも傲慢だ。上から目線極まりない。そんな考え自体捨ててしまえ。この世界に生きる一人の人間として、彼女達と精一杯生きることこそが、俺がすべき始めの一歩だ。
……と、そこまで考えて気付いた。急速に楽になっていく己の心に。
それ故に疑問が湧く。こんな簡単に楽になってはいけないと、何処かで警鐘が鳴らされてる気がする。そもそも、こんな簡単に答えが出るものなのか?俺の存在とは。俺が生まれたという事が生んだ罪とは、そんな簡単に終わっていいものなのか?
頭の中がどんどんぐちゃぐちゃになっていく。思考が複雑に渦巻いて、何が正しくて何が悪いのかさえ曖昧になっていく。考えががまとまらない。俺が、俺がすべきことは──?
「落ち着け」
ポン、と頭に軽い衝撃。見ると平塚先生が優しい瞳でこちらの頭にチョップの形で手を置いていた。そう言えばまだお姫様抱っこ状態だった事さえ忘れていた。思考に没頭し過ぎて居たのだ。慌てて平塚先生を降ろす。少し残念そうな顔をして、けれど直ぐに彼女は立ち上がって俺を抱きしめてくれた。
「答えが出ないみたいだな。まぁ仕方が無い。誰かの言葉一つで解決する様な悩みばかりではないしな」
それはそうかもしれない。でも、この答えだけはきちんと出さないといけない気がする。
「そうか。ならば仕方ない、しっかり悩め。だけどどうせ今すぐ答えは出ないから、せめてゆっくり時間をかけて悩め。安易に答えを出したくないならば、早い解決をそもそも求めるな。大丈夫、どれだけ時間を掛けてもいい。悩んで悩んで悩み尽くせ。己の答えを、納得するまで悩み続けろ。……どんなに時間が掛かったとしても、私は傍で君を見ているよ」
「平塚先生……」
抱きしめられた箇所から、彼女の身体の温度と感触が伝わる。こちらを見詰める瞳に見える優しさが、心を揺さぶった。正直、2週間後とかまだるっこしい条件を付けた自分を早くも後悔している。
我慢できなかったのでその優しさに甘えるようにキスをした。平塚先生も受け入れるように迎えてくれた。愛おしい、と素直に思った。どうしよう、チョロいの俺の方だわこれ。
唇を離すと、俺の方からも強く平塚先生を抱きしめた。何となく、離したくない気分になってしまったのだ。そのまま無言でしばらく抱き合う俺達。
「ところで榊、話は変わるんだがひとつ聞いてもいいか?」
どれくらいそうしていただろう。体感で30分くらいはそうしていた気がするが、意外とそこまで経っていないのかもしれない。ともかく平塚先生の言葉に反応を返す。
はい?どうかしました……ってすいません、飯の準備忘れてました!ごめんなさい、すぐ用意しますね!
自分で言っててその事に気付いた。いかん、俺は寄り道して来たから良いけど、先生はそうじゃないし、家に着いてからも結構な時間が過ぎている。お腹が空いて当然だ。
慌てて離れようとして、ぎゅ、と平塚先生の抱き着く力が強くなった。あれ?
「いや、確かにお腹は空いているが、この際それは良いんだ。そんな事よりずっと気になることができた。なぁ、榊……何で今日も私以外の女の匂いがするんだ?」
ファッ!?何の話……って、あ。
「心当たりがあるんだな!?戸塚の依頼以外でまた女を抱きしめたり抱きつかれたりしたのか!?私以外に!!」
あ、いや!確かにしたけどちょっと事情があるんですよ!聞いて下さい平塚先生!決して疚しいことはありません!ただの人助けです!ちょっとチンピラに絡まれて、襲われてた中学生と胸揉まれまくってた由比ヶ浜を助けた時にこう、横抱きで救出しただけです!
「は?何だそれは。ガラの悪いチンピラに襲われているところを颯爽と助けられるとか少女漫画では無いか!それを由比ヶ浜が味わったのか!?それもお姫様抱っこで!?何だそれは何だそれは何だそれはァ!!ふざけるな冗談じゃないぞ!そんなの私がされてみたい!何で由比ヶ浜にそれをやったんだ!」
ちょ、何言ってるんですか落ち着いてください平塚先生!つい先程の優しくかっこいい平塚先生を思い出して下さい!落差が、落差が酷い!あと由比ヶ浜も別にされたくてあんな事態になった訳じゃないと思います!
「うるさいうるさいうるさい!そんな事言われても羨ましいし嫉妬するんだよ!私以外が私の知らない榊のかっこいいとこ知ってるの嫌なんだよ!くっ、こうなったらちょっと今から出掛けるぞ!私相手にそういうことしてくるチンピラ探して私も榊にカッコ良く助けられたい!」
「は?何言ってるんですか嫌に決まってるでしょう。というかですね、俺は俺の目の前で俺の許可無く平塚先生の胸に触れる男なんかいたら即その腕を引きちぎってそいつの目の前で挽肉にして、そいつ自身に全部食わせた後にボコボコにします。というか俺がそんな許可出すわけないのでやった奴は容赦なくその後の人生まともに送れなくします。何ですか平塚先生、俺をわざわざ犯罪者にしたいんですか?」
俺があんなもんでチンピラ共を解放したのは、あんまりやり過ぎて逆に彼女達のトラウマになる事を警戒したのもあるが、そもそも俺が理性を保てる相手にやったからである。あの時もしあの場にいたのが平塚先生で、胸を揉まれたのが平塚先生だったらあのチンピラ共は既に生きてはいない。俺は独占欲が超強いのだ。何なら平塚先生に悪影響を残した元彼連中も現在調査中である。その後どうなるのかなんて誰にも言わないが。
「うぐっ……そ、そうか?そこまで言われたら仕方ないな……くふふ。あ、いや!で、でもやっぱりずるいぞ!私だってテンプレみたいなイベントで榊に助けられたりしてキュンキュンさせられたい!もっとこう、青春みたいな思い出榊とたくさん積み上げたい!」
ワガママ言わないで下さい。現状どうやったって俺と平塚先生の年齢差だとこの関係は誤解されます。更にこれから2週間後には誤解ですら無くなります。今は青春的な日常よりも背徳的な日常で満足して下さい。
平塚先生の大型連休には俺の方も予定合わせるんで人目につかない所まで一緒に行けます。それまでは我慢して下さい。というか俺だって我慢してるんだから我慢してもらわないと困ります。それとも何ですか?平塚先生は一時の感情で俺と離れ離れになっても良いと?
「それは嫌だ!ぜーったいに嫌だ!!今更榊と離れ離れになるなら私は学校の屋上から飛び降りる。そんでもって全てに呪いを振りまいて私達を引き離した存在全てを絶望にたたき落とす!1人も逃がさん」
「いや、それはそんな事させる前に俺が全部引きちぎって平塚先生攫っていくんで頑張って待っててください。でもそんなに嫌なら今は我慢して下さい」
「うぐぐぐ……ッ!くそぅ、仕方ない。2人で旅行とか行ける時まで耐えるしかないか。はぁぁ。その代わり、浮気は絶対に駄目だぞ。私以外に優しくするのも本当は良くない。何なら私以外の女のいる所に居るのがもう良くない」
俺に中卒になって引き込もれとでも言いたいんですか貴方は。というか俺を女子と二人っきりになる奉仕部に放り込んだの平塚先生でしょうに。今は由比ヶ浜が居るから二人っきりではないけど。
「正直ちょっと真剣に後悔している!……けれど、女としては後悔しているが、教師としてはこの上ないベストな選択だったと思っている。凄い、凄い複雑な気分だ……!!」
えぇ……そんな事言われても。というかですね、これだけ執拗にマーキングされた身としてはそんな心配不要だと思うとしか言えないんですが。そう言ってネックウォーマーをずらす。当然そこには大きく咲き乱れる平塚先生の跡が残っている。
「……くふっ。やはり榊の身体に自分の跡が残っているのは良いな!虫除けにもなるし、これから毎日付けておこう」
「や、勘弁して下さい。バレないように大変なんですよ?今日だって危うくバレそうだったんで慌てて逃げてきたんですから」
「見せつけてやれば良かったんだ。君が誰のモノなのか、周囲の人間に知らしめる必要がある。……やはり、ネックウォーマーは要らないんじゃないか?」
アホですか?流石に誤魔化しきれませんよ。万が一平塚先生と過ごしてる所見られたら連座してお相手が平塚先生ということも分かってしまいます。そしたら翌日には淫行教師で平塚先生の名前が紙面に乗ることになります。というか、知らしめた所でただのバカップルアピールにしかならないでしょうに。俺みたいなの欲しがるのなんて平塚先生くらいですよ、そんな物好き。
「何を言ってるんだ君は。本当にそうなら私がこんなにやきもきしてるわけないだろう。……気付いてない訳じゃないだろ、君なら」
「……ノーコメントで。今はまだ、どうしていいか分かりませんし」
それが答えじゃないか、と平塚先生は呆れたように言った。そして唐突に首筋に吸い付くと、昨日よりもずっと強く、それでいて激しく苛烈に跡を残そうとする。いや、ちょ!流石に明日の朝までに消しておこうと思ったのに!
「
そう叫んで平塚先生は首筋にガブリと噛み付いた。容赦なく皮膚を噛み切り、血を啜る。むっちゃ痛い。ギリギリ食いちぎられてはいないみたいだが、たぶん結構血が出ている筈だ。声が出なかった自分を褒めたいくらいである。というか、これではキスマーク所ではない。波紋で治療をしなければキスマークとは比較にならない時間、跡が残るだろう。
「……やっぱり蚊なんて可愛ものじゃなくて特大の蛭じゃないですか」
「ぢゅるるるっ……ぷはっ!うるさい、何とでも言え!どんなに浅ましい真似をしたって、君を他の誰かに盗られたくないんだ。じゅるる、そうだ、誰にも譲るものか……榊は……貴一は私のだ……!」
はぁ、そんな事いちいち言わなくても。平塚先生を俺のモノにする以上、俺が平塚先生のモノになるのは当然のことだ。俺は鬼畜だがなるべく屑では無いように心掛けている。何処ぞの俺様キャラみたいに気に入った女は自分のモノ扱いしといて自分は違う、なんて事を言う気は無い。なので安心して欲しいんですが。
「……やだ。私が我慢する2週間後までは、榊もこの面倒臭い私を我慢しろ。そうしたのは榊なんだぞ」
「なんとまぁ。元々俺のはお仕置きですのに。……まぁ良いですよ。確かに少し不公平でしたし。それに2週間後からは本格的に平塚先生と付き合って行く予定ですし、どちらにせよ面倒臭い平塚先生を受け入れられるようにならないとね」
「うぅ……わ、分かればいいんだ!でも、出来ればあんまり嫉妬させないでくれ。自分でもここまで一人の男に入れ込んだのは初めてだと思ってる。ぶっちゃけいつ我慢出来なくなって襲うかわからない」
「ははは、その時は以前言った通り抵抗しませんのでお好きな様に。ま、この程度も我慢できないようではその先は無いかもしれませんが」
「〜〜っっ!鬼っ!悪魔っ!榊っ!!」
ははは、何とでも言ってください。俺は貴方と劇的な一日の為には容赦しないと決めましたので。ああでも、一つだけお願いがありますね。
「……ふん、どうせ断れないんだろ。2週間後まで好きなように私を虐めれば良いさ!言ってみるがいい」
「では遠慮なく。2人きりの時は名前で呼び合うのに憧れているんですが……駄目ですかね、静さん?」
「……ほら見ろ、やっぱり私には断れないじゃないか。貴一の、馬鹿……っんぅ」
そのまま結構な時間キスしてて、夕飯がめっちゃ遅くなったのは別の話。
続く。
登場人物紹介
・榊 貴一
神様転生者。好き勝手やりつつもヘタレ。
今までずっと現実から逃げていた。
色々なことに向き合う決意をするが、何をするべきなのかは答えが見つかっていない。これからスーパー悩む羽目になる。
着実に平塚先生に攻略されている。
・雪ノ下 雪乃
オリ主のやった事で「ウチの」部員と呼んだことをまだ自覚していない。
オリ主に頭撫でられるとぽわぽわして落ち着く。
オリ主の空元気には気付いているが、とりあえず今はそっとしておこうと思っている。
一人で帰る道のりが寂しいものだと感じ始めた。
・由比ヶ浜 結衣
オリ主が誰かとデートするかもと内心だいぶ穏やかじゃない。
チンピラに胸を揉まれた事はオリ主にお姫様抱っこされた衝撃で吹っ飛んだ。もう少しお姫様抱っこされてれば良かったと後悔した。その結果チンピラの顔ももう忘れてしまった。
サイゼよりオリ主のご飯の方が良いと再認識した。
オリ主のキスマークについてこの後鬼電鬼メールしたが、その際オリ主は料理中で、平塚先生が代わりにそれに気付いた。もちろん平塚先生は容赦なく電源を切ってケータイを隠してしまったゾ!
オリ主の空元気には気付いたが、敢えて今は触れず、オリ主の落ち着きを待って力になりたいと思っている。
オリ主の探している人、という言葉にいつかのことをティン!ときた。
・平塚 静
オリ主をもうほとんど攻略している人。国語教師。
教師としても凄い人だが、この小説ではヒロイン部分がメインなのであまりそっちを出せないかもしれない。
オリ主に調教されながらオリ主を落とすという離れ業をやってのけた。でも若い女への嫉妬心はなかなか抑えられない。
実はヤクザにも出来なかったオリ主の身体に明確な傷を付けた初の人物。既に2週間後は休むつもりで調整を始めている。
・比企谷 八幡
言わずと知れた原作主人公。小町の兄でもある。
オリ主の分のリソースの為に消されてしまった。
彼が消えたことによる影響は計り知れない。
・比企谷 小町
ひきがやこまち、と読む。兄と違ってフルネームで読むと何故か違和感ある。違和感ない?俺だけ?
この小説では兄が無かったことにされてしまったので一人っ子。その為一部精神は大人っぽくなっており、一人称の変化など、原作との相違が1番激しい。
性格は原作とそんなに変わらないが、妹キャラでは無い、という大き過ぎる改変のせいで扱いが難しい。
オリ主は変人だが良い変人だと思っている。
オリ主からの愛称はこまっちゃん。
・川崎 大志
かわさきたいし、と読む。
まさかの姉より先に名前が登場してしまった。
何だかんだ助けてくれて奢ってくれたオリ主に悪感情はない。
イリュージョンマジやべーと思っている。
最近小町と仲が良いが、シスコンなので小町がボンキュッボンに進化しないと仲はこれ以上発展しないと思われる。
今回めっちゃ頑張って食べたが、何気に由比ヶ浜が言ったオリ主の美味い料理が気になっている。
・チンピラ達。
話を進めやすくする為にいるような存在。ある意味踏み台転生者みたいなもん。
当初の予定ではオリ主が小町に絡んだ後ササッと逃げる予定だったが、由比ヶ浜のおっぱい巨乳過ぎて触りに行ってしまった。そして終わってしまった。
オリ主の全力のイビリによって心を粉砕骨折されてしまったので、この後は植物のように穏やかに余生を過ごしたとかなんとか。
・超常存在さん
オリ主を転生させた神様的存在。超すごい。
だが結構適当なのでオリ主以外の後処理は雑。
オリ主の望む特典を与えまくってリソースが足りないことに気付いたが、あろうことか原作主人公を削るとかいう暴挙にでた。
これによって世界が俺ガイルのジャンルの枠から半分出てしまい、管理がすごく面倒なことになったので、オリ主を送り込んで遊ぶのも面倒くさくなり、現在は別な転生者に夢中。
なお、オリ主が最初ゾンビパニックを散々警戒してたのは、この神に転生させられる際、ふざけ半分で魍魎地獄巡りをさせられて、大量の死者が動き、迫ることの恐怖を刻みつけられてしまったため。転生時の衝撃でその事は覚えていないので、ただただゾンビパニックに対して過剰反応するオリ主だけが残った。
つまりだいたいこいつのせい。