学校が夏休みに入ると午前に全体練習を行い、午後に個別レッスンが行われるようになった。夏フェスに向けて最後の追い込みだ。
そして8月になると加蓮、奏、瑞樹さんが正式契約を行い、公式サイトで4人のプロフィールが公開された。
それを見た卯月さんは「ようやくアイドルになった実感がしてきましたね」と言っていた。
5月に正式契約をしてからずっとレッスンだけで、プロフィールも未公開だかったからね。
卯月さん、加蓮、奏の3人は夏フェスでデビューと書かれているけど、瑞樹さんは秋デビュー予定だ。
美優さんのレッスンに混じっていたけど、トレーナーさんにきちんと見て貰っていたわけじゃないから仕方ないね。
藍子のプロフィールは5月からずっとカミングスーンのままだったのが、冬公開&デビュー予定に変わった。
3か月間、みんなと一緒に学校とレッスンを両立してきたからね。大丈夫だと判断されたのだろう。
8月一週の土曜日。俺はお台場特別海水浴場の半分に特設された、夏フェス特設ステージのA席スタンドに居た。
夏フェスのステージは波打ち際にステージ、砂浜に中央ステージがあって、その中央ステージを囲むように仮設スタンドが3方向に建てられている。
砂浜部分がS席でスタンドがA席だ。
自分のリハが終わったので、みんなのが終わるまではヒマなんだよね。そこで双眼鏡を持ってスタンドに来たわけだ。
目的は勿論ステージで行われているリハ……ではなく、特別海水浴場だ。
最上段には1.5m程の壁になっているけど、この高さなら辛うじて目の高さは壁を越えるからね。
学生の夏休みに加えて土曜日だから、学生から社会人まで惜しみなく体を曝け出している。
小さいお山から大きいお山まで……。う~ん、眼福眼福。
「良い物が見えますか?」
「可愛い子の裸が…………でも、楓さんが一番だよ。うん」
浜辺の女の子たちを拝めていたら、何時の間にか楓さんが横に居た。
「見るくらいなら良いですけど、我慢できなくなって突撃したらダメですからね」
楓さんに釘を刺されてしまった。
今はする気ないけど、みんなと出会って無ければ浜辺で跨がれに通っていたかもな。
でも、浜辺で真っ裸になるのも興味あるんだよな。早朝の人が居ないだろう時間帯なら大丈夫か? 今日は近くのホテルに泊まるし……
そんなわけで、夏フェス当日朝6時。いつもと同じ時間に目が覚めた俺は、一人ホテルから出て浜辺にやって来た。
予想通りこの時間帯なら誰も居ない。踊るなら今のうち……ではなく、裸になってみようか!
道路の方から見え辛い特設ステージの受付スペースの陰で服を脱ぎ、自然の風を全身に浴びながら波打ち際を歩いてみた。
う~ん。開放感が堪らない。
海パン1枚の差でこう感じてしまうのは何でだろうね。
5分ほど歩いたので戻ろうかと振り向いたら、俺が服を脱いだあたりに人がしゃがんで居た。
脱いだトランクスを見られたら男がいるとバレてしまっているだろうし、堂々と脱いだ服を取りに戻る事にした。
「ハァ……。この匂い堪らないよぉ」
近づくとその人物が俺のパンツを顔に当ててにおいを嗅いでいるのが分かった。
そんなに臭うのか? 夏の一晩穿いていたパンツだし、汗の臭いでもするのだろうか……
近づくと判るピンクバイオレットの複雑な巻き毛の少女だ。
残念ながらサマーカーディガンにミニスカートで、裸では無かった。
「もっと凄いスメルを感じる」
更に近づくと、その少女が振り向いた。そして俺を視認すると立ち上がって駆け寄ってきた。
ぶつかって来そうな勢いだったので立ち止まってしまうと、俺の目の前で立ち止まり目を閉じて顔を寄せてきた。
「ハスハスッ。ん~、堪らない……シキちゃんこの匂いの虜になっちゃいそうだよ~♪」
首筋から腋、そしてしゃがんで股間のにおいを嗅がれていく。
自分の事をシキと言っているし、間違いなく原作キャラの一ノ瀬志希だよな。
このまま股間を嗅がれ続けるのもアレなので話しかけてみる事にした。
「えーっと、何をしていたのかな?」
「シキちゃんはキミの匂いを堪能してるんだよー♪」
「いや、まぁ。それは見てれば分かるんだけど、こんな時間の浜辺に何か用があったのかなって」
「ん~。久し振りの日本を歩いていたら夜になってねー、気がついたら朝だったのです。そして良い匂いがしたので、その匂いを辿ってたらここに辿り着いたんだよ♪」
立ち上がって嗅ぐのを止めてくれたので、話しながら脱いだ服の場所へと戻った。
服と一緒に置いていたスマホを見ると6時20分。ラジオ体操の時間になるし、あまり長い時間外出しているとバレる可能性もあるからホテルに戻ろうかな。
服を着始めると志希ちゃんが声を掛けて来た。
「ねぇ、もっとキミの匂いを嗅がせてくれないかなー?」
「時間が無いし、また今度ね」
「今度って、どこで会えるのかな~?」
「346プロでアイドルになったらかな?」
家の場所を教えるわけにはいかないし、連絡先の交換もなぁ……
一番無難なのが原作通りアイドルになってもらう事だろう。そうすれば確実に会えるしね。
「アイドル~? ――ふむふむ、なるほどね。あたしは一ノ瀬志希。オーディションを受けてアイドルになるから、そうしたらいっぱい嗅がせて貰うよん♪」
服を着替えている間にスマホで公式サイトを見たのだろう、オーデションを受けてアイドルになると言ってきた。
流石は天才児と言うべきか、落選する事は考えていないようだ。
「ん、俺はJun。待ってるよ、志希にゃ……ん……」
「んふふ♪ にゃんだって。よろしくねん♪」
あぁもうっ! 志希ちゃんでなく、志希にゃんで良いや。
その志希にゃんは最後に俺の首筋の匂い嗅ぐと、手を振りながら通路の方へ去っていった。
ホテル前に戻って来てラジオ体操の準備の為にスマホのロックを解除すると、不在着信とメール、つながるんにメッセージが一杯届いていた。
つながるんにホテル前に居ると呟いて、邪魔になら無さそうな端でラジオ体操の準備をしていると、ホテルの入り口の方から「あーっ、居たーっ!!」という声が聞こえた。
声の方を向くと加蓮がこっちに向かって走って来ていた。
「もう、部屋に行っても出ないから、みんなの部屋を探しまくったんだからね! ……楓さんが」
俺に文句を言うとスマホを操作しだした。おそらくは俺を見つけたとみんなに連絡をしたのだろう。
連絡が終わったのかスマホをしまうと、今度は辺りをキョロキョロと見渡し「今日は大丈夫だね」と言った。
意味が解らないので、何の事か尋ねた。
「普段行かない場所で純が一人で行動すると、新しい女を引っ掛けてくるでしょ」
この信頼の無さよ……。とは言っても、志希にゃんに出会ったし否定できないのが辛いところだ。
こう話している間にホテルの入り口からバラバラとアイドルたちが外に出て来る。
「純君、勝手に外に出てはダメじゃないですか。電話にも出ないしメッセージに返答も無いし、心配したんですからね」
駆け寄って来た楓さんがほっぺを膨らませながら叱ってきた。
いやいや、子供じゃないんだからさ。そんなに心配しなくても、ねぇ。
「表情の消えた楓さんに、純が本当に居ないか部屋の中まで確認させられたんだからね」
なにそれ、怖い。朝からホラーじゃん。
もしくは旦那の不倫相手の家に押し掛けてきた奥さんとかか? 『うちの旦那居るんでしょ? 出しなさいよっ!』みたいな。……想像するのは止めよう。
そうしているとスマホからラジオ体操の放送が流れ始める。
楓さんのほっぺを突いて「ふくれている楓さんも魅力的だね」と言ってラジオ体操を始めると、他のみんなも体を動かし始めた。
美優さんは戸惑いながらも、みんなと一緒にラジオ体操をしている。そっか、美優さんとラジオ体操を一緒にするのは初めてだったね。
朝食を食べ終わると特設ステージへと移動だ。
開演は14時だけど、午前の内から浜辺は人でいっぱいになっちゃうからね。
関係者用入り口を入ると、仮設スタンドの下を通って舞台袖に着く。そこから舞台裏のスペースを経由して控室だ。
ステージが波打ち際だから、控室は完全に海の上なんだよね。設備部門の人たちは本当に凄いな。
控室の中にはたくさんのモニターが設置されていた。ステージを複数の方向から映しているし、客席を映しているモニターもあった。
休憩中はここからステージの様子が見られるのか。まぁ全員がステージ裏や舞台袖に居たら邪魔になるからな。
お昼までは持ち込んだトランプで遊んでいたりした。
4月デビュー組は比較的落ち着いているけど、初ライブとなる4人はたまにカードを落としていたりするから結構緊張しているようだ。デビューライブが大きいステージだから仕方ないのかな? ……そういや4月のミニライブも曲数が少ないだけで、観客は千人近くいたんだよな。
11時半過ぎにクーラーボックスに入れられた昼ご飯が届いたので、早めの昼食を取る。
クーラーボックスの中に入っていたのはサンドイッチだ。冷えた仕出し弁当じゃなくて良かったよ。
昼食後は30分程雑談をして、その後にストレッチで体を解す。
そして終わった人からステージ衣装へと着替えを始めていく。日焼け止めはホテルで各自塗ってきているはずだ。みんなに塗ってあげたかったんだけど、時間が掛かるという事で却下されてしまったんだよな。
出番が後になる卯月さんと加蓮、奏は開演後に着替えるはずなのだが、何故か一緒に服を脱ぎ始めていた。
「だって、純と裸で抱き合って緊張を解すのがライブ前のお約束なんだよね?」
「デビューの私たちにこそ必要だと思うのだけれど?」
「よ、よろしくお願いしますっ!」
加蓮の言葉に服を脱いだみんなが集まってくる。
今日は今までのミニライブと違って水着ベースだから、パンツまで脱いでいるんだよ。
そしてみんなちゃんと毛の処理がされていて、視界が肌色だらけだ。その中で胸のピンクの部分やアーニャの白い肌が目立っている。
みんなの裸を鑑賞していたら楓さんが近寄ってきて、俺のシャツに手をかけた。
「はい、純君も早く脱いでしまいましょうね」
みんなに見られる中、楓さんの手で服を脱がされていく。
楽しそうなので身を任せる。これで朝からご機嫌斜めだったのが治まってくれるなら、安いもんだしな。
パンツを脱がされると、みんなの視線が俺の股間に集まる。
普段の着替えの時も見てるのにと思うも、おれもみんなの体を見てしまうからな。
靴下まで脱がし終えた楓さんが正面から抱き着いてくる。
胸だけのハグではなく、腰まで押し付けてくる情熱的なハグだ。
楓さんの太股で半勃起だったチンポがフル勃起になってしまう。
「夜にしてあげますから、今は我慢してくださいね」
それに気付いた楓さんが頭を撫でながらそう言ってきた。
確かにここで盛るわけにはいかないけどさ、相変わらずの生殺しだよなぁ。
楓さんの後はアーニャ、紗枝ちゃんとやって来て、その後に美波さんと愛梨さんが来た。
「Eカップまで育った私のおっぱいはどうですかぁ?」
このメンバーの中では一番大きかった菜々さんを追い越してしまったんだよな。まだ瑞樹さんには敵わないけど、もう少ししたら追い抜いてしまうんだろうな。
「柔らかくて良い感じだよ」
「ありがとうございます。おちんちんも喜んでくれているみたいで、私も嬉しいです♪」
お互いに背中と腰を抱き寄せて体を密着しているから、愛梨さんのお腹でピクピク動いてしまっているのでバレバレだ。
愛梨さんの後には友紀さん。抱きしめられたけど、みんなと違って若干腰が引けている。
「怖いけど……女は度胸!」
そう言って引けていた腰を前に出してきた。
無理をしなくても良いのだけど、これで気合が入るなら良いか?
「うひっ! ダメダメ、こんなの夢中になっちゃうって」
チンポが下腹部に触れた瞬間、腰を引いて、更にはハグしていた体も離れてしまった。
友紀さんは腰を引いた体勢のまま後ろに下がっていく。……エビかな?
入れ替わるように菜々さんが俺の前にやって来る。
胸の前で両手を握り締めると、上目遣いで話しかけて来た。
「純君は菜々を花束に加えて後悔しませんか? 菜々は純君の事が好きですけど、ガラスの腰なので……満足させてあげられないかもしれないですよ」
「菜々さんの負担が少ない愛し合い方を探していこうよ。みんなも一緒に協力してくれると思うしね」
菜々さんを俺の方から抱きしめて額に口づけをした。身長差からおでこにキスをしやすいんだよね。
「菜々は……菜々は……幸せ者ですっ」
菜々さんは両腕で俺の体を抱きしめてきた。
そして何故かみんなから拍手された……。他のメンバーから祝福されるのは良い事だと思うけど、そのせいで菜々さんが恥ずかしがって離れて逃げていったんですけど?
そしてその後は奏、加蓮、美優さん、卯月さんとライブデビュー組ともハグをして解放された。
俺の着替えが終わらないとメイクさんたちが入ってこれないから、急いで着替える。海パンとアロハシャツを身に付けるだけなので1分もかからず、先に着替えていた誰よりも早く着替え終わってしまった。