参考にして初期アイドルを決めさせていただきます。
翌朝に奏、加蓮(朝に公園で合流)と一緒にジョギングして帰ると叔母さんも帰宅していた。
昨晩に精通があった事を話すと、朝ご飯後に奏が薬を飲むのを確認していた。
話すのは恥ずかしかったけど、『精通したら教える事』って約束させられていたからね。でも話してすぐに『つながるん』でみんなに教えるのはどうかと思うんだ。
みんなおめでとうって伝えてくるし……。さらに、楓さんからは『次にする時が楽しみです』とか、湊さんからは『トリプル記念日ね』とか追記が来るし。
いやいや、湊さん、男の精通は記念日になりませんからっ! ……この世界でも普通は親に報告とかしないよね?
学校が終わると、346プロへと向かう。今日が初レッスンだからね。やると決めた以上はきちんと頑張らないと!
ただ荷物が多いのが……。学校の鞄に体操着の入ったバッグ、それに加えてトレーニングウェアにシューズ。さらには水着にバスタオルだ。
鞄を背負って両手にバッグとか、どうにかならんものか……。一回家に帰れば良いのかもしれないけど、早く行けば楽器の演奏を教えて貰えるからなぁ。
346に着いたらトレーニングウェアに着替えて、指定されたレッスンルームへ行くと麗さんと常務、そしてもう一人の女性が居た。
昨日麗さんが話していた妹――青木明――さんだ。
レッスンを受けるのが男だと知らされてなかったらしく、俺が来た時は凄く驚いていて、自己紹介を交わすときは顔が真っ赤だった。
レッスンの後半はプールなのだが、大丈夫なのだろうか?
ちなみに常務さんは、明さんとのバイト契約を交わしに来ていたそうだ。
麗さんと明さんは見学だけのつもりだったらしいが、レッスン絡みでの機材の準備などで手伝って貰う事が有るかもしれないとの事で、バイト契約をする事になったらしい。
契約内容には守秘義務も含まれるし入館証も発行できるので、お互いに利があるようだ。
今日は基本的な体の動かし方を見るとの事なので、ダンスレッスンルームだ。だからピアノは無いので、時間まではギターを教えて貰う事になった。アコギなら簡単に持ってこれるからね。
印刷されたコード表を渡されると、明さんが手本として弾くのを見ながら麗さんに指導を受ける。
コードが多くて始めは覚えられるか不安だったけど、教えられながらやってみると
弦の弾き方、押さえ方、指の動かし方……何故かスムーズに出来てしまったのだ。これには教えている方の二人も驚いていた。
「ふむ……。純君にはギターの才能も有るのかもしれないな。作曲家に依頼をするのは待ってみるか」
それは嬉しいですけど、何でビデオ撮影しているんですかね?
「これか? 初レッスン時の様子だ、初アルバムなどの特典にも使えそうだからな」
「えーっ! そんな素人丸出しのステップとか見ても面白くないでしょうに。特典ならレコーディング風景とかの方が良いですって」
「まぁ、本当に使うかは別にして。撮って置けば何かに使えるかもしれないから、撮っておくにこした事は無いだろう」
そう言われるとどうしようもないし、仕事内容にダメ出し出来る契約だからな。それよりも教えて貰っているギターに集中しないと。
レッスンの開始時間になったのでギターの練習を止めて、麗さんの指示に従って柔軟ストレッチを始める。
1つ1つにどんな効果があるのかを説明されながら、ストレッチを続けていく。明さんがそれをメモしているので後で写させて貰おう。
柔軟が終わると、ステップの練習になった。
麗さんが基本のステップを見せてくれるので、ゆっくりとしたリズムに合わせてそれを真似る。
何種類かのステップの練習をしたら、曲に合わせてステップを踏む。
まだ基本の小さなステップだから良いけど、複雑になったり振り付けが入ってきたらどうなるんだろう。
「うん。初めてにしてはなかなか良かったし、体力も十分あるな」
初回のダンスレッスンを終えると麗さんがそう言ってくれた。そしてレッスンルームの端に置いてあったクーラーボックスから、ペットボトルを取り出して渡してきた。
麗さんの特製ドリンクで、疲労回復に良いらしい。麗さん自身だけでなく、姉妹全員が飲んでいるので安心して欲しいと言われた。
明さんを見ると頷いているので本当なのだろう。
実はスタミナドリンクの中身が、この特製ドリンクの可能性も……?
後半はプールなので地下にあるプールへと移動する。
その移動の最中に常務さんから学校とレッスンでやっていけそうか聞かれたので、体力的には大丈夫そうだけど荷物が大変という事を伝えた。
すると常務さんは少し考えた後、こう提案してきた。
「純君が嫌でなければ、タオルはウチのを使えばいい。エステやマッサージ、撮影などにも使うからね。小さいのから大きいのまで大量に常備してある」
おぉ、今日は汗を拭く用のタオルを忘れてたし、使わせて貰えるなら助かるよな。
「そしてそれらを洗うためのクリーニング設備もある。指定の場所に出せば、夜の内に洗って乾燥までしてくれるだろう。泊まり仕事のある社員なんかも使っているしな。あぁ、そうだ更衣室のロッカーを1つ純君専用にしてしまおうか。シューズも置いておけるだろうし、洗った物もそのロッカーに届けさせれば良いし、ついでにタオルも補充させて置かせるようにしよう」
って、なんか常務さんの中で色々決まっていっているような気がするな。
嫌なら使わなければ良いだけだし、厚意は受け取っておこう。
プールのある地下フロアに着くと、俺達は更衣室へ、常務さんは直接プールへと向かった。
更衣室の扉を開けて中に入るが、二人は扉の外で立ち止まったままだ。二人の事を見ていると、麗さんが緊張した表情で口を開いた。
「あの……だな。もしかして……一緒に着替えるのだろうか?」
更衣室は一つしかないし、レッスンで使用できる時間も決まっているからね。
「そうしないと、レッスン時間が減ってしまいますからね。麗さんも明さんも早く入って扉閉めてください」
「だが、良いのか? 私たちは女だぞ」
「見せたいわけでは無いですけど、大きなライブで衣装替えとかあると、スタッフさんのいる舞台裏で早着替えとかあるんですよね? なら、いちいち気にしてられないでしょう」
実は二人の生着替えを見たいだけだったりするんだけどね。俺は別に見られても平気だしー。
そして俺が急かすと、二人はやっと更衣室の中へと入って来てくれた。
さくっと脱いで水着に着替える。二人も半袖短パンに下着だけなのですぐに着替え終わるだろう。
二人の方に顔を向けて「先にプールサイドに行ってます」と告げて移動する。うん、二人とも丁度水着を着るところだったので、バッチリ見えました! まぁ二人も俺のを見てたと思うので、お相子だ(笑)
小学校の時はプールの授業で着替える時、教室でみんな裸になってた。奏に聞くと中学でも着替える場所がプールの更衣室になるだけで、隠さないのは同じらしいからな。水着に着替える時に隠す文化が無いのだろう。
ちなみに二人ともハイレグの競泳水着で、体のラインがハッキリと判る。ボンキュッボンですよ!
更衣室を出てプールサイドに移動すると、俺が来たの気付いた常務さんがビデオカメラを持って寄って来た。
俺は気にしないが、男の水着姿を撮るのはこの世界的にどうなんだ? 常務さんに聞いてみると――
「こ、これはっ、私が個人的に楽しむので……絶対に人には見せないから。……だ、ダメだろうか?」
体を少し縮めてそう言ってきた。
何というか……イメージ壊れまくりだな、この人! 便宜を図って貰っているし、常務さんの事は嫌いじゃない。
他の人に見せないと言っていうので、それを約束して撮るのを許してあげた。
プールでのレッスンは、水に潜り息を吐き続け、限界に来たら水面に顔を出し息を吸ってすぐに潜る。これの繰り返しだった。
水深1mの浅いレーンでやっていたので、少し潜ると二人のハイレグの股間が目の前に……
裸も良いけど、これもこれでそそるよね! こっちも水着なので、勃起しないように気を付けないとな。
プールでのレッスンの最後は、潜水で50m泳ぐ事だった。もちろん泳ぎながら息を吐き続けて、苦しくなったら息継ぎを行う。
これは体を動かしつつ息を吐き続ける訓練になるそうだ。アイドルはステージで踊りながら歌うからね。実際に歌いながら体を動かすのとは違うけど、効果は有るとの事だ。
レッスンが終わり更衣室で着替える。俺の方へチラッチラッと視線を向けてくる二人が初々しく感じてしまう。一緒にお風呂するみんなは遠慮なく見てくるからね。
水着からレッスン着に着替え終えると、こんどはレッスンルームの方で制服に着替えるんだよな。次からはプールに移動するときは、二度手間にならないよう制服を持って来るようにしよう。
今までの日常にレッスンが加わり放課後に一緒居る時間が減ったためか、加蓮と奏が夜に家に居る事が多くなった。
風呂上がりに柔軟ストレッチを始めた事や、俺の部屋にギター(アコギとエレキ+アンプ)と電子キーボードが増えた事から色々聞かれて、アイドルになる事を白状させられてしまった。
楓さんが居ない日にはストレッチの手伝いをしてくれるようになったらそこは助かるのだが、何故か二人も一緒にストレッチをやるようになっていた。
夜に一緒に居る事で加蓮も真面目に宿題や試験勉強をやっていたので、期末試験の成績は結構良かったようだ。
まぁ中学1年の1学期で躓いていたらこの先大変だしな。
中旬になると、346が発行しているティーンズ向けの雑誌にオーディションの記事が掲載された。
それに合わせて346プロの公式サイトにアイドル事業部のページが作成され、そこでもオーディションの告知がされた。
346プロは現在の閉塞感漂うアイドル業界を改革します!
今までの歌とステージに特化した活動ではなく、他にもトーク番組やバラエティ番組などのTV出演、さらには演劇やモデル等。幅広い活動で新たなアイドルの形を作り上げていきます。
個性を活かしアイドル卒業後も芸能活動が出来るように、他では出来ないバックアップが346プロなら可能です。
貴女も私たちと一緒に夢の階段を上ってみませんか? 夢見るシンデレラを私たちはお待ちしています。
第一回346アイドルオーディション! 応募用紙に記入の上、顔写真及び全身写真を同封して応募窓口へ郵送してください。締め切りは8月末日必着になります。
「このオーディションに受かれば、純と一緒にアイドルをやれるのね……」
「えっ、どれどれー? これ、募集要項のってないじゃん」
雑誌を見ていた奏が呟いた。どうやらオーディションの記事を見つけたらしい。その呟きを聞いた加蓮も雑誌を覗き込んでいた。
「んー、シンデレラって書いてあるんだから年頃の女性であれば良いんじゃね?」
まぁチャイルド枠は有るかもしれないけど、プロデューサーがまだ3人しかいないんだよ。
プロデューサーがマネージャーや付き人を兼任する事になっているから、現場では付きっきりが必要になるような子供は今の人数じゃ厳しいんじゃね? 俺みたいにしばらくは社内の仕事のみっていうのなら、いけるのかも知れないけど……
「シンデレラねぇ……。純がアイドルたちの王子様になるのかしら?」
「手を出しまくったらダメだからねっ!」
「俺にだって好みはあるから、大丈夫だよ。きっと」
「「怪しい」」
二人の母親とも関係を持ってるから、仕方ないっちゃ仕方ないのかもしれないけど、信用ねーなぁ。
ちなみに二人は親から『気持ちはわかるけど、高校に受かってからにしなさい』と言われて、オーディションへの応募は断念したようだ。
加蓮は『また奏に1年遅れちゃうじゃん!』と怒っていたが、奏に『学校で同じクラスなのを、ずっと羨ましく思っているんだけど?』と返されていた。
そんなやり取りをしていても、喧嘩になったりしないから助かるよな。
純のチート②:超早熟な器用貧乏
少し習うだけで、あっという間に上達する。
しかし、どんなに頑張っても超一流の域には達しない。
スポーツでいえば、プロにはなれるが一軍半からスタメン争いくらい。
楽器を習い楽譜を書けるようになったので、前世の曲をほぼコピーできるようになりつつある。
完璧じゃないのは、各楽器のパートを意識して覚えていなかったから。仕方ないね。