なのにさらに亀進行……
3連休最終日の海の日だ。
今日は幾つかの出来事がある。とは言っても直接関係の無いの事もあるけどね。
先ず関係無い方からだけど、今日の0時に夏フェスのチケット申し込みが締め切られたので、午前中の内にシステムで自動抽選されて正午に結果送信を行うらしい。
何千人もの抽選を手動でやるわけにもいかないから、システムでの自動抽選は当たり前か。システム自体は他の部門でも使っている、346プロ全体で実績のある物だしトラブルは無いだろうね。
次に公式サイトで第2回オーディションの申し込み開始だ。
1回目と違って雑誌での告知は無し。346プロでアイドルに成りたくて、公式サイトをチェックしている人を対象にするみたいだ。ネットでこの事が拡散されれば意味無いと思うんだけどね。
それと今回はWEBからの応募のみで、応募フォームに記入して写真をアップロードすれば応募完了だ。
いやらしいのは、必須項目が少ないのに全項目入力してないと自動で落選にされる事だね。
全項目記入は1回目でも有った事だけど、常務や叔母さんは俺のせいで万桁の応募が有ると予想しているみたいで、先ずはそこを自動で篩い落とす事にしたらしい。
俺が関係する事といったら、夏フェスのパンフ用の撮影と個別衣装のフィッティングがある。
俺は事前に衣装が問題無いか確認させられたから、どんなのか知っている。あれならサイズの問題とかは無いだろう。
みんなは午前の個別レッスンに向かったが、俺と楓さんは午後の撮影から参加だ。
楓さんは昨晩仕事から戻って来たので家には来なかったんだよね。だから一人で向かう予定だったのだけど、朝に楓さんから迎えに来ると連絡が有った。
一人で行くよりは楓さんと一緒の方が良いから嬉しいのだけど、わざわざ迎えの為にだけ来てもらうのは申し訳ない気もする。
346プロで食事をとる時間も考えると、楓さんが来るのは11時から11時半くらいだろうと部屋で写真の整理をしていたんだ。
そうしていたら、肩を叩かれた。えっ⁉ と思い振り向いたら、そこには楓さんが居た。
あれ~? まだ10時前だよ??
「それは美波ちゃんですよね?」
パソコンのディスプレイには昨日撮った美波さんの写真が表示されていた。自ら割れ目を広げているやつです。
「これから一人でする所だったんですか?」
「いやいや、デジカメの写真整理していただけだから。楓さんが来るのを分かっていて、するわけないじゃない」
確かに見てるとムラムラするけどさ、昨日沢山した後だし大丈夫だ。
「そうですか……。自分で広げて見せて、しかも濡れてますよね? もしかしなくても美波ちゃんとHしちゃいましたよね?」
こんな写真撮っておいて、Hしないわけないもんなぁ。
本当は加蓮と奏、当事者の美波さんと揃っている所で話したかったんだけど、その前にバレちゃったし仕方ないか。
「うん。昨日美波さんから正式に花束に混ぜて欲しいってお願いされた。アーニャと紗枝ちゃんにもね」
「そうですか。今までの様子を見て、そうだとは思っていました。愛梨ちゃんからは言われなかったのですか?」
「あー。愛梨さんは昨日仕事が一緒じゃなかったからね」
昨日の仕事で何が有ったのかと告白されるまでの経緯、そして美波さんのHについてまで白状する破目になってしまった。
「それでこの写真なんですね。自分の体で男性が興奮してくれるのは、女にとって誇らしいものですから、美波ちゃんの気持ちも分かりますけど……」
「一番多く使っているのは楓さんのだから」
「ありがとうございます。……でも、今晩は写真では無く、私の体でお願いしますね――チュッ♡」
どうやら楓さんは今晩泊りに来るようだ。
ここ数日会えてなかったら、一緒の時間が取れるのは嬉しいよね。
「時間はまだありますけど、行きましょうか。買い物もしたくなっちゃいましたしね」
楓さんと一緒に家を出て駅に向かうのかと思ったら、近くにある駐車場で立ち止まった。
「今日は新車で来ちゃいました♪」
嬉しそうな楓さんに見せられた車はハイエースだった。
えぇっ、何でハイエース? 俺に似合う車とは何だったのか……。はっ、もしかして俺がハイエースされちゃう系だったのか⁉(錯乱)
しかも全体に濃いフィルム付きだし、フロント回りの透過率大丈夫なのかこれ。
業者から納品されたのだったら平気だと思うけど、まさか自分で貼ったりして無いよね? ……楓さんがせっせと貼っている姿を想像してしまったじゃないか。
「キャンピングカー仕様*1なんです。いつかこれで温泉巡りとかしてみたいですよね」
ドアを開けて中を見せてくれたんだけど……
「何でベッドが展開されてるの?」
「寝る時の感じを確かめていたからですよ? ほら、純君も乗ってください」
楓さんに背中を押されて、車へと乗せられる。
あぁ、ハイエースされてしまった~(笑)
「この椅子を倒したところで2人、後部ベッドでも3人寝れるそうですから、5人までは大丈夫ですよ」
楓さんも乗り込んでくると、ベッドの説明を始めた。
いや、そうそう使うものじゃないから、今説明しなくても良いんじゃないかな?
「それに後部ベッドのここに、こう座ると……どうですか、純君が好きなスカートの中が見えますよね」
確かに座った視線の高さに合ってるね。
まぁミニスカートで脚を広げてくれないと見えないけど、今の楓さんはわざと見せてきているしな。
「冷蔵庫にコンロもありますから、休憩しながら何処にでも行けちゃいますね」
説明を終えると、楓さんはベッドから座席へと変更を行っていった。
これだけの為にベッドを展開してきたのかよ!
「それじゃあ、出発しましょうか。純君は助手席に座ってくださいね」
楓さんの運転で買い物する店へと向かった。
やって来たのは表参道と原宿の間にあるショッピングセンター。前世では表参道ヒルズがあった辺りだろう。
その5階の一角、殺風景な通路で何故かお客さんが少ない。
楓さんと腕を組んで歩いてるのだけど、すれ違う人からねっとりとした視線を向けられる。
普段受けている視線とは違う感じなんだよね。
何だろうと考えていたら楓さんが立ち止まった。
「ここですね、ちひろさんから教えて貰ったお店です」
目的のお店に到着したみたいだけど、何というか凄く怪しく感じるんですが。
楓さんに腕を組まれたまま入店したその店は――アダルトショップだった。
あぁ、なるほど。雰囲気を怪しく感じたのはこのせいか。入り口からも長い暖簾で中が見えなかったしな。
楓さんはディルドの置かれた棚を見ながら奥に進んで行った。
「どれも純君のより小さいですよね」
楓さんが小さい声で言ってきたので思わず見てしまったが『12㎝のBIGサイズ!』とかPOPに書かれている。
それって前世の標準以下何ですけどぉ! それでBIGとか、本当にこの世界のは小さいんだな。太さもペットボトルの蓋より細いし……
女同士でする用の双頭ディルドやペニパンも沢山あるな。
この世界なら男向けより女向けの商品が多いのは当たりまえか。
「いらっしゃい。何かお探しかね」
奥のカウンターに着くと、お婆さんがニヤニヤした顔で聞いて来た。
大人女性が少年を連れてこんな店に来るんだから、変な想像されるのは仕方ないけど、少しは隠せよ。客商売だろうが!
あぁ、すれ違った人たちも想像しながら見ていたから、あんな絡みつく視線だったのか。
「はい、洗浄器具を探しに来ました」
えぇっ、そうなの⁉ いやいやいや。確かに美波さんとのHの事を話した時に言っちゃったけどさ、その日の内に買いに来るか?
「ほうほう、ふ~ん」
お婆さんは俺たちの事を舐めるように見ると、店内の棚から一つの箱を持ってきた。
「これなら前でも後ろでも使えるさね。勿論男にだってね」
ババアは俺の腰辺りを見ながらそう言ってきた。
漫画とかなら『ケッケッケッ』とかの笑い声が有った事だろう。
「洗面器にお湯をためてこっちのホースを入れる。だいたいコップ1杯ちょいくらいだよ。で、この部分を押し込むと先っぽから空気が抜けてホースからお湯を吸い込む。繰り返して空気が抜けたら穴に突っ込み、同じように押すと中にお湯が出て行くって寸法さね。先端の部分に逆流防止がついているから、初心者でも安心して使える品だよ」
パッケージの写真を指差しながら使い方の説明をしてくれた。
視線とかはアレだが、きちんと説明してくれるとは良い店員じゃないか。いや、視線や態度がダメな時点で良い点とは言えないよな。
楓さんはこの商品を買うようだ。ついでにとピンクローターや目隠し、更には手錠まで買っているんですけど、何に使うんですかね? 俺は小道具よりもコスプレ衣装の方が嬉しいんです!
その内鞭とか蝋燭とか買ってこないよね? ハードなのはちょっと無理なんで、後でちゃんと話しておこう。
後、楓さんがどんどん変な知識を覚えてしまっているから、ちひろさんにちゃんと釘を刺しておかないとな!
ババアは会計が終わると、カウンターの下から箱を一つ取り出して楓さんに渡した。
「これはサービスさね。チンポがビンビンになって、今まで以上に回数をこなせて女が喜ぶさ。尽くすだけでなく偶には満足させて貰いな。こんな店に一緒に来てくれるんだ、理解ある子なんだろう?」
人差し指を立てて、ビンビンってするんじゃないよ! そんな薬が無くたって回数こなせるし!
買い物を終えて346プロに行くと、カフェで早めの昼食をとる事にした。
買い物した物は車の中に置いて来たよ。346プロの中で使う予定は無いから当然だよね。
相変わらずバイトを続けている菜々さんを横目に二人で食事をする。
数千万は手元に残るだろうに、まだバイトを続けているんだよね。その一方で目の前の人は、500万以上をあの車に突っ込んでいるだろうしな。
食事が終わってプロジェクトルームに行くと、殆どの人が揃っていた。
居ないのはパンフの撮影をしない藍子と瑞樹さん――この二人は午後の自主レッスンの準備に行ったらしい――と、バイト中の菜々さんだ。
全員揃うと炬燵2卓では足りなくなっているんだな。夏だから良いけど、冬は……無理矢理誰かがくっ付いてくるのが目に浮かぶようだが、今は考えないでおこう。
楓さんは執務室に顔を出しに行ったので、俺は炬燵へと移動すると、愛梨さんとアーニャに捕まって二人の間に座らせられた。
冬じゃなくても1辺に3人で座る事になるとは。
美波さんに淹れて貰ったお茶を飲みながらみんなのお喋りを聞いていると、楓さんが叔母さんと一緒にやって来た。
「みなさん、少しよろしいでしょうか」
近くまでやって来た楓さんが話しかけてきた。
みんなお喋りを止めて楓さんに注目すると、楓さんでなく叔母さんが口を開いた。
「先月末に三船さんと川島さんが純君の花束に加わりました。そして昨日、新田さん小早川さんアナスタシアさんの3人が加わりたいと純君に申し出て、純君はそれを受けた。で良いのよね?」
みんなの前で言わなくてもと思ったけど、最後は俺に確認するように聞いて来たので頷き返す。
「えぇー、ズルいです。私だって純君の花束に混じりたいです」
隣に居た愛梨さんが俺の腕を取りながら言ってきた。
うん、予想してたよ。好きでもなきゃ何度も揉ませに来ないよな。あれは愛梨さんなりのアピールだったんだろうし。
「もちろん歓迎するよ、愛梨さん」
「ありがとうございます~」
「そう、十時さんもなのね。予想はしていたけど、どんどん増えるわね。……それで、姫川さんは混じらなくて良いのかしら?」
叔母さんは呆れたように言うと、友紀さんにも確認をしてきた。
寮生の中で参加していないのは友紀さんだけになるしな、気になるのだろう。
「あー、アタシは偶に触れ合う今の距離感が丁度良いというか。数年後はどうなっているか判らないけど、子供を作る時だけしてくれれば嬉しいかなーなんて思ってます」
嵌ったらどうなるか判らないとか、失うのが怖いとか前から言ってたもんね。
残念ではあるけど、偶に触れ合うのはOKみたいだし、数年後の友紀さんの気持ちに期待かな。
「卯月はどうなの? 本気なら今言っておいた方が良いわよ」
「ふぇっ、私ですかぁ⁉」
「他の人より先に出会っているんだから、今言っておかないと。後から入ると序列に影響するのよ。純の気持ちが一番だけど、純が口を出さなければ基本参加順だからね。今ならまだ他の人たちと同じよ」
「奏ったら優しーじゃん」
「加蓮、茶化さないで。純の事だもの数年後には数が倍以上になってるわよ。今の内からきちんとしておかないと束がばらけてしまうわ」
「あー。そうなったら数本だけ手元に置いて、後は摘んでは棄てってなっちゃうかもしれないのか」
あー、前世の武士の奥でも序列争いが有ったんだけっか。
人数が増えたらからみんなの中でも序列争いが起きるのかな。みんな仲良くして欲しいのだけど……
もし序列争いが起きて険悪な雰囲気になったたら、確かに加蓮の言うようにヤリ棄てのが楽に感じて、そうなってしまうかもな。今なら薬局で避妊薬を買えるから、俺が持ち歩けば良いんだし……
「あっ、あの。私も純君の事が好きなので、出来たら花束に混ぜてもらえたら嬉しいです」
「うん、俺も卯月さんの事が好きだよ。でなければ、あの時助け起こしたりせずに無視していたよ」
「ほ、本当ですか? 嬉しいです。純君の隣に居ても恥ずかしくない良い女になれるように、島村卯月頑張りますっ!」
「良い女になるために頑張るのは良いけど、先ずはアイドル活動を頑張ってね。他のみんなもだけど、俺の女になってアイドルとしてダメになったなんて事は無いようにね」
「勿論です。きちんと仕事したうえで男に尽くすのが、良い女の最低条件ですから。ね?」
俺の言葉に楓さんが答えると、他の子達も頷いたり返事をして肯定していた。
こう偶に真面目モードになる楓さんにはドキッとさせられる。アダルトショップでだらしない顔をしていた時とは大違いだ。
「なら、みんなアイドルの仕事をしっかりね。そうだ、卯月ちゃんもって事は藍子ちゃんもかしら?」
「えぇ。藍子も同じだと思いますから、後で確認しておきますね」
「奏ちゃんお願いね。高森さんもだとしたら、えーっと、8人増えるのだから全員で11人よね? ふふっ、娘が一気に増えちゃったわ」
叔母さんは喜んでいるけど、そうか11人か。
そうなったら良いなとは思っていたけど、一気に来たのは予想外だったな。
「でもそうなると楓ちゃんの言った通り、純君の家が必要になるわよね。川島さんと三船さんも居る事だし」
「えっ、俺、家を出るつもりはなかったんだけど」
あのマンションには蓮菜さんと湊さんも居るし、近所のお婆ちゃんたちにも良くして貰っているし。
「純君。今までは3家と私だけでしたけど、これ以上合鍵を渡すわけにもいかないでしょう? 花束を持ったんですから、そこだけは諦めてくださいね」
「自分の家を持ったからといって、今の家に帰って来てはダメって事は無いんだから。ね」
楓さんと叔母さんから諭されてしまった。
たまに帰ってママさんズに甘える事は許して貰えるようにお願いしないとな。
年上に甘えるっていうのなら、楓さん瑞樹さん美優さんが居るけど、包容力が違うというか……
「なら、この近くが良いんじゃない? 通学も通勤も楽になるでしょ」
「そうね。寮の子には悪いけど、純が電車通学だと面倒事が起きるかもしれないものね」
加蓮と奏は家の場所の事を話し始めているし、これはもう確定か。
「はいはい、場所なんかについては後で私と純君で決めて、みんなに知らせます。――っと、そろそろ時間ね。じゃあこの話はお終い」
叔母さんが話を終わらせると、箱を積んだ台車を押したちひろさんがやって来た。
あの中身は衣装だろうな。先ずはフィッティングからだし。
その後ろにはスターリースカイ・ブライトが掛けられた、キャスター付きのハンガーラックを押してくるプロデューサーさんたち。そして菜々さんもやって来た。
「はい、女の子はここで着替えてね。純君は執務室でね、今日は部長が居ないから大丈夫よ」
叔母さんはみんなに指示をすると、一つの箱を持って執務室へと入っていった。
叔母さんが持っている箱に俺の衣装が入っているんだろう。
その後を追って執務室に入ると、予想通り俺の衣装を箱から出してソファーに並べていた。
着替えないといけないので側まで行くと、いきなり抱き着かれた。
「純く~ん、本当はずっと家に居て欲しいのぉ」
さっきまでの仕事モードはどっかに飛んで行ってしまったらしい。
「俺も出たくないけど、必要な事なんでしょ? 叔母さんや蓮菜さん、湊さんにも会いたいから、たまに――いや、結構な頻度で帰ると思うよ」
「うん。その時だけは、今までのように私たちだけで愛し合いましょうね。ずっと愛しているわ――ムチュゥ♡」
おぉぅ、会社なのに舌まで入れて来た。
抱きしめてくる力も強いし、それだけ寂しく感じったって事なんだろうなぁ。
「ごめんなさいね、つい感傷的になってしまったわ。さっ、みんな待ってるから、純君も着替えてしまいましょう」
強烈なハグ&キスが終わると気を取り直したのか、仕事モードに戻っていた。
こう、切り替えが出来るのは流石大人だよなぁ……
衣装を見ると前に聞いていたアロハシャツに海パン、そしてビーチサンダルだ。
だけどこの海パン、裾短くね? トランクス並み……あぁ、前世でのスクール短パンもこのくらいだったか?
中にサポーターもついてないし、はみ出さないよね? この世界標準の大きさなら平気だろうけどさ。
うん? はみチンしても嫌がられずに喜ばれるだけか、なら問題無いのか?
とりあえず服を脱いで……ビーサンだし靴下もか。で、水着だからパンツも脱ぐと。
うん、執務室で全裸です。普通の会社なら大問題ですよ!
海パンを穿いて、アロハシャツに袖を通し、ビーサンを履くっと。
「シャツはボタンを留めるんだよね……って、どうしたの?」
着方を確認しようと叔母さんの方を見たら、頬を押さえていた。
「純君の姿に興奮して顔が熱くなってしまったの。純君の裸を見慣れている私でこれだもの、大丈夫かしら?」
うん、やっぱりボタンは留めておこうね。
昨日紗枝ちゃんたちも、開けてると興奮するとか言っていたしな。
プロジェクトルームに戻ると、愛梨さんが胸のサイズを測っているのが見えた。
みんな向こう側を見てるから、誰も俺たちに気付いてないみたいだね。
「トップが85㎝のEカップです。調整が必要でしょうね」
サイズがきつくなったのか。あれ、先月80を超えたって言ってたよな。あれからまた数㎝大きくなったって事か⁉ しかもまだ大きくなるんだよね。確か88の推定Fカップだっけ?
そしてサイズが聞こえたのか、楓さんから暗黒オーラが出ているようだ。
「楓さん。俺は楓さんのおっぱいも大好きだから、落ち着いてね」
「そうですよね。身長と同じで自分ではどうしようもありませんでした」
小さな声で楓さんに言うと、落ち着いてくれたようだ。
そうそう、身長とナニのサイズは自分では変えられないからね。たった数か月で追い越されても仕方ない、どうしようもないんだもの。
「調整は間に合いそうなの?」
「個別衣装の方はすぐにでも。スターリースカイ・ブライトは作り直しになりますが、その為のフィッティングですから。そうですね、今週末に十時さんはもう一度作り直した衣装のフィッティングをお願いします」
叔母さんが側に移動して衣装さんに確認したけど、十分間に合うようだ。そして愛梨さんは作り直したので、もう一回か。
新しく1着作るのか、それともバラして胸の所を調整して縫い直すのか……。新しく1着作るなら、今のやつをくれないかなぁ。買取でも良いぞ!
本物の衣装でHするのとか、興奮しそうじゃね?
「純君、今エッチな事を考えていましたね? ダメ……なんですけど……純君の気持ちも分かってしまいました」
楓さんが俺の衣装姿を見て、怒りきれなかったようだ。
さっきはちらっと顔を見ただけで、衣装まできちんと見てなかったんだろうな。
そして楓さんの声にみんなが俺の方に振り向いた。
「純にぃはんはまたそないな格好で、思春期の乙女には刺激強すぎどす」
「
「純の水着は小学校以来だけど、凄い事になってるね」
「えぇ、大きさが判ってしまうわ。これはダメじゃないかしら」
何人かが感想を口にする中、奏が懸念を述べた。
うん、思っていたよりピッチリしていたんだ。これならサポーターが無くてもはみ出さないだろうけど、逆に形が判ってしまうというね……
着替えで直に見た事のあるアイドルたちでも顔が赤くなったりしているので、見た事の無いプロデューサーたちや衣装さんたちはというと――
揃って鼻血を出していた。
漫画かよっ!
エッチな事を考えて鼻血を出すって迷信だったはずだろ。でなきゃ、俺は高頻度で鼻血出してるわっ!!
「やっぱり大丈夫じゃなかったわね」
叔母さんがため息交じりにそう呟いたのだった。
結果、俺の衣装はハーフパンツの海パンになった。
これで形が判る事もはみ出る事も無いだろう。
女性陣の個別衣装のフィッティングも行われていく。夏だからみんな露出の多い衣装だ。
たとえば、楓さんはベアトップからのパレオ風スカートでパンツがちら見えする。まぁ水着なんだけどね。
紗枝ちゃんはくノ一風というか、尻尾の無い餓狼伝説の不知火舞の衣装じゃね? あれ、舞も忍者だっけ? ならくノ一風でなく、まんまくノ一衣装だな。
夏フェスでは扇子持って踊るらしいし、コスプレだよなぁ。まぁ、胸のボリュームが足りないけど、それはそれで……
そんな感じでみんな大胆衣装だ。
大胆と感じているのは俺だけで、この世界の女性の感覚ではそうでも無いんだろうけどさ。
調整が必要といわれた愛梨さんは胸の前で布を結ぶようなトップス。*2
結び目の調整と、飾りを付ける場所をずらすだけで済むみたいだ。
踊っている最中に解けてポロリとか無いよな? この世界だし、微笑ましいハプニングで済むんだろうけど、心配だよね。
みんな着替え終えると軽く体を動かして、踊るのに問題無い事を確認した。
それが終われば社内の撮影スタジオへ移動してパンフ用の写真撮影だ。
スタジオにはメイク台も持ち込まれていて、ここでメイクを行うようだ。
3つのメイク台の前ではメイクさんが既に準備を終えて待っている。
「それじゃあ奏ちゃん、加蓮ちゃん、卯月ちゃんからよ。3人はパンフ用の撮影が終わったら、着替えて戻って来てね。ついでに公式サイト掲載用のも撮ってしまうからね」
呼ばれた3人がメイクさんによって化粧と髪型をセットされると、衣装さんが髪飾りを付けられる。
準備が終わると撮影なのだが、卯月さんはガチガチに緊張していた。
そんな卯月さんを見た奏が「仕方ないわね、私が先に撮ってもらうわ」と言って、カメラマンさんの方へ進んで行った。
流石奏だ、カッコイイ!
堂々として何事もなく撮影を終えて戻って来ると、俺の腕を取り胸に抱きしめて来た。
「流石に少し緊張したわ」
うーん、このポーカーフェイス上手め。だけど、こうして俺に甘えてくれるのが嬉しい。
そんな奏を見ていた加蓮がやって来た。
「純、右手を開いて」
いきなり何を言うのか分からなかったが、手を開いて見せる。
「じゃあ、私も撮ってもらって来るね」
加蓮はその手に自分の手を叩き合わせると、カメラマンの方へ歩いて行った。
「気合い入れるほどのもんかね?」
「こんな本格的な撮影は初めてだから仕方ないでしょ」
そうか、3人は公式サイト用の写真もまだだったから、スタジオで撮られるのは始めてか。
それなら緊張しても仕方ないな。俺も初めてのインタビューの時は少し緊張していたしな。
奏と話していると卯月さんも近くに寄ってきた。
「わ、私もお願いします!」
ガチガチの表情で手をかざしてくる卯月さんがおかしくて、思わず笑みが零れる。
「卯月さんは笑顔が素敵だから、難しい事は考えずに楽しかった事を思い出せばいいよ」
そう言葉をかけて手を合わせると「はい。島村卯月、頑張りますっ!」と手を握りしめた。
「大丈夫かしらね?」
そんな様子を見て奏は呆れていた。
そうしている内にも他の人の準備も進んでいたようで、俺の順番になったようだ。
叔母さんに呼ばれた所に行き、メイクをして貰う。
とは言っても、ファンデーションと髪型のセットだけから他の人よりは簡単に済む。
「今日メイクを担当する井村です。よろしくね」
名前を聞いて、もしかしてと思ったけど年齢が全然違うしな。
ひょっとしたら姉妹かな? でも井村雪菜って姉が居たっけ??
「男の子にメイクするなんて初めてだから、ドキドキしちゃうわねぇ」
そんな事を言いながらも、スポンジとブラシで手際よく俺の顔にファンデーションを塗っていく。
「ヘアスタイルはどうしましょうか?」
「リーゼントで、前髪は軽くアップしてまとめる感じで」
井村さんの確認に叔母さんが答えた。
リーゼントというとヤンキー漫画や氣〇團の人とかの出っ張ったのを想像しがちだけど、あれはポンパドールなんだよね。
リーゼントはサイドを撫でつかせて後ろでピッタリ合わせる事なんだ。
個人的にはオールバックの方が好きなんだけどね。
井村さんは俺の髪を霧吹きで軽く濡らし、整髪料を手に付けて手櫛でサイドを後ろに流し始める。
大雑把に整えると、その後は櫛を使って奇麗に整えていった。
「使ったのは水性のポマードで、水で簡単に洗い流せるから安心してね」
ドライヤーを使って前髪を整えてメイク完了だ。
「丁寧で手際も良くて、凄く良かったです」
「あら、男の子に褒められるなんて嬉しいですね。指名してくれたら優先で予定に入れて貰えるので、良かったらまたよろしくね」
「あ、やっぱり指名できるんだ」
「同じ人にやって貰った方が、髪質や肌の状態とか理解して貰えるし、信頼関係も生まれるからね」
俺の言葉に叔母さんが答えてくれた。
ちなみに今日来ている三人の内の一人は楓さんの指名らしい。モデル時代から担当して貰っているんだって。
「純君なら男性って事で最優先で入れて貰えるんじゃないかしら」
「正直な話、歩合給にも関わってくるので、指名して貰えると私たちも助かるんですよ」
社員ではあってもプロの世界って事だよな。
「俺の仕事は多くないけど、その時は井村さんにお願いしようかな」
「ありがとうございます。嬉しいですけど、同僚に嫉妬されそうですね」
井村さんはそう言って苦笑いをしていた。
そして撮影になるわけだが『好きなポーズで良いよ』と言われても、アロハシャツにハーパンでどうしろというのか……
とりあえず手を胸のあたりまで上げて、右手で I Love You のサイン、左手でアロハのハングルースをしてみせる。
「純君、笑って。その顔じゃサインが台無しよ」
早速叔母さんからダメ出しだ。
卯月さんに言っておきながら、自分が笑顔で来てないなんてな。思わず苦笑したら、その瞬間にフラッシュが焚かれた。
「男の子ですし、このくらいが丁度良いですよ」
「そうね……普段の純君を見ているから物足りなく思うけど、他の男性よりもサービスしてるわね」
ふう、どうやら何とかなったようだ。
改めてモデルさんって凄いと思い知らされたな。普段の楓さんを見てると、そうは思えないんだけどなぁ。
この世界では拉致強姦とかはおきてないので、ハイエースの風評被害はありません。
アダルトショップに中学生男子を連れていく楓さんェ……