14週間ハーメルンに投稿するエレボス 作:えっちゃんエレボス大邪神
魔王――父を倒し父を取り戻す、きょうだい達との世界を渡ったあの旅から数ヵ月。
母が待つ家に戻り身体を休めた「あなた」はまだ見ぬ未知の世界や新たな体験を求めて親友である長田くんと再び旅に出た。
魔王倒す為の長い冒険と比べて親友と二人きりの旅は、あの時と比べて大変な事や人数の少なさはあったものの、
それでもあの旅では時間の都合や様々な事情で立ち寄ることが出来なかった場所を訪問することができてとても楽しかった。
楽しかった、のだが――
「えーっ!? 路銀が尽きたーっ!?」
……悲鳴のような叫び声をあげる長田くんの前であなたは自慢の長い茶髪を振り揺らし財布を逆さにしてぶんぶん振る。
そう、旅をするための路銀が尽きてしまったのだ。逆さにしても1GOLDコインも出て来ない。
ポケットに手を入れて探ったりお気に入りの帽子を取って叩いてみても、コートを脱いでバサバサと振り回しても埃しか出ない。
長田くんを割ったら今夜の宿代と夕食代ぐらいは出て来ないだろうか?
そう思ってあなたは長田くんに躙り寄るが「ひぃっ!?」と悲鳴を上げられ逃げられてしまった。
「ねーから!まず俺は貯金箱じゃねーし! ええ……どうすんだよ……外出て適当な魔物とか盗賊でも倒す……?」
それも良いのだが何分お腹が減ってしまったし、ここは自由都市地帯南の端の端――魔物や盗賊も少ない地域だ。
日が暮れるまでに丁度良いのに会えるか分からないし、何よりお腹が減った状態で動きたくないしシャワーが浴びたい。
「我儘かよ!?パパッと倒してくりゃいいじゃん!っていうかもう最悪野営でちょっ、あんっ!?」
ぱりんっ。あなたは抗議する長田くんを勢いのまま叩き割った。静かにはなったが何も解決していない……。
割った長田くんの中身を見てみるもえっちな本ぐらいしかなく本人が言った通りお金は持っていないようだった。
どうしたものかとあなたは壁に寄り掛かって現実逃避にぱらぱらとえっち本を捲りながら考える。
捲った頁を眺めると女の人の裸が載っていたり男女が艶かしく絡み合う姿が載っている。
あなたはなんだか気恥ずかしくなってすぐにパタン、とえっち本を閉じた。
……めんどうくさい、とてもめんどうくさいがやはりモンスターを倒しに行くのが一番だろうか?
冒険の旅の中ではロッキーを始めとしてリセットや乱義……みんながお金の管理をしてくれていたからかすっかり失念していた。
何をするにもお金がいるのだ。
そして冒険者がお金を稼ぐには魔物を倒したり盗賊を倒したりする必要がある。
必要があるが、最近は魔王もいなくなってめっきり平和になってきて魔物とも仲良くしてるし盗賊は少ない。
もちろん各地のギルドに行けば仕事はあるのだろうが、正直今日はもう動きたくない。働きたくないのだ。
どこかに楽してお金を稼げる方法はないだろうか……? あなたは長田くんのえっち本を片手にその場でうんうんと唸った。
「ねえ、お嬢ちゃん?」
そうして悩んでいると声を掛けられてふっとあなたは振り向く。
振り向いた先にはなんだかえっちな衣装のお姉さんが立っていた、ばにーがーる? というんだろうか。
このえっちな本には載っていないがザンスが持っているえっち本に載っているのを見たことがある。
あなたは怪しい人なんじゃないかと思い一回長田くんから離れて若干警戒しつつ腰の日光さんの柄に手を掛ける。
「ああ、ごめんなさい、怪しいものじゃないの。なんだか困っているみたいだから……私はルーシア、あなたは?」
ルーシアと名乗る女性に頭を下げて、あなたは自分の名前を名乗る。
モフス――の名字は再びの度に出るに当たって余り言わないように母に言いつけられた。面倒くさい人に絡まれるそうだ。
「エールちゃん、かわいい名前ね。 それでエールちゃんは宿屋さんの前で何をそんなに困ってたの?」
……どうしよう。話していいものだろうか?あなたはちょっとだけ考える。長田くんの二人旅の中変な人に絡まれる事もあった。
が、そういえばその時もぶっ飛ばしてなんとかしたし今回も何かあってもぶっ飛ばせいいかあなたは簡単にと思い直す。
かくかくしかじか。あなたは路銀がなくて困っていることをルーシアに伝える。
ルーシアは笑うでもなく呆れるでもなくあなたの話を聞いてくれた。
「そっかぁ……じゃあ、もし良かったらだけど私がエールちゃんに簡単なお仕事紹介してあげるわよ?」
かんたんなおしごと。あなたはオウム返しで聞き返した。
「ええ、ご飯も食べさせてあげるし、なんだったら仕事場でそのまま寝てもいいわよ? ベッドもあるし……そこのハニーくんも連れてきていいし」
おお、とあなたは声をあげる。至れり尽くせりだ。とはいえまだお仕事の内容を聞いていない。
自慢じゃないがあなたは家事は人並みだし戦う以外にこれといって特技もない。お仕事ができるかは内容にもよるだろう。
あなたは改めて、ルーシアに一体何をすればいいのか聞いてみた。
「うふふ、エールちゃんなら簡単よ。とっても可愛いもの。」
ルーシアがあなたの耳元に顔を寄せる。吐息が耳にかかってあなたは変な感覚に小さく身体を身震いさせた。
「ちょっと男の人を気持ち良くさせてあげればいいの、……エールちゃんも興味があるんじゃない?」
「さっき、エールちゃんが見てた本に載ってたみたいな、こ・と。」
さっき見てた本。現実逃避に中身を見て恥ずかしくて閉じた長田くんのえっち本。あれに載っていたみたいなこと。
つまり、えっちなことだ。 えっちなお仕事をするのだろうか?
「ええ、そうね。 どうする?」
ルーシアがあなたから離れて微笑む。細められた目に釣り上げられた口の端。
以前の冒険で立ち寄ったシーウィードの人が見せたものと同じ、なんだかいけないことをしている気分になる微笑みだった。
えっちなことはいけないことだ。まだあなたには早い気がする。しかし興味があるのは事実だ。
あなたの姉、深根はエロ技術の勉強をしていたらしいし同じく姉妹のスシヌはそういう事について知っているみたいだった。
知らないことができて、おまけにご飯も食べれて宿も取れてお金も稼げる。
それならば、あなたは。
あなたは――――――。
続きません