夏フェスの翌日の午後、反省会で出演アイドル全員が346本社に集る。
ちなみに午前は社員の反省会が行われている。朝に会った叔母さんは二日酔いで大変そうだったけど、大丈夫だろうか?
アイドル事業部の社員が反省会をしている時間に、俺は常務さんを訪ねてた。常務さんは反省会には参加せず、議事録の確認だけするという話を聞いたからね。
訪ねた要件は新居のお風呂についてだ。前回の改装依頼の時は2階の部分と1階のリビングを部屋に変更だったからね。
「では、浴槽を3つに分けてジェット風呂とマイクロバブル風呂にしたいという事だね?」
「はい。ここのジェット風呂が気持ち良かったし、調べてみたらマイクロバブルは美容にも良いらしいじゃないですか。アイドルが一緒に住むので、有れば嬉しんじゃないかなーって」
「あら、それは良いですね。何でしたら他の寮のお風呂も同じようにしてしまえば良いのではありませんか?」
常務と一緒に話を聞いていた留美さんがとんでもない事を言いだした。
「ふむ……、福利厚生の一環か。俳優やモデルは普段から美容に気を付けているし、有りだな」
「はい。同じ仕様にして先行して純君の家の風呂場を改装して貰い、その手順を他の寮へ展開すれば宜しいかと。また同じ仕様にする事で、定期点検も楽になるでしょう」
何か二人で話を進めているけど、他の人の承認とかは予算とかは良いの?
うちは俺の金で済む話だから、常務経由で工事会社に依頼する話だけなんだけど。
「ん? 不思議そうな顔をしているね。……あぁ、この話を私たちだけで決めているのが不思議なんだな。実はインフラのメーター以降は346プロの設備部門が担当をしているんだ。勿論建設会社立会いの下でだがね。寮も社の施設の一部としてメンテナンスを行うので、それなら工事に参加させて貰いきちんと把握しておこうという事でな」
美城不動産とその子会社の建設会社だから出来る事だがね。と常務さんは続けて言った。
本当に何でもありだな美城グループは!!
ジェットやマイクロバブル用の器具はメーカーに依頼しないといけないので、どのくらい期間がかかるか判らないけど、俺の家を1番先にやってくれるようなので、何か月もかかる事は無いだろうとの事だ。一般家庭用でなく銭湯などの業務用になるだろうし、在庫が無ければ時間が掛かるというのは仕方ないよな。
今月中に出来れば良いけど……。まぁ出来上がらなかったら、それまでは楓さんの部屋から学校に通えばいいか。
後の事は常務さんにお任せしてアイドル事業部へと戻ってきた。
お昼前だから他のアイドルは朝一緒に来た楓さんだけだ。ちひろさんも一緒に来たけど、アイドルじゃなく社員で事務仕事だからね。ちなみに昨日の代休は来週末のイベントに合わせて取得申請済みだそうな。
その楓さんは畳スペースで雑誌を見ながら脚を伸ばして座っているので、その脚を抱き枕にしながら横になっている。ミニスカ生足生太腿最高っ! 秋になったらスカート丈も長くなってしまうからな。長くなったら別の楽しみも有るけど、今は今で楽しんでおかないとね。
「これとか良いと思いませんか?」
楓さんが見ていた雑誌を見せてきた。
どうやら雑誌ではなく家具のカタログようで、開かれていたページにはキングベッドの写真があった。お洒落だし、たしかに良い感じだと思うけど……
「サイドフレームがあると並べて置いても大変じゃない? いや、一緒に寝るのを多くても3人までとか制限付けるなら良いけど、みんな納得するかな?」
「そう言われると……そうですね。それなら連結タイプのベッドが融通が効きそうでしょうか。純君の部屋は大きくとってありますから、初めからキングサイズで連結すれば……」
俺の言葉を聞いた楓さんは呟きながらカタログのページの捲り始めた。
キングサイズって日本だと180㎝が主流だったっよな、なら2つ並べれば360cmか。……何人並んで寝られるんだ? セミシングルが80cmだから4人分……あれっ、キングサイズより1人分増えただけ??
いやいや。今のダブル+シングルの240cmでくっついてだけど5人いけるんだから6人はいけそうだよな。どうせ腕枕したりして密着して寝るんだし。……でも複数人とHするには余裕が無いと厳しいから、やっぱ3人がくらいが限界か?
今はマットレスを床に直置きだから、自分の番じゃない時には床に下りたりしてるしな。いっそベッドじゃなく畳を置いて布団を敷けば良いんじゃね?
「純君、純君、これなんてどうでしょう? 連結ソファーですけど、いっぱい繋げれば横だけでなく縦方向にも好きなだけ広げられますよ!」
オットマンを並べてベッド代わりにするのか。ソファーで寝たりすることもあるし別に良いんじゃないか?
その上に布団でも敷けば微妙なふくらみも気にならなくなるかもしれないしな。ズレて隙間が出来て落ちたりしなければ平気だろう。
「フラットじゃないのが気になるかもしれないけど、試してみても良いんじゃないかな? ダメだったらそれこそリビングのソファーにでもすれば良いんだし」
Hして染みが出来てしまったら、リビング使用もリサイクルショップ行きも微妙になるだろうけどさ。
「はい。それじゃあ食堂のテーブルも同じようにくっ付けられそうなのを選びましょうか」
みんなが今使っているテーブルや食器もあるだろうに、楓さんは新しく買う気満々だ。
まぁそこは初めに引っ越してくる4人で決めて貰えば良いか。後から来るのは学生組で、自分の部屋の家具しかないだろうからね。
「そこらは瑞樹さんと相談して決めてくれたらいいよ。趣味が掃除と洗濯らしいから、家の中を仕切るのは瑞樹さんになりそうだし」
掃除はともかく、洗濯が趣味って何なんだろうね? 手洗いするのが楽しいとかなんだろうか? まさかグルグル動く洗濯機を見てるのが楽しいとか……ないよね?
そして料理が抜けているのが何とも言えないね。誰が台所を仕切る事になるのか? 楓さんと瑞樹さんは関西で、美優さんが東北の菜々さんがウサミン星(関東)だろ。味付けで争いが起きなければ良いけどな。
それに始めは5人だけど、そのうち10人分以上のおかずを作る事になるんだよ。料理好きでないとやっていられないよなぁ……
そうしていると大人組の3人がやってきた。
一緒に来たのでもしかして……と思ったら予想通りに朝方まで飲んで、ここの仮眠室に泊まったらしい。そしてシャワーを浴びてきた所だそうな。
楓さんは脚を曲げて座りなおすと、炬燵(勿論布団は無い)の上にカタログを広げて3人を呼び一緒に見始めた。
抱き枕に出来なくなってしまったので、今度は菜々さんの太股を枕にすべく場所を移動する。
しかし残念ながら太股と炬燵の間にスペースが無かった。瑞樹さんや美優さんも同じだ、みんな前傾で炬燵の上のカタログを見ているからな。
菜々さんの後ろに座って背中に抱き着く。
昨日ようやく観念してくれたからな、もう遠慮はいらない筈だ。とはいえ、ここで胸に手を伸ばすわけにはいかないからお腹に手をやるのだが。
「ちょっ、純君!? お腹はダメですっ!」
昨日ライブでお腹晒していたんだから今更何が……柔らかいけどさ、流石に一晩のビールではお腹に反映されたりなんて無いよね?
「あらぁ、もしかして菜々ちゃんも花束に加わるのかしら?」
昨日は瑞樹さんと藍子は現場にいなかったから、菜々さんが加わったのを知らなかったんだよな。
だけど二次会以降でも話していなかったのか。そういやあの場に居たのはアイドルだけだったから、叔母さんも知らずに話題に出なかったのかな?
「えぇ、昨日やっとOK貰えました」
「普通は女が男にお願いすると思うのだけど、私たちの時も純君から誘われたのよねぇ」
「そういえば、そうでしたね」
瑞樹さんの言葉に美優さんが頷く。あの日の事を思い出したのか、顔が少し赤くなっていた。
「私の時も『歳が離れていても構わないから本気になって欲しい』って言ってきたんですよ」
言われて思い出したけど、楓さんの時も何故か俺が口説いた感じになっていたんだったよなぁ……
お昼時になったので5人で食事に行った。
ちひろさんから今日は346カフェが混んでいると教えて貰ったので、夏フェスの翌日だし下手に顔を見せない方が良いというので社員食堂なんだけどね。安いし種類も多いから良いんだけどね、こっちも昼時は混んでるからさ。
この時に料理について聞いたら、一応みんな自炊は出来るとの事。楓さんもやらないだけで出来ないわけじゃないからな、たまに家で作ってくれる事もあるし。叔母さんや奏に任せた方が美味しいからと言ってたけど、めんどくさがっているだけの気もするんだよな。
食事については仕事とかの都合もあるから、その時に作れそうな人が率先して作るみたいになったようだけど大丈夫なのだろうか?
食事から戻って来ると他のアイドルたちも揃っていた。
同じ駅なんだし他の予定が無ければ一緒に来ても不思議じゃないか。
そして1時になると社員もやって来た。
「はい、みんな揃っているわね。では早速だけれど、昨日の反省会を始めます」
揃っているのを確認して叔母さんが話し始めた。
「先ずは初めての大きなライブ、お疲れさまでした。大きな問題も無く終われて良かったです――」
労いの言葉をかけた後は午前に有った社員での反省会で出た事をみんなに伝えて来た。
良かったこと悪かった事様々だが、入退場時の混雑対応や物販の人手不足など基本俺たちにはどうしようもない事ばかりだ。
勿論叔母さんもそんな事は判っているので、掘り下げたりせずに先へと進めていった。
「次はステージに関してだけど、少しぎこちないところが見受けられたと意見が有ったのだけれど、どうでしたか?」
「そうですね、水の仕掛けに驚いてしまいました。説明は受けていたのですけどね」
「アタシは色んな方から見られるのに戸惑ったかなぁ? ミニライブでは前にしかお客さんは居なかったけど、中央ステージでは全方向から見られてたからね」
楓さんと友紀さんがステージ上での感想を口にすると、他のみんなも続いて感じた事等を口に出していった。
「はい、ありがとう。大掛かりな仕掛けが有る場合はリハーサルに組み込んでもらう必要が有りそうですね。設備の方にも反省点として連絡しておきます。お客さん数や視線などには場数を踏んで慣れてもらうしかないでしょうね、プロデューサたちは色んなイベントの仕事を取って来れるように頑張るように」
叔母さんがプロデューサーたちにも発破をかける。
場数を踏んで慣れるのは仕事が無いと出来ない事だからな。学校の文化祭なんかでも数百人、多くても千人前後だろうし、普段の生活で数千人の視線に晒されるとかないもんな。
「そして純君だけど、会社からはお咎め無し。むしろ会社が責任を持つから好きにさせろとの事です」
叔母さんの言葉にホッとした。賠償なら良いけど、正座はもう嫌でござるぅ……
「だ・け・ど、行き過ぎには保護者として注意をするからね?」
「はい……」
社員として会社の方針に従うけど、保護者の立場からは一言物申す事ができるんだもんなぁ。
「それと性器のもろ出しは不可なので気を付けるようにね。他の子たちも同様ですが、そのような仕事は大人のタレントに任せれば良いですからね、プロデューサーたちも仕事を受ける際には注意してください。7月の浴衣のイベントがギリギリのラインでしょうね、かなり際どかったですが市販されている物ですからね……」
あのスケ浴衣は叔母さん的にはセウトだったか。お尻も丸見えだったし、乳首もギリギリ隠れていた程度でズレたら見えていただろうからな。
「アイドルたちのを晒さなければよいので、他の出演者が晒す場合や性のテーマの仕事まで避ける必要は無いですから、そこはしっかり見極めるように。温泉の紹介とかはタオルを体に巻くとかすれば良いでしょうから、演出などを工夫すればよい事もありますからね」
既にウージーさんの番組で男性の性についてのテーマの時に出演しているし、厳しくすると346に所属する裸芸人とも共演NGとかになってしまうかもしれないしな。
たしかアイドルとして幅広い活動を目指しているはずだし、ギリギリのラインは引くけどあまり制限は付けたくないようだな。
そして温泉レポ。全裸で紹介する時と水着やタオルで隠す時とあるんだよね、あれは出演するタレントやその事務所の方針って事だったのか。見るだけなら全裸の方が良いけど、楓さん達が出るなら隠して欲しいと思ってしまうんだよな。
ま、今回はテンションが上がってしまった事もあるし、次からは気を付けよう。
「今回出演しなかった川島さんと高森さんにも来て貰ったのは、次回参加時へ向けての情報共有って事で……。年明け1月の連休に新年ウィンターライブを予定しています。此処にいる全員参加で高森さんはこのライブがデビュー予定になります」
「はっ、はいっ!?」
「ここまで続いてきて、純君の花束に加わるのだから今更辞めないでしょう? ですので研修生契約をした時の、続いた場合の予定を前提に進めています。速水さん北条さんの曲を発注するのと同時にしていますから、CDの販売は12月でも良いけれど、そこはプロデューサーと相談してください」
11月になる前にから藍子のデビューについても動いていたんだなぁ。
それならデビュー曲は早めに渡しておいた方が良いのかな? 後で叔母さんに確認しておこう。
「ついでだからこの後の大雑把な予定も話しておきましょうか。まず9月に島村さん、9月か10月に純君、10月か11月に速水さんと北条さん、12月か1月に高森さん川島さん三船さんのCD販売を予定しています。レッスン次第でどちらの月になるか決めますので頑張ってください。純君を除いた7人のセカンドシングル用の曲も発注済みですので、冬以降に準備出来次第販売していきますからね」
俺が他の7人より早いのは、曲を自前で準備出来るのと年2枚のノルマが出来たからだろうな。半年に1枚のペースで販売して行かにゃならんのだし、4月から半年だとこのくらいに時期だよな
ちらっと奏と加蓮を見ると、あまり表情は変わっていないものの目立たないように握り拳を動かしているので嬉しいのだろう。昨日は共用曲で専用曲じゃなかったからな。
「後は……今月下旬から各地でのライブを行っていく事になります。東北・北海道方面にアナスタシアさん、三船さん、十時さん。関西に高垣さん、川島さん、小早川さん。中国・九州方面に姫川さん、新田さん。出身地方のメンバーを中心に+αで4~5人でのライブを行っていく事になりますので、プロデューサーに予定やライブの情報などをきちんと確認しておく事。安部さん、島村さん、速水さん、北条さんも各地に行ってもらう事になるので、関係ないとか思わないようにね!」
4~5人でライブだと一人2~3曲歌うのか? 夏フェスで使われなかった共用曲もあるけど、夏フェスのレッスンが優先だったからみんな覚えきれてないんだよね、大丈夫なのだろうか? ちょっと心配だ。
「それと、ツアーではない限りは純君の地方での出演予定はありません。出演したしないで騒がれても困りますから。ツアーに関しては来年以降、大きな場所を確保できるかで決まってくると思うから先の話ね。じゃあ、これで終わりになるけど、何か他に話しておきたいこと、聞いておきたいことはある? ――無いようなので、終わりにします。お疲れさまでした」
「「「お疲れさまでした」」」
反省会よりも次の仕事についてがメインになってしまっていた気もするけど、次の目標があった方がやる気も出るしな!
8月も残すところ僅かとなった第4土曜日、地方出張ライブ第1弾が大阪で行われる。
楓さん瑞樹さん紗枝ちゃんに加え、奏と加蓮の幼馴染コンビも出演だ。ついでに叔母さんも第1弾だからと現場に向かった。
つまり……今夜は俺一人だ~~~!!
昼間は美波さんと愛梨さんがずっと側に居たし、泊まりに行こうか? なんて言ってくれたけど、夏休みの課題が残っているらしいのでレッスンから帰ってきた時に寮に帰って貰った。
夏休み中はみんな仕事か午前から夕方までレッスン漬けのどちらかだったし、真面目な美波さんでも課題が終わってなくても仕方が無いよね。