美少女にTSした僕と狐耳ロリババアのおしかけいちゃラブ生活 作:テモ氏
「な、なんじゃと……!?」
僕の言葉に、つづらは見るからに動揺したようだった。僕の目を覗き込むようにして、恐る恐る問うてくる。
「わ、わ、わしは望むところじゃが、おまえさまはいいのか……? 本当に、わしと……伴侶になってくれるのか……? 人間はわしらのように魂の色を見て契約相手を決めることはできぬのじゃろ?」
「魂……はよくわからないけど、さっき契約の話が出てたときから、本当はもうオーケーするつもりだったっていうか……」
「お、おまえさま……! な、なぜじゃ? なぜそんな思い切りがいいのじゃ……!?」
未だに耳を疑っている様子のつづらに信じてもらうため、僕は顔が熱くなるのを感じながら答えた。
「恥ずかしいんだけどさ……なんていうか、こんなに僕のこと好きって思ってくれてる事が嬉しくて……僕、恋愛とかしたことないし、誰かに好きって言ってもらえたりしたの初めてだから……あはは、我ながらちょろいというかなんというか……」
自分で言っていて、消えたくなってくる。
こんなの完全に、ちょっと優しくされた童貞が勘違いしちゃってるルートと同じ惚れ方じゃないか。いや、つづらが向けてくれる気持ちを疑っているわけじゃないんだけど……信じきれない自信のなさが我ながら情けない……
でも実際、僕の気持ちはいま言ったとおりだ。気づけば、すっかりつづらのことが好きになってしまっている。もちろん、ここまでの現実離れした展開のせいで浮ついているのもあるんだろうけど。
だけど、それを差し引いても何かが僕の胸にわだかまってぎゅっと苦しくしているのは事実だ。
「こんなの、一日で決めることじゃないかもしれないけど……僕で良かったら……一緒にいてほしいというか……も、もちろんつづらが嫌なら全然いいんだけどね?」
僕はこみ上げる羞恥と消えていく自信のダブルパンチで目を逸らしながら、告白と言うには頼りなさすぎる言葉を吐いた。
つづらは、俯いたまま僕の言葉を聞いている。そのちいさな膝の上でぎゅっと握りしめた手が、微かに震えていた。
振り絞るように、つづらは呻きのような震えた声を漏らす。
「……い……い、い……」
「……い?」
問い返した瞬間、弾かれたように金色の塊が僕に飛びかかってきた――唐突につづらが抱きついてきたのだ。
「嫌なわけないじゃろうがぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うわぁっ!?」
視界を黄金色の耳と髪で塞がれたまま、僕はベッドに押し倒される。
もふもふの感触が顔中を覆って、例の甘くていい香りが鼻腔を満たした。つづら自身の身体や髪の匂いと、着物に焚き染めた金木犀のような匂いの香が混ざった香りだ。
つづらはそれらを僕に擦りつけるように、ぐりぐりと胸に頭を押し付けてきた。
「一緒にいたいに決まっておるじゃろうが!! っていうかわしだって誰かに好きって言うの初めてじゃしそもそも初恋じゃし? 好きすぎて一年前ぐらいからずっとおまえさまのこと監視してたくらいじゃからな!!」
「え」
「……あ」
初めて知る内容だ。つづらは口を滑らせたことに気づいて、ゆっくりと起き上がる。
澄ました顔で咳払いをし、落ち着いた様子を装って詳細を白状し始めた。
「こほん……まあ、そのじゃな。最初は普通にさいんをもらいに行くだけのつもりだったんじゃが……こっそり垣間見したときにおまえさまに一目惚れしてしまってじゃな……それで、その……下見……とでもいうべきか、なんというかほら、粗相のないように振る舞わないといかんと思って一応……前もって情報を集めようと……」
「……ま、まあ、うん、大丈夫。なんていうか、今更驚かないっていうか……」
今までの流れから言って、それぐらいしていても何ら不思議はない。ていうか一年も監視されてて気づかない僕はなんなんだ。
気まずい空気を断ち切るため、僕は話を進めることにした。
「そ、それじゃ、本題に入ろっか! ね! えっと……どうすればいいんだっけ」
「そ、そうじゃな! えっと、もう一回おちんちんを生やしてじゃな……う、そうじゃった……どうしよう……」
つづらは喉に骨でも刺さったような顔になり、急に黙ってしまった。
なんとなく予想はつくが、一応聞いてみる。
「どうしたの?」
「また失敗したらと思うとじゃな……」
僕の予想は当たっていた。つづらは、術をミスするのが怖いのだ。
実際、ああも派手に失敗すれば軽いトラウマになってもしょうがないとは言えるが。
僕はつづらの隣に座って、顔を覗き込んだ。
「……さっきはなんで失敗しちゃったの?」
「う、ううむ……焦っていたせいかのう……」
眉根を寄せて答えるつづらに、僕は優しく微笑んでみせた。そうだ、今の僕はちゃんと美少女なんだから、こうやって笑えば……多分、いい感じの表情になってるはず。
「じゃあ、今なら大丈夫だね。落ち着いて、もう一回やってみよ?」
「う、うむ……」
つづらは頷くが、答える声はまだ自信なさげだ。
そこで僕はつづらの手を取り、自分の下腹部へと誘う。
「わ、な、なんじゃ……!?」
「ふふ……」
なにも履いていない股間を、シャツの上から確かめるようにそっとなぞらせながら、僕は桜色に染まった耳元にささやいた。
「ここに、生やしてよ……これからつづらとえっちする、おちんちん……♥」
「!?!?」
つづらは慌てて仰け反った。その表情は、桜とか桃とか通り越して既にトマトぐらいに真っ赤である。
ていうか、今更だけどつづらの耳って狐耳と人間の耳で四つあるんだな……。
「お、お、おまえさま……ほんとにどーてーだったのか……? まるで手練じゃぞ……はぅぅ……」
煙でも出そうな勢いで赤くなりながら、つづらは両手で顔を覆って俯いてしまう。
こういう反応がいちいちかわいくて、僕はついつい調子に乗ってしまうらしい。さっきつづらを焚き付けて妖怪モードにさせちゃった時もそうだったし。
「は、いかんいかん……気を取り直して、術をかけようかの……!」
つづらは自分の頬をぱんぱんと叩くと、小さく拳を握って気合を入れる。
僕の下腹部に両手をかざすと、深く息を吐きながら意識を集中していった。
微かな緊張の感じられる表情は真剣そのもので、釣り気味の目は射抜くように僕の丹田の辺りを見つめていた。
金色の閃きが瞳に宿った瞬間、妖怪の力が光となって掌に宿り、まばゆくその顔の造形を照らす。
――やっぱり綺麗だ、と思った。
「……はッ!」
つづらの声とともに、あの時と同じように光の爆発が部屋を包み込む。
やはり瞬きの間に光は止み、慣れてくる視界に写っていたのは、僕の股間に屹立する立派な陽根――ふたなりおちんちんだった。
「おお……」
「できた!! できたぞおまえさま!!」
つづらは術の成功に飛び跳ねんばかりに喜び、満面の笑みで飛びついてくる。
その可愛らしい様子に、僕は思わず頭を撫でていた。耳のあたりの指が沈み込むようなもふもふ感が癖になりそうだ。
「ふふっ、やったね。よしよし」
「えへへ……もっと撫でてもいいんじゃぞ? んふふ…………はっ! いかんいかん、ふにゃふにゃになるところじゃった……!」
「なるところだった」というより既に大分ふにゃふにゃになっていたが、つづらは我に返ったように起き上がる。
そのまま改めて居住まいを正すと、背筋を伸ばして美しい姿勢の正座で僕に相対した。
「では……おまえさま。改めて……」
目の前で見事に威儀を正され、僕もつられてきちんと座り直してしまう。下半身が裸なのが心もとないと同時になんだか申し訳ない気分になるが、今の僕にできることはせいぜい精一杯背筋をぴんとすることぐらいだ。
「……なんだか初夜みたいだね。あ、っていうかこれまさに初夜じゃ……」
「お、おばかもの……! 意識したら急に恥ずかしくなってきたではないか……!」
僕の指摘に、つづらはせっかく澄ましていた顔を赤くして抗議した。
武道の試合みたいにこうして正座で向かい合っていると、これからする行為が神聖なものだと意識させられるのも事実だ。
腫れてるんじゃないかと思うほど、頬が熱い。きっと僕も、負けないくらい顔を赤くしているだろう。
それでもつづらは再び表情を戻して、今度こそ僕をしかと見据えた。金色の瞳に射られたように、僕の心臓がどきりと音を立てる。
噛みしめるようなしばしの沈黙の後、つづらはそっと三つ指をついて恭しく頭を垂れた。
「此度の儀、我が求めに応じて契りを結ばんこと、誠に幸甚の極み。かくなれば、我が霊魂の一片に至るまで、仕え奉ることをここに誓いまする――このコガネノミヤツヅラ。不束者ながら、何卒、宜しくお願い申し上げる」
黄金色の頭を下げたまま、つづらは凛と澄んだ声ではっきり告げた。
うっとりとするような流麗な響きの言葉の連なりと、向けられた突き刺さるぐらいまっすぐな気持ちで、僕はとっさに胸が詰まったようになって答えられない。
すると待ちきれなくなったのか、顔を上げたつづらは、はにかんだように付け加えた。
「その……娶ってくれるか、おまえさま」
「……っ」
僕は頷こうとするのと唾を飲み込むのを同時にやって、ひどく不格好にかくかくと首肯してしまう。
それだけ、つづらの言葉は破壊力抜群だった。
格好つけた返事など、もうできるはずもない。
かろうじて正座を続けたまま、僕は土下座するように深々と頭を下げていた。
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします……いっ、至らぬ所だらけかとは存じますが……こんな僕でよければ、貰ってやって下さい……!」
言い切って、顔を上げる。つづらはきょとんと目を丸くしたと思うと、それから袖で口元を隠してくつくつと笑った。
「おいおい、それではまるでおまえさまが嫁入りするようじゃぞ? くふふっ」
その仕草がやけに淫靡に見えて、僕は腹の奥が熱くなるのを感じた。
きっと、僕の興奮が表情で伝わってしまったのだろう。つづらは足を横に崩すと、微かに濡れた瞳を僕に向ける。
「……では、その」
「うん……つづら」
僕は膝立ちににじり寄って、つづらの小さく白い手を取った。
「……改めて、宜しくね」
「ああ……おまえさま……」
うっとりと目を瞑るつづらに、吸い寄せられるように口付けをする。
誓いの判を押す変わりのごとく、僅かに触れただけでどちらからともなく僕らは離れた。
つづらは金の虹彩で僕を捉えると、妖艶に細めて告げる。
「わしを選んだこと、絶対に、絶対に後悔などさせぬからな……♥」