※この作品はR-18です。

目の腐った主人公が居ないんですけど。   作:銀座

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登場人物紹介

・榊 貴一
チートを隠してるようで隠さない転生者。
精神的には歳下の少年らを怒りに任せてチートで打ち負かした。
動物に良く効く癒しのゴッドハンド持ち。

・雪ノ下 雪乃
抜群の運動センスを持つがなんでも出来過ぎてすぐ飽きる為、ひとつの事が長く続かない。その為スタミナがかなり低め。


・由比ヶ浜 結衣
実は最近部室で美味しいもの食べ過ぎて少し肥えた。
依頼にかこつけて短期集中ダイエットした結果、胸が大きくなった。
ストレッチでオリ主に合法的に触れると気付いてからは毎日ストレッチをオリ主にせがむ。

・平塚 静
オリ主と余り関わらない学校では、だいたいイケメン女教師。
自分で持ってきた依頼にオリ主が忙殺されて構って貰えず不満げ。
たまに自分の為にオリ主に授業サボらせる良くない系の女教師。

・材木座義輝
言わずと知れた剣豪将軍。女子が苦手。
この世界線では原作主人公が居ないので雪ノ下に追い返された。
大きな理由としては作者がこいつの口調書くのがキツいせい。

・戸塚 彩加
小柄で線の細い体。女の子よりも女の子の様な動き、端正で儚げな容姿。もうまるで女子にしか見えないが、だがオトコだ。
可愛い見た目に似合わず、熱い心とガッツを持つ少年。何やらオリ主に技を教えられた様だが?

・三浦 優美子
容姿端麗、スタイル抜群、されど見た目はくそビッチ。なのでやりたい盛りに男子によく告白される。
詳細は不明だがセツのんが嫌いらしいぞ!

・葉山隼人
オリ主達のクラスどころか学年全体でナンバーワンの男。
関わりの浅い人間が彼と話すとキラキラしたものが舞ってるように見えるらしいぞ!


7話

おはようございます。どーも、貴一です。今日も元気に転生者やってます。ビッチとボッチって語感が似てるのにどうしてこうもボッチの方が負け犬みたいな感じがするのか不思議ですよね。

 

 

 

2週間が経った。

 

最初の頃の奉仕部に強制入部されたりゆいにゃんにクッキーの作り方教えたり平塚先生がヤバかったりあーしさんに呼び出し受けたりとイベント目白押しだったのは何だったのか、というくらいにこの2週間、至って平穏な日々を過ごした。

 

まぁ当然の様に平塚先生は毎日うちに来てダラダラしていくし、セツのんやゆいにゃんと奉仕部で依頼人来ないねーとだべったりたまに俺が殴られたりしてるが、そんなもんである。強いて言うなら朝一あーしさんに挨拶されるようになったくらいだろうか。

 

ちなみに、実を言うと奉仕部に依頼人が1回だけ来たのだが、たまたま俺が部室ではなく保健室で平塚先生にスハスハされてた(丁度保険の先生不在だった。)時に来てたらしく、セツのんに部室に不審者が居ると思われて冷たい対応を受けて去って行ってしまったらしい。どうにもセツのんと目を合わせないなど挙動不審だったとかで、きっと原作にも居た中2君だと思うのだが、それ以来来ていないので詳細は分からない。今からでも来てくれれば俺が対応するのだが、来ない奴まで追っかけて依頼を聞くのもなんか違うので、とりあえず彼次第と言うことになっている。

 

 

「それにしても暇だねー。今日もお客さん来ないのかな?」

 

まぁ暇なのはそれはそれで良くない?こうして本を読む時間もあるし。勉強もソシャゲも、やりたいだけやれるじゃん?

 

「そうね。傍にいるだけで何となく不安な気持ちになる人がいて、少々読書に身が入らないと言う不満はあるけれど、暇なのは悪いことではないわ。だってそれだけ困ってる人が居ないということだもの。」

 

おいゆいにゃんゆいにゃん、セツのんが俺の事意識してるらしいんだけどどうしたらいい?せめてもう少し胸育ててから来いって言うべきかな?あ、でも育たなかったら一生来れないな。

 

「あなたの事など微塵も意識してないわ。いた事さえ今気付いたくらいね。貴方だいぶ自意識過剰よ。可哀想に、誰にも相手にされなさすぎて、皆が自分の悪口を言ってるように聞こえてしまうようになったのね。」

 

「サカキンサイッテー!女の子の身体のこと言うなし!まじキモイ。」

 

おいおい良いのかゆいにゃん。今セツのんは傍にいるだけで不安になる奴は俺じゃないって言ったんだぞ?この場に居るのが3人で、言った本人であるセツのんと、全く意識してないらしい俺を除くとゆいにゃんしかいないんだけど。言ってる意味分かる?

 

「えっ・・・ゆきのん、そう、なの?」

 

「えっ!?違っ・・・榊くん!由比ヶ浜さんに責任転嫁しないで貰えるかしら。私は貴方の事を言ったのよ!」

 

「じゃあやっぱり俺の事意識してんのか。まいったなー照れる。」

 

「そうなのゆきのん!?」

 

「だから違っっ・・・あーもう!」

 

うわっ危な。ちょっとちょっとセツのーん。何かあると暴力に訴えるのやめて貰えますー?人類なんだからもっと対話で解決を試みてよ。最近ちょっと暴力に訴えるのが早いし、ひょっとしてカルシウム足りてないんじゃない?ちゃんと牛乳飲んでる?はいこれウエハース。カルシウム入だよおたべ。

 

「誰のせいだと思ってるのかしら貴方は・・・!というか、毎度毎度人の神経逆撫でしておいてお菓子を与えれば解決すると思ってないかしら?お生憎様、私は末代までこの恨みを忘れないわ。ずっと夜道は背後を気にして生きる事ね?」

 

「おぉー!さすがゆきのんカッコイイ!良いぞ良いぞー!いつもいつも私達を馬鹿にしてくるサカキンをとっちめろー!」

 

なに!?それは怖いな。

だが、セツのん。セツのんはそれで本当に良いのか?武力に訴えるなんてそこらの原始人にもできるぞ?現代人と原始人の違いはなんだ?理性と知識こそが違いじゃないのか?

 

その違いこそ現代人の力で、だからこそセツのんは力をつけんと今まで色々勉強してきたのに、それを投げ捨てていいのか?お前のしてきた勉強は、そんな軽いもんだったのか?違うだろう?今セツのんがやるべきは、武器を手に感情のままに相手を攻撃することではなく、まず俺に殴った事を謝罪し、今度は知恵と勇気を武器に、苦しくても対話を諦めずに言葉で戦うのが正しいセツのんではないのか?ならばやるべき事はなんだ?このウエハースを食べて、交渉の席に着くことだ。違うか?

 

「悪いけどその手には乗らないわよ。私はやると言ったらやるのよ。懺悔は地獄でお願いするわね?」

 

そうか、じゃあ言い方を変えよう。

 

俺の周りでセツのんを除くとすぐ手が出るのはあーしさんとゆいにゃんだけ。つまりそのカテゴリにセツのんも入ると見ていいんだな?カテゴリ、ビッチギャルにセツのんも入ると思っていいんだな?

 

「だから人をビッチって呼ぶなー!ビッチじゃないし!だいたい私とゆきのんはもう友達だもん!同じビッチじゃない普通のギャルのカテゴリだもん!ねぇゆきのん!」

 

「ごめんなさい榊君。私が間違ってたわ。ウエハースいただけるかしら?」

 

「ゆきのん!?」

 

「違うのよ由比ヶ浜さん、貴方の貞操観念の緩さとかそういう事に偏見があるわけではないの。私はただ単に不良に見られるのは嫌なの。」

 

「それ私が不良に見えるってこと!?というかゆきのんあたしのこと不良だと思ってたの?!」

 

「えぇと、その・・・大変言い難いのだけれど・・・。」

 

ゆいにゃんその髪色で不良じゃないと思ってたの?逆に凄いんだけど。つーか世間一般の真面目な学生のイメージでまずピンク髪とか有り得ないでしょ?だいたい黒髪か良くて茶髪でしょ?ゆいにゃんだったら頭の中で黒髪の女子高生とピンク髪の女子高生並べてどっちがまともに見える?

 

「私のイメージ完璧に不良にされてる!?い、いや!確かに見た目は不良に見えるかもだけど、人って大事なの中身だから!私は中身で勝負だから!」

 

「え、えぇそうね。確かに由比ヶ浜さんは中身はその、不良では無いわね。・・・その、なんと言えば良いのかしら。知性的ではないというか。」

 

早い話が中身は不良じゃないけど、ゆいにゃんアホだから中身で見てもアホと一緒にされたくないってセツのんは言ってるぞー。

 

「あたしの事全否定!?」

「駄目よ榊君。真実は時に人を傷付けるのよ?」

「はぐっ」

 

うわ何て鮮やかなトドメ。

たまにセツのん暗殺者なのってくらい容赦ないクリティカル叩き込むなー。見ろあれ、ゆいにゃんが胸押さえて蹲っちゃったぞ。

 

何か今更慌ててフォローしようとしてるけど今のは心臓を綺麗に一刺ししたからな。シャルロットコルデーかと思うくらい見事な手際だった。残念だがあの傷ではゆいにゃんは多少のフォローでは回復できまい。

 

「・・・ど、」

「ど?どうしたの由比ヶ浜さん?」

 

「どうせ私は見た目不良で中身もアホだよーー!ゆきのんとサカキンのばかーー!!」

 

「由比ヶ浜さん!?」

 

ダメージが入りすぎてゆいにゃんが泣きながら逃げ去ってしまった。セツのんはまるで戦場に行く恋人を引き止めるみたいに手を伸ばしたまま固まっている。ちょっと間抜けな姿でわろす。

 

ゆいにゃん行っちゃったけどまぁいいか。そろそろお茶でも飲もうと思ってたところだし。あ、セツのんアイスピーチティーのむ?今日はちょっと凝ってみようと思って桃のドライフルーツ使って作ってみたんだ。

 

「榊君、随分落ち着いているけれど、これは追いかけなくても良いのかしら。」

 

ゆいにゃんが走り去ったことを気にしてるセツのんが、彼女が出ていった扉の方をチラチラ見ながら聞いてくる。

 

何オロオロしてんの?大丈夫大丈夫、ゆいにゃんだから。どうせすぐ戻ってくるよ。で、飲むの?

 

「・・・えぇと、そうね。あまり甘くないのならいただくわ。」

 

ドライフルーツ使ってるから甘味はあるけど、市販のみたいな甘さは無いから安心してくれ。はいよ。

 

「ありがとう。いただきます・・・あら、思った以上に桃の香りがするわね。」

 

「うむ。たっぷりの桃のドライフルーツを、ティーパックのピーチティーに漬けて、香りが飛ばないように細工したものを冷蔵庫で冷やしてみたんだ。桃もティーパックも安物だが、意外と悪くないだろ?」

 

「ええ。香りも良いし、優しい甘さで読書が進むわ。」

 

それは良かった。ついでにこれ茶菓子な。砂糖漬けのオレンジピールにチョコ塗ったやつ。テレビでたまたま見たやつ作ってみた。名前は忘れたけど。

 

「オランジェットね。毎度思うけれど、貴方も結構マメね。毎回飲み物もお茶菓子も用意してるなんて。」

 

そんな名前だったなそーいや。食べることは人生において大きな楽しみのひとつだし、つまらない時間も美味しい食べ物と飲み物があればそれなりに華やぐものさ。まぁ何も要らないってんなら下げるが?

 

「そうは言ってないわ。だから皿を下げるのは止めなさい。単にいつもいつも色々用意してあるものだから感心してるのよ。・・・飲み物はともかくお菓子やら食器やらが急に出てくる手品だけはどうかと思うけれど。」

 

「イリュージョンの達人なんで(`・ω・´)キリッ」

 

「恐らく自慢げな顔してるんでしょうけど、髪の毛で隠れて見えないわよ。」

 

(´・ω・`)そんなー

 

とか何とかセツのんとやってたら、いきなり部室の扉がバーンと音を立てて開いて、先程走り去って言ったゆいにゃんが飛び込んできた。おや、随分早いお帰りだな。

 

「探しに来てよーーーっっ!!なんで追いかけてこないの!?てゆーか私を無視して2人だけでお菓子食べてるし!?なんで?!なんであたしだけ仲間外れにすんの!!酷いよ!」

 

おやゆいにゃんお帰り。大丈夫大丈夫、どうせまた来ると思ってたからちゃんとゆいにゃんの分も用意してあるよ。はいこれ、少し走って喉乾いてるだろうと思って、氷少し多めにしておいたよ。

 

「わぁ!ありがとサカキン!ちょうど喉乾いてたんだーって違う!そうじゃないよ!そこが問題なんじゃないよ!なんであたしを仲間外れにすんのって言ってるの!」

 

・・・?いまいち何を言ってるのか分からないが、俺は仲間外れに何かしてないぞ。そもそも仲間外れとは仲間である人間に使う言葉だから、ゆいにゃんには当て嵌らない。

 

「!?!?どーしてそんな酷いこと言うの?!同じ奉仕部の仲間でしょあたしたち!?」

 

「えっ。そうなの?」

 

「何でそこで本気で不思議そうな顔するの!?たった2週間だけどほぼ毎日一緒にやってきたじゃん!!」

 

「いや確かにほぼ毎日居たけど、依頼も無いのに毎日来るからよく来る変なお客さんだなーとは思ってた。」

 

「これまでずっとお客さん扱いされてたのあたし!?もう、サカキンのバカ!あたしだって奉仕部の一員なんだから!ねぇゆきのん?」

 

と、ゆいにゃんは申してますが、そうなのセツのん?だとしたら俺その話聞いてないんだけど。

 

「あの・・・大変申し訳ないのだけれど、由比ヶ浜さん?貴方奉仕部の一員では無いわよ。」

 

やっぱり違うんじゃねぇか。騙したなゆいにゃん!

 

「そんな!?ゆきのんまでそんなこと言うの!?」

 

「いえ、だって私はあなたから入部届を受け取ってないし、顧問の平塚先生からもそんな話は聞いてないもの。」

 

「書くよ!?それくらいいくらでも書くよ!?というか必要なら教えてよ!!今すぐ書くからあたしを仲間外れにしないでよー!!」

 

そう言ってカバンから勢いよく取り出したルーズリーフから切り離した紙片に、女の子らしい丸っこい字でにゅうぶとどけ、と慌てて書き始めた。いやあの、多分ちゃんとした用紙あるよ?・・・まぁいいか。俺も別に入部届けとか書いてないし。

 

とりあえずこれで晴れてゆいにゃんが奉仕部の一員になった。ほぼひらがなで書かれた入部届けをセツのんが受理したからか、セツのんとは比べ物にならない豊かな胸を張って、むふー!と元気いっぱいである。おっと。

 

(っ’-‘)╮ =͟͟͞͞ブォン

=͟͟͞͞( ˙-˙ )サ

 

危ないな、いきなり物投げるなよセツのん。

 

「チッ、とうとう焦りさえしなくなったわね。」

 

そりゃ俺の周りの女性皆がやたらと唐突に暴力振るうからね!俺だって慣れちゃうよね!てか何で心の中で貶したことが分かるんだ?ひょっとして負けず嫌いだから?やべーなセツのん。

 

「サカキンって本当サイテーだよね。サカキンがヤンキーって呼んでる、とべっち達だってサカキンみたいに堂々と女の子にセクハラしないよ?」

 

と、思ったらゆいにゃんも俺の心を読んできた。まさかっ!コヤツもさとりか!え?口に出ててた?……あらやだうっかりてへぺろ!

 

「ええ、本当に榊君には困らせられるわ。平塚先生も一体何考えているのかしら。こんな破廉恥な生き物を無理矢理入部させるなんて。おかげでスタンガンを購入する羽目になったわ。」

 

ハッ、そんな女子に嫌われたくないだけのボーヤと俺を一緒にするな。この歳頃の男子で女子の体に興味無いなんて本気でほざくのはゲイか不能だけだ。生物学的にもこのくらいの年齢時が1番生殖能力が高く、それに伴い繁殖欲・・・つまり性欲が最も強いのもこの時期と証明されている。

 

なのにそいつらがそれを外に出さないのは、それでドン引きされて近寄られなくなると本当にそういった関係になれる可能性が無くなってしまうからだ。要するに女子に引かれても構わん俺と違って、なるべく見せないように隠してるヤツらの方が性欲強いから気をつけろよ?

 

あとセツのんのスタンガンは俺に当たると本気で思ってるなら認識が甘いぞ!だがその辺の不審者には効果的だろうからちゃんと持ち歩けよ!あと興味あっても無駄にスイッチ入れるな、あれ1回ごとにかなり電池使うから、肝心な時電池切れで使えなくなるぞ。

 

「そうなの?!え、じゃあ今まで・・・あー!何かちょっと他の男子が怖く思えてきたじゃんなんて事すんのサカキン!」

 

「言われなくても隠してようが隠してなかろうが皆ケダモノだと思ってるから問題ないわ。・・・私としてはスタンガンに造詣が深い榊君に色々疑問なのだけれど。」

 

 

俺は事実を述べただけですぅ。むしろ今までゆいにゃんが認識を間違ってたのが良くないと思いまーす。

 

ふ、実は昔電撃を浴びて動けないって初見でやられたら詰みだよな?生き残るためにも耐性つけておかないとって態とスタンガン腕に押し付けたりして訓練してたことがあってな(遠い目)

 

「貴方は一体何と戦おうとしてたのかしら。」

 

・・・ゾンビとか?

 

「ごめんなさい、わけが分からないわ」(困惑)

 

 

 

とかやってたらコンコン、とノックがされた。おや、随分行儀の良い依頼人がきたのかな?と思ったら平塚先生が邪魔するぞ、と入ってきた。

 

なんだ平塚先生か。どうしました?ゆいにゃんがさっき廊下を走り回ったことを叱りにでも来たんですか?

 

「それは私ではなく生徒指導の厚木先生の領域だな。今由比ヶ浜を追いかけていったからそのうちここに辿り着くだろ。そうじゃなくて、依頼人を連れて来たんだ。感謝しろ。」

 

顧問が依頼人連れてきたって普通に仕事しただけでは・・・?まぁいいやありがとうございます。して、肝心の依頼人は?あ、ゆいにゃん流石にちゃぶ台の下に隠れても見つかると思うよ?諦めて怒られて来たら?ヤダ?まぁ頑張って。

 

「由比ヶ浜・・・ちゃぶ台で無理なんだから榊の背中に隠れたって無理に決まってるだろう。素直に諦めろ。」

 

「いや、サカキン意外と背中広いから頑張れば・・・おおー!サカキン意外と体ガッチリしてる?何か思ったより首とか肩幅とか広く感じる!あっ、腕も触ってみるとけっこー太い!」

 

「分かる。意外と着痩せするよな榊って。」

 

「えっ?」

「えっ?」

 

何故そこで同意してしまうのですか平塚先生!あれだけ普段の事は内緒だって言ったでしょ!見られたらヤバイのは俺じゃなくて先生の方なのに。因みに俺の体はスタンドで常時周りの空間歪めて一回り小さく見せてるから、ホントに抱き着く位の近くに来ないと実際のサイズは分からないのだ。

 

まぁいい、とりあえず誤魔化すしかないな。

 

「それよか、依頼人はどうしたんですか?」

「ああ、そうだったな!戸塚、入ってくれ。」

 

「失礼します・・・」

「あ!さいちゃんだ!やっはろー!」

「あ、由比ヶ浜さん、やっはろー。」

 

平塚先生が扉の方に声をかけると、静かに扉が開いて、大人しそうな顔の生徒が入ってきた。どうやらゆいにゃんの知り合いらしい。随分と可愛らしい顔の子だ。ん?なんだアンサートーカー……だが男?おお、言われてみればそんなキャラいた気もする。

 

「戸塚 彩加さんね。どんな依頼かしら。」

 

と思ったらセツのんも知ってるらしい。相変わらず友達いないくせにクラス外の人間まできちんと覚えてるのは凄い。にしても小柄で線の細い子だが、髪の毛の色は灰色っぽい銀髪である。こんな子まで不良なのか(遠い目)

 

「こんにちわ、雪ノ下さん・・・だよね?ここでお願いごとを聞いてもらえるって聞いたんだけど、あってる?」

 

「少し違うわね。あなたの願い事を聞いて、其れを実現するための手助けをするのが私たちの仕事。だから、あなたの願い事がなんであれ、真に叶えるのは貴方自身、ということになるわ。」

 

これまで通りうちの部の説明をして依頼内容を聞くセツのん。

これ聞くと依頼が来たなぁと言う感じがするから不思議なもんだ。たぶん前世の記憶がどっかで引っかかってんだろうけどなぁ。リアルでこれ聞いたのまだ3回目だし。

 

とりあえず依頼の話はセツのんに丸投げして、俺は邪魔しないように聞き役に徹する。あ、飲み物とお茶菓子位は出しておこうか。俺たちの分だけ置いてあるのもなんだし。ゆーてピーチティーはゆいにゃんの分で無くなってしまった。なんか他に作り置きはあったかな・・・冷蔵庫には紅茶とかのお湯用の水しかないな。

 

うーん、空間倉庫になにか入れてたか?えーと・・・あー、ものが多過ぎて探すのめんどいな。1回くらい整理せんと。あ、ゆず茶があった。これにしようそうしよう。平塚先生もゆず茶で良いですか?それともホットコーヒーに・・・ん?皆さま、ゆず茶がなにか?

 

「サカキン、今・・・」

「榊、お前今何してた?」

「えっ?ええ!?今腕が消え・・・!?あれ、ある?!」

「榊君、あなたの奇行はいつもの事だけど話の邪魔はしないでと何度言ったら分かるのかしら?」

 

あ?あー。なんだ皆して真面目に話してるフリしてそうでもなかったのか。1人端っこの方で飲み物用意してる俺のこといちいち見てるなんて。真面目にやりなよもう。まぁいいや、こういう時はこうだな。

 

「ふっ・・・イリュージョン(`・ω・´)キリッ」

 

「もうサカキン奇術師になったら?」

 

だが断る。

 

とりあえず誤魔化すのにスタンド使って、手を触れずにシェイカー振ってゆず茶作ったりして平塚先生と依頼人を目でも喜ばせるというバーテンダーの鏡みたいなことをしながらも話は進む。

 

で、依頼内容を纏めてみると、どうやら戸塚君はテニス部なのだが、他の部員のやる気が無くて困っている。自分が強くなってみんなを引っ張って行けるようになりたい。強くなる方法を教えてください!って事らしい。いや最初は他の部員のやる気を何とかしたかったみたいだが、ダメなやつは自分で変わらないと絶対変わらないとかいうセツのんの実体験から来る力の篭もった説明で方針変更となった。つーかセツのんもぼっちストーリー結構持ってるよねウケるww

 

そしてこの中で唯一のテニス経験者のセツのんが明日からしばらくの間、昼休みに戸塚君にテニスの指導する事になったのだが、テニス部じゃない人間がテニスの指導??しかも何故か俺達も一緒に集まることとなった。いやなんでだよ。俺昼飯はゆっくり食べたい派なんだけど。依頼受けたのセツのんやん。雑用にしてもゆいにゃんいるし、俺必要なくない?

 

「駄目よ。私が依頼で頑張ってる時に貴方だけが1人ゆっくりご飯を食べてるとか想像するだけで腹が立つもの。部長命令よ。」

 

どちゃクソ暴君でわろたwま、部長命令と言われたら仕方がないな。一応俺も奉仕部の部員だし。仕方ない、しばらく昼飯は手軽に食べれる物を作るしかないな。

 

「話は纏まったようだな。では、私はそろそろ戻る。後はよろしく頼むぞお前たち。」

 

「ええ、任せてください。」

「はーい!がんばりまーす!」

 

おお、意外とゆいにゃんがやる気だ。初依頼だからだろうか。まぁ指導するのがセツのんで頑張るのは戸塚君である以上ゆいにゃんの仕事は応援くらいしかないのだが、まぁ楽しそうだしやる気もあるみたいだから突っ込みは入れずにおこう。

 

すると立ち去ろうとした平塚先生に戸塚君が慌てて立ち上がってお礼を言った。すると平塚先生は両手を白衣のポッケに入れたまま上半身だけ捻って戸塚をちら、と見てニヒルに笑って。

 

「なぁに。ま、頑張れよ戸塚。応援してる。」

 

そう言って白衣を翻して、こちらを見ないまま片手をヒラヒラ振って帰っていった。うわ本気でカッコイイなあの人。何あれハードボイルドじゃん。ヤバい。隣で思わずゆいにゃんも平塚先生って本当カッコイイなぁとか呟いてる。その気持ちは俺も非常によく分かる。だが、普段の色々だらしない姿も見ているとギャップで非常に残念な気持ちになるから不思議である。

 

とりあえず、そんなこんなで戸塚少年の修行パートが幕を開けた。

 

 

 

◻️◻️

 

 

翌日・昼休み。

 

昨日の約束通り、今日の昼休みから早速特訓なので、少しでも時間を無駄にしない為に皆、昼食は片手間に食べられるものを用意するか、早弁してしまうことになっている。

 

いつもなら自分の弁当とか面倒くさがって部室で炊き込みご飯とかセットした炊飯器とか用意しちゃうのだが、仕方ないので平塚先生の分作る時に自分の分も用意した。

 

とはいえ、俺のと違って平塚先生にはバランスよく、されど満足感のある物を作らないとならず、俺のようにおにぎりやサンドイッチだけという訳にはいかないので、別におかずとかデザートとかも用意してる為、少し手間が増えてダルい。

 

なお、俺がおにぎりとサンドイッチにした理由は、単に少し行儀が悪いが、やろうと思えば歩きながら食べられるからだ。なので今はもちろん食べながら歩いている。恥ずかしいとかはアレだ、そんなこと気にしてたらぼっちなんてやってられないので問題は無い。

 

とはいえ、昼休みに入ったばかりだと、皆基本的に購買や学食、もしくは教室などで食事をとるのが先で、それが終わらないと外に遊びになどこない。なのでテニスコートのあるグランドへ向かってるような輩はほとんど居ない。ごく稀に通りがかる人達は流石に食べながら歩いているこちらを見て変な顔をするが、わざわざ行儀の悪さを咎めるような真似をする者はいない。まぁ俺だってしないからそんなもんだと思う。

 

「サカキーン!」

 

と、そんなことを考えながら歩いてたら大きな声で呼ばれた。この絶妙にアホっぽい呼び方はゆいにゃんしか居ないので、後ろを振り向いたらこちらに小走りで向かってくるゆいにゃんと戸塚少年が。どうやら昨日結局体育教師にして生活指導の厚木先生に捕まって説教されたせいか、廊下で全力疾走はきちんと控えてるらしい。あらやだ可愛らしい。

 

「教室出るのが早いよ!同じクラスなんだから一緒に行けばいいじゃん!」

 

そんな事言われても。正直一緒に行く理由もないと思うんですがそれは。つーか戸塚少年のクラスが分からなくて先に着いてて待たせたらどうしようかと思ってたんだよ。まさか後ろから来るとは想定外だったが。そう言ったら2人が固まった。有り得ないものを見たような顔をしている。どうかしたのか?

 

「マジで言ってんのサカキン・・・うわマジだ。髪の毛邪魔で見えないけど何となく分かる。マジ顔のきょとんしてる。あたしや優美子の時も思ったけど、サカキン本当に同じ教室なの?さいちゃんもあたしも同じクラスなのに。 ・・・」

 

なんと。そうだったのか。済まなかったな戸塚少年。アレだよほら、まだこのクラスになって2ヶ月経って無いから上手く馴染めてないとかそんな感じだよたぶん!

 

「あ、あはは・・・僕1年の時も榊君と同じクラスだったんだけどなぁ。気付いても貰えなかったか。」

 

・・・ま、まぁそーゆー事もあるよね!

ほら俺基本的に人の名前とか覚えないからさ。なんなら未だにゆいにゃんと戸塚少年以外のクラスの顔と名前全然言えないレベル。・・・うん、ごめんね?

 

うん、戸塚少年にものすごい苦笑いされたぜ!まぁどう考えても俺が悪いから仕方がないね!

 

とりあえず、セツのんより遅く着くと怒られそうなので、3人でトコトコ歩く。俺は戸塚少年に許可貰ったので部室で体操服に着替える予定だが、2人はもう着替えが終わっていて、2人のやる気が見た目に現れている。うむうむ、やる気があるのはいい事だね!俺?俺はほら、まだご飯食べてるから。うん。

 

「いや、食べながら歩くとかどーなのサカキン・・・。」

 

学校帰りの買い食いだと思えばえーやろ。てか2人とも昼飯は?え、早弁?やる気あんなァ。

 

「そりゃ初依頼だからね!・・・でも目の前でサカキンにパクパク食べられるとちょっと食べたくなってきた。サカキン、何かないの?」

 

今食ってる最中の俺に聞くのかそれ。まぁあるけど。サンドイッチとおにぎりだったら何が食べたい?

 

「あはは、いやほらサカキンって頼めばなんでも出てくるイメージだから・・・って、あるの!?」

 

「あはは、流石にそれは無茶振りだよ由比ヶ浜さん・・・えっ、あるの?」

 

あるけど。ただし俺の手作りなのでそれで良ければだが。

 

そう言って残りのサンドイッチを口に放り込んで、両手を叩く。練…成ッッ!!とかテキトーな事言いながら、あたかも何も無い両手の中に突然現れたかのように、空間倉庫からサンドイッチとおにぎりの詰まった運動会用の重箱を取り出す。いやまぁ調子に乗って具材作りすぎて、うっかりパンと米の方増やしたら凄い量になっちゃったんだよね。2人が食べてくれるなら助かるわぁ。

 

「うわぁ、本当に榊君の手品どうなってるの?何も無いところからお重が出てきた!凄い凄い!」

 

「イリュージョンの達人ですから(`・ω・´)キリッ」

 

「分かったから早くちょうだい。おにぎりは中身なに?」

 

ゆいにゃんの反応が冷たくて切ない(´・ω・`)

まぁ結構見せてるから仕方ないんだけど。とりあえずおにぎりはエビマヨ、ツナマヨと半ナマ焼きたらこ、肉巻きかな。サンドイッチはたまごサンドとソースカツサンド、BLTサンドです。

好きなだけ食べて良いけど、これから運動だからその辺は自分で気を付けてね。

 

「おにぎり全部ガッツリ系だ!?・・・いやでもサカキンの料理美味しいからなぁ。じゃあ、これから運動だしこの肉巻きもらうねー!」

 

「僕もいいの?えっと、それなら運動前だしBLTサンドもらうね?」

 

おっと、性格が出たな。たぶん戸塚少年が普通だと思うんだが、ゆいにゃんのあれはなんだろう。要するに運動前だから力のつくもん食べようって事かな。これはセツのんの事がまだ分かってないな。後で地獄を見るだろう。作ったの俺だけど。

 

それはそうとして、お味は如何か?

 

「・・・うっわ、肉巻きめちゃくちゃおいしー!何コレやばい!もうサカキン料理人になれるよ!」

 

「BLTサンドもとっても美味しい・・・!これ榊君が自分で作ったの?本当に凄いね!」

 

 

そうだろうそうだろう(。・ω´・。)ドヤッ

まぁ俺氏チーターですからなフホホホ!

 

とかやってたらテニス部の部室に着いたのでサラッと着替えてテニスコートへ。すると先に行ってた2人にセツのんが合流していた。何だ、始めてても良かったのに。あ、訓練内容の説明してたのね。はいはいなるほど、これがメニューね。流石セツのん、ちゃんと紙にメニューを纏めてくるなんて優等生極まりないな。どれどれ・・・?

 

・・・なぁセツのん、ラケットを使った練習1個も入ってないというか、ほぼ筋トレばっかりなんだが。そしてこの回数の欄にある力尽きるまで、と言うのは?

 

ちょっと意味不明過ぎだったので聞いてみた。するとセツのんは自信満々に筋肉の超回復とかの説明をしてくれた。言ってることは間違ってないかもだが、死にかけるまでやったらパワーアップは発想が戦闘民族すぎるだろう・・・。

 

いやまぁ、基礎代謝も上げて運動に適した体を、というのは賛成だがどれもこれもひと月ふた月で結果が出るものではない。確かに今からやれば、後々絶対に戸塚少年の力になるが、そもそもこれは特殊な昼練であって戸塚少年は放課後も部活の練習があるんだが。

 

セツのんに容赦が無いのは知っているし、戸塚少年もゆいにゃんも地獄を見ることになるなーとは思っていたが、思った以上に容赦がない。というかこれいきなり全部やったら戸塚少年強くなる前に体壊すのでは?

 

「四の五の言わずにまずはやるのよ。大丈夫、人間の体多少の無理が聞くし、死にかければ何かと覚醒するし、それに本当に無理なラインを見極めるには必要な事よ。人間は命ギリギリの1歩先を乗り越え続けると早く強くなるのよ。」

 

「発想がバトル漫画の修行パートなんだが。」

 

これ修行パートは修行パートでもスポコン漫画の方なんですが。死にかけて覚醒とか、テニプリでも参考にしたの?あれ公式ではスポーツ漫画って言ってるけど詐欺だよ?

 

多少の抗議を入れてみたが、肝心要の戸塚少年と体脂肪が付きにくくなると聞いたゆいにゃんがやる気を見せている。これはもう止まらない。うーん、これは俺もフォローしないとダメな奴だな。しょうがない、ちゃんと用意しておこう。

 

とりあえず俺は脚力とスタミナ強化の為のランニングメニューにだけいくらか訂正を入れて、戸塚少年昼特訓に付き合うことにするのだった。

 

なお、あまり代わり映えしないので以下日記風ダイジェスト。

 

 

1日目

 

セツのんの無茶振りがエグい。

 

ダイエットにもなると聞いて、初依頼なのと二重の意味で気合い入ってたゆいにゃんが途中でくたばったのでそこからは俺と戸塚少年だけが運動してた。

 

戸塚少年は見た目にそぐわぬ体力とガッツで食い付いていたが、最後までは持たなかった。それでも部活で運動してるだけあってなかなかやる。多少回復が早くなるように呼吸法を教えておく。

 

なおセツのんは腕立て伏せをやる俺が斬新な土下座みたいだとご満悦だった。いや、セツのんもやれよ。

 

 

2日目

 

ゆいにゃんが筋肉痛で初めからくたばってたので2日目にしていきなり見学になった。

そりゃ普段運動なんか体育くらいしかしない普通のJKがいきなりあれだけ筋トレしたらそうなる。当たり前だ。

 

だがあまりにもキツそうなので、途中途中ストレッチを教えてやりながら、軽く波紋を流してやった。多少の鎮静効果の他に治癒力を向上させたりする効果があるので多少は楽になるだろう。本人はストレッチまじ気持ちいい!と勘違いしていたが、そのままにしておいた。

 

戸塚少年はやはり運動部だけあって筋肉痛はあるがゆいにゃんほどキツくないらしい。今日も隣で一緒に筋トレをする。教えた呼吸法を必死に練習してるようで感心した。なので、肺活量をあげるためにとにかく深く呼吸するように指導しておいた。ついでに薄らぼんやりと全集中の呼吸法も教えてみたりしておく。

 

途中戸塚少年の疲労回復の為に蜂蜜レモンを用意していたのだが、戸塚少年よりもゆいにゃんとセツのんがパクパク食べてた。明日はもうちょっと量を増やした方が良さそうだ。

 

 

3日目

 

ゆいにゃんは今日から特訓に復帰。

流石に若いだけあって回復が早いな、と感心していたら特訓よりもストレッチを強請られた。凄い体が軽くなって気持ちいいらしい。仕方ないのでやった。途中興味を示した戸塚少年にもやってあげたら、可愛く喜んでいた。いちいち女の子っぽい少年だなと思った。

 

3日目なので多少慣れてきたのか、戸塚少年も結構メニューをこなしている。ゆいにゃんも初日に比べたら頑張っていた。しかしこの日も最後まではやってるのは結局俺だけだ。というか最後まで終わるのがまず俺だけだ。あと、流石に力尽きるまでという回数はアホすぎるので、この2日間の動きをみて限界より少し上目に回数を設定しておいた。こちらは体力上昇具合によって随時回数変更予定だが、流石にしばらく先になると思う。

 

セツのんは相変わらず指示をしているだけである。ちょっとイラッとしたので、カロリーの高いものをいくらかおやつと称して食べさせたあと、そのカロリーを教えた。ランニングは一緒にするようになった。

 

 

5日目

 

戸塚少年がもう体重落ちたとか言い出したので、食事量を聞いてみた。小柄な見た目に違わぬ小食っぷりだった。これはまずい、体作りは運動と睡眠と食事の3つが大切だ。今度から疲労回復用の蜂蜜レモンの他に食事も差し入れしよう。

 

ゆいにゃんも体重が落ちたと喜んでいたが、逆に何故か肩がこったと不思議そうな顔をしてた。いやそりゃ、あれだけ揺れてたらなぁ。セツのんが少し悲しげな顔で自分の胸に触れていたのは見なかったことにしておく。

 

なんかもう2人に波紋ストレッチを付けるのが日課になってきたなーと思ってたらセツのんにも要求された。しかし触られたくないので触らずにやれとか言われたので容赦なく全く体に触れずに体を伸ばしてやった。何故か痛気持ちいい!と困惑していたが多分満足してたと思う。

 

最近蜂蜜レモンもの消費が良すぎて在庫が急速に減っている。そこそこ一緒に運動してるゆいにゃんはまだ良いとしてもランニングオンリーのセツのんは食いすぎではなかろうか。しかし俺の蜂蜜レモンは調理がシンプルな為、原材料にこだわり抜いた特別品である。その違いに気付いて美味しいと喜んでくれるのは俺も満更でもない、何も言わぬ事にした。

 

 

7日目

 

ようやくラケットを使った素振りがメニューに加わった。ここからは流石経験者、セツのんの指導は素人が聞いていてもなんか凄い。多分戸塚少年はテニスが強くなると思う。いや、なんなかったら問題なんだけどね。

 

ようやくゆいにゃんが自分も戸塚少年と同じ練習をやる必要が無いことに気付いた。そりゃ君テニス部じゃないしね。しかし、せっかく体重が減ったのと、セツのんにどう鍛えるとどうプロポーションが変化するのか教わったせいか、ランニングと一部の筋トレは指導期間中はやるらしい。まぁ、運動することはいい事だ。しかし、時間が余ったからってストレッチをより長く付き合わせようとするのはやめて欲しい。俺は俺でメニューあるんだよね。あと君ストレッチ中はボディタッチ多いから反省してね。

 

セツのんは何か未だに自分のトレーニングメニューをクリアするのが俺だけなことに納得がいかないらしい。俺の腕立て伏せ中に背中に座ったり、ランニング中に俺だけタイヤ引かせたりとしてきたが、俺の普段の鍛錬量に比べたら遊びの範疇である。余裕でクリアしたあとm9(^Д^)プギャーっしたら叩かれた。

 

おにぎりとサンドイッチの差し入れは大好評で大変結構なのだが、戸塚少年よりもセツのんとゆいにゃんの方が食べてるのは何故だ。

 

10日目

 

戸塚少年のスタミナが目に見えて増えて来た気がする。効果が出るには成長期を考慮しても早すぎるので、メニューに慣れただけだと思う。しかし指導が終わっても続けばかなり効果が出るだろう。そもそもセツのんの無茶振りをある程度こなしてるのは本当に凄いガッツだと感心する。

 

 

最近ではセツのんどころかゆいにゃんも腕立て伏せの時上に乗るようになった。いやあの、2人とも乗るのは構わないんだけど筋肉すごーいとか言って筋トレ中に体触るのは止めて。セクハラで訴えるぞ。セツのんも意外と鍛えてるのね、と感心した声だしても上に乗ったままあちこち触ったのは許さん。

 

 

いつもいつもセツのんとゆいにゃんが戸塚少年よりも食べてしまうので、最近は更に多めに差し入れを作っているのだが、結局戸塚少年よりも2人の方が食べている。いや、美味しそうに食べてくれるのは嬉しいんだけどね?

 

今日もメニューを完遂したのは俺だけだ。メインの戸塚少年に合ってないとか誰の為のメニューなんだ。このメニュー考えたやつアホなんじゃないか?

 

 

 

14日目

 

セツのんとゆいにゃんが鬼気迫る顔でランニングしている。

 

そりゃ最近はゆいにゃんも飽きてきたのか運動量がかなり減っている。セツのんに至っては最初の頃と同じくランニングすらしていない。2人揃って俺のストレッチを受けてただけだ。それであれだけの量食ってたらそりゃ太りもするだろう。

何でと言われても、俺の料理は低カロリー高タンパクって言うと聞こえは良いが、タンパク質は大量に摂っても使われないと脂肪に変わるのだ。申し訳程度にしか筋トレしない自称意識高い系が、調子こいてプロテイン飲んで激太りしてることを知らんのか。知らなかったらしい。死にそうな顔で走り続ける2人に自業自得なので頑張れ、とだけ言っておく。

 

なお、ひっそり戸塚少年が初めてメニューを完遂した。もちろん彼用に量を調整されたものだが、それでもすごい。お祝いに部活後、平塚先生に教わった美味しいラーメン屋に連れていった。とても喜んでくれた。しかし着いてきたセツのんとゆいにゃんはアホだと思う。え?どうせ運動するから今食べたって同じ?いやそれは明日からちゃんとする奴の理論で、失敗したらただのデブ理論だぞ。

 

なお、俺のランニングメニューをいつの間にかタイヤからコンダラに変えた奴誰だ。流石の俺もキツかったぞ。やったけど。

 

 

17日目。

 

平塚先生が拗ねた。子供か。

確かにここ最近は戸塚少年の依頼に使う差し入れ料理のバランスやら分量やらを計算してかつ味も美味しく飽きないようにと色々工夫してたので、家での時間をその勉強に当てていた。当然平塚先生と夕飯は毎日一緒に取っているが、対応はややおざなりだった事は間違いない。だが、学校でも家でも俺の反応に構わずスハスハは毎日してる。なのに拗ねた。私にも構え!と子供のように騒ぐので、仕方なく平塚先生が授業の入ってないらしい四限一コマ丸々サボって平塚先生と一緒にいた。なんか妙に甘えて来るので何がしたいのかと思ったら、上書き、としか教えてくれなかった。オレはUSBメモリじゃないんだが。

 

そんなことがあって気が付いたら昼休み始まってた。携帯を見ると鬼電と鬼メールの跡がある。慌ててテニスコートに走った。

 

ようやく着いたテニスコートでは、何故かギャラリーが盛りだくさんだった。何事?戸塚少年のファンでも集まったの?って思ったら何か試合してた。いや何でだし。

 

話を聞くと、よく分からんがテニスの練習してる所を見てあーしさん達トップカースト組がテニスさせろ!ってやって来て、しかしセツのんはいや昼休みのテニスコートの使用許可めちゃくちゃ苦労してとったの戸塚少年だし、ぶっちゃけ練習の邪魔だから帰れ!と普通に正論で追い返そうと試みた。

 

しかしそこであーしさんが我儘を言い、隣のキラキラが俺たちの方が上手けりゃ俺たちが代わりに教えるぜ!それを判別するために試合だ!とか言い出して、それがよく分からん周りの取り巻きの一方的多数決で可決し、試合となったらしい。説明にはなかったが、この人数の同調圧力程度にセツのんが首を縦に振るはずがないので、たぶん負けるのが怖いの?とか言われて喧嘩買ったんじゃないかなと思ってる。

 

そして気が付いたら試合があること、参加者がキラキラであることが拡散されこのギャラリーになったらしい。なんだコイツら暇人か。

 

しかも試合は戸塚少年に教えるのにどっちが上手いか、という話なせいで戸塚少年は試合に参加していない。何で部員が蚊帳の外なのか真剣に理解苦しむ。更に向こうは文武両道を地で行くキラキラと中学時代はテニス部で全中行ったあーしさんのペアなのに、こちらはゆいにゃん(テニス未経験)とセツのんの女子ペアである。そりゃ勝てない。

 

オマケにゆいにゃんはお蝶夫人と化したあーしさんに場外プレイでそっちに付くって事はあーしに喧嘩売るって事だよな?とか精神的プレッシャーをかけられた上で、顔面ギリギリを狙うラフプレーを受け、次は当てるぞ?と脅されて、腰を抜かしてしまったらしい。なんだあーしさん鬼かなんかなの?こないだの良い奴評価返してくれます?

 

だがしかし流石セツのん。ほぼ置物と化したゆいにゃんという新たなハンデにも負けず、途中までは一進一退の点差にしてたらしい。しかしここで悲劇が。なんと彼女、才能の塊過ぎて今まで長期間トレーニングした経験がなく、体力の無さが私の唯一の弱点!とか言い出すくらいにはスタミナがない。よって一瞬で逆転され、今大絶ピンチ!という状況で俺登場、という感じみたいだ。なるほど。

 

 

◻️◻️

 

 

「バカなの?」

 

「うぐっ。ま、まぁ多少は私にも落ち度があったことは認めましょう。だけど、あのままだと好き勝手されて練習にならなかったわ。」

 

いやそんな話してんじゃねーし。何で戸塚少年の事が関わる話で戸塚少年を蚊帳の外にした喧嘩を、依頼を受けただけの部外者のお前が受けてんのって聞いてんだ俺は。

 

「サカキン、そんな言い方しなくてもいいじゃん!ゆきのんだって頑張ってくれたんだよ!?」

 

アホか、頑張るべきところが違うだろ。そもそもこんなことやってる時点で特訓の妨げになってるだろうが。やるべき事は試合で勝って黙らせることじゃなくて何としてでも追い返して、特訓の邪魔させない事じゃねーのか?

 

「それは・・・そうだけど。」

 

お前らがその時どんな状況で、どんな事言われてこの結果になったか知らねーし、遅れた俺も悪いからあんま言いたくないけど、お前ら誰のどんな依頼でこの時間にここに居るのかホントに分かってる?

 

「おーい、内輪揉めは良いけど、続きはー?あーしら待ってんだけど?」

 

うるせーな、こっちで話してんの分かんねーか。つーかお前らテニスがやりたかっただけなんだろ?ならもう気が済んだろ?帰れ。どこでどんな風にお前らが楽しもうが勝手だが、真面目にやってる人間の邪魔すんな。

 

「はぁ?なんでモサ男にそこまで言われなきゃいけねーんだし。お前こそいきなり来て邪魔すんなよ。」

 

「優美子の言う通りだ。どんな理由があれ、試合を受けたのはそっちも同じだし、試合に負けそうだからって今更文句言われても困る。・・・まぁ、確かにそっちに不利な状況だったし、今からやり直すか?君と雪ノ下さんでやれば、もう少し勝負にもなるだろう。」

 

その言葉を皮切りに、周りのギャラリーからも文句の声が上がる。良いから続きしろ、早く負けろ、グダグダ言うなだのなんだのと、まぁやかましい事この上ない。

 

ふと周りを見渡す。どいつもこいつも無駄に熱狂的で、数が多いからかこちらに遠慮のない罵声も飛んでくる。当然だがスポーツマンシップもクソもない。だが、ある意味ではこうして弱いものを集団で叩くのも青春の一幕なのかもしれない。

 

向こうからしたら勝ちの決まった勝負で、勝った方が偉いのだ。勝つ側に付けば何してもいいと思っても仕方がない。そんなものは別にこいつらに限った話でもない。負ける側に無理矢理付かされた人間の気持ちなど考えるはずもないのだ。

 

「・・・・その、ごめんサカキン。」

 

・・・いい。色々言ったが、アイツらがあっちに居て、由比ヶ浜がこっちに居るだけ大したものだ。それに、文句言ってももう遅いしな。やれやれ、仕方ないな。おい、戸塚!

 

「えっ、な、なに?」

 

「お前はどうしたい?このまま俺たちと特訓するか、アイツらも一緒にやるか。好きな方を選べ。あぁ、この状況は考慮しなくていい。本当にお前のしたいことを言え。」

 

「・・・本当に好きな方言ってもいいの?」

 

「構わん。これだけの騒ぎ起こした詫びに、何であろうと俺が叶えてやる。」

 

「じゃあ・・・勝って貴一!僕は君たちとがいい!」

 

「任せろ。」

 

さて、戸塚の許可も降りた事だしやりますか。おい由比ヶ浜、ラケット寄越せ。俺が出る。雪ノ下、ルールと勝つのに必要な点数は?

 

「・・・やるの?今更言うのもなんだけど、ほぼ勝ち目ないわよ?」

 

まだ負けてないんだろ?なら問題ない。良いから教えろ。はよ終わらせる。

 

「・・・由比ヶ浜さんがいたから、細かいテニスのルールは使ってないわ。コート内に入れて、相手が取れなければ1点。10点先取した方が勝ちよ。」

 

分かった。じゃあお前は後ろに下がって突っ立ってろ。動かなくて良いが、始めた責任で最後までいてもらう。

 

「馬鹿にしないで。まだ動けるわ。」

 

必要ない。そのガックガクの足で無理して怪我でもされたら面倒だ。後ろに下がれ。

 

「それは流石に相手を舐め過ぎ「雪ノ下、俺は必要ないって言ったんだ。下がれ」・・・分かった。任せるわよ?」

 

「・・・よく分からないけど、やるんだね?じゃあ、最初からやり直「要らん。やり直す時間が勿体ない。」正気か?こっちはあと1点だぞ?」

 

だからなんだ?なんだお前ら、勝つ気でいるのか?なんとまぁ、それなら俺が出る前に勝負つけときゃ良かったのに。

 

「・・・いきなり出てきて随分調子に乗ってんな、モサ男。後悔すんなよ?」

 

「まぁ、君が良いなら良いけどね。後で文句は言わないでくれよ?」

 

くどい。既にかなり時間を無駄にした。とっとと始めろ。

 

 

「ふん。どーせこの一球で終わりだし。せいっ!」

 

口調は軽かったが、その時三浦には油断などなく、あと一点という事もあって容赦なく、素人が反応出来ない速度で、榊からもっとも遠く、もっとも取りにくいラインギリギリを、テニス部員の戸塚でさえ自分なら取れないと思ってしまうほど見事なコントロールで撃ち抜いた。

 

なのに。

 

なのに、三浦が打った瞬間には榊は既にボールの着弾地点に立っていた。そして、右手を引いて左足を前に、腰をやや落として全身に力を込めー

 

 

 

「波動球。」

 

 

 

ガシャァンッッ!!

 

「・・・えっ?」

 

音が聞こえた時には、葉山の腕からラケットは無くなっていて。

コート内に1度落ちた球は、跳ねてその勢いで後ろの金網を突き破ってさらに向こうの方へ飛んで行った。

 

見ると、運良く球が自分の頭の上を通り過ぎたらしい男子生徒が、尻もちをついて呆然としていた。

 

否。

 

誰もが呆然としていた。

 

・・・彼らは、今の今までこれっぽっちも疑ってなかった。自分たちは勝つ側なのだと。負けるのは向こうだと、信じて疑ってなかった。

 

当たり前である。

 

現実には本来チートなんて存在しないし、あそこまで有利な状況では普通点差が覆ることはない。彼らでなくてもそう考えてなんらおかしいところは無いだろう。

 

 

だから、気付かなかった。

 

勝ちたければ絶対に敵に回していけない男が、

 

普通なら有り得ないものを持った男(大人気ないチート持ち)が、敵に回った事にーーー!

 

 

 

「悪いな。」

 

声が響いた。

いつの間にか野次は止んでいて、誰もが言葉を発せなかった。

故にその声はよく通った。

 

「恥ずかしながら、体育の授業は苦手でね。サボってばかりなんだ。」

 

だから・・・

 

「テニスはおろか、ラケットを持つのも初めてだ。」

 

ーーー力加減を間違えてしまっても、文句は言わないでくれよ?

 

 

 

◻️◻️

 

 

とゆーわけで勝ちました。

 

 

あのあと結局俺に必要な点数は5点だったんだが、波動球に誰も反応出来ないのでもはやワンサイドゲームより酷い何かだ。そして3点目を入れた段階でギャラリーに被弾者が出て、そいつが気絶した。そして当然色々ブーイングが出たが、フェンスが脆いのが悪いので俺のせいではない。なのでこう言っておいた。

 

「見学は自由にしてもらって構わないが、こちらは真剣にやっているので流れ弾には自分で気をつけてくれ。怪我?お前達が居るのはフェンスの向こうだろ?文句があるならフェンスの中に入ってからにしてくれ。」

 

まぁ入ったらフェンスで減衰しない球が当たるかもしれんが。まぁこっちは見学してくれと頼んだ覚えもないし、勝手に入って来たんだから何が起きても自己責任だよね?

 

そう言ったら4点目がフェンスを貫通した段階でギャラリーは全員逃げた。それはもう全員蜘蛛の子散らすかのようにダッシュで逃げた。

 

残ったのは試合中のキラキラとあーしさんの2人だけだった。この時点でもう勝ちみたいもんだったが、そこでゆいにゃんにボール当てる振りしてプレッシャーかけたりされた事を思い出した。

 

なので俺はにっこり笑って、努めて優しい声でこういった。

 

「そういやあーしさん、由比ヶ浜の顔にボール当てようとしたんだっけ?」

 

「し、ししししてないしてない!ギリギリを狙っただけで、あんなんテニスの試合じゃ誰でもッッ!!」

 

ふーん。

まぁとりあえず最後の一球だから当たらないように頑張ってね?

 

そう言ったらキラキラもあーしさんもコートの外に逃げたので、普通にぽんと玉を入れて試合終了。俺達の勝ちである。

 

青春ごっこに酔ってたアホ共がひょっとしたら教師に文句言いに行ったかも知れないが、先程の会話は全て録音済みだし、いざとなったら一人一人丁寧に黙らせればいい。これにて一件落着である。

 

「はい終わり。さ、もう昼休みも終わりだ。戻るぞお前ら。」

 

そう言って使ってたボールを集め、まだ呆然としてるキラキラペアやセツのんからラケットを回収して、どこかぼーっと見てた戸塚に纏めて渡す。

 

すまんな戸塚、1回分特訓の時間無駄にさせた。

 

「・・・ううん。そんなことどうでも良くなるくらい凄いもの見させてもらったよ。ありがとね、貴一。勝ってくれて。」

 

詫びと言っただろう?礼は要らんよ。身内が招いた不始末だしな。それよかはよ着替えてこいて。午後の授業に遅れるぞ?お前らも!はよ着替えて戻るぞ!いつまでボケっとしてんだ!

 

そう言うとようやく意識を取り戻したのか、慌てて全員が動き出した。遅れてきた俺や、単に遊びに来ただけのキラキラは制服姿のままなので問題ないが、無駄に気合いの入ってた女性陣は全員体操服に着替えている上、激しい運動の後で汗まみれだ。このまま授業を受けるのは汗でベチャベチャで気持ち悪いだろうしな。

 

とりあえず服を着替えに言った女性陣と、道具を置きに部室に行った戸塚を見送って、汗を浮かべたままのキラキラにタオルを投げる。ほれ。

 

「っと!・・・タオル?ああ、そうか。ありがとう。」

 

洗って返せよ。つーか自分の女と取り巻きの手綱くらいちゃんと握れ。出来ないなら出来ないで構わんが、せめて人の邪魔にならんところで騒げ。

 

「・・・そうだな。次は気を付ける。済まなかった。」

 

「謝る相手が違う。後で戸塚に謝っておくんだな。」

 

そう言って歩き出す。ちょうど戸塚と女性陣も戻ってきたので、合流してみんなで教室に戻る。

 

「・・・あんなこと、出来るのね。」

 

あ?まぁ俺チーターだしな。ゆーて波紋の呼吸と全集中の呼吸を合わせてついでにスタンドの腕を重ねて強化した身体能力のゴリ押しだが。要は単に強くボールを打っただけ、という事になるが、テニプリの本家波動球も似たようなものなので波動球と言っても問題はなかろう。

 

それよか、分かってるよな、雪ノ下。

 

「・・・ええ。もちろんよ。」

 

そうか。

 

ならいい。次はするなよセツのん。

 

「あ、あの、サカキン・・・あたし、」

 

いーよもう。さっきも言ったが、ゆいにゃんはまぁ結構頑張ったみたいだしな。でも、今回の事で分かったとは思うが、セツのんは完璧に見えて案外そーでもない。次セツのんが間違えた時、近くに俺が居なきゃゆいにゃんが今度はちゃんとやるんだぞ。君も奉仕部の一員なんだから。

 

「うん。・・・次はちゃんとやるね。」

 

おう。頑張れ。

そう言ってしょげてるゆいにゃんの頭を撫でて、ゆいにゃんの好きな波長で波紋を流す。すると若干頭を手のひらに押し付けてきた。ワンコみたいで可愛ええ。

 

ふと違和感を感じて残った腕を見ると、セツのんがちょこんと袖を摘んでいた。よく分からんかったのでセツのんを見ると、なにか言いたそうにこちらを見ているセツのん。だが何も言わないので結局よく分からない。まぁ好きにさせとこう。俺はゆいにゃんの頭を撫でるので忙しい。

 

と、思ったらまた袖を引かれた。今度は先程よりも少し強く。なのでもう一度セツのんを見る。しかしやはり何も言わない。ただ、さっきよりも何かを伝えたそうな顔をしている。何が言いたいのだろうか。

 

よく分からん。と、思ったが、よくよく見るとセツのんの視線が俺を見てないことに気付いた。視線を追うと、ゆいにゃんの頭に辿り着く。正確にはゆいにゃんを撫でている俺の手に視線が向いている。ふむ?

 

ゆいにゃんを撫でていた手を止めて、持ち上げてみる。セツのんの視線が上に動く。ふむふむ?また下ろして撫でる。視線が下に動く。ほうほう?

 

何度か繰り返して確信を得たところで、ゆいにゃんが両手で俺の手を掴んだ。流石に鬱陶しかったか?と謝罪しようかと思ったら、俺の手を自分の頭に乗せて、グリグリと動かし始めた。どうやらもっと撫でろと言うことらしい。なんだコイツやば可愛いな!?

 

なのでなでなでを再開したのだが、ゆいにゃんは俺の手を離す気配がない。うーむホッコリする可愛さである。と、そこで再びセツのんが袖を引く。何となくして欲しい事は分かったのでこちらも頭を撫でてみる。すると目を細めて頭を手のひらに擦り付けてきた。いつもならセクハラだなんだと罵倒されてもおかしくない行為だが、今日はいいらしい。なんだコイツも可愛ええな!

 

そんなことしてたらキラキラが驚いた顔をした。なんぞ?あ、羨ましいの?残念だったな!代わってやらんぞ!諦めてあーしさんでも撫でておくが良い。

 

「え、いや。そうじゃなくて・・・雪ノ下さんがそんな顔してるの初めて見たな、と思ってさ。」

 

違うのか。負けて落ち込んでたあーしさんが一瞬で元気になってまた落ち込んだけどしないのか。そうか。なんか期待させてごめんねあーしさん。

 

てかセツのん?元々セツのん表情結構豊かでね?他人を蔑む様な冷たい表情してる時が1番多いだけで。まぁゆーて今みたいに顎下撫でられた猫みたいな顔は俺も初めて見るけど。

 

「そうか。・・・そうなんだな。」

 

なんか納得してる。ならいいか(興味無し)セツのんも今の話に少しだけ眼を開いたが、すぐまた細めしまったので会話を広げるつもりは無いらしい。それで会話が終わってしまったので、そこからしばらくは無言だった。時折羨ましそうな顔であーしさんが頭を撫でられてる2人を見るが、隣のキラキラはそもあーしさんを見てもいない。とりあえずm9(^Д^)プギャーしておく。すぐ顔が真っ赤になったが隣にキラキラが居るので攻撃は出来ないらしい。よってプルプルしてる。ざまぁwwww

あと実は戸塚少年も撫でられてる2人を羨ましそうに見ていたが、ごめん俺はホモじゃないから。性別変えて来て、どうぞ。

 

とかなんとかやってたら教室は目の前だ。予鈴はもう鳴っているので、下手したら次の授業の教師が来ているかもしれない。そう考えると少し・・・いや結構ダルい。

 

・・・つーか自分で教室戻るぞとか言っておいてなんだが、シリアスし過ぎて授業とか受ける気飛んでったな。無茶苦茶ダルい。というかよく考えたら昼飯食ってねぇや俺。よし、サボろう。

 

そうと決まれば話は早い。2人を撫でてた手を離すと、皆に授業ふぁいとー!と適当な応援して踵を返す。

 

「え、教室戻らないの貴一?」

 

「唐突に授業に出たら死ぬ病気にかかったので自主休講です。あと昼飯まだだった。」

 

そう言ったらええ、と引いた様子の戸塚少年。だが彼は真面目なので分かった、またね!と手を振って教室向かった。同じクラスらしいキラキラも苦笑いして続く。あーしさんだけは残ってこちらに何か言いたげだが、俺に言いたい事は特にないのでいいや。

 

それで部室に向かおうとしたらセツのんとゆいにゃんも何故か着いてきた。いやお前ら授業は?

 

「先程の試合で体調不良なので自主休講よ。」

「あたしもあたしも!てかさ、それよりも今日のおにぎりの中身何?」

 

ああそう。別に何でもいいけど。・・・え、食うの?

思わずそう聞いたら怒られた。何でも俺が昼飯持ってこないから空きっ腹で練習したり試合したりで大変だったらしい。いや自分の弁当食えば?・・・え、最近は持ってきてない?!何で?俺のと自分のどっちも食べたら太ったから!?何故そこで俺の差し入れ食べる方を選んじゃうの?

 

「だってサカキンのご飯お母さんのお弁当よりも美味しいし。」

 

「母親に謝れ。そしてたまには自分で作れ。」

 

「そんな事よりお腹が空いたわ。早く行きましょう。全く、お昼ご飯が来ないから力が入らなくて試合に負けそうになるし、散々な目に遭ったわ。」

 

セツのんがまさかのスタミナ不足を俺のせいにしてきた。つーかお前らアレ、少食な戸塚少年の為の差し入れなんだけど。いやお前らの分も考慮して多く作る俺も俺だが。

 

「・・・・・・。」

 

そして何故あーしさんはまだ着いてきてるの?授業行きなよ。キラキラは戻ったでしょ。

 

「うっさい。そんなの、あーしの勝手だし。つーかあーしはあーしなんて名前じゃねぇし。」

 

ほーん。まぁ好きにしたら?じゃ、俺らこれから部室で昼飯なんで。そう言って置いてこうとしたら制服が引っ張られた。見ると不満げな顔のあーしさん。なにか?

 

「三浦さん、悪いけれどここからは部員「セツのん、いいよ。」でも・・・」

 

大丈夫大丈夫。ゆいにゃんもそんな心配そうな顔すんな。悪いけど先部室行っててくれる?すぐ行くから。そう言って2人を先に行かせる。で、なに?

 

「なんでそんな言い方だし。・・・まだ怒ってんの?」

 

怒ってないよ。呆れてるだけ。言いたい事は色々あったけど、それもなんか言う気も失せた。だから俺から言うことはなんも無い。そっちにも無いならもう行くけど?

 

「ちょ、待てって!・・・その、ごめん。」

「君もあいつも、謝る相手が違う。」

 

そう言って今度こそ行こうとしたら、やはり背中が引っ張られる。だから何だって。要件があるならはよ言え。

 

「優美子。」

 

・・・あ?

 

「だから!あーしの名前!!三浦 優美子!あーしさんじゃねーっての!!」

 

ああ、そーなんだ。どうもどうも、榊 貴一です。え、知ってる?ならいいや。で、要件はそれだけですか三浦さん。仲間が待ってるんですけど。

 

「優美子だっつってんの。・・・ユイはともかく、隼人もアンタも、他の連中も・・・何で皆、あの女ばかり。」

 

やだよ下の名前で呼ぶなんて恥ずかしい。

キラキラや他の男どもの事など誰一人として友達のいない俺が知るか。つーかなんだ?そんな理由でセツのんに喧嘩売ったのか?どーりで、三浦さん見た目と違って思慮深いのに、あんな事したら誰に迷惑掛かるかも分かんないヤツだったかなーとは思ってた。

 

「見た目と違っては余計だし・・・悪い事したとは思ってるし。」

 

ならちゃんと戸塚に謝っとけよ。君がどんな理由でセツのんに嫉妬しようが君の勝手だが、それならセツのんと2人だけか、せいぜい原因のキラキラいれた3人でやりなさい。今を変えようと必死に努力してる戸塚の様なヤツを巻き込むんじゃない。

 

「分かったってば、もう・・・。」

 

はぁ、やれやれだぜ。である。まぁ随分しょんぼりしてるし、この分なら次は多分大丈夫だろう。何だかんだ彼女は思慮深いヤンキーので、悪い事したと認めたならちゃんと反省する子なのだ。たぶん。

 

とりあえずしょんぼり下がったままの頭を撫でてみる。ついでに彼女の好む波紋強度をアンサートーカーで調べて流し込む。キラキラじゃなくて悪いが、さっきはして欲しそうにしてたからな。

 

「・・・ふん。今日は特別に、隼人じゃなくても我慢してやるし。」

 

ハイハイ。早くキラキラと仲良くなって、ちゃんとキラキラに撫でてもらえる様に頑張れよ。つーかもうチャイム鳴ったな。これは確実に先生来てるぞ。早く戻れ。俺ももう行くから。

 

「・・・あーしもお腹空いた。」

 

「ふーん。帰りにキラキラ誘ってラーメンでも行けば?」

 

ガスっ、痛!何故殴るか。俺は遠回りに応援してるのに!

 

「うっさい!あーしは、今!お腹空いたの!!」

 

ハイハイ分かった分かった。要するに着いてくるのね。全く、素直に一緒に食べたいって言えばいいのに。ビッチみたいな見た目でホントに奥ゆかしい子ねぇ。

 

「だからあーしはビッチじゃないって何度言ったら・・・!だって毎日毎日ユイとあの女ばっかり・・・ズルじゃん。」

 

何が?・・・ああ、飯の話?いやあれ、別にゆいにゃんやセツのんの為に作り始めたモンじゃないんだこれが。いつの間にかあいつらの方が沢山食べるようになっただけで。

 

「何でもいーけど、手、止めんなし。」

 

えぇ?歩きながら頭撫でるのって地味にやりにくいんだぞ?そういうのはキラキラに頼んでくれよ。・・・ああハイハイ、分かった分かった、やりますよってば。

 

なお、そのまま部室まで頭撫でながら行ったらセツのんとゆいにゃんに怒られた。それはもうめっちゃ怒られた。けど俺は多分悪くないと思った。

 

 

続く。

 

 




セツのんは黒猫枠、ゆいにゃんは小さいワンコ枠、あーしさんは野良犬のボス枠。そしてオリ主のゴッドハンドは動物特攻持ち。
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