異世界帰りのハイスペック勇者様は、一緒に連れ帰ってきた最愛の狐耳少女(パートナー)と平凡で穏やかなイチャコライフを送りたい! ~微コミュ障でオタクな最強タッグのあまあMAXな共依存物語~ 作:室谷 竜司
って、ちょっと待てよ? どうして、こっちの世界に戻ってきても、俺の能力は健在なんだ? 先ほどからごく自然な流れで使ってしまっていたが、よく考えれば疑問でしかないじゃないか。
俺は慌てて頭の中でイメージを呼び起こす。これは、異世界にいた時にはよくやっていた、自分のステータスを客観視するためのイメージだ。
「って、マジか……。見れるのか……」
すると、そのイメージ通り、ステータスが脳内に表示された。
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霜崎 涼 年齢:15歳 性別:男
種族:人間 LV.111 職業:勇者→学生(高校生)
パートナー:ユリシア・フォクサローゼリス
基本ステータス
体力:48962/48962
MP:77600/77600
物攻:62060
物防:46520
魔攻:43190
魔防:42080
敏捷:46298
経験値ボーナス、全魔法習得中、全魔法耐性習得中、全武器順応、自動回復能力、瞬間移動能力、テレパシー、知識共有、力を授ける力、異世界言語理解、五感鋭敏化、身体強化、皮膚硬化、ステータス透視、読心能力、瞬間記憶、飛翔能力、物体浮遊、魔法詠唱省略、物質合成、物質分解、隠蔽能力、分身能力、時間操作、etc……
装備:無し
特殊スキル
セイントカノン、ジャッジメントフィールド、スターライトスラッシュ、ペインズサクリファイス、レイズオブビッグバン
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うわぁ、ガチだこれ……。異世界での最終ステータスそのまま残っていやがったよ。でも、幾つかこの世界で生きるにあたって都合が良いように書き換わってるな。……なんか、職業欄に学生って書かれているのは微妙だな。
ってか、基本能力とか特殊スキルがまだ表示されたままということは、この世界でも使うことができるというのか!? それじゃもはや、最強を通り越してただの破壊兵器になり得るぞ……。
まぁ、一部の魔法と特殊能力以外使うつもりなんてないけどさ。俺はこの世界でユリシアと一緒に平和なオタクライフを存分に満喫するんだからな。
……ちょっと待て……。えっ、っ、何? てことはもしかして、他の人のステータスを見れたりするのか!? 俺は試しにパートナー枠のユリシアにフォーカスを当てて、ユリシアのステータスを確認する。もちろん、見る前にユリシアに許可は取ったぞ。俺は、ユリシアにだけは全力で気を遣える男だからな。それ以外? 知らんな。
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ユリシア・フォクサローゼリス 年齢:14→15 性別:女
種族:狐系獣人(人間派閥)→人間 LV.38 職業:学生(高校生)
パートナー:霜崎 涼(本来の姿の視認可能)
基本ステータス
体力:8806/8806
MP:19560/19560
物攻:8920
物防:9110
魔攻:10326
魔防:12910
敏捷:13252
全魔法習得中、全魔法耐性習得中、勇者の加護、五感鋭敏化、魔法詠唱省略、隠蔽能力、変化能力、分身能力、融合能力
装備:無し
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あっ、マジで覗けてしまった。
ユリシアの年齢が14歳から15歳に書き変わっていた。つまりは神様の計らいでユリシアと俺が同い年ということになっているわけか。くそっ、もっと早くに気づけていれば混乱せずに済んだのに……。
なお、ユリシアのステータスの職業欄にも学生と表示されていた。
それとご丁寧なことに、俺は耳と尻尾の視認が可能と表記されてもいる。
というか、ユリシアってこんなにレベル低かったっけ? いや、低くて当たり前なのか。むしろ、向こうの世界じゃこれでも高い方だったな。ゲームのやり過ぎで俺の感覚が狂っているだけなんだよな。実際、LV.111っていう自分のレベルにすら不安要素を抱えていたくらいだしな。でもまぁ、こうしてどうにかなっているわけで……。勇者の力ってすごいものだな、今更だけど。
でも、ユリシアも並外れたステータスの持ち主なのである。種族差はあるかもしれないが、それでもこのレベルで基本ステータスが10000を超えることなんて普通じゃ有り得ない。しかも、戦闘時は俺の能力によるバックアップ付きだ。もはや、勇者に匹敵するほどだろうな。俺、勇者じゃなければ多分ユリシアに余裕でステータス負けていたと思う。俺のパートナー、マジ強すぎ問題。
……にしても……、能力欄の最後のやつは一体何なんだろう……? 融合能力なんて、なんかものすごく怪し気なんだけど……。俺と出会って少しした時くらいから急に出現したものなんだよな。
ちなみに、ユリシアに聞いても、分からないと首をかしげるだけだった。種族としての特徴の一つなのかもしれないが、残念ながらユリシアにはその知識がなかったため、結局能力の解明は困難だと判断した。
そして、着ている服が向こうの世界のものからこちらの世界のものに替わってしまっているため、向こうの世界で装備していた武器や防具はなくなってしまっている。いやまぁ、アクセサリーとしてポケットの中に入ってはいるのだが。
「リョウ、わたしのステータスは見れた? 一応、自分自身で確認はできたけど」
「ああ、問題なく。俺とユリシアが同い年に変わってたな」
「みたいだねえへへ」
へにゃりと相貌を崩して笑うユリシアの姿に見惚れてしまいそうになったが、俺はなるべく平静を装った。
「ってことは、ユリシア以外の人間のステータスなんてのも存在するのかな。ちょっと気になるんだけど……」
「確かに。でも、わたしたちと張り合える人なんてきっといない。この世界でも強いのはわたしとリョウだけ」
「あはは、そうだな。俺とユリシアが最強だもんな。あと、もう一つだけ気になることがあるんだが、聞いても良いか?」
「えっと、何?」
「俺の方にはあまり情報が入ってこなかったんだけど、こっちの世界でのユリシアの家族ってどうなってるの?」
元の世界では、ユリシアは既に家族を失っている。だから、こちらの世界に戻ってきた時、ユリシアの家族と聞いて真っ先にその存在について考えてしまった。だが、デリケートな問題でもあるので、聞いて良いのか迷っていた。
でも、これからユリシアと共に生きていくうえで必要な情報だと思い、こうして聞いてみることにしたわけである。
ほら、責任とか……、そういうものがあるだろ……? べ、別に疚しい意味とかはないんだけどな? 俺たちはあくまで保護者・被保護者の関係であって、恋人とか夫婦とかそういう関係なんかじゃない。もちろん、いつかはなれる日が来ると良いななんて思ったりしてもいるが……。
って、誰に言い訳してるのか分からないな。
「えっとね、生みの親とはもう死別してる。んでね、養母さんに育ててもらってたみたい。でも、高校生になったら縁を切るってことになってたらしいよ」
「あれ、思ったより設定がテキトーだな……。でも、なるほどなぁ。実質ユリシアは今家族がいないってことか、向こうの世界と同じで」
「そうなるね。でも、わたし今は寂しくない。リョウがいるから。リョウはわたしの大切な人だよ。それこそ、家族と同じくらい」
「お、おう……、ありがとう。俺にとってのユリシアも家族くらい大切だぞ」
「えへへ♪ リョウ大好き♪」
そう言ってユリシアが俺にすり寄ってくる。こういうところも小動物っぽくてすごく可愛い。思わず悶えてしまいそうになる。
けど、ユリシアの言う「大好き」というのは、多分直訳すると「お兄ちゃん、大好き」という意味合いに他ならないだろう。俺がユリシアに向ける「好き」という感情とは意味が異なるのだ。そこを履き違えてはならない。
だが、それでも良い。ユリシアが俺を大切だと思ってくれていることが嬉しいのだ。その根底に恋愛感情がなくても、俺の片想いだったとしても、ユリシアにとっての「大切」になれているという事実だけで満たされた気持ちになれる。
「ああ、俺も大好きだぞ、ユリシア」
だから、俺は俺でしっかりと今の気持ちを紡ぐことにした。届かなくても良い。何となく、言葉にしておきたかっただけだから。
ちゃんとした告白は、異世界にやってきたという不安に付け込むような卑怯なタイミングじゃなく、もっと別のタイミングでさせてくれ。じゃないと、俺は俺が嫌いになる。
なんて感じで気持ちの整理をつけつつ、俺はすり寄ってきたユリシアの小さな身体を抱きしめ返した。俺の腕にすっぽり収まってしまうほど華奢で、でもそこに信じられないほどの強さを秘めた、愛しい少女の身体の確かな温かさと柔らかさを、俺は全身で感じていたのだった。