※この作品はR-18です。

男の少ないデレステ世界で2度目の人生!?   作:猫仔猫

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今回もご都合設定増しましです。


中学1年 5月

中学に入学して早一月。世間はGWで賑わっている。

そんな中、笹埼家は恒例となった温泉旅館でのんびり過ごしていた。もちろん(?)楓さんも一緒だ。

 

温泉街へ散歩に行き、戻って来た後の晩御飯前の何気ない空白の時間。叔母さんが楓さんに真剣な表情で話しかけた。

 

「楓ちゃんは今年で大学卒業よね、卒業後はどうするの?」

 

「どうって……。百合枝さんと一緒にお仕事をして行きたいと思っていますけど」

 

何か真面目な話っぽいので、俺は二人の会話を黙って聞くことにした。

聞かれて困るような事なら、俺の前で話さないだろうし。

 

「実はね、346プロで新しい部を立ち上げる事になって……。私もそこに移動する事になったの」

 

「じゃあ、私の担当から外れちゃうんですか?」

 

「そうなるわね。夏に仮立ち上げで、来年の春から正式稼働。一応春までは引継ぎを含めて、モデル事業部と新しく立ち上げるアイドル事業部を兼任する予定よ――」

 

叔母さんは楓さんの前に座りなおして、顔を合わせて話し続ける。

 

「だから楓ちゃんが大学卒業を機にモデルを辞めて就職するなら、最後まで私が担当する。でも、卒業後もモデルを続けるなら、新しい担当が付く事になるわね」

 

叔母さんの話を聞いて、楓さんは目を閉じて考え始めた。

それにしてもアイドル事業部の立ち上げかぁ……。たしかに346のアイドルって聞いたことなかったけど、存在自体していなかったんだなぁ。

 

「私でもアイドルになれますか?」

 

楓さんは目を開いたかと思ったら、アイドル転向を口に出した。まぁそうなるんじゃないかなぁとは思っていたけど。

 

「えっ? まぁ、年齢に制限を付ける予定は無いから、その点は問題無いけど……。もし楓ちゃんがアイドルになったとしても、私が担当できるかは分からないわよ」

 

「構いません。まったく別の部署でお仕事での接点が無くなるよりは、信用できる方が側に居てくれるだけで、安心してお仕事が来ますから」

 

「はぁ……分かったわよ。夏の仮立ち上げした後にオーディションやスカウトが始まるから、その時に話してみるわね。楓ちゃんはモデルの仕事をしながら、歌の練習でもしてなさいね」

 

「はいっ、ありがとうございます」

 

楓さんなら問題なくアイドルに転向するんだろうな。

それにしても叔母さんがアイドル事業部か……。もしかしてチャンスか? 今でも未来のアイドル候補たちと知り合っているけど、出入り出来るようになればアイドルハーレムも作れちゃうんじゃね?

 

 

「ねぇ、そのアイドル事業部だっけ。そこでのお仕事の手伝いってできないかな?」

 

「えっ、純君が? 無理よ、社員じゃないのに出来るわけないじゃない」

 

「んー、男性勤労特別法。たしか、あれにも年齢制限なかったよね」

 

『男性勤労特別法』とは、引き籠りが増えた男性に気軽に仕事を体験してもらい、社会に出てきて貰うのを目的とした特別法だ。

いわばインターンシップのようなものだ。違いは会社が募集するか、男性が自ら会社に申し込むかだ。またインターンシップの場合は会社が給料を支払うが、この場合は行政から会社へ補助金が支給されるので、会社の金銭的な負担は無い。

金銭的な負担は無いというが、実際は男性の相手をする事で仕事の負担が増え、効率が落ち、業績に影響を与える事になり、実質的な負担となる場合がある。

 

「確かにそうだけど……。うーん、アイドル事業部の担当となる役員さんに相談かしらねぇ」

 

叔母さんに迷惑を掛けるのは申し訳ないけど、出来たらで良いのでお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

そして5月末、中間試験明けの金曜夕方。叔母さんと一緒に346プロの本社に来ている。

正式名称は株式会社346芸能プロダクション。都内の一角に独創的な外観の自社ビルを持つ、老舗の芸能事務所だ。

 

そんなビルの上層階にある、高級そうな装飾品が飾られている応接室に通された。

アイドル事業部の担当となる役員さんが、会って話を聞きたいとの事だ。本気かどうか、直接話して確認したいんだろうな。

本当に役員さんに相談しただなんて、叔母さんが凄いのか、それが出来るのが346の社風なのか……

 

30分程待っていると、社員さんがお茶を替えに来て「もうすぐ常務が来られます」と叔母さんに伝えていった。

もうすぐという事で立ち上がって、その常務さんが来るのを待つ。来てから立って挨拶しても良いのだろうけど、叔母さんが立っているのでそれに倣う事にする。

無理をしなくても良いと叔母さんは言ってくれるけど、第一印象が良いにこした事は無いしな。

 

そして、その常務さんがやって来た。……うん、美城常務ですね。若いけど鋭い目つきはそのままだ。

叔母さんに合わせて会釈をすると、常務は「腰を掛けたまえ」と言い、向かいのソファーへ腰を降ろした。

 

身長が高いので脚も長く、この世界の女性らしくスーツでもスカート丈が短い。

そして低いソファーに座るのだから、見えそうです。

 

「まずは自己紹介からだな。私は美城優子という。この会社で常務という役員をしていて、これからは笹埼君の上司になる事になっている」

 

「俺……私は笹埼純です。本日はお時間を頂きありがとうございます」

 

「ふふっ、無理に難しい言葉を使う必要は無い。この場では『俺』でも構わないよ。純君……っと下の名前で呼んでも構わないかな? 名字だと笹埼君と同じで分かり辛いだろう?」

 

美城常務が微笑んだよ! いきなり厳しく問い詰められる事は無いみたいなので、ちょっと気が楽になった。

 

「はい、名前で呼んで貰っても大丈夫です」

 

「うん、ありがとう。早速だが、アイドル事業部で働きたいという事だったが、本気……なのだろうね。その目は。だが、下手をすればそこで働く社員だけでなく、所属する事になるアイドルたちの人生も狂ってしまう可能性がある。それだけ、仕事というものは大変で大切なものなんだ。君はまだ中学生になったばかりの、私たちから見たらまだまだ子供だ。働くのは学校を卒業してからでも遅くは無い。それでも……今働きたいと言うのかな?」

 

子供の戯言と一蹴せずにきちんと話してくれるし、相手が子供と思っているからか話し方も優しい。

アニメとかのイメージと全然違うじゃないか。

 

「はい。我儘を言っているのは分っていますが、新しく事業を立ち上げる、そんな機会ってあまりないと思うんです」

 

「うん、そうだな。でもその立ち上げは凄く大事なものだ。そこに仕事も業界の事も知らない純君が居たらどうなると思う? 仕事が遅れて、事業として失敗してしまうかもしれない」

 

俺の目を見て、真剣に話してくれている。

常務さんの言ってることは正しいので、俺は何も言えなかった。

 

「……だが、貴重な機会に側で関わりたい。そんな気持ちはわかるつもりだ。そこで私からの提案だ」

 

あれ、てっきりダメ出しされたのかと思ったんだけど、違うのか?

 

「アイドル事業部で働くというのではなく――純君、君自身がアイドルになるというのはどうだろうか」

 

おぉう? 俺自身がアイドル……だと⁉ 予想外どころか斜め上の提案だな。

いや、芸能事務所としてなら正しいのか。それにアイドルなら年齢とか男性勤労特別法は関係なくなるしな。

仕事の邪魔になる事も無く、むしろ新事業の打ち出の小槌になるのだろう。

 

「それならば、一番近くで立ち上げから関わることが出来る。どうだろう?」

 

「た、確かにそうですけど。大丈夫なんでしょうか?」

 

「過去に男性アイドルは居たが、その全てが活動期間は1年未満だった。それは所属する芸能事務所が小さく、男性を守れなかったのが原因だ。その点346は自前でTV番組を作ったり、出版物を作成しているからね。安全な社内だけでも十分な仕事になるだろう」

 

確かに346ならそれが可能なのか。

楓さんとも一緒に仕事が出来るかもしれないし、奏や加蓮がアイドルになるきっかけにもなるかもしれないな。

何処に行っても男ってだけで目立つし、それならアイドルになっても大差ないのか?

 

んー、でも忙しすぎるのは性に合わないぞ?

 

「あまり忙しいと、たぶん無理ですよ」

 

「その点は考慮する。学生だし、男性を働かせすぎる事は出来ないからな」

 

「純君。これは、常務さんが考えてくれて、男性アイドルが所属出来るように会社に掛け合ってくれたの。手伝いたいって考えていた事とは違うかもしれないけれど、アイドル事業部の始まりから関われるのよ」

 

なんと常務さんが会社に掛けあってくれたのか。俺のちょっとした下心の我儘の為に……申し訳なさ過ぎる。

これだと、叔母さんもかなり頑張ってくれたんだろうなぁ……

 

「いや、なに……。男性アイドルがデビューするとなれば、初年度の成功は確実だからな。それに映像部門や出版部門も、男性アイドルを起用できて346全体の益になる話だ」

 

そう言う常務の顔は少し赤くなっていた。

ツンデレか? 常務はツンデレなのか?

 

「常務さん、よろしくお願いします。アイドル、やってみようと思います」

 

これ以上の我儘は言えないし、アイドルになればそれこそ近くでアイドルたちに接することが出来るからな。

 

「そうか……ではこちらも準備を進めておこう。聞いているとは思うが、アイドル事業部は7月に仮立ち上げで、本稼働は来年の4月からになる。なので7月に契約をして、来年4月までは歌とダンスのレッスンに励んでもらう事になる。……契約すれば入館証が発行されるから、立ち入りは自由になるので、邪魔をしない程度に見学しなさい。男性が来れば、社員たちもやる気が上がるだろうしな」

 

来年の4月まではレッスンか。歌に関してなら千早に聞ければいいんだけど、居るのかなぁ? デレマスなら居るだろうけど、デレステだと居ない可能性があるんだよな。男女比が狂ってるから、確実にアニマスでは無いし……

んー、楓さんとカラオケにでも行っておこうかな。

 

 

「後は……そうだ、携帯電話は持っているかな? 持っていないならば、連絡が取れるように持っておいた方が良いだろう。笹埼君、どうなんだ?」

 

「まだ持っていませんね。中学生になって、行動範囲が広がったら買ってあげようと思ってましたので、良い機会でしょう」

 

「ん、そろそろ時間だな。次の会議が入っているのでね、今日はここまでだ。7月に契約する時にまた会おう」

 

常務さんはそう言うと立ち上がった。

 

「じゃあ頑張りたまえ――それとだな……。出来たらで良いのだが、私の事は名前で呼んでくれないだろうか? いやっ、無理にでは無くて、出来たらで良いんだ」

 

歩き始めたと思ったら振り向いて、何を言うのかと思ったら……。

常務さんもやっぱりこの世界の住人なんだなって感じだ。

 

「はい、優子さん。改めて、7月からよろしくお願いします」

 

「おぉ、ありがとう! これでこの後のつまらない会議も乗り切れそうだ!」

 

常務さん――美城優子は上機嫌で応接室から去っていった。

 

 

「はぁ、あんな常務は初めて見たわね。そして純君、おめでとう。で良いのかしら? ちょっと複雑だけど、お仕事を一緒できるのは良いわね」

 

「今まで以上に忙しくなると、家で顔合わす時間も減っちゃうからね」

 

「そうなのよね。そうだ、この後携帯を買いに行かなくちゃね。純君が携帯を持てば、何時でも連絡取れるし、癒してもらう事が出来るのね」

 

いやぁ連絡はとれても癒しは出来ないと思うよ?

スマホならソシャゲとかできるなー。って、この世界のソシャゲは、女性向けばっかりだった……

野郎キャラをコレクションする趣味は無いから、箱庭系とか探してみようかな。

 

動画も家のPCで見れば良いし、鍵付きのSNSで知り合いとやり取りするくらいにしか使わなさそうだ。

あー、後はアイドル用の垢で呟いたりしなきゃいけないのかな?

 




まぁ色々と考えたり書き直したんですが、中学生を会社の仕事に絡ませるなら、やっぱりこうなるのかな? 
と云う事で、純君もアイドルの世界に入ることになりました。

始めは無茶苦茶な法を作ってバイトにと思ったんですが、やっぱ無理がありすぎるよな。と(笑)



常務はツンデレ、へっぽこ、チョロイン属性付き。
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