インフィニット・オーケストラ ~咲き乱れる百合の花~ 作:とんこつラーメン
本当はどこかでいれたいと思っているのですが、無理にでも入れようとすると、確実に違和感が生まれてしまうので悩んでいます。
この辺は全体的に見ても非常に重要なシーンで、これまでに不明だった部分の全てが明らかになる部分でもあるんです。
ですので、もしかしたら少しの間だけアンチ&説明パートになるかもです。
けど、それさえ過ぎれば…それさえ過ぎれば、後は原作を進めながら好き放題に出来るんです!
どうか、その時まで待っていてください!
ぶっちゃけ、私も辛いんです!
IS学園に到着した面々は、そのまま楯無の案内で入学式が行われる講堂へと案内される。
そこで、それぞれのクラス分けが明らかになった。
まず、セシリアと本音、真紀と厚志、それから百華とマドカの6人は一組に。
鈴と箒は二組になり、ラウラ&クロエの銀髪姉妹は3組、簪とシャルロットは4組になった。
本当ならばどこか一つに組に集中させた方がいいのかもしれないが、それでは余りにも各組のバランスがおかしくなる上に、どう考えても不自然極まりないので、各人で話し合った結果、このような組み分けと相成った。
壇上で生徒会長として話す楯無の言葉を聞きつつ、百華とマドカの二人は視線だけを端の方の教員達が並んでいる場所へを向ける。
(見つけた……)
(あぁ…遂に…この日が…)
因みに、マドカは念の為に普段は流している黒い長髪を後頭部で纏めて、髪型を変えている。
それでもまだ『バレる』可能性はあるが、それでもしないよりはずっとマシだ。
それとは逆に、箒と鈴、厚志の視線は別の方へと向いていた。
視線の先には、挙動不審になっている一人の男子生徒が座っている。
(相変わらずのマヌケ面ね…今この場でぶち殺したくなるわ…!)
(気持ちは分かるが、堪えろ鈴。そんな事をしても面白くはない)
(ふぅ~ん…彼が例の……)
箒と鈴は心の中で燃え滾るような憎悪を、一方の厚志は、心の底から興味なさげに見ていた。
そうこうしている内に入学式は進み、生徒会の一員である虚の司会の元、今度は本年度からIS学園に新しく教員として赴任する人達の紹介となった。
「それでは、本年度から教員となる先生をご紹介します」
虚が下がると同時に、それを入れ替わるようにして一人の美女が壇上に登る。
スーツを着たスコールだ。
「皆さん初めまして。私は『スコール・ミューゼル』。今年からこの学園で他の先生方と一緒に教鞭をとる事となりました。色々と勝手が分らないところもあると思うけれど、どうかこれからよろしくお願いします」
お決まりのような挨拶だが、最初なのだからこれぐらいで十分。
変に長引かせても、生徒達の不況を買うだけだし、それ以前にここの生徒達の中にスコールの事を知らない人間は約二名を除いて誰もいないので、特に騒がれる事も無かった。
その『約二名』も、スコールに関してはそこまで驚いてはいなかった。
問題は、その後に紹介された人物だった。
スコールが挨拶を終えて壇上から降りると、そこで幕の裏側から別の人物がやって来て壇上に立つ。
それを見た途端、『約二名』の顔が驚愕に染まった。
「どうも皆さん初めまして。ここで改めて自己紹介するのもあれですが、それでも一応は通過儀礼なのでしたいと思います。私は篠ノ之束。皆さんもご存じの通り、ISを開発した者です。教員ではありませんが、今年から私はこの学園に研究室を設け、学園の技術顧問をするつもりです。何かISについて分からない事や困ったことがあれば、いつでも遠慮なく相談に来て下さい。では、これからよろしくお願いします」
普段の彼女を知っている人間ならば、到底信じられない程に親切丁寧な挨拶。
これもまた束が精神的に成長した証。
百華達と出逢う事で、束は他者と関わる事を学んだのだ。
お口あんぐりな『約二名』を除いて、入学式はその後も粛々と進んでいき、何事も無く終了した。
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入学式が終わってから、新入生達は各々に割り当てられたクラスへと向かう。
一組に配属することになっている百華達は、他のクラスになっている皆と一時的に分かれてから教室へと入った。
そこでは既に他の生徒達が席に座っていて、百華達も自分の名前が書かれた席へと座る事に。
「ふぅ~ん…以外と座り心地悪くないわね」
「流石はIS学園と言ったところか。生徒の机一つとっても最新技術の塊だ」
「うわぁ~…新品の匂いがするねぇ~」
「ほ…本音ちゃん…お行儀が悪いよ……」
「本音はいつでもブレないんだね」
「本音さんらしいですわ」
最後に入ってきた集団に生徒達の視線が集中する。
それもその筈。
モノクローム・アバターと言えば、亡国に属する人間達で知らない者はおらず、そこで若きエースとして大活躍している百華とマドカの二人は同年代の少女達からすれば憧れの存在でもあったからだ。
「あれが…あの……」
「うん…噂通り…すっごい美人……」
「厚志きゅん…めちゃかわゆす…♡」
「気持ちは分かるけど、少し落ち着きなって……」
明らかに『ソッチ系』の視線で見られているのを察してか、厚志は苦笑いをして誤魔化した。
もうこの手の視線には慣れ捲っていたから。
そんな中、教壇の目の前の席で縮こまっている一人の男子がいた。
「うぅ…なんで俺がこんな目に……」
周りが全て女子な環境に肩身が狭いのか、何も出来ずに机に座って大人しくしていた。
普通ならば、女子だけの環境に少ない男子が放り込まれれば、それだけで色々とあるのだろうが、ここではそんな事は無い。
ここにいる人間の全てが『彼』の素性、本人も知らない過去の事も知っているので、誰一人として積極的に関わろうなんて微塵も思わない。
彼女達からしたら、『彼』よりも厚志の方が遥かにお近づきになりたい。
厚志にはとっくの昔に相思相愛の彼女が出来ている為、それもまた叶わないのだが。
「あいつが一人目なのか……」
『彼』の視線が厚志に向く。
厚志は気付かない振りをしてはいるが、本当はとっくに気が付いていた。
「まずは、あいつと友達にならないとな……」
妥当な判断だが、それが出来るかどうかは別問題である。
そんなこんなしていると、教室の扉が開き、そこから先生の顔となった真耶がやって来た。
「皆さん、初めまして。私はこの一年一組の副担任となった『山田真耶』と言います。職員会議で遅れてしまい、まだ担任の先生が来れないでいるので、まずは私だけが来ました。これからよろしくお願いしますね」
「「「「「よろしくお願いしま~す」」」」」
若者らしい良い挨拶。
当然だが、生徒達は真耶の事も予め知っているから、変に馬鹿にしたりはしない。
その代り、その見た目から可愛がられる事は多いようだが。
「では、担任の先生が到着するまでの間に自己紹介を終えてしまいましょうか。出席番号順と五十音順…どっちかいいですか?」
「先生…それ、どっちも一緒だぞ?」
「あっ!? 言われてみれば……」
マドカの指摘で顔を真っ赤にし、生徒達の笑い声と共に可愛らしくテヘペロをする真耶。
そんな事をしているから、未だに自分が高校生に見られることがあると自覚して欲しい。
「そ…それじゃあ、まずは『あ』の子から始めましょうか?」
「先生。どうせなら、男子二人は最後の締めにしたらどうですか?」
「そうですね。では、そうしましょうか」
百華の悪戯心で男子は順番関係無しに最後になってしまった。
厚志は全く気にしてはいないが、もう一人はそうじゃなかった。
(なんつーことを提案してんだよっ!? しかも、なんで先生もそれに乗っちゃうわけっ!?)
本人の心の中の悶絶なんて知らない女子達は、真耶に言われた通りに自己紹介を始める事にした。
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順番が進み、まずはマドカの順番になる。
「私は『工藤マドカ』。余り自己紹介は得意じゃないのだが…まぁいいか。この通りの無愛想な女だが、仲良くしてくれると嬉しい。これからよろしく頼む」
自分で『無愛想』なんて卑下してはいるが、その際に無意識の内に微笑を浮かべていて、その顔が年頃の少女達の心にヒットしたのは言うまでもない。
「次は私かしらね」
そういって、今度は百華が皆に自分の姿が見えるようにして席から立つ。
「私の名前は『工藤
美しいとしか表現出来ないような笑みを浮かべ、教室中が騒然となる。
これまで一緒にいたマドカやセシリア、本音は当然のように見惚れて、他の生徒達も顔を赤く染めている。
厚志は相変わらずのニコニコ笑顔で、真耶に至ってはなんだか足をモジモジさせ始める始末。
そして、肝心の彼は……。
(すっごい美人だ……。まるで芸能人や女優みたいなのに、あれで俺と同い年なのかよ……信じられねぇ……)
年頃の少年らしく、完全にその笑顔の釘付けとなっていた。
それからも自己紹介は続き、着実に男子二人の番が迫ってきている。
「イギリスから来た『セシリア・オルコット』を申します。故国では代表候補生を務めておりますの。どうか、お見知りおきくださいまし」
セシリアが終わり、少ししてから今度は真紀の番となる。
「えっと……『田辺真紀』…です。ISの整備とかが出来ます。よろしくお願いします」
本当はもっと色んな事が出来るのだが、自己評価が低すぎる真紀にはこれが限界だった。
そして、お次は本音の番。
「『布仏本音』で~す! マッキーと一緒でISの整備とかが得意だよ~! あと~…お菓子が大好きだから、珍しいお菓子とか見つけたら教えてね~!」
なんとも『らしい』自己紹介だった。
こうして、全ての女子達の自己紹介が終わり、遂に男子の番になった。
「それじゃあ、まずは僕から」
本当は先にしてから少しでも安心したかったのだが、その前に厚志が立ってしまった。
自分の行動力の無さを今更ながら恨むのだった。
「皆も知ってるとは思うけど、僕が世界で初めてISを動かした男である『速水厚志』です。料理やお菓子作りが好きで、よく暇な時なんかに作ってるんだ。もし機会があれば、ここにも持ってくると思うから、その時には皆にも是非とも御馳走するよ。それじゃ、これからよろしくね」
見事としか言いようがない挨拶。
これ程までに完璧な挨拶をされては、否が応でも『彼』のハードルが上がってしまう。
だがしかし、出番が来た以上はしなくてはならない。
意を決して席から立ち、周りを見渡す。
「う……!」
『とっとと自己紹介しろ』と視線で訴えてくる。
けれど、緊張の余り全く内容なんて考えていない。
もう適当でいいか。
ここで諦めの境地に至り、彼は軽く深呼吸をしてから自己紹介をした。
「お…織斑一夏…です」
取り敢えず名前は言えた。ここからどうする?
特技を言うか? いや、それだと厚志を被ってしまう。
だからと言って、他に言える事なんて何もない。
「い…以上…です」
結局、これしか言えなかった。
これで少しはブーイングなどの反応があれば少しはマシなのだが、実際には全くの無反応。
別に無視をしているわけじゃない。
純粋になんて反応すればいいのか困っているだけ。
マドカは盛大な溜息を吐き、百華は頭を抱えている。
真耶もまた苦笑いをしていて、本音に至っては普通にチップスを食べている始末。
(あ…俺の高校生活、早くも終わったわ)
一夏が絶望しかけた…その時、彼の脳天に激しい衝撃が走る。
「まともに自己紹介も出来んのか。馬鹿者」
「痛ぇっ!?」
そこには、黒いスーツを着た女性が立っていて、その手には丈夫そうな出席簿が握られている。
どうやら、その出席簿で見事な一撃をお見舞いしたようだ。
「ち…千冬姉ッ!? なんでここにっ!?」
「織斑先生と呼ばんか。自己紹介が出来ない上に、公私の区別も付けられんのか」
「いやだって……」
ここでもう一発。
「あだぁっ!?」
「二度は言わんぞ」
「はい……わがりまじだ……」
渋々ながらも席に座る一夏。
そんな彼には目もくれず、百華とマドカ、厚志と真紀の視線は入ってきた女性に向けられていた。
(遂に…あの人が目の前に……!)
(焦るな百華! まだだ…まだ耐えろ!)
(そうだよ。今はまだ動くような時間じゃない。動くなら夜だ)
(タイミングをちゃんと計らないと……)
言葉では色々言っていても、焦る気持ちは止められない。
この高まった『熱』を、どうやって放出すればいいのか。
そんな彼女達を置いて、教師二人が話し出す。
「待たせてしまって済まないな、山田先生。思ったよりも職員会議が長引いてしまってな」
「いえ、気にしないでください。寧ろ、いいタイミングでしたよ。彼で最後でしたから」
「そうか。ならよかった」
真耶と交代するようにして教壇に立ち、女性が軽く自己紹介をした。
「私がこの一年一組の担任の『織斑千冬』だ」
そこからは、出るわ出るわ。
まるで軍隊の指導教官のようなお堅い言葉の数々。
そこら辺の普通の女子高生ならば、ここで難色を示したり、千冬の言葉の一つ一つに一喜一憂したりするかもしれないが、前述の通り、ここにいる殆どの生徒が亡国機業の関係者の家族で構成されていて、彼女達がこの学園に来たのは偏に亡国機業と世界の明日を担う立派な人間になる為であり、この程度の言葉で怯むような軟な精神構造はしていない。
発言をしている千冬は、自分の弟以外の全てが無反応である事に『またか』と思いつつも、最後までちゃんと言い切った。
実は、千冬は去年も一年の担任だったのだが、その時もこんな感じで無反応だったのだ。
流石に二回目ともなれば、言う方もそこまで驚いたりはしない。
「では、これからよろしく頼むぞ」
その言葉で締められ、早速、今年最初にして新入生たちにとっては、高校生活初めての授業が幕を開けたのだった。
なんか前書きで色々と書きましたが、書き終えてから話の流れを再確認したら、もしかしたら次回辺りでエロを出せるかもしれません。
自分でも無自覚の内にそれっぽいフラグを立ててました。
けど、やっぱり本番は一連の『説明』などが終わってからですね。
そこからは一気に飛ばしていくと思います。