スポーツについてのご都合設定が登場します。
(とりあえず設定だけで、物語には関わらないと思いますが……)
誤字報告感謝でごぜーますよ。
中学1年 新たな出会い
あの日以降何かにつけ奏がキスをねだったり、キスをしようと迫って来る事が多くなった。おそらく湊さんの『好きっていう感情を伝える行為』という言葉が、奏の心に深く刻み込まれてしまったのだろう。
一方の加蓮は、今まで以上に俺にべったりになった。学校から一緒に帰宅後、家に戻らずにずっと俺の家に居るのだ。それまでは宿題は一緒にやってたりしたけど、終わったら帰っていたのが、今は蓮菜さんがご飯に呼び来るまで俺の部屋でゴロゴロしている。そして隙をみつけては抱き着いてくるようになった。
そんな幼馴染二人の変化を受け入れ、楓さんや大人組と肌を重ねながら時は過ぎていった。
2年経つと俺と加蓮は小学6年生に、奏は中学1年生へと進級だ。
奏はどの中学に進学するか悩んでいたようだが、俺の『俺は一番近くの公立中学に行くよ』という一言で奏の進路も決まってしまった。
奏の入学式の日は俺も学校まで一緒に行き、校門前で記念撮影をした。
ブレザー姿の奏も可愛かったです!
小学6年の大イベントと言えば修学旅行があるのだけど、そのタイミングで何と加蓮が体調を崩してしまった。
戻って来たクラスメイト達からは個別にお土産を渡された。
纏めて一個でいいのに30個ものお土産を貰う事になってしまった。しかも被って同じものが何個もあるし、いったいどうしろと……
そして3月、俺達は小学校を卒業した。
卒業式の日には私立校に行く子や、中学では別の学区に行く子達から告白されまくった。
このタイミングで告白されてもどうしようもないじゃん? まだスマホとか持ってないし、家電なんか教えられないから連絡付けようがないし。
中学は奏が通っている家から一番近い公立校だ。徒歩15分で、通学路はマンション前の公園から馴染みの商店街を通るので、全然苦にならない。
女子はブレザーだけど、男子は決まった制服は無いらしい。男子生徒が少なく大量生産できないので、好きな服で良いそうだ。
体操着や上履きは指定がある。というか女子と同じものだ。体操着の下もブルマではなく短パンだから問題ない。
奏の話によると新2年生には3人、3年生には2人男子生徒がいるらしいが、通学しているのは新3年生の一人だけらしい。
奏と同学年の男子3人は、入学式から一度も登校していないとか。登校する気が無いなら、通信教育の学校にしとけばいいのにな。
その唯一登校している男子生徒に奏は口説かれているらしい。
チビでデブの上に何故か自信家で、奏は『生理的に受け付けない。他に男が居なくても、アレだけは絶対にないわ』と断言していた。
でも、そんな男でも取り巻く女はいるらしい。だから変に自信を持つんだろうなぁ。1年間だけとはいえ、同じ学校に通うのか……
閑話休題。
そんなんで、卒業式後の日曜日に中学で着る制服を買いに来ている。
加蓮はサイズを指定して注文するだけなんだけど、俺は何を着るかを決めないといけないからな。
店に入ると色んな学校の女子用の制服が沢山並んでいた。中学だけでなく高校のもあるから、シンプルなのから可愛いのまで色々だ。
折角なので女子用の制服もしっかり見させてもらおう。前世でやってたら不審者扱いだっただろうけど、今なら微笑ましいで済むだろうしな。
それにしても標準でスカート丈短いね。奏のが短いのも、弄ってたわけじゃなかったんだなぁ……
むぅ、奏と加蓮には階段では気を付けるように言っておこう。他の男子には見せたくないからな。
「キャッ、ごめんなさい――って、男の子っ⁉」
制服を見ながら歩いていたら人にぶつかってしまった。
「あわわっ、どうしましょう。男の子にぶつかってしまうなんて、なんてお詫びをしたら……。あううっ……」
ぶつかって『あわわ』言ってる女の子。お嬢様結びのサイドテールで髪先が軽くウェーブしている。
ぶつかった拍子に落としたと思われる生徒手帳を拾い上げると、進学予定の中学の物で目の前の女の子の写真が張られていて、そこに書かれていた名前は――
「島村卯月……」
「あっ、はい。島村卯月です! って、なんで私の名前……。あっ、生徒手帳! 拾ってくれたんですね、ありがとうございます」
デレステでの初期選択キャラの一人で、アニメではメインキャラの一人だった。
確かに東京出身だったはずだけど、こんなに近くに居たのか……
俺の事も知らないみたいだし、小学校は別の学区だったのが中学では同じになったのかな。
奏と同い年のはずだし、学校でもきっと会えるだろう。
「俺は笹埼純。四月から同じ中学なので、よろしくお願いしますね。卯月せ・ん・ぱ・い」
卯月に生徒手帳を渡して、カウンターで注文票を書いている叔母さんの所へ移動すると、後ろから「先輩……男の子に先輩って呼ばれちゃいましたっ。どうしましょう⁉」なんて声が聞こえて来た。
「体操着と上履きはこれで良いとして、後は鞄と学生服ね」
俺が女子の制服を見ている間に、決まっている物の注文は終えてくれたみたいだ。
取り扱っている鞄のパンフレットを見せて貰ったが、これといったような物が無かった。奏が使っている鞄の黒色で良いだろう。学生鞄と体操着を入れるバッグ、両方共お揃いだ。
制服の方は単純に学ランで良いんじゃね? と思っていたのだが、パンフレットには学ランは載っていなかった。もしかして存在しないのだろうか?
女子と同じジャケットに、スカートの代わりにスラックスを着用するのが基本らしい。
Yシャツは嫌いなんだよなぁ。代わりにTシャツで良いか、冬場はトレーナーを追加で。
ジャケットに合うスラックスを選んで貰って、それを注文した。
叔母さんはモデル事業部で働いているだけあって、センスいいからなっ! そして、自分のセンスは信じない派です(泣)
一通り注文が終わったので、後は品が揃った時に受け取りに来るだけだ。
余談だが……島村卯月はその晩、もの凄く捗ったらしい(謎)
そして4月になり、ついに入学式だ。
俺と叔母さん、加蓮に蓮菜さんで中学に向かうのだが。何故か楓さんと奏も一緒に歩いている。
「去年は私の入学式の日に純が来たんですもの、今年は私が純の入学式に一緒するわよ」
「純君の制服姿を見たかったんですよ。一緒に写真も撮りたかったですしね」
というのが二人の言い分である。
まぁ中学入学の記念にみんなで写真撮るのは良いけど、校門前が混雑しそうだよねぇ。
校門前で俺、加蓮、二人で、奏が混じって三人で、俺と叔母さん、加蓮と蓮菜さん、俺と楓さん……いや、撮りすぎだろっ!
男の俺が居るのに加えて、ここ数年で人気モデルになった楓さんが居るものだから、校門前はもの凄く混雑した。
だって、誰も中に入っていかないんだもん!!
写真を撮り終えると、楓さんと奏は帰っていった。部外者は入れないし、在校生も生徒会役員のみが参加らしいので、二人とも中に入れなかったのだ。
保護者は体育館へ、子供は教室へと別れる。
ついて来る女の子たちは気にしないようにして、昇降口に張り出されているクラスを確認する。
「えーっと……うん、1組だった。加蓮も一緒だな」
一番初めに見たクラスに名前があったので、すぐに見つけることが出来た。そして加蓮の名前も同じクラスの中で見つけた。
「本当? ……あっ、あった。良かったぁ、中学でもよろしくね」
「宿題は自分でやれよ」
「うー、頑張るから……ねっ♪」
そう言うと加蓮は俺の腕を取り、1年1組に向かって歩き出した。
背後からは悲鳴らしき声や、奇声、歓喜の声が聞こえてくる。……女の子らしく可愛い声をお願いしますっ! いや、これがこの世界の女の子標準だった……
教室に入って先に来ていた子達に挨拶をすると、みんな笑顔で挨拶を返してくれる。
出席番号は五十音順だが、席は何故か窓側の一番後ろだった。後で判明した事だが、通称『男子隔離席』で、男子が居るクラスは必ずそこが男子の固定席なんだと。何時来なくなるか分からないから、隅にしといた方が影響が少ないとかなんとか……
加蓮は隣の列の4番目。1列6人なので後ろからは3番目。
遠くは無いが、座ったまま話すのは憚られる。そんな距離だ。
後から来た子は、教室に入って俺を見ると嬉しそうな顔になるが、むやみには近寄って来ずに大人しく自分の席に着いていく。
なかなかの淑女っぷりだが、昇降口で奇声を上げた者がこの中に居るのは分っているんだぞ!
入学式の始まる15分前になった所で、体育館に移動するよう放送が流れた。
担任は来ないのか? とか、並んでいくのかバラバラで良いのか? 等ざわつくも、このままでは居られないので、席を立って周りの子に「体育館に移動しろって言ってるんだから、行かないとね」と声を掛けて、移動を始めた。
教室を出る前に加蓮に並ばれて、前後を壁を作るかのようにクラスメイトに挟まれた。
「私たちが他のクラスの子から守るからねっ!」
一人の子が代表してそう言うけど、守りが必要なの?
渡り廊下を通り体育館の入り口まで行くと、先生らしき大人の女性が立っていて『席は自由。だけど奥の方から座るように』と声を掛けている。
その女性は俺を見ると、周りの女子生徒に向かって『席の取り合いはしないように! 親御さんが見ているので、恥ずかしい行動はしないように!』と言い聞かせた。
体育館の中に入ると2階の客席からフラッシュの光が降り注いだ。
ちょっと、撮りすぎっ! 自分の子が側に居ないのに撮ってる人多過ぎでしょ!
ビックリしたけど立ち止まっても居られないので空いている席を探すと、一番前の席が全部空いていた。
確かに奥からって言ってたけど、前が人気無いのは変わらないのな。
俺は前だろうが気にしないので、加蓮に『一番目の向こう端に座るから横をよろしく』と小声で伝えて、二人足早に前の端の席に移動して座った。
加蓮の向こうの席や俺の後ろの席は、当然の如く壁を作ってた子達が確保していた。この子達は将来立派なSPになれるだろう(笑)
入学式が始まると、校長先生やPTAの会長等の話が続く。これらの長話はどの世界でも共通なんだろうなぁ。
その代わり生徒会長の話は短かった。同じ生徒だからな、こちらの気持ちも分かっているんだろう。
新入生代表の挨拶はなく、生徒会長の話の後は校歌斉唱……ではなく、生徒会長の独唱だった。
新入生はもちろん校歌を覚えていないし、参加している生徒は生徒会役員のみだからな。……って、他の役員はどうした⁉
入学式が終わると、入って来たとは変わって後ろから順番に並んで退場していくよう指示された。
後ろからって事は俺が一番最後になり、そしてやっぱり写真を撮られまくるんですね。
……後姿の写真撮って楽しいか? 後で冷静になった時に見て、何故撮ったのかと考える事になるぞ(笑)
教室に戻ると程なくして担任の先生が来た。
『桂木素子』先生。担当は数学で、水泳部の顧問らしくスリムな体型も納得だ。
「あー、このクラスには学年唯一の男子が居るが、問題は起こさないように。がっつくと嫌われるからな、嫌われたまま同じクラスだと辛いぞー」
始めに釘を刺してくれるのは助かるな。
「明日はLHRで学校生活についての説明があり、午後は新入生歓迎会という名の部活紹介だ。明後日から授業が始まる……教科書は明日渡されるからな」
部活かぁ、どうするかな? バレー部や野球部で、スポーツ女子に混じってラッキースケベするのも楽しいけど、部活漬けは合わないだろうしな。
ちなみにこの世界では一部のスポーツは一部男女混合だったりする。
バレーボールならリベロ。野球なら指名打者等、男性でも女子チームに参加できるよう配慮されている。
されているだけで、実際に参加する男は滅多にいない。たまにプロチームが高額で男性を獲得するが、大抵は1~2年で退団する。
男は数年で大金を手にでき、チームはスポンサー料やTV中継料が上がりグッズ販売も増加するので、WIN-WINの関係らしい。
中学までに男性に縁のなかったスポーツ女子は、その『たまに』の可能性にかけて、プロを目指したりするんだとか……
閑話休題。
中学の部活は全員参加だし、奏に聞いた話だとこの学校にも写真部があるらしいから、やっぱり写真部かなぁ……。
奏は手芸部だが既に幽霊部員らしいし、加蓮も似たようなものだろう。
入学して1週間が過ぎ、仮入部期間が始まる。そして4月中に本入部を決めないといけない。
決められなかった場合は『奉仕活動部』に籍を置かれ、月1で学校周辺のゴミ拾いなどをさせれられる。これをサボれば内申点が下がりまくりだそうな。なので『幽霊部員でも良いから何処かの部活に入部するのが良い』と、先輩や姉が居る子からの助言が1年生の間で流れていた。
放課後、加蓮は文芸部に入部するそうなので教室で別れ、俺は写真部の部室に向かう。
実技棟の2階に写真部の部室がある。小学校と同じくフィルムカメラは使われてないらしく、現像室は存在していなかった。
部室の扉を開けると、そこには小さなヒマワリの髪飾りを付けた一人の女生徒が立っていた。
「あっ、写真部の部員さんですか? 入部希望なんですけど……」
「あー、俺も入部希望の1年生なんだよ」
「そうなんですね。あっ、私は4組の高森藍子です。よろしくお願いします」
「あぁ、俺は1組の笹埼純だ。こちらこそ、よろしくな」
もしかしてと思ったが、やっぱりか。ゆるふわ乙女の高森藍子、別名『世界一かわいいドラム缶』。確かに胸のふくらみは小さいが、お尻はなかなか……
それにしても、卯月だけでなく藍子も同じ中学だったなんてなぁ。
他の部員や顧問が来るまで話をしていようかって事になった。
「私、男の子と話すの初めてで、変な事言ったらごめんなさいね」
藍子も男に縁が無かったのか、それでもガツガツ来ないのは流石ゆるふわだな。
それでも、キュートでなくパッションなんだよなぁ。
それから10分程話をしていて、やっと顧問の先生が来たと思ったら、3月に部員が卒業して現在の正部員は0。俺達が入部すれば廃部にはならないけど、部費はほとんど出ないだろうとの事。
備品のパソコンやプリンター。印刷用紙や文房具などはあるし、古いが部のデジカメもあるので問題ないだろう。
藍子も自前のデジカメで、散歩しながら写真を撮っているらしいからな。
それに先輩が居ないってのも良いよな! 先輩の都合で活動日を決められるって事も無くなるし。
そういう事で、俺は迷わずに仮入部届ではなく正式な入部届を出した。藍子も他の部には興味がない様で、同じように正入部届を出したようだった。
顧問の先生は二人の入部届を受け取ると、藍子を部長に指名して教員室へと戻っていった。
まぁいつ学校に来なくなるか分からない男子を部長には出来ないのだろうし、来年の部活紹介で俺が出ると興味ない子まで押し寄せてくる可能性があるしな。藍子が部長になるのが妥当だろう。
とりあえず、新生写真部の活動開始記念にツーショットの写真を撮っておこうか。
次のHシーンはしばらく無いかもしれません。
特異点に未来のアイドルが引き寄せられるっ!