異世界帰りのハイスペック勇者様は、一緒に連れ帰ってきた最愛の狐耳少女(パートナー)と平凡で穏やかなイチャコライフを送りたい! ~微コミュ障でオタクな最強タッグのあまあMAXな共依存物語~ 作:室谷 竜司
「あっ、お姉ちゃんとお兄ちゃん!」
俺たちは学校の帰りがけに例の神社に向かった。メルシアちゃんを迎えに行くためだ。いずれは自分一人で出かけられるよう、いろいろと覚えてもらうつもりだけど、、今はまだ流石に付き添いが必要だろう。
そして二人して神社の境内に入ると、臭いか何かで俺たちに気づいたのか、奥からメルシアちゃんがぴょんぴょんと跳ねるようにして俺たちに近づいてきた。
「メルシア、迎えに来たよ」
「二人は学校終わり?」
「ああ、もう終わったよ」
「そっかぁ、お疲れ様!」
そう言いながらメルシアちゃんはユリシアに擦り寄る。そしてすんすんとユリシアの匂いを嗅いでいる。もしかして、狐系獣人族なりのスキンシップなのかな? それとも、ただ単純にメルシアちゃんが甘えん坊なだけなのか……。
「ひゃんっ……、メ、メルシア……、くすぐったい……」
「んん、お兄ちゃんの匂いがするね。もしかして二人とも、学校でその……、そ、そういうこと……してたの……?」
メルシアちゃんが顔を赤らめながらそんなことを聞いてくる。お、おかしいなぁ……、浄化魔法はかけたはずなんだけど……、メルシアちゃんにはそれでも気づかれちゃうのか……? それ、浄化魔法の意味なくないっすか?
「しししししししてないよっ!?」
ユリシアが思いきり目を逸らしながら慌て気味にそう答える。もはや肯定しているのと同じですからね、ユリシアさん?
ほら、その証拠にメルシアちゃんがさらに顔を真っ赤にしてきょろきょろと視線を彷徨わせている。
でも、興味もあるようで、時々チラチラとこちらに目線を送ってきている。女の子もメルシアちゃんくらいの歳になるとそういうことに興味が出てくるものなのだろうな。昨晩もこっそり俺たちの行為を覗き見ていたわけだし。
「えっと……、ふ、二人とも……お盛んだね……」
「べ、べちゅに良いでしょっ!!」
「「あ、噛んだ」」
「う、うるちゃいっ!!」
俺たち三人がそんなやり取りをしていると、こちらに近づいてくる人の姿が目に入る。めぐるさんだ。
「あら、お二人とも来ていたのね。学校、お疲れ様」
俺たちのすぐ傍までやってきためぐるさんが、にこりと微笑みながら俺とユリシアに労いの言葉をかけてくれる。なんだろう、何処となく安心する雰囲気を持っているんだよな、この人。
「あっ、メグルさん、こんにちは。メルシアのことお任せしちゃってすみません。何か迷惑とかかけてませんでしたか?」
ユリシアがめぐるさんに対してぺこりと一礼し、それから不安そうにそう問いかける。こういう時のユリシアはすごく姉っぽい。というか母?
いつもはメルシアちゃんと同等かそれ以上に子供っぽくて、それでいて常時発情中のド淫乱狐なのになぁ。これも一つのギャップというやつなのかな。
「迷惑なんてそんな。メルシアちゃんがいてくれて私も楽しいわ。メルシアちゃん、遊びに来てくれてありがとうね」
「ううん、こちらこそありがとうなの。あたしも楽しかった。これからもここに来ても良い?」
「もちろんよ、歓迎するわ。でも、無理して毎日来なくても良いからね」
「うん、分かった」
やはり、三年の間ずっと一緒にいたからだろうか、メルシアちゃんとめぐるさんとの間には信頼関係のような何かが垣間見えた。お互いがお互いを大切な存在だと思っているということが、見ているだけでひしひしと伝わってくる。
「あっ、そうだった。涼君、お弁当美味しかったわ、ありがとうね」
二人の様子を眺めていると、不意にめぐるさんがポンと手を打ち合わせ、俺にお礼の言葉をかけてきた。そして、空になった弁当箱が手渡される。中身は綺麗に洗われていた。そういえば、めぐるさんにもお弁当作っていたんだったな。
「あ、いえ、そんな大したものじゃなかったんですが、お口に合ったようなら良かったです。それと、態々洗ってくれたんですね、ありがとうございます」
「お弁当作ってくれたんだから、これくらいはね。あと、謙遜しなくても良いのよ。すごく美味しかったわ。なんだか、懐かしい味だったわね」
そう言いながら目を細めて微笑むめぐるさん。懐かしい味……か。もしかして、何か思い出すきっかけになったのだろうか?
「懐かしい味ですか?」
「そう、昔食べたことのある味……。でも、何処で食べたのか思い出せないのよね。それに、単なる気のせいかもしれないしね」
困ったように眉尻を下げて笑むめぐるさん。でも、少なからず引っ掛かりのようなものを感じているようだ。
「そうですか……。でも、もしかしたら俺の弁当がきっかけで何か思い出すことができるかもしれませんね」
「そうかも」
「なら、今後も時間がある時は作って持っていきますよ」
何かめぐるさんの記憶を蘇らせるための手助けがしたいと思った俺は、めぐるさんにそんな提案を持ち掛けてみた。
「えっ、で、でも、それは悪いわよ」
「いえ、気にしないでください。俺の弁当でめぐるさんが何か思い出せるのなら、これくらい苦じゃないです」
「ありがとうね、涼君。気持ちは嬉しいけど、毎日はやっぱり大変でしょう? だから、時々お願いするっていうのはどうかしら?」
「ええ、俺はそれで構いませんよ」
「そう、ありがとう。それなら、お言葉に甘えちゃおうかしらね」
というわけで、俺は今後もめぐるさんにお弁当を作って持っていくことになった。料理人の息子だけあって、今の俺はかなりやる気に満ちている。
「ねぇねぇ、リョウ。ステータスの話しなくて良いの?」
すると、隣からユリシアにそう問われる。そういえば、そんな話をしていたな。今まですっかり忘れてしまっていた。
「おっ、そうだったな。サンキュー、ユリシア」
「あっ、え、えへへ♡」
俺はユリシアの頭を軽く一撫でし、感謝の言葉を伝える。するとユリシアは頬をほんのり朱に染め、嬉しそうにはにかむ。
俺はそんなユリシアの様子を横目に、めぐるさんに今一度向き直る。
「あの、めぐるさん。もう一つお話があるんですが、よろしいですか?」
「あら、何かしら?」
俺とユリシアのやり取りをほほえまし気に眺めていためぐるさんだったが、俺がそう声をかけると疑問の表情を浮かべこくんと首を横に傾けた。そんなめぐるさんに対し、俺は話を続ける。
「そのですね、ユリシアとメルシアちゃんの出身世界にはステータスっていう概念があるんです。自分の情報が文字化だったり数値化されたものです」
「へぇ、そんなものがあるのね。異世界って不思議だわ」
「それでですね、俺は他人のステータスを見ることができるんです」
「あー、なるほど。言いたいことが何となく分かったわ。つまり、私のステータス?を見れれば、もしかしたら何か分かるかもしれないってことね?」
話が早くて助かるな。俺はめぐるさんの問いかけに一つ大きく頷いてから、再度口を開いた。
「はい、そういうことです。もしよろしければ、ステータスを見せていただけませんか? この世界の人のステータスが覗けるかは分からないんですが」
「良いわよ。私も、自分の情報は気になるもの」
めぐるさんは快く了承してくれた。俺は安堵の息を一つ漏らし、それからめぐるさんにお礼の言葉を伝えた。
「ありがとうございます。では、ちょっと失礼して……」
そう言ってから俺はめぐるさんに自分の右手をかざし、ステータス透視能力を発動させる。すると、俺の脳内にメッセージウィンドウが表示された。
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※ERROR
対象者はステータスの概念に当てはまりません。
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ステータスの概念に当てはまらない……。つまり、めぐるさん……いや、もしかしたらこの世界に住まう全ての人間のステータスを見ることができない、ということだろうか?
ステータスというのはあくまで向こうの世界の概念であって、それに染まっていない者は透視の対象者になり得ないのだろう。まぁ、考えてみれば当然なのかもな。
「どう? 何か分かった?」
ユリシアがそう尋ねてくる。俺はそんなユリシアの問いかけに対して首を横に振る。それから、めぐるさんにかざしていた自分の右手を下ろす。
「残念ながら、何も見れなかった。どうやら、この世界の人たちのステータスは存在しないみたいだ」
「そうなんだ、残念」
「すみません、めぐるさん。変に期待させるようなこと言っちゃって」
俺は肩を落としながらめぐるさんに謝罪の言葉をかける。
「良いの良いの、気にしないで頂戴。ゆっくり思い出していけば良いのよ、記憶なんて。それに、涼君のお弁当を食べる大義名分もできたわけだしね」
そう言って微笑むめぐるさん。そんなめぐるさんにつられて俺も笑みを浮かべる。そう言ってくれるのは単純に嬉しかった。
「じゃあ、俺たちそろそろ行きますね。メルシアちゃん、もう帰るけど平気?」
「うん、平気だよ」
「そっか。それじゃあめぐるさん、今日はこれで失礼します」
メルシアちゃんからの了承も得たので、俺はめぐるさんに一礼した。すると、俺に続くようにしてユリシアとメルシアちゃんもぺこりと頭を下げた。
「メルシアの面倒見てくれてありがとうございました」
「お姉さん、今日はありがとう」
「ええ、またね、みんな」
俺たち三人はめぐるさんに別れを告げて神社を後にし、その足で駅まで戻っていくのだった。なお、メルシアちゃんには行きと同じように耳と尻尾を隠してもらった。
*
それから電車に乗って地元の駅まで戻ってきた俺たちは、一度家に帰ることにした。そのままメルシアちゃんの服などを買いに行っても良かったのだが、学校帰りということもあり俺もユリシアも手持ち金はあまりなかったのでな。
「ただいまー。つっても、誰もいないんだけどな」
鍵を開けて玄関の扉を開いた俺は、苦笑交じりにそう言った。そんな俺の後に続いてユリシアとメルシアちゃんも家の中に入る。
「リョウのお父さん、何時帰ってくるの?」
「確か明日だったかな」
「そうなんだ。じゃあ、それまでにメルシアの個人情報とかいろいろと考えておかないとだね」
「ああ、そうだな。今日の夜にでも話し合おう」
そんな話をしながら、俺とユリシアは靴を脱いで家に上がる。メルシアちゃんも遅れて靴を脱いだ。向こうの世界じゃ家に上がる際に靴なんて脱がなかったもんな。メルシアちゃんはまだ慣れていなくて当然だろう。
「メルシアちゃん、ちょっと待っててね。俺たち着替えてくるから」
「うん、待ってる」
そう言って俺とユリシアは急いで階段を上がり自分たちの部屋に戻った。それから俺は制服から私服に着替え、。必要なものをバッグに詰めていく。その際に財布の中身を確認したのだが、一昨日デートでかなり使ってしまった所為で大した金額は残っていなかった。これ、どうしたもんかなぁ。
ひとまずユリシアに確認してみるか。そう考えた俺は、手荷物を持って隣のユリシアの部屋まで移動した。
「ユリシア、ちょっと良いか?」
「ん? どうしたの?」
扉の前でそう呼びかけるとすぐに返事があり、程なくしてガチャリと扉が開け放たれた。そこから顔を覗かせたユリシアは、上下レモンイエロー色の下着姿だった。なんだろう、このデジャブ間。
「っと、着替え中だったか。すまんすまん」
全裸じゃなかっただけマシかと思いつつ、俺は目を逸らしながらユリシアに謝罪した。今ここで欲情してはならない。メルシアちゃんのための買い物が優先事項だ。
「リョウ、どうして目逸らすの?」
俺がユリシアから目を逸らしていることが気になったのか、ユリシアが不安そうな声色で俺にそう尋ねてくる。
「い、いや、今興奮するわけにもいかないだろ。メルシアちゃんを待たせてるんだし。ユリシアの下着姿直視してると、興奮しちゃうんだよ」
「そっかそっか、それなら良かった。それで、どうかしたの?」
安心したというようにほっと息を吐いたユリシアは、俺に本題を尋ねてきた。うん、俺も安心した。いきなり襲われてしまうのではと内心ちょっとだけ心配していたのでな。
「ユリシアってさ、今手持ちどれくらいある? 一昨日のデートで結構使っちゃったから、俺今あんまり手持ちないんだよね」
「お金? ちょっと待っててね。今お財布の中身確認してみるよ。えっと……、お財布は……、あったあった」
「あ、いや、着替えてからで良いよ?」
下着一枚の恰好のまま財布の中身を確認するユリシアに俺はそう声をかけたのだが、ユリシアは気にしないでというように俺に微笑みかけ、そのまま手持ち金の確認を続ける。うーん、どちらかというと俺の方が気になるんだよなぁ。
どうしても、目の前に好きな子の下着姿があると、ダメだとは分かっていてもチラチラと視線を送ってしまう。そして、ゆっくりとではあるが、俺の中の興奮ボルテージが上昇してしまっている。
「あー、わたしもあんまりないかも……。うーん、足りるかなぁ。ねぇ、これくらいしかないんだけど、リョウはこれで足りると思う?」
「えっ、あっ、ど、どうだろうな?」
俺の苦労など知ったこっちゃないとでも言うように、ユリシアは無防備な恰好のままとてとてと俺の傍まで近づいてきた。
その瞬間、ふわりとユリシアの綺麗な金髪から甘い匂いが香り、俺の鼻孔をくすぐる。それだけでも俺の情欲は掻き立てられてしまう。
だが、それだけにとどまらず、ユリシアは俺に財布の中身を見せるため自分の身体を俺の身体に密着させ、上目づかいで俺の顔を覗き込んでくる。誘っているのかとも思ったが、ユリシアのその表情から全くの無自覚だということが分かった。
「ねぇねぇ、ちゃんと見てる?」
「あっ、いや……、その……」
この状態で下を向けば、財布の中身よりも先にユリシアの立派な胸部の谷間が見えてしまう。だから、俺は直視できずにいた。けど、ユリシアはそんな俺の態度が不思議に感じたらしく、なんでなんでと可愛らしく問い詰めてきた。
「あっ……」
俺の顔を正面から覗き込むためにユリシアが少し体勢を変えたその時、ユリシアはそんな声を漏らした。
「リョ、リョウ……、おっきくなってる……♡」
その言葉で俺もようやく気づいた。俺の膨らんだ股間部分がユリシアの腹部に当たってしまっていたらしい。
「ご、ごめん……、ユリシアのその恰好につい……」
俺は慌てて謝罪し、ユリシアから膨らんだ股間を放すため腰を引こうとした……のだが、寸でのところでユリシアに腰をぐっと掴まれ、俺は身動きが取れなくなってしまう。
「嫌♡ 離れちゃダメ♡ リョウの熱いの、もっと感じてたいの……♡ はぁ……♡ はぁ……♡ わたしも……ちょっと興奮してきちゃった……♡」
そう言いながら自分の身体をぐいぐいと俺に押し当ててくるユリシア。俺の息子が接触したことでユリシアの発情スイッチがオンになってしまったようで、俺の顔を覗き込むユリシアの瞳はすっかり潤みきってしまっていた。行きも荒い。あ、これはもうダメなやつかもしれない……。
俺の腹部に当たるユリシアの乳房の先端が、ブラ越しだというのにビンビンに勃ち上がっているのがはっきりと分かってしまう。身体を小刻みに揺らして自らの乳首に刺激を加えているようだった。
そんなユリシアの姿が愛おしくて、俺はその華奢な身体をぎゅっと強く抱きしめてしまう。そして堪らずユリシアの唇を奪う。
「はむっ……、ちゅるっ……」
「んむっ……♡ んらっ……♡ はむんっ……♡」
元々半開きになっていたユリシアの口唇の間に舌を割り込ませ、自分の唾液を流し込みながらユリシアの口腔内を蹂躙する。歯列をなぞるように舐めたり、ちょこまかと動くユリシアの舌を絡め取って吸い上げたり、好き勝手に犯し尽くす。ぴちゃぴちゃという二人分の唾液が弾かれる音が側頭葉を中心に脳全体に広がり、俺の思考を乱してくる。
俺はストッパーを失い、ユリシアと舌を絡め合ったまま片腕でユリシアを抱き留め、空いたもう片方の手をユリシアの胸部に伸ばしていた。側部から正中に手を向かわせるようにしてユリシアの大きな乳房を少し強めに揉みしだく。
「んんんぅぅっ……♡ んはぁぁんっ……♡ んじゅるるるっ……♡ んにゅぅぅぅっ……♡」
ユリシアは胸に与えられる刺激に身体をくねらせながらも、必死に俺の舌に吸い付いてくる。その健気な姿に、俺の中のユリシアを愛おしく思う気持ちがさらに掻き立てられ、俺は舌と手の動きをさらに激しくしてしまう。
と、その時だった。
「ねぇ、何……やってるの……?」
背後からそんな冷ややかな声が聞こえてきた。その瞬間、俺とユリシアは同時に肩をびくりと跳ねさせ、恐る恐る声のした方へ振り向く。
「お姉ちゃんとお兄ちゃん、どうしてちゅっちゅしてるの……?」
そこにはジト目で俺たちを睨むメルシアちゃんの姿があった。隠蔽を解かれ露わになった銀色の狐尻尾は膨らんでおり、メルシアちゃんが怒りを覚えているということを表していた。
「メ、メルシア……!? これはその……」
「が、我慢できなくなっちゃったと言いますか何と言いますか……」
「お兄ちゃんのえっち……」
「ぐっ……、面目ない……」
俺はユリシアから身体を放し、メルシアちゃんに頭を下げる。この状況じゃ言い訳も何もできないからな。素直に謝るに限る。
「お姉ちゃんもえっちだよ」
「うぅ、ごめんなさい……」
ユリシアも素直にメルシアちゃんに謝罪した。この中で最年少のメルシアちゃんに対してぺこぺこと頭を下げる年上二人。しかも、片方は下着一枚の姿でである。傍から見たらなかなかシュールな光景かもしれない。だが、今の俺たちはそんなことを気にする余裕もないので、ひたすらメルシアちゃんに謝罪の言葉をかける。
「もぅ、二人とももっと我慢を覚えないとダメだよっ! あ、あたしの気持ちも考えてよ……。ふ、二人のを見てるとこっちまで変な気持ちに……」
「メ、メルシアちゃん……?」
「あっ、な、何でもないの! と、とにかく、これからお買い物に行くんだから、二人とも今は我慢してよね!」
「は、はい、すみませんでしたっ!」
途中、何やら気になる言葉が俺の耳に届いたが、メルシアちゃんの様子から察するにあまり聞かれたくないことなのだろう。俺は雑念を振り払い、今一度メルシアちゃんに頭を下げて謝った。
一方、ユリシアはというと、何か納得したようにうんうんと頷いていた。どうしたのかと俺がユリシアに視線を送ったのとほぼ同時に、ユリシアはメルシアちゃんに対して口を開いた。
「メルシア、もしかしてわたしたちの行為を見て興奮しちゃってたの?」
「っ……!?」
ユリシアのその言葉にメルシアちゃんが凍りつく。うわぁ、聞いちゃったよ、この子……。俺はあえて聞かないようにしていたのに……。
「だから昨日もわたしが寝た後オナニーしてたんだね」
「なななななな何故それをっ!?」
「はっきりとは分からなかったけど、昨日の夜変な声が聞こえたし、朝起きたらお部屋の中変な臭いがしてたし」
「ふえぇっ!? にゃ、にゃんで気づかれちゃったのぉっ!?」
慌て方は姉妹でそっくりだった。にしても、この話を果たして俺が聞いてしまって良かったのだろうか? いや、ダメだろう……。ユリシアならまだしも、他の女の子のそういうデリケートな話題を俺が聞いてしまうのは普通にアウトだ。
現に、メルシアちゃんは恥ずかしそうにこちらをチラチラと伺ってくる。俺はなんだか申し訳ない気持ちになり、再び頭を下げてしまう。
「その……、ごめん……」
「お、お兄ちゃんは……聞こえてた……?」
「い、いや……、聞こえなかった……かな」
実際は、昨晩何か変な声が聞こえたような気がしていたのだが、ここは誤魔化してあげた方がメルシアちゃんのためになるだろう。
「そ、そっか……。その、今のことは忘れてください……」
「あ、ああ、分かったよ。ユリシア、こういうデリケートな話題はもう少し時と場所を弁えた方が良いぞ」
「あ、うん。その……、ごめん……」
「後で、お姉ちゃんの昔の恥ずかしい出来事をお兄ちゃんに話しておくから、それでお相子ってことでよろしく」
メルシアちゃんは満面の笑みでユリシアにそう言い放つ。まぁ、仕返しとしては妥当なところだろうか。
「ちょっ、それは止めてよぉ!!」
「嫌だよ、止めません。お兄ちゃん、後であたしとお話ししようね」
「あ、ああ、分かったよ。昔のユリシアの話か……、気になるな」
「リョ、リョウっ!!!」
家じゅうにユリシアのそんな叫び声がこだました。けど、こればっかりはユリシアが悪いので、俺はメルシアちゃんに乗っかることにした。
ユリシアの恥ずかしい話……。うん、何だかワクワクする。メルシアちゃんから話を聞くのが楽しみだな。