美少女にTSした僕と狐耳ロリババアのおしかけいちゃラブ生活 作:テモ氏
契約とろとろいちゃいちゃえっち 1
僕の部屋の小さなテーブルの上に、二人分の料理が窮屈そうに並んでいた。
たっぷりのデミグラスソースがかかった煮込みハンバーグに、ポテトサラダがどっさり。添えられたエビフライは揚げたてだ。
白米に、汁物は油揚げたっぷりの味噌汁。野菜こそ少ないが、かなり豪華なメニューである。
旨そうな匂いに食欲を刺激され、思わず僕は唾を飲み込んだ。そういえば、朝から何も食べていない。
「どうじゃ、おまえさま! 便利じゃろ?」
湯気たつ食卓を前に、着物姿に戻ったつづらは楽しそうに言った。その手には、スマートフォンが握られている。
そう、この料理はいままさにつづらがあのスマホで呼び出したものだった。
曰く、「妖怪のネットなら当たり前のこと」らしいのだが、正直言ってめちゃめちゃ羨ましい。なんだよ夕ご飯召喚って。
僕が代金を払おうとしたら、つづらは「いやいやいや、ここは年長者の顔を立てるつもりで……の?」などと言ってさっさと画面を消してしまった。妖怪の世界にもネットバンキングみたいなものがあるのだろうか。
「さあさあ召し上がれ、おまえさま」
「い、いただきます……」
つづらに勧められるがままに、僕は箸を取る。空腹なのは事実だし、料理はみんな旨そうだ。我慢する理由がなかった。
ハンバーグに箸を入れると、ほろりと身が崩れて肉汁が溢れてくる。深い赤茶のソースを絡めて、白米の上へ。そして――
「……」
「ど、どうじゃ?」
「……おいしい……!」
美味しかった。文句なく。
僕はハンバーグをさらに一口食べると、続いてエビフライに手を伸ばす。
これはもう、お腹いっぱいになるまで箸が止まらないだろう。ていうか、絶対に食べ過ぎてしまう。
そのまましばらく夢中で食べていた僕は、ふとつづらの視線を感じて顔を上げる。
「どしたの? 食べないの?」
「あっ、そ、そうじゃな。うむ。わしも食べよう」
つづらは慌てたように箸を取ると、味噌汁を啜る。
僕を見ていた視線は、よくある「食べっぷりのいい後輩をにこにこと見る先輩」みたいな感じではなかった気がするし、なんだったのだろう。
どちらかというとあれは、罪悪感のような……なにか、申し訳なさそうな表情だった。
見れば、あまり食も進んでいないようで、味噌汁の油揚げをもそもそと食べるばかりだ。
僕は単刀直入に聞いた。
「ね、つづら。もしかして、まだ気にしてるの? あのこと」
「そ、そりゃあ気にするにきまっておろうが! わしのせいで、おまえさまの身体を永久に変えてしまったのじゃし……すぱいす? 的な感じでおまえさまも楽しめるかと思ったのが間違いじゃった……すまぬ……」
言い訳とともに語尾がしぼんでいったかと思うと、つづらはそのまま黙ってしまう。
改めてここまでへこんでいる理由は、一つ思い当たった。
起きてすぐ、何か僕を戻す方法がまだあるのではないかとつづらはネットで色々と検索したのだ。
その時、「ふたなり状態の妖怪は人間を発情させてしまうから注意が必要」だという情報を見つけてしまったのである。
つまり、僕が積極的になってしまったのはつづらのおちんちんのせいだという訳である。
しかし、それを聞いても何も意外ではなかった。そもそも、してる最中もそんな感じしたし。
……まあ、恥ずかしいとは思ったけど。だって完全におちんちんに敗北したってことじゃん……。
ともあれ、僕はテーブルを挟んで向かいにいるつづらに笑いかける。
「気にしないでってば、その……引っ張られてたとはいえ、僕が選んだことなんだからさ。ていうか強引にしたのもつづらをけしかけたのも僕の方だしね……」
言ってるうちに、僕の笑みは自嘲気味に引きつっていた。
冷静に考えるとなかなか終わってるな、僕……おちんちんに狂ってしまったとでも言うべきだろうか……
完全にメスになってしまったのだろうか、という不安も若干あった。
だって、TSものの漫画とかだとここから男狂いみたいになったりするし……。
「つづら、その……今は別に効果とか続いてないんでしょ?」
「う、うむ。そのはずじゃが」
「それならよかった。うん、僕が心配だったのはそれだけ。ほら、誰彼構わず興奮しちゃうみたいなのは嫌だし……」
「そ、それだけ……? おまえさま、正気に戻ったというのに……あんなことをされて、怒ったりしないのか……?」
「怒るんだったらとっくに怒ってるでしょ。ていうか別に嫌じゃないし、後悔もしてないんだから怒る必要ないじゃん? それに……その、気持ちよかったし……」
「お、おまえさまぁ……やはりおまえさまは、わしの見込んだ男じゃな……」
言ってる途中でなんだか気まずくなって僕は誤魔化すように笑うが、つづらは目に涙を溜めて聞いていた。
器の大きい男とでも思ってくれてるのだろうが、それは過大評価ってやつだ。ていうか、まだ男と見なしてくれるのはなんとなく嬉しい。
いきなりすぎて心の準備ができていなかったとはいえ、そもそも美少女にはなりたかったわけだし、おそらくつづらが思っているよりもぼくはこの状況を歓迎している、と思う。
困ってることといえば仕事とか役所関係のこととか、家族や知り合いにはどう伝えるかということぐらいだ。
なんとかなるとは思いたいが、もしダメだった場合はどうするべきだろう。
もし職とか色々失った場合、妖怪の世界で暮らすことになったりするのだろうか。
妖怪――僕の脳裏に、覚醒したつづらの姿が浮かぶ。
あの表情、体から立ち昇る妖気、明らかにヒトとは違う全てに、僕は完全に圧倒されてしまった。本来、妖怪とはああいうものなのだろう。
つづらに目を向けると、少し元気を取り戻したのか、エビフライに手をつけていた。
幸せそうにしっぽごと頬張るつづらに、僕はそのまま思ったことを告げる。
「あの……なんていうんだろ、妖怪モードみたいな感じになったでしょ。あの時のつづら、かっこよかったし……なんていうか、妖艶だったというか……今みたいなかわいさとのギャップがすごいよね」
「もごっ!? いきなりなにを言い出すんじゃ! て、照れるではないか!」
喉に詰まらせそうになりながら、つづらは顔を真っ赤にした。
僕は、言葉足らずにならないよう慌てて補足する。
「あっ、どっちの方がっていうのはないからね! どっちも素敵っていうか、好きっていうか……」
「すっ……!?」
目を見開いて固まるつづらに、僕は自分が失言をしたことに気づいた。完全に逆効果だ。
「お、おま、おまえさま……!?」
「あっ、えっと、その……!」
僕は何か取り繕おうとするが、既に部屋にはなんとも言えないそわそわした空気が充満している。
身体を重ねておいてこんな気持ちになるのもなんだかおかしい気もするが、そもそも僕たちはお互い恋愛経験がない。
少なくとも僕は、手を繋ぐとかデートするとかそういうイベントもまだ経験したことがない。
つまり、色々な段階をスキップしてしまっただけで、クリアした訳ではないのだ。
「た、食べよっか。冷めちゃうよ」
「そ、そうじゃな!」
話の流れとはいえ、こんな美少女に面と向かって好きとか言ってしまうなんて……。
今更ながら僕は顔が熱くなっていくのを感じて、照れを隠すようにハンバーグを口に運ぶ。
そこからしばらくの間、部屋には気まずい沈黙が訪れた。
それでも黙々と食べ進め、綺麗に平らげる頃には少しマシな空気が戻ってくる。満腹感が僕たちの神経をほぐしたのだろう。
食べ終わると、出現したときと同じように食器はいずこかへと消えていった。
片付けもしないでいいとなると、いよいよこのサービスが手放せなくなりそうだ。人間のクレカも登録できるんだろうか?
僕はそんなことを思いながら、台所で食後のお茶を沸かしているつづらをぼんやりと見ていた。
その後姿に、妹がたまに来て家事をやってくれるのを思い出す。
――妹には、なんて説明しよう。
そもそもあいつは、この美少女が兄だと言って信じてくれるだろうか。
二人分の茶を持ってきて、一息ついたつづらはそっと帯を緩める。
足を崩し、だいぶ寛いだ様子である。
「ふう……食べすぎてしまった。やはりここの料理は美味いのう。おまえさまの口にはあったかの?」
「うん、すごく美味しかった。ありがとね、つづら」
「な、なんのなんの! おまえさまはわしの命の恩人じゃし! なんならこれから衣食住の面倒もみて……やる、とか、やらんとか……言わんこともないというか……」
またしてもつづらは煮えきらない語尾で発言を濁した。言ってる途中で恥ずかしくなっちゃったんだろうか?
僕は話題を変えて助け舟を出す。
「それにしても、おちんちんがちゃんと消えてよかったよ。つづらが無事なことが一番だからさ。まあ……楽しんじゃった僕が言ってもあんまり説得力ないかもだけど……」
「お、おまえさまはどこまで良いお人なのじゃ……」
起きた時、既につづらの股間から陰茎は消えていた。
あれだけ立派な器官が跡形もなくなっている、というのは不思議な感じだ。
とはいえ、そもそもが存在していなかった部分ではあるのだが。
「さて……これからどうしようか。寝るときだって、ベッドは一個だし……」
「なにを今更! 共寝するに決まっておるじゃろう! も、もちろん手を出しても構わぬぞ? ちらっちらっ」
つづらはむしろ手を出されるのを期待しているんじゃないか、とすら思える感じでちらちらと見てくる。
既に何度も行為に及んでいるというのに、見上げた性欲だ。
まあ僕も……ムラムラしてないか、と言われたらしてるんだけど……。
「……つづら、そういえば「契約」ってどうなってるの?」
ふと思い出した僕は、つづらに問うた。
確かつづらの言葉によればまだ「仮契約」だったはずだが、僕がつづらの精液を受けたことでなにか変化はあるのだろうか。
「む、まだ正式にはしておらんが……」
どうやら、現状維持であるらしい。
僕は改めて考えた。
これからしばらく仮契約の期間が続くとして、つづらはその間落ち着かないのではないか、と。
僕としては契約をすることになんの躊躇いもないし、そもそもがつづらの早とちりというか先走りによって生まれたのが仮契約の状態である。であれば、こちらの思いもちゃんと伝えたほうがいいだろう。
「……じゃあ、正式に契約するにはどうすればいいのかな」
「簡単じゃ。契約したい相手を屈服させつつ精を注ぎ込めばよい。わしとおまえさまの場合、契約するぞ、という気持ちでおまえさまが射精してさえくれれば……わしは心も身体も、完全におまえさまに屈服するじゃろうな」
なるほど――それなら、簡単そうだ。僕はつづらの目を見て、言った。
「じゃあ、しようか」
「えっ、い、今からか?」
いきなりの提案に目を丸くするつづらに、僕は微笑んで頷いた。
「うん。今から」