※この作品はR-18です。

最強の最弱職、王女に手を出す   作:毒蛇

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第十八話 偶然の訪問

「カズマ様の作ってくれた朝食、とても美味しかったです!」

 

 早朝の陽射しが彼女の笑顔を映えさせる。 

 早起きの王女とやや二日酔い気味の護衛の為に、勤勉で真面目な俺は本日も真人間のように朝早めに起きて料理スキルをフルに使って朝食を作った。

 別段、凝った品では無かったが、それでも喜びの声を上げるアイリスの姿に頬を緩めた。

 

「ちなみに、アイリスは何が一番美味しかったと思う?」

 

「おかずをトーストに載せてサンドイッチにして食べたのが美味しかったですね」

 

「普段はあのような行為はされないですからね」

 

「今度からはああいう食べ方をしてみたいのですが……。良いでしょ、クレア?」

 

「……、他の方が見ていない場に限ってでしたら。あー、これもカズマ殿の悪影響ですね」

 

「おい、何でもかんでも俺の所為にするなって」

 

 甘えるように上目遣いを見せるアイリスに教育係は断れない。

 本来は厳しく王族然とした行動をさせるべきだろうが、そのような行動を強いるよりも条件付きで許可を出した方が彼女の華やかな笑顔を見れると踏んだのだろう。

 実に現金で甘いクレアの行為に何かを思ったのか、僅かに小首を傾げるアイリス。

 

「…………」

 

「どうされましたか、アイリス様」

 

「……ふふっ、クレアも少し丸くなってきたわね」

 

「!? そ、そのような筈は。レインほど暴食をした覚えは無いのですが……」

 

「なんで比較基準にあの人を出したんだ……」

 

 王女の言葉に己の頬をペタペタと触るクレア。

 世界で最も敬愛する王女の言葉とはいえ、やはり女性としては気になるのだろう。

 恐らく見た目通りの意味では無いが、唐突な言葉にクレアの頭はそこに至れない。思考が柔軟になったと暗に告げるアイリスは今度は俺の顔を正面から見やる。

 

「カズマ様」

 

「なんだ?」

 

「カズマ様」

 

「ん?」

 

「えへへ、呼びたかっただけです」

 

「――――」

 

 可愛らしい少女はほんのりと頬を赤く染め、俺を見上げる。

 気が付くと、いつの間にか僅かに目線を下げるだけでアイリスの瞳と視線を交わす事が出来るようになっている。成長期真っ只中の王女は会う度に少しずつ成長している。

 

「その、本当に見送りは良いのか?」

 

「はい」

 

 彼女の事なので限界まで一緒にいたいという言葉を聞けると思ったが。

 何か心境の変化があったのだろうか。それとも思い過ごしだったのか。

 

 ――俺はアイリスとクレアを玄関までの見送りに来ていた。

 チラリ、と玄関の扉を開けて見える空は雲一つない晴天で、思わず目を細める。

 

「あの、カズマ様」

 

「なんだ、アイリス」

 

「三日後が舞踏会ですが、ちゃんと覚えていますか?」

 

「ああ、覚えているよ。一応聞くけどアレって俺含めてもう一人までなら参加できるんだよな」

 

「え? ええ。確か紙面に記載されている通りだと思います。カズマ様がどなたをお連れになるかは分からないですが……」

 

「いや、まあ一応の確認ってだけだ」

 

 ふわり、と柔和な笑みを浮かべる王女が無言でジッと俺を見つめる。

 大空の瞳に宿る感情は俺が読み取ろうとする前に瞬きで消える。そっと俺から目を離すと背後でアイリスの後頭部を黙々と見ていたクレアに一言告げた。

 

「クレア」

 

「はっ」

 

「先ほどから扉の向こうが騒々しい気がするのですが……。少し見てきてくれますか」

 

「すぐに黙らせてきます」

 

 少なくとも俺には何も聞こえなかった。

 それはクレアにも感じた筈だろうが、察しと思いやりの心が外に向かわせる。

 僅かに眉を寄せた白スーツの女はチラリと俺に視線を向けるも、何も告げる事なく外へと向かう。扉を通り視界から消える女騎士を余所に、俺の服の袖を引っ張るアイリス。

 

「カズマ様」

 

「アイリス」

 

 邪魔者、というよりも若干空気を読まれたような気がしたが、兎にも角にも玄関に若い男女が二人。ロリ属性もそろそろ返却した方が良いのではと思う可憐な美少女と、はたまた世界の邪悪たる根源、魔王を倒した唯一の勇者。

 互いの声が重なる事態に気恥ずかしさを感じると、アイリスが口を開く。

 

「あの、先にどうぞ」

 

「……これ、返さないとなって、ほら」

 

「ずっと、持っていてくれたのですか?」

 

「ああ。アイリスに逢えたら返そうって思っていたけど、何だかんだで忘れちゃって」

 

 懐から俺が取り出したのは、彼女が以前身に着けていたぶどうの髪飾り。

 葡萄のような髪飾りは彼女と初めて出会った時から着けていた思い出深い品だ。

 それを見せると瞳を大きく見開いたアイリスは、俺を見上げて薄く微笑む。

 

「……それは、お兄様が持ってて頂けませんか?」

 

「良いのか?」

 

「はい。今の予備の物もありますし……私と同じように、それを見る度に私の事を想って頂けたら嬉しいな、なんて……」

 

「見る、見る、見ちゃう、見ちゃう! 毎日だって見ちゃうね」

 

「ふふっ、それならお揃いですね」

 

 そんないじらしい事を告げ、左手の指輪を撫でるアイリス。

 気恥ずかしさと期待を寄せた瞳、上目遣いで俺を見る彼女に一も二も無く頷いていた。

 

「分かった。ならこれは俺が貰うよ。……俺からは以上だけど、アイリスは?」

 

「……抱き着いて良いですか?」

 

「いくらでも」

 

 パッと顔を明るくして、飛びつくアイリスが俺の首に腕を廻す。

 圧倒的ステータスで背骨をへし折る事も容易だろうに、こうして俺に触れる時は、アイリスの力加減は絶妙だった。

 まるで、壊れ物を扱うかのように、大事なモノを壊さないようにするみたいに。

 無言で行われる王女からの抱擁の優しさに俺は思わず息を止めた。

 

 ――どくん、どくん、と聞こえる鼓動はどちらの心音か。

 耳を澄ませると落ち着く音、俺の胸板に軽装越しに押し付けられる発展途上の少女の乳房がむにゅ、むにゅ、と潰れる程に押し付けられるのが分かる。

 肩に頭を預け、彼女の甘い香りと熱い吐息に背筋がゾクゾクする。

 そんな状況下で聞かされる、王女の蕩けたような声色は喉を鳴らす程に艶やかだ。

 

「カズマ様……」

 

「ぁ、いや、まあ俺としては別に良いんだが……流石にここですると確実にバレると思うんだが、寧ろアイリスがクレアに見せつけたいっていうならやぶさかではないぞ」

 

「違います! そういう事じゃなくてですね……。やっぱり今日一緒にお城に来ませんか?」

 

「……それは」

 

 良いんじゃないだろうか。

 こんなにも愛らしく、健気で、可愛らしい王女からの誘いなのだ。

 何も考えず、彼女の差し出した手を取ってこのまま一緒に城で暮らそう。

 

「――悪い。当日までには必ず行くから」

 

「そう、ですか……。カズマ様にも予定はありますものね」

 

「ああ。だから、次に逢ったらいっぱいエッチな事しような。アイリスが隠しているエッチな本探して、その内容を城で全部やろっか」

 

「それは……!!」

 

「今、期待した?」

 

「ししし、してません! あと探そうとしないで下さい」

 

「エロ本隠しているのは否定しないのか」

 

「~~~~!!」

 

「痛い痛い、折れるからマジで」

 

 そんな会話を至近距離で囁くようにしながら強張った手を彼女の背中に。

 もう片方の手を王女の後頭部に置くと、小柄な王女の柔らかさを感じる。

 ふわりと漂うアイリスの香りが鼻腔をくすぐる中で、王女の囁き声に耳を傾ける。

 

「カズマ様って私の髪を撫でる事が多いですけど、髪の毛に触るのが好きなんですか?」

 

「うんや、誰でも良いって訳じゃない。触り心地の良いアイリスの髪が特別なんだ」

 

「それは……嬉しいです」

 

 ゆっくりと彼女の髪を撫でる。

 普段から大事にしているのだろう、女の命とも呼ぶべき美しく滑らかな金髪は俺の指から川の水のように零れ落ちて、後には微かな余韻だけが残る。

 そんな風にしていると、ふと俺の頭部に置かれるアイリスの手。

 

「どうしたー?」

 

「私もカズマ様の髪、撫でたいです」

 

「俺のなんか触っても……」

 

 ――その手の温もりに思わず閉口する。

 毛の流れに沿って優しく触れ、梳いていく少女の手のひらと指の柔らかさ、普段触られる事の無い頭部を撫でられる事に、くすぐったくも不快ではない何とも言えない気分に浸る。

 撫でやすいように屈み、背中に廻した腕に力を籠めると、んぅ、と王女の吐息が零れる。

 

「……カズマ様。私、これからもっと大きくなりますね」

 

「おっ、そうだな。出来れば俺の背を越さない程度で頼む」

 

「背丈だけじゃなくて胸とかも……それに、カズマ様が疲れた時にはこうやって優しく頭を撫でたりしていっぱい甘やかしますね。だから――」

 

「――――」

 

「――愛して、います」

 

 唐突な愛の告白に息を止める。

 アイリスの声音が鼓膜を震わせる。

 こそばゆい吐息混じりの甘い声音、抱擁は優しくも逃げる事の許されない物だった。

 愛していると、言葉にする王女は呆然と口を半開きにする俺の唇と唇を重ね合わせた。

 

 重ね合わせた。

 

 

 

 +

 

 

 

 

 アイリス達を見送り、残された俺は悶々とした気分だった。

 雰囲気的にはそのまま玄関で、という事も出来たのかもしれないが、流石に護衛がすぐ傍にいるという状況下で挑む勇気は少しだけ足りなかった。

 なればこそ仕方がない。サキュバスの経営する店に向かうしかない。

 

「アクアー」

 

 遠慮がちに彼女の部屋、扉をノックするも反応はない。

 出掛ける事を事前に伝えようと思ったのだが、反応すら無い事に俺は苛立ちを覚える。色々なしがらみ含めて扉を蹴破りたい気持ちに囚われるが、大人の俺はグッと我慢した。

 

「おい、なんちゃって女神。お前、起きてんのか寝てんのかぐらい話せよ」

 

 返事はない。

 完全に舐められていると判断し、ドアのノブを廻す。

 

 引き籠りに慈悲は無い。布団を被っているであろう自称女神を部屋から引き摺りだし、情緒不安定な理由も何もかも聞き出して、わんわんと泣くほどに説教しようと心に決めていた。

 

「あんまり俺を舐めんなよ。今日のカズマさんは昨日と一昨日のカズマさんにやるように言われて覚醒したんだよ……って」

 

 瞳を見開いて、薄暗い部屋を見渡す。

 閉じられたカーテン、転がる酒瓶、机と棚には数冊の本。

 意外にも殺風景な彼女の自室、そしてベッドは既にもぬけの殻だった。

 

「……?」

 

 なんとなく探偵のようにベッドに手を宛がうも、シーツは冷たい。

 念のため毛布を剥ぐと見つかったのは空の空き瓶と俺が生前着ていた緑色のジャージだ。

 

「あいつ、とうとう服の見分けもつかなくなったのか。着たのか、これ?」

 

 呆れながらもくしゃくしゃになっていたジャージの上着を回収する。

 まさか、また家出ではないだろうかと思い始めるも、テーブルにメモを見つける。

 

 ――アルカンレティアに行ってきます。夕方には帰るからご飯一緒に食べよーね。

 

 要約するとこんな内容のメモ。

 誰に宛てたかは記載していないが間違いなくアクアの筆跡だった。

 なんとなく陽光に透かしたり裏返したりしたが、それ以上の内容は特にない。

 

 追い掛けるべきだろうか。

 そんな事を考えるも、頭を振って諦める。

 別に保護者ではないのだ、放置しておいて問題はないだろう。

 

 アクアの部屋とは言えども流石に部屋の中を好きに漁る趣味は無い。

 どのみち彼女の部屋にあるのは宴会芸の道具やよく分からない石ぐらいだ。誰もいない無人の屋敷に取り残されている事に気が付いた俺は、無言のままに屋敷を飛び出しサキュバスの店へと向かう事にして。

 

「ぁ」

 

 玄関の扉を開けた瞬間、目を丸くしたクリスを視界に捉えて、咄嗟にスティールした。

  

 

 

 +

 

 

 

「まったく……キミね。いきなりパンツをスティールするってどういう事なのさ」

 

「そこにパンツがあるから。あと……」

 

「あと?」

 

「盗んだ時の反応が面白い」

 

「…………」

 

「い、今のは冗談だから」

 

 条件反射的な物だ。

 そこにクリスがいたから。その反応が面白いから。

 理由などいくらでも脳を過るが、それ以上に気になる事がある。

 

「なんで気づいたんだ。今日のスティールは完璧だったんだが」

 

「いや大声でスティール! って言っていたじゃん! すっごいスースーするし」

 

「今日は薄青のパンツでしたね! 薄青のお頭!!」

 

「ちょ……声大きいから」

 

 半眼で俺を睨む彼女も俺の言葉には焦りを覚える。

 落ち着くようにハンカチを渡そうとして、奪った戦利品をズボンのポケットから取り出してしまう。生地は柔らかくリボンの付いたどこか可愛らしさのあるショーツだ。

 思わず鼻を布で覆うと顔を赤くしたクリスが掴み掛かってくる。

 

「何ですか、お頭」

 

「何ですか、じゃないよ! 何、堂々とパンツの匂いを嗅ごうとしているのさ!」

 

「パンツじゃないです。ハンカチです」

 

「パンツだよ!? というか、助手君。それで何枚目だよ。一枚あったら十分でしょ! 返してよ! 下着って結構お金掛かるんだから!!」

 

「あ、こら……!」

 

 奪った布切れで汗を拭き、掴み掛かってくるクリスに抱き着き返す。

 ホットパンツとシャツ、襟巻と軽装備な格好の盗賊娘を押し倒し、逡巡の末にくすぐり攻撃を決行する。腋や腹など剥き出しの肌をデストロイヤーのように動く指の腹で悶えさせる。

 ホットパンツからすらりと伸びた腿を撫で、柔らかな腹や腋をくすぐる。

 

 髪の毛、指、爪、舌。

 己の全てを使って目の前の銀髪の女を強制的に笑わせ、悶えさせる事に専心を置く。

 

「あ、ははは!! やめっ、やめってば!! こ、くふっ、この……!」

 

 わしゃわしゃと指の腹で乙女の柔肌をくすぐる。

 ジタバタと暴れる少女とマウントを取り合いながら玄関でレスリングに励む。激しい戦いで強制的に笑みを零し合いながら、胸の内に秘めた熱い思いを相手に発散し合う。

 くすぐりという戦いはたった数分、しかし全てを出し切った数分後に終わりを見せる。

 

「わ、分かったから、あは、ははは……!」

 

「へいへい、お頭。まだいけますよ~」

 

「くぅぅ……! こ、この……! て、てんばっ、落とひまっ……」

 

「えっ、なんだって?」

 

「ひゃぁぁ、あはは……!!」

 

 思った以上にクリスはくすぐり攻撃が弱かったらしい。

 幼稚と侮ってはいけない攻撃、普段は清楚な女神、たまに盗賊を行う銀髪が最も映える女には刺激が強すぎたのだろう。天罰を落とすなど大人げない女神の戯言にときおり難聴になる俺が何度目かの形勢逆転を果たそうとすると、思わぬ刺激を股間に喰らった。

 

「おひょ!?」

 

「ふ、ふん。助手君ってばこんなに大きくしちゃってさ……本当にいやらしいよ」

 

「エロス様! エロス様が降臨された!!」

 

「その呼び方はやめて!」

 

 俺を床に組み伏せるクリスが膨らんだ股間を撫でるように手で触れる。

 意図せぬ彼女との蜜な触れ合いは、燻ぶらせていた情欲を昂らせてしまった。

 

「こんなお遊びで大きくしちゃうカズマ君はいけない人だね……」

 

「くっ、そんな言葉攻めなんかに」

 

 意外にもノリノリな彼女は俺の剛直を撫でる手を止めない。

 玄関の床で仰向けになる俺の股間にクリスの頭が、俺の頭部には彼女のホットパンツという体勢。やられたままでいるのは性に合わないのか、チラリと俺を見る青紫色の瞳には羞恥以上に嗜虐的な感情が渦を巻いていた。

 このまま好き放題に言葉攻めを受けて良い物か。それもまた良い物だと思う微かな思考を蹴散らして、俺は全身全霊を持って調子に乗った盗賊娘の撃破に努める。

 

「どこ触っているんですか、お頭。俺の身体を弄びやがって……清楚ビッチめ、覚悟しろ!」

 

「はあ!? 誰がビッチって、わぁあああ!!」

 

 ずるりと両手で掴んだホットパンツを脱がす。

 ベルトごと引きずり下ろした瞬間、悲鳴を上げるクリス。脱がされるホットパンツを掴む時間すらなく、いっそあっけないと思うほどに彼女の恥部が男の前に晒される。

 

 当たり前だがスティールしたショーツは身に着けていない。

 ホットパンツを履いているからと、大きく開いていた脚を閉じようとするも、太腿を掴んだ俺は内腿へと頭を滑らせる。

 

「――――」

 

 音が消えた。

 違う、太腿が俺の耳ごと頭部を挟み込んでいるのだ。

 密着し肉に締め付けられる状況から解放される為、俺は目の前の恥部を見上げる。

 

 抗議の意味を込めて両手で彼女の尻肉を揉み、叩く。

 ホットパンツが直に包んでいた臀部は独特の感触を持ち、しっとりとした餅肌が俺の手のひらに伝わる。広げたり揉んだりしていると、一層俺の頭の締め付けが増すが構う事は無い。

 薄暗くも貝状の肉が目の前に映りこむ。

 サーモンピンクの肉に薄く生えた髪色と同じ薄い性毛をジッと見る。

 

 狭苦しい空間で、音も聞き取れず彼女の性臭を肺に送り込む。

 そんな状況下で活路を見出すべく俺はあーん、と口を開く。その行為を悟ったのか、身体を震わせ何かを告げるクリスの声が振動で伝わるが、意味も分からず、貝状の肉に齧り付く。

 

「~~~~!!」

 

 ビクッと身体が震える。

 それを振動で感じながら、咄嗟に浮かばせようとする腰を掴む。 

 

 再度齧り付く。

 豪快に肉の果実に噛り付き、滲み溢れる蜜は舌で舐めとる。

 普通の食事よりも下品な音を立てて、肉厚な果実と滴る蜜液を味わう。

 

「やっ、ふっ、ぁ……っ、っ」

 

 むちむちとした腿が俺の頬を締め付けるが気にはならない。

 高級な果実をじっくりと味わいながら両手でも桃尻を味わい尽くす。

 骨までしゃぶり尽くす気で大きく開いた口で恥部を含むも、しかし女神もされるがままでは無かった。痛いほどに膨張した怒張を押し付けていた拘束が突然解放される。

 ぶるん、と限界まではち切れんばかりに反り立つ剛直が天井を向くのを感じた。

 

「わぁ……!」

 

「何脱がしているんですか? 変態ですか? そんなに見たかったんですね」

 

「た、棚に上げて……!」

 

 反撃を試みるつもりなのか、同じようにズボンを下ろし局部を晒す銀髪の女。

 欲望に塗れ、先走りが肉茎を伝う中、おずおずと柔らかい手のひらが竿を包む。自分を女にした己の肉竿を見てどんな顔をしているのか猛烈に気になるが、それ以上に意識は目の前の果実に集中している。

 何よりも意識がそちらに移れば女神に敗北する可能性が高まるのだ。

 

「ぁ、む」

 

「ぉ」

 

 思わず舐めようとする舌が止まる。

 ぬぷりと沼に浸かったような、ぬめる口内に亀頭が囚われる感触に呻く。ゆっくりと頭を上下に揺すっているからか、舌が雁裏を舐めとる感触に射精感を高められる。

 ざらついた舌の感触が蛇のように唾液と絡む度に、息を止めそうになる。

 

 積極的なクリスの奉仕は流石に女神と呼ぶべきものか。

 やわやわと睾丸を撫でながら、飴を舐めるように亀頭を集中的に舌で愛撫する。そうして唾液と先走りでてらてらと濡れた竿肉を掴むと無造作に上下に擦り始める。

 

 前回とは異なり、抵抗するクリスの愛撫に声が漏れる。

 堪えようとする度に、もっと聞きたいとばかりに手や舌、唇と、激しくも心地良い絶頂へと着実に導かれる。

 

 これは不味いと思った。

 ちんけなプライドの問題だ。ここでなすすべもなく果てたくはない。何よりも、重ねた身体の隙間から俺にチラリと目を向けるクリスが微かに見せる余裕の表情が癪に障る。

 クンニリングスを再開しながら俺は起死回生の一手を繰り出す。

 

「んぇ?」

 

 ゴロリ、と体勢を変える。

 先ほどまでは俺が下であったが、今度はクリスが床の上で仰向けになる。それでも離さないクリスの口腔行為に思わず射精寸前まで追い込まれながらも、決死の抵抗を試みる。

 

 彼女の上に圧し掛かると健康的な太腿が俺の頬から離れ、圧迫感が消える。

 体勢を変えた事で、先ほどよりも盗賊娘の恥部がより鮮明に視界に入る。そうして陰唇部上部に生えた薄毛を掻き分けると包皮に包まれていた小さな肉粒に指を添える。 

 

「もぷっ! ……ん、ん」

 

 敏感な器官は指で触れただけで、少女は反応を示す。

 口に含んだ剛直にむせ、クリスの歯が竿を擦る感触に俺は眉を寄せるも、人差し指でザクロの実のような粒をカリカリと擦ると、ぴんと彼女の背筋が伸びたのが分かった。

 

「んうっ……!」

 

 雄の肉棒を咥えながら抗議の声色を聞かせる盗賊娘。

 目の前にある陰核が指で弄られるとこれだけの反応を示すならば。

 

 ――あーんと口を開ける。

 

 俺が何をするつもりなのかを悟ったのかクリスが嫌々と首を振る。

 その度に歯が肉竿を擦るが、もはやそんな事は気にならない。

 

 薄い包皮を捲り露出したクリトリスにキスをお見舞いする。

 

「んぶぅ……ッ!!?」

 

 びくびくとクリスの身体が震え、肉棒を握る手に力が入る。

 咄嗟に立ち上がろうとするクリスの下半身を腕で押さえ、ひたすらに一点を攻め立てる。

 

「ぃ、ぅうっ!」

 

 唇の肉で挟み込み。

 

「んぅ、ん~~!」

 

 側面から舌で弾き。

 

「~~~!!」

 

 唾液を塗りたくり、バキュームのように唇の肉で尖端を吸う。

 俺を圧死させようとしていた彼女の脚は硬直すると同時に床をくねり動く。ビシビシと張りのある腿が俺の頬を叩くが、決して女神への奉仕は止められない。

 先ほどまでよりも新鮮な蜜が花弁から溢れる。

 その度に舌で掬って、肉粒に塗りたり、一気に吸う。それを繰り返す。

 

「んぅ! ……ふっ……ふー……」

 

 鼻息荒く、俺の怒張を吐き出そうとするクリス。

 抵抗するように頭を揺らし、硬質な歯や頬の感触が俺に射精を促す。

 思わぬ快感に、思わず腰を上下に揺すり幸運の女神の口内を犯していた。

 

「んぶっ! えばっ!」

 

 苦しそうな声とは裏腹に花弁からしとどに溢れる蜜が床に滴り落ちる。

 膣襞の締め付けとは異なり、ピストンを繰り返す度に頬肉や歯、喉を亀頭がつつき、彼女は激しくむせた。先ほどの余裕の姿から打って変わり、必死に逃れようとするクリスの姿に獣欲が満ち溢れる。

 

「……!」

 

 更なる追撃を試みるべく、ゆっくりと指を花弁に挿入する。

 にじゅん、と熱くぬめる締め付けが人差し指に伝わるのを感じながらも、指を曲げてクリトリスに近い膣壁を擦り刺激すると彼女の呼吸が一瞬止まるのが分かった。

 

「んゆぅぅ……ッ!!」

 

 俺の舌と指の動きにクリスの声が裏返った。

 外から中から、同時に肉粒を刺激すると剛直を咥える口が限界まで吸い付く。

 

 直後に真下への射精。

 

「お」

 

「~~~っ! ……っ」

 

 ぷし、ぷしゃ、と顔に掛かる飛沫が花弁から噴き出す。

 全身を硬直させたクリスの喉奥に一滴残さず吐精すると、彼女はガクッと身体を弛緩させる。クリスの下腹部に頬擦りする俺は、しばらくの間射精の余韻に酔いしれる。

 解放感に浸りながら身体を起こし振り向き、彼女の顔を見下ろす。

 

 むせた事で唇から零れた白濁と唾液が顎まで伝っている。

 どこか放心した様子で天井を見上げる姿は、まるで路地裏で犯された生娘の事後のようにも思えた。涙目で喉を鳴らして雄の精液を呑み込む殊勝さに感動した俺は、脱がされたズボンを戻すとポケットからハンカチを取り出す。

 

「――――」

 

 ゆっくりと彼女の顔を汚した白濁を拭くと意識を取り戻したのか、ジロリと俺を見上げる。

 涙目で俺を睨む姿には恐怖よりも安堵を覚える俺は笑みを浮かべると、精液を吸収し拭き終え、やや変色した薄青のパンツを本人に返した。

 ハンカチが彼女の頬に当たると、ゆるゆると動く手が布切れを掴み取る。

 

「おら、返すよ」

 

「…………」

 

「このハンカチ、流石に精子の付いたパンツじゃ俺の宝にはならないしな!」

 

「おらあああああっっ!!」

 

「もがぁっ!!?」

 

 口に押し込まれたハンカチは何とも言えない味がした。

 

 

 

 +

 

 

 

「悪かったって。調子に乗ったのは謝るから」

 

「…………」

 

 玄関からリビングに戻りクリスと対峙する。

 どこかムスッとした雰囲気を漂わせ、此方を半眼で睨む女はパンツを履いていない。

 

「いや、ほら、ムラッとしてきた時にちょうどクリスがいたからさ。それにじゃれ合っている時に興奮を隠せずに痴女ってきたのはお前が先だろう?」

 

「痴女ってないから! 先にセクハラしてきたのはカズマ君じゃん!」

 

「でもさ、ちょうど扉開いたらクリスがいたらセクハラするじゃん? 可愛いお頭を目の前にしたら野獣になるじゃん? それに仕事を手伝っている間は、エロス様が身体を好きにして良いって言ったじゃん。俺は悪くない」

 

「エリス様じゃないって……、今なんて?」

 

「それよりも今日はどのような要件で?」

 

「うん。前の仕事の事でさ大体の目途が……」

 

「ちょっと待った」

 

 頬を掻きながら要件を口にしようとするクリス。

 その姿に思うところがあり、彼女の言葉を止めると俺は口を開く。

 

「今、思ったんだけどさ」

 

「何かな?」

 

「すっごいムラムラしている時にさ、アイリスもアクアもいないこの時間に、扉を開けたらクリスがいた、なんて……」

 

「――偶然だよ」

 

「偶然」

 

「アクア先輩もいないし、アイリスさんも帰ったタイミングを見計らった訳じゃないからね。ちょうど扉を開けようとしたらキミと鉢合わせたってだけだからね」

 

「――――」

 

「本当だよ」

 

 頬を掻く時は大抵困った状況下にいる時だ。

 思った以上にストーカー技能の高そうな女神に思うところは無くはないが。

 

「じゃあ、偶然って事で」

 

「うん、偶然」

 

「で、本音は?」

 

「…………」

 

 ――浮かべた微笑に言葉は無かった。

 

 

 

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