【BL】魔導王と悪魔の支配者 作:腐エロのひと。
sideウルベルト
モモンガさんとこうなって、もうどれ位経過しただろうか。確かもう千は越えてて……そろそろ、万に届くだろうか?寂しがり屋のモモンガさんは、連日俺を離してくれない。そのせいで、俺は中々遠出も出来ず。ほんの少し、それが窮屈だとは思っていたけれど。
「……ウルベルトさん、今、何を考えてるんですか?」
「あっ……モモンガさんの、事、ですよ……んっ、もっと……ぁ……」
俺にのし掛かっている、
「なら……もっと、俺を見て下さい。俺だけを見て、俺の名前を呼んで……。今はもう、その名を呼べるのはあなただけなんですから……」
「あぁっ……!モモンガさん、モモンガ、さんっ……」
モモンガさんの手が、俺の躯を這い回る。もう万に届く程彼に抱かれた躯は、簡単に反応してしまう。尖った指先が俺の胸元を弄ぶように動くと、それだけで腰が浮き上がる。
俺のそんな様子に、モモンガさんは小さく笑う。
「ウルベルトさん、俺が、欲しいですか……?」
「ぁ、ん……欲し……モモンガさんが、欲しい、です……」
そう、彼が望む言葉を口にすると、モモンガさんの指が柔らかく蕩けた俺のそこに触れて……。そのまま、俺を貫く。人間よりも太くて長い指が、俺の奥までを犯してゆく。その感覚ですら、俺の躯は快楽として受け止めて。モモンガさんに抱きつきながら、甘い声を上げ続けてしまう。
「モモ、ンガさっ……ぁ、奥、もっと……」
モモンガさんの骨盤に脚を絡めてそう強請れば、優しいモモンガさんはすぐに俺の望みを叶えてくれる。
「イって、良いですよ?ウルベルトさん、あなたの声をもっと俺に聴かせて下さい」
「!!ぁ……――っ、ぁあッ……!!」
ゴリッと、最奥を抉るように貫かれて。俺はモモンガさんに抱きついたまま達してしまっていた。男性器でイくのとは違った感覚で、イってすぐはほんの少し精神が高揚したままだ。悪魔の支配者で快楽には耐性がある俺でもこうなのだから、他の者ならもっと理性が消えるのだろう、などとボンヤリと思う。その高揚感のままモモンガさんにキスをすると、モモンガさんは嬉しそうに返してくれる。
「……で、冒険者モモン、でしたっけ?モモンガさんが使ってるのは」
少ししてモモンガさんから離れてそう言うと、モモンガさんは頷く。
「人間の寿命から言うと、もう限界なんですよね。登場時でモモンは三十近い年齢でした。それが、もう二十八年ですから……人間の冒険者ではそろそろ引退してないと怪しまれる頃なんですが、後釜がまだ見つかってなくて……」
「うーん……まだ表に出ていない俺がやる、って手もありますけど……俺、
「ええ。……一度、晒したことはありますけど……その相手は既に全員死亡していますので」
そう言うと、モモンガさんはほんの一瞬悲しげに眼窩の炎を揺らした。その態度に、あまり良い死に方ではなかったんだな、と俺は察する。
「じゃあ、今度は派手に顔を晒しましょうか。俺、人化魔法を使えるので、パンドラズ・アクターにでもまずモモンをやらせて……人化したモモンガさんに鎧を引き継ぐとかやって、中の人の交代を見せましょうか。密かに育てていた息子、とでもしておけば辻褄も合いますし。モモンが六十歳前後なら、息子が二十~三十位でも問題無いし、モモンの息子なら強いのも納得されるでしょうからね」
俺がそう提案すると、モモンガさんは大きく頷いた。
「そうですね、世代交代はアリだと思います。じゃあ、パンドラズ・アクターに命じて……エランテルで引継ぎの儀式をさせましょう。これでまた二十年か三十年は安泰でしょうか」
ホッとしたようにそう言うモモンガさんに俺は笑い掛ける。
「そうですね。人間はすぐに死んでしまうから……次の世代交代の件も、パンドラズ・アクターかデミウルゴスあたりに伝えておけば俺たちが忘れてもちゃんと進言してくれるでしょうしね」
「えぇ……本当に、人間はすぐに死んでしまうし……亜人種も、同じです。こちらではまだ異形種は見つかっていないし……永遠を生きるのは、どうやら俺たちだけのようですね」
そう言うモモンガさんの眼窩の炎が、昏く揺らめく。……あぁ、この色はあまり良くない色だ。俺はそう思い、話題を少しだけ変えてみる。
「そう言えば、この世界には百年単位でプレイヤーが転移して来てるそうですから……あと七十年もすれば、うちのギルドのメンバーもこちらに来るかもしれませんよ?そうしたら、モモンガさんももう寂しくなくなりますね」
微笑みながらそう言うと、モモンガさんの眼窩の炎の揺らめきが強くなった。……今の言葉の何処がまずかったんだろうか。
「……ウルベルトさんは、俺が淋しいと思ってたんですか?だから、俺に抱かれてる訳ですか?」
……あぁ、そう繋がるのか。俺は自分の言葉のまずさに今更気付くが、既に時遅しだ。
「違いますよ。そんな理由で抱かれる程、俺は優しい悪魔じゃありませんから」
笑顔でそう答えると、モモンガさんの纏う不穏な気配がフッと薄れる。……俺は悪魔だから嘘は吐けないけれど……それは明確な嘘が吐けない、というだけで。俺のさっきの言葉は、ギリギリを攻めた辛うじて嘘にならないラインだ。否定の違う、は寂しいから抱かれる、への回答。……つまり、俺がモモンガさんが寂しいと思ってない、とは言ってないから口に出来た言葉だ。俺は実際、モモンガさんが寂しがってるとずっと思っている訳だから。こんな詭弁めいたやり取りで、種族特性の嘘を吐けない、を回避出来ているなんて知ったら……モモンガさんは、もう二度と俺の言葉を信じてはくれないだろうから、何があってもこの事だけは知られる訳にはいかない。
「じゃあ……何で、俺に抱かれてくれるんですか?」
そう訊かれて、俺は笑顔のまま答える。
「忘れてしまったんですか?モモンガさんが、俺を欲しいと言ったからじゃないですか。俺の全てが欲しいと。だから、俺はモモンガさんに全てを捧げているんですよ。あの時からずっと、俺の全てはモモンガさんだけの物ですよ?」
モモンガさんを見上げながらそう言うと、モモンガさんは俺をギュッと抱き締めながら震える声で囁く。
「……本当に、俺だけの物なんですか?ウルベルトさんは」
「えぇ。貴方に初めて抱かれた日から、ずっと貴方だけですよ」
モモンガさんの背中に手を回して、背骨を撫でるようにしてそう答える。
「違……そうじゃ、なくて……」
泣いているような、声だった。……また、俺はモモンガさんの望んだ答えを返せなかったのだろうか。
「じゃあ、何が違うんですか?俺は、何かを間違えてしまいましたか……?契約者の貴方の望みを叶えられないなんて……
俺がそう言うと、モモンガさんは小さく頭を振った。
「……俺が言うんじゃ、意味が無いんです。ウルベルトさんが、自分で気付いてくれないと……」
「そうですか。……それは、難題ですね。まぁ、幸いにして俺たちには時間だけはありますから……もう少し、待って頂けると嬉しいんですけど。駄目、ですか?モモンガさん」
俺がそう訊くと、モモンガさんは悲しげに眼窩の炎を揺らめかせて小さく頷いた。
sideモモンガ
あれから、結構長い月日が経過して。それでも、ウルベルトさんは変わらない。俺に抱かれている時以外は、ずっと友達としての態度を崩さない。悪魔となっても欲に溺れる訳でも無く、理知的な彼。何かしらの生き物を殺害したり甚振ったりしているのは知っているけれど、彼はそれに溺れもせず、あくまでも娯楽の一環として愉しむだけだ。彼のことを信じては居るけれど、万が一のこともある。彼を失わない為にも、彼に絶対服従の悪魔、
……俺に抱かれるのも、それと同じ。彼にとって、娯楽の一種でしか無いのだろう。最中は何度も俺の名前を呼んで俺を求めてくれるけれど、彼は一度も俺を愛しているとは言ってくれない。
ウルベルトさんは、どうやら俺が淋しいからウルベルトさんを抱いているんだと思っているようで。それが、酷く悔しくて悲しかった。
(……ウルベルトさんは、ギルメンがこっちに転移して来たら俺がウルベルトさんに対する態度を変えるとでも思ってるんだろうか……)
だから、あと七十年もしたら俺が淋しくなくなる、なんて口にしたんだろうか。違うのに。俺は、例え他のメンバーが転移して来てもウルベルトさんを離すつもりもないし、態度を変えるつもりも無いのに。
(……モモンの代替わりを建国三十周年の目玉として……その時、もう一度告げてみよう。それで、何かが変わるのなら、俺は……)
ウルベルトさんは、一応自分で気付こうとはしてくれるみたいだけれど……二十年以上気付かないまま来ているのだから、あと数年で気付く事は難しいように思う。
「……ウルベルトさん。愛していますよ。俺の名前を呼べるのは、あなただけ。あなただけが、俺の特別なんです……」
建国するときに、対外的には捨てた名前。"モモンガ"。その名前を呼ぶことは、ナザリックの者にも禁じてある。だから、ウルベルトさんだけが俺のその名前を呼ぶことが出来る。その意味に、彼だって気付いている筈なのに……。
「俺は、何時になったら本当の意味であなたを俺だけの物に出来るんでしょうね、ウルベルトさん……」
私室で独りそう呟くと、俺はデミウルゴスとパンドラズ・アクターを呼び出した。来る三十周年の代替わりの計画について、準備を進めておくように命令する為に。