応接間、椅子に座らせた銀髪少女と水色の女神とテーブルを挟み、同じく椅子に座った王女は、少女は、彼女は、――アイリスは薄く笑っていた。
「メイドの気分は如何ですか?」
「うん? まあ、それなりに新鮮な気分かな。普段は盗賊として活動しているからね」
「女神としてもですよね」
「そうだよ。だからこそ、こうして王女様に仕えるという経験は新鮮なのさ!」
クスクスと笑う銀髪の少女。
快活な笑みと露出する肌の少ないメイド服を見せる彼女は卓上の紅茶を手に取る。姿勢良く王族のように優雅に飲む彼女を黒を基調とする衣装と白銀の髪色がより妖艶な姿へと引き立てる。
その隣でジッとアイリスを見る一人の女神、絶世の美少女もまた茶菓子を口一杯に頬張る。
「それで」
「はい?」
「わざわざ私たちだけを招いたという事は、そういう事で良いんだよね?」
茶菓子に手を付けるだけで口を開かないアクア、彼女を置き去りにクリスが口を開く。
「……そういう事、とは」
「前に私が言った提案を呑む、という事だけど」
「エリスってばさっきから何の話をしているの? お菓子を食べに来たんじゃないの?」
「先輩はちょっと黙っていて下さい」
唯一話を知らなさそうな彼女にピシャリと言い放つクリス、その首を絞めようとするアクアを尻目に彼女が告げた提案についてを思い出す。
なんて事は無い、ある一人の男を巡った女たちによる提案話だ。
「色々条件はありますが、カズマさんと私たちが結婚する事を王家が認めるという提案です」
改めて言い直すクリスはほんのりと頬を赤らめる。
今更言葉に出して恥ずかしがっているのか、或いはただ男受けするあざとい演技なのか。
「その提案の話ですね」
「じゃあ、呑むって事で良いんだね?」
「ええ」
そう言葉を放った瞬間、どこか淀みかけていた空気が霧散するのが分かった。
ニコリと笑みを浮かべる女神、物分かりが良くなった子供を見るような微笑を浮かべる白銀の彼女は青紫の瞳に安堵の色を見せると紅茶の入ったカップを傾ける。
「なら、あたしたちはアイリスさんの支援をするって事で」
「ええ」
「ねえちょっと! 二人だけで盛り上がってないで私にも教えてなさいよ」
話し合いの場、それを搔き乱すようにアクアが喚き立てる。
彼女こそカズマが最も信頼を置く女神、エリスでもアイリスでもない無意識の内にカズマが求める慈悲深い少女だ。基本的に余計な事しかしないと愚痴る彼が最期の最期に求める相手。
『あく、あ』
あの時、あの一瞬、目の前にいた自分では無く女神を呼ぶ彼の姿を思い出す。
内臓を失い、手足を無くし、出血は止まらず目の前でその体温が冷たくなる瞬間を見届ける合間、震える声音はただ一人の女の名前を呼んだあの瞬間を。
喪う事の絶望と、呼ばれる相手が自分で無かった事に対する自身の傲慢さと愚かさを。
彼らの関係を考えるとそれも必然なのだろう。
めぐみんやララティーナよりも付き合いが長いらしく、互いの事を深く理解している関係。カズマが頼るのは最後にはアクアなのだと、以前めぐみんが愚痴っていた事があった。
だから、仕方が無いのだ。
重ねた思い出は少なく、共に刻んだ時間も少ない。
あの日、あの時、あの場所で、死にゆくカズマが呼ぶ名前がアクアでも仕方がないのだ。
「――? どうしたのアイリス?」
「……頬に少し付いていますよ。そのお茶菓子気に入りましたか?」
「そうなのよ。このお菓子美味しいわね!」
「沢山ありますから好きなだけどうぞ」
「ありがとうね」
今回エリスの他にアクアまで呼ぶ意味はあまり無かった。
ただ、少し能天気にも見える彼女もこの提案を話すにおいては聞いておくべきだったから。
王城にカズマがクリスを連れて訪れた日、彼女と湯船で話をした。
話した内容はシンプルにカズマと男女の関係になった事についてである。それを踏まえて地位や名誉を手にしたサトウカズマという男に悪い虫が付かないように女神たちが手を尽くしてくれる、代わりにアイリスを含めたアクアとエリスで彼を囲んでしまう、そういう提案だ。
「王家側も面子とか色々あるからね、最低限アイリスさんが第一子を育むまで私たちは彼と子供は作らない」
「私とカズマ様の子供が出来るまではそのまま、その後はお二人を側室として王家に迎え入れる」
「つまり? 結論から言って」
「――つまり、私とアクア先輩はもう二、三年くらいはカズマさんと王族公認の浮気関係を楽しみながら寄ってくる女に関しては皆で撃退する。そういう約束です」
「ふーん」
「屋敷でめぐみんさんやダクネスと助手君が良い感じの雰囲気になると先輩がわざと邪魔に入った時みたいに、これからも私たち以外の女がカズマさんとそういう感じになったら邪魔をする、あまりする事は変わりません」
「わ、私はそんな事していないわよ。というか二回も言わなくて良いから」
エリスとクリスの口調を交互に変えて話すメイドは後輩女神を揶揄う。
そんな事実は無いと顔を赤くして否定、ポリポリとクッキーを頬張るアクアは紅茶と共に嚥下すると納得とばかりに頷く。
理解が及んだのか、しかし水色の瞳はジッと王女の顔を見つめる。
豊かな胸を机に置いて小首を傾げる彼女は、アイリスの目を見続けると小さく笑う。
「どうかしましたか?」
「ううん。カズマはこんな良い子に手を出したんだな~って。これからよろしくね」
「……ええ」
そうして一息置いてから、ふとアイリスは気になる。
エリスとは何度も話をしているから、此方の都合なども踏まえて二番目以降に甘んじるという事は理解できなくも無い。
ただ、アクアはどうなのだろうか。
控え目に言ってあまり考えているように見えない彼女は、いったい何を考えているのか。
「アクア様は自分が一番になれなくても良いんですか?」
「今はそれで良いわよ」
「……今は?」
「カズマの魂はもう私とエリスのモノだから。何があってもカズマが私から絶対に離れない以上、誰が一番とかどうでも良いのよ。カズマとはこれから先もずっと一緒だからね」
「え……」
それは余裕という名の優越感を含んだ笑みだった。
満腹になったのか、満足気に腹部を摩るアクアはカップを優雅に傾ける。そしてコースターにカップを置く頃にはまるで恋する乙女のように眦を和らげて思い出すように囁く。
「あの日以降、カズマは私のモノになったから……」
「あの日?」
「天界で申請してね? 正式に私の眷属とする事でエッチしても力を無くさないようにしたのよ。本当は人間とエッチな事をしたら女神の力を失っちゃうから、魂に呼び掛けて拒絶される事なくエッチしたらそれで眷属の儀式は完了。女神の力を一部行使出来る眷属ならエッチをしてもセーフっていうガバガバな規定だけど、そうなる前までは不安でいっぱいだったから」
「――――」
「カズマにはまだ言ってないけど。でも責任は取ってくれるって言ってたから。死んだ後も私たちはずっと一緒だからね! だから今はカズマとゆっくりと関係を進められたらそれでいいかなって。もちろんアイリスとも仲良くなりたいと思っているわよ。アイリスっていい子だから」
「あたしもそんな感じかな。先輩ほど悠長じゃないけど」
自分のモノであり、決して自分の元からは去らない。
それが確定しているからそこまで積極的ではないのか。女神と人間との価値観、その違いはこうして話をする事で理解が進む。
何があっても最終的には自分のモノになるからアイリスの敵にはならない。そう言っている。
「――――」
その驕りを、余裕を、崩してやりたくなる。
死後をも含めた事なんて齢十代のアイリスには想像すら及ばない。
普段どんな事をしていても神はやはり神。その考え方は人間には理解出来ないのか。
「でもアイリスはどうしてこの提案を呑んだの?」
「えっ?」
ジッと見つめてくるその瞳、水色の瞳を見返してその疑問に答える。
「――私が弱いからです」
もっと強かったら、強力な回復術があったら、蘇生が出来たなら。
あとになって思い出す後悔、飛び散る鮮血、胸中を過る無力感と絶望に奥歯を噛み締める。
人生であれほどに狂ってしまう程に殺意を覚えて、己の無力さに虚無感に包まれて、圧倒的なその存在に希望と絶望を見出した。
アイリスではどうあがいてもアクアやエリスのような存在にはなれないと。
剣の腕を始めとした戦闘技術ならこれからも上がるだろう。
だが、吹き飛んだ腕やまろびでた臓物を一瞬で修復する術など持ち合わせていない。
何よりも死んだ人間を後遺症の一つすら無く蘇生する事が出来るプリーストは殆どいない。
本来蘇生魔法というのは超高等魔法、爆裂魔法と同等以上に高い習熟度が必要とされる。仮に出来たとしても一切の後遺症の無い完全蘇生など、まして多くの人間に同時に行うなどありえない。
まさしく神の奇跡と言うべきだろう。
「――――」
本当は側室だって嫌だ。浮気なんて許したくない。
彼を独占したいと、そう思う気持ちが無い訳では無いのだ。
ただ、それでもカズマの支えとして彼女たちがいた方がきっと良いのだろう。
「……カズマ様にはもう傷ついて欲しくないから」
赤い色は嫌いだ。血を連想させるから嫌いになった。
冬将軍の時のように傷を負っても、自分とは違いすぐに治せる彼女が近くにいてくれるなら。
結局のところ、感情よりも打算を優先した結果だ。
それでも、多少の損失に目を瞑ってでも、アイリスにとって彼を失う事だけはあり得なかった。
カズマは決して心と身体が強い訳ではないのをアイリスは知っている。
数多のスキルと市販の武器を使って戦う彼は機転を活かして絶対的なステータス差を覆す。そうして小さな隙を幸運が掴むまで耐えて、理不尽な事など跳ね除けてくれる、そんな男だ。
セクハラが大好きで、相手が誰だろうと粗雑な口ぶりを止めない。
周囲を思いやれる強い心を持っていて、愚痴りながらも仲間の求めに必ず応える彼は、それでも決して特別な男では無い。
悲しい事には涙を浮かべ、痛みには悲鳴を上げて、血を流し過ぎると簡単に死んでしまう。
特別でもなんでもない、普通の人なのだ。
これから先、彼と一緒になるのなら頼り続ける訳にはいかない。
未知の事を教えられて、城の外に連れ出して貰って、何もかも任せて、縋りついていて、此方から何も与えられないのなら、いつかカズマだってアイリスを重荷に思ってしまう。
いつの日かサヨナラを告げられる、そんな日がくることなど、想像するだけでも恐ろしい。
もう、この身体は、心は知ってしまったのだ。
あの腕の硬さを、抱擁の強さを、温かみを、匂いを、優しさを、愛おしさを、その眼差しを、サトウカズマという甘い果実の味を。
何も知らない子供だったあの頃にはもう戻れないのだ。
喪う不安を、彼女たちを許容するだけで減らせるのなら仕方が無いのだ。
あの日のカズマに信頼を置いてもらえなかった自分が悪いのだから。
「それじゃあ今日はパーッと飲みましょうか!」
「ここでですか? 一応私はまだ未成年で……」
「女神が揃って許すって言っているんだから、呑みなさいな! ほらほら!」
「あの……アイリスさん? 一杯だけですからね? 飲み過ぎると先輩みたいになりますから」
「めぐみんだってこの頃には一杯ぐらいなら飲んでいた気がするわ! 確か……」
「そういえばそろそろめぐみんさんが此方に来るらしいですが……」
だから、今はまだこれで良い。
――どのみち、最後には彼の全てを貰うと決めたのだから。
+
甘く蕩けるようなキスをする。
そういえば、初めての口付けをしたのも彼だったか。
いつだってたくさんの初めてをカズマは与えてくれる。
「――!」
ベッドを軋ませて、触れ合う度に自分の物とは思えない声が漏れる。
その声を聴きたくてカズマはアイリスに触れて、愛して、繋がって、悦ばせる。幸福とは何なのか、その答えを知り始めながら身体を貪り、虐め、絶頂に浸らせようとするカズマと触れ合う。
唇を重ねて、胸を揉まれて、快楽に耽る。
遠い異国の書物のように互いの身体に溺れるように、相手の事だけを考えて行為に及ぶ。
寝台に横たわって、組み伏せられて、上になって。
そうして男女の営みを、愛を深め合いながらアイリスはカズマの背中に腕を回す。
言葉を交わすよりも唇を重ねる回数の方が多くなってきた。
「――ッ!!」
キスというのは不思議な物だ。
頬の裏や舌裏の柔らかさは決して一人では知る事が出来ない。
こうして二人が触れ合って初めて知る事が出来るのだから。
パンパンと肉が叩く音が部屋に響く。
そんなに胸が好きなのか、最近成長している胸を揉む彼に馬乗りになりながら腰を振る。
騎乗位という体位、幾度となく彼に貫かれる度に嬌声を上げさせられ、力尽きて彼の胸元に倒れ込むも、一切の容赦はなく野獣のように彼はピストンを止める事は無い。
結合部からはしたない音を聞かせながらアイリスはチラリと壁際に目を向ける。
「――――ッ!!」
絶叫が、咆哮が、部屋の中に響き渡る。
言葉にならない程の絶叫が、絶望と憎悪を帯びた激情が、アイリスの耳に届く。
めぐみんの血を吐くような絶叫が届けられる。
「アイリスぅぅぅぅっ!!」
魔法使いが血反吐を吐くような声で名前を呼んでくる。
部屋の一角、そこの壁は魔法陣が描かれ、鎖が壁に埋め込まれていた。
そこにいる限り、指定した相手には声は届かず、姿は見られない。そんな神が用意した魔法陣。部屋の外に決して声が漏れる事はなく、彼女の讃美歌はアイリスだけに届く事になる。
「ころす! 殺す! ころっ! しね……ああああっっっ!!!」
血走った瞳は紅色に染まり、手首を拘束する鎖をぎしりと軋ませる。
だが魔力は使いきり、そもそも彼女の手首を拘束する鎖は魔力を吸収する。頭を床に叩きつけて、顔を歪めながらアイリスを睨む姿は弱々しい。
長々とカズマと愛し合っている姿を見せられれば弱まるのも当然だろうか。
「んー……」
「まったく、アイリスは甘えん坊だなー。ほれ」
「ぁぁぁぁぁっっっ!!!」
吸魔石を使用した鎖、対象の認識を阻害する魔法陣は女神たちからの贈り物だ。
自分たちの男に近寄る相手は誰であっても許さない。それがどれだけ仲が良かったとしても所詮は過去の出来事、寄ってくる有象無象は振り払い、それでもしつこく寄ってくる諦めの悪い女には現実を教える。
――貴方よりも私の方を彼は好きなのだと。愛しているのだと。
「いやだ! カズマ! カズマぁ!! 気づいて! 気づいて下さい!!」
喚き、泣き叫ぶ彼女。
金切り声だけが情緒の及ぶ室内に響かせながら男だけが意識を向ける事は無い。カズマの意識は最初から最後までアイリスを愛する事だけに注がれるのだ。
彼女が頭を床に打ち付ける度に、涙を溢す度に、縋った希望に罅が入るような音が聞こえる。
「……どうしたアイリス? さっきからそっちをチラチラ見て」
「見ていましたか? ごめんなさい。幽霊かと思ったら気のせいでした。お詫びにパフパフでしたか? カズマ様は好きでしたよね? 恥ずかしいですがそれをしてあげます。えいっ!」
「おひょ!?」
「――ちゃんとカズマ様を見ますから。カズマ様も私だけを見て下さいね」
「分かってるって。まったくどんどんエッチな王女になりやがって」
「こんな風に私を変えたのはカズマ様ですからね? 責任はとって下さい」
「はいはい」
あらゆる罵倒、頭を回して考えられる限りの憎悪を叩きつけるめぐみん。
そんな彼女でも、こうしてキスをして、恋人繋ぎをして、身体を触れ合って、男女の営みをして、愛し合う姿を最高の客席に見せ続けるとゆっくりと弱っていく。
決して嘘でもハッタリでも無い、カズマとアイリスの関係を彼女に教えてあげるのだ。
「責任なんかいくらでも取ってやるから! オラッ! 孕め!」
「ひゃぁぁあああ!!」
意識が僅かにでもそちらに向かった事を注意するように強い口調のカズマが腰を突き上げる。痛みは無く、甘い快楽が脳を麻痺させるように、結合部から噴き出す飛沫がシーツを汚す。
自然と頬を緩ませて、耳朶に響く悲鳴に瞼を閉じる。
「いやだ……いやだぁ、カズマぁ……」
嫌々と首を振り、目の前の光景を否定するように床に頭を打ち付けるめぐみん。
怨嗟の怒号を上げていた魔法使いは今では狩人に駆られる獲物のように弱々しく、しかしアイリスが目を向ける事は無い。法悦の空に上り無理やり唇を奪われるように愛しい男とキスをする。
「――――」
ふいに身体の奥に注がれる熱い男の子種。
一滴も残さないと、ドクドクと注がれる白濁を身体が悦ぶのを感じながら絶頂の余韻に浸る。アイリスを強く抱きしめるカズマの腕の力強さを、汗と体臭の混ざった性臭を身体で感じる。
そうして余韻に浸りながら彼の頬に触れるとアイリスは問い掛ける。
「カズマ様」
「んー……?」
「めぐみんさんとどっちが気持ちよかったですか?」
「えっ? いや、そもそもめぐみんとはこういう事はしていないけど……」
「…………」
黒い瞳がアイリスを捉える。
何かを察したのか、頭を撫でながら天井に目を向けるカズマは照れ臭そうな顔をして言った。
「アイリスだよ」
「――――」
「アイリスとのキスの方が、気持ち良かった」
「――――」
「アイリス?」
高鳴る鼓動を無視して、緩まりそうな頬を必死に引き締める。
そうして王女としての気品を保ちながらも、彼の萎え掛けた肉棒を優しく手に取る。先端に僅かに残る白濁を指ですくいながら、カズマの鼓動に耳を傾けながら誘い文句を口にする。
「……もう一回しませんか? 今度は私が王族に伝わる房中術を見せて差し上げます」
「おっ、言ったなロイヤルビッチめ。さっき喘がされていたのが誰かその身体に教えてやるよ!」
「んっ……!」
もう部屋の隅になど目を向ける事は無かった。
目の前の愛する男を前に他の事など見る価値はない。抵抗すら止めた子供にはせめて彼と絆を深められたお礼として、最後までしっかりと目に焼き付けて行って貰おう。
――誰が誰と愛し合っているのかを。
「……カズマ」
呆然と此方を見る少女は、掠れた声と涙を溢す。
目を見開き、呼吸すら忘れて此方を見る子供を尻目に、アイリスは嗤った。
くすくす、と。