※この作品はR-18です。

目の腐った主人公が居ないんですけど。   作:銀座

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前回より随分短め。
基本的には1話これくらいで行きたいけどその辺はノリ。

感想欄で言われた機能を試して見てるが、全部直すかはやる気次第。

この話からエロがちょいちょい入って行くのが常態化していくのでお気を付け下さい。

追記
何時も誤字報告してくださる皆さんありがとうございます。非常に助かっております。


9話

どうも貴一です。転生者だったりします。

なんだかんだ言いますが、ジムよりザクの方が好きです。

 

 

翌日早朝。

 

「オムレツには、お好みでこのメチャ辛明太マヨをかけて下さい」

 

「分かった。……相変わらず、朝から結構重いの出してくるなぁ」

 

現代人は本来朝こそ1番ご飯を食べるべきだと俺は思ってます。寝起きで胃の中は空だし、朝と夜ではこれから仕事の朝とともう寝るだけの夜では必要になるエネルギー量が違い過ぎる。世の女子はダイエット、などと抜かして朝を抜いて夜食べる、とか意味不明なことをしていますが、逆にした方が絶対痩せます。なので俺は3食しっかり食べさせます。

 

「今までの説明は一体なんだったんだ…?まぁ、なんだかんだ美味しくて全部食べてしまうんだが、朝から夜までこの量を食べてて太らないのが自分でも不思議だよ、全く」

 

そりゃあ平塚先生の体調改善の為に俺の手が直接入ってますから。アンサートーカーで朝昼晩の基礎カロリー消費の違いや日々の気温や時間による基礎代謝能力の差異、月経によるホルモンバランスの乱れ及びそれによる体調の変化や必要な成分の変化、及び現在の体調に合わせた過不足ないエネルギー量と、その効率の良い吸収に必要となる適切な調理。

 

より正確な動作にはスタンドを使って精密かつ完璧な速度で食材の加工と調理を行い、最後に必要な睡眠時間と質を確保する為の精神的リラクゼーションを促す波紋法による全身マッサージ……で、ついでに全身の血行を良くして基礎代謝も若干強化している。つまりまぁ控えめに言って最新機器と専門の整体師及び医師による全身のケアを受けているトップアスリート並のサポートをしている。

 

平塚先生が一般教師であることを考慮すると、過剰を通り越して異常なほどに力込めて平塚先生の体を管理してるので、やり方は違うとはいえ似たようなサポートを受けているトップアスリートが知ったらマジ顔で「え、必要??」って言うこと間違いなしだ。まぁトップアスリート何ぞより平塚先生の方が大事なので残当である。なお、甘やかし過ぎてる自覚はある。反省も後悔もしていないが。

 

まぁこんなこと全部説明しても意味は無い。下手したらガチ過ぎてドン引く。ので、平塚先生には端的に愛の力です、とだけ伝えておく。

 

「そ、そうか。……そうなのか。ふへへ」

 

何今更喜んでるんですか?もうひと月以上受けてるのに。まぁ良いですけど、そろそろゆっくりしてる時間なくなりますよ。早いとこ教師モード入って下さい。

 

「ん、そうだな。昨日は火照ってなかなか寝付けなかったし、寝汗も酷いから念入りにシャワー浴びないと。勿体ないけど手早く食べてしまうとする」

 

まぁ未だに寝巻きですしね。……ふふふ、平塚先生の熱が凄すぎてエアコン入れましたからねぇ。俺もシャワー浴びないと。

 

「……誰のせいだと思ってるんだ、馬鹿者」

「はて。勘違いして勝手に暴走し、11歳も歳下の教え子に無理矢理手を出そうとした平塚先生のせいじゃないですかね?」

「うぐっ」

 

まぁ会話でも分かるように、昨日は一緒に寝た。というかこれから2週間後までは平塚先生と俺はほぼ完全な同棲生活には入る。最初はあえて1人で部屋に帰して、オナニーを誘発させて精神的にも虐めようかと思ったが、平塚先生の性質的に目の前に俺がいる方が、手を出せる距離なのに手を出せないという感じでずっと苦しいらしいので、そっちを採用することにしたのだ。もちろん昨日はあれから一切触ってない。

 

なお、平塚先生の日課である俺への抱きつきからのクンカクンカプラス波紋式なでなでは今までどおり好きな様にしていいので、あの後シャワーを浴びて汚れを落とした平塚先生は、いつも通り俺にしがみついていたが、ずっと内腿をモジモジと擦り合わせながら、荒い息を何度も吐いて、ひたすら何かに耐えるように目をギュッと閉じていた。たまに酷く潤んだ瞳で上目遣いしてくるものだから、俺の方も耐えるのに結構必死だった事を報告しておこう。

 

さて、朝食を終えたら俺は食器の片付け、平塚先生は朝シャワータイムだ。これは俺が平塚先生の分の家事を担当している、という事の他に、教師と生徒の出勤と登校時間の差がある。朝練のない生徒は8:45にホームルームが始まるので、まぁだいたいそれぐらいまでに行けばいい。しかし教師の方はそれより1時間以上早い7:30に出勤し、各授業の用意や教師だけの朝礼があるらしく、結構朝早く家を出るらしい。

 

とはいえ、朝食に使った器具や食器等大した量はない。やる人や作業スペースにもよるだろうが、慣れてさえいれば時間はそうかからない。俺はチート持ちなので本気出せば30秒で終わる。

 

「なのでやって来ました!」バンッ

 

「うひゃあ!」

 

シャワーを浴びてる真っ最中の平塚先生の元へ押し掛けてみた!平塚先生は普段よく風呂一緒に入らないか?とか、風呂上がりにバスローブ1枚とかで出てきたりする上に、昨日はあれだけ俺に裸身を見せ付けるようなストリップ紛いの事までしてた癖に、いざ風呂に一緒に入ってみたら凄い驚いている。何故だろうか?

 

「お、驚くに決まっているだろ!?なんで急に…!」

 

や、1回一線超えちゃうと2回目は特に呵責なくやれちゃうもんですね!ほら、巷のJKが最初は凄いドキドキしながら慎重に万引きしたのに、1回成功した途端にガンガンやるようになるアレみたいなもんですよ!

 

「そ、その例えはどうかと思うぞ?…それに流石の私も急に来られたら恥ずかしいといぅんぅっ!」

 

ごちゃごちゃうるさいので問答無用で唇を奪った。そのまま口腔を舌で蹂躙する。

 

「ん〜〜〜!はぁっ、ちょっ、まんぅぅ!…」

 

ひとしきり平塚先生の口腔で暴れた後、彼女の舌を大きく絡め取り、軽く吸い出すように無理矢理外に引き出す。そこで1度口を離して、平塚先生にもよく見えるように舌をべろりと大きく出してみせると、彼女は潤んだ瞳でこちらを睨みながら、それでも殆ど躊躇することなく、自ら舌を出してこちらの舌へ絡ませて来た。

 

「んちゅ、はむ……全く、んぅ!教師、モード…ジュルル!レロ、はぁ♡入れって、んぅぅぅン、言ったの、君なのに……♡」

 

裸の平塚先生を抱き寄せて、より深く、より濃密に舌を絡ませながら、互いの体をくっつけた。胸と胸があわさり、柔らかい彼女の乳房がムニムニと形を変えた。既に固く勃起した乳首だけはまるでしこりのように残り、身体が少しズレる度に擦れて、ピクピクと反応する平塚先生。

 

シャワーの水滴がお互いの体に降りかかる。平塚先生のなだらかな曲線を勢いよく流れ落ちていく水滴が、より一層彼女の身体を艶美に飾る。それに悪戯心を刺激されて、両手で平塚先生の水蜜桃のような尻を鷲掴みにした。思わず絡めていた舌を離して、ひゃう!と声を漏らす彼女が、とても愛らしく見えた。

 

「ふふふ、今日は初日ですからね。何事も初めが肝心ですし、これから何時如何なる時にやるかはその時の俺次第ですが、早めに教師モードと並行して俺の女になる準備も出来るようにしておかないと、ね?」

 

そう言って尻を掴んだ両手から、同時に波紋を流した。

 

「はぁぁぁぁぁんっ♡わ、私がぁ、榊の……女♡」

 

流された波紋が尻を起点に背中を駆け、脳まで快感を運ぶ。同時に、彼女自身の口で俺の女、という言葉を口にした事でその姿をイメージしたのか、自然と声に深い熱がこもった。自分の口が勝手につり上がったのを俺は自覚した。

 

右手だけ尻の割れ目に指を滑らせて、背骨に沿って指を走らす。その時に波紋を点滅するように強弱交互に入れ替えながら流していく。一直線に走る指の動きとは違う波紋の流れに、ちぐはぐな感覚が彼女の性感帯を強く刺激して、ビクビクビクビクッと勢いよく痙攣する平塚先生。

 

その反応に更に気を良くして、背筋に這わせた指を1本から5本全てに変えて、線を引くように、背中から腰、脇腹を通って腹、へその周りで回り、そのまま彼女の左胸をすくい上げるように揉み込む。波紋の流れは少し強めで固定して、優しく、されど大きく形が変わるように胸を揉む。

 

「ぅぅん、はぁん!すごぃぃ、榊の手が、触るとこぉぉんっ♡ビリビリって、感じるぅ」

 

ふふふ、可愛いですよ、平塚先生。喜んでくれて嬉しいです。けどまだこんなもんじゃないですよ?

 

そう言って揉んでいる左胸を少し持ち上げるように掴み、先程からガチガチになっている乳首を、優しく、ねっとりと舐め上げる。甘噛みして大きな反応を見たいが、今の平塚先生だとそれだけで絶頂に達してしまいそうなので、涙を飲んで舐め上げるだけにする。

 

「んああああ!きもち、ぃぃんぁう♡」

 

それでも平塚先生の快感はとどまることを知らず、どんどんと反応が大きくなってきた。そろそろかな?そう感じた俺は平塚先生の痴態に反応してとうに臨戦態勢の一物を見せ付けるように、体を少し離して彼女に声を掛けた。

 

「平塚先生……見えますか、これ」

 

「んんぅ……ぁあ!もちっ、ろん!榊のッ、本当にすごいぃぃ♡」

 

ふふふ、よーく見てて下さいね。なんなら触っても良いですよ?

そう言うと直ぐに平塚先生の両手に掴まれた。熱い…と嬉しそうに呟く平塚先生。その目が完全に俺の一物に釘付けになったことを確認して、そのまま腰を動かして、そそり立つそれを平塚先生のお腹に軽く擦り付けるように、優しく這わせた。

 

「わかりますか……?2週間後、俺のコレは、貴女のココまで、入ります。楽しみにしといてください、ね?」

 

「〜〜〜ッッ♡♡♡あああ、意地悪っ!酷ぃぃ!もう、欲しいのに、今もう欲しいのにぃぃ♡♡」

 

「駄ァ目。お仕置き、なんですから。これから2週間、頑張って下さいね?俺も、楽しみに待ってますよ……?」

 

そう言って腰を落とす。平塚先生の手が触れたまま、自分の一物をあえて触れてなかった彼女の股間に目掛けてゆっくりと差し込む。平塚先生の太ももと女陰に挟まれた一物に、熱くどろりとした液体が絡み付いたのがすぐわかった。事前に触るまでもなく彼女の身体は俺を求めて大量の涎をこぼしていた。

 

「おやおや?触ってもないのに、びちゃびちゃじゃないですか。そんなに期待してたんですか?今からこんなにしてて、2週間後まで保つんですか?」

 

「あっあっあっ♡こ、これ凄いぃ、入れてないのに、熱がお腹の中にまで届くぅぅぅ!!」

 

聞いちゃいねぇ(笑)

入れる前から俺の一物に夢中になってくれるのは嬉しいし、俺の方もなんかお仕置きとかどうでも良くなりそうなくらい昂って来ているのだが、気合と根性で押さえ付けて、大きく、それでいてゆっくりゆっくりと腰を前後させる。常時アンサートーカーを使用して、慎重に慎重に平塚先生の快感を調整する。両腕を平塚先生の腰に回して、正面から見せ付けるように、ゆっくりゆっくりピストン。

 

「〜〜〜〜〜っっ!?!?♡♡♡」

 

もう声にならない平塚先生。こんなにゆっくりとした弱い刺激でも、彼女自身がこの状況に、この光景に興奮して勝手にどんどん昂っていく。比例するように一物にまとわりつく愛液の量が増えていくのが分かる。我慢出来ずに彼女自身も腰を動かし始めた。その動きはすぐ様早くなっていって、彼女の身体が細かく痙攣し始める。そして、今こそ大きな快感が彼女を襲うその瞬間に!

 

「んぁ、んぁぁぁアア「はい、終わりです」ああ、……あ、え…?」

 

「どうしました?言ったはずですよね?絶対にイかせないって。分かってると思いますが、自分で弄っちゃダメですからね?」

 

後ほんの少し、それこそ2、3回腰を動かせば大きな絶頂が平塚先生を満たしていただろう。正しくそんな瞬間を狙って腰を大きく引いて、一物を一気に引き抜いた。当然彼女は盛大に梯子を外された形なので、訪れかけていた絶頂の波が消えたことに困惑し、やがて理解するとこれ以上ないくらい情けない顔をした。ぞくりと俺の背筋に興奮が走った。自分で言うのもなんだが、俺ホント鬼畜やな。

 

「あ、ああ!やだ、やだやだ!あとちょっと…後ちょっとだけ、お願い、さかきぃぃ!」

 

「駄目です。そういうルールですから。これから2週間、頑張りましょうね平塚先生。さぁ…、そろそろ時間ですよ。着替えて仕事しないと、ね?」

 

そう言って涙目で縋り付く彼女に優しく声を掛けて、震える唇に軽いキスを落とした。口角が吊り上がるのが止められない。ヤバい、1度踏み外すと本当に止まらん。平塚先生虐めんの凄い楽しい!

 

俺がこれ以上する気がないのが理解出来たのか、泣きそうな顔のまま呆然とした平塚先生が、よろりと俺の体に撓垂れ掛かる。波紋が流れないように気を付けながら、その体を優しく抱き留めて、その耳元で小さく呟く。

 

「これから大変ですよ……2週間後が楽しみですね?()()()

 

その呟きを聞いた平塚先生は勢いよくこちらを振り向いて、今にも泣きそうな、とても情けない顔でふるふると震え、何かを言いたそうに口を開いて、けれども何も言えずに黙って俺の体を抱きしめた。俺も優しく抱きしめ返して、いつものように頭を撫でた。

 

 

あー、ヤバい。思ったより俺の方がハマってるかも。

 

 

 

◻️◻️

 

 

あの後、何か物足りなさそうにソワソワモジモジとする平塚先生を手伝いながら何とか着替えさせ、化粧をさせると熱の篭った目で俺を見詰める平塚先生に軽くキスをして家から送り出した。とても名残惜しそうに、何度も何度も振り返りながら彼女は歩いて行った。

 

時間的にはギリギリだが、平塚先生は車なので時間は大丈夫だろう。俺のせいだが、上の空で事故を起こす方が怖いので、事前にスタンド使って平塚先生の愛車にマーキング及び簡易の空間防壁を張っておいた。余程のことがない限り事故っても怪我は無いし、何かあればマーキングを通してすぐ感知できる上、マーキングの位置へ空間繋げて瞬間移動も可能だ。備えは万全である。

 

 

さて、生徒(おれ)の方はもう少し時間的余裕があるとはいえ、ぼちぼち準備をせねばならない時間だ。なのでそろそろ着替える訳なのだが……

 

「うーん、これは酷い」

 

思わず鏡を見てそう呟いた。昨日平塚先生に思いっきり吸い付かれた首筋が悲惨なことになっている。朝一起きた時にそのままでないと平塚先生が悲しがりそうだったので、波紋の呼吸による治癒をしなかったのだが、余程強く吸われたらしい、キスマークは赤色ではなくうっすら青色になっている。

 

たまに青くないやつもあるが、そっちはこれでもかという程真っ赤だ。余程俺にでっかくマーキングしたかったらしい。赤青咲き乱れてまだら模様でありながら花柄なの?ってレベル。肩に付いた歯型なぞ要らんのではないか?と言うくらいキスマークが激しい主張を見せている。ここまで来るとキスマークではなく怪我か病気を疑われそうなレベル。

 

まぁ、肩の歯型はワイシャツを羽織れば隠れるから問題は無い。結構大きな傷だから、ひょっとしたら透けて見えるかもしれないが、まぁ俺はぼっちなのでそこまで注意して誰かが俺の事を見ることは無いと思う。けどこの首筋は駄目だな。注意するも何も普通に目に付く。中学生ならともかく高校生では既にセックスの経験がある生徒も多い。ただでさえ最近ユーミンが朝一わざわざ挨拶するせいでちょっと注目されがちなのだ。たぶんバレる。

 

実際俺がそういう相手がいるって思われるのは全然問題ないが、平塚先生がその相手だとバレるのはスーパーまずい。ただでさえ2週間後まで平塚先生を焦らしまくる気なのだ、どこからバレるかわかったものではない。もちろんだからと言ってやめる気もない。いや、エロが関わると男子高校生は無敵なのでちょっとやそっとじゃ止まるわけがないから。

 

でもなぁ、包帯じゃ余計目立つし、ネックウォーマーは時期が合わなすぎて逆に突っ込まれそう。地味にこういうのをいちいちユーミンがツッコミ入れるからな。俺ファッションとか全く興味ないから文句言われても困るんだが。

 

タートルネックのシャツなんて持ってないしな……面倒臭い、サボるか?いや、今日は絶対学校で平塚先生が抱きつきに来るな。確信ある。別に律儀に抱きつかれに行かなくても良いのだが、あれでタバコの代わりになってるようで、するとしないとじゃ夜の抱きつく時間が大きく変わる。なるべくならこまめにやってやらないといけない。

 

「いいやもう、暑苦しいけどネックウォーマーにするか。知り合いに突っ込まれたら首部分のダイエットとか適当に言うことにしよう」

 

要はキスマークが見られなければ良いのだ、と俺は開き直ってコンビニで買った安物の黒いネックウォーマーを引っ掴んだ。

 

 

 

◻️◻️

 

 

そろそろー、となるべく人の意識の死角を突くように歩く。人間の目は意外と優秀で、本来目の端に僅かでも写ればそれを脳は記録しているらしいのだが、それをいちいち記憶として引き摺り出せるほど優れた脳を持っている人は極わずか、何だとか。だから人の目に写っても、人の意識が向いてる範囲は意外と狭い。意識のしていない範囲は、脳が記録していてもその時は結局認識出来てない。

 

まぁ要するに気付かれない訳で、妙なカッコをしてる自覚のある俺はぼっちなので多分必要ないとは思いつつも、人目を避けて歩いているわけだ。自意識過剰だと分かっちゃいても、こう、何だろう…就活スーツを着て大学を歩いてた前世を思い出す。周りみんな私服なのに、就活の帰りでスーツ着てると、実際は特に誰も気にしてないけど何か見られてる気がしちゃうような?

 

そんなソワソワの巻物を使われたモンスターみたいな気分で、ホームルームの開始ギリギリに、トイレから戻ってきた他の生徒と共に何気なく教室に滑り込む。よし、ミッションコンプリート!

 

「何してんのサカキン?」

 

うわびっくりした!?馬鹿な、教室で挨拶以外で俺に話しかける奴など──!?って何だゆいにゃんか。驚かすなよもう。つーかおはようございます。

 

「あ、やっはろー!何そんなに驚いてんの?何か変な動きしてたけど」

 

ぬ?馬鹿な、ゆいにゃん俺の動きに気付いてたの?あのゆいにゃんが?……あ、教室の窓から見えた?そういや上からの視線に対してはアンサートーカーに死角探させてなかった。じゃあ仕方ないね。

 

「何かこう、唐突に人の目についたら死んでしまう病に掛かってしまってな」

 

「じゃあもうサカキン死んでるじゃん」

 

そこに気付くとは、やはり由比ヶ浜結衣、天才か?!普段の阿呆な言動は世間を騙す演技だったんだな?食えないヤツめ!

 

「え?ふふふ、実はそうだったのだ!あたしが馬鹿じゃないってようやくサカキンも分かってきたんだね!」

 

そうだね頭良いよねゆいにゃんチョー頭いい。ところでセツのんからこの学力でどうやって総武に合格したの裏口入学かしら?とか言われてた由比ヶ浜さん、早く席着きなよホームルーム始まるよ?何してんの?

 

「珍しく褒めてくれたと思ったらやっぱり馬鹿にされてた!?確かにゆきのんにはそんなこと言われたけど……って違う、聞きたいことあったんだ!」

 

あ?聞きたいこと?何かあったのてか何故メールで聞かなかったのか。まぁいいや、なんざ「遅れてすまない、ホームルーム始めるぞ、席に着け」んしょ?って平塚先生来たな、後でで良いか?……って、あれ、ゆいにゃん?どこ見てんの?

 

「平塚先生……?」

 

ん?平塚先生が何か……ってあれ、よく見たら周りの人間もゆいにゃんと同じ方向見て固まってる。なんか微かに何だあれとかユーミンの声が聞こえた気がする。何かな、と思ったけど白衣姿の平塚先生しかおらん。え、何?

 

「…んっ。どうした由比ヶ浜、早く席に着け。ホームルームだぞ?」

 

「…あっ!す、すいませんすぐ戻ります!」

 

「宜しい。ではホームルームを始める。日直、号令を」

 

 

起立、礼、着席!

 

日直がいつものように号令を掛けてホームルームが始まった。平塚先生が連絡事項を話し出す。まぁ職業見学の話とかがメインで、要はいつも通りなんだが、妙に困惑した空気が教室に流れている気がする。原因は平塚先生っぽいんだが、よく分からん。俺の目には朝と変わらん平塚先生にしか見えない。何だろう?……まぁいっか。

 

見ても考えても分からんし、さして興味もない。俺はそうそうに諦めて、次の時間の予習をするフリして教科書にケータイ隠してソシャゲをする事にした。くくく、やはりブーディカママこそが最ママよ……!!星5ママ大好き高ステータス優先の実用性がないと使えないニキとエレナおばぁちゃまをママとか言い出すロリにバブみを見出す性的倒錯者ニキはちゃんとした愛を知ることから始めて、どうぞ。(全方位爆撃)え、嘘だろ頼光ママ来た。はぁー、やっぱ頼光ママが最ママっすわ。愛深いママとか最高かよ(掌ドリル)

 

 

とかやってたらいつの間にホームルームが終わってたでござる。ふごーやってて全然気付かなかったわ。とりあえず次の授業は移動教室じゃないみたいなので、もう少し骨が欲しいな。でもどちゃクソ周回だるいよぉ。

 

ガン!

「うぃーす、あーしに挨拶がまだだぞモサキチー」

 

うわ何だよもう誰かと思えばユーミンか。机蹴るなよってゆいにゃんと戸塚もいんじゃんぐっもーにん!つーか朝一来たら挨拶しに来いとか番長かなんかなの?流石ですねあーし番長!ガラ悪いの伝染るんでマスクして貰えます?

 

「あーしはヤンキーじゃねーし、ヤンキーはウィルス性でもねーよ。てかさー、アンタ、あーしに言うことあんじゃねー?」

 

ごめんなさいね2人とも、こういう子なのよユーミンは。ガラは悪いけど根は腐っちゃ居ないから、ウチの子をよろしくねガン!いたっ、何すんだよユーミン!あ?言うこと?……あっ!

 

「やっと思い出したか……で?」

 

「すまんユーミン、こないだ1年の男子から三浦さんに渡してくれってラブレター預かったんだけど、素でユーミンの本名忘れてて知らない子ですねってラブレター返しちゃったわ!」

 

「いや、それじゃねーし!むしろそれは良くやったし!いやあーしの名前忘れたのは殴っけど!」

 

え、じゃあ全然心当たりないな。俺に特に言うべきことは無いと思う。うん。え、昨日の埋め合わせ?あはは、何言ってるのユーミン、そんなのメールで連絡しろよね馬鹿なの?ゴスっ、痛!なぜ殴るし。

 

「その、メールを、返信、しないのは、誰だつってんの!!」

 

うわちょっと文節ごとに殴るのやめてくれます?ちょっと殴り過ぎなので当たってやらないぜ!ふ、俺氏武力チート持ちですから!つーかメール?……ああ!

 

「いやあんな専用の解読プログラム必要そうなメール送る方が悪くない?なんなのギャル文字とか馬鹿なの?なんであんな普通に文章書くより数倍は時間かかりそうな文字打って俺より返信早いの?ユーミン指の動き目で見えなさそう。ヤバい」

 

「ラケット振った動きがリアルに目に映んねーおめーが言うなし!この、当たれ!」

 

だが断る。戦場で敵に当たって下さいとか惰弱極まりない!恥を知れぃ!でもちょっとうざくなってきたので飛んできた文鎮パンチを掴んで止め…文鎮?!とか驚いてたら反対の手からスティック糊パンチが来たのでそれもってうわこれ糊伸ばしてあるじゃん掴んだらベタベタするやつ!を何とか糊に当たらないように拳を掴んで、同時に波紋を流し込んでユーミンの筋肉を勝手に動かし、その場で腕を交差するように反転させる。周りからはからはたぶん何もしてないのにユーミンが独りでに反転したように見えたはず。そして膝裏を軽く押し込んで膝カックン。しゃがみ込むユーミンの頭に手を置いて、喰らえ!猛獣鎮圧式波紋なでなでっ!相手は落ち着くゥ〜!

 

「誰が猛獣!!か、ぁ……?何これ、和む……」

 

勝った!第3部完っっ!つーか物理攻撃力の高い文鎮と精神的攻撃力の高いスティック糊とか火力意識し過ぎじゃね?俺の周りの女子は何でこうも凶暴なのか。

何時もならここで煽り入れるところだけど、他の2人も用あるみたいなのでユーミンを鎮圧したまま話を聞く。どったん戸塚、何かあった?あ、職場見学?知らね、多分どっかに余り物で入ると思う…あ、一緒に行く?えーで!行き先は任せた!築地はダメらしいぞ?

 

「なんで築地なのさ……。え、新鮮な魚介類を食べれそうだから!?流石貴一、発想がグルメだ!」

 

ふ、そう褒めるでない<( ¯꒳¯ )>え、でもそんな理由で職場見学先を選ぶのは良くない?そりゃそうだ(正論)なので戸塚の好きなとこ選んでえーよー。

 

で、そこでモジモジくんのゆいにゃんはどったの?そういやさっき聞きたいことがどうとか言ってたけど。

 

「や、あの……昨日のこと、なんだけどさ。あの後、何もなかったのかな…って、思って。その……」

 

やたら声が小さくて聞こえにくいなと思ったら、ちょっと周りをキョロキョロした後、俺の耳に口を近付けて、小さな声で言った。

 

「平塚先生と、なんかあった?」

 

おっと、そう言えば昨日の別れ際既にゆいにゃんは平塚先生のヤバい状態を察知仕掛けてたんだったか。女子って凄いのね、俺なんか襲われる直前まで気付かなかったわ。

 

でも全部話すと当然アウトなので、少し誤魔化しておこう。ナニも(本番をしてないと考えたら確かにセックスはしてないので)ないです。強いて言うなら平塚先生のストレス大爆発攻撃(かみつく)を食らったくらいだな。全く、職場のストレス教え子にぶつけるとか酷いティーチャーよな。

 

「いや多分それはモサキチが悪い」

「僕も原因は貴一にあると思うよ」

「絶対サカキンが悪い」

 

「解せぬ」(`・ω・´)キリッ

 

だからそれだよ!って言われたけど僕は悪くない。たぶん。いや実際は職場のストレスとか関係無しにだいたい俺が原因なので戸塚の言ってることは正鵠を射ているのだが俺はシラを切るぜ!

 

「そう言えば貴一、今日の平塚先生綺麗だったね!何かあったのかな?」

 

「!!そ、そうそう、あたしも思った!昨日車で家まで送ってもらった時はいつも通りだったのに、今日は何か……」

 

?何故そこでチラりと俺を見るかゆいにゃん。わちきは何も関係は無い!(ハッタリ)

つーかそんなに変わってたか?俺の目にはいつも通りにしか見えなかったけど。ほら、平塚先生イケメン過ぎるだけで元から美人じゃん?

 

「いや嘘でしょサカキン、あれで気付かないとか目が見えてないんじゃないの?やっぱ髪切ったら?…それともやっぱりサカキンが何かしたのかな?

 

酷い言われようなんですけど。明らかにゆいにゃんに疑惑の目で見られててちょっと焦りつつも頑張って無関係を装っていると、唐突に足元で頭撫でられてたユーミンがぶっ込んできた。

 

「や、あれはオトコっしょ。すげー色気出てたし、昨日の今日で変わりすぎだし。何かイイコトあったんじゃねー?知らんけど」

 

ぎくっ。

 

「お、男?!優美子、それって彼氏ってこと?平塚先生に!あの?!」

「わー、凄い。流石平塚先生、大人の女性って感じだなぁ」

 

おいゆいにゃんそれ以上はやめて差し上げろ。お前この間まで平塚先生カッコイイって言ってただろ!戸塚の反応が普通だろどう考えても!確かにちょっとアレなところはあるが、あれで美人だし、男ができたって何も不思議は無い。……いやあの掃除前の部屋見たら男できてもすぐ別れそうではあるけど。

 

 

とか何とかやってたらチャイムがなって、平塚先生が入ってきた。一限国語だったか。席に着け、という平塚先生の言葉に、3人とも自分の席に戻って行った。ゆいにゃんだけはまだ疑わしそうな目でこっちを見ていたが、華麗にスルーした。なお授業が始まる前に青い髪の女の子が遅刻してきて平塚先生に怒られてた。青髪とかなんなの?ヤバい不良じゃん。このクラスヤンキー率高くない?ねぇ高くない?ていうか総武って進学校の癖にその辺ゆるゆるだよね!俺の頭も地毛だけどパッと見染めてる部類だから助かるけども。

 

まぁいいや、我らが平塚先生の授業だが差し当ってわちきはハンティングクエストをやらねばならぬ!うぉぉ!待ってろ頼光ママ!スキルマレベル100にしてみせる!!

 

 

この後めちゃくちゃ周回した。

 

◻️◻️

 

昼休み。

 

じゅわぁぁぁ

 

「……ねぇ榊君。1つ質問しても良いかしら?」

 

なんだねセツのん。

 

「……貴方は今何をしてるのかしら?」

 

え?セツのん見てわかんないの?ゆいにゃんならともかく、セツのんが見てわかんないとは思わなかったなー。仕方ない、教えてあげよう。

 

「鳥の唐揚げ作ってる」(`・ω・´)キリッ

「そんなの見ればわかるわ。何故、部室で、作ってるのか!と私は聞いてるの!」

 

ははーん?さてはセツのんアホだな?なぜ唐揚げ部室で揚げるのか?そんなのことも知らないなんてまだまだだなセツのん!仕方ない教えてあげよう!いーかよく聞くがいい!

 

「揚げ物は揚げたてが1番!」(`・ω・´)キリッ

 

「由比ヶ浜さん、この揚げ終わったの食べてしまいましょうか」

 

「わーい!待ってました!」

 

ちょっ、おま!?それは止めて!てかそれ俺の昼飯!あ、ちょ、おま止めろ!やめっ、やめろォー!

 

※めちゃくちゃ食われた!

 

 

……おおお、なんという事だ!俺の昼飯の炊きたてご飯と揚げたて唐揚げが……!少しなら分けてあげても良かったのに!食べ過ぎだぞお前ら!

 

「やー、最近はお昼ご飯サカキンから貰うのが一日の楽しみになってるよあたし!明日もお願いね!」

 

「腹立たしいけれど、口臭に影響する大蒜とか使って無いのに下味もしっかりしてるし、外はカリッと中はとてもジューシィ。このオリジナルスパイスとの相性も抜群。認めましょう榊君、唐揚げは確かに揚げたてが1番美味しかったわ」

 

引っぱたくぞ貴様ら(#^ω^)ビキビキ

 

つーかな、戸塚の依頼あたりからお前ら俺の飯奪いすぎだぞ!別に分けるのは吝かではないけど、いくらなんでも最近はちょっと目に余るぞ!ここ最近はセツのんはサラダしか持ってきてないし、ゆいにゃんに至っては箸しか持ってきてないやないか!

 

「仕方ないでしょう?貴方の作る食事はいつも野菜が足りてないのよ。今日なんて白いご飯と唐揚げだけとか馬鹿にしすぎよ。いちいち野菜を持ってくるこちらの身にもなってもらえるかしら?」

 

「や、大丈夫!ここで沢山食べる分家で食べるご飯は減らしてるから!」

 

はは、こやつら(^ω^#)

 

つかセツのんは元々自分で作って弁当持ってきてたやろ!?え、味で俺に負けてるの悔しいからしばらく持ってこない?何の話をしてるの君は(困惑)

 

ゆいにゃん、君はお母さんに謝ってきなさい。いやマジで。つかゆいにゃんの腹回りの事情とか知らねーよ。いたっ、なぜ殴るし。え、太ってない?いやお前俺の目を誤魔化せると思ってるの?こちとら眼のチーターやぞ!

 

「わぁぁぁ!止めてやめて!あたしマジ太ってないから!つーか腹を凝視すんなキモイ!」

 

「えーと、ゆいにゃんの腹回りは2週間前に比べて2セ「死ねっ!」うわ危な!おいコラゆいにゃん、簡単に死ねとか殺すとか言うなよぶっ殺すぞ!」

 

「え、あ、ごめん!……って言ってるじゃん!めっちゃ殺すって言ってるじゃん!」

 

「2人とも食べた直後に暴れないでくれるかしら。埃がたつわ」

 

えーとセツのんの体重はここ1週間で2キ「殺すわ」おっと危ない、そんなのが俺に当たると思うなよ?「隙ありっ!」無いんだなーこれが。よっと。ふ、まだまだだな2人とも。

 

「チッ、腹立たしいけど1人では無理ね。由比ヶ浜さん、準備は良いかしら?」

 

「任せてゆきのん!2人で今日こそサカキンとっちめよう!」

 

おやおや2人がかりか?それはそれは……全くもって役不足だね?俺を倒したければ最低でも1個師団は持ってきな!かかって来い肥え太り女子共!腹ごなしに脂肪燃焼させてやるよ!

 

「「野郎ぶっ殺してやる!!」」

 

この後めちゃくちゃ汗流させた!

 

 

◻️◻️

 

キーンコーンカーンコーン

 

お、予鈴だ。この辺にしとくか2人とも。

 

「.ぐっ!……まさか、ふたっ、り!掛りで、掠りもしない、なんて……!!」ゼェーゼェー!

 

「うぅ、お腹いっぱいで沢山動いたから脇腹痛い……!そしてちょっと気持ち悪ぃぃぃ!」

 

ふーはははは!愉快愉快!この2人がかりなら勝てる!と思っている奴らを完封してやった時の負け犬のこの顔!ふーはははは、実に愉悦!ねぇねぇセツのんにゆいにゃん今どんな気持ち?俺を今日こそボコボコにしようと意気込んで、2人でやったのにも掠りもせず、最後にはゆいにゃん犠牲にしてまでセツのんが不意をついたつもりだったのに読まれて余裕で避けられた挙句、得意の合気を完璧に返されてパンツ丸出しで倒れ伏してる今ってどんな気持ち?ねぇどんな気持ち?m9(^Д^)プギャー

 

お?2人とも涙目でほっぺパンパンにしてプルプルとか本当にアクア様みたいで可愛ええな!でもいい加減パンツ隠しなよ恥ずかしくないの?全く、2人とも女子力以前に歳頃の女の子としての常識が欠けてるね!これだから近頃の女子高生はモラルが低いって言われるんだよ。お?何泣いちゃう?泣いちゃうの?2人がかりで襲いかかって来ておいて1度も手を出してない男にボロ負けしておいて泣いちゃうの?良いのか?それで良いのか2人とも!?どーしてそこで諦めるんだ!諦めんなよ!まだいける!もっといける!もっと熱くなれよォォォ!!

 

ガラッ

 

「いや鬼か貴様」

 

誰が鬼か!って、平塚先生、どーしたんですか?……ああ、今日この時間は授業入ってないとか言ってましたっけ。どしたんすか?

 

「覚えてたのか?……いや、たまたま近くに来たらまだ3人とも居るみたいだったから授業に出ろと言いに来たんだが……2人は無理そうだな?」

 

「うぅ、平塚先生……サカキンがぁ……」

「く、屈辱です……!この男にこんな惨めな姿を晒すなんて……!」

 

ふ、全良な一般男子高校生である俺に2人がかりで襲いかかって来ておいて何も出来ず、何もされずに返り討ちにあった哀れな負け犬2匹です。せめて一思いに介錯してやって下さい。

 

「悪魔か貴様」

 

いいえチーターです。……さて置き、仕方ないから俺特製蜂蜜レモンの炭酸割り作ってやるからせめて着替えて来いよ2人とも。体操服は持ってきてるだろ?あ、動けない?大丈夫大丈夫、今動けるようにするから。あ?連れてけ?ヤダよお前ら汗だくじゃんばっちぃ。

 

「終いには泣くよサカキン!」

「…いっそ殺しなさい」

「まったく、お前たちと来たら……!」

 

ハイハイ、パンツ丸出しのスカート直して、くらえ超秘技・波紋マッサージ&対象の時間加速!相手は疲れが早く取れるぅー!

 

「うわ、超気持ちぃー!ってあれ?なんかもう動く!ウソ!?」

「相変わらず意味不明な特技を……ッッ!!」

 

説明しよう!波紋マッサージによって肉体の治癒力を上げ!更に対象の時間を加速する事で疲労が一瞬で治った気がするぞ!実際には2人は波紋マッサージ受けながら15分くらい休んだようなもんだぞ!もちろん実際にこんなこと言えるわけないのでここだけの秘密の話だぞ!

 

「これが奇跡のイリュージョンッ!」(`・ω・´)キリッ

「その顔腹立つ」

「礼だけ言っとくわ」

「!?」

 

最後までグチグチ言いながら2人は更衣室へ向かって行った。何か授業は後で平塚先生が担当教師に体調不良と連絡してくれるらしい。そして俺は女子を虐めたのでサボり扱いらしい。なんということでしょう…ッッ(血涙)

 

「……由比ヶ浜も雪ノ下も、随分明るくなったな。特に雪ノ下は、このひと月あまりで最早別人の様だ。最も、後者はほぼ君の前だけ、という条件は付くが。でもまぁ一応、流石だな、と言うべきか?」

 

さて、なんの事だか分かりませんな。元々2人ともあんなもんですよ。ゆいにゃんはガッツが無かっただけ。セツのんは環境が悪かっただけ。元から自力はあったんでしょ。知らんけど。

 

「くくっ、あくまで2人の力だと?普段の立ち位置といい、まるで保護者みたいだな、君は。本当に17歳なのか?」

 

何を仰る。こんなにぷりちーな男子高校生が他に居ますか?つーかあの二人より世話が必要な大人が何いってんですか。

 

「耳が痛いな……ま、私は一生世話になるがね」

「もう俺の人生を絡め取りに来たか……なんて教師だ」

 

てかそれより、早く本題入りましょうよ。2人とも着替えて化粧も直して来るからある程度余裕はあるとはいえ、一コマ丸々は空きませんよ。要らないってなら構いませんが。ってうわ早い。

 

「んぅ……すー、はー……あぁー、ようやくこの時が来たか。要らない訳ないじゃないか、ばかものぉぉ……!」

 

はいはい、分かってるとは思いますが、2人が来る前には終わりにして下さいね。こんなん見られたら1発アウトなんですから。

 

「すぅぅぅはぁぁぁ……分かってる。けど、夜その分補填してもらうからなぁぁ……!絶対、だぞぉぉ」

 

はいはいご随意に。

……どうです?初日を過ごしてみての感想は?

 

「……分かってる癖に」

 

「さて?俺は平塚先生じゃないから分かりませんね」

 

「鬼!……身体が、疼いてるんだ。ずっとずっと、子宮が、震えてるのが分かる。身体の奥が燃えてるみたいに、火照りが治まらない。榊のが…私のココを擦った感触が、まだ残ってる。どうしてくれるんだ……職員会議の時も、授業の時も、トイレの時も、お弁当食べてる時でさえ……榊のちんぽの感触が、熱が、味が……ずっと、頭から離れないんだぞ?朝から、本当に!ずっと……!」

 

それはそれは、何よりでございますね。朝から念入りに仕込んだ甲斐があります。そのまましっかりと飢えてくださいね?

 

「本当に…本当に、するのか?2週間も、こんな……ことを?わ、私、きっと駄目に、なるぞ……?今でさえ榊の事が、欲しくて、欲しく、てぇ……!2週間、後とか、もうきっと、榊の事以外……何も、考えられなくぅ、なってぇ!そんな状態で、あんなの入れられたら……!」

 

ふふふ、楽しみですねぇ?その頃にはきっと、平塚先生の身体も心もぐちゃぐちゃになってる事でしょう。俺の事が欲しくて欲しくてたまらない、その他の人間が何していても俺のことしか考えられない。そんな状態の貴女が、俺に抱かれる……どうです?きっと素敵な一日になりますよ。

 

そう言って平塚先生に口付けする。無論スタンドで周囲は確認済みだ。平塚先生はいきなりのキスに驚いているが、一日一回はあくまで快感を与える回数であってキスしないとは言ってない。

 

「んぅっ……んん、ぷはっ。あぁぁ、酷い、本当に酷いぞ榊……♡壊す気なんだな?私のこと♡徹底的に、本当に徹底的に、私をめちゃくちゃにしちゃう気なんだな?♡こんなキスまでして……絶対、私を逃がさない気なんだな♡♡」

 

さぁて、それは2週間後には分かりますよ。ちゃんと2週間我慢出来れば、平塚先生はもう、俺の同級生に嫉妬なんかすることも無くなるでしょう。我慢出来なかった場合は……まぁ、後は自分で全部頑張って貰うことになりますが。

 

「そんなのやだ!頑張るから、私頑張るから……ッッ!!」

 

「……ええ。待ってますよ、静さん」

 

そう言ってもう一度、俺は彼女にキスをした。平塚先生は泣きそうなほど潤んだ瞳でそれを受け入れると、きつく、きつく俺を抱きしめた。俺が同じくらいの力で抱きしめ返せば、彼女は更に蕩けた顔になり……そこで、自ら体を離した。

 

「おや、もう良いんですか?珍しいですね」

 

「良くない!全然良くない!全然、良くない……けど、これ以上したら、この後もう、たぶん教師の顔に戻れない。そういう、自制もしなきゃいけないから。榊の女に、なるには。……そうだろう?」

 

エクセレント!その通りですよ、平塚先生。貴方はあくまで、教師のまま俺の女になっていくんです。俺の求める姿に近付いてくれて、嬉しいです。この調子で頑張りましょうね!

 

「……2人がそろそろ戻ってくるからもう行くが、今晩は本当にしっかりと補填してもらうからな。……それはそうと榊。その、季節に合わないネックウォーマーは……」

 

「昨晩大きな蛭にやられましてね」

 

「せめて蚊とかだろう……まだ残ってるよな?」

 

その言葉に俺はネックウォーマーをずらして、首筋の惨状を平塚先生に見せ付ける。蚊じゃこの痣にはなりませんよ。朝より色がハッキリしちゃいました。どうですか?ご自分でつけたマーキングは。

 

「……本来、教師が生徒にしていい事ではないが。その、なんというか。君の体に、私の跡が残ってるというのは……とても興奮するし、この上なく満たされるな!」

 

……うわぁ。平塚先生本当に独占欲強いですね。何か今まで色んな男に逃げられたのも分かる気がします。ま、やったのが俺で良かったですね。

 

「……やっぱり嫌か?こういうの。嫌なら、できるだけ我慢するから……嫌いには「なりませんよ」本当、か?」

 

やれやれ、余程過去の男どもは馬鹿ばかりだったらしい。すっかり変なトラウマを持ってしまっている。仕方ないので、平塚先生が自ら離した距離を、今度は俺が詰めた。右手で彼女の長い髪を持ち上げる様にして、その隙間に顔を差し込み、正面からは見えにくいところを選んで、その綺麗な首筋に吸い付いた。んぁ!と平塚先生が悶えた声が聞こえたが、無視して吸い付き、ちゅば、と音を立てて離した。真っ白で綺麗だったそこには、今の行為の証明──ー赤い跡が残っていた。

 

「だって、俺も独占欲超強いですから」

 

心配しなくても、もう貴女を離しませんよ?

 

 

 

◻️◻️

 

あの後、平塚先生は火照った身体と蕩けた感情を抱えて、俺が付けたキスマークのある辺りを手を置いたまま、表情だけどうにかこうにか教師モードに戻すと、ふらふらと去って行った。見るからに危ない足取りだったので、念の為空間防御を更に重ねておいた。

 

それから昼飯に使った鍋やら油やらの処理をして、みんなで食べた食器を洗い終わったあたりで化粧直しの終わった体操服姿の2人が戻ってきたので、何時も戸塚の練習に差入れていた俺特製蜂蜜レモンの漬け汁を強めの炭酸水とミントを加えて、たっぷりの氷と共に出す。

 

セツのんは何も言わず、けど満足気に。ゆいにゃんは風呂上がりに冷えたビールを飲んだおっさんぐらい弛緩した声で染みるぅ〜と幸せそうだった。ゆいにゃんは歳頃の女の子としてどうかと思わないでもないが、自分で作ったものを喜んでもらえるのは俺としても悪い気分では無いので、特にツッコミは入れないでおく。

 

「さて榊君。貴方には慰謝料を請求するわ」

 

「仕方ないな、はいこれサーターアンダギー」

 

「わぁ!さっすがサカキン準備いい!!」

 

「あら本当。こんなにポンとお茶請けが……違うわ由比ヶ浜さん。そうじゃないでしょう?」

 

「美味しー!サーターアンダギーって何処のお菓子だっけ?え、なにゆきのん?……あっ、サカキン!良くもやってくれたな!ほてんして!」

 

お、偉いな由比ヶ浜。苦手な国語の勉強ちゃんとしてるんだな?今言った補填っていう単語、漢字で書いてみろ?意味がわかってれば漢字見たことなくてもまぁ何とかなるだろ。あ、書けないの?なるほど、じゃあこれはセツのんの入れ知恵か。とりあえずセツのんはサーターアンダギーでは違うってのならこれは下げますね。

 

「待ちなさい、そうは言ってないわ。私はただ…っ、だから、皿を下げるなと言っているの!」

 

「サカキンストップ!あたしまだ1個しか食べてない!」

 

なんだ、これでいいの?紛らわしい事言うんじゃないよ。まったく。ちなみにサーターアンダギーは沖縄のお菓子です。本当はちんすこうの方が俺の好みだけど、あっちよりも作るの簡単だったので。

 

「まったくもう……あら?これ、黒糖じゃないのね?」

 

「俺は黒糖より白砂糖派。意外とイケるだろ?」

 

「えぇ、この飲み物にはこちらの方が合うみたい。美味しいわ」

 

「サカキン、あたしこの蜂蜜レモンおかわり!」

 

それは構わんがゆいにゃん、いくら動いたばかりでもあんま食うと意味ないぞ。それ以上太った理由を俺のせいにするなよ?え、太らないデザート?あんこ抜き砂糖抜きの羊羹でも食べてみる?要するに味付けしてない寒天だけど。まぁそれはさて置き、俺に何がさせたかったの?

 

「……分かってたなら無駄な手間を掛けさせないで貰えるかしら」

 

「や、あれだけの醜態晒しといて、何事も無かったかの様な顔して慰謝料を請求するわ!とか言い出すから。つい?」

 

「やめて!その事はもう忘れてサカキン!あたし達のライフポイントはもうとっくにゼロなの!」

 

お、ゆいにゃんそのネタが分かるってことは遊戯王読んだの?それはそれは、順調に理解を深めてくれて嬉しいぞ。よーしよしよし、偉いぞーゆいにゃん!

 

「わ、ちょ、髪整えたばかりなのに……!そうそう、優しく撫でて。あと意外に面白かった。クリボー可愛いし」

 

「初代遊戯を読んでから今のアニメの遊戯を見ると、ライフポイントを大事にしなさすぎると私は思うわ。私は櫛入れやってくれるのなら今のままで大丈夫よ」

 

え、いやセツのんまだ撫でてないけど……アッハイ、片手空いてますからね。そうね。で、いい加減話を……今更入部歓迎会?今日の放課後に、って随分急やな。さっき着替えてる時に決まったの?ふ──ーん?

 

「あー、何でかサカキンに撫でられるの気持ちぃー…」

「な、何かしら。なにか文句でもあるの?」

 

いや?2人が仲良さそうで何よりだよ。で、場所は?え、サイゼ!?了解!!

 

「サカキンってサイゼ好きなの?なんか意外!」

 

「……私はあまりそういった店に経験はないのだけれど、そんなに良い店なのかしら?」

 

「どーかなー?安いしそこそこ美味しいし、エアコン効いてて夏でも友達とお喋りして長居できるからあたしは好きだけど……ぶっちゃけご飯もドリンクもデザートも、たぶんサカキンの方が普通に美味しい、かな?」

 

何を言うか。最近色々あってあんま行けてないけど、俺はめちゃくちゃ好きだぞサイゼ。料理にしたってそうだが、あのチープな味がいいんだよ。ファミレスで中途半端に本格派を意識するよりずっといい。値段も他のファミレスに比べたら破格だし、正しく学生達の為にある店だと俺は思ってる。強いて言うなら辛味チキンが全然辛くなくなったのが悲しい。

 

「おおぅ、予想外の絶賛だ!でもあたしは辛味チキン手がベタベタになるからあんま好きじゃない。サカキンの唐揚げの方が美味しいし」

 

「なんだお前可愛いやつか?仕方ないな、こないだ試作したこの鳩サブレーをやろう」

 

「可愛いっ!?や、そ、そう?って何これデカっ、そして可愛くない!」

 

「鳩は鳩でも鳩山幸雄首相じゃないの……何を思ってこんなものを作ったのかしら。とにかくそういう訳だから、今日は部活は無しよ。いいわね?」

 

や、字は違うけど前世と同じ名前の首相だったことに感動してしまってつい1から手で整形してしまった。りょーかい!や、サイゼ楽しみだな!久しぶりだし、いつものハンバーグに1番高いステーキも食べちゃおっかな!

 

 

◻️◻️

 

放課後。

 

あの後最後の授業だけちゃんと出て、例のチェーンメールの3人が仲良く職場見学行く事になったり、キラキラが俺と戸塚と職場見学一緒に行くことになったり、キラキラが行くところに結局ほぼ全員集まったりしてそれアリなの?みたいな感じの事が起きたりしたがまぁ、高校生だしね。そんな事もあるよね。

 

俺たちは当初の予定通り、3人で入部歓迎会という名目で駅前のサイゼに向かっている途中だった。ここ最近の俺は余程のことがない限り買い物は徒歩か平塚先生の車かネット通販で、後は基本的に遠出をしないので、駅の方に行くのが割かしもう久しぶりだった。なのでサイゼは後回しにして、少し駅前のデパートを冷やかしがてら3人で散策していた。

 

「や、俺の服は面倒いからいい。ユニクロとかしまむらとか、着れれば特に問題は無い」

 

「駄目だって!サカキンせっかく背が高くて身体もガッチリしてるんだから、これを機にモサモサなの強調する服装は止めようよ!」

 

「そうね、正直隣に野暮ったさの塊が歩いていると私達まで変な目で見られるわ。よく分からないけど他人に奢れる余裕があるなら、自分の身だしなみに気を使うべきよ」

 

馬鹿野郎お前俺のこの若さあふるる新鮮な制服姿が目に入らんのか!ていうか今まで俺、制服姿さえモサモサ強調するとか思われてたの!?俺2人と休日に会ったことないよね?俺の私服見たことないよね!?えぇい!とにかく離さぬか!俺は自分の服には興味無いんだよ!つーか自分らの服探せよ!

 

「え、やだよ荷物になるじゃん」

 

「貴方の見た目が問題なのであって私達はこのままでなんの問題もないのだから必要ないのよ」

 

くそぅ、2人の見た目に問題ないのは事実だから文句言い辛い!だがぶっちゃけ服とか着れれば良いかなとか思ってるタイプ!こんなよく分からんブランドの服なぞ買ったところで普段着ないのは必定!要らな……あ、普段じゃなければ使うのか。ふむ。そういえばそうだな。俺にファッションセンスとかないし、2人が選んでくれるならこれは確かに良い機会だ。前世でもファッションに関しては彼女に一任してたし。よし、任せた。1式コーデで頼むよ。

 

「うぇっ!?何か急にやる気になった!ま、まぁ良いけど」

 

「急に掌返したわね。まぁ抵抗しないのなら構わないわ。せっかくだから店員さんも呼んで、この際徹底的にやりましょうか」

 

セツのんの言葉を聞いて、ゆいにゃんが店員さんを呼びに行く。え、そこまでやるの?ま、まぁ2人が必要だと言うなら任せるのが1番だよね!たぶん。あ、そうだ。出来れば何かこう、色んな場所に行けるように3、4種類くらいコーディネートを頼むぜ!

 

「色んな場所?貴方何処か出かける予定でもあるのかしら。出来ればその場所を教えて貰えたらイメージしやすいわ」

 

「ん、んー?何処とは決まってないな。でもよく聞くのは水族館とか映画館とか、なんかそういうイメージ?たぶん遊園地はもうないと思う」

 

「店員さん呼んできた!何か水族館とか映画館とか聞こえたけど、何の話?」

 

「榊君のコーディネートの話よ。行きたい場所があるからそこに合った物を、と言われたのだけど、場所が決まってないというのが要領を得ないわね。水族館に映画館、遊園地、まるでデートに行くみたいだけれ、ど……?」

 

「いやそりゃデートに行く服頼んでるし。行くことは決まってるんだが、行先はまだ決めてない、みたいな?」

 

「えっ」

「えっ」

「えっ?」

 

何故そんなに驚く。いやそりゃ普通は驚くか。ぼっちがデートとかいきなり言い出したら正気かどうか疑うよなそりゃ。だがとりあえず俺は前回平塚先生とディスティニィーランド行った時の補填でそのうち平塚先生と、今度はちゃんとしたデートをしなければならない。

 

前回は突然だったから普通に持ってた服を適当に着ていったが、一応もうすぐ恋人みたいなものになる。流石に服装くらいちゃんとしないとな。そんな訳なので店員さん、だいぶ無理難題だとは思いますがお願いしても良いですか?

 

「畏まりました!ご予算は如何程ですか?」

 

「あ、その辺の相場もよく分からないんですが、どのくらいが丁度良いんですかね?基本的に必要なら幾らでも構わないんですが」

 

「えっ?あ、あのそれは具体的にどのくらいまで大丈夫なんですか?」

 

「へ?あ、あー。あんま金掛けすぎても良くない感じですか?それならうーん、とりあえず1式で5万くらい?出来れば4種類くらいお願いし「出よっかサカキン」えっ」

 

「そうね、服を買うのは中止しましょう。呼んでおいてすいません、失礼します」

 

えっ。

 

なんかよく分からないけど2人に両手を取られてそのまま店から連れ出された。疑問を口にするどころか抵抗する間も無かった。何この早業。てか君たちさっきまで嫌がる俺を無理やり店に押し込んだのに、なんて鮮やかな掌返しを……!店員さんが口開けたままポカーンとしている。気持ちは分かる。たぶん俺も同じ顔してるから。

 

何かよく分からないけど、そのまま流されて2人に手を引かれるまま無言で着いていく。道行く人が先行く2人の容姿に目を引かれ、その後連れられる俺の顔を見ては?みたいな顔して2度見する。や、大きなお世話だが気持ちは分かる。たぶん俺も立場が逆なら同じことする。

 

やがてデパートの外に出てようやく2人が止まってくれたので、声を掛けてみる。あのう、御二方、なんで急に?

 

「別に何も無いわ」

「そうそう!何となくもうサイゼ行きたくなっただけ」

 

アッハイ。何か知らんがそれ以上聞くなと二人の目が語っているのでとりあえず納得しておく。前世からの経験で、こういう時の女性に文句言ってはいけない。今世では初体験だけど。とりあえずもうサイゼに行くみたいなので、また俺の手を引いて歩き出した2人に着いていこう、そう思って踏み出そうとして。

 

 

 

思わず足が止まった。

 

 

視界の端を横切る、遠目に見えた人の顔。あれは。

 

 

 

考えるより早くアンサートーカーが答えを返す。確定だ。足を止めた俺に2人が怪訝な顔をして振り向くのが分かるが、今はそれどころではなくなった。2人の手を振りほどく。すまん2人とも。

 

「急用が出来たので悪いが失礼する。この埋め合わせはまた今度だ」

 

言うが早いか、俺は走り出した。

 

 

 

◻️◻️

 

いきなり彼が走り出した。

今までに見たことがないくらい、余裕のない姿で。

 

「ちょ、サカキン!?どうしたの!?」

「追いましょう、由比ヶ浜さん」

 

慌てる彼女にそう声を掛け、私も走り出した。後ろから慌てて着いてきた彼女が、何故と問うてくる。道行く人の隙間を抜けるように走りながら、凄い勢いで去って行く彼を見失わない様に気を張りながら、叫ぶように答えた。

 

「私にも分からないわ!でも、尋常ではない様子だった!あの榊君が!」

 

あのいつもぬぼーっとしていて、誰と話している時も無表情。長い髪の毛に目が完全に隠れているせいもあるのだろうが、余計に感情の見えない彼。唯一分かるとすれば、意外と饒舌な声の抑揚からなんとか感情を捉える事くらいだろうか。それだって何時も飄々としているという事くらいしか分からない。

 

誰かに唐突な暴力を振るわれようと、暴言罵声に晒されようと、こちらがそうと判別できるほど明確に感情を出したことなど1度しか無かった。

 

その彼が、ああまで取り乱して走り去るなど、どう考えても尋常ではないなにかがある。時間にして僅かひと月と少しの短すぎる経験則だが、何故だか当たっている気がした。理由は、きっと……!

 

「確かっ、に!サカキンが、あんな風にっ、あたし達置いてくこと!今までっ、無かった!!あーもうサカキン速すぎ!!」

 

そう。そうだ。

何故かは分からないが、先程の彼は私達を見ていなかった。まるで、それどころではないと言わんばかりだった。それがおかしい。おかしな事を考えてる自覚はある。けれど、何故だか間違ってないと思った。だって、彼は何時だって──ーそこまで考えたところで彼の姿が見えた。少し離れた所を走る由比ヶ浜さんも気付いたようで、ゆきのん、あれ!と声が聞こえた。

 

 

そこに辿り着いた時、状況がよく飲み込めなかった。

 

短い距離とは言え、彼に追いつく為に全力疾走して呼吸が乱れていたので、思考力が低下していたのもあるとは思う。けれど。

 

目に付いたのは中学生と思われる1組の男女と、4人ほどの柄の悪い男達。そして、中学生の男女の片方、女の子の方の両肩を掴んで、何事か詰め寄る彼の姿。

 

 

その姿が。

 

「あの、すいません……何の話ですか?私、生まれた時から今までずっと、一人っ子なん、です……けど……?」

 

 

 

女の子のその言葉で、膝から崩れ落ちた。

 

 

 

続く。




登場人物紹介

・榊 貴一
神様転生者。割と普通にドS。
前世も今世でも平塚先生が一番の推し。
好みのタイプの女性は年上の黒髪ロングでカッコイイ系の美人。スタイルが良いとなお良い。つまり平塚先生はドストライクの模様。
チートをフルに使って学校で出来たてのお昼ご飯を食べる事に全力を注ぐ。しかし基本は自分の飯なので米とおかずあればいいかと割と適当。最近は女子二人がよく強奪してくる上に他に持ってこないので、バランス考えたらちゃんと作るべきか悩み始めた。


・雪ノ下 雪乃
最近は良くオリ主と昼ご飯を一緒に食べてる。
というか強奪してる。
ゆいにゃんとはたまに勉強会をしてる。

・由比ヶ浜 結衣
色々気になることが多くて大変なことに。
平塚先生とオリ主の様子がおかしいと怪しむ。
最近は結構運動してたおかげで意外と走れる。
セツのんに勉強を教わっているがあまり成果はない。

・平塚 静
狙ってた男をなんだかんだ落としつつある。
独占欲はめっちゃ強い。
ナチュラルにオリ主に調教されてるがノリノリ。
オリ主は身近で見すぎてよく分かってないが、いきなり色気が出たと周りが驚いている。
今日だけで5回くらい前方不注意で何かしらにぶつかっているが、オリ主の愛の守りで全然無傷。

・三浦 優美子
オリ主がユーミンと呼ぶのを止めないので、ムカついてオリ主のアダ名を考えた。結果としてオリ主をモサキチと呼ぶようになった。
「モサモサ」でさかき 「き」い「ち」なのでモサキチ。
仲のいい友達には名前で呼ばれたいタイプ。

・戸塚彩加
ここ数週間で凄いスタミナがついてきているらしい。
オリ主に教えられた呼吸法を愚直に練習している。
テニプリの技を大真面目に再現しようとしている。
波動球が使いたい線の細い系男の娘。


・最後の男女

一体なに町ちゃんとなに志くんなんだ……!!


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