プロジェクトルームで愛梨さんの抱き枕にされて居たら、3人を送り届けた楓さんが戻ってきた。
「純君、愛梨ちゃんのおっぱいに顔を埋めて楽しそうですね?」
なんか抑揚のない話し方で怖いんですけど!?
愛梨さんだって花束の一員何だし、それに今は抱き着かれている方なんですけど!
「あー、うん。柔らくて良い感じだよ。何だったら楓さんが変わってくれても良いよ?」
「えーっとぉ……じゃあ、楓さんもどうですかぁ、今なら純君の臭い付きで良い感じと思うんですけどぉ?」
愛梨さんは俺から手を離すと、楓さんに向かって腕を広げた。
横になったままだから、まるで誘っているかのようだ。……いや、誘ってはいるのか。抱き枕にだけど。
楓さんが固まっていると、そこに瑞樹さんと美優さんがレッスンを終えて戻ってきた。
「二人は何をやっているの?」
「愛梨ちゃんが楓さんを誘っているのでしょうか?」
「あーっ、もうそんな時間なんですかぁ!? 私のレッスンの時間なので、行ってきますね~」
その二人を見た愛梨さんは慌ててレッスンへと向かって行き、楓さんは「純君の荷物も運んじゃいましょうね」と何事も無かったかのように言った。
「純君の荷物はこれかしら?」
「あっ、私片方持ちますね」
楓さんの向かう先に有った紙袋二つを、瑞樹さんと美優さんが1つずつ持ってしまった。
「あの……瑞樹さん、美優さん?」
「まぁまぁ、今日くらいは良いじゃない」
「純君の引っ越し祝いをしてあげたいですから」
うん。二人とも今日は楓さんの家に来るつもりのようだ。
そんな二人に楓さんも諦めたようで「仕方ないですね」と言うと、俺と腕を絡ませて歩き出した。
楓さんの家に着くと俺の部屋に荷物を置いて貰う。
そこから制服や教科書などを準備して貰っていたテーブルの上に置いて行く。明日は始業式とLHRだけと聞いているので、明後日の時間割を見て必要な物だけを鞄に入れて置く。
そうしている間に楓さんたちは段ボールから俺の服を引っ張り出して、分類しながらカラーボックスに入れてくれている。適当に詰め込んだから、内容がバラバラなんだよね。ありがたやー。
荷物が片付いたら3人はキッチンへと移動していった。
好きにしていて良いと言われたのでノーパソを持ってリビングに行き、3人の後姿を見ながら曲の打ち込みをする事にした。
3月までに2枚CD出す約束だからね、そろそろ次のを決めないと。
ん~、始めに披露した『それが大事』と『田園』を2枚目3枚目として、カップリング曲だな。
1枚目のが『ありがとう……』だったし、合わせる必要は無いんだけど……
「La la la, la la la, la la la la, la la la
終わる筈のない愛が途絶えた いのち尽きてゆくように
ちがう きっとちがう 心が叫んでいる
ひとりでは生きてゆけなくて また 誰れかを愛している
こころ 哀しくて 言葉にできない
La la la, la la la, la la la la, la la la
La la la, la la la 言葉にできない ♪」
「初めて聞く曲ですね」
楓さんの声に顔を上げると、瑞樹さんと美優さんも俺の事を見ていた。
「うん、次のCDのカップリング曲にしようかなって。それよりもこっちを見てて大丈夫?」
「まだ準備段階で火を使って無いから大丈夫よ。本当に色んな曲を作るのね、感心しちゃうわ。それに、私たちにもデビュー曲を作ってくれるんでしょ? 楽しみよね~」
あー、そうだね。二人のデビュー曲も……って、その前に加蓮と奏のが先か。
練習もしたいだろうし藍子のもあわせて5人分準備しちゃおうか。
加蓮には『Love&Joy』、奏には『1/2の神話』が合いそうな感じで良いよな。藍子には『ペチャパイ』……いや、怒るかこれは。でも一応聴かせてからだな。
瑞樹さんには『黒毛和牛上塩タン焼680円』、マグロとつくねをカップリングに出来ないから値段は680円じゃなくても良いけどね。そして美優さんには『やさしさで溢れるように』とかどうかな?
「……純君、もう一回曲名言ってくれる?」
「えっ、『黒毛和牛上塩タン焼680円』。値段は変えても良いけど、もっと高くしようか?」
「美優ちゃんのは良い曲名なのに、何で私の方はそんな曲名なのよ! 楓ちゃんも笑わないの!」
「まぁまぁ、先ずは聴いてみてよ。そうしたら納得するかもしれないしね」
ポチっとな。
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「もう一回聴かせて。後、歌詞も見せて頂戴」
曲自体には文句は無いようだけど、曲名との関係が判らないかったかな。
3人ともキッチンからリビングに移動してきたので、歌詞を書いたファイルを開いてノーパソの画面を見せ、再度曲を再生する。
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「女の子を焼き肉のお肉に例えているんですね」
2回目の再生が終わると楓さんが歌詞と曲名の関係に気付いたようだ。
「黒毛和牛の上タンは高級な肉、つまり瑞樹さんは良い女って意味の曲名だよ」
「良い女なのにお手頃価格だと思われているって事なの!?」
「それなら、値段を高くすれば良いんじゃないでしょうか? 黒毛和牛なら他のお肉でも1000円超えますし」
グヌヌっている瑞樹さんに美優さんが値上げを提案した。
女が有り余っているんだから、普通の女ならそれこそ300円台のカルビだよな。
「そこらの人なら豚カルビ、良くて牛カルビでしょ」
「その例えはどうなのよ、反応に困るわ」
「ふふっ、高級な瑞樹さんはどんなお味なんでしょうね? 純君のおちんち――舌を価格分満足させられないと、順番減っちゃうかもしれませんよ」
今絶対おちんちんって言いかけたよね!
体の相性は有るかもしれないけど、新居にみんな引っ越したら何人か一緒でする事の方が多くなるんだし、そんな心配はいらないと思うよ。
「あぁ、もうっ! 純君が考えてくれたんだし、そのままで良いわよ! でも、もっと高くても良かったと言わせるんだからね。夜は覚悟しておきなさいよっ!」
勢いで言ったのだろうか、言い終わったら顔を赤くしてキッチンへ行ってしまった。
「あの、セットメニューじゃないですけど、私の事も味わってくださいね」
美優さんもそう言って移動しようとしたけど、腕を掴んで止めた。
まだ美優さんの曲を聴かせてないからね。
バレンタインチョコは楓さんに奏と卯月でした。
あとの二人がこの作品のヒロインだったよ!
ファン数の多い二人なのかな?