とある日の土曜日。今日の天気は快晴であり、家に引きこもるには絶好の日である。
普段なら家に引きこもりゲームやアニメに勤しんでいるところだが、今日は体育館に来ていた。
葵から、「今日、うちの高校の体育館で練習試合があるから見に来てちょ✌︎('ω'✌︎ )」という連絡が来た為、学校の体育館に赴くことにした。
今まさに試合が始まろうとしており、センターラインにはうちの高校の選手五人と相手の高校の選手五人が並んでいた。
目をこすり、しっかりと選手を確認してみると、葵と花苗らしき人物が立っている。
葵は背番号七番で、花苗は九番である。うちの高校のユニフォームは白色だった。
白かーー汗で透けて、下着が見えたりしないのだろうか。
以前、葵は自分はエースと言っていたが、スタメンで出場ということは葵が言っていたことは本当なのかもしれない。
審判が『ピー』と笛を吹いた。
ジャンプボールを担当する両選手がサークル内に入る。
センターライン上に立っていた審判は高らかにボールを投げた。
両選手がジャンプし、ボールを弾いた。最初にボールを手にしたのは、うちの高校の選手で、四番(キャプテン)だった。
今の時期的に、すでに三年生は引退しているため、おそらくあの四番は俺と同じ二年生だろう。
しかし、全く面識がないため、俺はその四番が誰なのか分からなかった。
やや短めの黒髪に細い華奢な体つきをしており、中々の美人である。
「葵!」
四番は葵にすかさずパスを回した。スリーポイントライン上でボールを受け取る葵。
トリプルスレットの体勢を取り、ジッと相手のディフェンスの様子を伺っている。
どう攻めるのだろうか。
すると、葵はクンとボールをあげ、シュートの体勢に入った。
「チェック!」
葵のマークは声を出し、シュートをブロックすべく、腕を上げた。
すると、葵はシュートは打たず、ボールを下げ、低い体勢でドリブルし、難なくディフェンスを抜き去った。
ゴール下まで切り込む葵。ボールを持ち、一、二と踏み込みジャンプした。
「甘い!」
ゴール下にいた相手のディフェンスが二枚飛んだ。
「おお! すげぇ!」
相手のディフェンスのジャンプ力にも驚いたが、特筆すべきはその揺れっぷり。
相手のセンターの胸がデカかった。ボヨンと上下に大きく揺れた。顔こそあまり美人というわけではないが、良い胸をしている。知り合いで例えるとしたら、美穂クラスである。
相手のセンターは葵のシュートをはたき落とすべくブンと腕を振るが、その手はボールに触れることなく空を切った。
葵はブロックを躱すべく、空中で持っていたボールを持ち替え、そのままシュートを決めた。
さっきのシュートはダブルクラッチというやつである。
俺も現役の頃は一度やってみようと思い、実際に試合で打ってみたが、失敗しコーチに死ぬほど怒られ、即交代された。
葵がシュートを決めたことでうちの高校のベンチが「ワー!」と盛り上がった。
「ナイッシュ! 葵! もう一本決めろ! オー!」
シュートを決めた葵にベンチがエールを送る。
あいつ......上手いな。とても練習をサボってる奴の動きには思えない。
「ナイスカット! 葵!」
葵は相手のドリブルをカットした。
そのまま自分でドリブルし、先頭へと踊り出た。誰も追いつけず、無人のゴールにレイアップシュートを決める。
「いいぞ! いいぞ! いいぞ葵、ありがとう! ありがとう! いいぞ葵ありがとうー!」
四点目を上げ、ベンチの士気が高まった。
その後も葵のプレイを中心にうちの高校が押していた。
葵は難なく相手のディフェンスをドリブルで抜き去る。
「ヘルプ!」
別のディフェンスが葵の進行を食い止めようとカバーに入るが、葵はノールックでフリーになった選手にパスを出した。
「ナイスパス。葵」
花苗が葵からパスを受け取った。
花苗はスリーポイントライン上の外側から両手打ち(ボースハンド)でシュートを放つ。ボールはリングに触れることなくネットをすり抜けた。
「ナイシュ! 花苗!」
パンと葵と花苗はハイタッチした。
「おおお......花苗も上手えな」
我が妹ながら感心した。しかし、ユニフォームからでも身体付きの良さが分かる。相変わらず魅力的なボディである。走るたびに胸がわずかに揺さ揺さと揺れるのが確認できた。
試合が終わる残りおよそ十秒前。葵が相手のパスをカットした。
「ナイスカット! 葵!」
葵が素早いドリブルで走り込む。前には味方の四番が走っている。
通常であれば、パスを出す局面だろう。むしろ、出さないと監督なり味方なりに怒られる場面だ。
しかし、葵はスリーポイント上までたどり着くと、四番にパスすることなく、そのままスリーポイントシュートを放った。
「な......!」
四番は想定外だったのか、驚愕の表情をした。
シュートを放った後、葵はシュートを確認することなく、後ろを振り向いた。
ピーとタイマーの音がなる。
試合終了を告げる音と同時にスパッとシュートが決まった。
「すげぇな......緑○かよ......」
驚くべき強心臓である。俺がやれば外す。間違いない。
試合は八十二対四十とダブルスコアでうちの高校が圧勝した。
ちゃんと数えていたわけじゃないが、葵がおよそ三十点、花苗がおよそ二十点ほど得点していた。
「ありがとうございました!」
両選手はセンターライン上で挨拶を交わした。
挨拶を終えると、葵は無表情でベンチに向かった。
葵がベンチに向かう途中、ちらっとこちらの方を見た。
俺と葵の目が合い、なんとなくバツが悪くなり、俺は目を逸らした。
「終わったか......花苗にバレないうちに帰るかな」
二階を降り、そそくさと学校の玄関へと向かった。
靴箱を開けようとした次の瞬間、『ピコン』という音がポケットから聞こえた。
スマホの着信音である。
スマホを確認すると、葵からLINEが来ていた。
内容を確認すると、「今日、試合応援してくれてサンクス。今から楽しいことするから、三十分後に用具室に来て(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎」と書いていた。
「なんだろう。嫌な予感がするなぁ......」
一体、用具室で葵に何をされるだろうか。そう思いつつも俺の心の中には、99%の不安と1%のワクワクがあった。