※この作品はR-18です。

男の少ないデレステ世界で2度目の人生!?   作:猫仔猫

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中学2年 8月② 夏フェス

メイクも終わり体を動かしていると開演時間が近づいてくる。観客席を映しているモニターを見ると、既にほぼ満員だ。

夏の浜辺の会場だけあって観客の殆どは水着のようだ。中にはトップレスの人もいるようで、たまに胸が丸出しの人が映し出される。こう沢山の女性のおっぱいを見れると、この世界に転生して良かったと思えるよね。

あまりじっと見ていると楓さんや奏が何か言ってきそうなので、チラ見でとどめておかないとな。

 

開演10分前には舞台裏ステージにみんなで移動する。

叔母さんからは朝食の時に既に言葉を貰っているので、まとめ役の言葉で開演準備完了となるのだけど……

 

何故かみんなが俺の事を見ている。

楓さんじゃないの⁉

 

こんな事なら場内アナウンスに瑞樹さんを巻き込めば良かった!

 

 

「あー、なんだ。……今まで一番客が多いけどやる事は変わらないので、自分達が楽しんで歌って、観客のみなさんに楽しい気持ちを届けましょう!」

 

『おーっ!!』

 

何か締まらないよな。次は絶対に瑞樹さんに投げるからなっ!

 

 

開幕7人が上手と下手に別れて舞台袖で準備をしている。加蓮、奏、卯月さんの3人は出番が先なので控室で待機だ。

そして俺と美優さんはすぐ後に出番があるので、このまま舞台裏スペースで待機となる。

 

ちなみに今回の夏フェスのプログラムはこの通りだ。

1.お願い! シンデレラ(楓、美波、愛梨、菜々、友紀、アーニャ、紗枝)

2.想い出がいっぱい(美優 アコギ:Jun)

3.天国と地獄 ウサミン星Remix(菜々 コーラス:Jun、楓、美波、愛梨)

4.極楽浄土(紗枝 コーラス:Jun、楓、美波、愛梨)

5.ミラクル・ガール(友紀)

6.吹雪(アーニャ)

7.後から前から(美波)

8.やさしい悪魔(卯月)

9.小さな恋のうた(Jun)

10.愛をこめて花束を(楓)

11.何かいい事きっとある(愛梨)

12.HOT LIMIT(奏、加蓮)

13.世界に一つだけの花(全員)

アンコール.ultra soul(全員)

 

トークも含めて2時間前後になる予定だ。

そして楓さんだけがカップリング曲の愛をこめて花束を歌う。こいかぜは歌番組とかでいっぱい歌ってきたからと今回はこっちの歌を選んだらしい。

おかげでおねシン以外は全部俺提供の曲になってしまった。

まぁ9月以降にはみんなのセカンドシングルも発売していくだろうし、冬フェスはこうはならないだろう。他の共用曲も出来てくるだろうしね。

 

 

ちひろさんの開演アナウンスが流れると、会場が静まっていく。

ステージの両袖から7人が飛び出していき、開幕の『お願い! シンデレラ』が始まった。

 

ステージ上のみんなが歌い始めたのを確認して、俺と美優さんは上手袖に移動する。

美優さんは移動の際に担当Pから励ましの言葉を貰っていたが、それが逆に緊張させる事になってしまったようだ。

放っては置けないのでお手々をギュッとしておこうかね。

 

美優さんは俺に手を握られたまま舞台上のみんな、そして客席を見ている。

歌が終わり楓さんのオープニングトークが始まると、握っていた手が逆に握り返されて来た。美優さんの緊張が高まってきてしまったのだろうか。

この世界の女性って華奢に見えても力強いんだよね。男の代わりに力仕事をしていたから、そういう風に進化・適応したんだろうけどさ。

 

ちなみに力強くなったといっても極端に女性の方が力強いわけではないにらしいのだが、甘やかされて育てられる男が殆どなのでお察しだ。

真面目に鍛えればそんなに差は無いらしいので、プロスポーツに男性が混じることが出来るわけだな。

 

つまり、中学二年になり体も大きくなってきたけど、まだ大人の力には勝てなくて痛いのです……

 

俺は並んで舞台の方に向いていた体を美優さんの方へ向けて、空いていた手を美優さんの胸へと伸ばす。

胸を揉むと美優さんが驚いた顔で俺の方へと顔を向けた。

 

「美優さん、ちょっと力を抜こうか」

 

そう話しかけながらも揉む手は止めない。水着ベースのトップスでパットも入っていないので柔らかく、止め時を忘れてしまうのは仕方ないよね。

 

「あぁ、ダメです。衣装に染みが出来ちゃいますから……」

 

美優さんの口から零れたその言葉に、揉んでいた手の動きを止めた。

トップスが水着ベースならボトムも水着ベースで、ビキニパンツにレースのパレオだからな。染みが目立ってしまうかもしれない。

 

このやりとりで美優さんの緊張が解けたようなので、ちょっと安心かな。

二人で深呼吸をしたところで客席から歓声が上がった。ステージを見るとみんなが上手袖に戻って来る。が、客席が沸いたのは別の理由があった。客席の手すりや柵、壁などから水や霧が排出されていたのだ。

夏の昼過ぎの暑い時間帯だ、気持ち良いだろうな。これが濡れても良い格好でお越しくださいの理由か。

 

この間にスタッフさんがステージ上にマイクスタンドを設置してくれていた。次は俺がアコギで演奏するからね、流石に胸元のピンマイクだけでは厳しいし。

 

袖に戻ってきたみんなとハイタッチを交わす。

出番の近い菜々さん、楓さん、美波さん、愛梨さんは舞台裏での早着替えの予定だ。間に合うようにトークで時間を稼がないと!

すれ違いざまに楓さんから「出番前においたするのはどうかと思いますよ」と言われてしまった。ずっと客席の方を向いていたはずなのに、何でバレているのだろうか?

 

 

美優さんに先立ってアコギを肩にかけた俺がステージへと歩み出る。美優さんの事は公式サイトで知っていても見た事のある人は少ないだろうしね。

先に俺が出てからトークをして美優さんを呼ぶ手順だ。美優さんのトークは歌った後で、その方が話しやすいだろうとの事でこうなった。

 

俺が袖から出て来たのが分かると、客席から先程以上の歓声が上がった。

イヤホンをしていてもこれだけ聞こえるんだな。などと思いながらマイクスタンドの所まで移動した。そしてマイクを手にと取ってトークを始める。

 

「みなさん、こんにちは~! 今日は346夏フェスに来てくれて……って、これは楓さんが言ったから良いかな?」

 

話しながら中央ステージに向かって歩き始める。

その際に観客に手を振ったりすることも忘れない。スタンドにも目を向けたりはするが、砂浜のS席を見る方が長い。

高い席へのサービスとのいうのもあるが、生おっぱいが多くてね。しかも水しぶきがかかっていて色っぽいし、良く見える近場に目が奪われるのは仕方ないよね!

 

「今日も暑いですが、ステージはもっと熱くなりますよー! 入場時に配られた水と氷でちゃんと体調調整してくださいね! 予備もたくさんあるそうなので、欲しい人は受付まで取りに行ってください」

 

俺の言葉に観客から「はーい」という言葉が返ってくる。熱中症や脱水症状にならないよう、気を付けて楽しんで欲しいね。

それから少し話してマイクスタンドの場所まで戻ってきた。

 

「次の曲は『想い出がいっぱい』歌うのは三船美優」

 

そう言ってアコギをジャラーンと鳴らすと舞台袖から美優さんが登場してきた。

俺の横まで歩いてきて、客背に向かってお辞儀をする。そのお辞儀が終わるのを待って、曲を弾き始めた。

 

「♪ 古い アルバムの中に~ 隠れて 想いで~がいぃっぱい ♪」

 

美優さんは歌い始めると、中央ステージへと移動していった。

また緊張していないか心配だったけど、杞憂に終わったようだ。中央ステージの真ん中で堂々と歌っている。

 

原作知識だけでアイドルになるように勧めてしまったけど、この姿を見ると間違ってなかったと思うよ。

 

 

 

「改めまして、三船美優です――」

 

歌い終えた美優さんはそのままトークを始めた。

簡単に言うと『初めて大勢の人の目で歌ったので緊張していた』とか『頑張っていくので応援よろしくお願いします』という感じだ。

うけたり盛り上がったりしない、真面目な美優さんらしいトークだった。初めてだし仕方ないけどね。……美波さんも初トークの時はあんな感じだったよな、真面目系はみんなこんな感じになるのだろうか?

 

トークが終わると中央ステージから戻って来て、俺の隣でお辞儀をして上手袖へと戻ていった。

それと交代するように菜々さんが袖から飛び出してくる。

 

 

「みなさーん、暑さに負けていませんか~? 菜々は暑さでバテ気味です。ウサギですから暑さには弱いんですよ~」

 

舞台袖から中央ステージまで駆けて行ったのにバテ気味とは笑わせてくれる。

ウサミントークの間にスタッフさんがマイクスタンドとアコギを回収してくれる。その為に中央ステージでのトークだったわけだけど、走っていかなくても良いと思うんだ。

 

 

「――Jun君が何でステージに残っているかというと、コーラスに参加してくれるからですっ!」

 

客席から歓声が上がるのと同時に、再び手すりなどから水飛沫が飛び散る。

また楓達コーラス参加組がステージ上に登場していた。

 

「Jun君だけでなく、登場してくれた3人も参加してくれますので、一緒に盛り上がってくださいね! 行きますよ~『天国と地獄 ウサミン星Remix!』」

 

菜々さんの曲名コールに合わせて、会場のスピーカーから曲が流れ出した。

菜々さんが中央ステージで、俺と楓さん、美波さん、愛梨さんの4人がステージで踊りだす。

 

 

 

「『ラビィ!!』」

 

曲の最後はステージ上の俺たちと観客の声が1つになった!

 

菜々さんもこっちに戻って来ると「ありがとうございました~!」と最後に一言残して袖へと去っていく。

菜々さんの姿が消えると、次の曲が流れ出して紗枝ちゃんがステージ上に現れる。

曲が流れ始めたのと同時に俺たちはステージの中ほどまで下がり踊り始めているので、後は紗枝ちゃんが前で歌い踊るだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

紗枝ちゃんの曲が終わると俺は少し休みだ。

需要が高いとはいえ俺の出番多くないか? まぁもう1曲やって良いと言われて、やると言った俺の自業自得かもしれないけどさ。

 

控室に戻るとソロ曲の終わった美優さんと菜々さんが衣装を脱いで寛いでいた。

最後は全員で歌うから、また着なくていけなのを分かっているのかな? でも今は指摘しないでその体に癒させて貰おう!

 

二人の胸へと飛び込むと、俺を受けて止めて汗を拭いたりしてくれた。

アロハシャツを脱いで上半身裸になって、美優さんの胸に抱かれ菜々さんを抱きしめる。お姉さまたちによるサンドイッチだ! 菜々さんも花束入りを決意した後なので、逃げださずに大人しく抱きしめさせてくれた。

続いて戻ってきた楓さんと愛梨さんが羨ましそうに見ていたが、二人も後の衣装に着替えないといけないからね。

紗枝ちゃんはステージ裏でアーニャと話していたし、美波さんは出番が近いので再び早着替えで戻っては来ない。

 

着替えを始めた二人をチラ見しながら、モニターに映るステージを見るのも忘れない。

ステージから友紀さんが退場していき、アーニャが出て行く。

 

友紀さんと紗枝ちゃんが一緒に戻って来ると、交代で卯月さんがステージ裏へと向かった。

卯月さんの次は俺の出番だから、あと少ししかこうして居られないのか……

 

そう思っていたのだが、井村さんから「Jun君、メイク直ししますからこちらに来てください」と呼ばれてしまった。

安らぎの時間は短かった、無念である。近くに置いていたピニャTを着て井村さんの元へ向かった。

 

 

 

メイク直しを終わるとアーニャの曲も終わっていて、モニターには手を振りながらステージから去っていく姿が映っていた。比較的長い曲だけど5分くらいだしな。

アーニャと交代で美波さんがステージに出て行く姿が映される。もう少しゆくっりしたかったよ。

 

アーニャが控室に戻ってきたので、アロハシャツを羽織ってステージ裏へと移動だな。

ステージ裏へと着いた時には美波さんの曲も終わりかけで、卯月さんは既に袖でスタンバっていたのでその横に移動した。

 

俺の出番がライブデビュー組と一緒だったり、後だったりするのはそんな意図があるんだろうしなぁ。

 

 

「どう? 緊張してる?」

 

「うぅ……純君。こんな大きなステージでデビューなんて思っても居なかったですよぅ……」

 

振り返った卯月さんは半ば涙目だった。

うん、そんな卯月さんも可愛い! 思わず頭を撫でてしまったが、髪飾りは無いからセーフ。

 

髪型が崩れないように優しくなでながら卯月さんに話す。

 

「3か月もしっかりレッスンしてきたんだから大丈夫、ちゃんと出来るよ。俺の大好きな卯月さんの笑顔を、見に来たお客さんに見せてあげてね」

 

「純君……。はいっ、島村卯月頑張りますっ!」

 

ちょっ、声が大きい!

ステージの方を見ると袖に下がってくる美波さんが口に手を当てて笑っているし、袖近くの客にも聞こえちゃったかな?

 

戻て来た美波さんとハイタッチを交わして卯月さんがステージに出て行った。

 

「美波さんお疲れ様」

 

「うん、ありがとうね。……ねぇ、純君、ギュッとして貰えるかな?」

 

美波さんの要望に応えてハイタッチではなくハグで迎えた。前半7曲中4曲でステージに立っていた美波さんは、一番忙しく大変だっただろうしね。

 

「最後の出番までゆっくり休んでね」

 

「純君も頑張ってね」

 

最後にギューッと抱きしめて美波さんは控室へと移動していった。

スピーカから卯月さんの歌声が聞こえてくる。中央ステージで歌っているので袖からは見えないけど、モニターで見る限りでは問題なさそうだ。

 

 

曲の終盤になる頃に楓さんがやって来た。うん、俺の次が楓さん出番だからね。

 

『私のデビュー曲でした。CDの販売は来月になりますが、良かったら買って貰えると嬉しいです』

 

「ふふっ、しっかりCDの宣伝も出来ていますね」

 

スピーカーを通して卯月さんのトークが聞こえる。

それを聞いた楓さんが楽しそうに微笑んでいる。

 

「ねぇ、楓さんはアイドル楽しんでる?」

 

楓さんは業界で仕事をするなら、叔母さんが側に居て欲しいとアイドルに転向したんだよな。俺もだけど純粋にアイドルになりたかったわけじゃない。

俺はかなり好きにやらせて貰っているから良いけど、楓さんはどうなのかと思ってしまった。

 

「えぇ、勿論楽しんでますよ。モデル時代にはなかった面白さが沢山ですから。それに、好きな人と一緒に居られる時間を他の仕事をするより多く取れますしね」

 

楓さんはそう言うと、俺の手を握って微笑んだ。

空いている手を楓さんの腰に伸ばして引き寄せようとしたけど、おでこを押さえられてしまった。

 

「出番前のおいたはダメですよ」

 

悪戯では無くて抱きしめたかっただけなんだけどな……

 

「ほら、卯月ちゃんが戻ってきましたよ。本気で歌う恋の歌を期待してますね」

 

背中を押されてマイクを片手にステージに向かって歩き出し、戻ってきた卯月さんとハイタッチを交わす。

う~ん、本気か。本気って何だ? 感情込めて歌えって事か? カラオケで高得点を狙うテクニックじゃないよねぇ??

 

「♪ 広い宇宙の 数ある一つ ♪」

 

ステージに出た所で歌いだし、それに合わせて曲が流れだす。

リハで何回かやりなおしたので心配だったけど、本番ではバッチリ合わせてくれたね。

 

「♪ 青い地球の 広い世界で

 小さな恋の思いは届く 小さな島のあなたの元へ

 あなたと出会い 時は流れる 思いを込めた手紙も増え~る ♪」

 

歌ながら中央ステージに向かう。

途中で客席に目をやり手を振って歩く。こんなサービスをするのは本気じゃなくなってることか? う~ん、分からん。

 

 

 

 

 

「♪ ほぉ~ら あなたにとって 大事な人ほど す~ぐそばにいるの

 た~だ あなたにだけ 届いて欲しい ひび~け恋の歌

 ほぉ~らぁ~~ ほ~ら~ぁ~~ ほ~ら~ぁ~ぁ~ あぁ~~  響け恋の歌 ♪」

 

途中から余計な事は考えずに集中したけど、どうだっただろうか?

……って、会場が静まり返っているな。えっ、拍手とか歓声が0ってどういう事?

ちょっと失敗したり下手だったとしても、お情けの拍手ぐらいは貰えるもんだよね? これでも1年麗さんの指導でやってきたんだけどな。

 

それともこの世界では男がラブソング系を歌うのは受け入れられなかったのだろうか? でもトレーナーたちからも止められなかったし、叔母さんはむしろ聞いて喜んでいたんだけどな……

 

 

ショボーンと視線を下げたら、中央ステージの真ん前に居た女性と目が合った。

その次の瞬間、その女性が歓喜の表情をして凄い勢いで拍手をし始めた。

 

そして波が広がるように拍手する人が増えていき、歓声が襲ってきた!

思わずビクッとしてしまった。うわぁ、これも映像に残って円盤で売られるんだよな、後で弄られるネタになるやつじゃないか……

 

 

「え~っと、喜んでもらえたって事で良いのかな?」

 

俺が話すと客席から再び歓声が上がった。

近くの女性たちは両腕を上げて振っているし、喜んでもらえたようだ。無防備のおっぱいがプルンプルン揺れているので俺も嬉しいです!

 

「終盤に入って残りも少なくなってきたけど、最後まで楽しんでください!」

 

2曲目の前に話しているし最後でも話すので、今回は長いトークはしない。

袖へと戻って楓さんと交代だ。その際に楓さんは「今度は私の番ですから、ちゃんと聴いてくださいね」と言ってステージに出て行った。

 

最後の曲まで間に3曲しかないのでステージ裏で休めばいいか。そこであれば移動しなくていいから、全部きちんと聞くことが出来るし。

一緒に袖に居た愛梨さんとハイタッチを交わして、ステージ裏のスペースに有ったパイプ椅子に座ってモニターを見る。

 

そこには普段俺の一緒の時には見せない、別人のような楓さんの姿が有った。

前世で歌姫と呼ばれた女性歌手たちにも負けない歌唱力で、歌い上げる姿は圧巻の一言だ。

 

「普段の楓さんとは全然違うわね」

 

「うん、これがプロってやつなのかな」

 

移動してきた奏と加蓮の二人もステージの楓さんに驚いている。

曲は違うけど4月のミニライブやTVの歌番組の時よりも凄くなってるもんね。

 

 

『♪ いつまで~も そばにい~て~ ♪』

 

最後まで衰えずに歌いきって微笑む楓さんの姿に見惚れてしまう。

346のトップアイドルに楓さんを設定したアニデレは大正義だな!

 

 

 

楓さんが舞台裏に戻って来ると加蓮と奏は袖へと移動していった。

そしてその楓さんは俺の膝の上に跨って座ると、抱き着いて来た。

 

「おいたはダメだったんじゃないの?」

 

「終わったので良いんです」

 

「いやいや、まだ最後に出番あるからね。でも、俺も嬉しいから良っか」

 

今歌っている愛梨さん、次の加蓮と奏が終わったら、最後に全員で歌うんだからね。

 

 

「はーい、イチャイチャするのは全部終わってからよ。みんなに同じ事をしたら時間が足りなくなるんだからね」

 

抱きしめ合っていたら叔母さんから注意されてしまった。

言われて周りを見たら、何時の間にかスタッフや控室から出てきたみんなが俺たちの事を見ていた。

楓さんに退いて貰うと、急いで袖へと移動した。みんなにジーっと見られていると居心地が悪いからね。

 

袖では加蓮と奏がステージを真剣に見ていた。……いや、客席の方かな? 愛梨さんは中央ステージで歌っているから、此処からでは見えないし。

 

「ねぇ、手を握って貰えないかしら」

 

奏が珍しく御願いをしてきた。

いやお願い自体は珍しくはないけど、こうストレートに言ってくるのは珍しい。……ただしエッチの時は除く。

 

「ん、アタシもお願い」

 

奏の手を握ると加蓮も一言だけ言って手を出してきたので、もう片方の手で加蓮の手を握った。

二人ともあまり緊張とかするタイプでは無いと思ってたんだけどな。流石にこの人数の前で初ステージは緊張するのか?

 

愛梨さんが戻ってきたので、手を離して二人の背中を押した。

 

「しっかり見ていてね♪」

 

「惚れなおしても良いのよ?」

 

二人はそう言って微笑むとステージへ出て行き、代わりに戻ってきたばかりの愛梨さんが胸に飛び込んできた。

 

「えへへ、頑張ったので後で御褒美下さいね♪」

 

「良いけど、他の子には内緒だからね」

 

「はい♪」

 

最後の出番まで時間が無いので、このまま袖で待機なんだよな。

一応パイプ椅子はあるけど大して休めないだろうし、ちょっとした御褒美なら良いよな。

 

愛梨さんが椅子に腰を下ろしたところで楓さんを始めたとした数人がやって来て、ステージ越しに見える下手袖に他のアイドルたちが見えた。

全員が集まっていると、今日のステージも終わりなんだなと感じてしまう。

 

 

 

『『ありがとうございました』』

 

二人のトークが終わって客席から拍手が起こる。二人がステージの後ろ下がると拍手も治まっていく。

上手から楓さんを先頭に、下手から友紀さんを先頭に全員がステージに出て行く。

 

 

「このライブも残り1曲となりました。最後は全員で歌います」

 

「『世界に一つだけの花』。良かったら皆さんも一緒に歌って、腕を振ってください!」

 

楓さんの言葉に続けて俺が続けると、曲が流れ出したのでそれに合わせて歌いだす。

 

「♪ No.1 にならなくてもいい もともと特別な Only one ♪」

 

次に歌いだすまでの間に中央ステージに向かって歩いて行く。

俺の後に楓さんが続いてくる。2人が中央ステージで、友紀さん、菜々さん、紗枝ちゃん、アーニャの4人が間の道。残りの美波さん、愛梨さん、奏、加蓮、卯月さん、美優さんの6人がメインステージに残る。

 

「♪ 花屋の店先に並んだ いろんな花を見ていた ♪」

「♪ ひとそれぞれ好みはあるけど ♪」

「♪ どれもみんなきれいだね ♪」

 

俺の後に美波さんと愛梨さんが続いて歌う

 

「♪ この中で誰が一番だなんて 争う事もしないで ♪」

「♪ バケツの中誇らし気に ♪」

「♪ しゃんと胸を張っている ♪」

 

続いては楓さんとアーニャに紗枝ちゃん。

 

「♪ それなのに僕ら人間は どうしてこうも比べたがる? ♪」

「♪ 一人一人違うのにその中で 一番になりたがる? ♪」

そして菜々さんに友紀さんだ。

 

「♪ そうさ僕らは 世界に一つだけの花――」

 

サビはコーラスだけ参加の4人も含めて、12人全員での合唱だ。

 

 

 

 

 

 

 

「♪ 小さな花や大きな花 1つとして同じものはないから No.1 にならなくてもいい もともと特別な Only one ♪」

 

『――LaLaLa LaLaLa LaLaLa La-La LaLaLa LaLaLa La-La-La……』

 

4月のミニライブ映像をみていたのか、殆どの人が手を振ってくれている。砂浜のS席もスタンドのA席も揃ってだ。

 

曲が終わるとメインステージへと戻る。

そして12人全員が横一列に並んだ。

 

 

「346アイドル初の大きなライブ。夏フェス、如何でしたでしょうか? こちらとしても初めての事ばかりでしたが楽しんでもらえたなら嬉しいです」

 

俺の言葉に拍手や歓声、さらには指笛なんかも上がってくる。

それが治まるのを待って話を続けた。

 

「次回、何時になるかは分かりませんが……。その時には歌える曲やアイドルも増えていると思いますので、みなさんの応援よろしくお願いします。本日は参加いただきありがとうございました!」

 

「「ありがとうございました!!」」

 

お礼の言葉に、みんなが揃ってお辞儀をした。

そして並んだ順のまま袖から退場した……

 

 

袖からステージ裏へと戻る頃には客席からアンコールを求める声と手拍子があがっていた。

 

「みんなお疲れ様。さぁ、本当の最後まであとひと踏ん張りよ、頑張ってね」

 

叔母さんがみんなに声を掛けて来た。

その言葉にみんなは返事を返し、水分を補給したりメイクや衣装の崩れが無いかを確認している。

 

 

「じゃあ、最後まで頑張りましょう」

 

「「はいっ!」」

 

全員の準備が終わり円陣を組むと楓さんの声で袖へと移動する。その時のみんなの手にはピニャ柄のハンドタオルがあった。

袖に移動が終わると、そのタイミングで今日何度目か判らない水飛沫が客席へと降り注がれ、それに合わせてステージへと出て行く。

 

 

「みなさ~ん、アンコールありがとうございます――」

 

楓さんが話す傍らで他の子達は客席に向かって手を振っている。

その中から美波さんと愛梨さんが中央ステージへと向かって歩き始めた。菜々さんと有紀さんがそれに続いて行き、その後に奏、加蓮、卯月さん、美優さんが続く。

前の4人が中央ステージで、後ろの4人が通路で足を止める。

 

「アンコール曲は『ultra soul』。初披露の曲ですが、これもモニターに歌詞が出ますから安心してくださいね」

 

楓さんの後を継いでアンコール曲の説明をする。

 

「モニターの表示された ウルトラソウル の後にカッコでHi! っとある部分は皆さんも一緒に叫んでください。……とは言っても、どんな感じか判らないでしょうから、先ずはお手本。……ん~、紗枝ちゃん!」

 

「へっ、うちですか⁉」

 

「いくよー。ウルトラソウルッ!」

 

「はいっ!」

 

打ち合わせに無かった振りに紗枝ちゃんは焦るも、可愛い声で応えた。

 

「いやぁ可愛いですね。もう一人いっちゃいましょうか、楓さん。……ウルトラソウルッ!」

 

「へいっ!!」

 

楓さんは声を上げるのと同時に、ハンドタオルを持った手を振り上げた。

 

「楓さんが叫ぶとかレアですね! それにしてもテンション高くない?」

 

声を上げ終わった後もタオルを振り回しているし。

 

「アンコールはおまけですから、楽しまないと勿体ないじゃありませんか」

 

「そう言う事らしいので、みなさんも恥ずかしがらずに一緒に声を上げてくださいね。それじゃあ、最後にみんなでやってみましょうか! 行きますよ~。……ウルトラソウルッ!」

 

『はいッ!!』『へいッ!!』

 

「はい、ありがとうございます。ヘイでもハイでも良いので、本番でもよろしくお願いします」

 

楓さんがヘイって言っちゃったしな……

 

「それじゃあミュージック、カモンッ!」

 

 

曲が流れ出したので、着ていたアロハシャツを脱いで肩に担ぐ。ピニャTに海パン姿だ。

 

「♪ どれだけがんばりゃいい 誰かのためなの? 分かっているのに 決意(おもい)は揺らぐ――」

 

世界に一つだけの花と違ってパート分けしてないから、みんな好きに歌っている。

コーラスだけ参加の4人もそうだけど、アーニャも歌わずに楽しそうに踊っているだけだったりするし。まぁサビの部分だけ歌うのかもしれないけど。

 

 

「♪ 祝福が欲しいのなら 悲しみを知り 独りで泣きましょう ♪」

「♪ そして輝く ウルトラソウル! ♪」『Hi!』

 

腕を振り上げた時に思わずアロハシャツを客席にぶん投げてしまった。

届かずに手前に落ちればよかったけど、一番前の客が伸ばした手にギリギリ届いてしまった。

 

後で怒られれそうだが、取り合いになって大騒ぎにならなかっただけましか。

 

ぶん回す物が無くなったのでピニャTを脱ぐ。手に持っていたマイクは海パンに挟んでしまえ!

 

 

 

「♪ ホントだらけあれもこれも その真っただ中 暴れてやりましょう ♪」

「♪ そして羽ばたく ウルトラソウル! ♪」『Hi!』

 

「♪ ウルトラソウル! ♪」『Hi!』

 

「♪ ウルトラソウル! ♪」『Hi!』

 

「♪ ウルトラソウル! ♪」『Hi!』

 

最後にさっきとは逆側に向かってピニャTを投げ込み、曲が終わると大歓声が上がった。

こっちもギリギリ届いたようで、何人かが手を伸ばしたけど触れたのは一番近くの人だけだった。

 

それを見ていた楓さんはため息をつくと、中央ステージへと歩いて行った。

 

「取り合いで喧嘩しないでくださいね」

 

そう言うと、持っていたハンドタオルを客席に投げ入れた。

 

「こっちも行きますよ~」

 

続いて愛梨さんが投げると、他の子達も投げ入れていった。

戻って来た楓さんと美波さんに両腕を取られて、袖へとドナドナされてしまった。

 

ビーチサンダルを脱いで手に取っていたのが悪かったのだろうか……

 

 

『みなさ~ん、気を付けて帰ってくださいね~』

 

ステージ裏まで連行された所で、愛梨さんが客に向けて話した最後の言葉がスピーカーを通して聞こえた来た。

 

 

 

 

 


使用楽曲コード:01506161,08590923,10317201,13907671,N00119645

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