※この作品はR-18です。

異世界帰りのハイスペック勇者様は、一緒に連れ帰ってきた最愛の狐耳少女(パートナー)と平凡で穏やかなイチャコライフを送りたい! ~微コミュ障でオタクな最強タッグのあまあMAXな共依存物語~   作:室谷 竜司

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さあ、今日も元気に朝の恒例行事(ラブラブエッチ)を始めようじゃないか♡ あれ、メルシアちゃんがご機嫌斜めのようですが……?

「んはぁ……♡ んはぁ……♡ 魔力エッチ……、やっぱり気持ち良いね♡」

 

 次の日の朝、俺とユリシアはいつも通り肌を重ねた。当然、今日も昨日同様に魔力を活用した性行為を行った。昨日の一件で俺たちは完全に魔力エッチの虜になってしまったのでな。

 

 そうして今はベッドの上に二人並んで寝そべり、行為後の余韻に浸っていた。このふわふわとした感覚が心地良い。

 

「ああ、魔力って良いもんだな」

 

 今日はユリシアにも魔力を使ってもらった。具体的には、フェラチオの際に魔力を纏った口で俺の男根を咥えてもらったのだ。さらに、結合の際には膣内にも魔力を纏ってもらった。うん、控え目に言って最高すぎた。魔法のある異世界に召喚されて良かったと心から思った瞬間だった。厳禁かもだけどな。

 

「フェラしてる時のリョウ、すっごく気持ち良さそうな顔してたもんね♡」

 

「あはは、正直あれは反則級かな。まだちょっとピリピリするかも。まぁ、それくらい気持ち良かったってことだよ。ありがとな、ユリシア」

 

 俺は先ほどまでユリシアの上下の口に咥えられていた自らの一物にそっと手を置きながら、苦笑交じりにユリシアに礼を言う。

 

 もう事後処理まで済ませたはずなのに、俺は自分の一物が未だにユリシアのねっとりとした温かさに包まれているような錯覚を覚えてしまっていた。もはやエッチ中毒(ユリシア限定)になってしまうぞ、これは……。

 

「えへへ、うん♡ どういたしまして♡ わたしも、朝から何回もイッちゃったよ♡ リョウの手もおちんちんも気持ち良すぎ♡」

 

「ユリシア、朝からあんなにイキまくって大丈夫だった?」

 

 恥ずかしそうにはにかむユリシアの身を案じるように俺はそう言葉をかける。朝だというのに、普段の夜エッチの時よりも多くの回数絶頂していたからな。ユリシアだし心配の必要はないのだろうが、それでも確認は怠らない。

 

「うん、平気♡ むしろ、いっぱい気持ち良くなれたからかな、わたし今すっごく元気なの♡ 今なら一人で魔王様を倒せるくらいだよ♪」

 

「イくと元気になるってどういうことだよ……。相変わらず、ユリシアはエロに特化してるなぁ」

 

 俺は何故か元気いっぱいのユリシアにそんな言葉を吐き捨てる。イけばイくほどパワーアップするとか、このエロ狐は相変わらずぶっ飛んでいる。

 

「でも、昨日神様から聞いた話だと、性格とかそういう内面的な特徴も加護で左右するってことだったよね。ってことはだよ。わたしをえっちな性格にしたのって、もしかするとリョウだったりするんじゃないの? ねぇねぇ、そこのところどうなの?」

 

 コイツ……、こういうところだけやけに鋭いのは何故なんだ……。せっかく隠したままにするつもりだったのに、こうもあっさりと言い当てられてしまっては隠し通すなんてできないじゃないか……。

 

「……ごめんなさい、ユリシアのことを淫乱狐に仕立て上げた張本人は俺です……。これまで幾度となく、エッチなユリシアとそういうことをする夢を見てたんです……。多分、それが影響したんだと思います……」

 

 俺は正直に自分の罪を打ち明けた。純粋だったユリシアをエロ狐に貶めてしまった俺は重罪なのだろう。

 

「そっか、そういうことだったんだね。わたし、リョウの所為でえっちになっちゃったんだ、えへへ♡」

 

 だが、俺の罪の告白を聞いたユリシアは何故か嬉しそうだった。説教の一つや二つ覚悟していたから、その反応はかなり意外だった。

 

「ユリシア、怒らないのか?」

 

「えっ、怒るわけないじゃん♡ だってだって、今のわたしがリョウの理想ってことなんでしょ? 外見も内面も、今のわたしはリョウのドストライクってことなんでしょ? そんなの、嬉しいに決まってるじゃん♡ 大好きな人の理想像に近づきたいって思うのが、恋する乙女ってものなんだよ♡」

 

 うっとりとした表情でそう言ってのけるユリシア。ああ、この子はどうしていつもいつも俺を幸せな気持ちにしてくれるのだろう。ユリシアは俺を喜ばせる天才だ。

 

 だが、一つだけ訂正しておかなければならないことがある。俺は隣で寝転ぶユリシアをそっと抱き寄せ、耳元で小さく囁く。

 

「確かに、今のユリシアは俺が憧れていた姿かもしれないけど、外見や性格はあくまで副産物なんだよ。俺はね、ユリシアっていう存在そのものが大好きなんだ。そこは覚えておいてほしい」

 

「リョウ……♡ うぅ……、どうしよう……♡ 嬉しすぎて涙が出てきちゃったよ……♡ わたしも……、リョウっていう存在だから大好き♡ いくら外見が良くても、いくら性格が良くても、それがリョウじゃなかったら何とも思わない。リョウだから真っ直ぐに好きだって思えるんだよ♡」

 

 ユリシアが真っすぐに俺の瞳を覗き込みながら俺の言葉に答えてくれる。ユリシアに、最愛のパートナーにこんなに愛されているなんて、俺はこの世界で一番の幸せ者なのだろう。

 

「ありがとう、ユリシア」

 

 俺はユリシアの身体に回した腕にぎゅっと力を籠める。すると、それに呼応するようにユリシアも俺の身体をさらに強く抱きしめてくる。

 

 そして、俺たちは自然と顔を寄せ合っていた。

 

「んっ……、んんっ……、ちゅっ……」

 

「んあっ……♡ んちゅるっ……♡ ちゅぴっ……♡」

 

 どちらからともなく互いの口唇を重ね合わせ、そしてそっと愛を確かめ合う。次第にユリシアへの愛情が溢れ出してきてしまい、俺はより激しくユリシアの口唇に自らの口唇を押しつけてしまう。

 

 ユリシアも俺と同じ気持ちだったようで、俺たち二人はやがて互いの舌を絡めて滾る愛を貪りあってしまう。

 

 その後はまぁ……、もう一回戦という流れに……ね。ユリシアはもちろんのことながら、俺も思った以上に元気が有り余っていたようで、朝だというのに俺は5回もユリシアの中に欲望を注ぎ込んでしまったのだった。

 

    *

 

「……あたしの気持ちも考えてほしいかな」

 

 朝食の席でメルシアちゃんの不機嫌そうな声が俺とユリシアに叩きつけられた。あの後、ユリシアが着替えのために自室に戻った際にメルシアちゃんにお説教されてしまった。今回もまた魔法障壁を作るのを忘れてしまっていたのだ。

 

 俺もすぐにユリシアの部屋に駆け込み、ユリシアと二人してメルシアちゃんに謝り倒した。室内が何処となく甘酸っぱい香りで満ちていたのは気にしないようにした。

 

 流石に年頃の女の子には刺激が強すぎたのだろう。それに、実妹のそういう声を聞いてしまうのは精神的にくるものがあるだろうしな。

 

「ご、ごめんよ、本当に」

 

 それからメルシアちゃんはずっと不機嫌オーラ全開だった。なんか、さっきからメルシアちゃんが口を開く度に謝っているような気がするな。

 

「居候の身でワガママ言うのは間違ってるかもだけど、せめてもう少し周りに気遣ってくれると嬉しいなぁ」

 

「おっしゃる通りです……。申し訳ない……」

 

「ちょっと考え無しすぎたよね。ごめん、メルシア」

 

「お兄ちゃんはもう良いよ。流石にこれ以上文句言うのは身勝手すぎだからね」

 

 どうやらメルシアちゃんからのお許しはいただけたようだ。だが、俺だけとは?

 

「ね、ねぇ、メルシア……。わたし……は?」

 

 ユリシアが恐る恐るメルシアちゃんに尋ねる。だが、心無しメルシアちゃんのユリシアを見る目が暗く冷たいような……?

 

「お姉ちゃんにはまだいろいろ言いたいことがある。お姉ちゃんが学校から帰ってくるのを楽しみにしてるよ、ふふふ」

 

「ひ、ひぃっ……! ゆ、許してぇ、メルシアぁ!!」

 

「知らない。っと、お兄ちゃん、今日もお弁当ありがとうね」

 

 ユリシアの情けない懇願を無視し、メルシアちゃんは俺にそうお礼の言葉をかけてくる。今朝も俺はメルシアちゃんのためにお弁当を用意した。今日はめぐるさんのところに行く予定はなかったようだが、どっちみちメルシアちゃんの昼食は用意してあげないといけないからな。

 

 ちなみに、今日は俺とユリシア分の弁当はない。昨日陸下さんと寺田君が食べていた学食のメニューが気になったので、今日は学食で注文する予定だ。

 

「いえいえ、気にしないでくれ。ところで、今日はどうするの? めぐるさんのところには行かないってさっき言ってたけど」

 

「今日はこの辺をお散歩しようかなぁって思ってる」

 

「そうなんだ。そしたら、家の鍵を渡しておいた方が良いよね」

 

「良いの?」

 

「もちろんだよ。後で渡すね」

 

「うん、ありがとうね、お兄ちゃん♪」

 

 にっこりと微笑みながら再度お礼を口にするメルシアちゃん。良かった、先ほどまでの不機嫌オーラはどうやら消えたみたいだ。

 

「メルシアぁ……、無視しないでぇ……」

 

 なお、ユリシアは未だにメルシアちゃんに許しを請い続けていたのだった。あっ、若干涙目だ。妹に泣かされる姉というのはなかなかシュールだった。

 

    *

 

 その後、身支度を整えた俺とユリシアはメルシアちゃんに留守番を任せて家を出た。そして、徒歩で駅まで向かい、いつもと同じ電車に乗って学院のある駅を目指した。

 

 そうして駅に到着した俺たちは、改札階のとある一角で陸下さんが来るのを待っていた。昨日からすることになった待ち合わせのためだ。

 

「あっ、サヤ来た。おーい、サヤ!」

 

 ユリシアが人ごみの中に紛れ込んでいた陸下さんの姿を見つけ、ぶんぶんと大きく手を振って自分たちの居場所を陸下さんに伝えていた。メルシアちゃんに説教されていた時はかなりしょぼくれていたのに、満員電車に乗ったことで元気を取り戻したようだった。いや、どういうことだよ……とはツッコまないことにした。

 

 陸下さんは俺たちの存在に気づき、ゆっくりとした歩調でこちらに近づいてきた。気のせいか、少し顔が赤いように見えてしまった。

 

 最初は、距離があったために見間違えたのかとも思ったが、近づくにつれてはっきりと見えるようになった陸下さんの顔は確かにほんのり赤みがかっていた。

 

「お、おはよう、二人とも」

 

「おはよう、サヤ」

 

「おはよう、陸下さん。なんか顔赤いけど、大丈夫?」

 

 気になったので聞いてみる。

 

「だ、大丈夫大丈夫! 満員電車が暑苦しくてさぁ、あはははは」

 

「そう? それなら良いけど」

 

「し、心配してくれてありがとね、りょ、涼君……。っっ~~~~~~!!」

 

 そう言って俯いてしまう陸下さん。本当に大丈夫だろうか? まぁでも、もしかしたら他人には言えない事情があるのかもしれない。だから、俺はこれ以上の詮索は止めておくことにした。

 

「サヤ……、はぁ……。っと、ほらほら、二人とも。そろそろ学校行かないと」

 

「っとと、そうだな。それじゃあ行こうか」

 

「うん。サヤも行こう」

 

「あっ、うん、そうだね」

 

 というわけで俺たちは連れ立って駅から出て、そのまま学院に向かった。道中、陸下さんの口数が少なかったのが少し気がかりだったが、それでも無理に陸下さんの事情に足を踏み込ませることはしなかった。

 

    *

 

 学院に到着した俺たちは、一年生のHRが並ぶ3階廊下で解散し、それぞれの教室に入っていった。といっても、ユリシアと陸下さんは同じ教室なのだが。

 

「おはようございます」

 

「あっ、霜崎君、おはよう!」

 

「おはようございます、霜崎さん」

 

「おはよー、霜崎」

 

 教室に入り軽く朝の挨拶をすると、室内のあちらこちらから返事が飛んでくる。まさか、自分から挨拶する日が来るとは思わなかった。それと、返事が返ってきたことを喜んでいる自分がいて、少し驚いてしまった。

 

 俺もちゃんと変われている。ユリシアと一緒に、一歩ずつ前に進むことができているんだな。それを実感できた瞬間だった。

 

「おはよう、霜崎君」

 

「おはよう、寺田君」

 

 自分の席までやってきた俺に、寺田君が隣から声をかけてくれる。俺もすぐさま返事を返し、荷物を机の脇のフックにかけて席に座る。

 

「寺田君、朝早いね」

 

「ボク? うーん、そんなに早くないと思うよ。学校に着いたのも、霜崎君が来るだいたい5分前くらいだしね」

 

「そうなんだ。ちなみに、何処から来てるの?」

 

 そんな感じに、俺と寺田君は早速他愛もない話で盛り上がる。同性の友人との会話がこんなに楽しいものだとは知らなかった。

 

 それと、彼の地元が俺の地元と駅二つ分しか離れていないということが分かった。思ったより近いところに住んでいたんだな、俺たち。

 

 そうしているうちにクラスメイト達もあらかた集まり、そして始業のチャイムが鳴り担任の藤崎先生が教室に入ってきた。

 

「皆さん、おはようございます。昨日もお話しした通り、今日の午前中は全学年合同の新入生歓迎会です。持ち物は特に何も要りません。少ししたら生徒会の先輩方が迎えに来ると思いますので、彼らの指示に従ってください」

 

 朗らかな笑みを浮かべて俺たちに朝の挨拶をしてきた藤崎先生は、そのままの流れで今日の予定について話をする。

 

 そういえば、新入生歓迎会があると昨日も言っていたな。全学年合同ということは、例の連中もいるということだろうか? 流石にまだ教員側の対応も間に合っていないだろうし、処罰は言い渡されていないだろうからな。

 

 だが、昨日散々恐怖を植え付け、奴らのプライドをズタボロにしてやったから、下手な行動に出るなんてことはしないだろう。まぁ、学校に来ていないことが一番ありがたいのだけど……。

 

 そんなことを考えている間に朝のSHRは終わっていた。それからすぐに生徒会の方が教室にやってきて、俺たち一年は彼らの案内で講堂までやってきた。行動に来るのはこれで二回目だな。入学式があったから。

 

「こちらでグループ分けのためのくじを引いてください」

 

 そうして生徒会の方々に促されるまま、講堂前に集まった俺たち一年生は順番にくじを引いていった。誰かしら知り合いがいると良いなぁなどという淡い期待を抱いてしまうのは普通のことだろう。

 

「霜崎君はどうだった? グループ」

 

「D班だね。寺田君は?」

 

「ボクはH班だよ。別々のグループか、残念」

 

「あはは、そうだね」

 

 軽い感じでそういったが、内心かなりショックを受けていた。できることなら寺田君と一緒のグループが良いなぁと期待していただけに、別グループだと分かった時のショックもそれなりに大きかった。

 

 残りの知り合いというと、ユリシアか陸下さんしかいない。グループの数はA~Jの10グループだ。そして一年生の総数は100人程度。結構低確率だなぁ……。

 

「フォクサローゼリスさんと一緒のグループだと良いね」

 

「まぁね。けど、これだけの人数じゃ低確率だろうね」

 

「それは確かに」

 

 寺田君とそんな会話を交わしながら、俺は周囲をぐるりと見まわす。ユリシアと陸下さんの姿を探すためだ。だが、流石にこの大人数の中からあの二人を探し出すのはなかなか難しい。

 

 二人とも、身長はそこまで大きくないからな。どうしても他の学生たちに埋もれてしまい、俺の位置からでは二人の姿がしにんできない。おっと、背が低いなんて言ったら陸下さんがまた不機嫌になりかねない。この考えは心の中にとどめておかねば。

 

「それでは、一年生の皆さんが入場します。拍手でお出迎えください」

 

 俺が辺りをきょろきょろと見回していると、不意に講堂の中からそんなアナウンスが聞こえてきた。それと同時に講堂の扉がゆっくりと開かれ、生徒会の方々の先導で俺たち一年生がぞろぞろと講堂内に入っていく。

 

 パチパチパチという温かな拍手に出迎えられ、俺は途端に気恥ずかしさを覚えてしまう。他の一年生たちも俺と同じ気持ちらしく、何処となく照れくさそうな笑みを浮かべていた。

 

 それから、講堂内に入った一年生たちは各々くじに書かれていた通りのグループのもとへと移動する。

 

 俺は移動する際にユリシアと陸下さんの姿を見つけたが、残念ながら二人とも俺とは別のグループらしく俺は肩を落とした。

 

「えー、皆さん自分のグループのもとに辿り着けましたかね? それでは、新入生歓迎会を始めたいと思います。皆さん、よろしくお願いいたします!」

 

 司会進行役の学生がそう高らかに宣言すると。講堂内の至るところから拍手喝采が巻き起こる。活気に満ち溢れているな。もう少し静かなものかと思っていたが、こういうところはやはり普通の高校と同じなのかな。

 

「では、今日の大まかな流れについて説明させていただきます。まず最初は……」

 

 という感じに、視界進行役の学生が今日の新入生歓迎会のスケジュールについてざっと紹介し始める。スケジュールといっても、フリートークタイムにかなりの時間が割り当てられていて、その他の予定なんてあってないようなものだったのだが。

 

「では、今日は盛り上がっていきましょう!」

 

 司会役のその言葉に、会場内は再び拍手喝采に包まれる。盛り上がるのはグループ内だけの話だろとツッコみたくなってしまったのは、俺が捻くれ者だからだろう。

 

 そうして、まず最初の予定、グループ内での自己紹介が始まった。

 

「まずは三年生から自己紹介始めまーす! 誰からが良い?」

 

「いや、そのままお前が自己紹介しちゃえよ」

 

「はーい、分かった! それじゃあ、私からね」

 

 そんな楽し気なやり取りをしながら、三年生の先輩方が順々に自己紹介を始めた。結構、ノリが良い人が多いようだ。

 

 その後、三年生に続いて二年生の先輩方も自己紹介をする。三年生の手前だからか、二年生の方々は少し大人しかった。だが、自己主張をしないだけで、普通に楽しそうではあった。

 

「それではお待ちかね、一年生の自己紹介の時間だよ!」

 

「いぇーい! 待ってましたー!」

 

「まずは……、そうだなぁ……。んじゃ、君からね!」

 

「は、はい。分かりました」

 

 二年生の自己紹介も終わり、次は一年生の番となった。三年生の方々は場を和ませるつもりなのだろうが、一年生たちは皆一様に緊張してしまっている。むしろ逆効果だった。

 

 一年生たちは各々たどたどしくはあるが自己紹介を済ませていく。驚くべきかは分からないが、うちのグループ内に俺のクラスメイトは一人もいなかった。

 

「次は君ね! よろしくぅ!」

 

「はい。えっと、霜崎涼です。B組です」

 

 進行役の女性の先輩に促されるまま、俺も自己紹介を済ませる。前の人たちに倣って出身や得意教科、自分の趣味などを淡々と口にする。

 

 緊張してしまっていたので、俺の声は恐らく酷く冷たいものだっただろう。一応、自分が今緊張しているということは初めに説明しておいたので、誰も俺を怖がってはいなかった。そこはひとまず安心かな。

 

「うん、ありがとう、霜崎君。それじゃあ次、あなたね」

 

「はい、分かりましたわ」

 

 俺の自己紹介が終わり、次に先輩から指名された女学生が、一言返事をしてすっくとその場に立ち上がる。俺は彼女にチラリと視線を向けた。

 

 あっ、彼女のことは見たことがある。確か一昨日の入学式で新入生代表の挨拶をしていた人だ。名前までは流石に聞いていなかったので分からないが。

 

「ワタクシ、薊美(あざみ) 月菜(るな)と申します」

 

 グループのメンバーたちの視線を受けた彼女は、堂々とした口調でそう名乗った。俺はその苗字に聞き覚えがあった。

 

 ……確か、父親の働いているホテルのオーナーが同じ苗字だったような……? とすると、彼女はもしかして……。

 

「苗字から分かる方もいらっしゃるかと思いますが、ワタクシはあの薊美グループの社長の娘です。どうぞよろしくお願いいたします」

 

「薊美グループって、ホテルリゾートとかアミューズメント施設で有名なところだったよね?」

 

「はい、そうですわ」

 

 やはりか。なるほど、父親は彼女の父親の経営するホテルで働いているのか。こんな偶然があるとはな。

 

 ひとまず俺は、心の中で彼女と彼女の父親に対して感謝の言葉を述べたのだった。父親を雇ってくれてありがとうございます、とな。

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