異世界帰りのハイスペック勇者様は、一緒に連れ帰ってきた最愛の狐耳少女(パートナー)と平凡で穏やかなイチャコライフを送りたい! ~微コミュ障でオタクな最強タッグのあまあMAXな共依存物語~ 作:室谷 竜司
午前中のオリエンテーションでは、まず最初に一年から三年の間に学修する各教科の簡単なイントロダクションを各担当教員から聞いた後、生徒会の役員の方々から委員会や部活動の説明を受けた。
授業に関しては、やはり日本有数の秀才校ということもあって、進行速度はかなり速いようだ。だが、クラスメイトたちから驚きや不満の声は上がらない。
そりゃそうだろう。この学校に入学できているということはつまり、それぞれ学力は日本トップクラスと言えるのだ。
俺の左隣の席の寺田君も、教員たちから各教科の少々厳しくもある授業体型について話を聞かされても特に表情を変えることはない。ただ淡々と聞き取った情報をスラスラとノートにまとめている。うん、すごく真面目だ。
俺か? 俺は聞くだけだ。態々書かなくても、この程度の情報量なら容易く記憶できるからな。能力なんて使ってません。
テストは中間・期末合わせて年四回。朱鷺舟学院は二期制なのだ。ちなみに、前期中間試験が6月初旬、期末試験が夏休み明けの9月初旬らしい。後期は11月と年明けの2月にそれぞれあるとのことだ。
また、これら定期試験の他にも、定期的というわけではないがセンター試験や高偏差値大学の二次試験の過去問を扱った実力テストも行われるみたいだ。それも、理系だとか文系だとか関係なく、全学生が全分野の問題を解かされるようだ。
流石にこれにはところどころでうめき声を上げる学生もいた。うん、確かにこれはかなりハードなのではないだろうか。正直、俺も面倒くさいという感想を抱いてしまう。左隣をチラ見すると、寺田君が少しだけ表情を引きつらせている様子が目に入った。真面目そうな彼でもこれは流石に堪えたか。
まぁ、幸いと言うべきか、これらの不定期実力テストは学校の成績には反映されないようだ。だが、この実力テストで好成績を修めておけば後々大学受験などの際に有利になるらしく、それを聞いてやる気を見せる学生もちらほら見受けられた。
それと休暇期間に関してだが、普段がハードということもあり、休暇期間中は特に補習などで学院に呼び出されるなんてことはないようだ。思ったより緩いのかもな。こちらとしてはありがたい限りだが。
続いて、委員会や部活動に関しての説明を聞かされる。どちらも俺はあまり興味がなかったので強制は嫌だなぁと思っていたのだが、どうやらそういうことはなくどちらも参加の有無は自由とのことらしい。良かった良かった。
まず委員会についてだが、その数は思ったより少なかった。なんせ、風紀委員会と放送委員会、そして学祭実行委員会の三つしかないのだ。うーん、こんなもんなのかね? 俺のイメージではもう少し多いものだと思っていたので、少し意外だった。
そして部活動について。こちらは文化部・運動部共にそれなりの数が存在した。というのも、学生の自主性を重んじ、新しい部の発足条件はかなり緩いみたいだ。三人集めれば良いらしいからな。
それにより各部への入部学生数がばらけ、一つの部につき部員数はかなり少な目とのことだ。そういう事情もあり、朱鷺舟の運動部は大して活動に力を入れていないようである。趣味で身体を動かしたい人が集まる。何というか、大学のサークルみたいだ。
なお、部活の掛け持ちも可能ではあるらしいが、掛け持ちしている学生はほとんどいないらしい。まぁ、学習面で手いっぱいなのだろうよ。部活動に現を抜かしている暇はないって感じだろう。
とまぁ、委員会と部活動に関してはこんな感じだが、これらを統括するのが生徒会の役割のようである。生徒会は毎年後期の頭に選挙が行われ、計6名の役員が選出される。役員は、会長、副会長、書記、会計、そして一般役員2名だ。
任期は一年間で選出対象は1年生と二年生。まぁ、これに関しては当然だろう、言うまでもなかったな。
そして、この生徒会選挙は立候補と推薦立候補のどちらも可能である。もちろん、一年生が生徒会長になることだってできる。学生の信用を勝ち取った者が勝つ。選挙とはこういうものだ。
とはいえ、恐らく俺には縁のないことだろう。俺みたいなオタクが生徒会役員? ははは、笑わせるなよ。という感じで、生徒会の話は聞き流した。
その後は藤崎先生から大きな行事等についての説明を受けた。体育祭だったり学園祭だったりと、その辺は何処の高校も変わらないのかなと思った。
それから、一年次には林間学校、二年次には修学旅行がそれぞれ予定されており、どちらも行き先は学生たちで話し合って決めることになっているらしい。修学旅行先が海外とか普通にありそうだなという考えが脳裏を過ったが、意外にも行き先は毎年国内だそうで少し安心した。パスポート取得の手続きをするのが面倒なんだよ。いやまぁ、そんな経験一度もないけど。
その他には特にこれといった行事はなかった。細々とした予定はいろいろとあったが、どれもただただ面倒だなぁと感じるだけで何ら大したことないものばかりだったので割愛させてもらう。
そんなこんなで1限から3限にかけて朱鷺舟学院に関する大体の説明が終わる。もう少しクソ真面目なのかと思ったが、勉強が大変そうな点以外は割と自由だった。まぁ、校則が緩めだったことを考えれば、この自由度の高さも頷けるかもな。
それから小休憩を挟み、4限の時間は各教科のテキスト配布やクラス委員の決定などに使われた。
「是非、霜崎さんにクラス委員をお願いしたいですわ」
「おお、良いですね、それ。僕も賛成です」
「……」
何故かクラス委員に推薦されてしまう俺。言い出しっぺの女学生に続くようにして、クラスメイトたちが次々に俺をクラス委員に仕立て上げようと声を上げ始める。恐らく、この時の俺の表情はかなり歪んでいただろう。
「こういうのはやはり優秀な方に引き受けていただきたいですわ」
「だねぇ。こりゃ霜崎君以外有り得ないよね」
「ということですが霜崎君、どうしますか?」
「お断りいたします。というのも、聞いた感じクラス委員の仕事内容はどれも頭を使うようなものではないように思います。ですから、優秀だからという理由で推薦されても納得しかねます」
ここはきっぱり断っておくべきだと思い、俺はいたって冷静に言葉を紡いだ。これに関しては多少圧を加えても文句は言われまい。
「い、言われてみればそうですわね……。ご、ごめんなさい、霜崎さん。少し考え無しでしたわ」
「いえ、構いません。むしろ、期待に応えられず申し訳ない。ですが、自分なんかよりもっと積極性のある方にお任せしたいと自分は考えています」
よし、これで上手く逃げられただろう。咄嗟の対応だったが、良い感じに口から言葉が出てくれた。
「し、霜崎さんは積極性のある人がお好きなのですか?」
と思ったら、なんかよく分からない質問が返ってきた。もしかして俺、変なこと言ってしまったのか? い、いや、特にこれといって変なことは何も……。と、とりあえずテキトーに頷いておこう。
「え、ええ、まぁ……そうですね」
「そ、そうなのですね! で、では先生、その……僭越ながら私がクラス委員を……」
「わ、私、立候補いたします!」
「い、いえ、ここは私が!」
すると突然、数人の女学生が席を立ってクラス委員に立候補し出した。おいおい、何があったんだよ……。さっきまでずっと俺を推薦していただろ……。もしかして、圧をかけすぎたのだろうか?
まぁ、クラス委員になるルートを回避できただけでも充分な収穫か。それに、彼女たちの方が俺なんかよりずっとしっかりしていそうだしな。任せるならどっち?と問われれば、俺でなく彼女たちの中の誰かだろうさ。とにかく、良い感じの方向に話が転んでくれて助かったわ。
「霜崎君、君すごい人気だね」
「そ、そんなことはないかと。むしろ、先ほどの発言で皆さんを怖がらせてしまったかもと思っているところですよ。少し脅迫じみていたのかなと反省してます」
俺はそう言って肩をすくめる。自分ではドスを利かせたつもりは一切なかったのだが、主観的な見方と客観的な見方はまた違ってくるものだからな。何もかもを自分の感覚だけで判断するのは良くない。
そんなことを思っていると、寺田君は少し呆れの感情を含んだ笑みを溢した。それから俺の言葉を否定するように首を横に振った。
「いやいや、そんなことはないって。確かに言葉は固かったけど、それは緊張の所為だってみんな分かってるだろうからね。そうじゃなくて、きっと彼女たちは少しでも君に良く思われたいからああして積極的に手を上げているんだと思うよ」
「はぁ、そうなんですかね。でもどうして?」
何故このタイミングで俺に良く思われたいと考えるのか、そしてそれが何故クラス委員の立候補に繋がるのかなど、分からないことが多い。
俺は思わず首を傾け、寺田君にその言葉の意味を尋ねてしまう。すると、寺田君は先ほど以上に呆れの色を強くした表情でこちらを見据えてきた。
「君、さっき積極性のある子が好きなのかって質問に頷いていたじゃないか。きっとあれは、君に対するアピールだよ。いやぁ、羨ましいくらいのモテモテっぷりだね」
言われて理解した。先ほど軽い気持ちで頷いたことがどうやら引き金だったらしい。成績優秀者というだけなのに、どうしてここまで俺を意識するのだろうか。彼女たちの考えがよく分からない。
まぁ結局、どれだけアピールされても、俺が彼女たちに応えることなんてないんだけどな。俺にはユリシアっていう最愛の恋人がいるのだから。というか、昨日大々的に宣言しなかったか? 諦めてほしいなぁ。
「あー、そういうことですか。まぁ、嬉しくはありますけど、アピールされても困ります。自分、今の彼女一筋ですので」
「良いねぇ、熱いねぇ。羨ましい限りだよ。ボクも恋人とか欲しいなぁ」
寺田君は俺に羨望の眼差しを向けながらそんなことを言ってくる。ふむ、彼でも彼女が欲しいとか考えるものなんだなぁ。見た目は草食系っぽいけど。
「寺田君でもやはりそういうことは考えるんですね」
「そりゃもちろん。ボクだって男だからね」
「まぁ、そうですよね。でも、寺田君ならすぐに彼女の一人や二人作れそうですけどね。容姿も整っているように見えますし、人当たりも良い」
「あはは、そうかい? ありがとう。でも、残念ながらそういう経験はないんだよねぇ。女の子にはいつも、○○君とはどういう関係?って感じに、何故か男の子との関係について問い詰められてばかりだったんだよね」
「あー……、なるほど……」
何となく察した。彼の周りの女子たちは、きっと彼のことを"男の子"ではなく"男の娘"としてしか見ていなかったのだろう。ってか、BL好きの腐女子ばっかってどういうことだよ……。いやまぁ、寺田君の容姿を見ればそんな妄想をしたくなる気持ちは分からなくもないけどさ。
美少年も大変だなぁ。ちょっと同情するわ。
「えっ、ど、どうかしたのかい?」
「い、いえ、寺田君も苦労しているんだなぁと思ってしまいまして」
「ど、どういうこと? もしかして憐み!? 彼女持ちの余裕ってやつなのか!?」
「そ、そうじゃないですって。その……、容姿が整いすぎているのも時々困りものなんだなぁと思いまして」
「ボク、そんなにルックス良いのかな? 昔から可愛いとはよく言われたけど。男に対して可愛いっていうのは誉め言葉じゃないと思うんだよね、ボクとしては」
これ以上寺田君の容姿の話はしない方が良いかもしれない。もしかするとコンプレックスとか抱えているかもしれないから。
「あっ、どうやらクラス委員が決まったみたいですよ」
というわけで俺は話を逸らす。少し不自然な感じにはなってしまったが、彼の心に傷をつけてしまうよりかは幾分かマシだろう。
入学早々できた友人を一瞬で失うのは流石に堪えるからな。寺田君とは今後も仲良くやっていきたい、というのが俺の素直な気持ちだ。人付き合いについてこれだけ前向きに考えられているなんて、結構順調なのではないだろうか?
「おっと、本当だね。なるほど、うちのクラスのクラス委員は彼女になったんだね。えっと、福原さん……だったかな」
「確かそうだったと思いますよ」
俺も寺田君も自分たちの話に夢中になってしまっていたので、いろいろと聞き逃してしまっていた。だが、昨日の自己紹介の時間にクラスメイトの名前は一通り頭に叩き込んでいたので、クラス委員になった女学生の名前は分かる。
というか結局、最初に俺を推薦してきた子がクラス委員をやることになったんだな。他の立候補者はかなり落胆してしまっている。そんなにアピールポイントが欲しかったのか? 俺、そんなに魅力的なのかな? ユリシアにもよく言われるが、改めて疑問に思ってしまう。
「それでは、福原さんにクラス委員をお任せしたいと思います。福原さん、よろしくお願いしますね」
「はい、お任せください」
というわけで無事クラス委員も決定し、その他に決める必要のあったことも全て決定し終えると、丁度昼休み開始を告げるチャイムが鳴り4限が終了した。
「ねぇ、霜崎君。もしかしてあれ、彼女さんじゃない?」
「ん? ああ、本当ですね。C組はもう終わってたのか」
「っと、あれは……彼女さんのお友達かな? そういえば、朝も一緒にいたっけ」
「はい。彼女もC組の子ですね。実は、彼女とは入学以前からの知り合いなんです。まさか同じ高校だとは思いませんでしたけど」
「へぇ、面白い偶然だね」
そんな会話を交わしながら、俺は持ってきていた鞄の中身をガサゴソとあさる。そして、中からお弁当の包を取り出す。
「もし良かったらご一緒します?」
「良いのかい? それなら是非。君の彼女さんにも興味あるからね。あっ、別に疚しい意味はないからね?」
「分かっていますよ。では、行きましょうか。待たせるのも悪いですし」
「うん、そうだね」
というわけで俺たちは連れ立って教室から出て、外で待ってくれていたユリシアと陸下さんと合流し学食へと向かった。
*
「おおぅ、結構広いねぇ」
「だね。それに、すごい綺麗」
学食に到着するなり、女性陣がそんな感想を漏らした。ちなみに、何故学食に赴いたかというと、陸下さんと寺田君がお弁当を持ってきていなかったからである。
「じゃあ、わたしとリョウで席取っておくから、サヤたちはご飯注文してきな」
「うん、そうさせてもらうね。えっと、それじゃあ寺田君、行こうか」
「うん。それじゃあ任せたよ、二人とも」
そう言い残し、陸下さんと寺田君は学食のカウンターへと歩いて行ってしまう。そうして俺とユリシアは手ごろな4人席を見つけ、そこで二人を待つことにした。
ちなみに、俺とユリシアは向かいの席に座っている。ユリシアのことだから真っ先に俺の隣に座るものだとばかり思っていたので、少し意外だった。
「ユリシア、隣じゃなくて良いの?」
「もしかしてリョウ、寂しい?」
「そういうわけじゃないけどね。ちょっと意外だなって思ってさ」
「むぅ、少しくらい寂しがってくれても良いんじゃないかなぁ」
「ごめんごめん。でも、どうして向かいに?」
「それはねぇ……、えいっ♪」
その瞬間、ユリシアの脚が俺の脚に絡められる。ユリシアの細い脚がズボン越しの俺の脚の表面を統べる感触がくすぐったい。
「食事中、ずっとこうしていられるでしょ?」
「なるほどね。これなら周りにも気づかれずイチャイチャできるもんな」
「そういうこと、えへへ♪ どう? これ良い感じじゃない?」
「そうだな。ユリシアの脚、気持ち良いよ」
「その感想、なんかえっちだよ♡」
「ははは、そうかもな」
なおも絡められるユリシアの脚。やられっ放しというのもユリシアに悪いかなと思い、俺からも自らの脚をユリシアの脚に積極的に絡めていく。
音は立てないように、しかし激しく、俺たちは互いの脚を自分の脚で愛撫し合う。キスや性行為のような直接的な快感はないけれど、触れ合っているという幸福感はそのどちらにも劣らないだろう。
なお、学食に設置されたテーブルはどれもテーブルクロスがかけられており、横からテーブルの下の様子を覗くことはできない。だから、俺たちがこうして脚を絡め合っていても、よほどのことがない限り周囲に気づかれることはないだろう。
「やあやあ、お待たせー」
「二人とも、待っててくれてありがとう。それじゃあ、早速いただこうか」
「ですね。では、いただきます」
「いただきまーす!」
「い、いただきまーす」
「いただきます。……んん、美味しい。この学校、学食にも力入れているみたいだね。これで450円は安いね」
早速食事に手をつけた寺田君がそんな感想を漏らした。ふむ、そんなに美味しいのか。それに、450円とはなかなかお手頃価格ではないか。
見た感じ、それなりに量もあるみたいだし、男でも充分満足できそうだ。少し気になるし、次の機会には俺も注文してみることにしよう。
「んおお、確かに美味しいね、これ! ユリシアちゃんも食べる?」
「んえ? うーん、良いよ。わたしにはリョウのお弁当があるから♡」
そう言って陸下さんの勧めを断るユリシア。そうして目の前のお弁当の中身を幸せそうに頬張るユリシアの姿を、陸下さんは温かい目で見守っていた。
「あれ、それ霜崎君が作ってたの?」
すると、寺田君がユリシアの言葉に反応して俺に尋ねてくる。
「まぁ、うん。一応」
気恥ずかしくなってしまった俺は、そんな曖昧な返事をしてしまう。
「へぇ、すごいねぇ。彼女さんの分も作ってあげてるんだ」
「一人分も二人分も大したことないから」
「いやぁ、羨ましいなぁ」
「本当にね。これだけ見せつけられちゃうとね」
「あはは、そうだよねぇ。いやぁ、寺田君とは仲良くなれそうだよ」
「奇遇だね。ボクもそう思ってた」
何やら横で陸下さんと寺田君の二人がそんな会話を繰り広げている。俺たち、そんな見せつけているつもりはなかったんだけどなぁ。も、もしかして、テーブルの下での俺とユリシアのやり取りがバレているとでもいうのか!? ……って、そんなわけないか。
「寺田君って何か趣味とかあるの?」
「アニメ観賞、かな」
「おおっ! 良いねぇ! 私もそうなんだよ!」
「もしかして、霜崎君たちと知り合ったのもそれ繋がりだったり?」
「そうそう。一昨日、くるみんのライブでね。あっ、くるみんって分かる?」
「知ってる知ってる。佐原くるみさんだよね? へぇ、あの人のライブで知り合ったのか。というか、あの人のライブ行けたんだ、良いなぁ」
「一生の運を使い果たしちゃった気分だよ、あはは」
いつの間にか二人が打ち解けてしまっている。どうやら本当に、陸下さんは趣味に関する話になるとコミュ力を発揮できるようになるらしい。
そんな中、俺の脚が唐突に持ち上がった。意図的ではないので、ユリシアによって持ち上げられたようだ。
何事かとユリシアに視線を投げると、ユリシアはにっこりと微笑みを浮かべるだけで、何も答えてはくれない。それなら、テレパシーを使って直接問い詰めるかと考えた……時だった。
「っ……♡」
「っ!?」
俺の右下腿がユリシアの手に掴まれたかと思った次の瞬間、履いていた上履きが剥ぎ取られ、そしてユリシアの股の間へと誘われてしまったのだ。一体コイツは何を考えていやがるんだ……。
ユリシアの突然の珍行動に、俺は頭を抱えたくなっていた。あと、足底に感じるぷにっとした温かな感触に心臓の鼓動が高鳴り、そして我が分身が反応を示そうとしている現状にも頭を抱えたくなった俺だった。