※この作品はR-18です。

目の腐った主人公が居ないんですけど。   作:銀座

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登場人物紹介

・榊 貴一
オリー主。チートを使ってチート生み出したチーター。
波紋の呼吸・常中とか使うらしい。
身近なダメな人間に世話を焼いちゃうタイプ

・雪ノ下 雪乃
でんせつポケモン並の冷気を起こす。
意外と面倒見が良い?
オリ主の唐突な挙動にはとりあえず乗ってみる事にした。

・由比ヶ浜 結衣
ゆいにゃんにゃんにゃーん!
人間関係で1番頑張ってるのこの子説あり。
オリ主には口で勝てないから殴る蹴るしかないと思うようになった。

・平塚 静
11歳歳下男子高校生オリ主にバブみを感じちゃう女教師。
大人なので体を使った誘惑は結構得意。
タバコの代わりにオリ主の体臭を吸い出す闇深系ヒロイン

・三浦 優美子
みうら ゆみこ と読む。主人公達のクラスにおいてトップカーストに君臨する見た目もスタイルも良い金髪ギャル。
意外と面倒見も良い姉御肌だが伝わりにくいぞ。
オリ主は本気で名前覚えて無いので未だにあーしさんと呼ぶ。
葉山くんというイケメンが好きらしい。

・トップカーストその他の人達。
キラキラの葉山くんを筆頭にだいたい顔面偏差値高めの少年少女。
雪ノ下と三浦のバトルは流石の友達でも口出しがはばかられた。
気が付いたらオリ主が原因ごと連れ去って行った。
空気に徹していたので本文に一切出てこない。


前回のあらすじ。
オリ主、平塚先生にだいぶ攻略される。


5話

おはようございます。どーも貴一です。転生者やってます。

 

 

今日は月曜日、学生の選ぶ1週間のうち1番サボりたい曜日ランキングにて永遠の1位を獲得した曜日です。だいたいの地域じゃジャンプの発売日でもあります。

 

個人的には昔はだいたいの地域でジャンプの発売日は火曜日だったことを知ってる人が減ったことが時代の流れを感じるぜ!

 

 

そういえば朝一にゆいにゃんから手伝ったお礼にと可愛くラッピングされた少し歪なクッキーを貰った。何か結局あの時の出来のいいクッキーはお父さんに上げたとかで、原作主人公は関係無かったご様子。残念だ。

 

形が少し歪なのは、一人でやったら少し失敗しちゃった!との事でした。まぁあの時セツのんと一緒に作ったやつよりはちょっと味が落ちるけど十分美味しかったのでモーマンタイ。

 

その後普通にお礼言ったら嬉しくないの?と何故か悲しそうな顔をされて困りました。何言ってんだコイツって思ったら理由が小躍りしてないから、と言われた時は焦りました。や、確かにそれ言ったの俺だけどまさか本気にするとは思わないよね。

 

無言の圧力がキツかったので、仕方なく衆人環視のなかゾンビダンスやった。だがしかし、一人でゾンビダンスとかしても当然映えないし、曲が流れてないからそもそも初見で気付く人いないし、スリラーだって分かんなければカッコよくないので目立つだけ目立って終わりである。結局近くにいたゆいにゃんが衆人環視の巻き添え食らってやっぱ止めて!って叫んだんですが、きちんと1曲フルで踊りきってやりました!

 

踊り終わったあと涙目で思いっきり叩かれたけど反省も後悔もしていない(`・ω・´)キリッ

 

あ、なおゾンビダンスが出来た理由は、この世界がゾンビパニック系の世界かもとビビってた頃に、追い詰められた時最後の手段でゾンビと仲良くなれるかもしれないと錯乱して覚えました。今考えると何であんなに追い詰められてたのかは俺もよく分かんないけど。

ただあの当時はガチだったので、一切手を抜いてない。スリラーダンスの為だけにマイケル・ジャクソンのDVD買ったし、何なら一時期狂ったように踊って練習してたので家族から悪霊に取り憑かれた!と慌てて寺に担ぎ込まれたこともある。今となってはいい思い出である。・・・いや良くはないな。うん、全然良くはない。

 

 

さておき、普段は教室でだいたい空気と化してる俺氏。それが先程いきなりゾンビダンスなんかしたのでものすっごい注目を浴びている。それはもう視線に貫通力があったら俺は蜂の巣になってるんじゃないかってくらい注目を浴びている。

 

皆揃ってアイツあんなことする奴だったんだー、と言いたげな顔をしてるが、少し鬱陶しい。正直、普段誰とも喋んない奴がいきなり踊り出したくらいで騒ぎ過ぎである。

これがなろうのテンプレだったらいきなりヤンキーをボッコボコにして厨2な特殊能力使ってクラスのアイドルを手篭めにしたりするはずなので、それに比べたら俺のした事なんてただ踊っただけで別に大したことはないのだ。

 

だから見よ!なろう展開に慣れているオタク達を!彼らはこの程度の事では全く驚かずマイペースにオタク談義を・・・あ、してねぇや。周りと一緒でこっち凝視してる。か〜、ペッ!なんだアイツら、急展開くらいで驚いてたら転生なんかしたら即死じゃねぇか馬鹿なの?オタクの風上にも置けぬ虫けらどもが!(辛辣)

 

 

ちなみに、先程同じくらい注目を浴びたゆいにゃんはずっと席に着いて肩身狭そうに縮こまっているぞ!まるで穴があったら入りたいと言わんばかりだが、そもそも君が!踊るまで!見つめるのを!止めないっっ!って感じで俺を無理矢理踊らせたのはゆいにゃんなので完全無欠に自業自得である。むしろ被害者は俺と言っても過言ではない。

 

なので俺も周りのヤツらみたいにゆいにゃんをガン見する権利があると思う。

 

そうと決まればせっかくなので周りの視線に合わせてゆいにゃんをガン見してみる。しばらく見詰めてたら、少しだけ周りをキョロキョロと見渡し始めたゆいにゃん。助けを求める目だ。やがて俺に気付いてあっ!仲間がいた!って顔をしたが、俺が周りの皆と同じ視線を向けていることに気付いたのか、一瞬唖然とした後、顔真っ赤にしてめっちゃ睨んできた。

 

とりあえず容赦なく(^Д^)m9プギャーと返しておく。もう少しからかいたい所だが、予鈴がなってしまった。ホームルームの時間なのでゆいにゃんを弄るのは後に持ち越しにして、前を向ハッ!殺気!?

 

咄嗟に手を後ろに回して飛んできたものを掴む。なんぞ?と見てみたらコンパスだった。ちょ、殺意高過ぎない?!というかこれ外して他の人に当たったら大惨事なんですがそれは。

 

流石にシャレにならんので慌てて後ろ向いたら涙目のまま次弾のハサミを構えていたので手を合わせて謝罪の意志を見せる。土下座したら余計注目浴びてもっと怒られそうなので止めた。おっと、口パクで何かを伝えようとしている!いや口で言えし。

というかこれ俺が読唇術覚えてないと伝わらないことに気がついて欲しい。まぁ俺はアンサートーカーで1発なんですがね!!

 

えーとなになに?後で話がある?ふ、俺にはない(`・ω・´)キリッ

 

とりあえず話があるのは理解したので了承の意を返しておこう。行かないけど。

いや話があると聞いただけで俺は来いとは言われてないから何も問題はない。あ、平塚先生きた。ホームルームの時間ですね。よし、今日も頑張ろう!

 

 

この後男子トイレの中まで追いかけて来たゆいにゃんに普通に捕まったぜ!

 

 

 

 

◻️◻️

 

 

「今ユイと話してんのはウチなんだけど?」

 

「話す?がなり立てるの間違いではなくて?貴方、あれで会話のつもりだったの?ヒステリー起こして一方的に自分の意見を押し付けてる様にしか見えなかったのだけれど。」

 

「はぁ!?」

 

「気付かなくてごめんなさいね。あなた達の生態系に詳しくないものだから、てっきり類人猿の威嚇と同じものとカテゴライズしてしまったわ。」

 

 

・・・なんかよく分かんないけど、とりあえずウチの教室が超修羅場で草生えるw

 

 

 

 

昼休み。

 

朝のホームルーム後に男子トイレでゆいにゃんに捕まったので仕方なく話を聞いてみると、セツのんも誘ってお昼ご飯一緒に食べよ!という話だった。普通の話すぎてメールで言えば?って話だけど連絡先交換してないから仕方ないね!

 

それでせっかくなので四限サボって1時間前から昼飯の準備をしていたのだが、肝心要のゆいにゃんが来ないので空きっ腹を抱えてセツのんと2人で待ちぼうけをしている。

 

「・・・ねぇ榊君。質問があるのだけれど。」

 

ん?なんだねセツのん。聞かれても呼び出した本人が来てない理由は俺にも分かりかねるぞよ?

 

「そっちじゃないわ。・・・なぜ私達は部室で鍋を囲んでいるのかしら?」

 

なんかゆいにゃんが3人で昼飯食べたいって言うからだけど。あ、ひょっとしてなんの鍋か分からないのかな?これはね、秋田の家庭料理の1つで、だまこ鍋って言うのさ。秋田の有名な郷土料理のきりたんぽ鍋ってあるだろ?そのきりたんぽの原型と呼ばれているのがだまこと呼ばれる米で出来た団子で、秋田のお米、あきたこまちを半分潰して、団子状に丸めた物なんだ。これを比内地鶏で採っただし汁に、醤油で味を整えた鍋の中に入れると、色んな具材の出汁を吸ってそれはもう極上n「そうじゃない、そうじゃないわ榊君。私が聞きたかったのはそういうことじゃないの。」あ、そう?じゃあ何?

 

「他に言いたいことはたくさんあるけれど、キリがないから一つだけにするわ。

・・・学校のお昼ご飯って、普通お弁当だとか学食だとか購買パンだとか、そういったものだと思うのだけれど、何がどうなったら学校の部室で、よりにもよって鍋という選択になったのかしら?」

 

「こないだ漫画で読んだだまこ鍋がすげー美味そうだったから。」

 

「困ったわ。想像してたものより100倍は下らない理由で目眩がしそう。」

 

そんな理由でこんな手の込んだ真似を・・・っ!と呻くように言うセツのん。分かってないなー、ご飯は美味しいものを美味しく食べた方が良いんだよ。美味しくないものを食べながらじゃたのしくないし、会話も弾まないもんだ。

 

だからご飯を美味しく食べる為の努力は惜しんじゃいけない。美味しいご飯の為なら学校で鍋を美味しく食べるためにエアコン全開にして冬の寒さ演出したり、万が一火災警報器ならないように感知器にラップ巻いたり、授業サボって1時間前から鍋の用意したりなんて全部些事だよ些事。

 

「価値観が違いすぎて目眩を通り越して頭痛がしてきたわ。・・・これ以上1人であなたと会話してると精神を悪くしそうだし、由比ヶ浜さんを探しに行ってくるわ」

 

何を言うか失礼な。俺との会話は新鮮な驚きに溢れてると言ってくれ。精神悪くしそうな価値観ってのは巷のパーリーピーポーの事を言うんだ。アイツら今が楽しければ少しくらい悪いことしてもいい、とかほざいて麻薬に手を出すからな。楽しければ悪いことしてもいいって、そもそも誰がそんな許可出したんだよ全く。あ、頼んだ。ゆいにゃんに貴様自分で誘ったくせに遅刻とは良い度胸だなって伝えといて。

 

「あれは価値観が違うのではないわ。生態が違うのよ。同じ霊長類だからと言って、人間と猿が本当に分かり合える日なんてこないのよ。由比ヶ浜さん本人を連れてくるから、それは自分で伝えなさい。」

 

それもそうか。じゃあゆいにゃんは梅干しの刑にしよう。

てか一応同じ人間なのに他種族って断言しちゃうセツのんが容赦なさすぎでわろた。だがそこに痺れる憧れるゥ!行ってらっしゃい。

 

「すぐ戻るわ。昼食の時間が無くなってしまうもの。」

 

そう言って颯爽と去って行ったセツのん。

 

・・・を、待って既に15分が経過しました。あと30分も昼休み無いんだけど。どこまで探しに行ってしまったのか。男の俺は本気出せば5分で昼飯なんか食べ終わるけど、女子二人は分からんし、そもそも鍋は皆で和気あいあいとゆっくり食べるものだ。これ以上はまずい。

 

てかもしかして俺だけハブられたとかないよね?もしそうだったらオコだお!激オコだお!!・・・これ以上ふざけながら待ってても仕方なさそうだな。俺も探しに行くか。

 

 

だけどこの広い校内をくまなく探すのはめんどいのでアンサートーカー!2人の居場所はっ!・・・なんだ、ウチの教室じゃん。2人ともいるみたいだし、なんか揉め事かしらねー?

 

 

っていざやって来たら先程の修羅場だったでござる。

 

揉め事も揉め事、超修羅場でホント笑うwなんなのこれバトルなの?ゆきタイプとギャルタイプのポケモンバトルなの?ゆきタイプもギャルタイプもないけど、見た目的にはフリーザーとルージュラの戦いに見えなくもないなwどっちもこおりタイプだからか教室の空気が凍り付いてて大草原不可避www

 

あ、よく見るとゆいにゃんが二人の間でオロオロしてはる。なるほどアレがポケモントレーナーかwさしずめゲットしたフリーザーが言うこと聞いてくれなくて困ってるんだな?ウケる。

 

でも流石にでんせつポケモンのフリーザーにルージュラでは厳しいみたいだな、ルージュラの方に勢いが既にない。だがルージュラはまだ目に闘志が残ってるな。これは手に汗握る展開ですね!

 

「さっきからブツブツうるせぇよ!何あんた関係ないから引っ込んでろ。」

 

「サカシ君、人を勝手にポケモン呼ばわりするの止めてくれるかしら。マスターボールでも貴方の仲間にはならないわよ。」

 

誰がサカシ君か。てか俺とサトシを混同するな。あんなふうに数十キロのポケモン片手でひょいと持ち上げられる超人じゃないぞ俺。(出来ないとは言ってない)

つか矛先がこっちに向いた。ごめんごめん、せっかくのポケモンバトルに水を差して悪かったな、続けて続けて。あ、やんないの?そっか、じゃあそっちのでんせつポケモンとダメダメトレーナーのゆいにゃんは引き取るね。お騒がせしてごめんねごめんね〜

 

と思ったらギャルタイプの かみつく を くらった!なんかまだ終わってないとか。え、終わってないの?まぁでも後にしてくれ。昼飯がまだなんだ。あ、ゆいにゃん、自分から誘っておいて遅刻した君は人として不出来だと思うので罰ゲームね!後でめっちゃ酸っぱい梅干しを食べてもらいます。次からは遅刻の前にきちんと連絡するように。

 

「梅干しの刑ってそっちなのね・・・こめかみをぐりぐりする方かと思ってたわ。」

 

「俺がそれやったらゆいにゃんの頭半分になっちゃうから。」

 

「ゆきのんにも言ったけど、私2人の携帯知らない、かな。えっ、半分??」

 

そりゃ俺も教えた記憶無いからね、知ってたら変態だよね。変態ピンクだよね。あれ、思ったより違和感無いな。イケるかも知れぬ。淫乱ピンクは変態ピンクでもあったのだ!!

 

「次淫乱ピンクとか変態ピンクとか呼んだら蹴るよ。」

 

アッハイ、すいません。なんかゆいにゃん遠慮なくなっててわろた。

 

「ちょっ!待てよ!まだあーしの話が終わって・・・!」

 

何だよもうしつこいな、分かった分かった、人見知りのセツのん居るから今日は3人でと思ってたけど、仕方ないからあーしさんも来ていいよ。ほら行くよ、昼飯の時間なくなるだろバカなの?は?食べない?俺が1時間前から仕込んだ鍋を食わないとか無いから。

 

え、なに?なんか文句あんの?よく分からんけど何時も一緒に遊んでるゆいにゃんが違う奴と飯食うって言い出したから寂しくて切れてたんじゃないの?だから一緒に飯食えれば解決じゃん。はい論破。で、ゆいにゃんもいまいち上手く断れなくてオロオロしてたんでしょ?あ、違う?まぁ何でも良いよ。早く行こうぜ、急がないと鍋のシメまで終わらなくなる。

 

「だいたい合ってるけど絶妙に違うわね。」

 

「いや全然違ぇし!何なんアンタ?!手ぇ離せし!つか鍋ってなんだし!!」

 

「えっとえっと、どうしよう!話の流れが早すぎてあたしじゃ着いていけない!!てかサカキン、鍋とか私も知らないんだけど!」

 

 

セツのん、だいたいあってれば大丈夫だよ。何も問題は無い。あ、知らない人がいるけどセツのん我慢してね?まぁ俺の鍋美味すぎて会話しないと思うから大丈夫だよきっと。え、鍋は楽しく会話しながら食べるものって俺が言った?俺のログには何も無いな。

 

あーしさん、鍋食べたこと無いの?じゃあ今回が初体験じゃんやったね!気に入ったら家でもやるといいよ!え、違うの?鍋くらい食べたことある?なんだ、じゃあ何も問題はないな。さ、行こいこ。

 

ゆいにゃん。鍋に理由なんてない。ただそこに鍋があり、それを食べると美味いという事だけ分かってれば何も問題は無い。え、意味分かんない?大丈夫大丈夫、俺も分かんないから。だって適当に言ったし。それに鍋だと言ってないから知らないのは仕方ない。

 

 

 

この後めちゃくちゃ急いで皆で鍋食べたよ!

 

 

◻️◻️

 

 

あの後結局あーしさんも含めた4人で鍋を食べました。

 

あーしさんは最初、「本当に鍋がある!?何で学校に鍋の用意があんだよ!」とかブツクサ文句言って居たが、エアコン効きすぎ寒い!って文句言ってたゆいにゃん同様、1口食べたら「うわウマっ!」って叫んだのを最後にずっと無言で鍋を食べてたので何も問題は無かった。本当に美味しいものを食べた時人は無言になるものだからネッ!ちなみにエアコン効きすぎなのは熱々の鍋をより美味しく食べるためです。他に理由などないっ!

 

なおセツのんはセツのんで最初空中からいきなりあーしさんの分の食器を取り出した俺に訝しむ様な目を向けてたが、俺がかっこよく「イリュージョンッ(`・ω・´)キリッ」って言ったら生ゴミを見る目をした後黙々と鍋を食べていた。特に感想は無かったけど〆を含めて1番食べたのセツのんだからたぶん味に文句は無かったはず。

 

そして最後に時間なくて食べれなかった食後のデザートであるお手製杏仁豆腐をそれぞれに渡すと同時に予鈴がなり、みんな杏仁豆腐片手に自分の教室に帰っていった。俺?俺は鍋とかの後片付けあるから。後片付けを後に回すとズルズル後回しにしがちだからね、仕方ないね。そう、次の授業体育で珍しく男女合同でマラソンだから、満腹で走りたくないとかそんな理由でサボった訳ではないのだ。そこの所勘違いしないように!

 

 

「おい榊、授業始まってるぞ。」

 

うわびっくりした。密かに満腹でマラソンとかゆいにゃんとあーしさんファイトwwとか考えてたら人の接近に気付かなかった。誰かと思ったら平塚先生だ。先生こそ授業ないんだろうか?

 

「月曜の5限は私のコマは無い。というか教師の前で堂々とサボりとは関心しないな?」

 

サボりではありません。ちょっと昼ごはん食べ過ぎたのでこのままマラソンなんかしたら体調崩すと冷静に判断した結果です。つまり体調管理。若いうちからちゃんと体調管理するとか俺偉くない?あ、酒の飲みすぎで健康診断で肝臓の数値ヤバめの平塚先生をディスってる訳では無いのであしからず。ゴスっ!うわ痛い。ディスってないって言ったじゃないですかヤダー!

 

「知らないのか榊。ハラスメントは受け取り手がハラスメントと感じた時点でハラスメントになるんだ。つまり満員電車でたまたま隣の女性の巨乳をチラ見しただけでもセクハラで逮捕されるからな。気を付けろよ。」

 

え、なにそれこわい。俺二度と電車利用しないわ。

てかどしたんすか平塚先生。なんかそわそわしてますけど。あ、弁当美味しくなかったですか?

 

「いや、そんなことは無い、むしろとても美味しかったぞ、ありがとう。欲を言えばもう少し味付けは濃い方が好みなのだが・・・」

 

それはダメです。

平塚先生、貴方の健康診断の結果を見ましたが、肝臓だけでなくて血圧も尿酸値も高いじゃないですか。どうせ普段から酒のつまみに味の濃いものや揚げ物ばかりなんでしょう?おまけに好物は脂でコッテコテの豚骨ラーメン。酒、塩、脂でトリプルアウト。生活習慣病待ったなしじゃないですか。次の健康診断で何処にも異常無しとなるまでは文句は言わせません。平塚先生まだ28なんですから、今から健康を疎かにしてたら40歳になった時後悔しますよ?

 

 

「君まで実家の母親みたいなこと言わないでくれ・・・大丈夫、分かってる。分かってるから。言われた通りアレからタバコも吸ってないんだ、勘弁してくれ。」

 

ならいいです。ではすいませんが後片付けがありますので失礼しますね。あ、マラソンは見学の予定ですがこの後きちんと授業には行くのでご安心下さい。それではまた!

 

そう言って鍋を手に歩いていこうとしたら後ろから衝撃。見たら平塚先生が思いっきり背中に抱き着いている。ちょ、ここ廊下なんですけど!!

 

 

「うるさい。さっきからわざと話逸らしてばっかり・・・私が注意しに来た訳じゃないのぐらい分かってるだろ。」

 

 

 

・・・はぁ、やれやれである。

 

もちろん分かっていたか否かと言われたら分かっていた。だが意図的に気付いてないふりしてただけである。せめて部室まで入ってからにして欲しかった。

 

もう我慢出来なくなったんですか?昨日の夜も散々してあげたじゃないですか。

 

「・・・・・・。」

 

返事がない。離れる気は無さそうだ。仕方がない、後片付けは後回しにする他ないな。俺はため息をひとつ吐くと、スタンドで周りを確認する。運良く誰にも見られて居ない様なので、平塚先生を背中にくっ付けたまま部室に戻り、入口の鍵を閉めて、覗き窓から見えないように布も取り付ける。ついでにカーテンも全部閉めて、外から完全に部室内を見れない様にした。これで準備完了である。そこで一旦平塚先生の腕を振りほどく。腕を無理矢理離された平塚先生が、少し潤んだ瞳で抗議してきた。

 

 

「意地悪、しないでくれ・・・!限界なんだ、分かるだろ?」

 

ハイハイ、分かってますよ。別に意地悪した訳ではなく、ただブレザー外すだけなんで我慢してください。そう言ってブレザーを脱ぎ、ネクタイも外すとワイシャツのボタンを2、3個外す。大きく腕を広げて、と。さて。

 

「こっちの方がお好みでしょう?・・・はい、どうぞ。」

 

「ーーーッッ!!」

 

そう言うが早いか、我慢できなくなった平塚先生が飛びついてきた。そのままの勢いで俺は押し倒され、和室側の畳の上に背中から倒れ込んだ。

 

そして平塚先生は強引な勢いのまま俺に馬乗りになり、力強い動きで俺の胸に飛び込んだ!

 

「あぁぁぁ〜〜!昨日ぶりだっ!すぅぅぅ、はぁぁぁ!あー、落ち着くゥ〜〜〜っ!あ、榊何やってるんだ、早く撫でてくれ!いつも通り頭と背中同時に頼むぞっ!」

 

そしてこの有様であるッ!

 

 

あ、俺が押し倒されてエロい事始まると思った?

 

残念!ただのハグだよ!むっちゃ胸に顔擦り付けられて匂い嗅がれてるけど、やってる事はただのハグでしかない。期待したみんなごめんね!

 

 

さて、どうしてこんなことになったかと言うと、超簡潔に言って、平塚先生は俺にバブみを感じたらしい。

 

は、何言ってんだこいつ頭大丈夫か?と思った貴方。残念ながら大丈夫だ。正直俺も頼まれた時は平塚先生の精神状態を真剣に危ぶんだので気持ちは分かる。

 

 

事の経緯を説明すると、前回平塚先生を抱っこしたまま一夜を過ごした後、土曜日の朝まで話は巻きもどる。

 

 

◻️◻️

 

世界最強のハーレム主人公であるリトさんみたいに、1晩平塚先生という誘惑を頑張って耐えきった俺は、俺の胸の中で安らかに眠ってた平塚先生が目を覚ますと同時にトイレに駆け込んだ。あと少しで尿意に負けて尊厳を失う所だったので割とギリギリの勝負だったが、何とかかんとか俺は勝った。

 

その後少しスッキリした平塚先生が顔を赤くしてすまないとか忘れてくれーとか色々言ってたのだがとりあえずそれはさておき俺は平塚先生を正座させた。え、何で?と言う顔をしていたが当然である。

 

「平塚先生、失礼ですが、この部屋の惨状について御説明をいただきたい。」

 

「うぐっ!い、いや、ココ最近忙しくてな?片付けようとはしたんだが、最近の掃除機って扱いが難しくて・・・」

 

ほう。なるほど。

ではこの明らかに何かを温めすぎて爆発させたと思われる電子レンジや、カビが生えてきてるシンクの三角コーナー、散らかった下着類。そこかしこに散乱するコンビニおつまみの残骸も掃除機が関係してると?

 

「い、いや!ただ、そう。他の電化製品もなかなか取り扱いが複雑でだな。」

 

なるほど。

ではこの灰皿の上でピラミッドを築いているタバコの吸殻は、電化製品がもっと使いやすくなればここまで積み重ならないと?

 

 

「・・・・・・すいません。」

 

・・・平塚先生。片付けますよ、この部屋。異論は御座いませんね?

 

「・・・はい。分かりました(´・ω・`)」

 

 

そんな訳で俺と平塚先生は休日の朝からご飯も食べずに部屋の片付けを始めた。だがそれがとても大変だった。

 

 

~~キッチン(魔境)~~

 

「埃だらけの炊飯器には何時のかも分からない紫色に変色した米、カップ麺の容器やらコンビニ飯の容器やらで埋もれたシンクに、埃を被った洗い物ラックと洗ったまま放置されてた食器類。冷蔵庫を開けてみれば調味料とチーズやら生ハムなどの1部酒のツマミしか食料はなく、あとは大量のビールのみ。平塚先生、普段の食事はどうしてますか?」

 

「えっと、だいたい、すき家とか居酒屋とかラーメン屋で・・・。」

 

面倒なので使ってなさそうなもの(調味料とかほぼ全部!)を纏めてゴミ袋に入れて2人して拭いたり磨いたりしまくった。1番時間かかった。

 

~~リビング&廊下(普通に汚い)

 

「何処も彼処も埃だらけだな・・・平塚先生、掃除機が動かないんですが箒とちりとりは?無い?お掃除シートががそこの物置に閉まってある?・・・乾燥して使い物にならないんですが最後に使ったのは何時です?」

 

「おそらく2年くらい前だったと・・・」

 

クイックルワイパーで取り切れないレベルの埃って何事なのか。つーか埃まみれの所にあるからって下着とか肌着とか諦めんな!小学生ぶりに真面目に雑巾がけした。腰が痛い。

 

〜~掃除中に発覚した各所棚とか収納とか(なんでか物が詰まってるぞ!)〜~

 

「先生、この棚の中のキッチンペーパーやらラップやら開封した形跡がないのに黄ばんでたり箱がくしゃくしゃだったりするんですが、新しい物の保管場所移動したりしたんですか?」

 

「い、いや。単にここに引っ越してきた時から1度も使ってないだけだ。」

 

掃除してたら汚れてるというか散らかってるというか置き場所に困ってゴミとか入れて放置された棚の数々に気付いてしまった。仕方ないので掃除した。地味に時間がかかった。

 

~~脱衣場(なんかカビ臭い)~~

 

「先生、洗濯機を開けたらカピカピの洗濯物らしきものが出てきたんですが、最後に洗濯したのは?」

 

「1週間前・・・だったと思う。まとめ洗い派なんだ。でも先週は酒飲んで寝ちゃってそのままにした気がする?」

 

俺今日この人の部屋来て既に20回以上下着見てるんだけど??こんなにいくら女性の部屋だからってこんなに頻繁に遭遇するもんだっけ???とりあえず洗濯機に残ってたものと各所に詰まってたり放置されてたものを纏めてもう一度洗濯機に放り込ん……前に洗濯槽がカビ臭かったのでそちらから洗剤叩き込んだ。余計な時間だが脱衣場各所も埃&ゴミだらけだ。同時に清掃しておく。

 

~~浴室内部(排水溝に詰まった髪の毛と陰毛の塊は薬剤かけて見なかった事に)~~

 

「先生、風呂場の浴槽、水垢で変色してるんですがちゃんと使用前に掃除してますか?というか風呂場の掃除用洗剤とか何処ですか。」

 

「い、いやシャワーしか使わないから気にしたことない・・・」

 

マジで何を言っとるんだコイツ??と思った俺は悪くない。洗剤撒いて擦ってカビキラー、2番目に時間かかった。

 

 

~~集合ポスト(ここは俺も詰まりがちなので仕方ないね!)~~

 

「先生、郵便受け見に行ってみたらいくらか先生宛の手紙とか入ってるんですが。あれ、これ結婚式の招待状ですね。」

 

「全部捨てておいてくれ。それがあるからポスト開けるの止めたんだ。水道光熱費は銀行引き落としに変えたし。」

 

うっかり平塚先生の闇を見てしまったのでそっとしておいた。

 

 

そんなこんなで部屋が綺麗に片付いた頃にはお昼になっていた。俺はむっちゃ頑張った。先生の部屋にはまともな掃除用具さえなかったので隣の俺の部屋から持ち出して来ての大掃除である。最終的に1番大きいサイズの燃えるゴミの袋が7袋くらい溜まったので、どれくらい荒れていたかは推して知るべしである。

 

いや、このマンションがゴミ袋を置いておける物置を用意してくれて本当に助かった。ビールの缶とか詰まった袋と合わせたら、先生の部屋の玄関、人が通れなくなる所だったのだ。ちなみに先生は掃除が終わって綺麗に片付いた部屋を見て、こんなに綺麗な自分の部屋を見たのは久しぶりだ、と目を丸くしながら感動して家が綺麗になった記念、などとビールのプルタブを開けやがったので、奪い取って俺がミートソースパスタに使ってやった。もちろんビール以外の材料やら調理器具は全て俺の私物である。パスタの理由?平塚先生の部屋に残っていた米の袋の中身覗いて見たら、小さい虫と蛆で溢れてたんだよね。思わずスタンドで空間ごと削って消滅させた。だが、それ見て米を食うガッツがあると思う?俺は思わない。

 

 

そして、朝食兼昼食を食べ終わった後、ミートソースパスタの皿を片付けていると、先生が平然とタバコを吸い出した。あれだけ苦労したタバコの吸殻をもう増やそうとする先生にちょっとイラッときたので俺は言った。

 

「平塚先生、タバコ臭いです。」

 

「何を言う。それがカッコイイんじゃないか。タバコと硝煙の匂いのする傭兵・・・とか、憧れたことあるだろ?」

 

「ありますよ。カッコイイですよね。でも先生、タバコの匂いする女性って結婚率低いですよ。」

 

「ふぐっ!そ、そそそそんな馬鹿な!?確かに今まで女がタバコを吸うことに難色を示す男もいたが、自分がタバコを吸ってるからと気にしない奴だってたくさん居たぞ!適当な事を言うんじゃない!」

 

「いやそれはタバコの匂いを気にしないだけで好きな訳ではないのが殆どです。平塚先生だってキスする時タバコ臭いよりもいい香りした方が嬉しいでしょ?要するに気にしない人にとってはプラマイゼロなだけで、タバコ苦手な人からしたらただのマイナスです。ほら、これだけでお相手の幅が狭まった。」

 

「ぬ、ぬぬぬ・・・い、いや!それならば気にしない男と結婚すれば良いだけだ!だいたい自分と趣味の合わない男と結婚するつもりもないしな!」

 

「?何を言ってるんですか平塚先生。今までタバコの匂いなんて気にしない、なんてほざいて言い寄ってきた男の中に、貴方と真剣に結婚しようとした男が1人でもいた事あります?いや、居なくてもいいのでそんな連中の中でまだお付き合いのある男性います?」

 

「がはっ・・・!い、いやそれは今までの男がたまたま外れだっただけで、皆がみんなそういう訳では・・・」

 

「それはそうですけど、そんなのがどれだけ希少だと思ってるんですか。そもそもですね、タバコの匂いなんて気にしない、けれど君と将来幸せな家庭を築きたいとかほざく奴はだいたい身体か金目的だと思った方がいいですよ。だって幸せな家庭を築きたいって言ってるのに、将来子供産む時とか色々悪影響出るって分かりきってる相手のタバコ問題放置してる時点で将来の事とか全然考えてないですから。」

 

「グワァァッ!!お、おい・・・もうその辺で「というかですね。」ひいっ!」

 

「そもそもの話、平塚先生の周りで結婚した女性で、平塚先生程のヘビースモーカーって居るんですか?」

 

人の振り見て我が振り直せって言葉、国語教師なら知ってますよね?

 

 

 

「ぐぎゃぁぁぁあ!!」

 

とうとう平塚先生は胸を抑えてのたうち回り始めた。その間俺は火のついたタバコをサラッと回収し、灰皿に押し付けて火を消す。結構容赦ないこと言った自覚はあるが、俺の経験上平塚先生並のヘビースモーカーの女がまともな男と結婚した事例は存在しないので嘘は一切ついてない。まぁそもそもそう言う女性が皆必ずしも結婚願望を持っていた訳でもないのだが、それは言わずとも良いだろう。

 

ところで平塚先生、先程掃除してる最中に、面白いものを見つけたんですが。

 

「うぎゃぁぁぁ!こ、今度はなんだ!これ以上は止めてくれ!私のライフポイントはもうゼロなんだ!ってそれは!私の健康診断結果・・・!?ま、待て!」

 

平塚 静。検査の結果、一部要再検査とありますが・・・おかしいですね、再検査の日程予約用の封筒と書類、残ったままなんですけど?検査の日付、去年の10月ってなってますが。平塚先生、ちゃんと行ったんですか?

 

「い、いや・・・その。あの・・・そ、そう。色々忙しくてな!?」

 

ほう。確かにこの診断結果が来たのは年末前ですもんね。予約取るの難しいかもしれませんね。・・・などと言うとでも思いましたか?今何月だと思ってるんですか!?5月ですよ5月!入学式もとうに終わって教師の1番のピークは終わってるはずですよね?今まで休日は何してたんですか?

 

「え、えぇと、その、だな。まず前日に朝まで飲むだろ?そして朝寝落ちして昼まで寝る。で、起きたらまた飲んで、夜には寝る・・・みたいな感じ?」

 

なるほど、よく分かりました。

 

「この買い置きのタバコ3カートン分と大量の缶ビールは没収します。」

 

「わぁぁぁ!!待て!待ってくれ頼む!それが無いと私はは本気で生きていけないんだぁ!」

 

駄目です。というかもう消しました。

それと今から検査の予約入れましょう。今の時期ならそんなに混んで居ないはずですし、割と早く予約取れるはずです。大丈夫、消した酒とタバコの分のお金はお支払いするので検査費用に当ててください。なお拒否した場合はここにある先生のケータイを使って、先生のお母様と思われる方に一切合切報告します。

 

「あああ!本当にもう無い!馬鹿な、何処にやったんだ!

しかもそれは私の携帯!いつの間に!母親に連絡だけは止めてくれぇ!」

 

当然スタンド使って空間倉庫に放り込んだ。俺が許可しない限り二度と日の目を見ることは無い。

 

さて、先生。この母親らしき方の電話番号をタップされたくなければ、私の要求は分かりますね?

 

「う、うぐぐ・・・!こ、こうなったら最後の手段だ!くらえ、これが私の!自慢の拳だァァ!!」

 

「回し受け。からの渋川流合気術。」

 

愚かにも実力行使に出た平塚先生をさっくり鎮圧する。ちなみに技名は適当だ。もちろん床に叩きつけたりだとかそういう事は一切していないが、足で平塚先生の腕を拘束したのでもう暴れられない。

 

「ば、馬鹿な。こう見えても私は特技に格闘技と書けるぐらいには戦闘技術を納めているのに・・・さ、榊!貴様、普段は手を抜いてたのか!?」

 

「いや当たり前でしょう何言ってるんですか?いくら平塚先生が強くても、俺が女性に悪ふざけでも手を上げる訳ないでしょう。」

 

「そ、そんな・・・。じゃあ今まで素直に殴られていたのは・・・?」

 

単に避けなかっただけです。他の生徒ならともかく、俺なら先生の攻撃くらいでいちいち学校にクレーム入れるようなことも無いですし、そういうやり取りの方が先生も気楽に見えたので。

 

そう言ったら平塚先生が負けた・・・とか言って愕然としてしまった。いやこう言ってはなんだけど平塚先生がかなり強いのは間違いないと思う。女性なので筋力とウェイトの関係で、ゴリゴリの男性格闘家にゃ分が悪いと思うけれど、そんじょそこらの変質者じゃ瞬く間にボコボコにされるはずだ。俺はほら、転生当初から突然チートが使えなくなった時に備えて体もかなり鍛えてるから。

 

とりあえず腕の拘束を外して、平塚先生の体を起こす。するとガッ!と両肩を掴まれた。まだやる気なのか、元気だなこの人。

 

「わ、分かった。再検査は受けるし、酒もタバコもこれから量を減らす!約束する、だから頼む!いきなり全部無しはやめてくれ、本当に頼む!それが無いと本当に困るんだ・・・!」

 

違った、どちらかと言うと命乞い的な方だった。ものっそい悲壮な顔である。ふと昨日の夜の平塚先生がフラッシュバックした。やはり平塚先生の闇の深さが尋常ではない。どんだけ普段からストレス溜め込んでたんだろうこの人。うーん、確かにアル中からいきなり酒を全部断つのはかなりの覚悟がいる。しかし、かと言ってここで緩めたら結局悪化するだけな気もする。難しいところだ。

 

「だ、駄目か?・・・やっぱり榊も、私の様に酒やタバコに逃げる様な女は嫌いか?」

 

「は?むしろ俺は平塚先生のことかなり好きな方ですけど。何言ってんの?」

 

「・・・ふぇっ!?」

 

あ、やべ。つい脊髄反射で返してしまった。まぁ嘘は言ってないのでいいか。実際俺は前世から俺ガイルの中で1番好きなキャラは?と言われたら平塚先生一択だ。転生した時、かなり曖昧だった原作知識の中で唯一名前も顔も覚えて居たのは平塚先生だけであるから、それはガチである。

 

つーかそれより今平塚先生やっぱりって言った?何、今までそんなこと言ってきた男いんの?あぁ、いたのね。平塚先生本当に男運ないねー。いや見る目がないのか?どっちでも一緒か。

 

とりあえずまだ目を白黒している平塚先生を昨日の夜と同じように、頭を胸に抱え込む様に引き寄せて、背中と頭をこれまた昨日と同じように波紋を流しながら撫でる。強いようで結構脆い、よく分からんメンタルだな平塚先生。さっきタバコの事で結構弄ったときは大丈夫そうだったのに、今になって昨日の夜みたいに若干錯乱した状態になってる。

 

とりあえず、平塚先生にも分かって貰えるように心を込めて話す。ヒールボイスは使わない。あれ、ヒールボイスだっけ?昨日適当に名前付けたから忘れた。とにかく波紋を使った囁きは効果高すぎで良くないので使用を控えて、普通に説得を試みる。

 

 

いいですか平塚先生。貴方にどう見えているかは分かりませんが、俺としては先程言ったように、平塚先生みたいな女性は結構好きです。いちいちカッコイイし、俺や雪ノ下みたいな生徒にも何気なく世話を焼こうとする優しさも教師として素直に尊敬しています。

 

え?えぇまぁ気付いてますよもちろん。俺を雪ノ下と引き合わせたのも、学校で周りと馴染む気の無い俺や、しっかり自立しているようで結構余裕無くて不安定な雪ノ下に、せめて気楽に話せる友人にでもなれたら、とかそういう事でしょう?俺や雪ノ下はこうして強制でもされない限り、自分から進んで友人なんて作りませんし、雪ノ下に至っては余程のことがない限り他者を傍に置こうとはしないでしょうしね。

 

そうやって何気なく、何だかんだと理由をつけて、何かと色んな生徒のフォローをする先生は本当にいい先生だと思います。俺だって別に先生がただ酒癖悪いとかタバコ臭いとかで平塚先生からそれを奪おうとしている訳では無いです。むしろ本当ならタバコ吸ってる平塚先生カッコイイし、酒飲んでヘベレケの平塚先生も人間臭くて好きなので、そのままにしておきたいくらいです。

 

ですが、あの健康診断結果を見て考えを変えました。平塚先生、私の親戚に僅か30歳で糖尿病を発症した人がいます。なった経緯を聞いたら今の平塚先生とほとんど同じような状態です。若いから大丈夫、とは限らないのです。それならば例え今先生に恐れられ、嫌われても、容赦無くこれらを絶つべきだと俺は判断しました。別に一生絶てと言う気はありません。もちろんその方が健康でいいですが、先程も言った通り、タバコ吸ってる平塚先生の姿、似合ってますしね。

 

差し当ってはそうですね、再検査を受けて、その結果が次の健康診断で改善されたとなったら、健康を害さない範囲でお好きな様になさって下さい。それでいかがでしょうか?

 

 

「・・・うぅ、落としてから上げるのはズルいぞ・・・!」

 

 

そうやって恨めしそうな顔をする平塚先生。だが普段はクールで切れ長な瞳を潤ませて言われると可愛いだけですので効果はないです。

 

とりあえず、そろそろ落ち着いたみたいなので平塚先生を離す。いや昨日もそうだったけど平塚先生いい匂いするし柔らかいしでこれ以上密着してるのはあんまりよろしくない。具体的に言うと平塚先生に攻略される。

 

なのでとっとと離れて立ち上がろうとしたら、一瞬の隙をついて平塚先生が抱き着いてきた。いや、あの、これ以上は困ります平塚先生。

 

「やだ。これ落ち着くから、もう少しこのままがいい。」

 

うわ可愛い。はっ!?まずい今一瞬攻略されてた!

ていうか今のはズルくない?クール系の美人が上目遣いで口窄めて子供みたいにやだ、って言うのズルくない!?思わずギャップ萌えちゃったよ!

 

あ、だから止めて下さい平塚先生!猫みたいに俺の胸に顔擦り付けないで!あーッ、困りますお客様!あーっあーっ困ります困りますお客様!!おやめ下さいお客様!あー!困ります困りますお客様!!

 

 

ひとしきり平塚先生にスリスリされて余裕を失った俺はこの後何とか早く離れてもらおうと色々交渉した結果、次の様な流れで、平塚先生といくつかの契約を結ぶ事になった。

 

・今から自炊して健康なもの食べろと言われても困る

→では俺が代わりに3食用意するので先生は食費をお願いします。

 

・酒もタバコも頑張って止める!けどいきなり晩酌とか無くしたらストレスで死ぬ!

→ではタバコは頑張って貰うとして、晩酌は決められた本数を守るなら許可します。

→正直自分だけだと自制心に自信が無い。

→分かりました。言い出したのは俺なので俺が見張ります。どうせ夕飯用意するのも俺ですし、これからなるべく夕飯はなるべく一緒に取りましょう。

 

 

・ぶっちゃけこれ凄い落ち着く。ストレス凄い薄れていく。母親の腹の中にいるみたい。オギャれる。休日はずっとこうしていたい。

→流石に無理です。諦めて下さい。

→日給8000円でどうだろうか?

→金銭交渉!?お金には困ってないので、お断りします。

→そこをなんとか。代わりにちょっとくらいなら触ってもいい。

→体も対価にするの早!?自分を大事にして下さい。

→所詮私なんてろくでなしに甘い言葉でコロッと股を開いた汚れた女だ。今更大事にするほどの価値などない。

→何言ってるんですか。どんな生き方をして、どんな失敗を重ねたとしても先生は先生ですし、俺はそんな平塚先生を美人だと思っていますよ。

→本当か?私にはまだ価値があると思うか?

→当然でしょう。断言してもいいです。

→じゃあ正直今の状況どう思う?

→やたらと柔らかいし意外といい匂いするしで実は結構ヤバmはっ!?

→そうかそうか、嬉しいな。もっと私を感じてくれて良いんだぞ?

→あー!困ります平塚先生!あー困ります困ります!

→では休日、ずっとこうさせてくれるな?

→い、いえそれは流石に・・・って何してるんですか!?

→なに、ちょっと息苦しくなったのでブラだけ外しただけさ。服は着ているから何も問題は無いだろう?

→あー!困ります平塚先生!それ以上は困ります!ホントやめてくださいお願いします!

→私が聞きたい言葉はそれじゃないな。分かるだろう?

→くっ・・・分かりました!休日はなるべく平塚先生と一緒にいます。だから離れて!

→そうかそうか、嬉しいな。ところで榊、タバコ止めるとなると学校でストレス感じた時はどうしたらいいと思う?

→そ、それはほら、ニコレットとか禁煙ガムを利用したら良いと思いますよ?

→そう、か。・・・ところで、ずっとこうしていたら汗をかいてしまった。ちょうど掃除したばかりだし、一緒にシャワーでもどうだ?

→あーあー!聞こえなーい!もうこんな所に居られるか!俺は自分の部屋に帰るぞ!

→じゃあ私もこのままついて行っていいか?正直、今離れるのは寂しいな。

→あー困ります!あー!あー!困ります平塚先生!

→ふふふ、それならば、学校でもたまにこうさせてくれるなら、我慢出来るかもしれないなぁ?

→ーーーッッ!!わ、分かりました!周囲に人がいない時だけならいいです!

→よしじゃあ交渉成立だな♪ちなみに今日も明日も休日だし、もちろんこのまま付き合ってくれるんだよな?

→なっ!?・・・は、嵌めたな!卑怯だぞ平塚先生!鬼、悪魔、静!

→大人は時として卑怯なものだよ。勉強になったな、少年?

→せ、せめて家の用事を片付けさせて下さい。

→おお、それならば私も手伝おう。何せ私もガッツリ手伝って貰ったしな!

→く、急に元気に・・・!やられたぜ・・・!

 

 

・・・と、まぁだいたいこんな感じのことがあの後起きたのだ。

 

正直後ちょっとで平塚先生に攻略されてた可能性の高い俺だが、ぶっちゃけそれが先延ばしになっただけのような気もしている。

 

まぁ結果論ではあるが、何だかんだこれが平塚先生のストレス解消に役立っているのは間違い無いみたいなので、なるべく協力してあげようとおもっている。

 

いやだって即金で交渉だぜ?性別が逆だったら即豚箱行きの事案である。普通にドン引きしたわ!

だが、逆に言えばどんだけ平塚先生必死だったんだという話で、平塚先生の抱える闇の深さも洒落にならなさそうだと言うのはアンサートーカーを使わなくても分かる。平塚先生は原作に置いて重要なキーパーソンだし、原作主人公がいないこの世界でも、たくさんの学生になくてはならない存在だと思う。俺一人が色々な誘惑に耐えれば良いだけだと考えれば、そこまで悪い取引でも無かったのだ。・・・そうだと思いたい。

 

 

そんなことをフワッと考えて居たらチャイムがなった。5限の終わりだ。何だかんだ1時間近く平塚先生がくっ付いたままだった。回想しながらだったので半分くらいは聞き流していたが、何か今日は教頭先生が朝から機嫌悪かったとか、空き教室で逢い引きしてる生徒見てイラッと来たとか色々あるみたいだ。教師もたいへんだなぁ、と思うが、空き教室云々は傍から見たら俺らも変わらないと思うので先生も気をつけて欲しい。

 

ほら平塚先生、5限終わりましたよ。次の授業は無いんですか?

 

「むぅ、もう一コマ終わってしまったか。時間が経つのは早いな。・・・しまった、次の授業の準備を忘れてた!私はもう行く!榊もあまり授業サボるんじゃないぞ!」

 

そう言って慌てて走っていく平塚先生。廊下は走ってはいけません。とはいえさすがの俺も理由もなく授業をサボるつもりは無いので、脱いだ制服をさっと着ると、途中で止めた後片付けをささっと終わらせて教室にもどるのだった。

 

教室に戻って直ぐに俺と違って満腹でマラソンしたゆいにゃんとあーしさんから凄い睨まれたが、容赦無くm9(^Д^)プギャーってやっておいた。授業中やたら投げられた消しゴムの破片とか丸めたノートの切れ端とかはダメージ皆無なので全スルーしてやったぜ!

 

ゴスっ!痛!

・・・いや、流石に中身入りのペットボトルはズルくない?ねぇズルくない?

 

 

 

 

◻️◻️

 

 

 

放課後。

 

俺は今セツのんと2人で、とある教室の前で聞き耳を立てている。

 

教室の中ではある2人が大事な話をしてるからだ。

 

まぁ、誰だって言ったら普通にゆいにゃんとあーしさんなんだけどね。

 

 

昼休みの時は時間が迫ってたから少し強引に話を有耶無耶にしたが、アンサートーカーでざっくり確認した感じだと、一方的にキレ散らかしてたのはあーしさんだが、友達相手に自分の意思1つ言い出せずウジウジしてたゆいにゃんにも責任が無いとは言えない感じだった。

 

それをゆいにゃんも分かっていたからこそ、こうしてあーしさんと向き合って話をすることを選んだのだろう。たぶんだが、人に合わせるということに必死だった彼女は、こうして本音で語って失敗して、仲間外れにされたりする事を恐れていたのではないかと思うのだが、相手はクラスカーストのトップグループ。当然その可能性を考慮した上でこうしている筈だ。かなり思いきった覚悟が必要だったと思う。

 

俺は今でこそチートがあるので精神的だいぶ余裕があるが、それが無かった前世では、ゆいにゃんの似たような苦労をした事もある。その時、俺にあんな事が出来ただろうか。

 

ーーーだからさ、あたしも無理しないでもっと適当に生きよっかなーとか・・・そんな感じ。あ、でも別に優美子の事が嫌だとか、そういう訳じゃないから。だから、これからも仲良く、したい、かなー?

 

ーーーふーん。そ。ま、別に良いんじゃない?

 

ーーーごめん、ありがと。

 

 

「大したものだな。」

「そうね。」

 

由比ヶ浜が振り絞った勇気に、思わず素直な気持ちが口をついた。雪ノ下も同じ気持ちだったのだろうか。同じタイミングで相槌があり、思わず雪ノ下の方を見てーーーすこし、驚いた。

 

・・・なんだ、ちゃんと言えるじゃない。

 

そう独りごちる様に囁いた彼女は、一瞬だけ、笑っていた。

初めて見た彼女の微笑みだった。

そこに初めて彼女本来の表情を見た気がした。

 

ーーーとても綺麗だと、そう思った。

 

「・・・そろそろ行けよ。この後、由比ヶ浜と待ち合わせなんだろ?」

 

「言われなくてももう行くわ。分かってると思うけど、私はここに居なかった。良いわね?」

 

口には出さず、両肩を竦めて返事をした。だが、雪ノ下の方も返事など興味も無かったのだろう。こちらを一瞥することも無く早足で歩き去って行った。

 

さて、俺はどうするかな。セツのんと違って普通に俺は誘われてないし、かと言って平塚先生は今日は職員会議の日とかで帰りは遅くなるらしい。夕飯はどっちにしろ平塚先生と一緒に摂る予定だが、その間の暇潰しが必要だな。

 

とか考えてたら教室の扉がガラッと開いて、件のゆいにゃんが飛び出してきた。あ、やべ。

 

「うひゃっ、ごめんなさーーサカキン?えっ、なんでサカキンがここにいんの?・・・まさか、聞いてた?」

 

む、これは良くない状況だな。よし、誤魔化そう。

 

「何が?俺はたまたま教室に荷物を忘れたので取りに来たら、たまたま青春イベントが始まったので終わるまで待ちぼうけを食らっただけだ。」

 

「聞いてんじゃん!!要するに全部聞いてたんじゃん!うっわ信じらんない!バカなの?ありえない、キモイ!マジでキモイからほんと無理!!」

 

しまった、俺素直だから嘘つけなかったわ。でもWAWAWA、わっすれもの〜♪って歌いながら乱入するよりはまだ扉の前で待ってた方が良心的だよね。

 

ていうか教室は別にゆいにゃんのものではないし、勝手に人が入りにくい空気を作って独占してたゆいにゃんが悪いのでは?むしろ俺被害者では?謝って!勝手に青春イベント開いた挙句俺に逆ギレしたこと早く謝って!

 

「えっ!えっと、あの、ご、ごめんなさーーって謝るかー!!何度も何度もテキトーなこと言って言いくるめられると思わないで!盗み聞きしてた方が悪いに決まってんじゃん!!バカ!キモイ!モサモサ!」

 

お、そうだナ。

残念、今回は引っかからなかったか。ちょっとは成長したではないか。褒めてつかわす。ほほ。

 

「何で上から目線だし!もう、なんでもいつもそうなの!?いっつもいっつもあたしのこと馬鹿にしてー!」

 

は?してないんだが?

ゆいにゃんは弄ると可愛い反応してくれるから弄ってるだけだし。何なら俺がゆいにゃん可愛くするために頑張ってるだけだから何時だってゆいにゃんに真摯に向き合ってるし。つまり好きな子にかまって欲しい小学生男子のイタズラみたいなもんだし。

 

「ふぇっ!?えぇ!?え、えっとそれって・・・つまり?」

 

ん?俺は小学生じゃないからそんなつまんないイタズラする訳ないだろ何言ってんの?

 

「え?・・・あー!また騙したなー!!」

 

いやいくら何でもちょろ過ぎだろゆいにゃん大丈夫?飴ちゃん貰えるからって知らないおじさんに着いてっちゃダメなんだよ分かる?

 

着いてくわけないでしょ馬鹿にすんな!と切れるゆいにゃんを白々しくまーまーと宥めつつ、ちら、と教室の時計を確認する。ま、これぐらい時間稼げば雪ノ下も追い付かれてなんでまだここにいんの?とかそういう話になったりもしないだろう。もういいか。

 

うぅぅぅ!と顔真っ赤にしてうなり声あげてるゆいにゃんに、さも今思い出したかのように声を掛ける。

 

唸ってるのも良いけどさ、セツのんの放課後待ち合わせの相手ってゆいにゃんじゃなかったの?ホームルーム終わったらすぐ出て行ったから今頃待ってるんじゃねーの?

 

「あっ!しまった!あー、でも・・・ぐぬぬ!仕方ない!今日はゆきのん待たせてるからここで終わりにするけど、また後でメールするからね!忘れないでよ!」

 

ハイハイ、わかったわかった。はよ行け。

 

まぁまだ俺と連絡先の交換してないこと忘れてるあたりまだまだ、だなゆいにゃん。これだけ啖呵切って連絡出来ないことに気付いた時、明日どんな顔で来るのか今から楽しみである。

 

じゃあね!と、駆け出そうとする由比ヶ浜に、一言だけ伝えたいことがあったのを思い出した。

 

「あぁ、そうだ。由比ヶ浜。」

「ふぇ?どうかした?」

「よく頑張ったな、おつかれ。」

 

ーーー!ふふ、でしょっ?でも、ありがとっ!!

 

弾けるような笑顔で、彼女は走り去っていった。

・・・廊下は走ってはいけません。

 

 

にしても、今日はやけに身近な知り合いの、色んな初めての顔を見る日だなぁ。

 

 

・・・さて、今日は部長ももう居らんし、既に結構な時間が過ぎた。部活動自体今日は休みで構わんだろう。鞄を取ったらどっかその辺ぶらつきながら帰るとしますか。

 

どこいくかなー?と頭の中で幾つか候補を上げ、机に置きっぱなしだった鞄を取ると、教室を出るーーーの前に、声が掛かった。

 

「おい、そこのモサ男。これからちょっとツラ貸せ。」

 

・・・やれやれ、今日はイベント過多だな。困ったもんだ、全く。

 

俺はモサ男、なんて名前では無いので無視して帰っても良いのだが、それはそれで面倒そうなのでしぶしぶ振り向く。そこには先程までケータイを弄ってたトップカーストの女が、腕を組んで仁王立ちしていた。

 

俺の一日は、まだ終わらないようだ。

 

 

続く。

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