14週間ハーメルンに投稿するエレボス 作:えっちゃんエレボス大邪神
ごとん。
自動販売機からスポーツ飲料が落ちる音が廊下に響く。
撮影スペースを出てすぐに水分補給用の自販機があるのは流石、というべきか。
――セックス、してしまった。
突かれて、疲れて、乱れて、淫れて。想像以上に――
「よ、おつかれ渚ちゃん」
初体験に思いを巡らせていると後ろから声が掛けられる。男優の男だった。
事が終わった今では先までの魅力は感じないが、それでも雌としての自覚を得た身体が声をかけられた事でビクリと反応する。
「結構叩いたりしちまったけど大丈夫だったか? ついノっちまってよ」
「えと、大丈夫、です」
話してみると見た目はチャラチャラとしているが気さくな男だ。撮影とプライベートは別物ということなのだろうか。
私としては話しやすいので、ありがかたかったが。
「でよ、感想としてはどうだった?初AV出演だった訳だけど。俺としてはマジで良かったけど女優側が痛がってたら次が望めねぇしなぁ」
感想。感想――。
そう、ちょうど今そこに思考を巡らせていたところだった。
だから私は指を唇に当てて考える。そうして、つらつらと思ったままの言葉を続ける。
「すごかった……です、自分が元男とかそういうことが全部どうでもよくなってしまって」
「ただ男に使われるだけの存在なんだって思えて、それで、何度も何度もイって、夢心地で」
「自分が使われる感覚……っていうか、ああ、男の人を気持ちよくさせる為の生き物になったんだって感じて」
「ずこずこされて、びゅーびゅーされて、肌も髪も汚されて酷く不愉快な筈なのにそれが凄く幸せに感じる……多幸感っていうんでしょうか」
「……もう男じゃなくて"雌"になったんだって――心の底から刻み込まれる感じ……他のTS娘さんもこんな感じになってるのかなって思って、もしそうじゃないなら同じ感覚を知ってほしいなって思ったのと……えっと、あと色々あるんですけど――」
自然と早口になって捲し立てると男優が「お、おう」と少し引いたような表情をする。
いけない、少し興奮しすぎたようだ。この辺りで終わりにしておこう、後、なにか印象に残ったことは――
「あ……でも一番は――」
「おお、一番は?」
「喉が、乾きました。……いっぱい喘いで、気持ちよくって……んくっ、はふ」
手に持っていたスポーツ飲料のペットボトルをぐっと煽る。
ごくり、ごくりと小さな喉が水音を慣らして液体を飲み込んでいった。
――そう、癖になる――セックスが終わった後の、喉の乾き。
身体と心が満たされた後にやってくる生理的現象。
「――この、乾き……好きに、なれそうなので」
「……また、お願いしますね♥」
また、侵され、犯され、抱かれることを望むだろう。
知ってしまった乾きを満たすために。